説明

対構成の携帯電話機

【課題】FM波を利用して離れた場所の異変を察知可能とする携帯電話機を提供する。
【解決手段】開示される携帯電話機は、対となる携帯電話機1a ,1b であり、携帯電話機1a において加速度センサ11a が衝撃を感知したとき、カメラ7a を起動するとともにFM通信機能を介して衝撃情報を携帯電話機1b に通知し、携帯電話機1b においてカメラ7b を起動しFM通信機能を介して衝撃察知情報を携帯電話機1a に通知するとともに加速度センサ11b がカメラズーム切り替えの操作を感知したときFM通信機能を介して操作情報を携帯電話機1a に通知し、これにより携帯電話機1a においてFM通信機能を介して受信した操作情報に対応するカメラズーム切り替えの処理を行うことが可能であり、FMトランスミッタ13a ,13b ,FMチューナー16a ,16b からなるFM通信機能、加速度センサ11a,11b 、カメラ7a ,7b が携帯電話機本体に脱着可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、対構成の携帯電話機に係り、詳しくは、FM波を利用して離れた場所で発生した異変を察知可能とした携帯電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、従来の携帯電話機の構成例を示したものである。
図5に示された携帯電話機1において、送受信部2は無線機3を備え、アンテナを介して無線信号を送受して相互にデータ通信を行うことができるように構成されている。制御部4は、携帯電話機1の全体の動作を制御する機能を備えている。操作部5は、携帯電話機1の使用者が操作情報を入力することによって、制御部4の制御状態を変化させることができるようになっている。表示部6は、制御部5からカメラ7又は外部からの撮影情報を受け取って画像として表示する。カメラ7は、制御部5からの制御に応じて、外部の情景を撮影して制御部5に入力する。オーディオ信号処理部8は、音声信号の入出力の処理を行うものであって、使用者の音声情報を入力するためのマイク9と、使用者に音声情報を伝達するためのスピーカ10とを備えている。加速度センサ11は、携帯電話機1が外部からの衝撃によって位置や姿勢に変動が生じたとき、これらの変動に基づく加速度の変化を検出して制御部5に出力する。FMトランシーバー12は、加速度センサ11が検出した加速度の変化情報(所定の量子化された情報)を所定の様式で信号化し、所定の変調方式で変調して、アンテナを介してFM波として送信するとともに、アンテナを介して他の携帯電話機からのFM波を受信したとき、所定の復調方式で復調して、制御部5に入力する。
【0003】
以下、図5に示された従来の携帯電話機の動作を説明する。
携帯電話機1は、基地局(不図示)または他の携帯電話機(不図示)との間で、制御部5の制御に応じて送受信部2において無線機3を介してベースバンドレベルのデータ通信を行う。
この際、制御部4は、送受信部2における基地局や他の携帯電話機との間の映像や音声を含むデータ通信の制御、自局のカメラ7の撮影制御、基地局または他の携帯電話機からのカメラ映像の表示制御、外部からの衝撃やユーザの操作を検知する加速度センサ11との間の通信制御、基地局または他の携帯電話機との間におけるオーディオ信号処理部8の音声入出力時の通信制御、基地局または他の携帯電話機との間におけるFMトランシーバー12によるFM波の送受信の制御、操作部5からの操作情報の処理の制御等を行う。
【0004】
従来、例えば2台の携帯電話機を使用して、一方の携帯電話機を車内の異変検知用に使用し、他方の携帯電話機を、車の持ち主が車外から車内の状態を監視するために使用するというような場合には、携帯電話機同士の情報交換や所要の遠隔操作を行う際の連絡方法として、基地局を介して第三者による不正な車内への侵入等の異変の発生の有無に関する情報を察知し、またこのような情報の察知に応じて、例えばカメラ機能の操作等の必要な処置を行うことが必要になるが、このような処置を行うことは、例えばテレビ(TV)電話を利用して、通話継続の状態にしておくことによって実現可能であった。
しかしながら、この場合は、ユーザ(人間)がモニタを常時、監視していて、異変を察知したときにユーザが必要な処置を行うことになるので、異変の察知に対応する処置を行うために時間の遅れを伴うことが避けられない。
そのため、異変の察知に対応する処置を瞬時に行うことができないだけでなく、人間の介在に基づくコスト面の不利が生じていた。
【0005】
これに対して、特許文献1においては、携帯電話用の第1の周波数を発信する第1の無線回路と、設定してから緊急信号を発信するまでの時間を予め設定するタイマ回路と、第1の周波数と異なる第2の周波数を発信する第2の無線回路と、制御回路とを備え、制御回路はキーマトリックスから緊急コマンドが入力されたとき、タイマ回路に予め設定された緊急通報時間が経過したとき、および第1の無線回路を経由して所定の緊急信号発生命令を受信したときは、メモリ回路に記憶されている所定の緊急信号を第2の無線回路と第2のアンテナとを経由して第2の周波数で発信し、停止のコマンドが入力されるか又は電池からの給電が停止するまで発信を継続するように構成された、緊急信号発信装置付き携帯電話が開示されている。
【0006】
このように、特許文献1記載の技術によれば、予め設定された時間が経過すると、自動的に緊急事態発生を通報でき、自装置の所在場所を知らせることができる緊急信号発信装置付き携帯電話が提供される。
しかしながら、特許文献1記載の技術では、携帯電話本体から脱着可能なFM送受信機能と加速度センサとカメラ機能とを用いて、離れた場所の異変を察知するための監視動作を行えるようにすることはできない。
【0007】
また特許文献2においては、動き・音・一定の音域・光・赤外線・温度・人間の体温等を検出できる検出センサーと、検出センサーの異常検出通知を受ける制御部と、異常検出通知を受けると受信用の携帯電話・PHS等の携帯通信端末(以下、携帯電話等とする)又は固定電話に発信する送信用の携帯電話等と、送信用の携帯電話等の発信を受ける受信用の携帯電話等又は固定電話と、受信用の携帯電話等又は固定電話からDTMF信号による遠隔制御情報を送信し処理するDTMF信号処理部と、遠隔制御情報で可動可能な回転台で構成する映像を送受信できる携帯電話等を使用した遠隔制御システムであり、簡易なセッティングが可能、低コスト化が図れる、汎用性がある、遠隔制御が可能、セキュリティの向上が図れる等の特徴がある、映像を送受信できる携帯電話・PHS等の携帯通信端末を使用した遠隔監視システムが開示されている。
【0008】
このように、特許文献2記載の技術によれば、従来、セキュリティについては、カメラとモニター間を結線する方法、電波によって無線電送する方法等があったが、コスト高となる、設置には専門家が必要である等の問題があったのを解決できる。
しかしながら、特許文献2記載の技術では、携帯通信端末本体から脱着可能なFM送受信機能と加速度センサとカメラ機能とを用いて、離れた場所の異変を察知するための監視動作を行えるようにすることはできない。
【0009】
また特許文献3においては、子機番号とその子機の公衆回線番号の対応テーブルを設け、操作部に子機端末の公衆回線番号が入力された場合に、コントロール部がその公衆回線番号に対応する子機端末があるか否かを検索し、ある場合には、モード切替部をトランシーバーモードに切り替えて、料金の掛からないトランシーバーモードで呼び出す。トランシーバーモードで呼び出せなかった場合には、モード切替部を他のモード、例えば、公衆モードに切り替えて再度呼出しを行なう。また、トランシーバーモードで通話中に子機端末同士が遠くなることにより回線が切断された場合には、トランシーバーモード以外のモードで再度かけ直す機能を備えた、電話装置が開示されている。
【0010】
このように特許文献3記載の技術によれば、親機を共通にする子機端末間で通話をする場合に、相手方子機端末との接続機会を確保できるとともに、できる限り電話料金を低廉にする携帯型端末を提供することができる、電話装置が実現される。
しかしながら、特許文献3記載の技術では、電話装置本体から脱着可能なFM送受信機能と加速度センサとカメラ機能とを用いて、離れた場所の異変を察知するための監視動作を行えるようにすることはできない。
【0011】
また特許文献4においては、自動モードスイッチを入力し、公衆通信機能及びトランシーバー機能を同時に待ち受け状態とする携帯モードで接続相手となる他の通信装置の接続番号を入力した際に、その接続番号によって公衆通信機能かトランシーバー機能のどちらかを自動的に選択して他の通信装置を発呼する、携帯通信装置が開示されている。
【0012】
このように特許文献4記載の技術によれば、本体を自動モードで待ち受け状態にしている場合に、使用者が煩わしい動作を伴わずにスムーズに発信動作を行うことができるようになる。
しかしながら、特許文献4記載の技術では、携帯通信装置本体から脱着可能なFM送受信機能と加速度センサとカメラ機能とを用いて、離れた場所の異変を察知するための監視動作を行えるようにすることはできない。
【0013】
また特許文献5においては、モジュラー式通信及び娯楽システムは、ベースユニットを介して無線通信能力及び娯楽能力を備える。このシステムは、ベースユニットに接続してベースユニットにある機能を与える少なくとも1つのモジュールを含む。このシステムは、互いに独立性を有するベースユニットと携帯モジュールの開発を可能にする、可変機能を有する電子システムが開示されている。
【0014】
このように特許文献5記載の技術によれば、携帯電話機またはベースステーションに取り付けられて動作する金融取引端末装置であって、金融取引データを入力しかつ表示するためのユーザインタフェースを有し、電気的コネクタを介して携帯電話またはベースステーションに選択的かつ操作可能に取り付けるための本体と、この本体に設けられ、金融取引に必要とされるカード情報を読み取るための少なくとも1つの磁気カード読取装置またはカード読取装置とを有し、本体が携帯電話に連結されるとき、本体の形状により、携帯電話を独立して動作できるようにする、可変機能を有する電子システムが提供される。
【0015】
しかしながら、特許文献5記載の技術では、可変機能を有する電子システムの本体から脱着可能なFM送受信機能と加速度センサとカメラ機能とを用いて、離れた場所の異変を察知するための監視動作を行えるようにすることはできない。
【特許文献1】特開2002−152061号公報(図1,〔0020〕,〔0021〕)
【特許文献2】特開2004−048571号公報(図1,図2、〔0016〕,〔0017〕,〔0018〕〜〔0020〕,〔0021〕,〔0022〕)
【特許文献3】特開平08−228384号公報(〔0029〕,〔0035〕)
【特許文献4】特開平10−271558号公報(〔0024〕,〔0054〕,〔0055〕)
【特許文献5】特表2003−515304号公報(〔0073〕,〔0084〕,図6c , 図6d )
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従来、携帯電話機相互間での情報交換や、例えば一方の携帯電話機を車内の異変感知用とし、他方の携帯電話機を車外でユーザ(車の持ち主)が異変感知対象の車内の監視用に使用して遠隔操作を行うような場合には、基地局を介して第三者による異変感知対象車に対する不正な侵入などの異変発生の有無に関する情報を察知し、またそれに応じて監視のためのカメラ機能の操作を行う等の処置を行うことは、例えばTV電話を利用して通話中の状態を継続することによって実現可能であった。
しかしながらこのような方法による場合は、車外のユーザは常時、モニタを監視している必要があるため、対応の瞬時性(敏速性)を欠くとともに、監視のための人手を必要とし、監視用の装置を必要とする等、コスト面でも不利であるという問題があった。
【0017】
この発明は上述の事情に鑑みてなされたものであって、携帯電話機において、加速度センサによる、所定の方法で量子化された情報からなる変化情報等を、所定の様式で信号化して、所定の変調波によってFMトランスミッタを介してFM送信可能とし、所定様式でFMチューナーを介してFM復調することによって、変化情報をFM受信可能として、監視対象の車内で発生した異変を車外で察知して、異変に対応する携帯電話機の遠隔操作を行うことができるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するため、この発明の構成は、対構成の携帯電話機に係り、いずれか一方の携帯電話機において加速度センサが衝撃を感知したとき、カメラを起動するとともにFM通信機能を介して衝撃情報を他方の携帯電話機に通知し、これによって他方の携帯電話機においてカメラを起動しFM通信機能を介して衝撃察知情報を上記一方の携帯電話機に通知するとともに加速度センサがカメラズーム切り替えの操作を感知したときFM通信機能を介して操作情報を上記一方の携帯電話機に通知し、これによって上記一方の携帯電話機においてFM通信機能を介して受信した上記操作情報に対応するカメラズーム切り替えの処理を行うことが可能なように構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の対構成の携帯電話機によれば、従来技術の場合と比較して、ユーザが監視対象の異変を察知する際の迅速化と無コスト化を図ることができる。
その理由は、従来の携帯電話機では、所定時間ごとや、ユーザが気づいたとき等の任意時刻に、携帯電話機の基地局との通信を介して遠隔監視を行うことができたが、本発明の場合は、携帯電話機による基地局との通信を介することなく、監視対象の異変を通知することを可能としたためである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
この発明の対構成の携帯電話機は、いずれか一方の携帯電話機において加速度センサが衝撃を感知したとき、カメラを起動するとともにFM通信機能を介して衝撃情報を他方の携帯電話機に通知し、これによって他方の携帯電話機においてカメラを起動しFM通信機能を介して衝撃察知情報を一方の携帯電話機に通知するとともに加速度センサがカメラズーム切り替えの操作を感知したときFM通信機能を介して操作情報を一方の携帯電話機に通知し、これによって一方の携帯電話機においてFM通信機能を介して受信した操作情報に対応するカメラズーム切り替えの処理を行うことが可能であるとともに、FM通信機能、カメラ、加速度センサを含む部分が携帯電話機本体に対して脱着可能に構成されている。
【実施形態1】
【0021】
図1は、本発明の携帯電話機における実施形態の概略を説明するイメージ図であって、図中、車内は監視対象となる部位であり、車外は、車内の異変を察知すべき部位である。
車内の携帯電話機aにおいて第三者の不正な侵入等に基づく衝撃に基づいて、加速度センサで所定の衝撃を感知した場合、衝撃情報をFMトランスミッタによって車外の携帯電話機bに通知する。この際、携帯電話機aと携帯電話機bの距離が所定距離以上であると認識した場合は、携帯電話機aから携帯電話機bに対してTV電話を発呼する。
車外の携帯電話機bでは、FMチューナーを介して衝撃情報を察知したとき、スピーカ等によって異変の発生を表示する。これによって、ユーザが車内の携帯電話機bに対して操作を行うと、加速度センサによる所定の動き情報の検出等に基づき、カメラズーム操作等のための操作情報を携帯電話機aのFMチューナーに送信する。
これによって携帯電話機aでは、FMチューナーを介して受け取った操作情報に基づき、所要のカメラ操作等を行う。
【0022】
図2は、本発明の携帯電話機の構成例を示したものであって、同一の構成を有する、対をなす第1の携帯電話機を添字aを付して表し、第2の携帯電話機を添字bを付して表している。
本発明の携帯電話機1a ,1b は、基地局(不図示)とのベースバンドレベルのデータ通信を可能とする送受信部2a ,2b と、送受信部の通信データを無線信号によって送受する無線機3a ,3bと、基地局との映像や音声を含むデータ通信制御、撮影を含むカメラ制御、カメラ映像等の表示制御、衝撃やユーザ操作等を感知する加速度センサ11a ,11b との通信制御、音声等の信号処理を行うオーディオ信号処理部8a ,8b との通信制御、FMチューナー16a ,16b とFMトランスミッタ13a ,13b との通信制御、携帯電話機相互間の距離を認識するためにFM通信における所定信号レベルを検出し、その結果に応じてFM送受信又は基地局との通信からなる通信路の選択を行う制御、操作部5a ,5b の制御等を行う制御部4a ,4b と、FMチューナー16a ,16b 、操作部5a ,5b 、表示部6a ,6b 、加速度センサ11a ,11b 、カメラ7a ,7b 、オーディオ信号処理部8a ,8b 、FMトランスミッタ13a ,13b を含む脱着可能部分15a ,15b と、脱着可能部分15a ,15bにおける各部分を制御する副制御部14a ,14b で構成される。
【0023】
次に、図2に示された対をなす携帯電話機の動作例を、図4に示すシーケンスチャートを参照して説明する。
図4は、図1に示されたイメージを前提とした使用シーンでの、図2の構成における、対をなす携帯電話機1a と携帯電話機1b が展開する一連のシーケンス動作の概要を例示した図であって、対をなす携帯電話機1a と携帯電話機1b は、基本的に同じ構成からなるものとする。
また、参考までに、一連の動作における各構成要素の動作タイミングを示したものが図3である。図3,図4はともに、携帯電話機1a ,1b 間の距離が所定距離以上の遠距離である場合の例を示している。なお、携帯電話機1a , 1b 間の距離が所定距離未満の近距離の場合は、TV発呼は行わない。
【0024】
図4において、時刻Tb に携帯電話機1a 側で、第三者等が不正に車内に侵入したような場合、携帯電話機1a における加速度センサ11a が、侵入等による衝撃を感知して、FMトランスミッタ13a とFMチューナー16a とカメラ7a を起動し、衝撃情報をFMトランスミッタ13a からFMチューナー16b を介して、携帯電話機1b の制御部4b に通知する。
時刻T1 に携帯電話機1b では、制御部4b が衝撃情報を受けたことによって、車外のユーザが、車内に異変が発生したことを察知する。
そして、FMトランスミッタ13b とカメラ7b を起動し、FMトランスミッタ13b からFMチューナー16a を介して衝撃察知情報を携帯電話機1a の制御部4a に通知する。
【0025】
時刻T2 に携帯電話機1a は、制御部4a がFMチューナー16a を介して衝撃察知情報を受信した際の信号レベルを検出して、所定値以上の通信距離と認識したときは、携帯電話機1b とのTV電話接続を開始する。
時刻T3 に携帯電話機1b では、例えばユーザが監視対象車内の状況をもう少し詳しく見るために、カメラズームの切り替えを行う場合は、カメラズーム操作に対応させた所定の方向、例えば右に携帯電話機1b を傾けると、制御部4b はその傾きを加速度センサ11b を介して感知することによって操作の発生を認識し、その操作情報を、FMトランスミッタ13b からFMチューナー16a を介して、携帯電話機1a の制御部4a に通知する。
【0026】
時刻T4 に携帯電話機1a では、時刻T3 に通知された操作情報をFMチューナー16a を介して察知した制御部4a が、カメラ7a に対して通知された操作情報に対応するカメラズーム切り替えを行う。これによって携帯電話機1b では、FMトランスミッタ13a からFMチューナー16b を経て送られたカメラ7a の映像を表示部6b に表示させることによって、ユーザは、監視対象車内の状況をより詳細に見ることができるようになる。
【0027】
本発明においては、図2において点線で囲んで示された脱着可能部分15a ,15b における、加速度センサ部分11a ,11b 、カメラ部分7a ,7b 、オーディオ信号処理部8a ,8b 、FMトランスミッタ部分13a ,13b 、副制御部14a ,14b を一括して脱着可能としている。
そこで、ユーザは脱着可能部分15b を携帯電話機1b から取り外して、携帯電話機1a の代わりに使用して携帯電話機1b 本体との間で上述のTV電話通信以外の送信,受信を行うことによって、携帯電話機1b だけでも、携帯電話機1a ,1b 間で信号の送受信を行った場合と同様の効果を得ることができる。
なお、図2においては割愛されているが、副制御部14a ,14b には、水銀電池,リチウムイオン電池等の小型電池が搭載されており、これによって脱着可能部分15a ,15b を電池の発生電力の範囲内で、ある時間、独立に動作させることができるようになっている。
【実施形態2】
【0028】
この例の携帯電話機においては、第1実施形態の場合に示された、携帯電話機のユーザ操作情報の検出手段である加速度センサ11a ,11b に代えて、例えば操作部5a ,5b における特定のボタン操作を利用する。
これによって、例えば監視対象である車内のカメラのズーム制御を行うような場合に、特定のボタンによる操作情報をFMトランスミッタ13b からFMチューナー16a を介して監視対象である車内の携帯電話機1a に送信することによって、ユーザは確実に操作情報を車内の携帯電話機1a に伝達して、制御部4a によるボタン操作の検出に基づくカメラ7a のズーム切り替えの動作等を行わせることができる。
【実施形態3】
【0029】
この例の携帯電話機においては、第1実施形態の場合に示された、携帯電話機のユーザ操作情報の検出手段である加速度センサ11a ,11b に代えて、例えばマイク9a ,9b からの音声入力を利用する。
これによって、例えば監視対象である車内のカメラのズーム制御を行うような場合に、音声による操作情報をFMトランスミッタ13b からFMチューナー16a を介して監視対象である車内の携帯電話機1a に送信することによって、ユーザは確実に操作情報を車内の携帯電話機1a に伝達して、制御部4a による音声情報の検出に基づくカメラ7a のズーム切り替えの動作等を行わせることができる。
【0030】
以上、この発明の実施形態を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。例えば、携帯電話機は、図2に示された構成,機能を有するものであれば、どのような機種のものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
この発明は、携帯電話機を利用して離れた場所における監視動作を行おうとする各種の場合に利用可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の携帯電話機における実施形態の概略を説明するイメージ図である。
【図2】本発明の第1実施形態である携帯電話機の構成を示す図である。
【図3】同実施形態の場合の、一連の動作における各構成要素の動作タイミングを示す図である。
【図4】同実施形態の場合の、対をなす携帯電話機1a と携帯電話機1b が展開する一連のシーケンス動作の概要を例示する図である。
【図5】従来の携帯電話機の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
1a ,1b 携帯電話機
2a ,2b 送受信部(送受信手段)
3a ,3b 無線機
4a ,4b 制御部(制御手段)
5a ,5b 操作部
6a ,6b 表示部
7a ,7b カメラ
8a ,8b オーディオ信号処理部
9a ,9b マイク
10a ,10b スピーカ
11a ,11b 加速度センサ
13a ,13b FMトランスミッタ
14a ,14b 副制御部(副制御手段)
15a ,15b 脱着可能部分
16a ,16b FMチューナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対構成の携帯電話機であって、いずれか一方の携帯電話機において加速度センサが衝撃を感知したとき、カメラを起動するとともにFM通信機能を介して衝撃情報を他方の携帯電話機に通知し、これによって他方の携帯電話機においてカメラを起動しFM通信機能を介して衝撃察知情報を前記一方の携帯電話機に通知するとともに加速度センサがカメラズーム切り替えの操作を感知したときFM通信機能を介して操作情報を前記一方の携帯電話機に通知し、これによって前記一方の携帯電話機においてFM通信機能を介して受信した前記操作情報に対応するカメラズーム切り替えの処理を行うことが可能なように構成されていることを特徴とする対構成の携帯電話機。
【請求項2】
前記各携帯電話機には、FM送受信部、カメラ、加速度センサを含む部分が携帯電話機本体に対して脱着可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載の対構成の携帯電話機。
【請求項3】
前記他方の携帯電話機におけるカメラズーム切り替えの操作が前記携帯電話機を傾ける動作であることを特徴とする請求項1又は2記載の対構成の携帯電話機。
【請求項4】
前記各携帯電話機は、基地局と移動局である携帯電話機とのベースバンドレベルのデータ通信を可能とする送受信手段と、基地局との映像や音声を含むデータ通信制御、撮影を含むカメラ制御、カメラ映像等の表示制御、衝撃やユーザ操作等を感知する加速度センサとの通信制御、音声等の信号処理を行うオーディオ信号処理部との通信制御、FMチューナーとFMトランスミッタの通信制御、携帯電話機相互間の距離を認識するためにFM通信における所定信号レベルを検出してその結果に応じてFM送受信又は基地局との通信からなる通信路の選択を行う制御、操作部の制御等を行う制御手段と、FMチューナー,操作部、表示部、加速度センサ、カメラ、オーディオ信号処理部、FMトランスミッタと、脱着可能部分が脱離後に独立して各部分を制御する副制御手段とからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の対構成の携帯電話機。
【請求項5】
前記脱着可能部分が独立の電源を有し一括して携帯電話機本体と脱着可能になっており、該脱着可能部分を独立に動作させることによって、前記携帯電話機との間の信号の送受信を行うことができるように構成されていることを特徴とする請求項4記載の対構成の携帯電話機。
【請求項6】
前記加速度センサによって感知されるカメラに対する操作の発生の認識に代えて、ボタン操作によってカメラに対する操作の発生を認識するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の対構成の携帯電話機。
【請求項7】
前記加速度センサによって感知されるカメラに対する操作の発生の認識に代えて、カメラ操作を示す音声認識を利用するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の対構成の携帯電話機。
【請求項8】
前記対となる携帯電話機において、携帯電話機相互間の離隔距離に従って、相互間の通信路を選択可能なように構成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一に記載の対構成の携帯電話機。
【請求項9】
前記通信路選択の制御を、所定信号のFM波通信における受信信号レベルから換算して得られる携帯電話機相互間の距離情報に応じて行うことを特徴とする請求項8記載の対構成の携帯電話機。
【請求項10】
前記携帯電話機相互間の通信距離が所定距離以上の場合は、携帯電話機相互間のTV電話接続を開始してTV電話通話中の状態とすることが可能なように構成されていることを特徴とする請求項9記載の対構成の携帯電話機。
【請求項11】
前記携帯電話機相互間の通信距離が所定距離に達しない場合は、基地局を介する相互間のデータ通信を行うように構成されていることを特徴とする請求項9記載の対構成の携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−118229(P2009−118229A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−289506(P2007−289506)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】