説明

対象物を研究するための光学デバイス

本発明は、対象物を研究するための光学デバイスに関するものである。本発明による光学デバイスは、単純な手段によって干渉器アームどうしの最大の適合を確保することができる。これにより、医療条件下や産業的条件下での使用時に、深さ方向の解像度を得ることができる。本発明においては、干渉計の少なくとも一方のアームにおいて、特定の光学的パラメータを有した少なくとも1つの交換可能部分を使用する。この特定の光学的パラメータは、例えば、他方のアームの光学的特性によって決定され、特に、光ファイバプローブの光学的特性によって決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理工学に関するものであり、特に、光学的手段による対象物の内部構造の研究に関するものである。本発明は、反射計を使用した対象物の撮影や、生体内でのまたは生体外での診断を含めたような、個々の器官およびシステムの医学的診断のための光学的コヒーレンストモグラフィー方法や、例えば技術的プロセスの制御といったような産業的診断、に応用することができる。
【背景技術】
【0002】
低いコヒーレンス性の光学的放射を使用した対象物の研究のために適用されるデバイスの利点は、高い空間的解像度でもって混濁した媒体を撮影し得る可能性であり、また、医学的研究における非破壊的診断の可能性であり、また、様々な設備の診断における非破壊的制御の可能性である。このタイプのデバイスは、低いコヒーレンスを有した光源と、この光源に対して光学的に接続された光学的干渉計と、を備えている。光学的干渉計は、低いコヒーレンスの反射計の一部であって、低いコヒーレンストモグラフィーのためのデバイスは、周知である(例えば、特許文献1〜6等を参照されたい)。時には、光学的干渉計は、バルク的な光学部材の使用によって全体的にまたは部分的に実施される(上記特許文献2)。しかしながら、より多くの場合、これら特許文献における光学的干渉計は、光ファイバから形成されている(上記特許文献1,3,4)。
【0003】
光学的干渉計は、典型的には、マイケルソン光ファイバ干渉計(例えば、非特許文献1,2を参照されたい)として、あるいは、マッハ−ゼンダー光ファイバ干渉計(例えば、非特許文献3、上記特許文献4を参照されたい)として、構成されている。使用されている特定の構成にかかわらず、光学的干渉計は、典型的には、1つあるいは2つのビームスプリッターと、測定アームと、参照アームと、少なくとも1つの光検出器と、を備えている。測定するアーム、概して測定プローブとされ、測定プローブは、多くの場合、光ファイバプローブとされる(例えば、非特許文献4,5)。マイケルソン干渉計においては、測定アームおよび参照アームは、参照アームの端部に配置された参照ミラーによって双方向的である。マッハ−ゼンダー干渉計においては、測定アームおよび参照アームは、一方向的である。さらに、従来技術においては、測定アームが一方向的なものとされかつ参照アームが双方向的なものとされたハイブリッド型干渉計が公知である(例えば、上記特許文献6)。
【0004】
低コヒーレンス反射計の一部であるかあるいは光学的コヒーレンストモグラフィーのためのデバイスの一部であるような、いかなる名称のトポロジーに関する光学的干渉計の構成に際しては、基本的な問題点が存在することに注意されたい。その問題点とは、光学的干渉計の2つのアームに関し、それらの光学的経路の長さを厳密に適合させる必要性と、それらの分散特性を厳密に適合させる必要性と、である。この条件に関する非適合は、相関関係関数の広がりをもたらし、その結果、深さ方向の解像度が低減してしまう。光学的干渉計のアームの光学的経路長さにおいて発生し得る差異に基づくようなあるいは測定アームに関して使用されている焦点合わせ用光学部材に基づいて引き起こされ得るような分散非適合を補償し得るよう、従来技術におけるデバイスは、参照アーム内に分散補償ユニットを備えている(例えば、上記特許文献3,5、および、特許文献7)。
【0005】
したがって、特許文献5に開示された従来デバイスは、低コヒーレンス光源と、この光源に対して光学的に接続された光学的干渉計と、を備え、光学的干渉計が、測定アームおよび参照アームを有している。測定アームは、プローブを備えている。一方、参照アームは、分散補償ユニットを備えている。この分散補償ユニットは、光ファイバの一部、あるいは、適切なバルク光学部材、を有している。少なくとも一方のアームは、光学的遅延ラインを有することができる。プローブは、側面スキャナを有することができる。このような研究条件下においてこのデバイスを使用する熟練した研究者は、所望の分散適合性を得ることができ、したがって、必要な量の光ファイバおよび/または適切な光学部材を選択することによって十分に大きな深さ方向の解像度を得ることができる。
【0006】
しかしながら、生体内または生体外での臨床試験や産業的診断は、概して低コヒーレンスエンジニアリングにはあまり熟練していない使用者によって行われるものであって、使用中の干渉計アームどうしの間の非適合に注意を払うことができない。低コヒーレンスの光学的トモグラフィーおよび反射測定のためのデバイスが、かなり高価なものであることにより、交換可能なプローブを備えた同じデバイスを、異なる低コヒーレンス光学放射光源を使用して、様々な対象物の研究のために使用することができる。プローブの交換は、その機能不調によって引き起こすこともできる。低コヒーレンス光学放射光源の変更や、他の対象物へのスイッチングや、プローブの交換は、一般に、初期的な校正調節を変化させてしまう、また、分散の補償が必要となる。後者は、製造された光ファイバが、干渉計アーム間の非適合をもたらしこのため深さ方向の解像度を低減させるような広い分散許容誤差を有しているという理由によって光ファイバプローブが交換される場合には、特に重要である。
【特許文献1】米国特許第5,321,501号明細書
【特許文献2】米国特許第5,383,467号明細書
【特許文献3】米国特許第5,459,570号明細書
【特許文献4】米国特許第5,582,171号明細書
【特許文献5】米国特許第6,134,003号明細書
【特許文献6】米国特許第6,657,727号明細書
【特許文献7】米国特許第5,975,697号明細書
【特許文献8】ロシア国特許第2148378号明細書
【特許文献9】ロシア国特許第2100787号明細書
【非特許文献1】X. Clivaz et al.,“High resolution reflectometry inbiological tissues”, Opt. Lett., Vol. 17, No. 1, January 1, 1992
【非特許文献2】J.A. Izatt, J.G. Fujimoto et al.,“Optical coherencemicroscopy in scattering media”, Opt. Lett., Vol. 19, No. 8, April 15, 1994,p. 590-592)
【非特許文献3】J.A. Izatt, J.G. Fujimoto et al.,“Micron-resolutionBiomedical Imaging with optical coherence tomography”, Optics & Photonic News, October 1993, Vol. 4, No. 10, p. 14-19
【非特許文献4】A. Sergeev et al.,“In vivo optical coherence tomography of human skin microstructure”, Proc. SPIE, vol. 2328, 1994, p. 144
【非特許文献5】X.J. Wang et al.,“Characterization of human scalp hairs by optical low coherence reflectometry”, Opt. Lett., Vol. 20, No. 5, 1995, pp. 524-526
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、対象物を研究するためのデバイスに関するものであり、単純な手段によって干渉器アームどうしの間の最適な適合(マッチング)を確保し得るようなデバイスに関するものである。したがって、本発明においては、医療条件下や産業的条件下での使用時に、深さ方向の解像度を得ることができる。
【0008】
本発明による対象物を研究するためのデバイスは、特許文献5によって公知のデバイスと同様に、低コヒーレンス光源と、この低コヒーレンス光源に対して光学的に接続された光学的干渉計と、を具備し、光学的干渉計が、測定アームと参照アームとを備え、測定アームが、プローブを有している。
【0009】
公知のデバイスとは異なり、本発明においては、光学的干渉計の少なくとも一方のアームが、予設定された光学的特性を有した少なくとも1つの交換可能部分を備えている。
【0010】
一実施形態においては、プローブが、交換可能なものとして形成される。
【0011】
他の実施形態においては、プローブが、光ファイバプローブとして形成される。
【0012】
他の実施形態においては、光学的干渉計の一方のアームの交換可能部分の予設定された光学的特性が、光学的干渉計の他方のアームの少なくとも一部の光学的特性によって決定される。
【0013】
特別の実施形態においては、参照アームが、少なくとも1つの交換可能部分を備え、この交換可能部分の予設定された光学的特性が、プローブの光学的特性によって決定されている。
【0014】
プローブの光学的特性によってその光学的特性が決定されている参照アームの交換可能部分が、光ファイバから形成されていることが望ましい。
【0015】
交換可能な少なくとも1つのセットを具備し、このセットが、光ファイバプローブと、参照アームの交換可能部分と、を備えていることが好ましい。
【0016】
一実施形態においては、光ファイバプローブと参照アームの交換可能部分とが、互いに実質的に同じ分散特性を有したそれぞれ個別の光ファイバリールから形成される。
【0017】
他の実施形態においては、光ファイバプローブと参照アームの交換可能部分とが、同一の光ファイバリールから形成される。
【0018】
他の実施形態においては、光ファイバプローブと参照アームの交換可能部分とが、様々な分散特性を有したそれぞれ個別の光ファイバリールから形成される。
【0019】
特定の実施形態においては、光学的干渉計の測定アームと参照アームとが、双方向的なものとして形成され、参照アームの交換可能部分の物理的な長さが、プローブの物理的な長さと実質的に同じとされている。
【0020】
他の特定の実施形態においては、光学的干渉計の測定アームが、双方向的なものとして形成され、かつ、光学的干渉計の参照アームが、一方向的なものとして形成され、参照アームの交換可能部分の物理的な長さが、プローブの物理的な長さの実質的に2倍とされている。
【0021】
他の特定の実施形態においては、光学的干渉計の測定アームが、一方向的なものとして形成され、かつ、光学的干渉計の参照アームが、双方向的なものとして形成され、参照アームの交換可能部分の物理的な長さが、プローブの物理的な長さの実質的に半分とされている。
【0022】
他の実施形態においては、光学的干渉計の少なくとも一方のアームの交換可能部分の予設定された光学的特性が、低コヒーレンス光源の光学的特性によって決定されている。
【0023】
他の特別の実施形態においては、光学的干渉計の少なくとも一方のアームの交換可能部分の予設定された光学的特性が、研究対象をなす対象物の光学的特性によって決定されている。
【0024】
他の特別の実施形態においては、光学的干渉計の少なくとも一方のアームの少なくとも1つの交換可能部分が、バルク光学部材から形成されている。
【0025】
他の実施形態においては、光学的干渉計の少なくとも一方のアームが、光学的遅延ラインを有している。
【0026】
他の実施形態においては、光学的干渉計の少なくとも一方のアームが、位相変調器を有している。
【0027】
他の実施形態においては、光学的干渉計の少なくとも一方のアームが、光ファイバから形成されている。
【0028】
他の実施形態においては、光ファイバが、単一モード光ファイバとされている。
【0029】
他の実施形態においては、光ファイバが、極性を維持する光ファイバとされている。
【0030】
他の実施形態においては、プローブが、側面スキャナを有している。
【0031】
他の実施形態においては、光源が、可視または近赤外の光源とされている。
【0032】
他の実施形態においては、光学的干渉計の一方のアームの交換可能部分が、少なくとも1つの着脱可能なコネクタを介して、光学的干渉計の同じアームの非交換可能部分に対して接続されている。
【0033】
他の実施形態においては、
参照アームが、分散補償ユニットを有している。
【0034】
対象物を研究し得るよう構成された光学デバイスは、デバイスの光学的干渉計の少なくとも一方のアームに、予設定された光学的特性を有した少なくとも1つの交換可能部分を有している。光学的干渉計の一方のアームの交換可能部分の予設定された光学的特性は、例えば、光学的干渉計の他方のアームの少なくとも一部の光学的特性によって決定される、あるいは、低コヒーレンス光源の光学的特性によって決定される、あるいは、研究対象をなす対象物の光学的特性によって決定される。デバイスは、交換可能なセットからなるキットを具備することができる。各セットは、光ファイバプローブと、参照アームの交換可能部分と、を有している。これらのセットは、医療応用や産業的応用における使用時にそのまま使用することができ、これにより、光学的干渉計のアームどうしの間において最適のマッチングを得ることができる。これにより、深さ方向の解像度を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の様々な特徴点は、添付図面を参照しつつ、以下の詳細な説明を読むことにより、明瞭となるであろう。図1は、対象物を研究するための本発明による光学デバイスを概略的に示す図である。
【0036】
本発明に基づいて開発されたデバイスが、図示されている。このデバイスは、光学的コヒーレンストモグラフィーのためのデバイスであって、その一部として、ファイバ干渉計を備えている。しかしながら、デバイスを、反射計として構成し得ること、および、光学的干渉計やデバイスの任意の一部を、バルク光学部材を使用して形成し得ることは、明らかである。
【0037】
図1に概略的に示されているような対象物を研究するためのデバイスは、以下のようにして動作する。
【0038】
光源1は、低コヒーレンス光学放射を形成するものであり、好ましい実施形態においては、可視範囲あるいはIR範囲のものとされる。この光学放射は、光源1に対して光学的に接続された光学的干渉計2へと導かれる。光源1は、例えば、半導体スーパー発光ダイオードや、ドーピングファイバによって増幅された自然放出スーパー発光体や、固体物理レーザーや、光ファイバフェムト秒レーザー、として構成することができる。特定の実施形態においては、光学的干渉計は、マイケルソン干渉計として形成され、測定アーム3および参照アーム4を備えている。測定アーム3は、光ファイバプローブ5を有している。光ファイバプローブ5は、当該技術分野において公知であるような任意の構成のものとすることができる。プローブ5は、例えば、内視鏡や、内視鏡プローブや、カテーテルや、ガイドワイヤや、ニードル、とすることができる。あるいは、プローブ5は、体内へと埋設することができ、内部器官に対しての即時的なアクセスをもたらすことができる。プローブ5は、特許文献8に記載されたプローブの側面走査システムと同様のものとし得るような、側面走査システムを備えることができる。
【0039】
図1に示す特別の実施形態においては、光ファイバプローブ5は、交換可能なものとして形成され、光学的干渉計2の残部に対して、着脱可能なコネクタ6を介して接続されている。光学的干渉計2が、極性を維持し得るファイバを使用して形成される場合には、着脱可能なコネクタ6は、同様に、極性を維持し得るものであるべきである。プローブ5が周囲を撮影し得るよう構成されている場合(例えば、血管内撮影用のカテーテル)には、プローブ5は、光学的干渉計2の残部に対して、回転式コネクタを介して接続することができる。参照アーム4は、端部に参照ミラー7を備えている。参照アーム4は、分散補償ユニットを備えることができる。分散補償ユニット(図示せず)は、デバイスの工場出荷時に校正のために使用される。
【0040】
光学的干渉計2の少なくとも一方のアームは、測定アーム3と参照アーム4との間の光学的経路長さの違いを変更し得るよう、すなわち、対象物10の深さ方向の走査を行い得るよう、光学的遅延ラインまたは位相変調器を備えることができる。光学的遅延ライン(図示せず)は、特許文献9に記載されているようなインライン式の光ファイバ遅延ラインとして形成することができる。しかしながら、当業者に公知であるような、光学的経路長さを変更するための他の任意の手段を使用することができる。例えば、ミラーの移動に基づく遅延ラインや、プリズムの移動に基づく遅延ラインや、回析格子ラインや、回転ミラーに基づく遅延ラインや、プリズムに基づく遅延ラインや、カムに基づく遅延ラインや、螺旋形ミラーに基づく遅延ライン、を使用することができる。
【0041】
光学的干渉計2の少なくとも一方のアームは、予設定された光学的特性に関し、交換可能であるような少なくとも一部を備えている。図示の実施形態においては、参照アーム4は、交換可能な一部分8を備えている。光学的干渉計2の一方のアームの交換可能部分の予設定された光学的特性は、光学的干渉計2の他方のアームの少なくとも一部の光学的特性によって決定される。すなわち、図示の実施形態においては、参照アーム4の交換可能部分8の予設定された光学的特性は、光ファイバプローブ5の光学的特性によって決定される。
【0042】
干渉計2が、マイケルソン干渉計として構成されている場合には、測定アームおよび参照アームは、双方向的である。したがって、参照アーム4の交換可能部分8の物理的な長さは、光ファイバプローブ5の物理的な長さと実質的に同じである。好ましい実施形態においては、光ファイバプローブ5と、参照アーム4の交換可能部分8とは、光ファイバの同じリールから形成され、交換可能な1セットを構成する。参照アーム4の交換可能部分8は、少なくとも1つの着脱可能なコネクタ9を介して、参照アーム4の非交換可能部分に対して接続されている。
【0043】
光学的干渉計2として、他の構成が使用されている場合には、すなわち、測定アーム3が双方向的とされかつ参照アーム4が一方向的とされている場合には、参照アーム4の交換可能部分8の物理的な長さは、プローブ5の物理的な長さの実質的に2倍とされる。光学的干渉計2の構成として、測定アーム3が一方向的とされかつ参照アーム4が双方向的とされている場合には、参照アーム4の交換可能部分8の物理的な長さは、プローブ5の物理的な長さの実質的に半分とされる。
【0044】
2つの波長で研究を行う場合には、1つの波長から他の波長へと切り替える際に、分散の補償を行う必要がある。この場合、交換可能なセットが使用され、このセットにおいては、光ファイバプローブ5と、参照アーム4の交換可能部分8とは、様々な分散特性を有した光ファイバのリールから形成される。
【0045】
光学的干渉計2のアーム3のあるいはアーム4の交換可能部分の予設定された光学的特性は、低コヒーレンス光学放射を行う光源1の光学的特性によって決定することができる。あるいは、光学的干渉計2のアーム3のあるいはアーム4の交換可能部分の予設定された光学的特性は、研究対象をなす対象物10の光学的特性によって決定することができる。
【0046】
測定アーム3の一部をなす光ファイバプローブ5は、対象物10に対して光学的放射を伝達する。干渉計2は、測定アーム3を通過した光学放射と参照アーム4を通過した光学放射とを混合することにより、干渉信号を形成する。光ファイバプローブ5が交換された場合には、参照アーム4の交換可能部分8も、また、対応するセットの中から適合する交換可能部分8を持ち出すことによって、交換される。リアルタイムの場合であるかどうかに依存して、使用されるセットは、実質的に同じ分散特性を有した互いに個別の光ファイバリールから形成された光ファイバプローブ5と交換可能部分8とからなるセットとされる、あるいは、様々な分散特性を有した光ファイバリールから形成された光ファイバプローブ5と交換可能部分8とからなるセットとされる。
【0047】
いずれの場合においても、光学的干渉計のアームどうしの間の究極的な適合が得られ、これにより、深さ方向の解像度として高い解像度が得られる。
【0048】
[産業的応用可能性]
本発明は、反射計を使用した対象物の撮影や、生体内でのまたは生体外での診断を含めたような、個々の器官およびシステムの医学的診断のための光学的コヒーレンストモグラフィー方法や、例えば技術的プロセスの制御といったような産業的診断、に応用することができる。本発明が、従来的手法を援用して実施し得るものであることに、注意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】対象物を研究するための本発明による光学デバイスを概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 低コヒーレンス光源
2 光学的干渉計
3 測定アーム
4 参照アーム
5 光ファイバプローブ
6 着脱可能なコネクタ
8 交換可能部分
9 着脱可能なコネクタ
10 対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を研究するための光学デバイスであって、
低コヒーレンス光源と;
この低コヒーレンス光源に対して光学的に接続された光学的干渉計と;
を具備してなり、
前記光学的干渉計が、測定アームと参照アームとを備え、
前記測定アームが、プローブを有し、
このような光学デバイスにおいて、
前記光学的干渉計の少なくとも一方のアームが、予設定された光学的特性を有した少なくとも1つの交換可能部分を備えていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項2】
請求項1記載の光学デバイスにおいて、
前記プローブが、交換可能なものとされていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項3】
請求項1記載の光学デバイスにおいて、
前記プローブが、光ファイバプローブとして形成されていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項4】
請求項1記載の光学デバイスにおいて、
前記光学的干渉計の前記一方のアームの前記交換可能部分の前記予設定された光学的特性が、前記光学的干渉計の他方のアームの少なくとも一部の光学的特性によって決定されていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項5】
請求項4記載の光学デバイスにおいて、
前記参照アームが、少なくとも1つの前記交換可能部分を備え、
この交換可能部分の前記予設定された光学的特性が、前記プローブの光学的特性によって決定されていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項6】
請求項5記載の光学デバイスにおいて、
前記プローブの光学的特性によってその光学的特性が決定されている前記参照アームの前記交換可能部分が、光ファイバから形成されていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項7】
請求項5記載の光学デバイスにおいて、
交換可能な少なくとも1つのセットを具備し、
このセットが、光ファイバプローブと、前記参照アームの交換可能部分と、を備えていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項8】
請求項7記載の光学デバイスにおいて、
前記光ファイバプローブと前記参照アームの前記交換可能部分とが、互いに実質的に同じ分散特性を有したそれぞれ個別の光ファイバリールから形成されていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項9】
請求項7記載の光学デバイスにおいて、
前記光ファイバプローブと前記参照アームの前記交換可能部分とが、同一の光ファイバリールから形成されていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項10】
請求項7記載の光学デバイスにおいて、
前記光ファイバプローブと前記参照アームの前記交換可能部分とが、様々な分散特性を有したそれぞれ個別の光ファイバリールから形成されていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項11】
請求項5記載の光学デバイスにおいて、
前記光学的干渉計の前記測定アームと前記参照アームとが、双方向的なものとして形成され、
前記参照アームの前記交換可能部分の物理的な長さが、前記プローブの物理的な長さと実質的に同じとされていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項12】
請求項5記載の光学デバイスにおいて、
前記光学的干渉計の前記測定アームが、双方向的なものとして形成され、かつ、前記光学的干渉計の前記参照アームが、一方向的なものとして形成され、
前記参照アームの前記交換可能部分の物理的な長さが、前記プローブの物理的な長さの実質的に2倍とされていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項13】
請求項5記載の光学デバイスにおいて、
前記光学的干渉計の前記測定アームが、一方向的なものとして形成され、かつ、前記光学的干渉計の前記参照アームが、双方向的なものとして形成され、
前記参照アームの前記交換可能部分の物理的な長さが、前記プローブの物理的な長さの実質的に半分とされていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項14】
請求項1記載の光学デバイスにおいて、
前記光学的干渉計の少なくとも一方のアームの前記交換可能部分の前記予設定された光学的特性が、前記低コヒーレンス光源の光学的特性によって決定されていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項15】
請求項1記載の光学デバイスにおいて、
前記光学的干渉計の少なくとも一方のアームの前記交換可能部分の前記予設定された光学的特性が、研究対象をなす対象物の光学的特性によって決定されていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の光学デバイスにおいて、
前記光学的干渉計の少なくとも一方のアームの少なくとも1つの交換可能部分が、バルク光学部材から形成されていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の光学デバイスにおいて、
前記光学的干渉計の少なくとも一方のアームが、光学的遅延ラインを有していることを特徴とする光学デバイス。
【請求項18】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の光学デバイスにおいて、
前記光学的干渉計の少なくとも一方のアームが、位相変調器を有していることを特徴とする光学デバイス。
【請求項19】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の光学デバイスにおいて、
前記光学的干渉計の少なくとも一方のアームが、光ファイバから形成されていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項20】
請求項19記載の光学デバイスにおいて、
前記光ファイバが、単一モード光ファイバとされていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項21】
請求項19記載の光学デバイスにおいて、
前記光ファイバが、極性を維持する光ファイバとされていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項22】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の光学デバイスにおいて、
前記プローブが、側面スキャナを有していることを特徴とする光学デバイス。
【請求項23】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の光学デバイスにおいて、
前記光源が、可視または近赤外の光源とされていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項24】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の光学デバイスにおいて、
前記光学的干渉計の一方のアームの前記交換可能部分が、少なくとも1つの着脱可能なコネクタを介して、前記光学的干渉計の同じアームの非交換可能部分に対して接続されていることを特徴とする光学デバイス。
【請求項25】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の光学デバイスにおいて、
前記参照アームが、分散補償ユニットを有していることを特徴とする光学デバイス。

【図1】
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【公表番号】特表2007−504475(P2007−504475A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532168(P2006−532168)
【出願日】平成16年5月24日(2004.5.24)
【国際出願番号】PCT/RU2004/000195
【国際公開番号】WO2004/106849
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(502193716)イマラックス・コーポレーション (2)
【Fターム(参考)】