説明

対象物の真贋判定方法、真贋判定用画像データの取得方法、対象物の真贋判定システム、真贋判定用画像データの取得システム、及び真贋判定用プログラム

【課題】特に専用の設備を保有しない最終消費者等においても、容易に再帰反射シールを用いて対象物の真贋判定を行うことができる技術を提供する。
【解決手段】顧客(ユーザ)は、多機能携帯通信端末のLEDライトから直進光を再帰反射シールに照射しながらカメラで撮像し、その画像データをセンターに送信する。センターは、送信された画像データを用いて真贋判定を行い、その結果を顧客に通知する。多機能携帯通信端末には真贋判定用アプリケーションをインストールしておき、これを実行することで、LEDライトの点灯やカメラによる撮影が可能になるとともに、画像データの送信まで行うことができる。センターからの通知はメールで受信することができるので、エンドユーザでも真贋判定結果の確認が容易になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再帰反射積層体を用いて行う対象物の真贋判定方法、真贋判定用画像データの取得方法、対象物の真贋判定システム、真贋判定用画像データの取得システム、及び真贋判定用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、再帰反射積層体(積層材料)に情報を記録しておき、再帰反射光を用いてその情報を読みとる先行技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。すなわち、この先行技術は、積層材料を構成するガラスビーズ(微小な球状透明体)固定層の一部の表面を透明樹脂層で覆い、透明樹脂層部分の再帰反射率を露出面より低下させることで、透明樹脂層が設けられた部分と設けられていない部分との再帰反射率の違いを利用してバーコードや二次元コード等の情報を予め記録しておくものである。
【0003】
このため、上記の先行技術によれば、予め情報を記録した再帰反射積層体に直進性の光を照射し、その再帰反射光を視認することにより、そこからバーコードや二次元コード等の情報を読みとることができる。また、ハーフミラーに反射させた直進光を再帰反射積層体に照射し、そこからの再帰反射光をハーフミラー越しに受光して検出信号を生成することにより、検出信号を機械的に解析(デコード)して情報を読みとることもできる。
【0004】
上記の先行技術において、例えばバーコード等に予め真贋判定用のセキュリティ情報を挿入しておけば、その解析結果から再帰反射積層体を用いた真贋判定を行うことが可能である。例えば、各種商品や包装体等の出荷時に予めセキュリティ情報を挿入した再帰反射積層体を貼付しておけば、その流通・販売の過程で適宜、セキュリティ情報の読み取りを行って、商品が真正のものであるか否かの真贋判定を行うことができると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4468902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した先行技術の方法は、再帰反射積層体から情報を読み取るのに専用の設備や装置を必要とする。このため、たとえ再帰反射積層体にセキュリティ情報が挿入されていたとしても、これを用いて真贋判定を行うには、常に専用設備を用意しておかなければならないという問題がある。この点、物流の拠点や小売店等に専用の器具(真贋判定用ライト)を配布することも考えられるが、末端の消費者個人にまで器具を行き渡らせることまでは現実的でない。
【0007】
そこで本発明は、特に専用の設備を保有しない最終消費者等においても、容易に再帰反射積層体を用いて対象物の真贋判定を行うことができる技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明は真贋判定方法を提供する。本発明の真贋判定方法には、以下に示す複数の態様がある。
【0009】
〔真贋判定方法1〕
本発明の真贋判定方法1は、基材層と、基材層の一方の面に積層され、透明微小球の一部分が露出した状態で埋め込まれ、多数の透明微小球が分布して配置された微小球固定層と光反射層とからなり、一定方向より入射した光の少なくとも一部を入射方向へ再帰反射させる再帰反射層と、基材層の他方の面に積層された粘着層と、透明微小球が露出した側の微小球固定層の面上の少なくとも一部にパターン形状をなして設けられた透明樹脂層とを備えた再帰反射積層体を用いて行う対象物の真贋判定方法であり、以下の工程を有する。
【0010】
〔撮像工程〕
この工程では、発光素子及び撮像素子を有する撮像装置を使用する。すなわち、再帰反射積層体に対し、撮像装置の発光素子から再帰反射積層体の表面に向けて直進性の光(直進光)を照射し、このとき、再帰反射層からみて発光素子と撮像素子との間の角度が10度以下となる態様で撮像装置を相対的に配置しながら撮像素子により再帰反射積層体を撮像する。
【0011】
〔送信工程〕
この工程では、撮像工程で撮像して得られた画像データを所定の判定処理装置に送信する。撮像装置は、多機能携帯通信端末であることが好ましい。この場合、多機能携帯通信端末の通信機能を利用して、画像データを携帯通信網やインターネット回線を通じて送信することができる。
【0012】
〔判定工程〕
この工程では、画像データで表される再帰反射積層体の色彩及びパターン形状の有無の少なくとも一方の要素に基づき対象物の真贋判定を行う。ここで「色彩」は、再帰反射層に直進性の光を照射したとき、その再帰反射光に現れる色相、明度、彩度等が該当する。また「パターン形状」は、例えば直進光が照射された範囲に含まれる透明樹脂層の形態(外観)に相当する。
【0013】
〔通知工程〕
この工程では、真贋判定の結果を撮像装置に対して通知する。上記のように、撮像装置が多機能携帯通信端末である場合、真贋判定の結果を携帯通信網やインターネット回線を通じて通知(送信)することができる。
【0014】
本発明の真贋判定方法1によれば、各所の物流拠点や小売店舗において汎用の撮像装置を使用して再帰反射積層体を撮像し、その取得した画像データを送信するだけで、送信先で行われた真贋判定の結果を容易に知ることができる。このため、物流拠点や小売店舗等に専用の設備や装置を設置しておく必要がない。また、真贋判定を行う機能を判定処理装置の設置箇所(例えばサービスセンター)に集中させることで、判定基準を高度に維持しつつ、誤判定を少なくすることができる。
【0015】
〔真贋判定方法2〕
本発明の真贋判定方法2は、真贋判定方法1で用いたものと同様の構成を有する再帰反射積層体を用いて行う対象物の真贋判定方法であり、以下の工程を有する。
【0016】
〔受信工程〕
この工程では、所定の判定処理装置にて再帰反射積層体の画像データを受信する。このとき画像データは、各所の物流拠点や小売店舗、末端消費者個人等において事前に撮像されたものである。画像データの撮像には、発光素子及び撮像素子を有する撮像装置を用いて行われることが好ましい。すなわち、再帰反射積層体に対し、撮像装置の発光素子から再帰反射積層体の表面に向けて直進性の光を照射した場合、再帰反射層からみて発光素子と撮像素子との間の角度が10度以下となる態様で撮像装置を相対的に配置しつつ撮像素子により再帰反射積層体の画像データが撮像される。そして、画像データが撮像装置から送信されると、判定処理装置にて画像データを受信することができる。同様に撮像装置が多機能携帯通信端末であれば、画像データを携帯通信網やインターネット回線を通じて送信することができる。
【0017】
〔判定工程〕
この工程では、判定処理装置にて画像データを受信すると、画像データで表される再帰反射積層体の色彩及びパターン形状の有無の少なくとも一方の要素に基づき対象物の真贋判定を行う。上記の真贋判定方法1と同様に、「色彩」は、例えば再帰反射層に直進性の光を照射したとき、その再帰反射光に現れる色相、明度、彩度等が該当する。また「パターン形状」は、例えば直進光が照射された範囲に含まれる透明樹脂層の形態(外観)に相当する。
【0018】
〔通知工程〕
この工程では、真贋判定の結果を撮像装置に対して通知する。同様に、撮像装置が多機能携帯通信端末である場合、真贋判定の結果を携帯通信網やインターネット回線を通じて通知(送信)することができる。
【0019】
本発明の真贋判定方法2によれば、例えば、各所の物流拠点や小売店舗、末端の消費者個人等が有する汎用の撮像装置で再帰反射積層体を撮像し、その画像データが判定処理装置に送信されてくれば、後は判定処理装置にて真贋判定を行い、その結果を送信元の撮像装置に知らせることができる。これにより、物流拠点や小売店舗をはじめ、末端の消費者個人が専用の設備や装置を保有していなくても、汎用の撮像装置を用いるだけで真贋判定の結果を容易に知ることができる。また、真贋判定を行う機能を判定処理装置の設置箇所(例えばサービスセンター)に集中させることで、判定基準を高度に維持しつつ、誤判定を少なくすることができる。
【0020】
〔真贋判定方法3〕
本発明の真贋判定方法3は、真贋判定方法1で用いたものと同様の構成を有する再帰反射積層体を用いて行う対象物の真贋判定方法であり、以下の工程を有する。
【0021】
〔撮像工程〕
この工程では、発光素子及び撮像素子を有する撮像装置を使用する。すなわち、再帰反射積層体に対し、撮像装置の発光素子から再帰反射積層体の表面に向けて直進性の光を照射し、このとき、再帰反射層からみて発光素子と撮像素子との間の角度が10度以下となる態様で撮像装置を相対的に配置しながら撮像素子により再帰反射積層体を撮像する。
【0022】
〔表示工程〕
この工程では、撮像工程で撮像して得られた画像データを用いて所定の表示装置に再帰反射積層体の画像を表示する。表示装置は、撮像装置と一体である態様でもよい。すなわち、撮像装置に表示装置(ディスプレイ)が一体に備わっていれば、撮像素子で撮像した画像データを撮像装置の表示装置に表示することができる。
【0023】
〔判定工程〕
この工程では、表示装置に表示された画像で表される再帰反射積層体の色彩及びパターン形状の有無の少なくとも一方の要素に基づき対象物の真贋判定を行う。上記の真贋判定方法1と同様に、「色彩」は、例えば再帰反射層に直進性の光を照射したとき、その再帰反射光に現れる色相、明度、彩度等が該当する。また「パターン形状」は、例えば直進光が照射された範囲に含まれる透明樹脂層の形態(外観)に相当する。
【0024】
本発明の真贋判定方法3によれば、専用の真贋判定器具を用いなくても、汎用の撮像装置及び表示装置を用いるだけで対象物の真贋判定を容易に実現することができる。また、撮像装置で撮像した画像データを別の判定処理装置等に送信したり、真贋判定の結果が通知されてきたりするのを待たずに、手元で直に真贋判定を行うことができる。
【0025】
〔真贋判定用画像データの取得方法〕
次に本発明は、真贋判定用画像データの取得方法を提供する。本発明の取得方法は、真贋判定方法1〜3で用いたものと同様の構成を有した再帰反射積層体を用いる真贋判定用画像データの取得方法であり、以下の工程を有する。
【0026】
〔受信工程〕
この工程では、所定の受信サーバにて再帰反射積層体の画像データを受信する。このとき画像データは、各所の物流拠点や小売店舗、末端消費者個人等において事前に撮像されたものである。画像データの撮像には、発光素子及び撮像素子を有する撮像装置を用いて行われることが好ましい。すなわち、再帰反射積層体に対し、撮像装置の発光素子から再帰反射積層体の表面に向けて直進性の光を照射した場合、再帰反射層からみて発光素子と撮像素子との間の角度が10度以下となる態様で撮像装置を相対的に配置しつつ撮像素子により再帰反射積層体の画像データが撮像される。そして、画像データが撮像装置から送信されると、受信サーバにて画像データを受信することができる。このとき、撮像装置が多機能携帯通信端末であれば、画像データを携帯通信網やインターネット回線を通じて送信することができる。
【0027】
〔保存工程〕
この工程では、受信サーバにて受信した画像データを真贋判定用画像データとして保存する。すなわち画像データは、これによって表される再帰反射積層体の色彩及び前記パターン形状の有無の少なくとも一方の要素に基づき対象物の真贋判定を行うための真贋判定用画像データとして保存される。ここで、「色彩」は、例えば再帰反射層に直進性の光を照射したとき、その再帰反射光に現れる色相、明度、彩度等が該当する。また「パターン形状」は、例えば直進光が照射された範囲に含まれる透明樹脂層の形態(外観)に相当する。
【0028】
本発明の取得方法によれば、例えば、各所の物流拠点や小売店舗、末端の消費者個人等が有する汎用の撮像装置で再帰反射積層体を撮像し、その画像データが受信サーバに送信されてくることにより、真贋判定用画像データを効率よく大量に取得し、保存することができる。これにより、保存した個々の真贋判定用画像データを用いて個別に真贋判定を行い、その結果を送信元である個々の撮像装置に通知することが容易になる。したがって、物流拠点や小売店舗をはじめ、末端の消費者個人が専用の設備や装置を保有していなくても、汎用の撮像装置を用いるだけで真贋判定の結果を容易に知ることができる。
【0029】
また本発明は、対象物の真贋判定システムを提供する。本発明の真贋判定システムには、以下に示す複数の態様が含まれる。
【0030】
〔真贋判定システム1〕
本発明の真贋判定システム1は、真贋判定方法1〜3で用いたものと同様の構成を有する再帰反射積層体を用いて行う対象物の真贋判定システムであり、少なくとも撮像手段、送信手段、判定手段及び通知手段を備える。
【0031】
このうち撮像手段は、発光素子及び撮像素子を有する撮像装置の機能を用いたものである。すなわち撮像手段は、再帰反射積層体に対し、撮像装置を用いて発光素子から再帰反射積層体の表面に向けて直進性の光を照射した場合、再帰反射層からみて発光素子と撮像素子との間の角度が10度以下となる態様で撮像装置を相対的に配置しつつ撮像素子により再帰反射積層体を撮像する。
【0032】
また送信手段は、撮像手段により撮像して得られた画像データを所定の判定処理装置に送信するものである。撮像装置が例えば多機能携帯通信端末であれば、その通信機能を用いて送信手段としての機能を発揮することができる。
【0033】
判定手段は、送信された画像データで表される再帰反射積層体の色彩及びパターン形状の有無の少なくとも一方の要素に基づき対象物の真贋判定を行う。判定手段としての機能は、判定処理装置が有する情報処理機能を活用したものであることが好ましい。ここで、「色彩」は、例えば再帰反射層に直進性の光を照射したとき、その再帰反射光に現れる色相、明度、彩度等が該当する。また「パターン形状」は、例えば直進光が照射された範囲に含まれる透明樹脂層の形態(外観)に相当する。
【0034】
そして通知手段は、判定手段による真贋判定の結果を撮像装置に対して通知するものである。通知手段としての機能は、撮像装置が例えば多機能携帯通信端末である場合、判定処理装置が有する情報通信機能とともに、携帯通信網やインターネット回線を通じた情報通信機能を活用したものであることが好ましい。
【0035】
本発明の真贋判定システム1によれば、各所の物流拠点や小売店舗に汎用の撮像装置を用意しておくだけで、これを使用して再帰反射積層体の撮像や、その画像データの送信、画像データを用いた真贋判定、そして、真贋判定の結果の取得までを容易に行うことができる。このため、物流拠点や小売店舗等に専用の設備や装置を設置しておく必要がなく、各所で容易に真贋判定の結果を得ることができる。また、真贋判定を行う機能を判定処理装置の設置箇所(例えばサービスセンター)に集中させることで、判定基準を高度に維持しつつ、誤判定を少なくすることができる。
【0036】
〔真贋判定システム2〕
本発明の真贋判定システム2は、真贋判定システム1で用いたものと同様の構成を有する再帰反射積層体を用いて行う対象物の真贋判定システムであり、少なくとも受信手段、判定手段及び通知手段を備える。
【0037】
システムの受信手段は、所定の判定処理装置にて再帰反射積層体の画像データを受信する。受信する画像データは、各所の物流拠点や小売店舗、末端消費者個人等において事前に撮像されたものである。画像データの撮像は、発光素子及び撮像素子を有する撮像装置を用いて行われていることが好ましい。すなわち、再帰反射積層体に対し、撮像装置の発光素子から再帰反射積層体の表面に向けて直進性の光を照射した場合、再帰反射層からみて発光素子と撮像素子との間の角度が10度以下となる態様で撮像装置を相対的に配置しつつ撮像素子により再帰反射積層体の画像データが撮像される。そして、画像データが撮像装置から送信されると、判定処理装置にて画像データを受信することができる。このとき、撮像装置が多機能携帯通信端末であれば、携帯通信網やインターネット回線を通じて画像データが送信される。
【0038】
判定手段は、判定処理装置にて画像データを受信すると、画像データで表される再帰反射積層体の色彩及び前記パターン形状の有無の少なくとも一方の要素に基づき対象物の真贋判定を行う。また通知手段は、記真贋判定の結果を撮像装置に対して通知する。
【0039】
本発明の真贋判定システム2によれば、例えば、各所の物流拠点や小売店舗、末端の消費者個人等が有する汎用の撮像装置で再帰反射積層体を撮像し、その画像データがシステムに送信されてくれば、後はシステムが画像データの受信、画像データを用いた真贋判定を行い、その結果を送信元の撮像装置に知らせることができる。これにより、物流拠点や小売店舗をはじめ、末端の消費者個人が専用の設備や装置を保有していなくても、汎用の撮像装置を用いるだけで真贋判定の結果を容易に知ることができる。また、真贋判定を行う機能をシステム内で判定処理装置の設置箇所(例えばサービスセンター)に集中させることにより、判定基準を高度に維持しつつ、誤判定を少なくすることができる。
【0040】
また本発明は、真贋判定用画像データの取得システムを提供する。本発明の取得システムは、真贋判定システム1,2で用いたものと同様の構成を有する再帰反射積層体を用いる真贋判定用画像データの取得システムであり、少なくとも受信手段及び保存手段を備える。
【0041】
受信手段は、システム内の受信サーバにて再帰反射積層体の画像データを受信する。このとき画像データは、各所の物流拠点や小売店舗、末端消費者個人等において事前に撮像されたものである。画像データの撮像には、発光素子及び撮像素子を有する撮像装置を用いて行われることが好ましい。すなわち、再帰反射積層体に対し、撮像装置の発光素子から再帰反射積層体の表面に向けて直進性の光を照射した場合、再帰反射層からみて発光素子と撮像素子との間の角度が10度以下となる態様で撮像装置を相対的に配置しつつ撮像素子により再帰反射積層体の画像データが撮像される。そして、画像データが撮像装置から送信されると、システムは受信サーバにて画像データを受信することができる。このとき、撮像装置が多機能携帯通信端末であれば、画像データは携帯通信網やインターネット回線を通じて送信されることになる。
【0042】
保存手段は、受信サーバにて受信した画像データを真贋判定用画像データとして保存する。すなわち画像データは、これによって表される再帰反射積層体の色彩及び前記パターン形状の有無の少なくとも一方の要素に基づき対象物の真贋判定を行うための真贋判定用画像データとして保存される。ここで、「色彩」は、例えば再帰反射層に直進性の光を照射したとき、その再帰反射光に現れる色相、明度、彩度等が該当する。また「パターン形状」は、例えば直進光が照射された範囲に含まれる透明樹脂層の形態(外観)に相当する。
【0043】
本発明の取得システムによれば、例えば、各所の物流拠点や小売店舗、末端の消費者個人等が有する汎用の撮像装置で再帰反射積層体を撮像し、その画像データが受信サーバに送信されてくることにより、真贋判定用画像データを効率よく大量に取得し、保存することができる。これにより、保存した個々の真贋判定用画像データを用いて個別に真贋判定を行い、その結果を送信元である個々の撮像装置に通知することが容易になる。したがって、物流拠点や小売店舗をはじめ、末端の消費者個人が専用の設備や装置を保有していなくても、汎用の撮像装置を用いるだけで真贋判定の結果を容易に知ることができる。
【0044】
また本発明は、対象物の真贋判定用プログラムを提供する。本発明の真贋判定用プログラムは、真贋判定方法1〜3等で用いたものと同様の構成を有する再帰反射積層体を用いて行われる対象物の真贋判定用プログラムであり、少なくとも発光素子、撮像素子、記憶媒体、無線通信機能及び表示画面を有する撮像装置に内蔵されたコンピュータに少なくとも以下のステップを実行させる。
【0045】
(1)発光素子を起動させるステップ、(2)撮像素子を起動させるステップ、(3)撮像素子により撮像された画像を表示画面に表示させるステップ、(4)発光素子から照射された直進光が再帰反射層の表面に向けて照射された状態で、再帰反射層からみて発光素子と撮像素子との間の角度が10度以下となる位置関係に再帰反射積層体と撮像装置がある状態で撮像素子により撮像された再帰反射積層体の画像を真贋判定用画像データとして記憶媒体に記憶させるステップ、(5)無線通信機能を用いて、記憶媒体に記憶された真贋判定用画像データを所定の判定処理装置に送信するステップ、及び(6)送信した真贋判定用画像データで表される再帰反射積層体の色彩及び前記パターン形状の有無の少なくとも一方の要素に基づき、判定処理装置で行われた対象物の真贋判定の結果を受信するステップ。
【0046】
本発明の真贋判定用プログラムは、これを撮像装置にインストールしてそのコンピュータで実行することにより、真贋判定用の画像データの生成、画像データの送信、そして真贋判定結果の受信まで処理を容易に実行することができる。これにより、物流拠点や小売店舗をはじめ、末端の消費者個人が専用の設備や装置を保有していなくても、汎用の撮像装置にプログラムをインストールして実行するだけで、再帰反射積層体を用いた対象物の真贋判定の結果を容易に知ることができる。また、真贋判定を行う機能を判定処理装置の設置箇所(例えばサービスセンター)に集中させることにより、判定基準を高度に維持しつつ、誤判定を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、特に専用の設備を用いなくても、容易に再帰反射積層体を用いて行われる対象物の真贋判定に資することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】撮像装置を用いて再帰反射積層体を撮像する態様の一例を示す図である。
【図2】撮像時の再帰反射シールと多機能携帯通信端末との相対的な位置関係について説明した図である。
【図3】アプリケーションの動作例(表示内容)を示す図である。
【図4】撮像後においてディスプレイに表示される画面の例を示す図である。
【図5】メールの送信画面の一例を示す図である。
【図6】真贋判定システムや真贋判定用画像データの取得システムとしての全体構成例を概略的に示す図である。
【図7】真贋判定用画像データの取得及び真贋判定の結果を通知するまでの手順例を示したフローチャート(1/2)である。
【図8】真贋判定用画像データの取得及び真贋判定の結果を通知するまでの手順例を示したフローチャート(2/2)である。
【図9】コールセンターで行われる真贋判定の手順例(1)を示すフローチャートである。
【図10】コールセンターで行われる真贋判定の手順例(2)を示すフローチャートである。
【図11】「色相」チェックの工程を詳細に示すフローチャートである。
【図12】「パターン形状」チェックの工程を詳細に示すフローチャートである。
【図13】教師色相画像の一例を示す図である。
【図14】コールセンターからの返信メールをユーザ側で受信する場合の手順例を示すフローチャートである。
【図15】ユーザによる真贋判定の手順例を示すフローチャートである。
【図16】多機能携帯通信端末において撮影画像ファイルを削除する場合の手順例を示すフローチャートである。
【図17】コールセンターのスタッフによりブラウザ上で真贋判定を行う場合の手順例を示すフローチャートである。
【図18】コールセンターからのメール返信時にユーザ側で行われる手順例を示すフローチャートである。
【図19】ブラウザ上で表示される判定結果画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に挙げる実施形態には、対象物の真贋判定方法としての形態、真贋判定用画像データの取得方法としての形態、対象物の真贋判定システムとしての形態、真贋判定用画像データの取得システムとしての形態、及び真贋判定用プログラムとしての形態が含まれる。
【0050】
〔撮像態様〕
図1は、撮像装置を用いて再帰反射積層体を撮像する態様の一例を示す図である。この態様では、撮像装置として例えば多機能携帯通信端末10を使用している。多機能携帯通信端末10は、例えば携帯電話機としての機能の他に、パーソナルコンピュータとしての機能、情報通信端末としての機能、メディアプレイヤーとしての機能等を備えた電子機器(いわゆるスマートフォン)である。なお、多機能携帯通信端末10そのものは公知であり、ここではその詳細(ハードウエア構成、オペレーティングシステムの仕様等)についての説明を省略する。また、ここでは多機能携帯通信端末10を撮像装置の例として挙げているが、撮像装置は一般的な携帯電話機(いわゆるフィーチャーフォン)であってもよい。
【0051】
多機能携帯通信端末10は、カメラ20(撮像素子)及びLEDライト30(発光素子)を備えている。多機能携帯通信端末10は、特定のアプリケーションの実行に伴い、カメラ20で撮像した画像をそのディスプレイ40に表示することができる。なお、多機能携帯通信端末10のディスプレイ40は、例えばタッチセンサを備えた入力インタフェース(GUI)としても機能する。
【0052】
〔再帰反射積層体〕
図1に示される態様では、真贋判定用の再帰反射シール50が包装体PRに貼付されている。この再帰反射シール50は、シート状をなす再帰反射積層体の一形態である。また包装体PRは、何らかの製品(電子機器類、書籍類、食器類、文房具類、衣類、医薬品類、衛生製品類等。ただし、これらに限定されない。)を包装した商品の一形態である。ここでは箱形の包装体PRを例に挙げているが、包装体PRの形態は特に限定されない。また、特に商品が包材等で包装されていない状態で再帰反射シール50が貼付されている態様であってもよい。
【0053】
ここで挙げたカメラ20及びLEDライト30は、多機能携帯通信端末10の背面に位置している。したがって、ユーザが多機能携帯通信端末10の背面を包装体PRに向けてカメラ20で撮像すると、正面のディスプレイ40にてその画像を視認することができる。このとき、多機能携帯通信端末10の背面において、カメラ20とLEDライト30とは比較的近接して配置されているため、LEDライト30から直進性の光(完全な直進光でなくとも、ある程度に直進性の高い光であればよい)を再帰反射シール50に向けて照射すると、その再帰反射光がカメラ20にも到達し、再帰反射光を用いた再帰反射シール50の画像を撮像することできる。したがって、ユーザは特に専用器具を用いなくとも、多機能携帯通信端末10のディスプレイ40に表示された画像から、再帰反射シール50の再帰反射光を確認することができる。以下、この点についてさらに説明する。
【0054】
図2は、撮像時の再帰反射シール50と多機能携帯通信端末10との相対的な位置関係について説明した図である。このうち図2(A)には、再帰反射シール50の層構成(断面)が拡大して示されている。図2(A)に示される断面は再帰反射シール50の一部分であり、再帰反射シール50は全体として、図1に示されるように適宜な大きさ(面積)を有している。また図2(B)は、再帰反射シール50(再帰反射層70)からみて撮像に適したLEDライト30とカメラ20との位置関係を模式的に示したものである。
【0055】
〔層構成〕
図2(A):再帰反射シール50は基材層60を備えており、再帰反射シール50は全体として、この基材層60に対して厚み方向にいくつかの層を重ねた積層構造をなしている。基材層60は、可撓性を有するシート状の材料(例えば一般的なアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂等)から構成されており、この材料には再帰反射シール50の使用に適した耐久性・耐候性が備わっている。また、ここでは基材層60を透明性の樹脂とする。
【0056】
また再帰反射シール50は、基材層60の一方の面(図2でみて上側の面)に積層された再帰反射層70を有している。再帰反射層70は、例えばガラスビーズ72の分布層、光反射層74及び微小球固定層76から構成されている。
【0057】
再帰反射層70は、ガラスビーズ72の分布層、微小球固定層76及び光反射層74からなる。微小球固定層76には、ガラスビーズ72が表面の一部分を露出させた状態で、下部分が埋め込まれるようにして保持されている。微小球固定層76には、ガラスビーズ72を良好に保持(担時)できる材料(例えば一般的なアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤等)が用いられている。
【0058】
ガラスビーズ72は、球状のガラス微粒子(例えば直径50μm程度)であり、微小球固定層76には基材層60の一面に沿う方向に多数のガラスビーズ72が分布して保持されている。なお、ガラスビーズ72は相互に密集した状態で分布していてもよいし、適度な間隔をおいて分布していてもよい。いずれにしても、ガラスビーズ72は微小球固定層76内に埋設されておらず、表面の一部分を露出させたオープンタイプとなっている。
【0059】
光反射層74は、ガラスビーズ72と微小球固定層76との間にて、ガラスビーズ72の下側部分の外面を被覆するようにして形成されている。この光反射層74は、再帰反射層70において再帰反射性を発揮するための反射面を構成する。なお、このような光反射層74を設けずに、微小球固定層76の材料そのものに反射性を持たせてもよい。
【0060】
再帰反射シール50の表層には、ガラスビーズ72の分布層を覆う位置に透明樹脂層90が形成されている。図2に示されているように、透明樹脂層90はガラスビーズ72の分布層を部分的に覆う状態で形成されており、透明樹脂層90が形成されていない領域ではガラスビーズ72の表面が露出している。再帰反射シール50の上面側からみて、透明樹脂層90は何らかの絵柄や文字、図形、記号等を象ったパターン形状をなしている。ただし、透明樹脂層90のパターン形状は、自然光(拡散光)の下ではほとんど視認されない。透明樹脂層90が設けられた部分では、再帰反射層70での焦点位置をずらし、透明樹脂層90が設けられた部分と設けられていない部分との再帰反射率を異ならせ、この再帰反射率の違いにより、直進性の光を照射したときに透明樹脂層90のパターン形状を確認することができる。具体的には、透明樹脂層90のパターン形状が他の部分に比べて黒く視認される。
【0061】
透明樹脂層90に用いる樹脂の例としては、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、などが挙げられる。これらの樹脂はガラスビーズとの密着力が比較的弱いため、ガラスビーズから透明樹脂層90が剥がれ落ち易く、再帰反射シール50に不自然で不正な何らかの力が加わると、透明樹脂層90が剥離する。特に再帰反射シール50のガラスビーズ表面を擦るような力が加わった場合は、透明樹脂層90が剥離する。したがって、透明樹脂層90を調べることで、再帰反射シール50に意図的な操作が加えられ、不正に剥がそうとしたかを推察することができる。
【0062】
また、基材層60の他方の面(図2でみて下側の面)には粘着層80が積層されており、その粘着性により「シール」としての機能が発揮されている。再帰反射シール50は、粘着層80を介して包装体PRやその他の対象物に貼付される。
【0063】
さらに基材層60の他方の面には、粘着層80との間に印刷層95が形成されている。この印刷層95は、例えば基材層60の他方の面に印刷して形成されたものであり、再帰反射シール50の上面側からみて、印刷層95は全体として絵柄や文字、図形、記号等を象ったパターン形状をなしている。なお、印刷層95のパターン形状は、透明樹脂層90のパターン形状とは異なるものであり、印刷層95のパターン形状は、自然光(拡散光)の下において、再帰反射シール50の上面側から再帰反射層70及び基材層60を透過して視認可能となっている。
【0064】
また、基材層60の他方の面と粘着層80の間に、剥離崩壊層を設けてもよい。剥離崩壊層は、例えば複数の薄い層膜が互いに弱い接着力で積層された構成であり、横方向からのせん断力が加わると、界面剥離が容易に生じて層膜間が解離する。この場合、一度貼った再帰反射シール50を剥がそうとしたとき、層膜間が解離することで、剥離後、包装体PRに痕跡(例えば、「VOID」の文字)を残すことができる。剥離崩壊層としては、例えばリンテック株式会社製改ざん防止用ラベル素材(Super Stik)を使用することができる。
【0065】
〔位置関係〕
次に、再帰反射シール50の撮像時における多機能携帯通信端末10の配置(位置関係)について説明する。
【0066】
上記のように、多機能携帯通信端末10の背面において、カメラ20とLEDライト30とは相互に近接した位置にある。このとき、LEDライト30から直進性の光を再帰反射シール50に向けて照射すると、再帰反射層70からの再帰反射光Fは、基本的に光源であるLEDライト30に向かって直進してくるが、その一部の再帰反射光F’はカメラ20の受光部にも到達する。このような再帰反射光F’は、例えばLEDライト30からの直進光がある程度の角度をもって放射状に照射されることに起因する。
【0067】
本実施形態では、再帰反射光F’をカメラ20で好適に受光できる多機能携帯通信端末10と再帰反射シール50との相対的な位置関係を以下のように設定している。すなわち、再帰反射シール50(再帰反射層70)に対し、LEDライト30から直進性の光を照射した場合、再帰反射層70からみてLEDライト30とカメラ20との間になす角θが10度以下となる態様で多機能携帯通信端末10と再帰反射シール50とを相対的に配置するものとする。
【0068】
なお、図2(A)では、再帰反射現象を説明するために再帰反射シール50に対して斜め方向から直進光を照射しているが、本実施形態における撮像時のLEDライト30とカメラ20との好適な位置関係は以下のようになる。
【0069】
図2(B):すなわち、角θは、あくまで再帰反射層70からみてカメラ20とLEDライト30との間になす角度を意味するものとする。したがって、例えば図2(B)に示す一点鎖線をLEDライト30とカメラ20の中心線であるとすると、この中心線を再帰反射シール50に向けて垂直に降ろしたとき、その垂線と再帰反射層70の交点を中心に、LEDライト30とカメラ20の間になす角をθとする。
【0070】
このとき、LEDライト30とカメラ20との間になす角θは、主に多機能携帯通信端末10から再帰反射シール50までの距離に依存し、距離が大きくなると角θは小さくなり、逆に距離が小さくなると角θは大きくなる。したがって、実際の撮像時にユーザは、LEDライト30からの光が再帰反射シール50に届く範囲内で多機能携帯通信端末10からの距離を増減し、上記の位置関係が得られるように調整することになる。
【0071】
また角θについては、LEDライト30からの再帰反射層70への入射光の角度と反射光の角度の合計と理解することもできる。入射光の角度と反射光の角度の合計が10度以下となるように多機能携帯通信端末10を配置して撮像を行えば、真贋判定に適した画像が得られる。一方、角θが10度以上となった場合、再帰反射してきた光がカメラ20でうまく捉えられず、輝度の低い画像となり、誤判断の原因となりやすい。多機能携帯通信端末10にもよるが、再帰反射層70から概ね15cm以上離して配置すると、入射光の角度と反射光の角度の合計が10度以下とすることができる。
【0072】
〔アプリケーション〕
図3は、多機能携帯通信端末10にインストールされたアプリケーションの動作例(表示内容)を示す図である。このうち、図3(A)は本実施形態で用いるアプリケーションの使用時における動作例を示し、図3(B)は一般的なアプリケーションの使用時における動作例を示す。
【0073】
〔本実施形態のアプリ使用時〕
図3(A):本実施形態で用いるアプリケーションは、再帰反射積層体を用いた対象物の真贋判定用プログラムの一例であり、便宜上、以下では「真贋判定用アプリ」と呼称する。多機能携帯通信端末10は、内蔵する記憶媒体(物理メモリ等)に真贋判定用アプリを事前にインストールしておくことで、所望により真贋判定用アプリを実行することができる。
【0074】
真贋判定用アプリを実行すると、多機能携帯通信端末10においてLEDライト30及びカメラ20がそれぞれ起動する。このときLEDライト30は、例えば常時点灯状態となる。また、カメラ20の起動に伴い、多機能携帯通信端末10のディスプレイ40には、図3(A)に示されるカメラ画像とともに、真贋判定用アプリのGUIが表示される。なお、添付の図面にはグレースケール画像で表現しているが、撮影画像はフルカラー画像である。
【0075】
GUIには、例えばズームスイッチZSやサイズ変更ボタンB1、リスト表示ボタンB2等が含まれる。また真贋判定用アプリは、例えばディスプレイ40の略中央位置に撮像補助用のガイドラインGLを表示させる。ユーザがディスプレイ40上のサイズ変更ボタンB1をタッチ操作(いわゆるタップ)すると、その都度、ガイドラインGLの大きさが数段階に変化する。
【0076】
ガイドラインGLは、再帰反射シール50の撮像に適した大きさの目安となるものであり、ユーザは、ガイドラインGLが所望の大きさになるまでサイズ変更ボタンB1をタッチ操作し、ディスプレイ40上で再帰反射シール50がガイドラインGLの内側に収まるように多機能携帯通信端末10の位置を調整する。また、ユーザは適宜、ズームスイッチZSを横方向へなぞるように操作(いわゆるフリック)することで、カメラ20の撮像範囲を拡大又は縮小(ズームイン/ズームアウト)させることができる。
【0077】
また、上述した再帰反射シール50と多機能携帯通信端末10との最適な位置関係(角θが10度以下)を保つようにすることで、ユーザは、ディスプレイ40上で再帰反射シール50からの再帰反射光を視認することができる。なお、このときディスプレイ40には、上述した透明樹脂層90のパターン形状が低輝度領域として表示されている。それ以外の高輝度領域は再帰反射光によるものであり、このとき再帰反射層70からの反射特性に応じて、高輝度領域内には特有の色彩が現れることになる。なお色彩は、LEDライト30からの光照射角によって変化することがある。
【0078】
上記のように、ディスプレイ40上で再帰反射シール50がガイドラインGLの内側に収まり、再帰反射シール50からの再帰反射光(透明樹脂層90のパターン形状)が適切に視認できることを確認した上で、ユーザがディスプレイ40(例えばガイドラインGLの内側)をタップすると、カメラ20による静止画像の記録(撮像)が行われる。記録された静止画像は、画像データの形式で多機能携帯通信端末10の記録媒体に保存される。
【0079】
〔一般アプリ使用例〕
図3(B)は、本実施形態の真贋判定用アプリ使用時における動作例との比較例として、一般用途のカメラアプリの使用例を示したものである。例えば多機能携帯通信端末10で一般的用途のカメラアプリを使用した場合、LEDライト30を発光(フラッシュ)させて撮像させないと、得られる画像は自然光の下で再帰反射シール50を視認したものとなる。この場合の画像には、上記の印刷層90によるパターン形状が現れている。例えLEDライト30を発光(フラッシュ)させたとしても、常時点灯しないため、撮像後の画像を事前に確認できず、何度も撮り直しすることになり、現実的ではない。
【0080】
〔真贋判定用アプリの動作例(続き)〕
引き続き、真贋判定用アプリの動作例について説明する。図4は、撮像後においてディスプレイ40に表示される画面の例を示す図である。
【0081】
〔サムネイル表示〕
図4(A):真贋判定用アプリを用いて撮像を行うと、これまでに保存された画像の一覧が縮小された状態でディスプレイ40に表示(いわゆるサムネイル表示)される。なお、図3(A)に示す状態でリスト表示ボタンB2がタップされた場合にもこの画面に遷移する。
【0082】
サムネイル表示画面において、ディスプレイ40の上部領域には、GUIとしてのタブT1,T2,T3が表示されている。このうち、「ALL」と表示されたタブT1は、これまでに真贋判定用アプリを用いて撮像した全ての画像をサムネイル表示する場合に用いられる。次の「NOT SEND」と表示されたタブT2は、未送信の画像をサムネイル表示する場合に用いられ、「SENDED」と表示されたタブT3は、送信済みの画像をサムネイル表示する場合に用いられる。なお、画像の送信については後述する。
【0083】
また、ディスプレイ40の下部領域には、各種の機能ボタンB3〜B6が表示されている。このうち、「Mail」と表示された機能ボタンB3は、選択した画像を送信(送信メールに添付)する場合に用いられる。次の「View」と表示された機能ボタンB4は、選択した画像をディスプレイ40に全体表示する場合に用いられる。また、「Camera」と表示された機能ボタンB5は、現在の画面から撮像画面(図3(A))に遷移する場合に用いられる。そして、「Delete」と表示された機能ボタンB6は、選択した画像を消去する場合に用いられる。
【0084】
ここで、図4(A)の画面において、ユーザがいずれかの画像をタップすると、その画像を選択したことになる。選択された画像には、左下にチェックマークが付される等、選択されていることがわかるように表示される。いずれの画像も選択されていない場合、機能ボタンB5以外は操作無効(グレイアウト)の状態となっている。
【0085】
図4(B):例えば、画像P1を選択した状態でユーザが「View」の機能ボタンB4をタップすると、選択した画像P1がディスプレイ40に全体表示される。なお、図4(A)の画面でユーザが画像P1をダブルタップした場合も全体表示することができる。
【0086】
全体表示の画面において、ディスプレイ40の下部領域には、「Cancel」の機能ボタンB7が表示されている。ユーザが機能ボタンB7をタップすると、全体表示がキャンセルされてサムネイル表示画面に戻ることになる。
【0087】
〔画像データの送信〕
図5は、メールの送信画面の一例を示す図である。再帰反射シール50を撮像して得た画像P1は、その画像データをメールに添付した状態で送信することができる。
【0088】
例えば、図4(A)のサムネイル表示画面(又は「NOT SEND」タブT2のタップから遷移した未送信画像のサムネイル表示画面)で画像P1をユーザが選択し、「MAIL」の機能ボタンB3をタップすると、真贋判定用アプリが別のメールクライアント(メールアプリ)を呼び出して起動させ、メールクライアント上で画像P1を添付した送信メールを自動生成する。
【0089】
このとき、既に送信先のメールアドレス(To:)及び件名(Subject:)にはそれぞれデフォルトの情報が自動入力されている。また、メール本文は未入力(空)であるが、添付ファイルには画像P1の画像データが自動入力されている。添付ファイルの内容である画像P1は、図5に示すように送信メール画面にてプレビュー表示されるので、ここでもユーザは画像P1の内容を確認することができる。
【0090】
この後、ユーザが例えば「Send」のボタン(GUI)をタップすると、メールクライアントがメール送信動作を行う。送信後はメールクライアントの送信済み画面に遷移するか、もしくは、真贋判定用アプリのサムネイル表示画面に復帰する。一方、ユーザが「Cancel」のボタンをタップした場合、メールクライアントが未送信メールを破棄して終了し、真贋判定用アプリのサムネイル表示画面に復帰する。
【0091】
以上の動作例は、多機能携帯通信端末10を所持するエンドユーザ(顧客)をはじめ、包装体PRの物流拠点や小売店舗の担当者によって実行可能であるが、本実施形態には、上記のように多機能携帯通信端末10を含めた真贋判定システムや真贋判定用画像データの取得システムとしての各種態様が含まれる。以下、真贋判定システム及び取得システムの構成例について説明する。
【0092】
〔全体構成例〕
図6は、真贋判定システムや真贋判定用画像データの取得システムとしての全体構成例を概略的に示す図である。
【0093】
〔顧客〕
システムは、顧客にて所持されている多機能携帯通信端末10を構成要素とする。ここでいう「顧客」には、包装体PRの最終消費者であるエンドユーザのみならず、包装体PRを扱う物流拠点や小売店舗等の担当者も含むものとする。多機能携帯通信端末10には、上記の真贋判定用アプリがインストールされているものとする。
【0094】
〔センター〕
またシステムは、センターにて管理・運用されているメールサーバ102やアプリケーションサーバ104を構成要素とする。ここでいう「センター」は、例えばシステムの運用者が駐在するデータセンターやコールセンター、カスタマーセンター等が該当する。またセンターには、メールサーバ102やアプリケーションサーバ104の他に、例えば複数台の作業端末108が設置されており、それぞれにオペレータ(スタッフ)が割り当てられている。メールサーバ102は、アプリケーションサーバ104や作業端末108とそれぞれLAN等で接続され、データの授受を行うことができる。
【0095】
〔通信インフラ〕
顧客とセンターとの間は、インターネット回線100等の通信インフラを通じて双方向通信が可能である。なお、多機能携帯通信端末10が専用通信網(3G回線等)に接続可能である場合、そのような専用通信網が通信インフラとして利用される。
【0096】
次に、上記のシステムを用いて実現される真贋判定方法及び真贋判定用画像データの取得方法の各種工程について説明する。また、以下の説明を通じて、本実施形態のシステムが有する各種の機能的要素(手段)の構成についても明かとなる。
【0097】
図7及び図8は、真贋判定用画像データを取得し、また、その取得した画像データから真贋判定を行ってその結果を通知したりするまでの手順例を示したフローチャートである。以下、手順例に沿って説明する。
【0098】
ステップS1:多機能携帯通信端末10において、ユーザの操作により真贋判定用アプリを起動(実行)する。真贋判定用アプリは、多機能携帯通信端末10のコンピュータに以下のステップを実行させる。
【0099】
ステップS2:真贋判定用アプリは、多機能携帯通信端末10のLEDライト30を起動する。このときLEDライト30は、常時点灯モードとなる。
ステップS3:また真贋判定用アプリは、多機能携帯通信端末10のカメラ20を起動する。
ステップS4:真贋判定用アプリは、カメラ20によるキャプチャイメージ(リアルタイム画像)をディスプレイ40に表示する。このときディスプレイ40には、上述したガイドラインGLや各種GUIが合わせて表示される。
【0100】
以下のステップS5,S6は、再帰反射画像を視認しやすくする目的で必要に応じて行われる。
ステップS5:すなわち、ユーザの操作に応じて、ガイドラインGLの調整が適宜行われる。
ステップS6:またユーザの操作に応じて、ズームスイッチZSを用いたカメラ20のズーム調整が適宜行われる。
特に図示していないが、真贋判定用アプリは、合わせてカメラ20のフォーカスを自動調整する。
【0101】
〔撮像工程〕
ステップS7:ユーザの操作(ディスプレイ40のタップ)に応じて、再帰反射シール50の撮影(カメラ20による撮像)が行われる。
ステップS8:真贋判定用アプリは、タップを検知したタイミングの撮影データを多機能携帯通信端末10のメインメモリ(記憶媒体)に展開し、これを一時的に保存する。なお、ここでいう「撮影データ」は、カメラアプリ専用のデータ形式(ファイルフォーマット)を有する。
ステップS9:また真贋判定用アプリは、撮影データをディスプレイ40に全体表示する。
ステップS10:合わせて真贋判定用アプリは、ディスプレイ40に保存確認ダイアログを表示する。保存確認ダイアログには、例えば「保存しますか?」等の問いかけ文とともに、「OK」及び「Cancel」のボタン(GUI)が含まれる。
【0102】
ステップS11:ユーザの行為として、撮影データを保存するか否かの判断が行われる。判断の結果は、保存確認ダイアログの「OK」を選択するか、あるいは「Cancel」を選択するかによって示される。真贋判定用アプリは、先の保存確認ダイアログで「Cancel」が選択された場合、ステップS4の手順に戻る。
ステップS12:ユーザが「OK」を選択する場合、GUIとしての「OK」をユーザがタップ操作する。
【0103】
ステップS13:「OK」がタップされたことを受けて、真贋判定用アプリは、メインメモリに展開した撮影データを例えばJPEG形式の画像データに変換する。変換後のデータ形式は、ユーザが画像として視認可能であればよいため、JPEG形式以外(例えばBMP,PNG,GIF等)でもよい。
【0104】
ステップS14:真贋判定用アプリは、画像データをフラッシュメモリやハードディスク等の永続性記憶装置に保存する。あるいは、ここで真贋判定用アプリが多機能携帯通信端末10の通信機能をバックグラウンドで呼び出し、ネットワーク上のストレージ(クラウド上のファイルサーバ)に接続して、そこに画像データをアップロードしてもよい。以下、ここで保存したファイルを「撮影画像ファイル」とする。また、ここで真贋判定用アプリはサムネイル画像も作成し、これを保存する。
【0105】
ステップS15:続いて真贋判定用アプリは、撮影日時に関する情報を撮影画像ファイルに付加するか、もしくは、そのファイルパスに日時情報を含める処理を行う。あるいは、真贋判定用アプリが任意の画像ファイルパスと、撮影日時の紐付けを永続性記憶装置に保存することとしてもよい。
ステップS16:そして、真贋判定用アプリは、画像ファイルパスをキーにして、送信ステータスフラグ(「送信」か「未送信」のどちらか一方)のフラグを「未送信」の状態にし、そのフラグ情報を永続性記憶装置に保存する。
【0106】
〔図8:接続記号A→A〕
ステップS17:次に真贋判定用アプリは、画像閲覧機能を呼び出す。
ステップS18:また真贋判定用アプリは、永続性記憶装置に保存されている全撮影画像ファイルの送信ステータスフラグを参照し、画像ファイルリストを作成する。ここで作成するリストの種類は、「全て」、「未送信のみ」、「送信済み」の3つである。真贋判定用アプリが各リストを一覧表示する場合、当該リストに記載された撮影画像ファイルのサムネイルを一覧表示する。ここでは便宜上、デフォルトの一覧表示リストを「未送信のみ」とする。
【0107】
ステップS19:デフォルトでリストを一覧表示しつつ、真贋判定用アプリは、次にいずれのリストを選択して一覧表示するかを、ユーザ操作に応じて判断する。ここでは、上述した「ALL」,「NO SEND」,「SENDED」のタブT1,T2,T3(図4(A)参照)のタップ操作に応じて、以下の分岐を行う。すなわち、ユーザが「全て」を選択(タブT1をタップ)したらステップS20へ分岐し、「未送信のみ」を改めて選択(タブT2をタップ)したらステップS21に分岐し、「送信済み」を選択(タブT3をタップ)したらステップS22へ分岐する。
【0108】
〔全て〕
ステップS20:真贋判定用アプリは、全ての撮影画像ファイルのサムネイルリストを一覧表示する(図4(A)等)。
【0109】
〔未送信のみ〕
ステップS21:真贋判定用アプリは、撮影画像ファイルのうち、送信ステータスフラグが「未送信」である撮影画像ファイルのサムネイルリストを一覧表示する。
【0110】
〔送信済み〕
ステップS22:真贋判定用アプリは、撮影画像ファイルのうち、送信ステータスフラグが「送信済み」である撮影画像ファイルのサムネイルリストを一覧表示する。
【0111】
ステップS23:真贋判定用アプリは、ユーザの操作に応じて撮影画像ファイルを選択する。
【0112】
ステップS24:次に真贋判定用アプリは、選択した撮影画像ファイルに対する機能をさらにユーザ操作に応じて選択する。このとき選択可能な機能には、例えば以下のものが含まれる。
(1)「コールセンターによる真贋確認」(メール機能)
(2)「目視による真贋確認」(ビュー機能)
(3)「撮影画像ファイルの削除」(削除機能)
いずれの機能を選択するかは、ユーザが上述したボタンB3,B4,B6のいずれをタップしたかに応じて判断される。その結果、ユーザが上記(1)のメール機能を選択(ボタンB3をタップ)したらステップS26に移行し、上記(2)のビュー機能を選択(ボタンB4をタップ)ステップS32に移行し、上記(3)の削除機能を選択(ボタンB6をタップ)したらステップS33に移行する。
【0113】
〔メール機能選択時〕
ステップS26:真贋判定用アプリは、メールクライアント(メールアプリ)を呼び出して起動し、メールクライアントによってメール送信編集画面が表示される(図5参照)。この場合、上述したように、宛先には指定した(コールセンターの)送信アドレスが自動入力される。また、タイトルには指定したタイトルが自動入力され、メール本文には選択した撮影画像ファイル(JPEG形式の画像データ)が自動添付される。
ステップS27:真贋判定用アプリは、さらにユーザ操作に応じて「Send(送信)」又は「Cancel(NG)」の判断を行う。その結果、「Send(送信)」の判断であればステップS28に移行し、「Cancel(NG)」の判断であればステップS23に戻る。
【0114】
〔送信工程〕
ステップS28:メールクライアントは、多機能携帯通信端末10の通信機能を用いてメールを送信する。ここではSMTPを用いて、設定されたメールサーバ102にメールが転送されることになる。
【0115】
ステップS29:真贋判定用アプリは、選択した撮影画像ファイル(画像データ)から「未送信」のフラグを消去し、代わりに「送信済み」のフラグを付加する。
【0116】
〔判定工程〕
ステップS30:以後は別の工程(コールセンターでの真贋判定)に遷移し、コールセンターでの真贋判定が実施される(詳細は後述)。この場合、ユーザはコールセンターからの真贋判定の結果が書かれたメールを待つこととなる。
【0117】
〔通知工程〕
ステップS31:コールセンターでの真贋判定が終了すると、さらに次の工程(コールセンターからのメール返信)に遷移し、コールセンターからのメール返信が行われる(詳細は後述)。このときユーザは、メールで真贋判定の結果の通知を得ることができる。
【0118】
〔ビュー機能選択時〕
ステップS32:この場合、別の工程(ユーザによる真贋判定)に遷移する(詳細は後述)。
【0119】
〔削除機能選択時〕
ステップS33:この場合、別の工程(画像ファイルを削除)に遷移する(詳細は後述)。
【0120】
〔コールセンターでの真贋判定(スタッフ判断)〕
図9は、コールセンターで行われる真贋判定の手順例(1)を示すフローチャートである。この手順例(1)では、コールセンター駐在のスタッフにより真贋判定がなされるものとする。
【0121】
〔受信工程1〕
ステップS34:ユーザの設定したメールサーバから、コールセンターのメールサーバ102にSMTPを用いてメールが送付されてくると、そのメールをメールサーバ102にて受信する。
【0122】
ステップS35:ここでコールセンターのメールサーバ102は、送信元(ユーザ)に対し、受信済みであることを表す自動返信メールを相手のメールサーバに向けてSMTPで送信する。
【0123】
〔受信工程2〕
ステップS36:コールセンターのスタッフによる操作に応じて、作業端末108のメールクライアントを立ち上げ、POP3を使ってメールサーバ102からユーザのメールを受信する。
【0124】
〔判定工程〕
スタッフは、ユーザから送信された画像データの色彩、絵柄(パターン形状の有無)を確認し、対象物について真贋判定を行う。なおスタッフには、予め真正品の場合に再帰反射シール50から得られる再帰反射画像の教師データが了知されている。
【0125】
〔通知工程〕
ステップS37:スタッフは、作業端末108を用いて判定結果を送信元(ユーザ)に対する返信メールに入力する。
ステップS38:真贋判定の結果を表す返信メールは、作業端末108のメールクライアントから送信される。返信メールは、コールセンターのメールサーバ102からSMTPにより、送信元(ユーザのメールアドレス)に送信される。
【0126】
〔コールセンターでの真贋判定(自動判断)〕
次に図10は、コールセンターで行われる真贋判定の手順例(2)を示すフローチャートである。この手順例(2)では、コールセンターのアプリケーションサーバ104(判定処理装置)により自動で真贋判定がなされるものとする。また、ここではコールセンターにおいて、真贋判定用画像データの自動取得が行われる。
【0127】
コールセンターで行われる自動判断の前提として、多機能携帯通信端末10の真贋判定用アプリが提供するガイドラインGLを固定とし(ユーザによる大小のサイズ変更は認めない)、ユーザはその固定されたガイドラインGLの通りに再帰反射シール50を撮影していることとする。
【0128】
〔受信工程〕
ステップS34’:メールサーバ102により、ユーザからのメールを受信する。
ステップS35’:そして、メールサーバ102から送信元(ユーザ)へ、受信済みの自動返信メールを送信する。
ステップS41:メールサーバ102のメールボックスからアプリケーションサーバ104にメール添付画像のコピーが渡され、アプリケーションサーバ104上の真贋判定プログラムがメール添付画像を参照する。これ以降の手順は、真贋判定プログラムの実行に伴って進行する。
【0129】
ステップS41a:アプリケーションサーバ104は、メール添付画像について彩度がある画像か、彩度が無い画像かを判断する。彩度の閾値は予めアプリケーションサーバ104に設定されており、メール添付画像が閾値以上の彩度の値を有する場合、アプリケーションサーバ104は次のステップS42以降に進む。これに対し、メール添付画像が閾値以上の彩度の値を有しない場合、アプリケーションサーバ104はステップS37’に進み、判定結果として「画像彩度不足です」等の内容を返信メールに入力する。
【0130】
以下、メール添付画像を「彩度がある画像」と判断した場合の手順について説明する。
〔保存工程〕
ステップS42:アプリケーションサーバ104はメール添付画像を解析し、メインメモリに画像データを展開する。なお、このときアプリケーションサーバ104は、例えばハードディスク等の永続性記憶装置に画像データを真贋判定用画像データとして保存することができる。
【0131】
〔判定工程〕
ステップS43:アプリケーションサーバ104は、メインメモリに展開した画像データ(RGB)の全画素値を色相の値に変換した色相画像データを作成する。ここでは色相に変換する場合を記載するが、明度(輝度)や彩度の値に変換してもよい。また、彩度がない画像(真っ白・真っ黒の画像)は色相が出ないため除外する。
【0132】
以下では、色相での判定とパターン形状での判定について説明するが、本実施形態ではどちらか一方の判定だけを行ってもよいし、両方の判定を行ってもよい。いずれについて判定を行うかは、真贋判定プログラム上で予め設定しておくことができる。
【0133】
ステップS43a:アプリケーションサーバ104は、色相のチェック(色相での判定)が予め設定されているか否か判断する。色相をチェックする設定であればステップS43bの工程に進み、色相をチェックしない設定であればステップS43cに進む。以下、色相をチェックする場合について説明する。
【0134】
〔色相での判定〕
図11は、「色相」チェックの工程(ステップS43b)を詳細に示すフローチャートである。
ステップS48:アプリケーションサーバ104は、色相画像データの中心領域の色相の最頻値を求める。中心領域を判定に用いる理由は、仮に中心領域でない周辺領域を判定に用いるとすると、周辺領域では色相の変化が大きく、最頻値が適切な値とならないおそれがあるためである。
ステップS49:次にアプリケーションサーバ104は、最頻値が一定の範囲に収まることを確認する。ここでは、最頻値が一定の範囲内で収まる場合を真とする。一定の範囲内とは、光照射角の変化により色相が変化するが、その際の最頻値として取り得る値を指す。この範囲は事前に取得しておくものとする。
【0135】
ステップS43c:ここでは、アプリケーションサーバ104はパターン形状のチェック(パターン形状での判定)が予め設定されているか否か判断する。そして、パターン形状をチェックする設定であればステップS43dの工程に進み、パターン形状をチェックしない設定であればステップS37’に進む。以下、パターン形状をチェックする場合について説明する。
【0136】
〔パターン形状での判定〕
図12は、「パターン形状」チェックの工程(ステップS43d)を詳細に示すフローチャートである。また図13は、教師色相画像の一例を示す図である。
ステップS44:アプリケーションサーバ104は、教師色相画像を元に、教師色相画像データをメインメモリに展開する。教師色相画像は、事前に作られた比較用の色相画像(マスター)である。教師色相画像は、例えば図13に示すように、真贋判定用の真(True)画像のマーク部分を切り出した画像である。教師色相画像は、色相が変化するマーク部分などが望ましい。つまり、何も描かれていない、色相の変化に乏しい画像は教師色相画像には適していない。
【0137】
ステップS45:アプリケーションサーバ104は、複数の教師色相画像を用意する。用意する画像としては、色相画像データの中心領域の色相の値の最頻値が異なるものや、真贋判定用の真(True)画像の異なるマーク部分を切り出したものが挙げられる。
ステップS46:アプリケーションサーバ104は、上記の教師色相画像データをテンプレートとして、テンプレートマッチングを行う。テンプレートマッチングは、教師色相画像データの種類の回数分実施するものとする。例えば、教師色相画像データが10種類であれば、各種類別にテンプレートマッチングを10回実施する。
【0138】
〔テンプレートマッチング方法〕
ここで、テンプレートマッチングの方法としては、輝度値の代わりに色相を用いたSSDなどの手法がある。以下、この点について説明する。
テンプレートの幅をwidth,高さをheightとし、画像データを展開したメモリ空間上でテンプレートの座標(x,y)の色相をH1(x,y)、それと対になる画像の座標(x,y)の色相をH2(x,y)としたとき、
func(x,y){
if(|H1(x,y)−H2(x,y)|<180):
return((H1(x,y)−H2(x,y))^2);
else:
return((360−|H1(x,y)−H2(x,y)|^2);

Rssd=ΣΣfunc(x,y)
となり、Rssdが小さい値ほど、両者は似ている画像と言うことができる。
【0139】
ステップS47:アプリケーションサーバ104は、以上の処理をテンプレートの全種類に対して行う。そして、閾値をthとおいたとき、Rssd<thとなるケースがあれば、その画像データを真(True)と判断する。したがって、教師色相画像データとテンプレートマッチングしたときの差異が閾値未満となる箇所が存在すれば、その画像データの基となった再帰反射シール50(又はこれを貼付した包装体PR)が真正品であると判断できる。
【0140】
一方、アプリケーションサーバ104は、Rssd<thとならないケースがあれば、その画像データを偽(False)と判断する。この場合、その画像データの基となった再帰反射シール50(又はこれを貼付した包装体PR)の真正に疑義が生じることになる。
【0141】
〔通知工程〕
ステップS37’:アプリケーションサーバ104は、判定結果を送信元(ユーザ)への返信メールに入力する。
ステップS38’:そしてアプリケーションサーバ104は、真贋判定の結果をメールにて送信元(ユーザのメールアドレス)へ返信する。
【0142】
〔コールセンターからのメール返信〕
図14は、コールセンターからの返信メールをユーザ側で受信する場合の手順例を示すフローチャートである。
【0143】
ステップS39:すなわち、ユーザは、例えば多機能携帯通信端末10のメールクライアントを用いて、コールセンターからの返信メールを受信する。具体的には、コールセンターからの送信に使われたメールサーバのメールボックスにある返信メールをPOP3で受信する。ここでは多機能携帯通信端末10を用いているが、ユーザ側でメールの内容を確認できればよいので、メール受信を多機能携帯通信端末10で行う必要はなく、他の端末(デスクトップPC、ノートPC等)で受信してもよい。
【0144】
ステップS40:いずれにしても、返信メールを受信したユーザは、その本文から真贋判定の結果を確認することができる。
【0145】
〔ユーザによる真贋判定〕
以上は、コールセンターを介して人的又は自動的に真贋判定を行う場合の手順であるが、特にコールセンターを介在することなく、ユーザ自身が真贋判定を行うこともできる。
図15は、ユーザによる真贋判定の手順例を示すフローチャートである。以下は、先のステップS32の工程を詳細に説明したものである。以下では、事前に多機能携帯通信端末10を用いて再帰反射シール50の撮像が行われ、その撮影画像ファイル(画像データ)が保存されているものとする。
【0146】
〔表示工程〕
ステップS101:ユーザの操作に応じて、上記の真贋判定用アプリは、選択した画像データを多機能携帯通信端末10のメインメモリに展開する。
ステップS102:そして真贋判定用アプリは、メインメモリにある画像をディスプレイ40に表示する。
ステップS103:このときユーザは、必要に応じて拡大縮小、画像中心の移動等の画像表示変更機能を用いて、ディスプレイ40上で撮影画像ファイルを観察することができる。
【0147】
〔判定工程〕
ステップS104:そしてユーザは、実際に表示されている画像の色相(色彩)や絵柄(パターン形状)を確認し、自ら真贋判定を行う。なお、真贋判定の基準は、例えば企業HP(ホームページ)や商品パッケージ内に表示しておくことができる。
【0148】
〔撮影画像ファイルの削除〕
図16は、多機能携帯通信端末10において撮影画像ファイルを削除する場合の手順例を示すフローチャートである。以下は、先のステップS33の工程を詳細に説明したものである。
【0149】
ステップS201:真贋判定用アプリは、削除の確認ダイアログをディスプレイ40に表示する。削除確認ダイアログには、例えば「削除しますか?」等の問いかけ文とともに、「OK」及び「Cancel」のボタン(GUI)が含まれる。
【0150】
ステップS202:真贋判定用アプリは、ユーザのタップ操作に応じて「OK(削除する)」又は「Cancel(削除しない)」の判断を行う。その結果、「OK(削除する)」の判断であればステップS203に移行し、「Cancel(削除しない)」の判断であれば工程を終了する。
【0151】
ステップS203:削除すると判断した場合、真贋判定用アプリは、選択した撮影画像ファイル及び対応する画像サムネイルファイルを削除する。
【0152】
〔他の実施形態〕
一実施形態では、画像データの送信と受信、真贋判定結果の通知にメールを利用しているが、メールの代わりにネットワークのシステムを使い、多機能携帯通信端末10で撮像した画像データがネットワークを介して特定のサーバにアップロードされる態様であってもよい。以下、より具体的に説明する。
【0153】
〔ブラウザ上での真贋判定〕
図14は、コールセンターのスタッフによりブラウザ上で真贋判定を行う場合の手順例を示すフローチャートである。
【0154】
ステップS301:真贋判定用アプリは、多機能携帯通信端末10のネットワーク接続機能を使用して、選択した撮影画像ファイル(画像データ)をコールセンター設置のファイルサーバ(図示していない)にアップロードする。この場合、画像データは、ユーザ(個人、物流拠点、小売店舗等)を識別する情報とともにアップロードされる。識別情報としては、例えばMacアドレス、IPアドレス、又はこれらを加工したハッシュコード、メールアドレス等を利用することができる。
【0155】
〔受信工程,保存工程〕
ステップS302:コールセンターのファイルサーバにおいて、ウェブアプリが上記のアップロードされた画像データをデータベースに保存する。
【0156】
〔判定工程,通知工程〕
ステップS303:アップロードされた画像データに対し、コールセンターのスタッフがブラウザ上で真贋判定を行い、その結果をウェブ上に書き込む。
【0157】
ステップS304:ウェブアプリは、スタッフにより真贋判定の結果の書き込みがなされると、返信メールを自動生成して送信処理を行う。なお、メールの返信を行う場合の手順は、上述した実施形態と同様である。
【0158】
〔コールセンターからのメール返信時〕
図15は、コールセンターからのメール返信時にユーザ側で行われる手順例を示すフローチャートである。
【0159】
ステップS401:ユーザが保有する多機能携帯通信端末10において、メールクライアントがコールセンターからの返信メールを受信する。メールの受信についても、上述した実施形態と同様である。
【0160】
ステップS402:多機能携帯通信端末10にてメールを受信すると、ユーザはブラウザを立ち上げて上記のファイルサーバ(専用のURL)にアクセスする。これにより、書き込まれた真贋判定の結果をブラウザ越しに確認することができる。
【0161】
図16は、ブラウザ上で表示される判定結果画面の一例を示す図である。判定結果画面には、例えば作成者(ユーザ)のメールアドレス、アップロードデータの受信日時、判定結果の書き込み日時、担当スタッフのID、真贋判定の結果、スタッフからのコメント等の情報が含まれている。また判定結果画面には、アップロード画像とともに、スタッフからのコメント表示が含まれる。
【0162】
図16に示される例では、アップロードされた画像に不備(サイズ過小)があったため、結果ステータスは「再撮影」となっている。この場合、担当スタッフからのコメントとして、「もっとシールを大きく撮影してください」といった文言が表示されている。また、アップロード画像にガイドライン画像が重ねて表示されるとともに、ガイドライン画像に対して「赤丸ぐらいの大きさでシールを撮影してください」といったコメントが付加されている。この場合、ユーザはガイドライン画像で示される程度の大きさで撮影をやり直し、再度アップロードすることで、同様の返信メールを受け取ることができる。
【0163】
コールセンターのスタッフは、真贋判定に適した態様(大きさ、明るさ、鮮明度等)の画像データがアップロードされてきた場合、アップロード画像を用いて同様に真贋判定を行い、「真正品」又は「非真正品(偽造品)」の判定結果をブラウザ上で書き込む。ユーザは、同様に返信メールを受け取った後、ブラウザ上で判定結果を確認することができる。
【0164】
以上のように、本実施形態(別実施形態を含む)によれば、専用の判定器具を持たないエンドユーザであっても、汎用の多機能携帯通信端末10等を用いて容易に真贋判定の結果(センターによる判定結果又は自己の判定結果)を得ることができる。これにより、条件や場所、人を選ぶことなく、再帰反射シール50を用いた対象物の真贋判定方法を広く普及させることができる。
【0165】
また、このように簡便な真贋判定方法を広めることで、第三者による偽造行為を効果的に抑止し、真正品の市場を適正に保護することができる。
【0166】
本発明は上述した実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施することができる。一実施形態で挙げた再帰反射シール50や包装体PRの形態はあくまで一例であり、これらについて他の形態を採用してもよい。
【0167】
また、図3〜図5に示す真贋判定用アプリ作動時の画面は適宜に変更してもよい。また、カメラ20による撮影フレームは、縦長又は横長のいずれであってもよい。
【符号の説明】
【0168】
10 多機能携帯通信端末(撮像手段、送信手段)
20 カメラ
30 LEDライト
40 ディスプレイ
50 再帰反射シール(再帰反射積層体)
70 再帰反射層
100 インターネット回線
102 メールサーバ(受信手段、通知手段)
104 アプリケーションサーバ(判定処理装置、受信手段、保存手段、判定手段、通知手段)
108 作業端末(通知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、
前記基材層の一方の面に積層され、透明微小球の一部分が露出した状態で埋め込まれ、多数の透明微小球が分布して配置された微小球固定層と光反射層とからなり、一定方向より入射した光の少なくとも一部を入射方向へ再帰反射させる再帰反射層と、
前記基材層の他方の面に積層された粘着層と、
前記透明微小球が露出した側の微小球固定層の面上の少なくとも一部にパターン形状をなして設けられた透明樹脂層と
を備えた再帰反射積層体を用いて行う対象物の真贋判定方法であって、
前記再帰反射積層体に対し、発光素子及び撮像素子を有する撮像装置を用いて前記発光素子から前記表面に向けて直進性の光を照射した状態で、前記再帰反射層からみて前記発光素子と前記撮像素子との間の角度が10度以下となる態様で前記撮像装置を相対的に配置しつつ前記撮像素子により前記再帰反射積層体を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程で撮像して得られた画像データを所定の判定処理装置に送信する送信工程と、
前記画像データで表される前記再帰反射積層体の色彩及び前記パターン形状の有無の少なくとも一方の要素に基づき対象物の真贋判定を行う判定工程と、
前記真贋判定の結果を前記撮像装置に対して通知する通知工程と
を有する対象物の真贋判定方法。
【請求項2】
基材層と、
前記基材層の一方の面に積層され、透明微小球の一部分が露出した状態で埋め込まれ、多数の透明微小球が分布して配置された微小球固定層と光反射層とからなり、一定方向より入射した光の少なくとも一部を入射方向へ再帰反射させる再帰反射層と、
前記基材層の他方の面に積層された粘着層と、
前記透明微小球が露出した側の微小球固定層の面上の少なくとも一部にパターン形状をなして設けられた透明樹脂層と
を備えた再帰反射積層体を用いて行う対象物の真贋判定方法であって、
前記再帰反射積層体に対し、発光素子及び撮像素子を有する撮像装置を用いて前記発光素子から前記表面に向けて直進性の光を照射した状態で、前記再帰反射層からみて前記発光素子と前記撮像素子との間の角度が10度以下となる態様で前記撮像装置を相対的に配置しつつ前記撮像素子により撮像された前記再帰反射積層体の画像データが前記撮像装置から送信されると、所定の判定処理装置にて前記画像データを受信する受信工程と、
前記判定処理装置にて前記画像データを受信すると、前記画像データで表される前記再帰反射積層体の色彩及び前記パターン形状の有無の少なくとも一方の要素に基づき対象物の真贋判定を行う判定工程と、
前記真贋判定の結果を前記撮像装置に対して通知する通知工程と
を有する対象物の真贋判定方法。
【請求項3】
基材層と、
前記基材層の一方の面に積層され、透明微小球の一部分が露出した状態で埋め込まれ、多数の透明微小球が分布して配置された微小球固定層と光反射層とからなり、一定方向より入射した光の少なくとも一部を入射方向へ再帰反射させる再帰反射層と、
前記基材層の他方の面に積層された粘着層と、
前記透明微小球が露出した側の微小球固定層の面上の少なくとも一部にパターン形状をなして設けられた透明樹脂層と
を備えた再帰反射積層体を用いて行う対象物の真贋判定方法であって、
前記再帰反射積層体に対し、発光素子及び撮像素子を有する撮像装置を用いて前記発光素子から前記表面に向けて直進性の光を照射した状態で、前記再帰反射層からみて前記発光素子と前記撮像素子との間の角度が10度以下となる態様で前記撮像装置を相対的に配置しつつ前記撮像素子により前記再帰反射積層体を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程で撮像して得られた画像データを用いて所定の表示装置に前記再帰反射積層体の画像を表示する表示工程と、
前記表示装置に表示された画像で表される前記再帰反射積層体の色彩及び前記パターン形状の有無の少なくとも一方の要素に基づき対象物の真贋判定を行う判定工程と
を有する対象物の真贋判定方法。
【請求項4】
基材層と、
前記基材層の一方の面に積層され、透明微小球の一部分が露出した状態で埋め込まれ、多数の透明微小球が分布して配置された微小球固定層と光反射層とからなり、一定方向より入射した光の少なくとも一部を入射方向へ再帰反射させる再帰反射層と、
前記基材層の他方の面に積層された粘着層と、
前記透明微小球が露出した側の微小球固定層の面上の少なくとも一部にパターン形状をなして設けられた透明樹脂層と
を備えた再帰反射積層体を用いる真贋判定用画像データの取得方法であって、
前記再帰反射積層体に対し、発光素子及び撮像素子を有する撮像装置を用いて前記発光素子から前記表面に向けて直進性の光を照射した状態で、前記再帰反射層からみて前記発光素子と前記撮像素子との間の角度が10度以下となる態様で前記撮像装置を相対的に配置しつつ前記撮像素子により撮像された前記再帰反射積層体の画像データが前記撮像装置から送信されると、所定の受信サーバにて前記画像データを受信する受信工程と、
前記受信サーバにて受信した前記画像データを、これによって表される前記再帰反射積層体の色彩及び前記パターン形状の有無の少なくとも一方の要素に基づき対象物の真贋判定を行うための真贋判定用画像データとして保存する保存工程と
を有する真贋判定用画像データの取得方法。
【請求項5】
基材層と、
前記基材層の一方の面に積層され、透明微小球の一部分が露出した状態で埋め込まれ、多数の透明微小球が分布して配置された微小球固定層と光反射層とからなり、一定方向より入射した光の少なくとも一部を入射方向へ再帰反射させる再帰反射層と、
前記基材層の他方の面に積層された粘着層と、
前記透明微小球が露出した側の微小球固定層の面上の少なくとも一部にパターン形状をなして設けられた透明樹脂層と
を備えた再帰反射積層体を用いて行う対象物の真贋判定システムであって、
前記再帰反射積層体に対し、発光素子及び撮像素子を有する撮像装置を用いて前記発光素子から前記表面に向けて直進性の光を照射した状態で、前記再帰反射層からみて前記発光素子と前記撮像素子との間の角度が10度以下となる態様で前記撮像装置を相対的に配置しつつ前記撮像素子により前記再帰反射積層体を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像して得られた画像データを所定の判定処理装置に送信する送信手段と、
前記画像データで表される前記再帰反射積層体の色彩及び前記パターン形状の有無の少なくとも一方の要素に基づき対象物の真贋判定を行う判定手段と、
前記真贋判定の結果を前記撮像装置に対して通知する通知手段と
を備えた対象物の真贋判定システム。
【請求項6】
基材層と、
前記基材層の一方の面に積層され、透明微小球の一部分が露出した状態で埋め込まれ、多数の透明微小球が分布して配置された微小球固定層と光反射層とからなり、一定方向より入射した光の少なくとも一部を入射方向へ再帰反射させる再帰反射層と、
前記基材層の他方の面に積層された粘着層と、
前記透明微小球が露出した側の微小球固定層の面上の少なくとも一部にパターン形状をなして設けられた透明樹脂層と
を備えた再帰反射積層体を用いて行う対象物の真贋判定システムであって、
前記再帰反射積層体に対し、発光素子及び撮像素子を有する撮像装置を用いて前記発光素子から前記表面に向けて直進性の光を照射した状態で、前記再帰反射層からみて前記発光素子と前記撮像素子との間の角度が10度以下となる態様で前記撮像装置を相対的に配置しつつ前記撮像素子により撮像された前記再帰反射積層体の画像データが前記撮像装置から送信されると、所定の判定処理装置にて前記画像データを受信する受信手段と、
前記判定処理装置にて前記画像データを受信すると、前記画像データで表される前記再帰反射積層体の色彩及び前記パターン形状の有無の少なくとも一方の要素に基づき対象物の真贋判定を行う判定手段と、
前記真贋判定の結果を前記撮像装置に対して通知する通知手段と
を備えた対象物の真贋判定システム。
【請求項7】
基材層と、
前記基材層の一方の面に積層され、透明微小球の一部分が露出した状態で埋め込まれ、多数の透明微小球が分布して配置された微小球固定層と光反射層とからなり、一定方向より入射した光の少なくとも一部を入射方向へ再帰反射させる再帰反射層と、
前記基材層の他方の面に積層された粘着層と、
前記透明微小球が露出した側の微小球固定層の面上の少なくとも一部にパターン形状をなして設けられた透明樹脂層と
を備えた再帰反射積層体を用いる真贋判定用画像データの取得システムであって、
前記再帰反射積層体に対し、発光素子及び撮像素子を有する撮像装置を用いて前記発光素子から前記表面に向けて直進性の光を照射した状態で、前記再帰反射層からみて前記発光素子と前記撮像素子との間の角度が10度以下となる態様で前記撮像装置を相対的に配置しつつ前記撮像素子により撮像された前記再帰反射積層体の画像データが前記撮像装置から送信されると、所定の受信サーバにて前記画像データを受信する受信手段と、
前記受信サーバにて受信した前記画像データを、これによって表される前記再帰反射積層体の色彩及び前記パターン形状の有無の少なくとも一方の要素に基づき対象物の真贋判定を行うための真贋判定用画像データとして保存する保存手段と
を備えた真贋判定用画像データの取得システム。
【請求項8】
基材層と、
前記基材層の一方の面に積層され、透明微小球の一部分が露出した状態で埋め込まれ、多数の透明微小球が分布して配置された微小球固定層と光反射層とからなり、一定方向より入射した光の少なくとも一部を入射方向へ再帰反射させる再帰反射層と、
前記基材層の他方の面に積層された粘着層と、
前記透明微小球が露出した側の微小球固定層の面上の少なくとも一部にパターン形状をなして設けられた透明樹脂層と
を備えた再帰反射積層体を用いて行われる対象物の真贋判定用プログラムであって、
少なくとも発光素子、撮像素子、記憶媒体、無線通信機能及び表示画面を有する撮像装置に内蔵されたコンピュータに、
前記発光素子を起動させるステップと、
前記撮像素子を起動させるステップと、
前記撮像素子により撮像された画像を前記表示画面に表示させるステップと、
前記発光素子から照射された直進光が前記表面に向けて照射された状態で、前記再帰反射層からみて前記発光素子と前記撮像素子との間の角度が10度以下となる位置関係に前記再帰反射積層体と前記撮像装置がある状態で前記撮像素子により撮像された前記再帰反射積層体の画像を真贋判定用画像データとして前記記憶媒体に記憶させるステップと、
前記無線通信機能を用いて、前記記憶媒体に記憶された前記真贋判定用画像データを所定の判定処理装置に送信するステップと、
送信した前記真贋判定用画像データで表される前記再帰反射積層体の色彩及び前記パターン形状の有無の少なくとも一方の要素に基づき、前記判定処理装置で行われた対象物の真贋判定の結果を受信するステップと
を実行させる対象物の真贋判定用プログラム。

【図1】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図13】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−195018(P2012−195018A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2012−159013(P2012−159013)
【出願日】平成24年7月17日(2012.7.17)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】