対のMD接結ヤーンを有する製紙機用多層フォーミング織物
製紙機用織物は、一連の繰返しユニットを備えている。繰返しユニットの各々は、一組のトップ側マシン方向(MD)ヤーンと、一組のトップ側マシン横断方向(CMD)ヤーンであって、トップ側MDヤーンに織り込まれ、トップ側織物層を形成している、トップ側CMDヤーンと、一組のボトム側MDヤーンと、一組のボトム側CMDヤーンであって、ボトム側MDヤーンに織り込まれ、ボトム側織物層を形成している、一組のボトム側CMDヤーンと、を備えている。各ボトム側MDヤーンは、そのごく隣接するトップ側MDヤーンが下を通っているトップ側CMDヤーンの上を通っている。トップ側MDヤーン、トップ側CMDヤーン、およびボトム側MDヤーンは、トップ側織物層上に綾織製紙面を形成するように、織り込まれている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2009年2月25日に出願された米国仮出願第61/155,235号、2009年11月18日に出願された米国仮出願第61/262,268号、および2009年12月15日に出願された米国仮出願第61/286,544号の優先権を主張するものであり、これらの各々の開示内容は、その全体が、ここに含まれるものとする。
【0002】
[発明の分野]
本出願は、一般的に、製紙に向けられており、さらに詳細には、製紙に用いられる織物に向けられている。
【背景技術】
【0003】
従来の長網式製紙法では、(紙の「原料(stock)」として知られている)セルロース繊維の水スラリーまたは懸濁液が、2つ以上のロール間を走行する金網および/または合成材料からなるエンドレスベルトの上側走行部上に送給されるようになっている。「フォーミング織物(forming fwabric)」と呼ばれることも多いこのベルトは、その上側走行部の上面に、紙原料のセルロース繊維を水性媒体から分離し、これによって、湿った紙ウエブを形成するフィルタとして作用する製紙面をもたらしている。水性媒体は、重量によってまたは織物の上側走行部の下面(すなわち、「マシン側」)にある真空によって、排出孔として知られているフォーミング織物のメッシュ開口を通って排出される。
【0004】
フォーミング部を出た後、紙ウエブは、抄紙機のプレス部に移送され、該プレス部において、一般的に「プレスフェルト(press felt)」と呼ばれている他の織物によって被覆された一対以上のプレスローラのニップを通される。ローラによる圧力によって、ウエブからさらに水分が除去されることになるが、この水分除去は、プレスフェルトの「詰め綿(batt)」層の存在によって、高められるようになっている。次いで、紙は、さらなる水分除去のために、乾燥部に移送される。乾燥の後、紙は、二次加工および包装に供される準備が整ったことになる。
【0005】
本明細書に用いられる「マシン方向(MD)」および「マシン横断方向(CMD)」という用語は、それぞれ、抄紙機上の製紙機用織物の走行方向と一致する方向、および織物表面と平行でかつ走行方向を横断する方向を指している。同様に、織物内におけるヤーンの垂直方向に関連する方向基準(例えば、上、下、トップ側、ボトム側、直下、など)は、織物の製紙面が織物の上面にあり、織物のマシン側面が織物の底面にあることを前提にしている。
【0006】
典型的には、製紙機用織物は、2つの基本的な製織技術の1つによって、エンドレスベルトとして製造されている。これらの内の第1の技術では、織物は、平織法によって平織りされ、平織りされた織物の両端が、多数の周知の接合方法、例えば、(継合わせ(splicing)として一般的に知られている)両端を介し、再び一緒に織り込む方法、またはピン継合せ可能なフラップまたは特別の折返しを各端に縫い付け、次いで、これらをピン継合せ可能なループ内に再び織り込む方法のいずれか1つによって、互いに接合され、これによって、エンドレスベルトを形成している。今日、多くの自動接合機が、市販されているが、これらの自動接合機は、一部の織物に対して、接合プロセスの少なくとも一部を自動化するために用いられている。平織りされた製紙機用織物では、経糸がマシン方向に延びており、緯糸がマシン横断方向に延びている。
【0007】
第2の基本的な製織技術では、織物は、無端製織法によって、連続ベルトの形態に直接織られている。無端製織法では、経糸がマシン横断方向に延びており、緯糸がマシン方向に延びている。前述した製織方法は、いずれも、当技術分野においてよく知られており、本明細書に用いられる「エンドレスベルト(endless belt)」という用語は、いずれの方法によって作製されたベルトも指している。しかし、無端製織法によることが多い製織の複雑さは、織機端における織物がいかに形成されているかおよび該織物の品質によって制限されることになる。
【0008】
製紙において、特に、湿ったウエブが最初に形成されることになる抄紙機のフォーミング部における製紙工程において、効果的なシートおよび繊維の支持は、重要な検討事項である。加えて、フォーミング織物は、抄紙機上を高速度で走行するとき、良好な安定性を有しているべきであり、好ましくは、抄紙機のプレス部に移送されるときにウエブに残っている水分量を低減させるために、高浸透性を有しているとよい。ティッシュペーパおよび上質紙(すなわち、上質印刷、カーボン原紙、タバコ、蓄電池などに用いられる紙)の用途では、製紙面は、極めて繊細に織られた構造または繊細な金網構造を備えている。
【0009】
典型的には、上質紙およびティッシュペーパの用途に用いられるような繊細に織られた織物は、少なくとも何本かの比較的小径のマシン方向ヤーンまたはマシン横断方向ヤーンを含んでいる。しかし、残念ながら、このようなヤーンは、傷みやすく、織物の表面寿命を短縮させることになる。さらに、小径ヤーンの使用は、織物の機械的安定性(特に、歪み抵抗、狭幅傾向、および剛性に関する安定性)を悪化させる可能性があり、織物の耐用寿命および性能のいずれにも悪影響を及ぼすことがある。
【0010】
繊細に織られた織物に関連するこれらの問題に対処するために、紙形成を容易にする微細メッシュ状ヤーンを紙形成面に有すると共に、強度および耐久性をもたらす粗メッシュ状ヤーンをマシン接触側に有する多層フォーミング織物が、開発されてきている。例えば、微細な紙形成面およびより耐久性のあるマシン側面を有する織物を形成するために、2組のマシン横断方向ヤーンに織り込まれた一組のマシン方向ヤーンを用いる織物が作製されてきている。これらの織物は、一般的に「二層(double layer)」織物と呼ばれる織物の分類の一部をなすものである。同様に、微細メッシュ状紙側織物層および別の粗いマシン側織物層を形成する2組のマシン方向ヤーンおよび2組のマシン横断方向ヤーンを備える織物が作製されてきている。一般的に「3層(triple layer)」織物と呼ばれる織物の分類の一部をなすこれらの織物では、2つの織物層は、典型的には、別の縫合ヤーンによって、一緒に接結されている。しかし、これらの織物層は、一組以上のボトム側およびトップ側マシン横断方向ヤーンおよびマシン方向ヤーンからのヤーンを用いて、一緒に接結されてもよい。2層織物および3層織物は、単層織物と比較して、追加的な組のヤーンを含んでいるので、これらの織物は、通常、比較し得る単一層織物よりも大きい「キャリパ(caliper)」(すなわち、大きい厚み)を有している。例示的な2層織物は、Thompsonに付与された特許文献1に示されており、例示的な3層織物は、Osterbergに付与された特許文献2、Vohringerに付与された特許文献3、Wardに付与された特許文献4,5、およびTroughtonに付与された特許文献6に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,423,755号明細書
【特許文献2】米国特許第4,501,303号明細書
【特許文献3】米国特許第5,152,326号明細書
【特許文献4】米国特許第5,437,315号明細書
【特許文献5】米国特許第5,967,195号明細書
【特許文献6】米国特許第6,745,797号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
織物設計者は、絶えず、性能特性のさまざまなバランスをもたらすことができる設計を探し求めている。例えば、織物によっては、高度のCMD支持、トップ側CMDヤーンの間隔の均一性、寸法安定性、摩耗量およびCMD剛性が望まれる場合がある。従って、特にティッシュペーパおよびタオル用途においては、これらの分野における強力な性能を有すると共に、比較的容易および/または安価に製織することができる織物を提供することが有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の態様として、本発明の実施形態は、一連の繰返しユニットを備えている製紙機用織物に向けられている。繰返しユニットの各々は、一組のトップ側マシン方向(MD)ヤーンと、一組のトップ側マシン横断方向(CMD)ヤーンであって、トップ側MDヤーンに織り込まれ、トップ側織物層を形成している、トップ側CMDヤーンと、一組のボトム側MDヤーンと、一組のボトム側CMDヤーンであって、ボトム側MDヤーンに織り込まれ、ボトム側織物層を形成している、一組のボトム側CMDヤーンと、を備えている。各ボトム側MDヤーンは、そのごく隣接するトップ側MDヤーンが下を通っているトップ側CMDヤーンの上を通っている。トップ側MDヤーン、トップ側CMDヤーン、およびボトム側MDヤーンは、トップ側織物層上に綾織製紙面を形成するように、織り込まれている。
【0014】
第2の態様として、本発明の実施形態は、一連の繰返しユニットを備えている製紙機用織物に向けられている。繰返しユニットの各々は、一組のトップ側MDヤーンと、一組のトップ側CMDヤーンであって、トップ側MDヤーンに織り込まれ、トップ側織物層を形成している、トップ側CMDヤーンと、一組のボトム側MDヤーンと、一組のボトム側CMDヤーンであって、ボトム側MDヤーンに織り込まれ、ボトム側織物層を形成している、一組のボトム側CMDヤーンと、トップ側CMDヤーンおよびボトム側CMDヤーンに織り込まれた一組のMD縫合ヤーンと、を備えている。トップ側MDヤーン、トップ側CMDヤーン、および縫合ヤーンは、トップ側織物層上に綾織製紙面を形成するように、織り込まれている。ボトム側MDヤーンの各々は、それぞれのボトム側CMDヤーンの下に複数のナックルを形成しており、縫合ヤーンの各々は、それぞれのボトム側CMDヤーンの下に少なくとも1つのナックルを形成しており、縫合ヤーンのナックルは、いずれも、隣接するボトム側MDヤーンが下にナックルを形成しているボトム側CMDヤーンの下に形成されていない。
【0015】
第3の態様として、本発明の実施形態は、一連の繰返しユニットを備えている製紙機用織物に向けられている。繰返しユニットの各々は、一組のトップ側MDヤーンと、一組のトップ側CMDヤーンであって、トップ側MDヤーンに織り込まれ、トップ側織物層を形成している、トップ側CMDヤーンと、一組のボトム側MDヤーンと、一組のボトム側CMDヤーンであって、ボトム側MDヤーンに織り込まれ、ボトム側織物層を形成している、一組のボトム側CMDヤーンと、トップ側CMDヤーンおよびボトム側CMDヤーンに織り込まれた一組のMD縫合ヤーンと、を備えている。トップ側MDヤーン、トップ側CMDヤーン、および縫合ヤーンは、トップ側織物層上に綾織製紙面を形成するように、織り込まれている。ボトム側MDヤーンの各々は、それぞれのボトム側CMDヤーンの下に複数のナックルを形成しており、縫合ヤーンの各々は、それぞれのボトム側CMDヤーンの下に少なくとも1つのナックルを形成しており、ボトム側CMDヤーンの少なくともいくつかの下には、縫合ヤーンのみしか通っていない。
【0016】
第4の態様として、本発明の実施形態は、一連の繰返しユニットを備えている製紙機用織物に向けられている。繰返しユニットの各々は、一組のMD縫合ヤーンであって、対になって配置されている、MD縫合ヤーンと、一組のトップ側CMDヤーンであって、縫合ヤーンに織り込まれ、トップ側織物層を形成している、トップ側CMDヤーンと、一組のボトム側CMDヤーンであって、縫合ヤーンに織り込まれ、ボトム側織物層を形成している、ボトム側CMDヤーンと、を備えている。縫合ヤーンおよびトップ側CMDヤーンは、トップ側織物層上に綾織製紙面を形成するように、織り込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態による織物の繰返しユニットのトップ側層の上面図である。
【図2】図1の織物のボトム側層の底面図である。
【図3】代表的なMDヤーンを示す図1の織物の線3−3に沿って切断した断面図である。
【図4】本発明のさらに他の実施形態による織物の繰返しユニットのトップ側層の上面図である。
【図5】図4の織物のボトム側層の底面図である。
【図6A.6B】代表的なMDヤーンを示す図4の織物の線6A−6Aおよび6B−6Bに沿ってそれぞれ切断した断面図である。
【図7】本発明の実施形態による織物の繰返しユニットのトップ側層の上面図である。
【図8】図7の織物のボトム側層の底面図である。
【図9A.9B】代表的なMDヤーンを示す図7の織物の線9A−9Aおよび9B−9Bに沿ってそれぞれ切断した断面図である。
【図10】本発明のさらに他の実施形態による織物の繰返しユニットのトップ側層の上面図である。
【図11】図10の織物のボトム側層の底面図である。
【図12A.12B】代表的なMDヤーンを示す図10の織物の線12A−12Aおよび12B−12Bに沿ってそれぞれ切断した断面図である。
【図13】本発明のさらに他の実施形態による織物の繰返しユニットのトップ側層の上面図である。
【図14】図13の織物のボトム側層の底面図である。
【図15】代表的なMDヤーンを示す図13の織物の線15−15に沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、例示されている実施形態に制限されることを意図せず、むしろ、これらの実施形態は、本発明を当業者に詳細かつ完全に開示することを意図している。図面では、同様の番号は、全体を通して、同様の要素を指すものとする。構成部品によっては、明瞭にするために、それらの厚みおよび寸法が誇張されていることがある。
【0019】
よく知られている機能または構造は、簡潔および/または明瞭にするために、詳細には説明しないことがある。
【0020】
特に他の規定がない限り、本明細書に用いられる(技術用語および科学用語を含む)用語は、いずれも、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有している。一般的に用いられている辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈において、それらの意味と矛盾しない意味を有していると解釈されるべきであり、本明細書に明示的に規定されていない限り、理想化された意味または過度に形式的な意味に解釈されるべきではないことをさらに理解されたい。
【0021】
本明細書に用いられる専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本発明を制限することを意図していない。本明細書に用いられる単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに他の意味を指定しない限り、複数形も含むことを意図している。「備える(comprises)および/または「備えている(comprising)」という用語は、本明細書では、記述された特徴、完全体、段階、操作、要素、および/または構成部品の存在を特定することになるが、1つまたは複数の他の特徴、完全体、段階、操作、要素、構成部品、および/またはそれらの群の存在または追加を排除するものではないことをさらに理解されたい。本明細書に用いられる「および/または(and/or)」という表現は、1つまたは複数の互いに関連して記載されている事項のいずれかおよび全ての組合せを含んでいる。
【0022】
以下の図面は、ここに説明する織物の単一の繰返しユニットしか示していないが、当業者であれば、商業的な用途では、製紙機に用いられるのに適する大きい織物を形成するために、図示されている繰返しユニットが、マシン方向およびマシン横断方向の両方に多数回繰り返されることを理解するだろう。
【0023】
図1〜図3を参照すると、本発明の実施形態によるフォーミング織物5の繰返しユニット10が示されている。繰返しユニット10は、8本のトップ側MDヤーン11〜18、40本のトップ側CMDヤーン21〜60、8本のボトム側MDヤーン61〜68、および16本のCMDヤーン71〜86を備えている(すなわち、ボトム側CMDヤーンに対するトップ側CMDヤーンの比率は、5:2である)。以下、これらのヤーンの織合せについて説明する。
【0024】
図1をまず参照すると、ここには、織物10の上面が示されている、トップ側MDヤーン11−18の各々は、各トップ側MDヤーンが7本の連続したトップ側CMDヤーンの一組の下を通っていることを除いて、1×3綾織パターンの「上1/下3」の順序特性によってトップ側CMDヤーンに織り込まれている。前述の7本の連続したトップ側CMDヤーンの組における4番目のCMDヤーンの上を、隣接するボトム側MDヤーン61−68が通っており、これによって、もう1つの「下3/上1/下3」の順序の配列が形成されている。その結果、トップ側MDヤーン、トップ側CMDヤーン、およびボトム側MDヤーンによって形成された「上1/下3」の順序の全配列が得られている。
【0025】
このパターンは、図1および図3に示されている。一例として、トップ側MDヤーン11およびボトム側MDヤーン61を取り上げると、トップ側MDヤーン11は、トップ側CMDヤーン21〜23の下、トップ側CMDヤーン24の上、トップ側CMDヤーン25〜27の下、トップ側CMDヤーン28の上、トップ側CMDヤーン29〜31の下、トップ側CMDヤーン32の上、トップ側CMDヤーン33〜35の下、トップ側CMDヤーン36の上、トップ側CMDヤーン37〜39の下、トップ側CMDヤーン40の上、トップ側CMDヤーン41〜43の下、トップ側CMDヤーン44の上、トップ側CMDヤーン45〜47の下、トップ側CMDヤーン48の上、トップ側CMDヤーン49〜51の下、トップ側CMDヤーン52の上、トップ側CMDヤーン53〜59(前述した7本の連続したヤーンの組)の下、およびトップ側CMDヤーン60の上を通っている。ボトム側MDヤーン61は、7本の連続したトップ側CMDヤーン53〜59の組における4番目のトップ側CMDヤーンであるトップ側CMDヤーン56の上を通っている。従って、トップ側MDヤーン11およびボトム側MDヤーン61は、一緒になって、トップ側CMDヤーン21〜60に対して「下3/上1」のパターンを形成することになる。このパターンは、繰返しユニット10において、10回繰り返されている。
【0026】
互いに隣接しているトップ側MDヤーンは、15本のトップCMDヤーン分だけ、互いに位置ずれしている。例えば、図1を参照すると、トップ側MDヤーン11は、7本の連続したトップ側CMDヤーン53〜59の下を通っており、ボトム側MDヤーン61は、トップ側CMDヤーン56の上を通っている。隣接するトップ側MDヤーン12は、(トップ側CMDヤーン53〜59から15本のCMDヤーン分だけ位置ずれしている)トップ側CMDヤーン28〜34の下を通っており、ボトム側MDヤーン62は、(トップ側CMDヤーン56から15本のトップ側CMDヤーン分だけ位置ずれしている)トップ側CMDヤーン31の上を通っている。その結果、繰返しユニット10の上面に、トップ側MDヤーン11〜18、トップ側CMDヤーン21〜60、およびボトム側MDヤーン61〜68によって、1×3綾織パターンが形成されることになる。
【0027】
図2を参照すると、ボトム側MDヤーン61〜68が、「上4/下1/上2/下1」の順序でボトム側CMDヤーン71〜86に織り込まれており、この順序の配列は、繰返しユニット10において、2度繰り返されている(織物の底面を示している図2では、ボトム側MDヤーン61〜68は、「下4/上1/下2/上1」の順序でボトム側CMDヤーン71−86を通っているように示されているが、これは、織物が図1の配向と逆になっているからである。織物の上面が「上(up)」を表し、織物の底面が「下(bottom)」を表す慣例は、図2の実際の図では逆になっているが、図2の説明において維持されている)。ボトム側MDヤーンが単一のボトム側CMDヤーンの下を通っている箇所は、ボトム側MD「ナックル(knuckle)」として知られている。加えて、各ボトム側MDヤーン61〜68は、前述したように、1本のトップ側CMDヤーン21〜60の上を通っており、トップ側CMDヤーンへのボトム側MDヤーン61〜68の織込みは、ボトム側MDヤーンの「上2」セグメントの1つにおいて生じている。これらの縫合箇所は、トップ側MDナックルトして知られている。
【0028】
例えば、図2および図3を参照すると、ボトム側MDヤーン61は、ボトム側CMDヤーン71〜74の上、ボトム側CMDヤーン75の下、ボトム側CMDヤーン76,77の上、ボトム側CMDヤーン78の下、ボトム側CMDヤーン79〜82の上、ボトム側CMDヤーン83の下、ボトム側CMDヤーン84,85の上、およびボトム側MDヤーン86の下を通っている。ボトム側MDヤーン61は、ボトム側CMDヤーン84,85の上を通るときに、トップ側CMDヤーン56の上を通るようになっている。互いに隣接するボトム側MDヤーンは、6本のボトム側MDヤーン分だけ、互いに位置ずれしている。その結果、織物10の底面において、ボトム側CMDヤーンが3本のボトム側MDヤーンの下に「浮糸(float)」を形成しているパターンが得られることになる。
【0029】
ここに示されている織りパターンを有する織物は、先行技術の織物、特にティッシュペーパの形成に適する先行技術の織物を上回る改良された特性を有することが可能である。さらに具体的には、このような織物は、トップ側CMDヤーンの改良された間隔均一性を有していてもよい。製紙面上に綾織パターンを有する先行技術によるMD縫合式織物のいくつかは、トップ側CMDヤーンが「対」になろうとする傾向があるが、これは、トップ側CMDヤーンの間隔の均一性に悪影響を与える可能性がある。このような織物では、トップ側MDヤーンが、ボトム側CMDヤーンの下で縫合している。また、織物の底面の比較的長い浮糸の存在によって、この織物は、先行技術の織物を上回る摩耗量、CMD剛性、および安定性を高めることが可能である。さらに、トップ側MDヤーンに対するトップ側CMDヤーンの比率が5:2になっていることによって、織物のベラン織物支持指標(FSI)および排水指標(DI)を改良することができる。
【0030】
本発明の原理を利用する織物の他の実施形態100の繰返しユニット110が、図4〜図6Bに示されており、総称的に110で表されている。繰返しユニット110は、4本のトップ側MDヤーン111〜114、40本のトップ側CMDヤーン121〜160、4本のボトム側MDヤーン161〜164、16本のボトム側CMDヤーン171〜186、および4対に配置された8本の縫合ヤーン191a,191b〜194a,194bを備えている。以下、これらのヤーン織合せについて説明する。
【0031】
図4をまず参照すると、織物110の上面が示されている。トップ側MDヤーン111〜114の各々が、繰返しユニット10に関して説明した「上1/下3」の順序でトップ側CMDヤーンに織り込まれている。例えば、トップ側MDヤーン111は、トップ側CMDヤーン123,127,131,135,139,143,147,151,155,159の上および残っているトップ側CMDヤーンの下を通っている(図4,6B参照)。織物上面は、縫合ヤーン191a,191b〜194a,194bの一部も備えている。これらの縫合ヤーンの各々は、組み合わさって、織物10の上面に1×3綾織パターンを完成させる際に、単一の「複合(composite)」ヤーンとして機能している。さらに具体的には、縫合ヤーンの各々は、5つのトップ側ナックルを形成しており、これらのナックルの各々は、3本の連続したトップ側CMDヤーンの組の分だけ、互いに離れている。符号「a」が付された縫合ヤーン(例えば、縫合ヤーン191aまたは192a)は、5本のトップ側CMDヤーンの上を通っており、符号「b」が付された縫合ヤーンの各々(例えば、縫合ヤーン191bまたは192b)は、他の5本のトップ側CMDヤーンの上を通っている。例えば、図4,6Aを参照すると、縫合ヤーン191aは、トップ側CMDヤーン160の上、トップ側CMDヤーン121〜123の下、トップ側CMDヤーン124の上、トップ側CMDヤーン125〜127の下、トップ側CMDヤーン128の上、トップ側CMDヤーン129〜131の下、トップ側CMDヤーン132の上、トップ側CMDヤーン133〜135の下、およびトップ側CMDヤーン136の上を通っている。縫合ヤーン191aと対をなす縫合ヤーン191bは、トップ側CMDヤーン140の上、トップ側CMDヤーン141〜143の下、トップ側CMDヤーン144の上、トップ側CMDヤーン145〜147の下、トップ側CMDヤーン148の上、トップ側CMDヤーン149〜151の下、トップ側CMDヤーン152の上、トップ側CMDヤーン153〜155の下、およびトップ側CMDヤーン156の上を通っている。このようにして、縫合ヤーン191a,191bは、一緒になって、トップ側CMDヤーンに対して「上1/下3」の全経路に追従する「複合」トップ側MDヤーンを形成している。その結果、トップ側MDヤーン111〜114,トップ側CMDヤーン121〜160、および縫合ヤーンは、組み合わさって、1×3綾織製紙面を形成することになる。縫合ヤーン対は、10本のCMDヤーン分だけ、互いに位置ずれしている。
【0032】
図5を参照すると、ボトム側MDヤーン161〜164は、繰返しユニットにおいて、「上2/下1/上4/下1/上2/下1/上4/下1」の順序でボトム側CMDヤーン171〜186に織り込まれている(図2におけるのと同じように、図5においても、織物の上面が「上」を表し、織物の底面が「下」を表す慣例は、図5の実際の図では逆になっているが、図5の説明において維持されている。以下の図8,11,14も同様である。)例えば、ボトム側MDヤーン161は、ボトム側CMDヤーン185,186,171,172の上、ボトム側CMDヤーン173の下、ボトム側CMDヤーン174、175の上、ボトム側CMDヤーン176の下、ボトム側CMDヤーン177〜180の上、ボトム側CMDヤーン181の下、ボトム側CMDヤーン182,183の上、およびボトム側CMDヤーン184の下を通っている。
【0033】
加えて、各縫合ヤーン191a,191b〜194a,194bは、ボトム側CMDヤーン171〜186の(4本のボトム側CMDヤーン分だけ、互いに離れている)2本の下を通っている。従って、1対の縫合ヤーンは、組み合わさって、前述した「上2/下1/上4/下1/上2/下1/上4/下1」の順序に追従する複合ボトム側MDヤーンを形成することになる。例えば、縫合ヤーン191aは、ボトム側CMDヤーン178,183の下を通っており、縫合ヤーン191bは、ボトム側CMDヤーン186,174の下を通っている。従って、縫合ヤーン191a,191bは、一緒になって、ボトム側MDヤーンに対して前述したのと同じ順序に追従することになる。ボトム側CMDヤーンは、比較的長いボトム側浮糸を形成している(各浮糸は、3本のボトム側MDヤーン/縫合ヤーン分の長さを有している)。
【0034】
織物100は、織物10に対して前述したのと同じ性能上の利点のいくつかを有することができ、改良された直流排出、浸透性、FSI、およびDIをさらに有することができる。いくつかの実施形態では、織物100は、3本の異なる経糸ビームから織られていてもよいし、または2つの経糸ビームをヒータバーと連動させ、各ビームに対する経糸クリンプの差を調整するようになっていてもよい。
【0035】
本発明のフォーミング織物の他の実施形態200の繰返しユニット210が、図7〜図9Bに示されている。繰返しユニット210は、4本のトップ側MDヤーン211〜214、40本のトップ側CMDヤーン221〜260、4本のボトム側MDヤーン261〜264、16本のボトム側CMDヤーン271〜286、および4対に配置された8本の縫合ヤーン291a,281b〜294a,294bを備えている。以下、これらのヤーンの織合せについて説明する。
【0036】
図7をまず参照すると、ここには、繰返しユニット210の上面が示されている。トップ側MDヤーン211〜214の各々は、繰返しユニット10に関して説明した「上1/下3」の順序でトップ側CMDヤーンに織り込まれている。図9Bを参照すると、トップ側MDヤーン211は、トップ側CMDヤーン223,227,231,235,239,243,247,251,255,259の上および残っているトップ側CMDヤーンの下を通っている。織物100の場合と同じように、織物上面は、縫合ヤーン291a,291b〜294a,294bの一部も備えている、これらの縫合ヤーンの各々は、組み合わさって、織物200の上面に1×3綾織パターンを完成させる際に、単一の「複合ヤーン」として機能する。しかし、織物200は、トップ側CMDヤーン221〜260に織り込まれた縫合ヤーン291a,291b〜294a,294bの部分が、同じ長さを有していない点において、異なっている。各対の縫合ヤーンにおいて、符号「a」が付された縫合ヤーンは、(3本の連続したトップ側CMDヤーン分だけ、互いに離れている)8本のトップ側ヤーンの上を通っており、これによって、8つのトップ側ナックルを形成している。符号「b」が付された縫合ヤーンは、(3本の連続したトップ側CMDヤーン分だけ、互いに離れている)2本のトップ側CMDヤーンの上を通っており、これによって、2つのトップ側ナックルを形成している。これらの縫合ヤーン対は、10本のトップ側CMDヤーン分だけ、互いに位置ずれしている。
【0037】
一例として、図7および図9Aを参照すると、縫合ヤーン291aは、トップ側CMDヤーン248,252,256,260,224,228,232,236の上およびトップ側CMDヤーン249〜251,253〜255,257〜259,221〜223,225〜227,229〜231,233〜235の下を通っている。縫合ヤーン291bは、トップ側CMDヤーン240,244の上およびトップ側CMDヤーン241〜243の下を通っている。このようにして、縫合ヤーン291a,291bは、一緒になって、トップ側MDヤーン211〜214の「上1/下3」パターンと同様の「上1/下3」パターンに追従する複合ヤーンを形成している。その結果、トップ側MDヤーン211〜214および縫合ヤーン291a,291b〜294a,294bは、1×3綾織面を形成することになる。
【0038】
図8を参照すると、ボトム側MDヤーン261〜264は、織物100に対して前述した「上2/下1/上4/下1/上2/下1/上4/下1」の順序に従っている。図9Bにおいて、この順序は、ボトム側MDヤーン261によって示されている。図において、ボトム側MDヤーン261は、ボトム側CMDヤーン273,276,281,284の下を通っている。縫合ヤーン291a,291b〜294a,294bは、組み合わさって、同じ順序に追従する複合ヤーンを形成している。しかし、この実施形態では、符号「a」が付された縫合ヤーンは、1つのみのボトム側MDナックルを形成しており、符号「b」が付された縫合ヤーンは、3つのボトム側MDナックルを形成している。例えば、図9Aに示されているように、縫合ヤーン291aは、ボトム側CMDヤーン278の下を通っており、縫合ヤーン291bは、ボトム側CMDヤーン275,283,286の下を通っており、(これによって、前述した「上2/下1/上4/下1/上2/下1/上4/下1」の順序で配列された複合ヤーンを形成することになる。
【0039】
織物200は、織物100の性能上の利点を有することができる共に、2つの経糸ビームのみを用いてより容易に製織可能になっている。何故なら、トップ側緯糸に8回織り込まれる縫合経糸は、トップ側経糸のクリンプと非常に似ているクリンプを有しており、トップ側緯糸に2回しか織り込まれない縫合経糸は、ボトム側経糸のクリンプに非常に似ているクリンプを有しているからである。従って、経糸が適切に繋がれたとき、同じ経糸ビームに対する経糸間のクリンプの差を極めて小さくすることができる。
【0040】
総称的に300で示されている他の織物実施形態の繰返しユニット310が、図10−12Bに示されている。織物300の繰返しユニット310は、5本のトップ側MDヤーン301〜305、50本のトップ側CMDヤーン311〜360、5本のボトム側MDヤーン361〜365、20本のボトム側CMDヤーン371〜390、および5対に配置された10本の縫合ヤーン391a,391b〜395a,395bを備えている。以下、これらのヤーンの織合せについて説明する。
【0041】
図10をまず参照すると、ここには、織物300の上面が示されている。トップ側MDヤーン301〜305の各々は、「上1/下4」の順序でトップ側CMDヤーンに織り込まれている。例えば、トップ側MDヤーン301は、トップ側CMDヤーン314,319,324,329,334,339,344,349,354,359の上および残っているトップ側CMDヤーンの下を通っている。織物200の場合と同じように、繰返しユニット310の上面は、縫合ヤーン391a,391b〜395a,395bの一部も備えている。これらの縫合ヤーンの各々は、組み合わさって、織物300の上面に1×4綾織パターンを完成させる際に、単一の「複合」ヤーンとして機能する。織物200の場合と同じように、織物300の上面は、トップ側CMDヤーン321〜360に織り込まれた縫合ヤーン391a,191b〜395a,395bの部分を有しているが、これらの縫合ヤーンの部分は、同じ長さを有していない。各縫合ヤーン対において、符号「a」が付された縫合ヤーンは、(4本の連続したトップ側CMDヤーンの分だけ、互いに離れている)7本のトップ側CMDヤーンの上を通っている。符号「b」が付された縫合ヤーンは、(4本の連続したトップ側CMDヤーン分だけ、互いに離れている)3本のトップ側CMDヤーンの上を通っている。
【0042】
一例として、図10および図12Aを参照すると、縫合ヤーン391aは、トップ側CMDヤーン312,317,322,327,332,352,357の上およびトップ側CMDヤーン311,313〜316,318〜321,323〜326,328〜331,353〜356,358〜360の下を通っている。縫合ヤーン391bは、トップ側CMDヤーン337,342,347の上およびトップ側CMDヤーン338〜341および343〜346の下を通っている。このようにして、縫合ヤーン391a,319bは、一緒になって、トップ側MDヤーン301〜305の「上1/下4」のパターンと同様の「上1/下4」のパターンに追従する複合ヤーンを形成している。その結果、トップ側MDヤーン311〜315および縫合ヤーン391a,391b〜395a,395bは、1×4綾織−5枚繻子織面を形成することになる。
【0043】
図11を参照すると、織物300の底面において、ボトム側MDヤーン361〜365は、「上4/下1/上4/下1/上4/下1/上4/下1」の順序に追従している。図12Bにおいて、この順序は、ボトム側MDヤーン361によって示されている。縫合ヤーン391a,391b〜395a,395bは、組み合わさって、同じ順序に追従する複合ヤーンを形成している。しかし、この実施形態では、符号「a」が付された縫合ヤーンは、1つのみのボトム側MDナックルを形成しており、符号「b」が付された縫合ヤーンは、3つのボトム側MDナックルを形成している。例えば、図12Aに示されているように、縫合ヤーン391aは、ボトム側CMDヤーン384の下を通っており、縫合ヤーン391bは、ボトム側CMDヤーン374,379,389の下を通っており、(これによって、前述した「上4/下1/上4/下1/上4/下1/上4/下1」の順序で配列された複合ヤーンを形成することになる)。
【0044】
織物300は、織物10,100,200の性能上の利点を有することができると共に、20ハーネス構造によって、より高い透過性、FSI、DI、および摩耗量/寿命能力をもたらすことができる。
【0045】
本発明の実施形態によるさらに他の製紙機用織物が、図13〜図15に示されており、総称的に400で表されている。織物400の繰返しユニット410は、8対のMD縫合ヤーン411a,411b〜418a,418b、40本のトップ側CMDヤーン421〜460、および16本のボトム側CMDヤーン471〜486を備えている。以下、これらのヤーンの織合せについて説明する。
【0046】
縫合ヤーン411a,411b〜418a,418bは、トップ側CMDヤーン421〜460に織り込まれ、前述の織物10,110,210の1×3綾織面と極めて似ている1×3綾織面を形成している。縫合ヤーン対の各々のヤーンは、組み合わさって、1×3綾織パターンを特徴付ける「下3/上1」の順序に追従する「複合」ヤーンを形成している。1対の縫合ヤーンの各々は、5本のトップ側CMDヤーンの上を通っており、トップ側ナックルを形成しており、これらのトップ側ナックルの各々は、3本のトップ側CMDヤーン分だけ、互いに離れている。例えば、図13,15Aに示されているように、縫合ヤーン411aは、トップ側ヤーン460,424,428,432,436の上を通っており、縫合ヤーン411bは、トップ側CMDヤーン440,444,448,452,456の上を通っている。このようにして、縫合ヤーン411a,411bは、一緒になって、繰返しユニットの全長にわたって、前述した「下3/上1」の順序の配列を有する複合ヤーンを形成している。残っている縫合ヤーン対も、同様に、「下3/上1」の順序に追従する複合ヤーンを形成している。
【0047】
図14を参照すると、縫合ヤーン対411a,411b〜418a,418bは、組み合わさって、織物10,100,200に対して前述した「上2/下1/上4/下1/上2/下1/上4/下1」の順序でボトム側CMDヤーン471〜486に織り込まれている。図14および図15Bに示されているように、一例として、縫合ヤーン411bは、ボトム側CMDヤーン472,475の下を通っており、縫合ヤーン411aは、ボトム側CMDヤーン480,483の下を通っている。このようにして、縫合ヤーン411a,411bは、一緒になって、前述した「上2/下1/上4/下1/上2/下1/上4/下1」の順序に従っている。
【0048】
この織物は、織物10,100,200,300に対して前述した性能上の利点を有することができる共に、さらに一層改良された緯糸間隔、形態、および直流排出を有することができる。加えて、経糸の全てが同じクリンプを有しているので、この実施形態は、2つの経糸ビーム、さらには、1つのみの経糸ビームを有する織機によって、容易に製織可能である。
【0049】
これらの織物の各々は、同様の織物に対して改良されたFSI、DI、および浸透性を有することができる。また、高密度の縫合緯糸対を有する織物よりも製織コストを低減させることができる。
【0050】
本発明の織物に利用されるヤーンの形態は、最終的な製紙機用織物の所望の特性に応じて変更可能である。例えば、ヤーンは、モノフィラメント糸、扁平モノフィラメント糸、マルチフィラメント糸、マルチフィラメント撚糸またはモノフィラメント撚糸、スパンヤーン、またはそれらの任意の組合せのいずれであってもよい。しかし、多くの実施形態では、モノフィラメントが好ましい。また、本発明の織物に用いられるヤーンの材料は、製紙機用織物に一般的に用いられるものであればよい。例えば、ヤーンは、ポリエステル、ポリアミド(ナイロン)、ポリプロピレン、アラミド、などのいずれから形成されていてもよい。加えて、これらのポリマーは、フォーミング織物の性能をさらに高めることを目的とし、特別の性質、例えば、汚染、伸縮、磨滅の改良および/または耐薬品性をモノフィラメントに与えるために、添加物を含んでいてもよいし、または他のポリマーと混合されていてもよい。熟練の職人であれば、最終的な織物の特定の用途に応じて、ヤーン材料を選択することになるだろう。特に、ポリエステルまたはポリアミドから形成された丸形モノフィラメントヤーンが適しており、ボトム側MDヤーンとしてのモノフィラメントヤーンの使用は、特に適している。
【0051】
当業者であれば、種々の寸法のヤーンが本発明の織物の実施形態に用いられてもよいことを理解するだろう。トップ側MDヤーンおよびボトム側MDヤーンの両方を含んでいる実施形態では、トップ側MDヤーンは、ボトム側MDヤーンの直径よりも小さい直径を有しているとよい。縫合ヤーンは、典型的には、トップ側MDヤーンの直径と同様の直径を有している。例えば、特にティッシュペーパおよびタオル用途では、トップ側MDヤーン、トップ側CMDヤーン、および縫合ヤーンは、約0.1mmから0.17mmの間の直径を有しているとよく、ボトム側MDヤーンは、約0.10mmから0.17mmの間の直径を有しているとよく、ボトム側CMDヤーンは、約0.18mmから0.28mmの間の直径を有しているとよい。本発明の実施形態による織物のメッシュもまた変更可能である。例えば、上面のメッシュは、約30×30から40×50(cm当たりの経糸数×cm当たりのピック数(epcm × ppcm))の間で変更可能であり、メッシュの全体は、約60×42から84×70の間で変更可能である。
【0052】
加えて、ある種類のヤーンの数に対する他の種類のヤーンの数が変更されてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、ボトム側MDヤーンの数に対するトップ側MDヤーンの数の比率は、5:2であるが、他の比率、例えば、1:1、2:1、3:1、および3:2が用いられてもよい。しかし、5:2の比率の実施形態は、浸透性、繊維支持、安定性、および摩耗量を含む特性の優れたバランスをもたらすので、特に好ましい。特に、インチ当たりのトップ側CMDヤーンの数が多くなるので、CMD繊維支持が2:1の比率の織物と比べて改良されることになる。
【0053】
本発明の他の態様によれば、紙を作製する方法が提供されることになる。これらの方法によれば、本明細書に記載されている例示的な製紙機用フォーミング織物の1つが準備され、次いで、紙原料を該フォーミング織物に施し、紙原料から水分を除去することによって、紙が作製されることになる。紙原料がフォーミング織物に施される方法および水分が紙原料から除去される方法の詳細は、当業者によってよく理解されていることであり、本発明のこの態様に関するさらなる詳細については、本明細書ではこれ以上説明しないことにする。
【0054】
前述の実施形態は、本発明の例示にすぎず、本発明を制限すると解釈されるべきではない。本発明の例示的な実施形態について説明してきたが、当業者であれば、本発明の新規の示唆および利点から実質的に逸脱することなく、これらの例示的な実施形態において多くの修正が可能であることを容易に理解するだろう。従って、このような修正の全ては、特許請求項に記載されている本発明の範囲内に含まれることが意図されている。本発明は、以下の特許請求項によって規定され、特許請求の範囲の等価物は、特許請求の範囲に含まれるべきである。
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2009年2月25日に出願された米国仮出願第61/155,235号、2009年11月18日に出願された米国仮出願第61/262,268号、および2009年12月15日に出願された米国仮出願第61/286,544号の優先権を主張するものであり、これらの各々の開示内容は、その全体が、ここに含まれるものとする。
【0002】
[発明の分野]
本出願は、一般的に、製紙に向けられており、さらに詳細には、製紙に用いられる織物に向けられている。
【背景技術】
【0003】
従来の長網式製紙法では、(紙の「原料(stock)」として知られている)セルロース繊維の水スラリーまたは懸濁液が、2つ以上のロール間を走行する金網および/または合成材料からなるエンドレスベルトの上側走行部上に送給されるようになっている。「フォーミング織物(forming fwabric)」と呼ばれることも多いこのベルトは、その上側走行部の上面に、紙原料のセルロース繊維を水性媒体から分離し、これによって、湿った紙ウエブを形成するフィルタとして作用する製紙面をもたらしている。水性媒体は、重量によってまたは織物の上側走行部の下面(すなわち、「マシン側」)にある真空によって、排出孔として知られているフォーミング織物のメッシュ開口を通って排出される。
【0004】
フォーミング部を出た後、紙ウエブは、抄紙機のプレス部に移送され、該プレス部において、一般的に「プレスフェルト(press felt)」と呼ばれている他の織物によって被覆された一対以上のプレスローラのニップを通される。ローラによる圧力によって、ウエブからさらに水分が除去されることになるが、この水分除去は、プレスフェルトの「詰め綿(batt)」層の存在によって、高められるようになっている。次いで、紙は、さらなる水分除去のために、乾燥部に移送される。乾燥の後、紙は、二次加工および包装に供される準備が整ったことになる。
【0005】
本明細書に用いられる「マシン方向(MD)」および「マシン横断方向(CMD)」という用語は、それぞれ、抄紙機上の製紙機用織物の走行方向と一致する方向、および織物表面と平行でかつ走行方向を横断する方向を指している。同様に、織物内におけるヤーンの垂直方向に関連する方向基準(例えば、上、下、トップ側、ボトム側、直下、など)は、織物の製紙面が織物の上面にあり、織物のマシン側面が織物の底面にあることを前提にしている。
【0006】
典型的には、製紙機用織物は、2つの基本的な製織技術の1つによって、エンドレスベルトとして製造されている。これらの内の第1の技術では、織物は、平織法によって平織りされ、平織りされた織物の両端が、多数の周知の接合方法、例えば、(継合わせ(splicing)として一般的に知られている)両端を介し、再び一緒に織り込む方法、またはピン継合せ可能なフラップまたは特別の折返しを各端に縫い付け、次いで、これらをピン継合せ可能なループ内に再び織り込む方法のいずれか1つによって、互いに接合され、これによって、エンドレスベルトを形成している。今日、多くの自動接合機が、市販されているが、これらの自動接合機は、一部の織物に対して、接合プロセスの少なくとも一部を自動化するために用いられている。平織りされた製紙機用織物では、経糸がマシン方向に延びており、緯糸がマシン横断方向に延びている。
【0007】
第2の基本的な製織技術では、織物は、無端製織法によって、連続ベルトの形態に直接織られている。無端製織法では、経糸がマシン横断方向に延びており、緯糸がマシン方向に延びている。前述した製織方法は、いずれも、当技術分野においてよく知られており、本明細書に用いられる「エンドレスベルト(endless belt)」という用語は、いずれの方法によって作製されたベルトも指している。しかし、無端製織法によることが多い製織の複雑さは、織機端における織物がいかに形成されているかおよび該織物の品質によって制限されることになる。
【0008】
製紙において、特に、湿ったウエブが最初に形成されることになる抄紙機のフォーミング部における製紙工程において、効果的なシートおよび繊維の支持は、重要な検討事項である。加えて、フォーミング織物は、抄紙機上を高速度で走行するとき、良好な安定性を有しているべきであり、好ましくは、抄紙機のプレス部に移送されるときにウエブに残っている水分量を低減させるために、高浸透性を有しているとよい。ティッシュペーパおよび上質紙(すなわち、上質印刷、カーボン原紙、タバコ、蓄電池などに用いられる紙)の用途では、製紙面は、極めて繊細に織られた構造または繊細な金網構造を備えている。
【0009】
典型的には、上質紙およびティッシュペーパの用途に用いられるような繊細に織られた織物は、少なくとも何本かの比較的小径のマシン方向ヤーンまたはマシン横断方向ヤーンを含んでいる。しかし、残念ながら、このようなヤーンは、傷みやすく、織物の表面寿命を短縮させることになる。さらに、小径ヤーンの使用は、織物の機械的安定性(特に、歪み抵抗、狭幅傾向、および剛性に関する安定性)を悪化させる可能性があり、織物の耐用寿命および性能のいずれにも悪影響を及ぼすことがある。
【0010】
繊細に織られた織物に関連するこれらの問題に対処するために、紙形成を容易にする微細メッシュ状ヤーンを紙形成面に有すると共に、強度および耐久性をもたらす粗メッシュ状ヤーンをマシン接触側に有する多層フォーミング織物が、開発されてきている。例えば、微細な紙形成面およびより耐久性のあるマシン側面を有する織物を形成するために、2組のマシン横断方向ヤーンに織り込まれた一組のマシン方向ヤーンを用いる織物が作製されてきている。これらの織物は、一般的に「二層(double layer)」織物と呼ばれる織物の分類の一部をなすものである。同様に、微細メッシュ状紙側織物層および別の粗いマシン側織物層を形成する2組のマシン方向ヤーンおよび2組のマシン横断方向ヤーンを備える織物が作製されてきている。一般的に「3層(triple layer)」織物と呼ばれる織物の分類の一部をなすこれらの織物では、2つの織物層は、典型的には、別の縫合ヤーンによって、一緒に接結されている。しかし、これらの織物層は、一組以上のボトム側およびトップ側マシン横断方向ヤーンおよびマシン方向ヤーンからのヤーンを用いて、一緒に接結されてもよい。2層織物および3層織物は、単層織物と比較して、追加的な組のヤーンを含んでいるので、これらの織物は、通常、比較し得る単一層織物よりも大きい「キャリパ(caliper)」(すなわち、大きい厚み)を有している。例示的な2層織物は、Thompsonに付与された特許文献1に示されており、例示的な3層織物は、Osterbergに付与された特許文献2、Vohringerに付与された特許文献3、Wardに付与された特許文献4,5、およびTroughtonに付与された特許文献6に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,423,755号明細書
【特許文献2】米国特許第4,501,303号明細書
【特許文献3】米国特許第5,152,326号明細書
【特許文献4】米国特許第5,437,315号明細書
【特許文献5】米国特許第5,967,195号明細書
【特許文献6】米国特許第6,745,797号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
織物設計者は、絶えず、性能特性のさまざまなバランスをもたらすことができる設計を探し求めている。例えば、織物によっては、高度のCMD支持、トップ側CMDヤーンの間隔の均一性、寸法安定性、摩耗量およびCMD剛性が望まれる場合がある。従って、特にティッシュペーパおよびタオル用途においては、これらの分野における強力な性能を有すると共に、比較的容易および/または安価に製織することができる織物を提供することが有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の態様として、本発明の実施形態は、一連の繰返しユニットを備えている製紙機用織物に向けられている。繰返しユニットの各々は、一組のトップ側マシン方向(MD)ヤーンと、一組のトップ側マシン横断方向(CMD)ヤーンであって、トップ側MDヤーンに織り込まれ、トップ側織物層を形成している、トップ側CMDヤーンと、一組のボトム側MDヤーンと、一組のボトム側CMDヤーンであって、ボトム側MDヤーンに織り込まれ、ボトム側織物層を形成している、一組のボトム側CMDヤーンと、を備えている。各ボトム側MDヤーンは、そのごく隣接するトップ側MDヤーンが下を通っているトップ側CMDヤーンの上を通っている。トップ側MDヤーン、トップ側CMDヤーン、およびボトム側MDヤーンは、トップ側織物層上に綾織製紙面を形成するように、織り込まれている。
【0014】
第2の態様として、本発明の実施形態は、一連の繰返しユニットを備えている製紙機用織物に向けられている。繰返しユニットの各々は、一組のトップ側MDヤーンと、一組のトップ側CMDヤーンであって、トップ側MDヤーンに織り込まれ、トップ側織物層を形成している、トップ側CMDヤーンと、一組のボトム側MDヤーンと、一組のボトム側CMDヤーンであって、ボトム側MDヤーンに織り込まれ、ボトム側織物層を形成している、一組のボトム側CMDヤーンと、トップ側CMDヤーンおよびボトム側CMDヤーンに織り込まれた一組のMD縫合ヤーンと、を備えている。トップ側MDヤーン、トップ側CMDヤーン、および縫合ヤーンは、トップ側織物層上に綾織製紙面を形成するように、織り込まれている。ボトム側MDヤーンの各々は、それぞれのボトム側CMDヤーンの下に複数のナックルを形成しており、縫合ヤーンの各々は、それぞれのボトム側CMDヤーンの下に少なくとも1つのナックルを形成しており、縫合ヤーンのナックルは、いずれも、隣接するボトム側MDヤーンが下にナックルを形成しているボトム側CMDヤーンの下に形成されていない。
【0015】
第3の態様として、本発明の実施形態は、一連の繰返しユニットを備えている製紙機用織物に向けられている。繰返しユニットの各々は、一組のトップ側MDヤーンと、一組のトップ側CMDヤーンであって、トップ側MDヤーンに織り込まれ、トップ側織物層を形成している、トップ側CMDヤーンと、一組のボトム側MDヤーンと、一組のボトム側CMDヤーンであって、ボトム側MDヤーンに織り込まれ、ボトム側織物層を形成している、一組のボトム側CMDヤーンと、トップ側CMDヤーンおよびボトム側CMDヤーンに織り込まれた一組のMD縫合ヤーンと、を備えている。トップ側MDヤーン、トップ側CMDヤーン、および縫合ヤーンは、トップ側織物層上に綾織製紙面を形成するように、織り込まれている。ボトム側MDヤーンの各々は、それぞれのボトム側CMDヤーンの下に複数のナックルを形成しており、縫合ヤーンの各々は、それぞれのボトム側CMDヤーンの下に少なくとも1つのナックルを形成しており、ボトム側CMDヤーンの少なくともいくつかの下には、縫合ヤーンのみしか通っていない。
【0016】
第4の態様として、本発明の実施形態は、一連の繰返しユニットを備えている製紙機用織物に向けられている。繰返しユニットの各々は、一組のMD縫合ヤーンであって、対になって配置されている、MD縫合ヤーンと、一組のトップ側CMDヤーンであって、縫合ヤーンに織り込まれ、トップ側織物層を形成している、トップ側CMDヤーンと、一組のボトム側CMDヤーンであって、縫合ヤーンに織り込まれ、ボトム側織物層を形成している、ボトム側CMDヤーンと、を備えている。縫合ヤーンおよびトップ側CMDヤーンは、トップ側織物層上に綾織製紙面を形成するように、織り込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態による織物の繰返しユニットのトップ側層の上面図である。
【図2】図1の織物のボトム側層の底面図である。
【図3】代表的なMDヤーンを示す図1の織物の線3−3に沿って切断した断面図である。
【図4】本発明のさらに他の実施形態による織物の繰返しユニットのトップ側層の上面図である。
【図5】図4の織物のボトム側層の底面図である。
【図6A.6B】代表的なMDヤーンを示す図4の織物の線6A−6Aおよび6B−6Bに沿ってそれぞれ切断した断面図である。
【図7】本発明の実施形態による織物の繰返しユニットのトップ側層の上面図である。
【図8】図7の織物のボトム側層の底面図である。
【図9A.9B】代表的なMDヤーンを示す図7の織物の線9A−9Aおよび9B−9Bに沿ってそれぞれ切断した断面図である。
【図10】本発明のさらに他の実施形態による織物の繰返しユニットのトップ側層の上面図である。
【図11】図10の織物のボトム側層の底面図である。
【図12A.12B】代表的なMDヤーンを示す図10の織物の線12A−12Aおよび12B−12Bに沿ってそれぞれ切断した断面図である。
【図13】本発明のさらに他の実施形態による織物の繰返しユニットのトップ側層の上面図である。
【図14】図13の織物のボトム側層の底面図である。
【図15】代表的なMDヤーンを示す図13の織物の線15−15に沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、例示されている実施形態に制限されることを意図せず、むしろ、これらの実施形態は、本発明を当業者に詳細かつ完全に開示することを意図している。図面では、同様の番号は、全体を通して、同様の要素を指すものとする。構成部品によっては、明瞭にするために、それらの厚みおよび寸法が誇張されていることがある。
【0019】
よく知られている機能または構造は、簡潔および/または明瞭にするために、詳細には説明しないことがある。
【0020】
特に他の規定がない限り、本明細書に用いられる(技術用語および科学用語を含む)用語は、いずれも、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有している。一般的に用いられている辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈において、それらの意味と矛盾しない意味を有していると解釈されるべきであり、本明細書に明示的に規定されていない限り、理想化された意味または過度に形式的な意味に解釈されるべきではないことをさらに理解されたい。
【0021】
本明細書に用いられる専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本発明を制限することを意図していない。本明細書に用いられる単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに他の意味を指定しない限り、複数形も含むことを意図している。「備える(comprises)および/または「備えている(comprising)」という用語は、本明細書では、記述された特徴、完全体、段階、操作、要素、および/または構成部品の存在を特定することになるが、1つまたは複数の他の特徴、完全体、段階、操作、要素、構成部品、および/またはそれらの群の存在または追加を排除するものではないことをさらに理解されたい。本明細書に用いられる「および/または(and/or)」という表現は、1つまたは複数の互いに関連して記載されている事項のいずれかおよび全ての組合せを含んでいる。
【0022】
以下の図面は、ここに説明する織物の単一の繰返しユニットしか示していないが、当業者であれば、商業的な用途では、製紙機に用いられるのに適する大きい織物を形成するために、図示されている繰返しユニットが、マシン方向およびマシン横断方向の両方に多数回繰り返されることを理解するだろう。
【0023】
図1〜図3を参照すると、本発明の実施形態によるフォーミング織物5の繰返しユニット10が示されている。繰返しユニット10は、8本のトップ側MDヤーン11〜18、40本のトップ側CMDヤーン21〜60、8本のボトム側MDヤーン61〜68、および16本のCMDヤーン71〜86を備えている(すなわち、ボトム側CMDヤーンに対するトップ側CMDヤーンの比率は、5:2である)。以下、これらのヤーンの織合せについて説明する。
【0024】
図1をまず参照すると、ここには、織物10の上面が示されている、トップ側MDヤーン11−18の各々は、各トップ側MDヤーンが7本の連続したトップ側CMDヤーンの一組の下を通っていることを除いて、1×3綾織パターンの「上1/下3」の順序特性によってトップ側CMDヤーンに織り込まれている。前述の7本の連続したトップ側CMDヤーンの組における4番目のCMDヤーンの上を、隣接するボトム側MDヤーン61−68が通っており、これによって、もう1つの「下3/上1/下3」の順序の配列が形成されている。その結果、トップ側MDヤーン、トップ側CMDヤーン、およびボトム側MDヤーンによって形成された「上1/下3」の順序の全配列が得られている。
【0025】
このパターンは、図1および図3に示されている。一例として、トップ側MDヤーン11およびボトム側MDヤーン61を取り上げると、トップ側MDヤーン11は、トップ側CMDヤーン21〜23の下、トップ側CMDヤーン24の上、トップ側CMDヤーン25〜27の下、トップ側CMDヤーン28の上、トップ側CMDヤーン29〜31の下、トップ側CMDヤーン32の上、トップ側CMDヤーン33〜35の下、トップ側CMDヤーン36の上、トップ側CMDヤーン37〜39の下、トップ側CMDヤーン40の上、トップ側CMDヤーン41〜43の下、トップ側CMDヤーン44の上、トップ側CMDヤーン45〜47の下、トップ側CMDヤーン48の上、トップ側CMDヤーン49〜51の下、トップ側CMDヤーン52の上、トップ側CMDヤーン53〜59(前述した7本の連続したヤーンの組)の下、およびトップ側CMDヤーン60の上を通っている。ボトム側MDヤーン61は、7本の連続したトップ側CMDヤーン53〜59の組における4番目のトップ側CMDヤーンであるトップ側CMDヤーン56の上を通っている。従って、トップ側MDヤーン11およびボトム側MDヤーン61は、一緒になって、トップ側CMDヤーン21〜60に対して「下3/上1」のパターンを形成することになる。このパターンは、繰返しユニット10において、10回繰り返されている。
【0026】
互いに隣接しているトップ側MDヤーンは、15本のトップCMDヤーン分だけ、互いに位置ずれしている。例えば、図1を参照すると、トップ側MDヤーン11は、7本の連続したトップ側CMDヤーン53〜59の下を通っており、ボトム側MDヤーン61は、トップ側CMDヤーン56の上を通っている。隣接するトップ側MDヤーン12は、(トップ側CMDヤーン53〜59から15本のCMDヤーン分だけ位置ずれしている)トップ側CMDヤーン28〜34の下を通っており、ボトム側MDヤーン62は、(トップ側CMDヤーン56から15本のトップ側CMDヤーン分だけ位置ずれしている)トップ側CMDヤーン31の上を通っている。その結果、繰返しユニット10の上面に、トップ側MDヤーン11〜18、トップ側CMDヤーン21〜60、およびボトム側MDヤーン61〜68によって、1×3綾織パターンが形成されることになる。
【0027】
図2を参照すると、ボトム側MDヤーン61〜68が、「上4/下1/上2/下1」の順序でボトム側CMDヤーン71〜86に織り込まれており、この順序の配列は、繰返しユニット10において、2度繰り返されている(織物の底面を示している図2では、ボトム側MDヤーン61〜68は、「下4/上1/下2/上1」の順序でボトム側CMDヤーン71−86を通っているように示されているが、これは、織物が図1の配向と逆になっているからである。織物の上面が「上(up)」を表し、織物の底面が「下(bottom)」を表す慣例は、図2の実際の図では逆になっているが、図2の説明において維持されている)。ボトム側MDヤーンが単一のボトム側CMDヤーンの下を通っている箇所は、ボトム側MD「ナックル(knuckle)」として知られている。加えて、各ボトム側MDヤーン61〜68は、前述したように、1本のトップ側CMDヤーン21〜60の上を通っており、トップ側CMDヤーンへのボトム側MDヤーン61〜68の織込みは、ボトム側MDヤーンの「上2」セグメントの1つにおいて生じている。これらの縫合箇所は、トップ側MDナックルトして知られている。
【0028】
例えば、図2および図3を参照すると、ボトム側MDヤーン61は、ボトム側CMDヤーン71〜74の上、ボトム側CMDヤーン75の下、ボトム側CMDヤーン76,77の上、ボトム側CMDヤーン78の下、ボトム側CMDヤーン79〜82の上、ボトム側CMDヤーン83の下、ボトム側CMDヤーン84,85の上、およびボトム側MDヤーン86の下を通っている。ボトム側MDヤーン61は、ボトム側CMDヤーン84,85の上を通るときに、トップ側CMDヤーン56の上を通るようになっている。互いに隣接するボトム側MDヤーンは、6本のボトム側MDヤーン分だけ、互いに位置ずれしている。その結果、織物10の底面において、ボトム側CMDヤーンが3本のボトム側MDヤーンの下に「浮糸(float)」を形成しているパターンが得られることになる。
【0029】
ここに示されている織りパターンを有する織物は、先行技術の織物、特にティッシュペーパの形成に適する先行技術の織物を上回る改良された特性を有することが可能である。さらに具体的には、このような織物は、トップ側CMDヤーンの改良された間隔均一性を有していてもよい。製紙面上に綾織パターンを有する先行技術によるMD縫合式織物のいくつかは、トップ側CMDヤーンが「対」になろうとする傾向があるが、これは、トップ側CMDヤーンの間隔の均一性に悪影響を与える可能性がある。このような織物では、トップ側MDヤーンが、ボトム側CMDヤーンの下で縫合している。また、織物の底面の比較的長い浮糸の存在によって、この織物は、先行技術の織物を上回る摩耗量、CMD剛性、および安定性を高めることが可能である。さらに、トップ側MDヤーンに対するトップ側CMDヤーンの比率が5:2になっていることによって、織物のベラン織物支持指標(FSI)および排水指標(DI)を改良することができる。
【0030】
本発明の原理を利用する織物の他の実施形態100の繰返しユニット110が、図4〜図6Bに示されており、総称的に110で表されている。繰返しユニット110は、4本のトップ側MDヤーン111〜114、40本のトップ側CMDヤーン121〜160、4本のボトム側MDヤーン161〜164、16本のボトム側CMDヤーン171〜186、および4対に配置された8本の縫合ヤーン191a,191b〜194a,194bを備えている。以下、これらのヤーン織合せについて説明する。
【0031】
図4をまず参照すると、織物110の上面が示されている。トップ側MDヤーン111〜114の各々が、繰返しユニット10に関して説明した「上1/下3」の順序でトップ側CMDヤーンに織り込まれている。例えば、トップ側MDヤーン111は、トップ側CMDヤーン123,127,131,135,139,143,147,151,155,159の上および残っているトップ側CMDヤーンの下を通っている(図4,6B参照)。織物上面は、縫合ヤーン191a,191b〜194a,194bの一部も備えている。これらの縫合ヤーンの各々は、組み合わさって、織物10の上面に1×3綾織パターンを完成させる際に、単一の「複合(composite)」ヤーンとして機能している。さらに具体的には、縫合ヤーンの各々は、5つのトップ側ナックルを形成しており、これらのナックルの各々は、3本の連続したトップ側CMDヤーンの組の分だけ、互いに離れている。符号「a」が付された縫合ヤーン(例えば、縫合ヤーン191aまたは192a)は、5本のトップ側CMDヤーンの上を通っており、符号「b」が付された縫合ヤーンの各々(例えば、縫合ヤーン191bまたは192b)は、他の5本のトップ側CMDヤーンの上を通っている。例えば、図4,6Aを参照すると、縫合ヤーン191aは、トップ側CMDヤーン160の上、トップ側CMDヤーン121〜123の下、トップ側CMDヤーン124の上、トップ側CMDヤーン125〜127の下、トップ側CMDヤーン128の上、トップ側CMDヤーン129〜131の下、トップ側CMDヤーン132の上、トップ側CMDヤーン133〜135の下、およびトップ側CMDヤーン136の上を通っている。縫合ヤーン191aと対をなす縫合ヤーン191bは、トップ側CMDヤーン140の上、トップ側CMDヤーン141〜143の下、トップ側CMDヤーン144の上、トップ側CMDヤーン145〜147の下、トップ側CMDヤーン148の上、トップ側CMDヤーン149〜151の下、トップ側CMDヤーン152の上、トップ側CMDヤーン153〜155の下、およびトップ側CMDヤーン156の上を通っている。このようにして、縫合ヤーン191a,191bは、一緒になって、トップ側CMDヤーンに対して「上1/下3」の全経路に追従する「複合」トップ側MDヤーンを形成している。その結果、トップ側MDヤーン111〜114,トップ側CMDヤーン121〜160、および縫合ヤーンは、組み合わさって、1×3綾織製紙面を形成することになる。縫合ヤーン対は、10本のCMDヤーン分だけ、互いに位置ずれしている。
【0032】
図5を参照すると、ボトム側MDヤーン161〜164は、繰返しユニットにおいて、「上2/下1/上4/下1/上2/下1/上4/下1」の順序でボトム側CMDヤーン171〜186に織り込まれている(図2におけるのと同じように、図5においても、織物の上面が「上」を表し、織物の底面が「下」を表す慣例は、図5の実際の図では逆になっているが、図5の説明において維持されている。以下の図8,11,14も同様である。)例えば、ボトム側MDヤーン161は、ボトム側CMDヤーン185,186,171,172の上、ボトム側CMDヤーン173の下、ボトム側CMDヤーン174、175の上、ボトム側CMDヤーン176の下、ボトム側CMDヤーン177〜180の上、ボトム側CMDヤーン181の下、ボトム側CMDヤーン182,183の上、およびボトム側CMDヤーン184の下を通っている。
【0033】
加えて、各縫合ヤーン191a,191b〜194a,194bは、ボトム側CMDヤーン171〜186の(4本のボトム側CMDヤーン分だけ、互いに離れている)2本の下を通っている。従って、1対の縫合ヤーンは、組み合わさって、前述した「上2/下1/上4/下1/上2/下1/上4/下1」の順序に追従する複合ボトム側MDヤーンを形成することになる。例えば、縫合ヤーン191aは、ボトム側CMDヤーン178,183の下を通っており、縫合ヤーン191bは、ボトム側CMDヤーン186,174の下を通っている。従って、縫合ヤーン191a,191bは、一緒になって、ボトム側MDヤーンに対して前述したのと同じ順序に追従することになる。ボトム側CMDヤーンは、比較的長いボトム側浮糸を形成している(各浮糸は、3本のボトム側MDヤーン/縫合ヤーン分の長さを有している)。
【0034】
織物100は、織物10に対して前述したのと同じ性能上の利点のいくつかを有することができ、改良された直流排出、浸透性、FSI、およびDIをさらに有することができる。いくつかの実施形態では、織物100は、3本の異なる経糸ビームから織られていてもよいし、または2つの経糸ビームをヒータバーと連動させ、各ビームに対する経糸クリンプの差を調整するようになっていてもよい。
【0035】
本発明のフォーミング織物の他の実施形態200の繰返しユニット210が、図7〜図9Bに示されている。繰返しユニット210は、4本のトップ側MDヤーン211〜214、40本のトップ側CMDヤーン221〜260、4本のボトム側MDヤーン261〜264、16本のボトム側CMDヤーン271〜286、および4対に配置された8本の縫合ヤーン291a,281b〜294a,294bを備えている。以下、これらのヤーンの織合せについて説明する。
【0036】
図7をまず参照すると、ここには、繰返しユニット210の上面が示されている。トップ側MDヤーン211〜214の各々は、繰返しユニット10に関して説明した「上1/下3」の順序でトップ側CMDヤーンに織り込まれている。図9Bを参照すると、トップ側MDヤーン211は、トップ側CMDヤーン223,227,231,235,239,243,247,251,255,259の上および残っているトップ側CMDヤーンの下を通っている。織物100の場合と同じように、織物上面は、縫合ヤーン291a,291b〜294a,294bの一部も備えている、これらの縫合ヤーンの各々は、組み合わさって、織物200の上面に1×3綾織パターンを完成させる際に、単一の「複合ヤーン」として機能する。しかし、織物200は、トップ側CMDヤーン221〜260に織り込まれた縫合ヤーン291a,291b〜294a,294bの部分が、同じ長さを有していない点において、異なっている。各対の縫合ヤーンにおいて、符号「a」が付された縫合ヤーンは、(3本の連続したトップ側CMDヤーン分だけ、互いに離れている)8本のトップ側ヤーンの上を通っており、これによって、8つのトップ側ナックルを形成している。符号「b」が付された縫合ヤーンは、(3本の連続したトップ側CMDヤーン分だけ、互いに離れている)2本のトップ側CMDヤーンの上を通っており、これによって、2つのトップ側ナックルを形成している。これらの縫合ヤーン対は、10本のトップ側CMDヤーン分だけ、互いに位置ずれしている。
【0037】
一例として、図7および図9Aを参照すると、縫合ヤーン291aは、トップ側CMDヤーン248,252,256,260,224,228,232,236の上およびトップ側CMDヤーン249〜251,253〜255,257〜259,221〜223,225〜227,229〜231,233〜235の下を通っている。縫合ヤーン291bは、トップ側CMDヤーン240,244の上およびトップ側CMDヤーン241〜243の下を通っている。このようにして、縫合ヤーン291a,291bは、一緒になって、トップ側MDヤーン211〜214の「上1/下3」パターンと同様の「上1/下3」パターンに追従する複合ヤーンを形成している。その結果、トップ側MDヤーン211〜214および縫合ヤーン291a,291b〜294a,294bは、1×3綾織面を形成することになる。
【0038】
図8を参照すると、ボトム側MDヤーン261〜264は、織物100に対して前述した「上2/下1/上4/下1/上2/下1/上4/下1」の順序に従っている。図9Bにおいて、この順序は、ボトム側MDヤーン261によって示されている。図において、ボトム側MDヤーン261は、ボトム側CMDヤーン273,276,281,284の下を通っている。縫合ヤーン291a,291b〜294a,294bは、組み合わさって、同じ順序に追従する複合ヤーンを形成している。しかし、この実施形態では、符号「a」が付された縫合ヤーンは、1つのみのボトム側MDナックルを形成しており、符号「b」が付された縫合ヤーンは、3つのボトム側MDナックルを形成している。例えば、図9Aに示されているように、縫合ヤーン291aは、ボトム側CMDヤーン278の下を通っており、縫合ヤーン291bは、ボトム側CMDヤーン275,283,286の下を通っており、(これによって、前述した「上2/下1/上4/下1/上2/下1/上4/下1」の順序で配列された複合ヤーンを形成することになる。
【0039】
織物200は、織物100の性能上の利点を有することができる共に、2つの経糸ビームのみを用いてより容易に製織可能になっている。何故なら、トップ側緯糸に8回織り込まれる縫合経糸は、トップ側経糸のクリンプと非常に似ているクリンプを有しており、トップ側緯糸に2回しか織り込まれない縫合経糸は、ボトム側経糸のクリンプに非常に似ているクリンプを有しているからである。従って、経糸が適切に繋がれたとき、同じ経糸ビームに対する経糸間のクリンプの差を極めて小さくすることができる。
【0040】
総称的に300で示されている他の織物実施形態の繰返しユニット310が、図10−12Bに示されている。織物300の繰返しユニット310は、5本のトップ側MDヤーン301〜305、50本のトップ側CMDヤーン311〜360、5本のボトム側MDヤーン361〜365、20本のボトム側CMDヤーン371〜390、および5対に配置された10本の縫合ヤーン391a,391b〜395a,395bを備えている。以下、これらのヤーンの織合せについて説明する。
【0041】
図10をまず参照すると、ここには、織物300の上面が示されている。トップ側MDヤーン301〜305の各々は、「上1/下4」の順序でトップ側CMDヤーンに織り込まれている。例えば、トップ側MDヤーン301は、トップ側CMDヤーン314,319,324,329,334,339,344,349,354,359の上および残っているトップ側CMDヤーンの下を通っている。織物200の場合と同じように、繰返しユニット310の上面は、縫合ヤーン391a,391b〜395a,395bの一部も備えている。これらの縫合ヤーンの各々は、組み合わさって、織物300の上面に1×4綾織パターンを完成させる際に、単一の「複合」ヤーンとして機能する。織物200の場合と同じように、織物300の上面は、トップ側CMDヤーン321〜360に織り込まれた縫合ヤーン391a,191b〜395a,395bの部分を有しているが、これらの縫合ヤーンの部分は、同じ長さを有していない。各縫合ヤーン対において、符号「a」が付された縫合ヤーンは、(4本の連続したトップ側CMDヤーンの分だけ、互いに離れている)7本のトップ側CMDヤーンの上を通っている。符号「b」が付された縫合ヤーンは、(4本の連続したトップ側CMDヤーン分だけ、互いに離れている)3本のトップ側CMDヤーンの上を通っている。
【0042】
一例として、図10および図12Aを参照すると、縫合ヤーン391aは、トップ側CMDヤーン312,317,322,327,332,352,357の上およびトップ側CMDヤーン311,313〜316,318〜321,323〜326,328〜331,353〜356,358〜360の下を通っている。縫合ヤーン391bは、トップ側CMDヤーン337,342,347の上およびトップ側CMDヤーン338〜341および343〜346の下を通っている。このようにして、縫合ヤーン391a,319bは、一緒になって、トップ側MDヤーン301〜305の「上1/下4」のパターンと同様の「上1/下4」のパターンに追従する複合ヤーンを形成している。その結果、トップ側MDヤーン311〜315および縫合ヤーン391a,391b〜395a,395bは、1×4綾織−5枚繻子織面を形成することになる。
【0043】
図11を参照すると、織物300の底面において、ボトム側MDヤーン361〜365は、「上4/下1/上4/下1/上4/下1/上4/下1」の順序に追従している。図12Bにおいて、この順序は、ボトム側MDヤーン361によって示されている。縫合ヤーン391a,391b〜395a,395bは、組み合わさって、同じ順序に追従する複合ヤーンを形成している。しかし、この実施形態では、符号「a」が付された縫合ヤーンは、1つのみのボトム側MDナックルを形成しており、符号「b」が付された縫合ヤーンは、3つのボトム側MDナックルを形成している。例えば、図12Aに示されているように、縫合ヤーン391aは、ボトム側CMDヤーン384の下を通っており、縫合ヤーン391bは、ボトム側CMDヤーン374,379,389の下を通っており、(これによって、前述した「上4/下1/上4/下1/上4/下1/上4/下1」の順序で配列された複合ヤーンを形成することになる)。
【0044】
織物300は、織物10,100,200の性能上の利点を有することができると共に、20ハーネス構造によって、より高い透過性、FSI、DI、および摩耗量/寿命能力をもたらすことができる。
【0045】
本発明の実施形態によるさらに他の製紙機用織物が、図13〜図15に示されており、総称的に400で表されている。織物400の繰返しユニット410は、8対のMD縫合ヤーン411a,411b〜418a,418b、40本のトップ側CMDヤーン421〜460、および16本のボトム側CMDヤーン471〜486を備えている。以下、これらのヤーンの織合せについて説明する。
【0046】
縫合ヤーン411a,411b〜418a,418bは、トップ側CMDヤーン421〜460に織り込まれ、前述の織物10,110,210の1×3綾織面と極めて似ている1×3綾織面を形成している。縫合ヤーン対の各々のヤーンは、組み合わさって、1×3綾織パターンを特徴付ける「下3/上1」の順序に追従する「複合」ヤーンを形成している。1対の縫合ヤーンの各々は、5本のトップ側CMDヤーンの上を通っており、トップ側ナックルを形成しており、これらのトップ側ナックルの各々は、3本のトップ側CMDヤーン分だけ、互いに離れている。例えば、図13,15Aに示されているように、縫合ヤーン411aは、トップ側ヤーン460,424,428,432,436の上を通っており、縫合ヤーン411bは、トップ側CMDヤーン440,444,448,452,456の上を通っている。このようにして、縫合ヤーン411a,411bは、一緒になって、繰返しユニットの全長にわたって、前述した「下3/上1」の順序の配列を有する複合ヤーンを形成している。残っている縫合ヤーン対も、同様に、「下3/上1」の順序に追従する複合ヤーンを形成している。
【0047】
図14を参照すると、縫合ヤーン対411a,411b〜418a,418bは、組み合わさって、織物10,100,200に対して前述した「上2/下1/上4/下1/上2/下1/上4/下1」の順序でボトム側CMDヤーン471〜486に織り込まれている。図14および図15Bに示されているように、一例として、縫合ヤーン411bは、ボトム側CMDヤーン472,475の下を通っており、縫合ヤーン411aは、ボトム側CMDヤーン480,483の下を通っている。このようにして、縫合ヤーン411a,411bは、一緒になって、前述した「上2/下1/上4/下1/上2/下1/上4/下1」の順序に従っている。
【0048】
この織物は、織物10,100,200,300に対して前述した性能上の利点を有することができる共に、さらに一層改良された緯糸間隔、形態、および直流排出を有することができる。加えて、経糸の全てが同じクリンプを有しているので、この実施形態は、2つの経糸ビーム、さらには、1つのみの経糸ビームを有する織機によって、容易に製織可能である。
【0049】
これらの織物の各々は、同様の織物に対して改良されたFSI、DI、および浸透性を有することができる。また、高密度の縫合緯糸対を有する織物よりも製織コストを低減させることができる。
【0050】
本発明の織物に利用されるヤーンの形態は、最終的な製紙機用織物の所望の特性に応じて変更可能である。例えば、ヤーンは、モノフィラメント糸、扁平モノフィラメント糸、マルチフィラメント糸、マルチフィラメント撚糸またはモノフィラメント撚糸、スパンヤーン、またはそれらの任意の組合せのいずれであってもよい。しかし、多くの実施形態では、モノフィラメントが好ましい。また、本発明の織物に用いられるヤーンの材料は、製紙機用織物に一般的に用いられるものであればよい。例えば、ヤーンは、ポリエステル、ポリアミド(ナイロン)、ポリプロピレン、アラミド、などのいずれから形成されていてもよい。加えて、これらのポリマーは、フォーミング織物の性能をさらに高めることを目的とし、特別の性質、例えば、汚染、伸縮、磨滅の改良および/または耐薬品性をモノフィラメントに与えるために、添加物を含んでいてもよいし、または他のポリマーと混合されていてもよい。熟練の職人であれば、最終的な織物の特定の用途に応じて、ヤーン材料を選択することになるだろう。特に、ポリエステルまたはポリアミドから形成された丸形モノフィラメントヤーンが適しており、ボトム側MDヤーンとしてのモノフィラメントヤーンの使用は、特に適している。
【0051】
当業者であれば、種々の寸法のヤーンが本発明の織物の実施形態に用いられてもよいことを理解するだろう。トップ側MDヤーンおよびボトム側MDヤーンの両方を含んでいる実施形態では、トップ側MDヤーンは、ボトム側MDヤーンの直径よりも小さい直径を有しているとよい。縫合ヤーンは、典型的には、トップ側MDヤーンの直径と同様の直径を有している。例えば、特にティッシュペーパおよびタオル用途では、トップ側MDヤーン、トップ側CMDヤーン、および縫合ヤーンは、約0.1mmから0.17mmの間の直径を有しているとよく、ボトム側MDヤーンは、約0.10mmから0.17mmの間の直径を有しているとよく、ボトム側CMDヤーンは、約0.18mmから0.28mmの間の直径を有しているとよい。本発明の実施形態による織物のメッシュもまた変更可能である。例えば、上面のメッシュは、約30×30から40×50(cm当たりの経糸数×cm当たりのピック数(epcm × ppcm))の間で変更可能であり、メッシュの全体は、約60×42から84×70の間で変更可能である。
【0052】
加えて、ある種類のヤーンの数に対する他の種類のヤーンの数が変更されてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、ボトム側MDヤーンの数に対するトップ側MDヤーンの数の比率は、5:2であるが、他の比率、例えば、1:1、2:1、3:1、および3:2が用いられてもよい。しかし、5:2の比率の実施形態は、浸透性、繊維支持、安定性、および摩耗量を含む特性の優れたバランスをもたらすので、特に好ましい。特に、インチ当たりのトップ側CMDヤーンの数が多くなるので、CMD繊維支持が2:1の比率の織物と比べて改良されることになる。
【0053】
本発明の他の態様によれば、紙を作製する方法が提供されることになる。これらの方法によれば、本明細書に記載されている例示的な製紙機用フォーミング織物の1つが準備され、次いで、紙原料を該フォーミング織物に施し、紙原料から水分を除去することによって、紙が作製されることになる。紙原料がフォーミング織物に施される方法および水分が紙原料から除去される方法の詳細は、当業者によってよく理解されていることであり、本発明のこの態様に関するさらなる詳細については、本明細書ではこれ以上説明しないことにする。
【0054】
前述の実施形態は、本発明の例示にすぎず、本発明を制限すると解釈されるべきではない。本発明の例示的な実施形態について説明してきたが、当業者であれば、本発明の新規の示唆および利点から実質的に逸脱することなく、これらの例示的な実施形態において多くの修正が可能であることを容易に理解するだろう。従って、このような修正の全ては、特許請求項に記載されている本発明の範囲内に含まれることが意図されている。本発明は、以下の特許請求項によって規定され、特許請求の範囲の等価物は、特許請求の範囲に含まれるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一連の繰返しユニットを備えている製紙機用織物において、前記繰返しユニットの各々は、
一組のトップ側マシン方向(MD)ヤーンと、
一組のトップ側マシン横断方向(CMD)ヤーンであって、前記トップ側MDヤーンに織り込まれ、トップ側織物層を形成している、トップ側CMDヤーンと、
一組のボトム側MDヤーンと、
一組のボトム側CMDヤーンであって、前記ボトム側MDヤーンに織り込まれ、ボトム側織物層を形成している、一組のボトム側CMDヤーンと、
を備えており、
各ボトム側MDヤーンは、そのごく隣接するトップ側MDヤーンが下を通っているトップ側CMDヤーンの上を通っており、
前記トップ側MDヤーン、前記トップ側CMDヤーン、および前記ボトム側MDヤーンは、前記トップ側織物層上に綾織製紙面を形成するように、織り込まれていることを特徴とする製紙機用織物。
【請求項2】
前記綾織製紙面は、1×3綾織であることを特徴とする、請求項1に記載の製紙機用織物。
【請求項3】
各ボトム側CMDヤーンは、少なくとも2つのボトム面CMD浮糸を形成しており、前記ボトム面CMD浮糸は、均一な長さを有していることを特徴とする、請求項1に記載の製紙機用織物。
【請求項4】
前記ボトム面CMD浮糸は、3本の連続したCMDヤーンの下を通っていることを特徴とする、請求項3に記載の製紙機用織物。
【請求項5】
各ボトム側MDヤーンは、前記ボトム側MDヤーンが2本の連続したボトム側CMDヤーンの上を通っているセグメントを備えており、前記ボトム側MDヤーンは、前記セグメントにおいてトップ側CMDヤーンの上を通っていることを特徴とする、請求項1に記載の製紙機用織物。
【請求項6】
ボトム側CMDヤーンに対するトップ側CMDヤーンの比率は、5:2であることを特徴とする、請求項1に記載の製紙機用織物。
【請求項7】
一連の繰返しユニットを備えている製紙機用織物において、前記繰返しユニットの各々は、
一組のトップ側マシン方向(MD)ヤーンと、
一組のトップ側マシン横断方向(CMD)ヤーンであって、前記トップ側MDヤーンに織り込まれ、トップ側織物層を形成している、トップ側CMDヤーンと、
一組のボトム側MDヤーンと、
一組のボトム側CMDヤーンであって、前記ボトム側MDヤーンに織り込まれ、ボトム側織物層を形成している、一組のボトム側CMDヤーンと、
前記トップ側CMDヤーンおよびボトム側CMDヤーンに織り込まれた一組のMD縫合ヤーンと、
を備えており、
前記トップ側MDヤーン、前記トップ側CMDヤーン、および前記縫合ヤーンは、前記トップ側織物層上に綾織製紙面を形成するように、織り込まれており、
前記ボトム側MDヤーンの各々は、それぞれのボトム側CMDヤーンの下に複数のナックルを形成しており、前記縫合ヤーンの各々は、それぞれのボトム側CMDヤーンの下に少なくとも1つのナックルを形成しており、前記縫合ヤーンのナックルは、いずれも、隣接するボトム側MDヤーンが下にナックルを形成しているボトム側CMDヤーンの下に形成されていないことを特徴とする製紙機用織物。
【請求項8】
前記綾織製紙面は、1×3綾織であることを特徴とする、請求項7に記載の製紙機用織物。
【請求項9】
各ボトム側CMDヤーンは、少なくとも2つの底面CMD浮糸を形成しており、前記底面CMD浮糸は、均一長さを有していることを特徴とする、請求項7に記載の製紙機用織物。
【請求項10】
前記底面CMD浮糸は、3本の連続したCMDヤーンの下を通っていることを特徴とする、請求項9に記載の製紙機用織物。
【請求項11】
前記綾織製紙面は、1×4綾織−5枚繻子織であることを特徴とする、請求項7に記載の製紙機用織物。
【請求項12】
ボトム側CMDヤーンに対するトップ側CMDヤーンの比率は、5:2であることを特徴とする、請求項7に記載の製紙機用織物。
【請求項13】
前記縫合ヤーンの各々は、トップ側CMDヤーンの上に多数のナックルを形成していることを特徴とする、請求項7に記載の製紙機用織物。
【請求項14】
対の縫合ヤーンの各々は、トップ側CMDヤーンの上に、前記対の他の縫合ヤーンとは異なる数のナックルを形成していることを特徴とする、請求項13に記載の製紙機織物。
【請求項15】
対の縫合ヤーンの各々は、トップ側CMDヤーンの上に、前記対の他の縫合ヤーンと同じ数のナックルを形成していることを特徴とする、請求項13に記載の製紙機織物。
【請求項16】
各対の前記縫合ヤーンは、前記トップ側MDヤーンが前記トップ側CMDヤーンに対して織り込まれる順序と同じ織り順序に追従する複合ヤーンを形成するように、前記トップ側層に織り込まれており、各対の前記縫合ヤーンは、前記ボトム側MDヤーンが前記ボトム側CMDに対して織り込まれる順序と同じ織り順序に追従する複合ヤーンを形成するように、前記ボトム側層に織り込まれていることを特徴とする、請求項7に記載の製紙機用織物。
【請求項17】
一連の繰返しユニットを備えている製紙機用織物において、前記繰返しユニットの各々は、
一組のトップ側マシン方向(MD)ヤーンと、
一組のトップ側マシン横断方向(CMD)ヤーンであって、前記トップ側MDヤーンに織り込まれ、トップ側織物層を形成している、トップ側CMDヤーンと、
一組のボトム側MDヤーンと、
一組のボトム側CMDヤーンであって、前記ボトム側MDヤーンに織り込まれ、ボトム側織物層を形成している、一組のボトム側CMDヤーンと、
前記トップ側CMDヤーンおよび前記ボトム側CMDヤーンに織り込まれた一組のMD縫合ヤーンと、
を備えており、
前記トップ側MDヤーン、前記トップ側CMDヤーン、および前記縫合ヤーンは、前記トップ側織物層上に綾織製紙面を形成するように、織り込まれており、
前記ボトム側MDヤーンの各々は、それぞれのボトム側CMDヤーンの下に複数のナックルを形成しており、前記縫合ヤーンの各々は、それぞれのボトム側CMDヤーンの下に少なくとも1つのナックルを形成しており、前記ボトム側CMDヤーンの少なくともいくつかの下には、縫合ヤーンのみしか通っていないことを特徴とする製紙機用織物。
【請求項18】
一連の繰返しユニットを備えている製紙機用織物において、前記繰返しユニットの各々は、
一組のマシン方向(MD)縫合ヤーンであって、対になって配置されている、MD縫合ヤーンと、
一組のトップ側マシン横断方向(CMD)ヤーンであって、前記縫合ヤーンに織り込まれ、トップ側織物層を形成している、トップ側CMDヤーンと、
一組のボトム側CMDヤーンであって、前記縫合ヤーンに織り込まれ、ボトム側織物層を形成している、ボトム側CMDヤーンと、
を備えており、
前記縫合ヤーンおよび前記トップ側CMDヤーンは、前記トップ側織物層上に綾織製紙面を形成するように、織り込まれていることを特徴とする製紙機用織物。
【請求項19】
前記縫合ヤーンの各々は、それぞれのボトム側CMDヤーンの下に少なくとも1つのナックルを形成していることを特徴とする、請求項18に記載の製紙機用織物。
【請求項20】
前記縫合ヤーンの各々は、それぞれのボトム側CMDヤーンの下に2つのナックルを形成していることを特徴とする、請求項19に記載の製紙機用織物。
【請求項21】
前記縫合ヤーンの各々は、トップ側CMDヤーンの上に複数のナックルを形成しており、前記縫合ヤーンの各々は、同数のナックルを形成していることを特徴とする、請求項18に記載の製紙機用織物。
【請求項22】
ボトム側CMDヤーンに対するトップ側CMDの比率は、5:2であることを特徴とする、請求項18に記載の製紙機用織物。
【請求項23】
前記綾織パターンは、1×3綾織パターンであることを特徴とする、請求項18に記載の製紙機用織物。
【請求項24】
前記綾織製紙面は、1×4綾織−5枚繻子織であることを特徴とする、請求項18に記載の製紙機織物。
【請求項1】
一連の繰返しユニットを備えている製紙機用織物において、前記繰返しユニットの各々は、
一組のトップ側マシン方向(MD)ヤーンと、
一組のトップ側マシン横断方向(CMD)ヤーンであって、前記トップ側MDヤーンに織り込まれ、トップ側織物層を形成している、トップ側CMDヤーンと、
一組のボトム側MDヤーンと、
一組のボトム側CMDヤーンであって、前記ボトム側MDヤーンに織り込まれ、ボトム側織物層を形成している、一組のボトム側CMDヤーンと、
を備えており、
各ボトム側MDヤーンは、そのごく隣接するトップ側MDヤーンが下を通っているトップ側CMDヤーンの上を通っており、
前記トップ側MDヤーン、前記トップ側CMDヤーン、および前記ボトム側MDヤーンは、前記トップ側織物層上に綾織製紙面を形成するように、織り込まれていることを特徴とする製紙機用織物。
【請求項2】
前記綾織製紙面は、1×3綾織であることを特徴とする、請求項1に記載の製紙機用織物。
【請求項3】
各ボトム側CMDヤーンは、少なくとも2つのボトム面CMD浮糸を形成しており、前記ボトム面CMD浮糸は、均一な長さを有していることを特徴とする、請求項1に記載の製紙機用織物。
【請求項4】
前記ボトム面CMD浮糸は、3本の連続したCMDヤーンの下を通っていることを特徴とする、請求項3に記載の製紙機用織物。
【請求項5】
各ボトム側MDヤーンは、前記ボトム側MDヤーンが2本の連続したボトム側CMDヤーンの上を通っているセグメントを備えており、前記ボトム側MDヤーンは、前記セグメントにおいてトップ側CMDヤーンの上を通っていることを特徴とする、請求項1に記載の製紙機用織物。
【請求項6】
ボトム側CMDヤーンに対するトップ側CMDヤーンの比率は、5:2であることを特徴とする、請求項1に記載の製紙機用織物。
【請求項7】
一連の繰返しユニットを備えている製紙機用織物において、前記繰返しユニットの各々は、
一組のトップ側マシン方向(MD)ヤーンと、
一組のトップ側マシン横断方向(CMD)ヤーンであって、前記トップ側MDヤーンに織り込まれ、トップ側織物層を形成している、トップ側CMDヤーンと、
一組のボトム側MDヤーンと、
一組のボトム側CMDヤーンであって、前記ボトム側MDヤーンに織り込まれ、ボトム側織物層を形成している、一組のボトム側CMDヤーンと、
前記トップ側CMDヤーンおよびボトム側CMDヤーンに織り込まれた一組のMD縫合ヤーンと、
を備えており、
前記トップ側MDヤーン、前記トップ側CMDヤーン、および前記縫合ヤーンは、前記トップ側織物層上に綾織製紙面を形成するように、織り込まれており、
前記ボトム側MDヤーンの各々は、それぞれのボトム側CMDヤーンの下に複数のナックルを形成しており、前記縫合ヤーンの各々は、それぞれのボトム側CMDヤーンの下に少なくとも1つのナックルを形成しており、前記縫合ヤーンのナックルは、いずれも、隣接するボトム側MDヤーンが下にナックルを形成しているボトム側CMDヤーンの下に形成されていないことを特徴とする製紙機用織物。
【請求項8】
前記綾織製紙面は、1×3綾織であることを特徴とする、請求項7に記載の製紙機用織物。
【請求項9】
各ボトム側CMDヤーンは、少なくとも2つの底面CMD浮糸を形成しており、前記底面CMD浮糸は、均一長さを有していることを特徴とする、請求項7に記載の製紙機用織物。
【請求項10】
前記底面CMD浮糸は、3本の連続したCMDヤーンの下を通っていることを特徴とする、請求項9に記載の製紙機用織物。
【請求項11】
前記綾織製紙面は、1×4綾織−5枚繻子織であることを特徴とする、請求項7に記載の製紙機用織物。
【請求項12】
ボトム側CMDヤーンに対するトップ側CMDヤーンの比率は、5:2であることを特徴とする、請求項7に記載の製紙機用織物。
【請求項13】
前記縫合ヤーンの各々は、トップ側CMDヤーンの上に多数のナックルを形成していることを特徴とする、請求項7に記載の製紙機用織物。
【請求項14】
対の縫合ヤーンの各々は、トップ側CMDヤーンの上に、前記対の他の縫合ヤーンとは異なる数のナックルを形成していることを特徴とする、請求項13に記載の製紙機織物。
【請求項15】
対の縫合ヤーンの各々は、トップ側CMDヤーンの上に、前記対の他の縫合ヤーンと同じ数のナックルを形成していることを特徴とする、請求項13に記載の製紙機織物。
【請求項16】
各対の前記縫合ヤーンは、前記トップ側MDヤーンが前記トップ側CMDヤーンに対して織り込まれる順序と同じ織り順序に追従する複合ヤーンを形成するように、前記トップ側層に織り込まれており、各対の前記縫合ヤーンは、前記ボトム側MDヤーンが前記ボトム側CMDに対して織り込まれる順序と同じ織り順序に追従する複合ヤーンを形成するように、前記ボトム側層に織り込まれていることを特徴とする、請求項7に記載の製紙機用織物。
【請求項17】
一連の繰返しユニットを備えている製紙機用織物において、前記繰返しユニットの各々は、
一組のトップ側マシン方向(MD)ヤーンと、
一組のトップ側マシン横断方向(CMD)ヤーンであって、前記トップ側MDヤーンに織り込まれ、トップ側織物層を形成している、トップ側CMDヤーンと、
一組のボトム側MDヤーンと、
一組のボトム側CMDヤーンであって、前記ボトム側MDヤーンに織り込まれ、ボトム側織物層を形成している、一組のボトム側CMDヤーンと、
前記トップ側CMDヤーンおよび前記ボトム側CMDヤーンに織り込まれた一組のMD縫合ヤーンと、
を備えており、
前記トップ側MDヤーン、前記トップ側CMDヤーン、および前記縫合ヤーンは、前記トップ側織物層上に綾織製紙面を形成するように、織り込まれており、
前記ボトム側MDヤーンの各々は、それぞれのボトム側CMDヤーンの下に複数のナックルを形成しており、前記縫合ヤーンの各々は、それぞれのボトム側CMDヤーンの下に少なくとも1つのナックルを形成しており、前記ボトム側CMDヤーンの少なくともいくつかの下には、縫合ヤーンのみしか通っていないことを特徴とする製紙機用織物。
【請求項18】
一連の繰返しユニットを備えている製紙機用織物において、前記繰返しユニットの各々は、
一組のマシン方向(MD)縫合ヤーンであって、対になって配置されている、MD縫合ヤーンと、
一組のトップ側マシン横断方向(CMD)ヤーンであって、前記縫合ヤーンに織り込まれ、トップ側織物層を形成している、トップ側CMDヤーンと、
一組のボトム側CMDヤーンであって、前記縫合ヤーンに織り込まれ、ボトム側織物層を形成している、ボトム側CMDヤーンと、
を備えており、
前記縫合ヤーンおよび前記トップ側CMDヤーンは、前記トップ側織物層上に綾織製紙面を形成するように、織り込まれていることを特徴とする製紙機用織物。
【請求項19】
前記縫合ヤーンの各々は、それぞれのボトム側CMDヤーンの下に少なくとも1つのナックルを形成していることを特徴とする、請求項18に記載の製紙機用織物。
【請求項20】
前記縫合ヤーンの各々は、それぞれのボトム側CMDヤーンの下に2つのナックルを形成していることを特徴とする、請求項19に記載の製紙機用織物。
【請求項21】
前記縫合ヤーンの各々は、トップ側CMDヤーンの上に複数のナックルを形成しており、前記縫合ヤーンの各々は、同数のナックルを形成していることを特徴とする、請求項18に記載の製紙機用織物。
【請求項22】
ボトム側CMDヤーンに対するトップ側CMDの比率は、5:2であることを特徴とする、請求項18に記載の製紙機用織物。
【請求項23】
前記綾織パターンは、1×3綾織パターンであることを特徴とする、請求項18に記載の製紙機用織物。
【請求項24】
前記綾織製紙面は、1×4綾織−5枚繻子織であることを特徴とする、請求項18に記載の製紙機織物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2012−518726(P2012−518726A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551121(P2011−551121)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/023693
【国際公開番号】WO2010/098979
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(500048074)ウィーヴェックス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (10)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/023693
【国際公開番号】WO2010/098979
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(500048074)ウィーヴェックス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (10)
【Fターム(参考)】
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