説明

対照と較正の組み合わせゾーンを有するテスト要素

本発明は、特に、アナライト検出ゾーン及び対照と較正の組み合わせゾーンを含む、試料中の1種以上のアナライトの蛍光検出(fluorophoric detection)のための、サンドイッチ原理に従って機能する免疫学的テストストリップの形態におけるテスト要素に関し、ここで、前記対照と較正の組み合わせゾーンは、蛍光体(fluorophore)及び蛍光体で標識された試薬の特異的結合のための結合パートナーを含む。さらに、本発明は、アナライト特異的測定シグナルを較正(calibrate)する方法、試料中のアナライトの濃度を測定する方法及びテスト要素のアナライト検出ゾーンにおいて生成するシグナルを較正するためのテスト要素の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体試料物質の分析用、又は液体形態に変換できる試料物質の分析用のテスト要素の技術分野に関する。
【0002】
本発明の主題は、特に、アナライト検出ゾーン及び対照と較正(calibration)の組み合わせゾーンを含む、試料中の1種以上のアナライトの蛍光検出のための、サンドイッチ原理に従って機能する免疫学的テストストリップの形態におけるテスト要素であり、ここで、前記対照と較正の組み合わせゾーンは、蛍光体(fluorophore)及び蛍光体で標識された試薬の特異的結合のための結合パートナーを含む。
【0003】
さらに、本発明は、アナライト特異的測定シグナルを較正する方法、試料中のアナライトの濃度を測定する方法及びテスト要素のアナライト検出ゾーンにおいて生成したシグナルを較正するためのテスト要素の使用に関する。
【背景技術】
【0004】
固定された反応物質を含有する1つ以上の別個のゾーンを有するテスト要素は、試料中又は試料物質中のアナライトを検出するためによく使用される。これらのゾーンを、以降、アナライト検出ゾーン又は検出ゾーンと称する。アナライトは、反応物質との特異的相互作用によって、アナライト検出ゾーンにおいて試料に由来する反応(アッセイ)中に結合する。結合事象は、測定機器によって、例えば蛍光シグナルの光学的検出によって、検出することができる。テスト要素は、例えば国際公開第2007/042219号及び欧州特許出願公開第1412533号に記載されているように、マイクロアレイ構造で調製することができ、及び結合反応の部位選択的検出用のバイオチップの形態で存在し得る。テスト要素はまた、例えば固定された反応物質を含有する1つ以上の検出ゾーンが、試料の流れの方向に対して垂直なストリップ又は線の形態で配置しているテストストリップでもあり得る。そのようなテストストリップは、例えば国際公開第2008/105814号及び米国特許出願公開第2004-0126767号に記載されている。
【0005】
標識された結合パートナーは、アナライト検出ゾーンにおける反応物質とアナライトとの結合事象を検出するために使用される。これらは、標識試薬を含み、かつアナライトと特異的に相互作用する反応物質である。特定の波長の電磁放射線による励起後、光シグナルを発する蛍光体は、例えば標識試薬として使用することができる。アナライト検出ゾーンにおけるこの光シグナルの可測性及びその強度は、試料中のアナライトの存在を示すか、又はその濃度についての尺度である。
【0006】
免疫学的検出法の場合、テスト要素上の結合事象は、特異的抗原−抗体相互作用に基づいている(免疫アッセイ)。サンドイッチ原理に従う免疫学的検出法では、分析される試料を、典型的には、標識試薬及びアナライト特異的結合パートナー(例えば抗体)からなる結合体(conjugate)と接触させ、アナライト(試料中に存在する場合)と標識された結合体との間で複合体を形成させる。これらの複合体は、テスト要素上の固定された反応物質(例えば抗体)と反応し、その結果、標識により検出することができるアナライト−結合体及び固定された反応物質からなるサンドイッチ複合体がアナライト検出ゾーンに存在する。そのような免疫アッセイの例は、米国特許第4,168,146号(Grubbら)及び同第4,366,241号(Tomら)に記載されている。競合アッセイは代わりの技術である。競合アッセイでは、標識試薬は、一般に、アナライトと同等の結合パートナーと結合しているか、又はそれはアナライト類似体である。こうして、標識された結合体は、テスト要素上のアナライト検出ゾーンで、反応物質への結合について実際のアナライトと競合する。競合アッセイは、通常、この抗原に対して単一の特異的抗体のみが利用可能であるか、又はその抗原が2つの抗体の妨害のない(unhindered)結合のための十分な結合部位を有しない場合に、抗原を検出するために使用される。従って、このアッセイの変形はハプテンを検出するのにも適する。競合アッセイの例は米国特許第4,235,601号(Deutschら)、同第4,442,204号(Liotta)及び同第5,208,535号(Buechlerら)に記載されている。
【0007】
免疫学的テストストリップの形態におけるテスト要素は、薬物、妊娠ホルモン、感染性疾患又はいわゆる心臓マーカー、例えばトロポニンTの迅速な測定のための広く用いられるデバイスである。これに関連して、視覚的に読み出されるだけで、「はい−いいえ」の答えを与えるだけである場合が多い質的テスト、及び読み出しデバイスによって評価される量的テストが広く使用されている。
【0008】
免疫学的に検出可能な物質のための迅速なテストは、例えば国際公開第97/06439号、欧州特許出願公開第0 291 194号、米国特許第5,591,645号、同第4,861,711号、同第5,141,850号、同第6,506,612号、同第5,458,852号、同第5,073,484号から、長い間、多くの様々なパラメーターについて知られている。これらの場合に、免疫学的検出試薬(基本的に標識及び非標識の抗体又は抗原)は、通常、担体上若しくは担体中の試料液体(特に体液、例えば血液、血清、血漿、尿、唾液など)の移動を可能にする担体上に乾燥形態で提供される。このために、担体は、好ましくは、毛細管活性(capillary-active)であり、例えば毛細管(capillary channel)が備わっている膜又はプラスチック担体である(例えば米国特許第5,458,852号)。専門家の間では、免疫学的又は免疫クラマトグラフィーのテストストリップ又はテストデバイスについてよく語られる。これらの用語並びに「担体結合免疫学的テスト」若しくは「担体結合免疫学的テスト要素」という用語は、同義的に用いられることが多く、以降においても互換的に用いる。
【0009】
1種以上のアナライトの検出のための1つ以上のアナライト検出ゾーンに加え、テスト要素は、通常、標識された結合パートナーに特異的に結合する反応物質が存在するさらなるゾーンを有する。このゾーンは、対照ゾーン又は指標(indicator)ゾーンと称され、アナライトの直接的関与を要せずに標識された結合パートナーを捕捉することによって、標識された結合パートナーについての機能チェックとして役立つ。アナライト検出ゾーン(複数可)及び対照ゾーンは、通常、空間的に狭く限定されており、テスト要素上で互いに明確に分離して配置される。試料が液体形態で適用され、毛細管力によって様々なゾーンに到達するテストストリップの形態におけるテスト要素では、対照線の形態における対照ゾーンは、通常、その中を流れることができる材料上又は材料中のアナライト検出ゾーンの下流にある。そのようなテストストリップ上で、対照ゾーンは、さらに、標識された結合パートナーが実際に個々のゾーンに到達したことも保証するためのランチェック(run check)として役立つ。標識された結合パートナーの機能性についてのチェック及びテストストリップの機能性についてのランチェックとしての対照ゾーンの機能を、当業者は「対照機能」とも称する。
【0010】
多孔質膜上に検出ゾーンに加え指標ゾーンを有するテスト要素が米国特許出願公開第2007/0048807 A1号に記載されている。アナライト検出ゾーンにおいてアナライトと複合体を形成しない、標識試薬と結合した結合パートナーと特異的に結合する物質(受容物質)が指標ゾーンに固定されている。
【0011】
アナライト検出ゾーンと対照ゾーンの空間的分離のため、アナライト検出ゾーン及び対照ゾーンの分析のための空間分解光学系(spatially resolving optical system)、例えばカメラチップ又は二次元若しくは三次元フォトダイオードアレイが、テスト要素を評価するための測定デバイスに存在することが多い。光学系のシグナルは、その後、適切な評価ソフトウェアによって濃度値に変換され、表示される。
【0012】
標識された結合パートナーの標識試薬が蛍光体である場合、対照ゾーンによって標識された結合パートナーの機能を確認することに加え、アナライト特異的測定シグナルを較正することも必要である。アナライト特異的測定シグナルは、試料中のアナライトの存在のために、アナライト検出ゾーンで生成し得るシグナルである。このシグナルの強度は、アナライト検出ゾーンにおけるアナライト特異的相互作用によって局在化される蛍光体の励起スペクトル中の照射エネルギーに依存する。経験上、放射線源によって生成されるエネルギーは、次に、一方では同じ種類の異なる放射線源間の製造に関連した変動(production-related variation)によるものであり得る変動、又は、他方では放射線源の使用のサイクルの間に生じる変動を受ける。そのような変動は、アナライトの再現可能で、かつ信頼できる定量のために補正しなければならない。これは、通常、標準量の蛍光体によって生成されているシグナルで、アナライト特異的測定シグナルを較正することによって行う。標準量の蛍光体は、当業者によって、蛍光体標準又は較正標準とも称される。電磁放射線での励起後、蛍光体標準が発する放射線は、通常、「較正シグナル」と称される。
【0013】
アナライトの(半)定量的測定のために先行技術で用いられるシステムでは、アナライト特異的測定シグナルは、テスト要素外で較正シグナルを生成させることによって較正することができる(例えばTriage(登録商標), Biosite Inc.)。
【0014】
さらに、アナライト特異的測定シグナルの較正を、テスト要素で直接行うことができるシステムがある。そのようなテスト要素は、アナライト検出ゾーン及び場合により存在する対照ゾーンに加え、標識試薬としての蛍光体が規定量でテスト要素上に直接配置されている、他のゾーンから空間的に分離したさらなる別のゾーンを含む。このゾーンを、以降、較正ゾーンと称する。テスト要素上の較正ゾーンの存在により、アナライト検出ゾーン(複数可)及び/又は対照ゾーンのシグナルも検出する同じ測定デバイス又はアナライザーを使用して、較正シグナルをテスト要素上で直接検出することが可能となる。テストストリップ又はマイクロアレイの場合、シグナル検出は、同じ空間分解光学系を使用して、機能チェック及びアナライト検出ゾーンにおけるアナライト依存的シグナルの測定として行うことができる。免疫学的テストストリップでは、較正ゾーンは、例えば、試料の流れの方向に対して垂直な別の線の形態で存在することができる(例えばCARDIAC reader, Roche)。
【0015】
テストストリップ上の較正ゾーンの存在は、このゾーンにおける蛍光体の安定性要件がテスト要素のロットの寿命に限定されるという利点を有する。一方、較正シグナルがテスト要素外で生成されるものである場合には、使用者は、テストストリップが十分安定であることだけでなく、別個に使用する蛍光体標準が十分安定であることに注意しなければならず、それにより、それぞれの場合にさらなるエラー源を回避しなければならない。テスト要素外の較正シグナルの生成及び検出は、通常、さらなる放射線源、フィルターなど及び別個の光学評価系を要することから、対応するアナライザーは、より複雑な構造を有し、より大きく、通常、より高価でもある。
【0016】
「較正機能」という用語はまた、「アナライト特異的測定シグナルの較正」という表現と関連して一般に使用される。「較正機能」という用語は、当業者には、「アナライト特異的測定シグナルの較正」という表現と同じように知られており、例えばテスト担体上又は上述のようにテスト担体外のアナライザー内で較正シグナルを生成させるために用いる手段に関する。
【0017】
テスト要素は、試料中のいくつかの異なるアナライトを同時に測定するために使用することもできる。そのような「パネルテスト」の場合、アナライト特異的反応物質を含有する別個の検出ゾーンが、テスト要素上に各アナライトについて存在する。1つのアナライザーは、通常、研究室で又は医者によって異なる医学的パラメーターを測定するための異なるテスト要素を評価するために使用されることから、対応するテスト要素は、装置に関して標準化されている均一なサイズを有しなければならない。このため、テスト要素上のアナライト検出ゾーンの数が増加するにつれ、対照と較正ゾーンに利用できるスペースが少なくなる。さらに、テスト要素自体のサイズが、通常少ない試料の量によってテスト領域を十分湿らせることが必要であることによって制限されている。さらに、較正ゾーンとアナライト検出ゾーンとの間には空間的分離がなければならないため、テスト要素上のアナライト検出ゾーンの数は制限され、従って、1つのテスト要素を用いて検出可能なアナライトの数も制限される。それにもかかわらず、パネルテストについてテスト担体を用いてできる限り多くのアナライトを検出するために、テスト要素外でアナライト特異的測定シグナルを較正するのに要する測定を行うことが多くの場合必要である。しかし、これは、対応して、アナライザー若しくは測定機器の複雑な適応及び/又はさらなるテスト要素の使用を要し、上述の理由から、研究室のスタッフによるより多くの時間と努力も要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】国際公開第2007/042219号
【特許文献2】欧州特許出願公開第1412533号
【特許文献3】国際公開第2008/105814号
【特許文献4】米国特許出願公開第2004-0126767号
【特許文献5】米国特許第4,168,146号
【特許文献6】米国特許第4,366,241号
【特許文献7】米国特許第4,235,601号
【特許文献8】米国特許第4,442,204号
【特許文献9】米国特許第5,208,535号
【特許文献10】国際公開第97/06439号
【特許文献11】欧州特許出願公開第0 291 194号
【特許文献12】米国特許第5,591,645号
【特許文献13】米国特許第4,861,711号
【特許文献14】米国特許第5,141,850号
【特許文献15】米国特許第6,506,612号
【特許文献16】米国特許第5,458,852号
【特許文献17】米国特許第5,073,484号
【特許文献18】米国特許出願公開第2007/0048807 A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、先行技術の欠点を排除することである。特に、アナライト特異的測定シグナルの較正をテスト要素で直接行うことができるテスト要素を提供すること、及びテスト要素を用いて数多くのアナライトを検出することも可能であるようにテスト要素上に対照ゾーンと較正ゾーンを配置することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この目的は、本発明の主題によって達成される。
【0021】
本発明の主題は、請求項1に記載のテスト要素、請求項7に記載のアナライト特異的測定シグナルを較正する方法、請求項8に記載の試料中のアナライトの濃度を測定する方法、及び請求項12に記載の使用である。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【0022】
蛍光体を用いて試料中の1種以上のアナライトの特異的検出を行うテスト要素において、本発明により、1つの別個の空間的に区切られたゾーンにおける、対照機能のためのシグナル及び較正機能のためのシグナルの検出が可能となる。本発明によって、通常のアナライト検出ゾーンに加え、テスト要素中にさらなるゾーンを配置することが提唱される。以降、対照と較正の組み合わせゾーンと称されるこのゾーンは、テスト要素中でアナライト検出ゾーンから空間的に分離されて存在し、蛍光体、及び蛍光体で標識された試薬の特異的結合のための結合パートナーを含む。対照と較正の組み合わせゾーンとアナライト検出ゾーンの空間的分離は、アナライト検出ゾーン及び対照と較正の組み合わせゾーンがそれぞれ別個の空間的に区切られたゾーンとして存在するように行われる。
【0023】
従って、本発明は、
−アナライト検出ゾーン及び
−対照と較正の組み合わせゾーン
を含む、試料中の1種以上のアナライトの蛍光検出のためのテスト要素であって、
対照と較正の組み合わせゾーンは
a)蛍光体及び
b)蛍光体で標識された試薬の特異的結合のための結合パートナー
を含むことを特徴とする、前記テスト要素に関する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、アナライト検出ゾーン(14)及び対照と較正の組み合わせゾーン(15)を有する、本発明におけるテスト要素(1)の一実施形態の概略平面図である。
【図2】図2は、いくつかのアナライト検出ゾーン(14a)、(14b)、(14c) (「パネルテスト」)及び対照と較正の組み合わせゾーン(15)を有する本発明におけるテスト要素(1)の一実施形態の概略平面図である。
【図3】図3aは、蛍光体として固定されたg-グロブリン-JG9ラテックス(22)、及び蛍光体で標識された試薬の特異的結合のための結合パートナーとして固定されたトロポニンTポリハプテン(21)を含有する、多孔質マトリックス(13)上の対照と較正の組み合わせゾーンの実施形態の模式図を示し、ここで、ラテックスJG9蛍光体及びトロポニンT-特異的モノクローナル抗体からなる結合体(MAB<TnT>Lx)(23)は、蛍光体で標識された試薬として、固定されたトロポニンTポリハプテン(21)に結合している。JG9はスクアリン酸誘導体である。
【0025】
図3bは、アナライト特異的反応物質がテスト要素上に直接固定されている、アナライト検出ゾーンの実施形態の模式図を示す。アナライト検出ゾーンは、テスト要素の多孔質マトリックス(13)上にアナライト特異的反応物質として直接固定されているトロポニンT-特異的モノクローナル抗体 (MAB<TnT>)(24)からなる。アナライトとしてのトロポニンT(25)は、固定されたMAB<TnT>(24)及び蛍光体で標識された試薬(26)とのサンドイッチ複合体中に存在し、ここで、蛍光体としてのJG9-Lx(26b)は別のアナライト特異的結合パートナー(27)を介して、アナライトを間接的に標識する。アナライト特異的結合パートナー(27)は、ジゴキシゲニン(27b)を含有する結合体であり、蛍光体で標識された試薬での間接的標識は、抗ジゴキシン結合パートナー(26c)と、アナライト特異的結合パートナー(27)のジゴキシゲニン(27b)との特異的相互作用によって媒介される。
【0026】
図3cは、アナライト特異的反応物質がテスト要素上に間接的に固定されている、アナライト検出ゾーンの実施形態の模式図を示す。アナライト検出ゾーンは、テスト要素の多孔質マトリックス(13)上に直接固定されているストレプトアビジン分子(28)からなる。ビオチン化トロポニンT-特異的モノクローナル抗体 (MAB<TnT>-Bi) (29)、トロポニンT(25)、及びラテックスJG9蛍光体とトロポニンT-特異的モノクローナル抗体との結合体(MAB>TnT>-Lx) (30)からなるサンドイッチ複合体は、ストレプトアビジン分子(28)と結合している。ビオチン化トロポニンT-特異的モノクローナル抗体 (MAB<TnT>-Bi) (29)は、アナライト特異的反応物質であり、トロポニンT(25)は、アナライトであり、ラテックス-JG9蛍光体(30b)とトロポニンT-特異的モノクローナル抗体 (MAB<TnT>-Lx) (30c)からなる結合体(30)は、蛍光体で標識された試薬を表す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
好適な蛍光体は当業者に公知である。好ましい実施形態において、対照と較正の組み合わせゾーンにおける蛍光体、及び/又は蛍光体で標識された試薬の蛍光体は、蛍光色素又は蛍光標識である。蛍光色素、蛍光標識又は蛍光マーカーという用語は、以降、同義的に用いる。本発明に適した典型的な蛍光標識は、例えば、蛍光タンパク質(例えばGFP及びその誘導体)、Cy3、Cy5、テキサスレッド、フルオレセイン及びAlexa色素(例えばAlexa568)であり得る。さらなる蛍光標識は、例えばInvitrogen社から得ることができる。
【0028】
蛍光体で標識された試薬は、結合パートナーを標識によって検出することができるように、蛍光体で標識された結合パートナーである。蛍光体で標識された試薬は、アナライトと特異的に相互作用することができる。この相互作用は、直接的又は間接的結合の形態であり得る。アナライトを、蛍光体標識試薬とアナライトの特異的相互作用の結果として、標識によって検出できることが重要である。
【0029】
テスト要素上のアナライト検出ゾーンの数は、通常少ない試料の量によってテスト領域を十分湿らせることが必要であること、並びに較正、対照及びアナライト検出ゾーン(複数可)を空間的に分離することが必要であることによって制限されているテスト要素の面積によって制限されている。本発明における対照と較正の組み合わせゾーンは、使用者がさらなるテスト要素を使用する必要なく、又は、対応してより複雑な分析系(テスト要素外で蛍光体標準を用いることによってのみアナライト特異的測定シグナルを較正することができる)に戻る必要なく、テスト要素上に少なくとも1つのさらなるアナライト検出ゾーンを許容する。
【0030】
本発明の一実施形態において、テスト要素は、アナライト検出ゾーン(複数可)及び対照と較正の組み合わせゾーンがマイクロアレイの形態で配置しているバイオチップである。そのようなアレイ、例えば「遺伝子チップ」、「タンパク質チップ」「抗体アレイ」などは当業者に公知であり、通常、ポリカチオン、ニトロセルロース若しくはビオチン被覆ガラス担体、カバースリップから、又は膜、例えばニトロセルロース若しくはナイロン膜から製造される。
【0031】
好ましい実施形態において、テスト要素は、液体がゾーン間を移動できるようにアナライト検出ゾーン及び対照と較正の組み合わせゾーンが配置しているテストストリップである。このために、テストストリップは、典型的には通常、場合により不活性担体に固定されている浸透性材料(例えば紙、フリース、膜、毛細管)を含有する。
【0032】
各テスト要素は、典型的には、1つ以上の試料適用ゾーン、吸引ゾーン、クロマトグラフィーゾーン、検出ゾーン、反応ゾーン、対照ゾーン及び/又は較正ゾーンを有する。少なくとも1つの(アナライト)検出ゾーン及び少なくとも1つの対照と較正の組み合わせゾーンが存在することだけが、本発明にとって重要である。
【0033】
本発明の一実施形態において、アナライト検出ゾーン及び/又は対照と較正の組み合わせゾーンは、線状又は本質的に丸い点状で存在する。
【0034】
特異的結合反応に基づいており、かつ特異的結合反応が蛍光体によって生成されるシグナルを用いて検出される全てのテスト要素は、本発明の意味ではテスト要素として適する。適切な特異的結合反応は、当業者に公知である。これらの例は、以下の結合対である:
抗体とハプテン、抗原若しくは他の抗体(例えば種特異的抗体−抗体相互作用)、一部の場合にはこれらの種の断片で十分であり得る;
ビオチンとアビジン若しくはストレプトアビジン;
ホルモンとホルモン受容体;
糖とレクチン;
核酸と相補的核酸など。
【0035】
特に好ましい実施形態において、テスト要素は、サンドイッチ原理に従って機能する免疫学的テストストリップの形態におけるテスト要素である。
【0036】
本発明における目的を達成するために、対照と較正の組み合わせゾーンにおける蛍光体及び蛍光体で標識された試薬の蛍光体が、異なる波長で及び/又は異なるスペクトル域において放出するかどうかは重要ではない。従って、本発明では、対照と較正の組み合わせゾーンにおける蛍光体及び蛍光体で標識された試薬の蛍光体が、同一構造を有することも必要ではない。
【0037】
本発明の好ましい実施形態において、対照と較正の組み合わせゾーンにおける蛍光体及び蛍光体で標識された試薬の蛍光体は、同じ構造要素を有する。蛍光体に特徴的なそのような構造要素は、当業者に公知である。別の好ましい実施形態において、対照と較正の組み合わせゾーンにおける蛍光体及び蛍光体で標識された試薬の蛍光体は、同一である。
【0038】
対照と較正の組み合わせゾーンにおける蛍光体及び蛍光体で標識された試薬の蛍光体が、本質的に同じ波長で励起可能であり、この励起の結果として、本質的に同じ波長の電磁放射線を放出可能である本発明の実施形態が特に好ましい。この実施形態の利点は、ぞれぞれの場合に、同じ成分(放射線源、波長、フィルターなど)を、対照と較正の組み合わせゾーンにおける蛍光体及び蛍光体で標識された試薬の蛍光体の励起及び放出されるシグナルの検出に使用でき、従って、通常小さく小型の研究室の装置の複雑な構造上の適応を排除することである。
【0039】
蛍光体で標識された試薬の標識化は、当業者に公知の方法によって直接的又は間接的に行う。直接的標識化の場合には、蛍光体は結合パートナーに直接(共有結合又は非共有結合により)結合する。間接的標識化の場合には、(共有結合又は非共有結合により)標識を有する二次的結合パートナーを、例えばアナライト特異的結合パートナーに結合する。好適な二次的又は三次的結合パートナーは、抗体、二次抗体又は公知のストレプトアビジン/ビオチン系であり得る。
【0040】
蛍光体、及び蛍光体で標識された試薬の特異的結合のための結合パートナーは、2つの要件を満たすように、対照と較正の組み合わせゾーンに存在しなければならない:
1. 蛍光体で標識された試薬の非存在下で、対照と較正の組み合わせゾーンにおいて蛍光体の特異的励起によって検出可能なシグナルを生成させることができ、かつ
2. 対照と較正の組み合わせゾーンにおける蛍光体で標識された試薬の存在により、そのゾーンにおける蛍光体で標識された試薬の存在についての尺度である検出可能なシグナルが可能となる。
【0041】
これらの要件を満たすために、蛍光体、及び蛍光体で標識された試薬の特異的結合のための結合パートナーを、特定の許容範囲内の特定の濃度及び量で、対照と較正の組み合わせゾーンにおいて使用する。対照及び較正機能を利用することができ、較正機能のシグナル、すなわち対照と較正の組み合わせゾーンにおいて蛍光体によって生成されるシグナルが、対照機能のシグナル強度、すなわち蛍光体で標識された試薬のシグナル強度に影響を与えないように、許容範囲を選択しなければならない。
【0042】
本発明におけるテスト要素の対照と較正の組み合わせゾーンでは、蛍光体の量は、好ましくは0.001μg〜5μgであり、一方、蛍光体で標識された試薬の特異的結合のための結合パートナーの量は、1ng〜500ngである。対照と較正の組み合わせゾーンでは、0.1μg〜1μgの蛍光体の量が特に好ましく、蛍光体で標識された試薬の特異的結合のための結合パートナーの量は特に好ましくは10ng〜50ngである。
【0043】
本発明におけるテスト要素の好ましい実施形態は、溶液中濃度0.25nmol/ml〜2.5nmol/mlの蛍光体、及び溶液中濃度0.01mg/ml〜5mg/mlの蛍光体で標識された試薬が含浸に使用されたことを特徴とする、テスト要素の含浸によって作製された対照と較正の組み合わせゾーンを含む。テスト要素の特に好ましい実施形態において、対照と較正の組み合わせゾーンは、濃度1nmol/ml〜2nmol/mlの溶解した蛍光体及び濃度0.1mg/ml〜1mg/mlの溶解した蛍光体で標識された試薬を、テスト要素に含浸させることによって作製した。
【0044】
含浸は、テストに要する成分を、例えば免疫学的テストストリップ上の線の形態でテスト要素に適用する標準的方法である。含浸に用いられる必要がある溶液中の成分量は、各テスト要素の材料に依存し、当業者に公知である。
【0045】
好ましい実施形態において、対照と較正の組み合わせゾーンにおける蛍光体の量及び濃度、並びに蛍光体で標識された試薬の特異的結合のための結合パートナーの量及び濃度は、対照機能のシグナルが較正機能のシグナルより強くなるように選択される。これは、本発明におけるテスト要素の対照と較正の組み合わせゾーンにおける蛍光体の量若しくは濃度、並びに蛍光体で標識された試薬の特異的結合のための結合パートナーの量若しくは濃度が、蛍光体で標識された試薬の特異的結合のための結合パートナーへの結合後、蛍光体の数が蛍光体で標識された試薬の数より少なくなるように選択されることを意味する。
【0046】
当業者は、各蛍光体、及び蛍光体で標識された試薬の特異的結合のための結合パートナーについてのこれらの値を決定することができ、用いるテスト担体及び用いる1つ若しくは複数の蛍光体に関して一定の変動を通常有し得る対応する許容範囲を規定することができる。
【0047】
本発明におけるテスト要素の好ましい実施形態において、対照と較正の組み合わせゾーンにおける蛍光体で標識された試薬の特異的結合のための結合パートナー及び/又は蛍光体は固定されている。固定化は、当業者に公知の種類及び方法で行うことができる。固定化は、共有結合又は、例えばストレプトアビジン/ビオチン相互作用系に特徴的な非共有結合的相互作用に基づき得る。
【0048】
蛍光体、及び蛍光体で標識された試薬の特異的結合のための結合パートナーは、テスト要素に直接固定され、対照と較正の組み合わせゾーンに存在し得るか、又は適切な担体分子への結合により、若しくはテスト要素中の結合構造により間接的に固定され得る。担体分子は、固定化が担体分子との特異的相互作用の結果として非共有結合により生じるように、例えば、蛍光体に対する特異的結合パートナー及び/又は蛍光体で標識された試薬の特異的結合のための結合パートナーに対する特異的結合パートナーであり得る。同様に、担体分子自体が、さらなる結合パートナー/担体分子又は適切な結合構造によって、テスト要素上に直接的又は間接的に固定され得る。
【0049】
例えば、蛍光体、及び/又は蛍光体で標識された試薬の特異的結合のための結合パートナーを、対照と較正の組み合わせゾーンにおいて固定化を可能にする条件下、テスト要素と、適切な溶媒中の溶解形態で前もって接触させているという点において、本発明にとって、蛍光体、及び/又は蛍光体で標識された試薬の特異的結合のための結合パートナーの局在化が、テスト要素が作製される際、対照と較正の組み合わせゾーンにおいてすでに生じているか、あるいは、測定シグナルの較正の直前まで生じていないかは重要ではない。
【0050】
本発明に適するアナライトは、特異的結合対関係に基づいて検出することができるアナライトである。サンドイッチ原理に従って機能する免疫学的テストストリップの形態におけるテスト要素の好ましい場合では、これらは、特に抗体、抗原、ハプテン(それぞれの場合にそれらの断片を含む)である。以下の免疫学的に検出可能なアナライトは特に好ましい:hCG、BNP、(NT-)proBNP、トロポニンI、トロポニンT、ミオグロビン、D-ダイマー、CRP、HIV、HCV、CD40、CK-MB、TSHなど。
【0051】
あらゆる液体試料物質又は液体形態に変換できる試料物質は、アナライトを測定することができる試料として、本発明において適するものである。特に、体液、例えば血液及びそれに由来する画分(血清、血漿)、唾液、尿、脳脊髄液、精液、間質液、汗などが好適である。それ自体液体ではないが、溶媒中及び特に水性溶媒中の溶液若しくは懸濁液によって液相へと移行させることができる試料物質も好適である。
【0052】
テスト要素に含まれるか、又はテスト要素若しくは試料に添加される反応物質(同義的に「結合パートナー」又は「特異的結合パートナー」とも称する)は、アナライトとの、あるいは蛍光体で標識された試薬の特異的結合のための結合パートナーの場合には、蛍光体で標識された試薬との選択的(結合)反応を起こす。それらにより、試料中に存在するアナライトの量について直接的又は間接的推定を行うことが可能となる。
【0053】
好ましい結合パートナーは抗体(AB)、特にポリクローナル抗体(PAB)又はモノクローナル抗体(MAB)並びに抗原及びハプテン並びに特異的アナライト検出のために活性であるならばそれらの断片である。
【0054】
一部の反応物質又は試薬は、好ましくは、例えば、適切な担体材料、例えばフリース、膜などに含浸させることによって、又は適切な(毛細)管構造中にそれらを適用し乾燥させることによって、試料液体によりそこから引き離すことができるように、テスト要素上に提供される。
【0055】
しかし、溶解形態における少なくとも1つの反応物質又は試薬の1つを、試料に溶液を添加することによって、又は試料とは独立にテスト要素に溶液を適用することによって、テスト要素に添加することも可能である。本発明において、好ましさは劣るものの、分析のための1つ又は複数の溶液中のあらゆる特異的反応物質及び/又は試薬を使用することも可能である。次いで、テスト要素上に、結合パートナーとして、特異的結合パートナーとしてのアナライトに特異的に結合する反応物質を捕捉することができ、かつ蛍光体で標識された試薬ではない、アナライト検出ゾーンにおけるさらなる反応物質が1つだけあり、従って、テスト要素のアナライト検出ゾーンにおいてアナライトの間接的結合をもたらす。同様に、アナライトの直接的関与を要せず、蛍光体で標識された試薬を捕捉することができる対照ゾーンにおける結合パートナーがある。
【0056】
対照と較正の組み合わせゾーンに好ましくは固定されている蛍光体で標識された試薬の特異的結合のための結合パートナーは、蛍光体で標識された試薬に特異的に結合することができる。結合パートナーは、例えば、アナライト類似体であり得るか、又は、競合テスト法の場合には、アナライト特異的ではない蛍光体で標識された試薬上の特定のエピトープに対する抗体であり得る。蛍光体で標識された試薬の特異的結合のための結合パートナーが、アナライトの直接的関与を要せず、対照と較正の組み合わせゾーンにおいて蛍光体で標識された試薬を捕捉できることは重要である。
【0057】
本発明はまた、本発明におけるテスト要素及び本発明におけるテスト要素を評価するのに適したアナライザーを用いて、アナライト特異的測定シグナルを較正する方法であって、以下のステップ:
a) 蛍光体で標識された試薬の非存在下、対照と較正の組み合わせゾーンにおいて蛍光体を励起することによって、対照と較正の組み合わせゾーンにおいてシグナルを生成させるステップ、
b) 対照と較正の組み合わせゾーンにおいてステップa)で生成したシグナルを測定するステップ、
c) アナライトが、試料中に存在する場合、アナライト検出ゾーンにおいて検出可能なシグナルをもたらすように、試料を、テスト要素と、及び蛍光体で標識された試薬と接触させるステップ、
d) アナライトの存在下、アナライト検出ゾーンに存在する蛍光体で標識された試薬の蛍光体を励起することによって、アナライト検出ゾーンにおいてシグナルを生成させるステップ、
e) アナライト検出ゾーンにおいてステップd)で生成したシグナルを測定するステップ、
f) ステップb)及びe)で測定したシグナルを関連付けるステップ
を含む、前記方法に関する。
【0058】
本発明における方法について、テスト要素を評価するのに適したアナライザーが、本発明におけるテスト要素に加えて提供される。これに適したデバイス及びアナライザーは先行技術から当業者に公知である。それらとしては、例えば、1つの装置の中で、アナライト検出ゾーンからのアナライト特異的シグナル及び対照と較正ゾーンからのシグナルの測定若しくは評価を可能にするイメージング/スキャニング検出系がある。しかし、本発明において、アナライト検出ゾーンにおいて蛍光体によって生成されるシグナル及び対照と較正の組み合わせゾーンにおいて蛍光体によって生成されるシグナルが、アナライザーによって検出されることが重要である。Biosite社のTriage(登録商標)アナライザーは、典型的なアナライザー又は測定デバイスとして挙げられる。
【0059】
本発明における方法において生成されるシグナルは、蛍光体の励起後に放出される電磁放射線である。励起は、通常、特定の蛍光体に特徴的な(励起)波長の電磁放射線で蛍光体を特異的に照射することによって生じる。照射が、検出可能なシグナル(その強度は励起された蛍光体の量についての尺度である)の放出をもたらすならば、励起が、最大励起に対応する波長の電磁放射線で生じるか、又は別の波長の電磁放射線で生じるかは重要ではない。
【0060】
試料を、テスト要素と、及びアナライトに特異的な試薬と接触させると、アナライトは、試料中に存在する場合、特異的試薬と相互作用することによってアナライト検出ゾーンにおいて検出可能なシグナルをもたらす(そのシグナルは蛍光体で標識された試薬によるものである)。測定シグナルの強度が、試料中のアナライトの量に依存することが重要である。
【0061】
アナライト特異的測定シグナルを較正するために、対照と較正の組み合わせゾーンにおいて測定されるシグナル及びアナライト検出ゾーンにおいて測定されるシグナル(本発明における方法のステップb)及びe))は互いに関係付けられなければならない。これに関連して、対照と較正の組み合わせゾーンにおいてステップb)で測定されるシグナルは、アナライト検出ゾーンにおいて生成される実際のアナライト依存的シグナルについての基準として役立つ。本発明における方法の好ましい実施形態において、対照と較正の組み合わせゾーンにおいて測定されるシグナル及びアナライト検出ゾーンにおいて測定されるシグナルは、互いに相殺(offset)される。本発明における方法の特に好ましい実施形態において、これら2つのシグナルは以下の式に従って相殺される:
シグナル(較正値)=シグナル(アナライト検出ゾーン)/シグナル(対照と較正ゾーン)。
【0062】
この場合、「シグナル(アナライト検出ゾーン)」は、本発明における方法のステップd)で測定されるシグナルに対応し、並びに「シグナル(対照と較正ゾーン)」は、本発明における方法のステップb)で測定されるシグナルに対応する。
【0063】
アナライト検出ゾーン及び対照と較正の組み合わせゾーンに由来する本発明における方法のステップb)及びe)で検出されるシグナルの相殺は、例えば、アナライザーの中央コンピューターユニットで行うことができる。
【0064】
アナライト検出ゾーン及び対照と較正の組み合わせゾーンに由来する本発明における方法のステップb)及びe)で検出されるシグナルの相殺の結果は、例えば、アナライト濃度を決定するために検量線と比較することができる。従って、本発明はまた、本発明におけるテスト要素、及び本発明におけるテスト要素を評価するのに適したアナライザーを用いて、試料中のアナライトの濃度を測定する方法であって、以下のステップ:
a) 蛍光体で標識された試薬の非存在下、対照と較正の組み合わせゾーンにおいて蛍光体を励起することによって、対照と較正の組み合わせゾーンにおいてシグナルを生成させるステップ、
b) 対照と較正の組み合わせゾーンにおいてステップa)で生成したシグナルを測定するステップ、
c) アナライトが、試料中に存在する場合、アナライト検出ゾーンにおいて検出可能なシグナルをもたらすように、試料を、テスト要素と、及び蛍光体で標識された試薬と接触させるステップ、
d) アナライトの存在下、アナライト検出ゾーンに存在する蛍光体で標識された試薬の蛍光体を励起することによって、アナライト検出ゾーンにおいてシグナルを生成させるステップ、
e) アナライト検出ゾーンにおいてステップd)で生成したシグナルを測定するステップ、
f) ステップb)及びe)で測定したシグナルを関連付けるステップ、
g) ステップf)から得られた関係を検量線と比較するステップ、
h) ステップg)で行われた比較に基づいて、アナライトの濃度を決定するステップ
を含む、前記方法も含む。
【0065】
本発明における方法で使用される検量線は、既知量のアナライトを含有する標準溶液を測定することによって得られ、好ましくは、この工程において、それぞれの場合に、アナライト特異的測定シグナルを、アナライト特異的測定シグナルを較正するための本発明における方法に従って較正する。
【0066】
本発明における方法について、対照と較正の組み合わせゾーンにおける蛍光体の励起による、対照と較正の組み合わせゾーンにおけるシグナルの生成及び測定(本発明における方法のステップa)及びb))が、試料をテスト要素と接触させる前又は後に行われるかどうかは重要ではない。対照と較正の組み合わせゾーンに固定された蛍光体の励起によって生成されるシグナルが、対照と較正の組み合わせゾーンに固定された結合パートナーによって特異的に結合することができる蛍光体で標識された試薬の非存在下で生じることが重要である。
【0067】
本発明における方法の一実施形態は、蛍光体で標識された試薬の非存在下、対照と較正の組み合わせゾーンにおける蛍光体の励起による、対照と較正の組み合わせゾーンにおけるシグナルの生成(ステップa))並びに蛍光体によって生成されたシグナルの測定(ステップb))が、試料を、テスト要素と、及び蛍光体で標識された試薬と接触させた(ステップc))後に生じることを特徴とする。従って、例えば、試料を、アナライザー中にテスト担体を置く前に、テスト担体と、及び蛍光体で標識された試薬と接触させることができる。その後、蛍光体で標識された試薬が、例えば毛細管力によってテスト担体上の対照と較正の組み合わせゾーンに到達する前に、較正シグナルを生成させ測定する。例えば、較正シグナルの検出後まで、蛍光体で標識された試薬がテスト担体上に存在せず、試料と接触させないため、試料が蛍光体で標識された試薬と接触する必要なく、較正シグナルを生成させ測定する前に、試料をテスト担体と接触させることもできる。
【0068】
試料をまずテスト要素と接触させ、シグナルの測定がアナライト検出ゾーンで行われる(本発明における方法のステップe)に対応する)ことも可能である。蛍光体で標識された試薬が、その後、例えば毛細管力によってテスト担体上の対照と較正の組み合わせゾーンに到達しているならば、対照と較正の組み合わせゾーンに固定された結合パートナーと特異的に結合している蛍光体で標識された試薬は、例えば1回以上の洗浄ステップによって、テスト担体から除去されなければならない。そうした後初めて、アナライト特異的測定シグナルを較正するのにさらに必要な較正シグナルを、対照と較正の組み合わせゾーンにおいて生成させ測定するべきである(本発明における方法のステップa)及びb)に対応する)。
【0069】
本発明における方法の好ましい実施形態において、対照と較正の組み合わせゾーンにおけるシグナルは、蛍光体で標識された試薬の非存在下、対照と較正の組み合わせゾーンにおける蛍光体を励起することによって生成され(ステップa))、蛍光体によって生成したシグナルを測定し(ステップb))、その後、試料を、テスト要素と、及び蛍光体で標識された試薬と接触させる(ステップc))。
【0070】
本発明はまた、テスト要素のアナライト検出ゾーンにおいて生成したシグナルを較正するための、本発明におけるテスト要素の使用にも関する。本発明における使用の一実施形態において、アナライト特異的シグナルは、別のテスト要素によって生成される。
【実施例1】
【0071】
トロポニンTを検出するためのテスト要素の調製
テスト要素(1)は、流体構造及び微小流体構造並びにクロマトグラフィー構造を有する基板(2)を含む。基板(2)は、基板(2)中の構造に対応する試料適用部及び通気孔(vent opening)を有する対応する対応部品(counterpiece)(被覆層)(図1に示されていない)によって覆われる。基板は、射出成形により、ポリカーボネート(PC)(シクロオレフィンコポリマー(COC)、ポリスチレン(PS)、ABSプラスチック又はポリメチルメタクリレート(PMMA)も代替材料として可能である)から製造される(大きさ約60 x 80 mm2)。流体構造を有する基板(2)の表面は、プラズマ処理によって浄化し、親水化(hydrophilized)することができる。基板表面はまた、界面活性剤を使用することによって化学的に親水化することもできる。
【0072】
被覆層及び基板(2)は、円盤型テスト要素(1)の回転を可能にする測定デバイス中の対応するドライブユニットと相互作用する中央凹部(central recess)(3)を有する。テスト要素は、試料適用孔(4)を有し、それにより、試料及び特に全血をテスト要素に添加する。試料適用孔(4)は、アナライト特異的反応物質(6)及び蛍光体で標識された試薬(7)を有する第一チャンネルセクション(5)に流体的に(fluidically)連結している。アナライト特異的反応物質(6)は、この場合、ビオチン化トロポニンT-特異的モノクローナル抗体 (MAB<TnT>-Bi)であり;蛍光体で標識された試薬(7)は、ラテックスJG9蛍光体とトロポニンT-特異的モノクローナル抗体 (MAB<TnT>-Lx)との結合体である。JG9はスクアリン酸誘導体である。
【0073】
アナライト特異的反応物質(6)及び蛍光体で標識された試薬(7)は、圧電投与(piezo dosing)により第一チャンネルセクション(5)に点状試薬スポットとして交互に導入され、次いで、ほぼ全ての内表面が試薬で覆われるように乾燥される。
【0074】
試薬溶液は以下の組成を有する:
アナライト特異的反応物質:
MES: 50mM、pH5.6
BPLA new: 1%
シンペロニック(Synperonic)P85: 0.2%
ショ糖: 4%
MAB33: 3mg/ml
MAB33/Fab'1-ポリ: 2mg/ml
MAB<TnT>M11.7-F(ab')2-Bi: 100μg/ml
蛍光体で標識された試薬:
HEPES: 50mM pH7.4
PAB<->B-IgG 1%
シンペロニックP85 0.15%
ショ糖: 4%
NaCl: 200mM
MAB33: 3mg/ml
MAB33/Fab'1-ポリ: 2mg/ml
MAB<TnT>M7-IgG-Lx (JG9): 0.35%。
【0075】
第一チャンネルセクション(5)は、毛細管終結部(9)を介して第二チャンネルセクション(8)に流体的に連結している。毛細管終結部(9)を通って流れる試料の量をテスト要素(1)の回転速度によって遠心力により制御することができるように、毛細管終結部(9)は、幾何学的バルブ又は疎水性バリアとして設定することができる。チャンバーの形態である血漿回収ゾーン(10)及び赤血球回収ゾーン(11)は、第二チャンネルセクション(8)に隣接する。赤血球又は他の細胞試料成分の分離は、適切な回転速度で第二チャンネルセクション(8)において開始する。第一チャンネルセクション(5)に含まれる試薬は、試料液体が第二チャンネルセクション(8)に入る際、すでに溶解している。試料−試薬混合物の成分を両回収ゾーン(10)(11)に捕捉する。血漿回収ゾーン(10)は、多孔質マトリックス(13)を有する測定チャンバー(12)と流体的に連結している。
【0076】
多孔質マトリックス(13)(プラスチック担体箔上のニトロセルロース膜; 21 x 5 mm2; 100μm PE箔で強化されたニトロセルロース膜(ドイツSartorius社のタイプCN 140))を、基板中の対応する凹部に導入し、場合により両面接着テープにより固定する。多孔質マトリックスを導入する前、線状の含浸(line impregnation)によって生成されたアナライト検出ゾーン(14)及び対照と較正の組み合わせゾーン(15)は、それぞれ線状に多孔質マトリックス(13)上に存在する。これに関連して、アナライト検出ゾーン(14)を、線状投与により水性ストレプトアビジン溶液(4.75mg/ml)を適用することによって、以前記載されたニトロセルロース膜に適用する。投与は、約0.4mmの幅の線が形成されるように選択する(投与量0.12ml/分、シート速度3m/分)。この線は、測定されるアナライトを検出するのに役立ち、膜あたり約0.95μgのストレプトアビジンを含有する。対照と較正の組み合わせゾーン(15)は、0.1mg/ml濃度のトロポニンTポリハプテン溶液及び0.03%濃度のg-グロブリンJG9ラテックスの水性混合物を同じ投与条件下で適用することによって、ストレプトアビジンの線の下流約4mmの距離に生成する。この対照と較正の組み合わせゾーン(15)は、テストあたり約0.02μgのポリハプテン及び0.06μgのg-グロブリンJG9ラテックスを含有する。
【0077】
基板(2)に多孔質マトリックス(13)を導入した後、被覆(場合により親水化することができる流体構造を持たない箔片又は射出成形部品)を適用し、場合により永久的に基板(2)に連結し、好ましくは接着、溶接若しくは留めつける。
【0078】
最後に、基板を回転させ、約180g/m2の単位面積あたりの重量を有する100部のガラス繊維(直径0.49〜0.58μm、長さ1000μm)及び5部のポリビニルアルコール繊維(Kuraray社からのKuralon VPB 105-2)からなる廃棄フリース(waste fleece)(16)(フリースの大きさ13 x 7 x 1.5 mm3)の対応する凹部に配置し、これはその後接着テープによって基板(2)に固定される。従って、廃棄フリース(16)は、流れ方向において測定チャンバー(12)の後ろに配置する廃棄チャンバー(17)中に存在する。反応に関与するもの、すなわち試料及び/又は試薬成分は、測定チャンバー(12)を通って流れた後、廃棄チャンバー(17)中に捨てることができる。
【0079】
さらに、テスト要素は、洗浄液のための適用孔(18)を含むことができ、これは洗浄液チャンネル(19)と流体的に連結し、この洗浄液チャンネルは同じく洗浄液供給チャンネル(20)を介して測定チャンバー(12)に流体的に連結している。これらの構造及び適切な遠心ステップによって多孔質マトリックス(13)を洗浄するために、洗浄液を測定チャンバー(12)に導くことができる。
【実施例2】
【0080】
トロポニンTを検出するためのテスト要素の評価
実施例1のテスト要素を用いて、既知のトロポニンT濃度を含有する3つの異なる試料中のトロポニンTを検出した。2つの試料は、ヘパリン全血中に0.1ng/ml及び10ng/mlの濃度でトロポニンTを含有していた。試料は、前もってRoche社のトロポニンT凍結乾燥物の必要量をヒト血清中に溶解することによって調製した100ng/mlのトロポニンTストック溶液の通常の希釈によって調製した。3つ目の試料は、ヘパリン全血のみを含有し、陰性対照とした。実施例1における異なるテスト要素を各試料について使用した。
【0081】
トロポニンT検出を、それぞれの場合に、2つの異なる評価条件下で行った。両条件は、放射線源、並びに励起波長を生成させるためのフィルター及び使用された蛍光体(JG9ラテックス)についての放出波長を測定するためのカメラフィルターの特性において技術的に異なっていた。一方の場合には、100Wハロゲンランプを有する研究室の組立品であった;フィルターは蛍光体のそれぞれの最大値ではなく広範囲をカバーしており、いわゆる「レッドボックス(Redbox)」であった。もう一方の場合には、100Wキセノンランプを有するさらに開発された組立品であった;フィルターは蛍光体のそれぞれの最大値付近のより狭い範囲をカバーしており、いわゆる「リノスボックス(Linosbox)1」であった。両条件は、異なる評価デバイス間の通常の変形から大きく異なっており、それはアナライト検出ゾーンで測定される各アナライト依存的シグナルの強度に影響を及ぼし、従って、異なる装置においてアナライト測定のための比較可能な結果を得るために、測定シグナルの較正を必要とし、こうして本方法の有効性が明らかになるはずである。「リノスボックス」を評価装置自体として使用した。
【0082】
試料を実際のトロポニンTテストに適用する前に、テスト要素上の対照と較正の組み合わせゾーンのシグナルを、663nmの励起波長の放射線で励起後、レッドボックス及びリノスボックス1においてそれぞれの場合に測定した(「乾式測定」、表1を参照)。絶対シグナル強度は、レッドボックスとリノスボックス1との間で絶対値において異なっていたが、平均すると予想したように個々の試料間で有意な変動はなかった(表1を参照、「平均」の行)。
【表1】

【0083】
その後、レッドボックス及びリノスボックス1の条件下、それぞれの場合に3つの試料を用いてアナライト検出ゾーンにおけるシグナルを測定した。このために、それぞれの場合に40μlをテスト要素の試料適用孔(4)にピペットで入れ、毛細管力によって第一チャンネルセクション(5)へ引き込んだ。第一チャンネルセクション(5)に存在する試薬(6)(7)を、インキュベーション後試料によって溶解した後、溶液を多孔質マトリックス(13)を有する測定チャンバー(12)に遠心によって移送し、固体血液成分を隣接する赤血球回収ゾーン(11)に分離した。形成された血漿/試薬混合物を、遠心力を低下させることによって毛細管現象で多孔質マトリックス(13)にわたりクロマトグラフ分離し、その後アナライトをアナライト検出ゾーン(14)に固定した。過剰な蛍光体を、洗浄バッファーで洗浄することによって、測定前に同じ方法で膜から除去した。
【0084】
アナライト検出ゾーンにおけるシグナルを、663nmの励起波長の放射線を用いた励起後、レッドボックス及びリノスボックス1において測定した(表2の「平均」を参照)。予想したように、トロポニンTを含有する試料のシグナル強度は、シグナルのアナライト依存性のため、陰性対照(濃度TnT 0ng/ml)のバックグラウンドシグナルと比べて有意に増加する。また、試料のシグナル強度間の関係は、使用されたトロポニンT濃度に対応し、すなわち、100倍高い濃度では約100倍強いシグナルである。しかし、レッドボックス及びリノスボックス1実験条件間の絶対値の比較は、20倍を超える偏差を示した(表2の、レッドボックスの「平均」の行とリノスボックス1の「平均」の行を比較)。2つの実験条件間でわずかにのみ異なる較正された測定シグナル(表2、「補正」の行を参照)は、対照と較正の組み合わせゾーンにおいて前もって測定されたシグナルを、本発明におけるアナライト検出ゾーンにおいて測定されたシグナルに関係付けることによってのみ得られる。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
−アナライト検出ゾーン及び
−対照と較正の組み合わせゾーン
を含む、試料中の1種以上のアナライトの蛍光検出のための、サンドイッチ原理に従って機能する、特に免疫学的テストストリップの形態におけるテスト要素であって、
その対照と較正の組み合わせゾーンは
a)蛍光体及び
b)蛍光体で標識された試薬の特異的結合のための結合パートナー
を含むことを特徴とする、前記テスト要素。
【請求項2】
アナライト検出ゾーン及び/又は対照と較正の組み合わせゾーンが、線状又は本質的に丸い点状で存在することを特徴とする、請求項1に記載のテスト要素。
【請求項3】
蛍光体及び/又は蛍光体で標識された試薬の特異的結合のための結合パートナーが、対照と較正の組み合わせゾーンに固定されていることを特徴とする、請求項1又は2のいずれか1項に記載のテスト要素。
【請求項4】
対照と較正の組み合わせゾーンにおける蛍光体、及び蛍光体で標識された試薬の蛍光体が、同じ波長で励起されることができ、この励起の結果として、同じ波長の電磁放射線を放出することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のテスト要素。
【請求項5】
テスト要素が、特に免疫学的クロマトグラフィーテストストリップの形態における免疫学的テスト要素であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のテスト要素。
【請求項6】
テスト要素がマイクロアレイであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のテスト要素。
【請求項7】
対照と較正の組み合わせゾーンにおいて、蛍光体の量が0.001μg〜5μgであり、蛍光体で標識された試薬の量が1ng〜500ngであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のテスト要素。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のテスト要素及びそのテスト要素を評価するのに適したアナライザーを用いて、アナライト特異的測定シグナルを較正する方法であって、以下のステップ:
a) 蛍光体で標識された試薬の非存在下、対照と較正の組み合わせゾーンにおいて蛍光体を励起することによって、対照と較正の組み合わせゾーンにおいてシグナルを生成させるステップ、
b) ステップa)で生成したシグナルを測定するステップ、
c) アナライトが、試料中に存在する場合、アナライト検出ゾーンにおいて検出可能なシグナルをもたらすように、試料を、テスト要素と、及び蛍光体で標識された試薬と接触させるステップ、
d) アナライトの存在下、アナライト検出ゾーンに存在する蛍光体で標識された試薬の蛍光体を励起することによって、アナライト検出ゾーンにおいてシグナルを生成させるステップ、
e) ステップd)で生成したシグナルを測定するステップ、
f) ステップb)及びe)で測定したシグナルを関連付けるステップ
を含む、前記方法。
【請求項9】
本発明のテスト要素及び本発明のテスト要素を評価するのに適したアナライザーを用いて、試料中のアナライトの濃度を測定する方法であって、以下のステップ:
a) 蛍光体で標識された試薬の非存在下、対照と較正の組み合わせゾーンにおいて蛍光体を励起することによって、対照と較正の組み合わせゾーンにおいてシグナルを生成させるステップ、
b) ステップa)で生成したシグナルを測定するステップ、
c) アナライトが、試料中に存在する場合、アナライト検出ゾーンにおいて検出可能なシグナルをもたらすように、試料を、テスト要素と、及び蛍光体で標識された試薬と接触させるステップ、
d) アナライトの存在下、アナライト検出ゾーンに存在する蛍光体で標識された試薬の蛍光体を励起することによって、アナライト検出ゾーンにおいてシグナルを生成させるステップ、
e) ステップd)で生成したシグナルを測定するステップ、
f) ステップb)及びe)で測定したシグナルを関連付けるステップ、
g) ステップf)から得られた関係を検量線と比較するステップ、
h) ステップg)で行われた比較に基づいて、アナライトの濃度を決定するステップ
を含む、前記方法。
【請求項10】
ステップb)及びe)で測定されたシグナルが互いに相殺(offset)されることを特徴とする、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
蛍光体で標識された試薬の非存在下、対照と較正の組み合わせゾーンにおける蛍光体の励起による、対照と較正の組み合わせゾーンにおけるシグナルの生成(ステップa))並びに蛍光体によって生成されたシグナルの測定(ステップb))が、試料を、テスト要素と、及び蛍光体で標識された試薬と接触させる(ステップc))前に生じることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
テスト要素のアナライト検出ゾーンにおいて生成されたシグナルを較正するための、請求項1〜7のいずれか1項に記載のテスト要素の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−510623(P2012−510623A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538892(P2011−538892)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/008571
【国際公開番号】WO2010/063456
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】