説明

対物レンズホルダ、対物レンズ駆動装置、光ピックアップ装置

【課題】対物レンズホルダを補強できる。
【解決手段】対物レンズが保持される矩形状の保持板と、前記保持板の相対する二辺から同じ方向に立ち上がり、前記対物レンズをフォーカス方向及びトラッキング方向の少なくとも一の方向に変位させるためのコイルが夫々取り付けられる平板状の第1及び第2脚板と、前記保持板と前記第1及び第2脚板との、前記保持板と前記第1及び第2脚板とで取り囲まれる側の面に取り付けられる補強板とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対物レンズホルダ、対物レンズ駆動装置、光ピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、対物レンズを保持する対物レンズホルダをフォーカス方向に変位させる際、対物レンズホルダが振動する共振が発生する。その場合、対物レンズを変位させる精度が低下し、光ディスクからの良好な情報の読み取りが妨げられる虞がある。そこで、対物レンズホルダに対して、当該対物レンズホルダの剛性を高めて共振周波数を高くするための補強板を備える技術が知られている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−271961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の対物レンズホルダでは、対物レンズを保持する保持板に対して垂直方向に延在する一方側の側板を補強板によって補強するのみであり、対物レンズホルダの補強が不十分となる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した課題を解決する主たる本発明は、対物レンズが保持される矩形状の保持板と、 前記保持板の相対する二辺から同じ方向に立ち上がり、前記対物レンズをフォーカス方向及びトラッキング方向の少なくとも一の方向に変位させるためのコイルが夫々取り付けられる平板状の第1及び第2脚板と、前記保持板と前記第1及び第2脚板との、前記保持板と前記第1及び第2脚板とで取り囲まれる側の面に取り付けられる補強板と、を備え、前記補強板は、前記第1及び第2脚板に夫々対向する第1及び第2補強部と、前記保持板に対向する第3補強部と、からなる一体板を有し、前記第1補強部は、前記第1脚板の一部を露出させ、前記第1補強部及び前記第1脚板を接着剤で接着するための溝を有することを特徴とする対物レンズホルダである。
【0006】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、対物レンズホルダを補強できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態における光ピックアップ装置の光学系の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態における光ピックアップ装置の光学系の一部の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態における光ピックアップ装置を示す分解斜視図である。
【図4】本発明の実施形態における対物レンズが露出する外側から見たレンズホルダを示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態における脚板が立ち上がる側から見たレンズホルダを示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態におけるレンズホルダを示す平面図である。
【図7】本発明の実施形態における保持板と対向する側から見た補強板を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施形態における保持板と対向する側と反対側から見た補強板を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施形態における補強板と立上ミラーとを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
===光ピックアップ装置の光学系===
図1は、本実施形態に係る光ピックアップ装置の光学系の構成を示す図である。図2は、本実施形態に係る光ピックアップ装置の光学系の一部の構成を示す図である。
光ピックアップ装置100は、回転する光ディスクにレーザ光を照射し、光ディスクで反射されるレーザ光の戻り光を検出する装置である。光ピックアップ装置100は、例えば光ディスク装置(不図示)等の情報記録再生装置に実装される。なお、光ピックアップ装置100によって情報の記録又は再生が行われる光ディスクは、例えばBD(Blu―ray Disc)規格の光ディスク(以下、「第1光ディスク5A」と称する)、DVD(Digital Versatile Disc)規格の光ディスク(以下、「第2光ディスク5B」と称する)、CD(Compact Disc)規格の光ディスク(以下、「第3光ディスク5C」と称する)等である。光ピックアップ装置100は、第2光ディスク5B、第3光ディスク5Cに照射される第1レーザ光の光路に沿った第1光学系と、第1光ディスク5Aに照射される第2レーザ光の光路に沿った第2光学系を有する。尚、第1光学系、第2光学系の詳細については後述する。
【0011】
===第1光学系===
以下、図1乃至図3を参照して、本実施形態における光ピックアップ装置の第1光学系について説明する。図3は、本実施形態における光ピックアップ装置を示す分解斜視図である。尚、スピンドルモータの回転軸(不図示)の中心軸が、説明の便宜上、一点鎖線で示される。第1の1/2波長板13、第2回折格子22、第2の1/2波長板23、第1フォーカスコイル74、第2フォーカスコイル75、トラッキングコイル76は見えない状態となっている。
【0012】
第1光学系は、DVD規格及びCD規格用の光学系であり、第1レーザ光源110、第1回折格子12、第1の1/2波長板13、ビームスプリッタ32、コリメートレンズ33、1/4波長板34、反射ミラー35、第1立上ミラー15(立上ミラー)、第1対物レンズ16(対物レンズ)、カップリングレンズ24、ハーフミラー36、検出レンズ37、光検出器38、フロントモニタダイオード31等の光学素子を含んで構成される。
【0013】
第1レーザ光源110は、第2光ディスク5Bに照射する赤色波長帯(645nm〜675nm)のうち例えば655nmの波長と、第3光ディスク5Cに照射する赤外波長帯(765nm〜805nm)のうち例えば785nmの波長の、異なる2波長の第1レーザ光を選択的に発生する。第1レーザ光源110は、例えば655nmの波長の第1レーザ光を発生する第1レーザダイオード11A(レーザダイオード)と、例えば785nmの波長の第1レーザ光を発生する第1レーザダイオード11B(レーザダイオード)とを、第1ホルダ17(図3)に内蔵して形成される。
【0014】
第1回折格子12は、第1レーザ光源110で発生した第1レーザ光から、0次光、+1次回折光、−1次回折光を生成する。
【0015】
第1の1/2波長板13は、例えば、S偏光の直線偏光光である第1レーザ光をP偏光の直線偏光光に変換する。
【0016】
ビームスプリッタ32は、例えば、赤色波長帯及び赤外波長帯のP偏光のレーザ光を透過し、赤色波長帯及び赤外波長帯のP偏光以外のレーザ光を反射する。ビームスプリッタ32は、第1の1/2波長板13から入射する赤色波長帯又は赤外波長帯のP偏光の第1レーザ光を透過する。このとき、ビームスプリッタ32は、第1レーザ光の強度を調整するために、第1レーザ光の一部をフロントモニタダイオード31の方向に反射するものとする。尚、フロントモニタダイオード31は、ビームスプリッタ32から第1レーザ光の一部を入射して、第1レーザ光の強度を調整するための光学素子である。又、コリメートレンズ33から入射する第1レーザ光の戻り光は、例えば、第2光ディスク5B又は第3光ディスク5Cで反射してS偏光のレーザ光となっているので、ビームスプリッタ32は、第1レーザ光の戻り光を、カップリングレンズ24の方向に反射する。
【0017】
コリメートレンズ33は、ビームスプリッタ32から入射する第1レーザ光を平行光に変換する。
【0018】
1/4波長板34は、コリメートレンズ33から入射する第1レーザ光を、直線偏光光から円偏光光に変換する。又、1/4波長板34は、反射ミラー35から入射する第1レーザ光の戻り光を、円偏光光から直線偏光光に変換する。
【0019】
反射ミラー35は、1/4波長板34から入射する第1レーザ光を、第1立上ミラー15の方向に反射する。又、反射ミラー35は、第1立上ミラー15から入射する第1レーザ光の戻り光を1/4波長板34の方向に反射する。
【0020】
第1立上ミラー15は、反射ミラー35から入射する第1レーザ光を、第2光ディスク5B又は第3光ディスク5Cの記録面に垂直な方向に反射する。又、第1立上ミラー15は、第1対物レンズ16から入射する第1レーザ光の戻り光を、反射ミラー35の方向に反射する。
【0021】
第1対物レンズ16は、第1立上ミラー15から入射した第1レーザ光を、第2光ディスク5B又は第3光ディスク5Cの記録面における信号記録層に集光する。
【0022】
第2光ディスク5B又は第3光ディスク5Cの信号記録層で反射した第1レーザ光の戻り光は、第1対物レンズ16によって平行光に変換された後、第1立上ミラー15、反射ミラー35を介して1/4波長板34に入射し、1/4波長板34によって円偏光光から直線偏光光に変換される。直線偏光光となった第1レーザ光の戻り光は、コリメートレンズ33、ビームスプリッタ32を介してカップリングレンズ24に入射する。
【0023】
カップリングレンズ24は、第1レーザ光の戻り光が光検出器38で受光できるように、ビームスプリッタ32から入射した第1レーザ光の戻り光の収束角を変換する。
【0024】
ハーフミラー36は、例えば、青色波長帯のS偏光のレーザ光を反射し、青色波長帯のS偏光以外のレーザ光を透過する。尚、青色波長帯の詳細については、後述する。カップリングレンズ24から入射する第1レーザ光の戻り光は、赤色波長帯又は赤外波長帯のS偏光のレーザ光で、ハーフミラー36は、カップリングレンズ24から入射する第1レーザ光の戻り光を透過する。
【0025】
検出レンズ37は、ハーフミラー36から入射される第1レーザ光の戻り光を、光検出器38に集光させるとともに、第1レーザ光の戻り光に非点収差を発生させてフォーカスエラー信号を生成する。尚、検出レンズ37の入射面側又は出射面側には、例えばシリンドリカル面、平面、凹曲面、又は凸曲面が形成されており、本実施例の場合、検出レンズ37は平行平板を非点収差の発生方向を考慮した所定方向に傾けて構成されている。
光検出器38は、検出レンズ37から入射される第1レーザ光の戻り光を光電変換する。
【0026】
===第2光学系===
以下、図1乃至図3を参照して、本実施形態における光ピックアップ装置の第2光学系について説明する。
【0027】
第2光学系は、BD規格用の光学系であり、第2レーザ光源210、第2回折格子22、第2の1/2波長板23、ハーフミラー36、カップリングレンズ24、ビームスプリッタ32、コリメートレンズ33、1/4波長板34、反射ミラー35、第2立上ミラー25(立上ミラー)、第2対物レンズ26(対物レンズ)、検出レンズ37、光検出器38、フロントモニタダイオード31等の光学素子を含んで構成される。尚、例えば、ハーフミラー36、カップリングレンズ24、ビームスプリッタ32、コリメートレンズ33、1/4波長板34、反射ミラー35、検出レンズ37、光検出器38、フロントモニタダイオード31は、第1光学系と第2光学系で共通に用いられることになる。
【0028】
第2レーザ光源210は、第1レーザ光源110が発生する第1レーザ光の波長とは異なる、第1光ディスク5Aに照射する青色波長帯(400nm〜420nm)のうち例えば405nmの波長の第2レーザ光を、第1レーザ光とは相補的に発生する。第2レーザ光源210は、例えば405nmの波長の第2レーザ光を発生する第2レーザダイオード(レーザダイオード)21を、第2ホルダ27(図3)に内蔵して形成される。
【0029】
第2回折格子22は、第2レーザ光源210で発生した第2レーザ光から、0次光、+1次回折光、−1次回折光を生成する。
【0030】
第2の1/2波長板23は、例えば、P偏光の直線偏光光である第2レーザ光をS偏光の直線偏光光に変換する。
【0031】
ハーフミラー36は、第2の1/2波長板23から入射する青色波長帯のS偏光の第2レーザ光を、カップリングレンズ24の方向に反射する。又、カップリングレンズ24から入射する第2レーザ光の戻り光は、例えば、第1光ディスク5Aで反射してP偏光のレーザ光となっているので、ハーフミラー36は、第2レーザ光の戻り光を透過する。
【0032】
カップリングレンズ24は、第2レーザ光が第1光ディスク5Aの信号記録層に集光されるように、ハーフミラー36から入射した第2レーザ光の発散角を変換する。又、カップリングレンズ24は、第2レーザ光の戻り光が光検出器38で受光できるように、ビームスプリッタ32から入射した第2レーザ光の戻り光の収束角を変換する。
【0033】
カップリングレンズ24から入射する第2レーザ光は、例えば、赤色波長帯及び赤外波長帯のP偏光以外の青色波長帯のS偏光のレーザ光なので、ビームスプリッタ32は、カップリングレンズ24から入射する第2レーザ光を、コリメートレンズ33の方向に反射する。このとき、ビームスプリッタ32は、第2レーザ光の強度を調整するために、第2レーザ光の一部を透過する。尚、フロントモニタダイオード31は、ビームスプリッタ32から第2レーザ光の一部を入射して、第2レーザ光の強度を調整するための光学素子である。又、コリメートレンズ33から入射する第2レーザ光の戻り光は、例えば、赤色波長帯及び赤外波長帯のP偏光以外の青色波長帯のP偏光のレーザ光なので、ビームスプリッタ32は、コリメートレンズ33から入射する第2レーザ光の戻り光を、カップリングレンズ24の方向に反射する。
【0034】
ビームスプリッタ32でコリメートレンズ33の方向に反射した第2レーザ光は、コリメートレンズ33によって平行光に変換された後、1/4波長板34によって直線偏光光から円偏光光に変換される。円偏光光となった第2レーザ光は、反射ミラー35によって第2立上ミラー25の方向に反射される。尚、第2レーザ光の光路における、反射ミラー35と第2立上ミラー25との間に配置された第1立上ミラー15は、赤色波長帯及び赤外波長帯のレーザ光を反射し、青色波長帯のレーザ光を透過するものとする。
【0035】
第2立上ミラー25は、反射ミラー35から入射する第2レーザ光を、第1光ディスク5Aの記録面に垂直な方向に反射する。又、第2立上ミラー25は、第2対物レンズ26から入射する第2レーザ光の戻り光を、反射ミラー35の方向に反射する。
【0036】
第2対物レンズ26は、第2立上ミラー25から入射した第2レーザ光を、第1光ディスク5Aの記録面における信号記録層に集光する。
【0037】
第1光ディスク5Aの信号記録層で反射した第2レーザ光の戻り光は、第2対物レンズ26によって平行光によって変換された後、第2立上ミラー25、反射ミラー35、を介して1/4波長板34に入射し、1/4波長板34によって円偏光光から直線偏光光に変換される。直線偏光光となった第2レーザ光の戻り光は、コリメートレンズ33、ビームスプリッタ32、カップリングレンズ24、ハーフミラー36を介して検出レンズ37に入射する。
【0038】
検出レンズ37は、ハーフミラー36から入射される第2レーザ光の戻り光を、光検出器38に集光させるとともに、第2レーザ光の戻り光に非点収差を発生させてフォーカスエラー信号を生成する。
光検出器38は、検出レンズ37から入射される第2レーザ光の戻り光を光電変換する。
【0039】
===光ピックアップ装置===
以下、図3を参照して、本実施形態における光ピックアップ装置について説明する。
光ピックアップ装置100は、ハウジング50、アクチュエータ6、レンズホルダ67(対物レンズホルダ)、第1光学系の光学素子、第2光学系の光学素子を有する。尚、本実施形態において、Z軸は、光ディスク5を回転させるスピンドルモータの回転軸の長手方向(フォーカス方向、垂直方向)に沿う軸であり、上側に向かう方向を+Z方向として、下側に向かう方向を−Z方向とする。尚、第1光ディスク5A、第2光ディスク5B、第3光ディスク5Cのうち、スピンドルモータによって回転される光ディスクを、説明の便宜上、光ディスク5と称する。Y軸は、光ディスク5の径方向(トラッキング方向、ラジアル方向)に光ピックアップ装置100が移動する方向に沿う軸であり、回転軸から離れる方向を+Y方向とし、回転軸に近づく方向を−Y方向とする。X軸は、タンジェンシャル方向に沿う軸であり、ハウジング50の外側から側面530に向かう方向を−X方向とし、ハウジング50の外側から側面540に向かう方向を+X方向とする。
【0040】
レンズホルダ67は、第1対物レンズ16及び第2対物レンズ26を保持する。レンズホルダ67には、第1フォーカスコイル71、74、第2フォーカスコイル72、75、トラッキングコイル73、76が取り付けられる。第1フォーカスコイル71、74は、レンズホルダ67をフォーカス方向に変位させるためのフォーカスが供給される一本の導電線を巻回した、一対のコイルである。第2フォーカスコイル72、75は、レンズホルダ67をフォーカス方向に変位させるためのフォーカス信号が供給される一本の導電線を巻回した、一対のコイルである。トラッキングコイル73、76は、レンズホルダ67をトラッキング方向に変位させるためのトラッキング信号が供給される一本の導電線を巻回した、一対のコイルである。尚、レンズホルダ67、第1フォーカスコイル71、74、第2フォーカスコイル72、75、トラッキングコイル73、76の詳細については、後述する。
【0041】
アクチュエータ6は、レンズホルダ67をフォーカス方向及びトラッキング方向に変位させる。つまり、アクチュエータ6は、第1対物レンズ16及び第2対物レンズ26をフォーカス方向及びトラッキング方向に変位させる。アクチュエータ6は、フレーム63、サスペンションワイヤ64、65、マグネット66、68、制御基板69を有する。尚、アクチュエータ6、レンズホルダ67、第1対物レンズ16、第2対物レンズ26、コイルが、対物レンズ駆動装置に相当する。
【0042】
マグネット66、68は、レンズホルダ67をフォーカス方向及びトラッキング方向に変位させるための磁束を発生する磁性体である。マグネット66は、アクチュエータ6及びレンズホルダ67をハウジング50に収容した際、レンズホルダ67のフレーム63側(−X側)の面と対向するように、フレーム63に取り付けられる。マグネット68は、アクチュエータ6及びレンズホルダ67をハウジング50に収容した際、レンズホルダ67のフレーム63とは反対側の面と対向するように、開口202を通してハウジング50の底面に配置される。尚、開口202については後述する。
【0043】
制御基板69は、フォーカス信号及びトラッキング信号を出力する基板であり、フレーム63のマグネット66とは反対側の端に取り付けられる。
【0044】
サスペンションワイヤ64、65は、レンズホルダ67がトラッキング方向及びフォーカス方向に変位できるように、フレーム63に対してレンズホルダ67を弾性支持する。サスペンションワイヤ64、65は、レンズホルダ67をトラッキング方向及びフォーカス方向に変位させるためのフォーカス信号及びトラッキング信号を送信する信号線でもある。サスペンションワイヤ64、65は、夫々例えば3本のワイヤを有する。サスペンションワイヤ64、65の一端は夫々、フレーム63に取り付けられた補助部材62A、62Bに接着されると共に、制御基板69に例えば半田等を用いて電気的に接続される。サスペンションワイヤ64、65の他端は夫々、レンズホルダ67のフレーム63側の面において接着されると共に、第1フォーカスコイル71、74、第2フォーカスコイル72、75、トラッキングコイル73、76に例えば半田等を用いて電気的に接続される。サスペンションワイヤ64のうち、例えば、上側及び下側のサスペンションワイヤの他端は夫々、一対の第1フォーカスコイル71、74の両端に接続される。サスペンションワイヤ65のうち、例えば、上側及び下側のサスペンションワイヤの他端は夫々、一対の第2フォーカスコイル72、75の両端に接続される。サスペンションワイヤ64、65の中央のサスペンションワイヤの他端は夫々、トラッキングコイル73、76の両端に接続される。
【0045】
ハウジング50は、第1光学系の光学素子、第2光学系の光学素子、第1ホルダ17、第2ホルダ27、アクチュエータ6、レンズホルダ67を収容するための、例えば樹脂製の容器である。ハウジング50には、ハウジング50の内部に第1光学系の光学素子、第2光学系の光学素子、第1ホルダ17、第2ホルダ27(以下、「光学素子等」と称する)を例えば上側から配置して収容するための開口201が形成される。ハウジング50には、ハウジング50の内部にアクチュエータ6、レンズホルダ67を例えば上側から配置して収容するための開口202が形成される。ハウジング50のスピンドルモータ側の側面は、例えば、スピンドルモータを回避するように所定の曲率をもって抉られた形状を呈する。ハウジング50の側面530にガイド部材53が設けられ、側面540にガイド部材54A、54Bが設けられる。ガイド部材53、54A、54Bは、光ディスク5のラジアル方向に沿って光ピックアップ装置100を移動させるための、一対のガイド軸に対して、光ピックアップ装置100を取り付けるための部材である。ハウジング50の底面には、光学素子等が、図1及び図2を参照して説明したような位置関係となるように開口201を通して上側から配置される。ハウジング50の底面には、アクチュエータ6、レンズホルダ67が、開口202を通して上側から配置される。
【0046】
===レンズホルダ===
以下、図3乃至図6を参照して、本実施形態におけるレンズホルダについて説明する。図4は、本実施形態における対物レンズが露出する外側から見たレンズホルダを示す斜視図である。尚、第1フォーカスコイル74、第2フォーカスコイル75、トラッキングコイル76、コイルボビン74A、75A、76Aは見えない状態となっている。図5は、本実施形態における脚板が立ち上がる側から見たレンズホルダを示す斜視図である。尚、トラッキングコイル76は、見えない状態となっている。保持板671の2本の長辺の間の中心線P1が一点鎖線で示される。尚、補強部82、87、81、814、812の一部は見えない状態となっているが、点線で示される。図6は、本実施形態におけるレンズホルダを示す平面図である。尚、補強部87、81、814、841、813、831の一部は見えない状態となっているが、点線で示される。保持板671の2本の長辺の間の中心線P1が一点鎖線で示される。
【0047】
レンズホルダ67は、第1対物レンズ16、第2対物レンズ26が夫々、第1立上ミラー15、第2立上ミラー25の上側に配置されるように、第1対物レンズ16、第2対物レンズ26を保持する。レンズホルダ67は、保持板671、脚板672(第1脚板)、脚板673(第2脚板)、補強板8を有する。保持板671、脚板672、673は、例えば樹脂を用いて一体成形される。
【0048】
保持板671は、第1対物レンズ16、第2対物レンズ26を保持するための部材である。保持板671は、例えばトラッキング方向に沿う長辺とタンジェンシャル方向に沿う短辺とを有する矩形形状を呈する板部材である。保持板671は、第1対物レンズ16及び第2対物レンズ26が例えばトラッキング方向に沿って隣り合うように、第1対物レンズ16、第2対物レンズ26を保持する。
【0049】
脚板672は、例えば矩形形状を呈する平板である。脚板673は、脚板672と同様な形状を呈する平板である。脚板672、673は夫々、保持板671の相対する長辺から垂直方向(−Z側)に向かって延在する。尚、保持板671、脚板672、673をトラッキング方向に沿って+Y側に向かって見た場合、保持板671、脚板672、673はコ字状となるように形成される。脚板672、673は、中心線P1を基準に線対称となるように形成される。
【0050】
脚板672には、第1フォーカスコイル71、第2フォーカスコイル72、トラッキングコイル73が取り付けられる。脚板673には、第1フォーカスコイル74、第2フォーカスコイル75、トラッキングコイル76が取り付けられる。第1フォーカスコイル71及び74は夫々、脚板672の外側を向く面(+X側)、脚板673の外側を向く面(−X側)の面に設けられたコイルボビン71A、74Aに対して1本の導電線を巻回して形成される。第2フォーカスコイル72及び75は夫々、脚板672の外側を向く面(+X側)、脚板673の外側を向く面(−X側)に設けられたコイルボビン72A、75Aに対して1本の導電線を巻回して形成される。トラッキングコイル73及び76は夫々、脚板672の外側を向く面(+X側)、脚板673の外側を向く面(−X側)に設けられたコイルボビン73A、76Aに対して1本の導電線を巻回して形成される。第1フォーカスコイル71、第2フォーカスコイル72は、トラッキング方向に沿ってトラッキングコイル73を中心に対称となるように脚板672に設けられる。第1フォーカスコイル74、第2フォーカスコイル75は、トラッキング方向に沿ってトラッキングコイル76を中心に対称となるように脚板672に設けられる。
【0051】
補強板8は、レンズホルダ67を補強する板部材である。尚、補強板8の詳細については後述する。
【0052】
===補強板===
以下、図4乃至図9を参照して、本実施形態における補強板について説明する。図7は、本実施形態における保持板と対向する側から見た補強板を示す斜視図である。図8は、本実施形態における保持板と対向する側とは反対側から見た補強板を示す斜視図である。図9は、本実施形態における補強板と立上ミラーとを示す側面図である。尚、第1立上ミラー15の一部は見えない状態となっているが、一点鎖線で示される。補強部812、814、822、841乃至844は見えない状態となっている。
【0053】
補強板8は、レンズホルダ67を補強する板部材である。補強板8は、保持板671の第1対物レンズ16及び第2対物レンズ26が外側に露出する面とは反対側の面(−Z側)、脚板672のコイルが露出する面とは反対側の面(−X側)、脚板673のコイルが露出する面とは反対側の面(+X側)に取り囲まれた、保持板671と脚板672及び673の内側の面に取り付けられる。補強板8は、保持板671の2本の長辺の間の中心線P1を基準に線対称な形状を呈する一体板である。補強板8は、例えば金属板を折り曲げ加工して形成してもよいし、各金属板を溶接して形成してもよい。補強板8は、補強部A、B、D、湾曲アームCを有している。
【0054】
補強部Aは、保持板671と脚板672及び673の内側の面に沿った略コ字形状を呈する。補強部Bは、トラッキング方向に沿って補強部Aの−Y側に設けられる。補強部Bは、脚板672、673の間で、保持板671の内側の面(−Z)に沿って補強部Aとは反対側に向かって延在し、補強部Bにおける補強部Aとは反対側の辺から保持板671に対して略垂直方向(−Z側)に向かって折れ曲った形状を呈する。補強部Bの保持板671に沿った面における折れ曲がった側とは反対側の辺と、補強部Aの補強部Bと対向する側の辺とは一体となっている。補強部Dは、トラッキング方向に沿って補強部Aの補強部Bとは反対側(+Y)に設けられる。補強部Dは、垂直方向(Z軸方向)の高さが補強部Aにおける保持板671の内側に沿う面と同じ高さとなるように、保持板671の内側の面に沿う形状を呈する。補強部A、Dは、第1レーザ光を第1対物レンズ16に入射するための補強部A、Dの間の孔86が形成されるように、タンジェンシャル方向に沿った相互に対向する辺の両端同士が湾曲アームCによって一体となっている。よって、補強部A、B、D、湾曲アームCは、一体の補強板8を形成する。
【0055】
補強部Aは、保持板671の内側の面(−Z)、脚板672の内側の面(−X)、脚板673の内側の面(+X)と夫々対向する補強部81、811、812を有する。補強部81は、略矩形形状を呈する。補強部81は、保持板671の内側の面における、第1対物レンズ16と第2対物レンズ26との間の、例えば第1対物レンズ16側に取り付けられる。尚、補強部81の取り付けの詳細については、後述する。補強部81の第1対物レンズ16側は、例えば補強板8をレンズホルダ67に取り付けた際に第1対物レンズ16に入射する第1レーザ光の光路を妨げないように、第1対物レンズ16とは反対側に向けて抉られた形状を呈する。補強部812は、略矩形形状を呈する。補強部812は、タンジェンシャル方向において補強部81に沿うように、脚板673の内側の面に取り付けられる。尚、補強部812の取り付けの詳細については、後述する。補強部812の保持板671側(+Z側)の辺は、例えば保持板671と脚板673との結合部分に沿う形状の補強部814の補強部812側の辺と一体となっている。補強部814の補強部81側の辺は、補強部81の脚板673側(−X側)の辺と一体となっている。尚、補強部814の補強部81側の辺の長さは、補強部81の脚板673側の辺よりも短いものとする。補強部814と補強部81とは、補強部81の第1対物レンズ16側の辺が露出するように一体となっているものとする。補強部811は、補強部812と同様な形状を呈する。補強部811は、中心線P1を基準に補強部812と線対称となるように、脚板672の内側の面に取り付けられる。尚、補強部811の取り付けの詳細については、後述する。補強部811の保持板671側の辺は、例えば保持板671と脚板672との結合部分に沿う形状の補強部813の補強部811側の辺と一体となっている。補強部813の補強部81側の辺は、補強部81の脚板672側(+X側)の辺と一体となっている。
【0056】
補強部Bは、保持板671の内側の面、脚板672の内側の面、脚板673の内側の面と夫々対向する補強部87、821、822及び、補強部87の第2対物レンズ26側の辺からフォーカス方向(−Z側)に向かって折れ曲げられた補強部82を有する。補強部87は矩形形状を呈する。補強部87は、保持板671の内側の面における、補強部81と第2対物レンズ26との間に設けられる。補強部82は、補強板8の−Y側の端を形成する。補強部82は、補強部87の第2対物レンズ26側の辺から、保持板671に対して略垂直となる保持板671から離れる方向に向かって立ち上がるように折れ曲げられている。補強部82は、保持板671におけるトラッキング方向の略中央よりも第2対物レンズ26側で折り曲げられている。補強部82は、脚板672、673の間でタンジェンシャル方向に沿った形状を呈する。尚、補強部82の折れ曲げられる角度の詳細については、後述する。補強部82の保持板671から−Z側に向かって突出した側は、第2対物レンズ26に入射する第2レーザ光の光路を妨げないように、保持板671側に向かって抉られた形状を呈する。補強部87の補強部81側の辺は、補強部81の補強部87側の辺と一体となっている。ここで、補強部87の補強部81側の辺の長さは、補強部81の補強部87側の辺の長さよりも、短いものとする。補強部81の補強部87側の辺の両端が同様な長さだけ露出しているものとする。補強部87の補強部82側の辺の長さは、補強部82の保持板671側の辺の長さよりも短いものとする。補強部82は、前述したように、補強部87の補強部82側の辺から、保持板671に対して略垂直となる保持板671から離れる方向に向かって立ち上がるように折り曲げられている。よって、補強部82、812の間から補強部82、87、81、814の間に連続する切欠92Aが溝として形成される。又、補強部82、811の間から補強部82、87、81、813の間に連続する切欠91Aが溝として形成される。つまり、切欠92A、91Aは夫々、補強板8の脚板673側の端、補強板8の脚板672側の端に形成される。レンズホルダ67に対して補強板8を取り付けたとき、脚板673の内側の面における切欠92Aと対向する面と、保持板671の内側の面における切欠92Aと対向する面は連続的に露出することになる。又、レンズホルダ67に対して補強板8を取り付けたとき、脚板672の内側の面における切欠91Aと対向する面と、保持板671の内側の面における切欠91Aと対向する面も連続的に露出することになる。補強部822は、略矩形形状を呈し、脚板673の内側の面と対向する。補強部822は、補強部82の脚板673側の端における切欠92Aが設けられる方向とは反対側に設けられる。補強部822の切欠92A側の辺は、補強部82の脚板673側の辺と一体となっている。補強部821は、補強部822と同様な形状を呈する。補強部821は、中心線P1を基準に補強部822と線対称となるように、補強部82の脚板672側の端における切欠91Aが設けられる方向とは反対側に設けられる。補強部821の切欠91A側の辺は、補強部82の脚板672側の辺と一体となっている。
【0057】
補強部Dは、保持板671の内側の面と対向する補強部85を有する。補強部85は、略矩形形状を呈する。補強部85は、保持板671の内側の面における、第1対物レンズ16と保持板671の+Y側の縁との間に設けられる。補強部85のタンジェンシャル方向の長さは、第1対物レンズ16の径よりも長いものとする。補強部85の第1対物レンズ16側は、第1対物レンズ16に入射する第1レーザ光の光路を妨げないよう、第1対物レンズ16とは反対側に向けて抉られた形状を呈する。
【0058】
湾曲アームCは、補強部A、Dを結合して一体とする。湾曲アームCは、第1立上ミラー15の第1対物レンズ16と対向する面(+Z)に沿う形状を呈する補強部831、841を有する。尚、第1立上ミラー15は、レンズホルダ67をハウジング50に配置した際、保持板671と脚板672及び673とで取り囲まれる側の面で取り囲まれる領域で第1対部レンズ16に対向する位置に配置されるものとする。補強部841は、補強部81の補強部85側の辺における脚板673側の端から第1立上ミラー15の第1対物レンズ16と対向する面に沿った状態で、補強部85側へ折れ曲げられた形状を呈する。補強部841は、補強部842、844によって、補強部85と結合される。補強部842は、補強部85の補強部81側の辺における脚板673側の端から、保持板671に対して略垂直となると共に、保持板671から離れる方向に向かって折れ曲げられた形状を呈する。尚、補強部842の折れ曲げられる角度の詳細については、後述する。補強部81の脚板673側の辺における第1対物レンズ16側が、前述したように露出している。補強部841は、補強部81の補強部85側の辺における脚板673側の端から第1立上ミラー15の第1対物レンズ16と対向する面に沿うように折り曲げられている。よって、補強部812、814、81、841の間に切欠94Aが溝として形成される。切欠94Aは、補強板8の脚板673側の端に、切欠92Aとの間で補強部812、814を挟むように、切欠92Aの隣に形成される。レンズホルダ67に対して補強板8を取り付けたとき、脚板673の内側の面における切欠94Aと対向する面と、保持板671の内側の面における切欠94Aと対向する面は連続的に露出することになる。補強部841、842の保持板671から離れる側の端部同士は、補強部844によって結合されて一体となっている。尚、補強部841、842のタンジェンシャル方向の幅は、第1及び第2レーザ光の光路を妨げないように、例えば、保持板671の脚板673側の縁から対物レンズ16までのタンジェンシャル方向に沿う距離よりも短いものとする。補強部841、842の脚板672側は、第1対物レンズ16に入射する第1レーザ光の光路を妨げないように、脚板673側に向けて抉られた形状を呈する。補強部843は、略矩形形状を呈し、脚板673の内側の面と対向する。補強部843は、補強部841の脚板673側の辺から切欠94Aに向けて突出するように設けられる。補強部831乃至834は、補強部841乃至844と同様な形状を呈する。補強部831乃至834は夫々、中心線P1を基準に補強部841乃至844と線対称となるように設けられる。補強部811、813、81、831の間に切欠93A(溝)が形成される。尚、切欠93Aの構成は、切欠94Aの構成と同様であるので、その説明は省略する。
【0059】
尚、補強部81、87が第3補強部に相当する。補強部811、821、833が第1補強部に相当する。補強部812、822、843が第2補強部に相当する。
【0060】
===補強部82、832、842の角度===
以下、図3乃至図9を参照して、本実施形態における補強部82、832、842の角度について説明する。
補強部842、832、82は、前述したように、保持板671と脚板672及び673とで取り囲まれる側の面に設けられるので、第1及び第2レーザ光の光路上に設けられることとなる。よって、例えば、レンズホルダ67に対して+Y側から−Y側に向かって入射する第1及び第2レーザダイオード(図9の白抜き矢印)の一部が補強部843、832、82の第1及び第2レーザダイオードが入射する側の面(+Y)で全反射することがある。その全反射光によって、光ディスク5から良好な情報の読み取りが妨げられる虞がある。よって、補強部843、832、82での、第1及び第2レーザダイオードの全反射を抑える必要がある。
補強部842、82は、第1及び第2レーザ光の光路に対して垂直な方向M3、M4に対して角度D1、D2を有するように設けられる。この角度D1、D2を、補強部842、832、82での第1及び第2レーザ光の反射によって光ディスク5から良好な情報の読み取りが妨げられないように調整することによって、補強部842、832、82による第1及び第2レーザ光の反射の影響を取り除くことができる。
【0061】
===補強板の取り付け===
以下、図4乃至図9を参照して、本実施形態におけるレンズホルダへの補強板の取り付けについて説明する。
【0062】
補強板8は、保持板671と脚板672及び673の、保持板671と脚板672及び673とで取り囲まれる側の面に、接着剤を用いて接着される。補強板8における保持板671の内側の面(−Z)、脚板672の内側の面(−X)、脚板673の内側の面(+X)と対向する面夫々に対して接着剤を塗布した後、補強板8は、レンズホルダ67に対して脚板672、673の立ち上がる側(−Z)から取り付けられる。尚、保持板671と脚板672及び673とで取り囲まれる側の面における補強板8と対向する部分に、予め接着剤を塗布しておき、補強板8をレンズホルダ67に対して取り付ける構成としてしてもよい。尚、接着剤としては、例えば比較的硬度の高いエポキシ樹脂系の接着剤が用いられる。補強板8における保持板671と脚板672及び673とで取り囲まれる側の面と対向する面と、保持板671と脚板672及び673とで取り囲まれる側の面とが接着された後、補強板8の保持板671と脚板672及び673とで取り囲まれる側に対向する面とは反対側から、補強板8の切欠91A乃至94Aを夫々覆うように接着剤91乃至94が塗布される。具体的には、脚板673の内側の面及び保持板671の内側の面における切欠92Aから露出した面と、補強部812、814、81、87、82における切欠92A側の縁とに対して同一の接着剤92が塗布される。脚板673の内側の面及び保持板671の内側の面における切欠94Aから露出した面と、補強部812、814、81、841、843における切欠94A側の縁とに対して同一の接着剤94が塗布される。尚、接着剤92、94としては、例えば、比較的短時間で硬化するUV硬化型の接着剤が用いられる。尚、切欠91A、93Aに夫々接着剤91、93を塗布する構成は夫々、切欠92A、94Aに夫々接着剤92、94を塗布する構成と同様であるので、その説明は省略する。
【0063】
補強板8と、保持板671と脚板672及び673とで取り囲まれる側の面との間を接着剤で接着すると共に、切欠91A乃至94Aを覆うように接着剤91乃至94が塗布されるので、補強板8を、レンズホルダ67に対して取り付けて、レンズホルダ67の剛性を高くすることができる。よって、例えば、レンズホルダ67がフォーカス方向又はトラッキング方向に変位する際に発生する、レンズホルダ67の共振周波数を高くすることができる。尚、共振とは、レンズホルダ67に取り付けられたコイルに励起される電磁力に起因して発生する、レンズホルダ67の振動のことである。共振が発生した場合、第1対物レンズ16及び第2対物レンズ26のフォーカス方向及びトラッキング方向への変位の精度が低下することとなる。共振周波数は、例えば、共振が発生するときの、フォーカス信号の周波数を示す。
【0064】
前述したように、保持板671は、第1対物レンズ16、第2対物レンズ26を保持する。脚板672、673は、平板形状を呈する。脚板672、673は夫々、保持板671の相対する長辺から同一の方向に延在する(立ち上がる)。脚板672には、第1フォーカスコイル71、第2フォーカスコイル72、トラッキングコイル73が取り付けられる。脚板673には、第1フォーカスコイル74、第2フォーカスコイル75、トラッキングコイル76が取り付けられる。保持板671と脚板672及び673の、保持板671と脚板672及び673とで取り囲まれる側の面には、補強板8が取り付けられる。補強板8は、脚板672に対向する補強部811、821、833(第1補強部)と、脚板673に対向する補強部812、822、843(第2補強部)と、保持板671に対向する補強部81、87(第3補強部)を有する一体板である。補強板8の脚板672側には、切欠91A、93Aが形成される。脚板672の内側の面の一部は、切欠91A、93Aから露出する。例えば、切欠91A、93Aを覆うように接着剤91、93を塗布した場合、接着剤91、93が、保持板671の内側の面と、補強板8における保持板671と対向する面との間に、切欠91A、93Aの縁から浸透することになる。よって、例えば、接着剤91、93を補強板8と脚板672との間に浸透させると共に、脚板672における切欠91A、93Aから露出する面と補強部1とを、脚板673側(−X)から接着することができる。従って、レンズホルダ67の内側の面に沿った形状の補強板8をレンズホルダ67に対して確実に接着できるので、レンズホルダ67を確実に補強することができる。又、接着剤91、93は、レンズホルダ67の内側の面に露出するように塗布できるので、接着剤91、93として、例えば、比較的短時間で硬化するUV硬化型の接着剤を用いることができる。よって、露出した接着剤91、93に紫外線を照射することによって、補強板8をレンズホルダ67に比較的短時間で接着できるので、量産性に優れたレンズホルダ67を提供できる。
【0065】
又、補強板8をレンズホルダ67に取り付けるとき、脚板672の内側の面における一部と保持板671の内側の面における一部とは、切欠91A、93Aから連続的に露出する。よって、切欠91A、93A夫々に対して、同一の接着剤91、93を夫々連続的に塗布できる。補強板8をレンズホルダ67の内側に接着する際、保持板671の内側の面、脚板672の内側の面夫々に対して補強板8を接着するための接着剤を夫々別個に塗布するのではなく、接着剤91、93を連続的に塗布できる。よって、接着剤91、93を塗布する範囲を広くとれるので、補強板8をレンズホルダ67に対して確実に接着し、レンズホルダ67を確実に補強することができる。又、補強板8をレンズホルダ67に接着する際、比較的広い範囲に連続的に接着剤91、93を塗布すればよいので、接着剤91、93を塗布する作業が容易となる。
【0066】
又、補強板8の脚板673側には、切欠91A、93Aと同様な切欠92A、94Aが形成される。よって、レンズホルダ67を形成する保持板671、脚板672、673の全ての部材に対して補強板8を確実に接着することができる。よって、レンズホルダ67を確実に補強できる。
【0067】
又、補強板8は、保持板671の2本の長辺の間の中心線P1を基準に線対称な形状を呈する一体板である。よって、補強板8の重心が中心線P1上となるために、レンズホルダ67に対して補強板8を取り付けることによってレンズホルダ67の重心の位置が大きくずれるのを防止できる。よって、使い勝手の良いレンズホルダ67を提供できる。
【0068】
又、保持板8の第2対物レンズ26側の端に形成された補強部82は、保持板671から略垂直に立ち上がる形状を呈する。切欠91A、93Aは、相互に隣り合うように形成される。切欠92A、94Aは、相互に隣り合うように形成される。よって、補強部82を、例えば、脚板672、673の間でタンジェンシャル方向に沿った形状とすることによって、レンズホルダ67の脚板672、673に対して加えられる外力に対する強度を向上できる。よって、レンズホルダ67を確実に補強できる。又、補強部82は、保持板671から略垂直に立ち上がる形状を呈するので、補強板8をレンズホルダ67に取り付けるときに持ち手として利用できる。よって、容易に組み立てることができるレンズホルダ67を提供できる。
【0069】
又、保持板671と脚板672及び673は、樹脂を用いて一体成形される。よって、レンズホルダ67の軽量化を図ることができる。又、一体成形されるので、組み立て作業を行う必要がなく、レンズホルダ67の製造コストを低減できる。又、補強板8は、金属板を折り曲げ加工して形成される。よって、レンズホルダ67の例えば大きさ、形状に合った補強板8を容易に製造できるので、レンズホルダ67の製造コストを更に低減できる。
【0070】
又、対物レンズ駆動装置は、アクチュエータ6、レンズホルダ67、第1対物レンズ16、第2対物レンズ26、コイルを有する。レンズホルダ67は補強板8によって補強される。よって、レンズホルダ67の剛性が高くなり、第1対物レンズ16及び第2対物レンズ26をトラッキング方向及びフォーカス方向に精度よく変位できるように、共振周波数を、通常使われている周波数よりも高い周波数(例えば20kHz以上)にシフトすることができる。よって、第1対物レンズ16及び第2対物レンズ26を精度良く変位できる対物レンズ駆動装置を提供できる。
【0071】
又、光ピックアップ装置100は、第1レーザダイオード11A、11B、第2レーザダイオード21、第1ホルダ17、第2ホルダ27、第1立上ミラー15及び第2立上ミラー25を含む光学素子、対物レンズ駆動装置を有する。光ピックアップ装置100では、例えば、第1ホルダ17と第2ホルダ27とを隣接(図3)して配置する等によって、小型化が図られている。光ピックアップ装置100を小型化する場合、例えば、許容される各光学素子自体のばらつき及び、許容される各光学素子の配置の誤差が小さくなるために、第1対物レンズ16及び第2対物レンズ27の、より高い変位の精度が求められる。補強板8によってレンズホルダ67が補強されているために、レンズホルダ67の共振周波数を通常使われている周波数よりも高い周波数にシフトできる。よって、光ピックアップ装置100では、第1対物レンズ16及び第2対物レンズ26がトラッキング方向及びフォーカス方向に精度よく変位されるために、光ディスク5からの良好な情報の読み取りを行うことができる。
【0072】
尚、本実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0073】
本実施形態においては、補強板8における保持板671と脚板672及び673とで取り囲まれる側の面と対向する面と、保持板671と脚板672及び673とで取り囲まれる側の面との間には、例えば、比較的硬度の高いエポキシ樹脂系の接着剤を塗布する構成(以下、「硬度の高い接着剤で固定した構成」と称する)について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、補強板8と保持板671とをエポキシ樹脂系の第1接着剤によって接着し、補強板8と脚板672、673とを、第1接着剤の硬度よりも低い硬度の例えばアクリル系の第2接着剤によって接着する構成としてもよい。更に、例えば、接着剤91乃至94として、第2接着剤の硬度よりも低い硬度の例えば合成ゴム系の接着剤を用いてもよい。ここで、例えば、レンズホルダ67と補強板8との間に、硬度の高いエポキシ樹脂系の接着剤のみを塗布して、レンズホルダ67に対して補強板8を接着した場合、レンズホルダ67の共振周波数を高くすることはできるが、共振のゲインも大きくなる。尚、共振のゲインとは、レンズホルダ67の脚板672、673が共振した際に、脚板672、673の−Z側の端部が夫々、タンジェンシャル方向に沿って変位する変位量のことである。共振周波数を、通常使われている周波数よりも高い周波数(例えば20kHz以上)にシフトしたとしても、共振のゲインが大きい場合、例えば、光ディスク5の情報を倍速モードで読み取る際に、光ディスク5からの良好な情報の読み取りが妨げられる虞がある。レンズホルダ67に対して補強板8を取り付ける際に、第1接着剤と第2接着剤とを用いることによって、共振周波数を通常使われている周波数よりも高くすると共に、レンズホルダ67の振動を吸収して共振のゲインを、硬度の高い接着剤で固定した構成の共振のゲインよりも小さくすることができる。よって、更に、接着剤91乃至94として、第2接着剤の硬度よりも低い硬度の例えば合成ゴム系の接着剤を用いることによって、レンズホルダ67の振動を更に吸収して、共振のゲインを更に小さく抑えることができる。
【符号の説明】
【0074】
5 光ディスク
5A 第1光ディスク
5B 第2光ディスク
5C 第3光ディスク
6 アクチュエータ
8 補強板
11A、11B 第1レーザダイオード
12 第1回折格子
13 第1の1/2波長板
15 第1立上ミラー
16 第1対物レンズ
17 第1ホルダ
21 第2レーザダイオード
22 第2回折格子
23 第2の1/2波長板
24 カップリングレンズ
25 第2立上ミラー
26 第2対物レンズ
27 第2ホルダ
31 フロントモニタダイオード
32 ビームスプリッタ
33 コリメートレンズ
34 1/4波長板
35 反射ミラー
36 ハーフミラー
37 検出レンズ
38 光検出器
50 ハウジング
67 レンズホルダ
71、74 第1フォーカスコイル
72、75 第2フォーカスコイル
73、76トラッキング方向
91、92、93、94 接着剤
91A、92A、93A、94A 切欠
100 光ピックアップ装置
110 第1レーザ光源
210 第2レーザ光源
671 保持板
672、673 脚板
A、B、D 補強部
C 湾曲アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物レンズが保持される矩形状の保持板と、
前記保持板の相対する二辺から同じ方向に立ち上がり、前記対物レンズをフォーカス方向及びトラッキング方向の少なくとも一の方向に変位させるためのコイルが夫々取り付けられる平板状の第1及び第2脚板と、
前記保持板と前記第1及び第2脚板との、前記保持板と前記第1及び第2脚板とで取り囲まれる側の面に取り付けられる補強板と、
を備え、
前記補強板は、前記第1及び第2脚板に夫々対向する第1及び第2補強部と、前記保持板に対向する第3補強部と、からなる一体板を有し、
前記第1補強部は、前記第1脚板の一部を露出させ、前記第1補強部及び前記第1脚板を接着剤で接着するための溝を有する
ことを特徴とする対物レンズホルダ。
【請求項2】
前記第1補強部及び第3補強部は、前記第1脚板及び前記保持板の一部を連続的に露出させ、前記第1補強部及び前記第1脚板と前記第3補強部及び前記保持板とを同一の接着剤で接着するための溝を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の対物レンズホルダ。
【請求項3】
前記第2補強部は、前記第2脚板の一部を露出させ、前記第2補強部及び前記第2脚板を接着剤で接着するための溝を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の対物レンズホルダ。
【請求項4】
前記第2補強部及び第3補強部は、前記第2脚板及び前記保持板の一部を連続的に露出させ、前記第2補強部及び前記第2脚板と前記第3補強部及び前記保持板とを同一の接着剤で接着するための溝を有する
ことを特徴とする請求項3に記載の対物レンズホルダ。
【請求項5】
前記補強板は、前記保持板の前記二辺の間の中心線を境に線対称な形状を呈する
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の対物レンズホルダ。
【請求項6】
前記一体板の端は、前記保持板から略垂直に立ち上がる形状を呈し、
前記溝は、前記一体板の端に隣り合うように形成される
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の対物レンズホルダ。
【請求項7】
前記保持板と前記第1及び第2脚板とは、樹脂を用いて一体成形され、
前記補強板は、金属板を折り曲げ加工して形成される
ことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の対物レンズホルダ。
【請求項8】
前記請求項1乃至7の何れかに記載の対物レンズホルダと、
前記対物レンズと、
前記コイルと、
前記コイルに対向するマグネットと、
前記対物レンズホルダを変位させるアクチュエータと、
を備えたことを特徴とする対物レンズ駆動装置。
【請求項9】
レーザダイオードと、
前記レーザダイオードが発光するレーザ光を前記対物レンズに案内する前記立上ミラーを含む光学素子と、
前記請求項8に記載の対物レンズ駆動装置と、
を備えたことを特徴とする光ピックアップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−109805(P2013−109805A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254180(P2011−254180)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】