説明

対象物に光を付与するための光付与装置

本発明は、光を対象物3に付与するための光付与装置1に関する。光源4は、対象物3に入射する検知光5及び処理光2を生成する。光検出器8は対象物3から離れた後に検知光5を検出し、制御ユニット9は、処理時間間隔で処理光2及び検知時間間隔で検知光5が交互に生成されるように、光源4を制御する。処理光及び検知光が交互に生成されるので、処理光及び検知光の生成が切り離される、すなわち処理光が処理目的のために最適化でき、検知光が検知目的のために最適化できる。これは、対象物を検知する質、よって対象物の特性に依存して光の付与を制御する質を改善可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物に光を付与するための光付与装置、光付与方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
国際特許出願公開公報WO2007/106339A2は、皮膚を処置する、例えば、皮膚から毛髪を除去するため人の皮膚に光を付与するための光付与装置を開示している。実施例では、一つ以上の発光ダイオードからの光が皮膚を処置するために使われ、光の一部はセンサへ反射される前に表皮及び特に真皮を通過する。電子制御システムは、装置の動作を制御するためにセンサの出力を使用する。これは、皮膚の特性に依存して装置の動作を制御可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、対象物の特性に依存して光の付与の制御が改善できる、対象物に光を付与するための光付与装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の態様では、対象物を処理するための処理光と、対象物を検知するための検知光とを生成し、処理光及び検知光を対象物に入射させる光源と、対象物から離れた後の検知光を検出するための光検出器と、光源が処理時間間隔で処理光及び検知時間間隔で検知光を交互に生成するように光源を制御するための制御ユニットとを有する、対象物に光を付与するための光付与装置が示される。
【0005】
処理光及び検知光が交互に生成されるので、処理光及び検知光の生成が切り離され、すなわち処理光が処理目的のため最適化され、検知光が検知目的のため最適化できる。これは、対象物を検知する質を改善し、よって対象物の特性に依存して光の付与を制御する質を改善可能にする。
【0006】
光源は、好適には半導体光源、特に、発光ダイオード、有機発光ダイオード又はレーザダイオードである。
【0007】
半導体光源は、非常に速く切替えできる。これは、例えば、検知光で対象物を検知するため2、3ミリ秒だけ処理光での対象物の処理を中断し、すなわち、処理手順が、対象物を処理する効率を損なわずに、対象物を検知するために中断可能にする。
【0008】
処理光は、好適には、より少ない痛み及びより少ない副作用を持つ効率的な脱毛を可能にするために、光が主に毛包のメラニンに吸収され周囲の皮膚への吸収が少ないことを可能にする、スペクトル放射及びパワー密度を持つ光である。処理光は、好適には570―1200nmの範囲の波長及び2―30J/cmの範囲のエネルギー密度を持つ。
【0009】
検知光は、好適には570―1200nmの波長範囲内の波長、及び特に、処理光のエネルギー密度より小さいか又は光源により作れる最大エネルギー密度に等しい処理光のエネルギー密度と異なるエネルギー密度を持つ。
【0010】
光源は、検知光が対象物まで進んだ後、対象物から離れるように、検知光を対象物に入射させるのに適している。
【0011】
光検出器は、好適にはフォトダイオードである。
【0012】
制御ユニットは、光源が処理時間間隔で処理光を生成し検知時間間隔で検知光を生成することを交互に繰り返すように構成できる。しかしながら、制御ユニットは、また、検知光を用いて対象物を検知するために、対象物の処理を1度だけ中断でき、検知時間間隔は、第1の処理時間間隔と第2の処理時間間隔との間に時間的に位置される。
【0013】
半導体光源は、非常に急速に切替えられる。これは、例えば、検知光で対象物を検出するため2、3ミリ秒だけ、処理光での対象物の処理を中断可能にし、すなわち、処理手順が、対象物を処理する効率を損なわずに対象物を検知するために中断できる。
【0014】
光源が面発光レーザー(VCSEL)を有することが好ましい。VCSELは、上述の波長範囲で高効率を持ち、人の皮膚の毛を取り除くための光付与装置の適用を促進する空間放射特性を持つ。
【0015】
対象物の処理は、好適には、人の皮膚、特に皮膚から毛髪を取り除くための処置である。
【0016】
好適には、光源は、光放射要素のアレイ、特に平面アレンジメントにおいて好適には供給されるVCSELのアレイを有する。
【0017】
光検出器は、好適には光放射要素のアレイのそばに配置される。光放射要素及び光検出器のこの配置は、光検出器とそれぞれの光放射要素との間の距離の変化を増大させる。例えば、光放射要素がサブグループで配置される場合、光放射要素のアレイの前又は後に配置される光検出器は、光検出器と光放射要素のそれぞれのサブグループとの間の距離の変化を最大にする。これらのサブグループが、対象物に入射され対象物を通り、最後に光検出器により検出される場合、異なるサブグループから放射される検知光は、異なる距離を持って対象物を通る。従って、異なるサブグループから放射され光検出器により検出される検知光は、対象物により異なる影響を受け、光源を制御するため、特に、光源による処理光の生成を制御するため使用できる増大された様々な情報を導く。
【0018】
光放射要素の空間密度が当該アレイの中よりアレイの端で大きい光放射要素のアレイを光源が有するのが更に好ましい。光放射要素のアレイが光放射要素の二次元アレイである場合、アレイの端はアレイの縁とみなすことができる。
【0019】
一般に、処理光が向けられる対象物の位置は、単一の光放射要素により影響されるのではなく、幾つかの隣接された光放射要素により影響される。光放射要素のアレイ端部で光放射要素が減少した数の隣を持つので、対象物を処理するために使われる処理光の強度は、より少ない光放射要素が対象物のそれぞれの位置に影響するので、光放射要素のアレイ端部で低減される。光放射要素のアレイ端部で光放射要素の密度がアレイの中より大きい場合、このより大きい空間密度は、光放射要素のアレイ端部で低減された処理効果を打ち消すことができる。特に、光放射要素のアレイ端部での光放射要素の空間密度は、光放射要素のアレイ端部に配置される対象物の位置が光放射要素のアレイに関してより中心に配置される対象物の位置と同じ強度を受信するように構成される。
【0020】
長手方向に幅寸法より大きい長手寸法を持ち幅方向に幅寸法を持つ矩形形状の光放射要素のアレイを、光源が有するのが更に好ましい。
【0021】
この矩形形状は、一次元の形状としてみなすこともできる。長手寸法は、好適には数センチメートルの範囲であり、幅寸法は、好適には数ミリメートルの範囲である。特に、長手寸法は、好適には1cmより大きく、好適には3cmより小さい。幅寸法は、1mmより好適には大きく3mmより好適には小さい。
【0022】
予め定められたパルス長を持つ処理光のパルスを皮膚に付与することが、更に好ましい。二次元の矩形形状を持つ光源が定位置で皮膚に置かれる場合、このとき、パルス長は光源がこの位置でスイッチを入れられる時間間隔の長さにより決定される。一次元の矩形形状を持つ光源がその幅方向に皮膚間をたどる場合、パルス長は追跡速度により割られるこの幅方向にほぼ等しい。
【0023】
光検出器が長手方向に光放射要素のアレイのそばに配置されることが、更に好ましい。
【0024】
これは、更に、光放射要素のアレイがサブグループに分けられる場合、光検出器とそれぞれの光放射要素との間、特に、光検出器とそれぞれのサブグループとの間の距離の変化を増大させる。
【0025】
すでに上述したように、光放射要素のアレイは、好適にはサブグループに分けられる。制御ユニットは、好適には、互いに独立してサブグループを制御するのに適している。例えば、制御ユニットは、異なるサブグループの光放射要素が所望の照明プロフィールを生成するために、異なる波長及び/又は異なる強度を持つ光を放射するように、互いに独立してサブグループを制御するのに適している。好適には、同じサブグループの光放射要素は、同じ波長を持つ光を放射及び/又は同じ強度を持つ光を放射する。光検出器は、好適には、サブグループの光放射要素の平均的位置までで異なる距離を持つ位置に位置される。また、これは、それぞれのサブグループまでの光検出器の距離の変化を増大させる。
【0026】
光源がサブグループに分けられる光放射要素のアレイを有することが好ましく、制御ユニットは、1つのサブグループだけが検知時間間隔内の時間に検知光を放射するように、光源を制御するのに適している。
【0027】
これは、異なるサブグループにより放射され光検出器により検出される検知光を容易に区別可能にする。光検出器により検出される前にそれぞれの検知光が進む経路の距離は、少なくともほぼ既知である。光検出器により検出される検知光から、特に、検出される検知光の強度から、対象物の特性は、特に、光検出器により検出される前にそれぞれの検知光が進む経路に沿って決定できる。
【0028】
光付与装置は、更に、主に対象物から来る光が検出されることを確実にするため光検出器周辺に開口部を有することが好ましい。
【0029】
この開口部は、好適には漏斗形状を持つ。
【0030】
光付与装置は、対象物に関して光源の動きの速度を測定するための速度測定ユニットを有するのが更に好ましく、制御ユニットは、測定された速度に依存して光源を制御するのに適している。特に、制御ユニットは、光源が対象物の異なる部分にわたって対象物に関して移動する場合、対象物の異なる部分が処理光で同様に照射されるように、測定された速度に依存して光源を制御するのに適している。
【0031】
これは、光付与装置が対象物に関して不均一に移動する場合であっても、対象物が均一に処理されることを確実にする。光付与装置は、好適には、人により保持でき、人の皮膚の種々異なる部分を処置するために、人の皮膚に関して人により動かせる手で持てるサイズの装置である。
【0032】
制御ユニットは、処理光、特に処理光の波長及び/又は強度が、検出された検知光に依存して生成されるように光源を制御するのに適している、特に、制御ユニットは、処理光が、検出された検知光を表す光検出器により生成される信号の振幅に依存して生成されるように光源を制御するのに適していることが好ましい。
【0033】
検出された検知光は、対象物の特性を表す。よって、処理光が、検出された検知光に依存して生成されるように光源を制御することにより、対象物の処理は、対象物の特性に従って実施できる。
【0034】
制御ユニットは、検出された検知光から検知光の吸収を決定し、決定された吸収に依存して処理光が生成されるように、光源を制御するのに適していることが、更に好ましい。これは、対象物の吸収特性に依存して処理光を制御可能にする。
【0035】
制御ユニットは、更に、対象物の他の特性を、特に検知光の吸収に基づいて決定するのに適している。例えば、皮膚タイプ、肌色及び/又は肌焼けの程度は、検出された検知光に基づいて、特に、決定された吸収に基づいて決定できる。制御ユニットは、好適には、対象物の決定された特性、特に、検知光の決定された吸収と処理光の特性との間の割当てを定める関数又はルックアップテーブルを有する。よって、対象物の特性が決定された後、処理光は、制御ユニットに保存されている処理光の特性に従って生成できる。対象物の決定された特性と処理光の特性との間の対応する割当ては、好適には、較正測定により決定される。検出された検知光に依存して対象物の特性を決定するために、検出された検知光と対象物の特性との間の割当てを表している関数又はルックアップテーブルも使用でき、これらの割当ても較正測定により決定できる。例えば、検知光は既知の特性を持つ対象物に付与でき、検出された検知光は、対応する割当てを生成するため対象物の既知の特性に割り当てられる。
【0036】
光源は、サブグループに分けられる光放射要素のアレイを有するのが更に好ましく、制御ユニットは、検知時間間隔で第1の検知光が第1のサブグループから放射され、第2の検知光が第2のサブグループから放射されるように光源を制御するに適していて、第1の検知光及び第2の検知光は光検出器により検出され、制御ユニットは、検出された第1の検知光及び検出された第2の検知光に依存して光源を制御するに適している。
【0037】
特に、制御ユニットは、好適には、処理光が第1の検知光及び第2の検知光に依存して生成されるように光源を制御するのに適している。制御ユニットは、光検出器により生成される信号の振幅に依存して光源を制御するのに適している、すなわち制御ユニットが検出された第1の検知光を表す第1の信号の第1の振幅と、検出された第2の検知光を表す信号の第2の振幅とに依存して光源を制御するに適していることが、更に好ましい。
【0038】
これらの振幅は、対象物の光特性、よって対象物、特に皮膚への処理光の浸透深度を表す。このように、処理光が検出された第1の検知光及び検出された第2の検知光に依存して生成されるように制御ユニットを適応させることにより、処理光、特に、強度及び波長は、対象物への処理光のそれぞれの浸透深度に適している。
【0039】
対象物が人間又は動物の皮膚であることが更に好ましく、制御ユニットは、検出された第1の検知光及び検出された第2の検知光から皮膚の真皮の第1及び第2の検知光の吸収と皮膚の表皮の第1及び第2の検知光の吸収とを決定し、処理光が表皮の決定された吸収及び真皮の決定された吸収のうちの少なくとも1つに依存して生成されるように光源を制御するのに適している。特に、制御ユニットは、処理光が表皮の決定された吸収に依存して生成されるように光源を制御するのに適している。
【0040】
光源から光検出器への途中に、検知光は、最初に表皮を通過し、真皮を通過し、最後に2回目の表皮通過をする。表皮は、皮膚の一番上の層であって、一般に厚さわずか約0.1mmである。表皮は、光を吸収し、肌色及び肌焼けの程度を決定するメラニンを含む。表皮の光散乱は、比較的弱くて、皮膚のこの層の小さな厚みのため、一般に無視できる。一般に数ミリメートルの厚さを持つ真皮が表皮の下にある。真皮では、光は、ヘモグロビン及び水により吸収される。更にまた、光は真皮内で散乱し、これにより皮膚の表面に平行して拡散し、光検出器に到達される。光源から光検出器まで拡散する光は、以下の式に従って、光源から光検出器までの光の強度の指数関数的な減衰により、概略的に特徴づけられる。

(1)
ここで、Iは光源での検知光の強度であり、Iは光検出器での検知光の強度であり、αは表皮の吸収係数を表し、αは真皮の吸収係数を表し、xは表皮内を検知光が進む距離であり、xは真皮内を検知光が進む距離である。真皮内を第1の検知光が進む距離が真皮内を第2の検知光が進む距離と異なる場合、このとき、検出された第1の検知光を表す第1の信号の第1の振幅及び検出された第2の検知光を表す第2の信号の第2の振幅は、表皮の吸収係数α及び真皮の吸収係数αを決定可能にし、表皮内を検知光が進んだ距離xが、既知であって約0.1mmである表皮の厚みの2倍であり、真皮内を検知光が進んだ距離xが光源と光検出器との間の距離により与えられると仮定される。光源が異なる位置に配置される光放射要素のアレイを有する場合、距離xは、好適には、光放射要素の平均位置と光検出器の位置との間の距離であるとみなされる。光検出器が異なる位置に配置される幾つかの光検知素子を有する場合、これらの光検知素子の平均位置が、好適には、光源と光検出器との間の距離を決定するために使われる。このとき、肌色/肌のタイプ及び肌焼けの程度は、表皮の吸収特性、すなわちαから決定できる。
【0041】
吸収係数α及びαは、吸収係数が対象物の吸収だけでなく、対象物の散乱にも依存するので、効果的な吸収係数とみなすことができる。
【0042】
処理光が検知光の吸収に依存して生成されるように光源を制御するために、制御ユニットは、好適には、処理光の特性を検知光の決定された吸収に割り当てる関数又はルックアップテーブルを有する。例えば、処理光の強度及び/又は波長は、制御ユニットにより決定される吸収係数に割り当てられる。処理光の特性と検知光の吸収との間の割当ては、較正測定により前もって決定できる。例えば、人間又は動物の皮膚に対する処理光の最適化された特性が既知である場合、検知光の吸収は皮膚に対して決定でき、決定された吸収は割当てを生成するため処理光の最適化された特性に割り当てられ、制御ユニットに保存できる。
【0043】
光付与装置が脱毛装置であることが更に好ましい。
【0044】
本発明の他の態様では、対象物を処理するための処理光及び対象物を検知するための検知光を光源により生成して、処理光及び検知光を対象物に入射させるステップと、対象物から離れた後の検知光を光検出器により検出するステップと、光源が処理時間間隔で処理光及び検知時間間隔で検知光を交互に生成するように光源を制御ユニットにより制御するステップとを有する、対象物に光を付与する光付与方法が提示される。
【0045】
本発明の他の態様では、コンピュータプログラムが光付与装置を制御しているコンピュータ上で実行されるとき、請求項1に記載の光付与装置に請求項13に記載の光付与方法のステップを実施させるためのプログラムコード手段を有する、対象物に光を付与するためのコンピュータプログラムが提示される。
【0046】
請求項1に記載の光付与装置、請求項13に記載の光付与方法及び請求項14に記載のコンピュータプログラムは、特に従属請求項に規定されるような類似及び/又は同一の好ましい実施例を持つと理解されたい。
【0047】
本発明の好ましい実施例は、また、従属請求項とそれぞれの独立請求項との任意の組合せでもよいことは、理解されたい。
【0048】
本発明のこれら及び他の態様は、これ以降説明される実施例を参照して明らかに説明されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、処理時間間隔の間の光付与装置の実施例を模式的且つ例示的に示す。
【図2】図2は、検知時間間隔の間の光付与装置を模式的且つ例示的に示す。
【図3】図3は、光付与装置のVCSELのアレイを模式的且つ例示的に示す。
【図4】図4は、手で持てるサイズの装置として形成されている光付与装置の外ケーシングを模式的且つ例示的に示す。
【図5】図5は、光付与装置の他の実施例のVCSELの配置を模式的且つ例示的に示す。
【図6】図6は、対象物に光を付与する光付与方法の実施例を例示しているフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は、対象物に光を付与するための光付与装置の実施例を模式的且つ例示的に示す。光付与装置1は、対象物3を処理するための処理光2を生成するための光源4を有する。この実施例では、対象物3は人の皮膚であり、処理光が皮膚から毛髪を取り除くために使われる。光付与装置は、更に、処理時間間隔で処理光2及び検知時間間隔で検知光5を交互に生成するように光源4を制御するための制御ユニット9を有する。図1は、処理時間間隔の光付与装置1を示し、すなわち、図1は、毛髪を取り除くため皮膚3への処理光2の入射を示す。
【0051】
図2は、検知時間間隔の光付与装置1を模式的且つ例示的に示す。光源4は、検知時間間隔で対象物3を検知するための検知光5を生成するのに適していて、検知光5は対象物3に入射される。皮膚3への検知光5のこの入射は、図2の破線の矢印7により示される。図2の破線矢印5により示されるように、検知光は対象物3を通って進み、対象物3を通った後、検知光5が対象物3から離れる。
【0052】
光付与装置1は、更に、対象物3から離れた検知光5を検出するための光検出器8を有する。
【0053】
処理光2及び検知光5が交互に生成されるので、処理光2及び検知光5の生成は切り離されている。この実施例では、処理光2は、処理目的のため、特に皮膚の組織に実質的に悪影響を与えることなく皮膚3の毛を取り除くために最適化されていて、検知光5は検知目的のために最適化されている。特に、処理光2は、より少ない痛み及びより少ない副作用を持つ効果的な脱毛を可能にするために、処理光2が主に毛包のメラニンに吸収され、周囲の皮膚にあまり吸収されない、スペクトル放射及びパワー密度を持つ。処理光2は、570―1200nmの範囲の波長及び2―30J/cmの範囲のエネルギー密度を持つ。検知光5は、好適には、570―1200nmの範囲の波長を持つが、検知光5は、好適には、処理光2の強度と異なる強度を持つ。制御ユニット9は、検知光5の強度が検知時間間隔の間に修正されるように、光源4を制御するのに適している。
【0054】
光検出器8は、この実施例ではフォトダイオードである。
【0055】
制御ユニット9は、光源4が処理時間間隔で処理光2及び検知時間間隔で検知光5を繰り返し且つ交互に生成するように適合される。制御ユニット9は、検知光5を用いて対象物3を検知するために、対象物3の処理を1度だけ中断するのにも適合でき、検知時間間隔は、第1の処理時間間隔と第2の処理時間間隔との間に時間的に位置する。
【0056】
この実施例では、光源4は、平面アレンジメントでVCSELのアレイを有する。光検出器8は、VCSELのアレイのそばに配置される。VCSELのアレイは、更に詳細に図3に模式的且つ例示的に示される。
【0057】
図3で分かるように、光源4は、長手方向13に長手寸法及び幅方向14に幅寸法を持つ矩形形状のVCSELのアレイ11を有し、長手寸法は幅寸法より大きい。この矩形形状は、一次元の形状とみなすこともできる。長手寸法は好適には数センチメートルの範囲であり、幅寸法は好適には数ミリメートルの範囲である。この実施例では、長手寸法は1cmより大きく3cmより小さい、幅寸法は1mmより大きく3mmより小さい。光検出器8は、長手方向13にVCSEL12のアレイ11のそばに配置される。
【0058】
VCSEL12のアレイ11は、サブグループ111、112、113、121、122、123に分けられ、制御ユニット9は、所望の照射プロフィールを生成するために、異なるサブグループ111、112、113、121、122、123のVCSELが異なる波長及び/又は異なる強度を持つ光を放射するように、互いに独立してサブグループ111、112、113、121、122、123を制御するように適合している。好適には、同じサブグループのVCSEL12は、同じ波長を放射し、及び/又は同じ強度を持つ光を放射する。
【0059】
光検出器8は、それぞれのサブグループ111、112、113、121、122、123のVCSEL12の平均的位置までで異なる距離を持つ位置に位置される。制御ユニット9は、好適には、サブグループ111、112、113、121、122、123のうちの1つだけが検知時間間隔の時に検知光5を放射するように、光源4を制御するのに適合している。これは、異なるサブグループにより放射され光検出器8により検出される検知光を容易に識別可能にする。
【0060】
再び図1及び図2を参照すると、光付与装置1は、更に、対象物3から主に来る光が検出されることを確実にするため光検出器8のまわりに開口部10を有する。この開口部10は、漏斗の形状を持つ。
【0061】
光付与装置1は、更に、対象物に対する光源の動きの速度を測定するための速度測定ユニット15を有する、制御ユニット9は、測定された速度に依存して光源4を制御するのに適している。特に、制御ユニット9は、光源4が対象物3の異なる部分上を対象物3に対して移動する場合、対象物3の異なる部分が処理光2で同様に照射されるように、測定された速度に依存して光源4を制御するのに適している。光付与装置1が対象物3に対して不均一に移動する場合であっても、これは対象物3が均一に処理されることを確実にする。
【0062】
速度測定ユニット15は、好適には、光マウスセンサとタイマーとを有する。光マウスセンサは光源の変位を測定し、タイマーは時間を測定する。これらから、光源の速度は、時間により割られた変位として計算される。光マウスセンサは、発光ダイオード又はレーザダイオードから放射される光で表面を照射し、表面から反射される光を検出する。光マウスセンサは、例えば、Avago、フィリップス及びSTマイクロエレクトロニクスから入手可能である。
【0063】
光付与装置1は、好適には手で持てるサイズの装置として形成され、図4に模式的且つ例示的に示されている。図1乃至図3を参照して上述された要素は、手で光付与装置1を把持するために好適に使用されるハンドヘルド部分17と、処理光2及び検知光5を交互に放射するため少なくとも光源4を有する光放射部分18とを有するケース19内に好適には位置される。ハンドヘルド装置として形成されるこの光付与装置1は、人により保持でき、人の皮膚3の異なる部分を処置するために、人の皮膚3に対して人により移動できる。
【0064】
図3では、VCSEL12のアレイ11は、長手方向13のVCSEL12の3本のラインを有するとして示されている。しかしながら、光付与装置は、VCSELのより多くのライン又はより少ないラインも有し得る。その上、各ラインは、多少のVCSELを有する。図5は、対象物に光を付与するための光付与装置の図1乃至図3を参照して上述された他の要素と共に使われる光源304を模式的且つ例示的に示す。光源304は、5つの異なるサブグループを定めているVCSELの5本のラインを有するVCSEL311のアレイを有する。また、これら5つのサブグループは、制御ユニット9により互いに別々にアドレス指定できる。特に、異なるサブグループは、所望の光プロフィールを供給するために同じ及び/又は異なる強度、同じ及び/又は異なる波長を放射できる。
【0065】
層320は、VCSELが取り付けられるサブマウントである。斯様なサブマウントは、例えば、銅、金、銀、パラジウム銀若しくは他の金属又は金属化合物でめっきされた、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、セラミック又は酸化ベリリウムから出来ている。代わりに、VCSELは、銅のサブマウントに直接取り付けられる。層321は、熱分散部材及びヒートシンクとして役立ち、例えばアルミニウム又は銅から作られている。
【0066】
図1乃至図3を再度参照すると、制御ユニット9は、処理光2が検出された検知光5に依存して生成されるように光源4を制御する、特に制御ユニットは、処理光が、検出された検知光を表す光検出器により生成される信号の振幅に依存して生成されるように光源を制御するに適している。検出された検知光5は、対象物3の特性を表す。よって、処理光2が、検出された検知光5に依存して生成されるように光源4を制御することにより、対象物3の処理は、対象物3の特性に従って実施できる。
【0067】
この実施例では、制御ユニット9は、検出された検知光5から対象物3の特性を決定し、処理光2が対象物3の決定された特性に依存して生成されるように、光源4を制御するのに適している。よって、処理光2の付与は、検出された検知光5に依存して直接実施でき、又は処理光2の付与は、検出された検知光5から決定される対象物の特性に依存して実施できる。
【0068】
制御ユニット9は、検出された検知光6からの検知光5の吸収を決定し、処理光2が決定された吸収に依存して生成されるように、光源4を制御するのに適していることが更に好ましい。これは、対象物3の吸収特性に依存して処理光2を制御可能にする。
【0069】
制御ユニット9は、特に、検知光5の吸収に基づいて、対象物3の他の特性を決定するのに更に適している。例えば、皮膚タイプ、肌色及び/又は肌焼けの程度は、検出された検知光5に基づいて、特に、決定された吸収に基づいて決定できる。制御ユニット9は、好適には、対象物3の決定された特性、特に検知光5の決定された吸収と処理光2の特性との間の割り当てを定めている関数又はルックアップテーブルを有する。よって、対象物3の特性が決定された後、処理光2は制御ユニット9に保存されている処理光2の特性に従って生成できる。対象物3の決定された特性と処理光2の特性との間の対応する割当ては、較正測定により決定される。検出された検知光5に依存して対象物3の特性を決定するために、検出された検知光5と対象物3の特性との間の割当てを表す関数又はルックアップテーブルも使用でき、これらの割当ては較正測定によっても決定できる。例えば、検知光5は既知の特性を持つ対象物3に付与でき、検出された検知光5は、対応する割当てを生成するため対象物3の既知の特性に割り当てられる。検知光の吸収は、好適には以下の式に従って決定される。

(2)
ここで、xは、光源と光検出器との間の距離を示し、αは対象物の吸収係数を示し、効果的な吸収係数とみなすことができる。距離xは既知であるので、光源により放射される強度I及び光検出器により検出されるIを測定することにより、吸収係数αが決定できる。制御ユニット9は、決定された吸収係数αに依存して処理光2の生成を制御するために適合できる。光源が異なる位置に配置される光放射要素のアレイを有する場合、これらの光放射要素の平均位置が光源と光検出器との間の距離を決定するために使われ、光検出器が異なる位置に配置される幾つかの光検知素子を有する場合、これらの光検知素子の平均位置が光源と光検出器との間の距離を決定するために使われる。
【0070】
制御ユニット9は、検知時間間隔で第1の検知光が第1のサブグループから放射され、第2の検知光が第2のサブグループから放射されるように光源4を制御するのに適合でき、第1の検知光及び第2の検知光は光検出器8により検出され、制御ユニット9は、検出された第1の検知信号及び検出された第2の検知信号に依存して光源4を制御するのに適している。特に、制御ユニット9は、処理光2が第1の検知光及び第2の検知光に依存して生成されるように光源4を制御するのに適している。
【0071】
制御ユニット9は、好適には、処理光2が第1の検知光及び第2の検知光に依存して生成されるように、光源4を制御するのに適している。制御ユニット9は、光検出器8により生成される信号の振幅に依存して光源4を制御するのに適している、すなわち制御ユニット9は、検出された第1の検知光を表す第1の信号の第1の振幅及び検出された第2の検知光を表す第2の検知信号の第2の振幅に依存して光源を制御するのに適していることが更に好ましい。
【0072】
これらの振幅は、対象物3の光特性、よって対象物3、特に皮膚への処理光2の浸透深度を示す。このように、処理光2が検出された第1の検知光及び検出された第2の検知光に依存して生成されるように、制御ユニット9を適合させることにより、処理光2、特に、強度及び波長は、対象物3への処理光2のそれぞれの浸透深度に適合できる。
【0073】
対象物3が人間又は動物の皮膚であることが更に好ましく、制御ユニット9は、表皮の決定された吸収及び真皮の決定された吸収の少なくとも1つに依存して、特に、表皮の決定された吸収係数及び真皮の決定された吸収係数の少なくとも1つに依存して処理光2が生成されるように光源4を制御するために、皮膚の表皮の第1及び第2の検知光の吸収と、検出された第1の検知光及び検出された第2の検知光から真皮の第1及び第2の検知光の吸収とを決定するのに適している。特に、制御ユニット9は、処理光2が表皮の決定された吸収に依存して生成されるように、光源4を制御するのに適している。
【0074】
光源4から光検出器8への途中で、検知光は、最初に表皮を通過し、真皮を通過し、最後に2回目の表皮通過を行う。表皮は、皮膚の一番上の層であり、一般に厚さわずか約0.1mmである。表皮は、光を吸収して、肌色及び肌焼けの程度を決定するメラニンを含む。表皮の光散乱は、比較的弱く、皮膚のこの層の小さな厚みのため、一般に無視できる。表皮の下に、一般に数ミリメートルの厚さを持つ真皮がある。真皮内で、光は、ヘモグロビン及び水により吸収される。更にまた、光は、真皮内で散乱され、皮膚の表面と平行に拡散し、光検出器8に到達する。光源4から光検出器8へ拡散する光は、式(1)に従って、光源4から光検出器8までのその強度の指数関数的な減衰により概略的に特徴づけられる。
【0075】
真皮内を第1の検知光が進む距離が、真皮内を第2の検知光が進む距離とは異なる場合、検出された第1の検知光を表す第1の信号の第1の振幅及び検出された第2の検知光を表す第2の信号の第2の振幅は、表皮の吸収係数α及び真皮の吸収係数αを決定可能にし、ここで、表皮内を検知光が進む距離xが、約0.1mmであると知られている表皮の厚みの2倍であって、真皮内を検知光が進む距離xが、光源4と光検出器8との間の距離により与えられると仮定される。光源4が異なる位置に配置される光放射要素のアレイ11を有する場合、距離xは、好適には、光放射要素の平均位置と光検出器8の位置との間の距離であるとみなされる。光検出器8が、異なる位置に配置される幾つかの光検知素子を有する場合、これらの光検知素子の平均位置が、好適には、光源4と光検出器8との間の距離を決定するために使われる。このとき、肌色/タイプ及び肌焼けの程度は、表皮の吸収特性、すなわちαから決定できる。
【0076】
吸収係数α及びαは、効果的な吸収係数とみなすことができる。
【0077】
処理光2が検知光の吸収に依存して生成されるように、光源4を制御するために、制御ユニット9は、好適には、処理光2の特性を検知光の決定された吸収に割り当てる関数又はルックアップテーブルを有する。例えば、処理光2の強度及び/又は波長は、制御ユニット9により決定される吸収係数に割り当てられる。処理光2の特性と検知光の吸収との間の割当ては、較正測定により前もって決定できる。例えば、人間又は動物の皮膚に対して処理光2の最適化特性が既知である場合、検知光の吸収が皮膚に対して決定でき、決定された吸収は割当てを生成するため処理光2の最適化特性に割り当てられ、当該割り当ては制御ユニット9に保存できる。
【0078】
実施例では、VCSELのアレイは、アレイの中よりもアレイの端で大きいVCSELの空間密度を有する。VCSELのアレイが二次元アレイである場合、端はアレイの縁とみなされ、すなわちこの場合、VCSELの空間密度が、好適には、アレイの中よりアレイの縁で大きい。
【0079】
処理光2が向かう対象物3の位置は、単一のVCSEL12により影響されず、幾つかの隣接するVCSELに影響される。VCSELのアレイ端部でVCSELが減少した数の隣を持つので、対象物3を処理するために使われる処理光2の強度は、より少ないVCSELが対象物3のそれぞれの位置に影響するので、VCSELのアレイ端部で減少する。VCSELのアレイ端部でVCSELの空間密度がアレイの中でより大きい場合、このより大きな空間密度は、VCSELのアレイ端部で低下した処理効果を打ち消すことができる。特に、VCSELのアレイ端部でのVCSELの空間密度は、VCSELのアレイ端部に配置される対象物3の位置が、VCSELのアレイに対してより中心に配置される対象物3の位置と同じ強度を受けるように適合される。
【0080】
対象物に光を付与する光付与方法の実施例は、図6に示されるフローチャートを参照して以下に説明されるだろう。
【0081】
ステップ501では、制御ユニット9は、光源4が検知時間間隔で検知光5を生成するように光源4を制御する。検知光は、対象物3に入射する。
【0082】
ステップ502では、検知光が対象物3を通って進んで、対象物3から離れた後、検知光5は光検出器8により検出される。
【0083】
ステップ503では、制御ユニット9は、光源4が、検出された検知光に依存して処理時間間隔で処理光2を生成するように光源4を制御する。処理光は、対象物を処置する、特に、皮膚から毛髪を取り除くために対象物3に入射される。
【0084】
ステップ504では、光の付与を止めるべきか又は継続すべきか決定される。例えば、ユーザは、光付与装置のスイッチを切ることにより、光の付与を止めることができる。この場合、光付与方法は、ステップ505で終わる。例えば、光付与装置がスイッチオフされないので、光付与方法が続く場合、光付与方法はステップ501で継続する。
【0085】
検知時間間隔は、好適には処理時間間隔より小さい。特に、検知時間間隔は、好適には、数百マイクロ秒の期間を持ち、例えば10ミリ秒未満、更に好ましくは1ミリ秒未満であるのに対し、処理時間間隔は、少なくとも数ミリ秒の期間を持ち、例えば、10ミリ秒より大きい期間、更に好ましくは100ミリ秒より大きく、更にもっと好ましくは1秒より大きい。
【0086】
光付与装置は、好適には、輻射熱の脱毛及び皮膚治療アプリケーションのために使用され、VCSELのアレイは、理想的な波長範囲、平面源、電力節約及び信頼性のような複数の利点を提供する。加えて、VCSELのアレイは、光センサを集積する機会を提供し、これは皮膚からのフィードバックを可能にする。
【0087】
単一のフォトダイオードは、レーザアレイと、皮膚を検知するための特別な電気的アドレス指定と組み合わせて使用できる。光付与装置及び光付与方法は、皮膚タイプ及び肌焼けの程度の信頼性が高いフィードバックを与える皮膚の赤外線の吸収のオンライン測定を可能にする。これは、完全な自己適応システムを可能にする。このように、特性決定ユニットは、好適には、検出された検知光に依存して皮膚タイプ及び/又は肌焼けの程度を決定するのに適合され、制御ユニットは、決定された皮膚タイプ及び/又は決定された肌焼けの程度に依存して処理光の生成を制御するのに適している。
【0088】
検知光は、異なる波長を持つ光を放射できる。これは、皮膚への放射線の波長依存的な浸透を測定可能にする。放射線のこの波長依存的な浸透は、処理光の個々の波長が所望の浸透プロフィールを最適化しているレベルに調光されるように、処理光を生成するために使用できる。
【0089】
VCSELを使用する代わりに、フラッシュランプ及びレーザーのような他の種類の光放射要素が使用できる。実施例では、処理光は、570―1200nmの範囲の波長、2―30J/cmの範囲のエネルギー密度及び1―600ms以内のパルス持続期間を持つ。
【0090】
光付与装置は、好適には、皮膚焼け及び痛みのような望ましくない副作用を最小限にしながら、特定の温度を超えて毛包を加熱するのに適している。処理光の理想的な波長及び最適量は、皮膚タイプ、肌焼けの程度等のような個別のパラメータに依存し、従って個々の設定を必要とする。これらの設定は、検出された検知光に依存して制御ユニット9により決定される。
【0091】
光を対象物に付与するために、光源は、好適には、少ない痛み及び少ない副作用を持つ効率的な脱毛を実施するために、レーザーが、狭いスペクトル放射を提供し、パワー密度を正確に制御し、周囲皮膚の吸収に関して毛包のメラニンの最大の吸収を調整可能にするので、VCSELのためのアレイのようなレーザーを有する。
【0092】
VCSELのアレイは、好適には数十Wに達して、必要なレーザーパワーを付与するための費用効果的な態様を表し、幾つかの利点を提供する。多くのVCSELの平面アレンジメントは、形状要因を適合可能にする。単一のVCSELは、好適には約100mWのパワーを持つ。従って、VCSELのアレイは、好適には、数百のVCSELを有する。図4に示される装置のような連続的に可動の手で持てるサイズの装置での脱毛手法のために、ラインに沿って、特に複数のラインに沿って、VCSELを配置することが好適である。更にまた、多くのVCSELの斯様な平面アレンジメントは、ヒートシンクを単純化する。
【0093】
わずかに拡散的な円錐内のVCSELの放射特性は、皮膚まで数ミリメートルの距離に、レンズ又は反射器のような単に付加的な光学系なしに、これらVCSELを使用可能にする。これは、効果的な経費及び平坦なシステムを導く。その上、VCSELは、高いパワー変換効率及び低コストで600―1100nmの波長範囲内で作ることができる。
【0094】
好適にはVCSELの平面アレンジメントであるVCSELのアレイは、好適には、長手方向である一つの長軸及び幅方向である一つの短軸を有する。皮膚の持続的処置のために、手で持てるサイズの装置は、好適には、短軸に沿って移動する。
【0095】
VCSELは、好適には、電子ドライバとみなすこともできる制御ユニットに個々のサブグループで電気的に接続される。サブグループは、例えば、同じ波長を持つVCSEL及び/又は例えば、アレイの一方の側若しくは反対側へ向かう特定の幾何学的な位置周辺のVCSELから成る。
【0096】
光検出器は、好適には、フォトダイオードのような電気光学センサであり、個々のサブグループのVCSELまでの平均距離が異なる位置に配置される。1つのサブグループの検知光は、皮膚を透過して、全方向に散乱し、従って、皮膚を通って例えば光検出器の方へ進み、皮膚を離れて光検出器に当たる。異なるサブグループからの検知光は、光検出器に向かって皮膚の異なる距離を進まなければならない。従って、信号強度は、皮膚の光特性、特に吸収及び散乱に関する情報を含む。
【0097】
光検出器は、好適には、光検出器の隣のはっきり定められた皮膚領域だけから、検知光を受信する。これは、光検出器により検出される検知光が皮膚を通過して現実に進んでいることを確実にする。これは、好適には漏斗形状を持ち、好適には少なくとも検知時間間隔の間、皮膚と接触している、光検出器8周辺の開口部10により実現される。
【0098】
好適には、検知時間間隔の間に、1つのサブグループだけが一度に動作される。これにより、光検出器により受信される検知光がどのサブグループから放射されるかを知ることができる。光検出器により生成される結果として生じる信号は、測定時に動作された、それぞれのサブグループと相関付けられて記録できる。結果は制御ユニットに格納され、処置パラメータがこれらの測定に関係して選ばれ、すなわち制御は、好適には、処理光の設定が、検出された検知光に依存して格納されているルックアップテーブルを有する。これは、光検出器がそれぞれの検知光を検出する場合、検出された検知光と、対象物を処理するために使用されるべき処理光の設定との間の割当てが格納されることを意味する。これらの割当ては、例えば、対象物の処理が光検出器により検出される検知光に依存して最適化されるように、較正測定により決定できる。
【0099】
図3に示されるVCSEL12のアレイ11は、6つのサブグループ111、112、113、121、122、123を有する。しかしながら、制御ユニット9は、これら幾つかのサブグループが単一のサブグループとみなすことができるように、これらのサブグループの幾つかが、同様に制御されるようにも適合できる。例えば、図3に示されるアレイ11が、2つのサブグループ、サブグループ111、112、113からなる第1のサブグループ及びサブグループ121、122、123からなる第2のサブグループから成るとみなすことができるように、3つのサブグループ111、112、113は同様に制御でき、3つのサブグループ121、122、123は同様に制御できる。例えば、第1のサブグループは、検知時間間隔中の第1の時間間隔の間に、第1のサブグループだけが皮膚を通って進み、光検出器により最後に検出される検知光を放射し、同じ検知時間間隔中の第2の時間間隔の間に、第2のサブグループが対象物に検知光を放射して、当該検知光は、対象物を通って進み、光検出器により最後に検出されるように制御できる。よって、このようにして、第1の検知光は第1の時間間隔の間に検出され、第2の検知光は第2の時間間隔の間に検出される。
【0100】
異なるサブグループが、好適には、異なるサブグループが異なってアドレス指定できるように、制御ユニット9に接続されているので、異なるサブグループは、異なる波長を持つ検知光及び/又は処理光を放射できる。好適には、処理光及び/又は検知光のパワーレベル、すなわち強度は、それぞれの皮膚タイプの吸収特性に依存する、それぞれの波長の吸収特性に依存して選択される。しかしながら、特定の所望の照射プロフィールを得るために同じ波長で動作する場合であっても、異なるサブグループのVCSELは、異なるパワーレベルにも設定できる。例えば、同じ波長で動作する場合であっても、サブグループ121、123は、サブグループ122とは異なるパワーレベルに設定できる。これは、側部への熱放散がVCSELのアレイの中心に対するより強いので、特に有利である。
【0101】
動きの方向が、例えば、速度測定ユニット15により実施される速度測定から既知である場合、図3に示される3本のラインは、光源4が皮膚のポイント間を移動する間、時間とともに好ましい温度勾配を得るために異なるパワーレベルで動作できる。
【0102】
検出された検知光は、よって特に、検出された検知光に依存して決定される対象物の特性は、強度、波長、処理光が対象物に繰り返し且つ途切れ途切れに付与される場合の繰り返し周波数、処理光がパルス化されて付与される場合のパルス期間等の処理光の設定のうちの少なくとも1つを決定するために使用できる。
【0103】
上述された実施例では、光源は、好適には、VCSELを有するにもかかわらず、他の実施例では、光源は他の光放射要素を有することもできる。例えば、光源は、発光ダイオード、有機ダイオード及び/又はレーザダイオードのような半導体光源を有することもできる。好適なレーザダイオードは、VCSELである。しかしながら、また、エッジ発光レーザダイオードが、光源の光放射要素として使用できる。
【0104】
上述された光付与装置及び光付与方法が、好適には、人の皮膚から毛髪を取り除くのに適しているにもかかわらず、光付与装置は、他の種類の対象物についての他の種類の処理、例えば、技術的な対象物の表面の処理を実施するためにも使用できる。
【0105】
開示された実施例に対する他の変形例は、図面、明細書及び添付の特許請求の範囲の学習から、請求された本発明を実施する際の当業者により理解され、遂行できる。
【0106】
請求項では、用語「を有する」は、他の要素又はステップを除外しないし、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外しない。
【0107】
単一のユニット又は装置は、請求項に引用される幾つかのアイテムの機能を満たしてもよい。特定の手法が互いに異なる従属請求項において引用されているという単なる事実は、これらの手法の組合せが効果的に使用できないことを示さない。
【0108】
検出された検知光に直接依存する、若しくは対象物の決定された特性に依存する処理光の設定の決定、又は、1つ若しくは複数のユニット又は装置により実施される対象物の特性の決定のような決定は、他の任意の数のユニット又は装置によっても実施できる。光付与方法に従う光付与装置の決定及び/又は制御は、コンピュータプログラムのプログラムコード手段として及び/又は専用ハードウエアとして実行できる。
【0109】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアの一部若しくは共に光記憶媒体又は半導体媒体のような適切な媒体に格納されて/配布されてもよいし、インターネット、又は他の有線若しくは無線通信システムを介してのような他の形式でも配布されてもよい。
【0110】
請求項内の任意の参照符号は、範囲を制限するものとして解釈されてはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を処理するための処理光と、対象物を検知するための検知光とを生成し、処理光及び検知光を対象物に入射させる光源と、対象物から離れた後の検知光を検出するための光検出器と、前記光源が処理時間間隔で処理光及び検知時間間隔で検知光を交互に生成するように前記光源を制御するための制御ユニットとを有する、対象物に光を付与するための光付与装置。
【請求項2】
前記光源が面発光レーザーを有する、請求項1に記載の光付与装置。
【請求項3】
光放射要素の空間密度がアレイの中よりアレイの端で大きい前記光放射要素のアレイを前記光源が有する、請求項1に記載の光付与装置。
【請求項4】
長手方向に幅寸法より大きい長手寸法を持ち幅方向に幅寸法を持つ矩形形状の光放射要素のアレイを、前記光源が有する、請求項1に記載の光付与装置。
【請求項5】
前記光検出器が長手方向に前記光放射要素のアレイのそばに配置される、請求項4に記載の光付与装置。
【請求項6】
前記光源がサブグループに分けられる光放射要素のアレイを有し、前記制御ユニットは、1つのサブグループだけが検知時間間隔内の時間に検知光を放射するように、前記光源を制御する、請求項1に記載の光付与装置。
【請求項7】
主に対象物から来る光が検出されることを確実にするため前記光検出器周辺に開口部を更に有する、請求項1に記載の光付与装置。
【請求項8】
前記制御ユニットは、処理光が、検出された検知光に依存して生成されるように前記光源を制御する、請求項1に記載の光付与装置。
【請求項9】
前記制御ユニットは、検出された検知光から検知光の吸収を決定し、決定された吸収に依存して処理光が生成されるように、前記光源を制御する、請求項8に記載の光付与装置。
【請求項10】
前記光源は、サブグループに分けられる光放射要素のアレイを有し、前記制御ユニットは、検知時間間隔で第1の検知光が第1のサブグループから放射され、第2の検知光が第2のサブグループから放射されるように前記光源を制御し、第1の検知光及び第2の検知光は前記光検出器により検出され、前記制御ユニットは、検出された第1の検知光及び検出された第2の検知光に依存して前記光源を制御する、請求項8に記載の光付与装置。
【請求項11】
対象物が人間又は動物の皮膚であり、前記制御ユニットは、検出された第1の検知光及び検出された第2の検知光から皮膚の真皮の第1及び第2の検知光の吸収と皮膚の表皮の第1及び第2の検知光の吸収とを決定し、処理光が表皮の決定された吸収及び真皮の決定された吸収のうちの少なくとも1つに依存して生成されるように前記光源を制御する、請求項10に記載の光付与装置。
【請求項12】
光付与装置が脱毛装置である、請求項1に記載の光付与装置。
【請求項13】
対象物を処理するための処理光及び対象物を検知するための検知光を光源により生成して、処理光及び検知光を対象物に入射させるステップと、対象物から離れた後の検知光を光検出器により検出するステップと、前記光源が処理時間間隔で処理光及び検知時間間隔で検知光を交互に生成するように前記光源を制御ユニットにより制御するステップとを有する、対象物に光を付与する光付与方法。
【請求項14】
コンピュータプログラムが光付与装置を制御しているコンピュータ上で実行されるとき、請求項1に記載の光付与装置に請求項13に記載の光付与方法のステップを実施させるためのプログラムコード手段を有する、対象物に光を付与するためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−533386(P2012−533386A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521126(P2012−521126)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際出願番号】PCT/IB2010/053122
【国際公開番号】WO2011/010239
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】