対象物検出装置
【課題】光検出手段としてフォトダイオードやフォトトランジスタを用い、光検出手段と電極間とのインピーダンスから、測定対象物の電気特定及び光特性を同時に測定する対象物検出装置を提供する。
【解決手段】測定対象物20の方向に対して光を照射するLED3aと、照射した光の反射光を受光して電気的な信号に変換するフォトダイオード3bと、フォトダイオード3bに並列に接続し、所定の間隔で離隔配設される1対の電極2a,2bと、フォトダイオード3a及び電極2a,2bに接続する交流電源と、並列に接続されるフォトダイオード3a及び電極2a,2b間のインピーダンスを測定するインピーダンス測定部42と、測定対象物20の電気特性及び光特性に関する情報を予め記憶する対象情報記憶部45と、測定したインピーダンスの値と、記憶されている測定対象物20に関する情報とから、測定対象物20の材質及び/又は接近距離を判別する対象物判別部43とを備える。
【解決手段】測定対象物20の方向に対して光を照射するLED3aと、照射した光の反射光を受光して電気的な信号に変換するフォトダイオード3bと、フォトダイオード3bに並列に接続し、所定の間隔で離隔配設される1対の電極2a,2bと、フォトダイオード3a及び電極2a,2bに接続する交流電源と、並列に接続されるフォトダイオード3a及び電極2a,2b間のインピーダンスを測定するインピーダンス測定部42と、測定対象物20の電気特性及び光特性に関する情報を予め記憶する対象情報記憶部45と、測定したインピーダンスの値と、記憶されている測定対象物20に関する情報とから、測定対象物20の材質及び/又は接近距離を判別する対象物判別部43とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一のセンサで測定対象物に関する複数の情報を検出する対象物検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、非接触センサは産業界を中心に様々な分野で利用されており、カメラを用いたセンサ、超音波センサ、電磁センサ、静電容量センサ、マイクロ波センサ等の様々な技術が盛んに研究されている。これらの多くが単一センサにより単一の情報を取得することを目的としているのに対して、発明者らが開発した特許文献1に示す技術は、単一のセンサにより複数の情報を取得することを目的としている。
【0003】
特許文献1に示す技術は、測定対象物が透明体の場合は不透明な部材を背面に配設し、導電体の場合は不導電体の部材を背面に配設し、該測定対象物に光を照射して対象物からの反射光を受光し、該受光光により二つの電極の抵抗値を変化させる複数の光導電素子を所定の間隔で離隔配設し、複数の光導電素子の少なくとも一の光導電素子の一方の電極に交流電源が接続されると共に、他の光導電素子の一方の電極が出力端子として形成される検知手段と、予め検出された前記測定対象物に関する厚さ及び位置情報が基準データとして格納される基データベースメモリと、前記検知手段からの検知信号及び基準データに基づき前記測定対象物の厚さ及び位置を判別する判別手段とを備えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−203221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示す技術は、電極としてCdSセルを用いているため、カドミウムによる環境への影響が問題となる。また、CdSセルを用いた場合は、応答速度が遅くなってしまうという課題を有する。
【0006】
そこで、本発明は、光検出手段としてフォトダイオードやフォトトランジスタを用い、光検出手段と電極間とのインピーダンスから、測定対象物の電気特性及び光特性を同時に測定する対象物検出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る対象物検出装置は、測定対象物の方向に対して光を照射する光照射手段と、前記光照射手段が照射した光の反射光を受光して電気的な信号に変換する光検出手段と、前記光検出手段に並列に接続し、所定の間隔で離隔配設される1対の電極と、前記光検出手段及び前記電極に接続する交流電源と、並列に接続される前記光検出手段及び前記電極間のインピーダンスを測定するインピーダンス測定手段と、前記測定対象物の電気特性及び光特性に関する情報を予め記憶する対象情報記憶手段と、前記インピーダンス測定手段が測定したインピーダンスの値と、前記対象情報記憶手段に記憶されている前記測定対象物に関する情報とから、前記測定対象物の材質及び/又は接近距離を判別する対象物判別手段とを備えるものである。
【0008】
このように、本発明に係る対象物検出装置においては、測定対象物の方向に対して光を照射する光照射手段と、照射された光の反射光を受光して電気的な信号に変換する光検出手段と、光検出手段に並列に接続し、所定の間隔で離隔配設される1対の電極と、光検出手段及び電極に接続する交流電源と、並列に接続される光検出手段及び電極間のインピーダンスを測定するインピーダンス測定手段と、測定対象物の電気特性及び光特性に関する情報を予め記憶する対象情報記憶手段と、インピーダンス測定手段が測定したインピーダンスの値と、対象情報記憶手段に記憶されている前記測定対象物に関する情報とから、測定対象物の材質及び/又は接近距離を判別する対象物判別手段とを備えるため、測定対象物の電気特性及び光特性の測定をインピーダンス測定のみで可能となり、回路構成を簡潔にすることができるという効果を奏する。
【0009】
また、並列に接続される光検出手段及び電極間のインピーダンスを測定するため、静電容量とコンダクタンスの両方の成分を測定することにより、より正確な測定が可能になるという効果を奏する。
【0010】
本発明に係る対象物検出装置は、前記光検出手段が、前記測定対象物に当たって反射した光を受光し、前記対象情報記憶手段が、前記測定対象物に複数の状態で光が照射された場合のインピーダンスの相関を、前記測定対象物と前記対象物検出装置との距離に応じて記憶し、前記対象物判別手段が、前記測定対象物に複数の状態で光が照射された場合のインピーダンスの測定結果と、前記対象情報記憶手段に記憶された情報とに基づいて、前記測定対象物の材質及び/又は接近距離を判別するものである。
【0011】
このように、本発明に係る対象物検出装置においては、測定対象物に複数の状態で光が照射された場合(例えば、光が照射されない場合、低い照度で光が照射された場合、高い照度で光が照射された場合等)のインピーダンスの測定結果に基づいて、測定対象物の材質及び/又は接近距離を判別するため、測定対象物の光特定と電気特性を、複数の光の状態における測定結果の相関関係から得ることができ、正確な測定を実現することができるという効果を奏する。
【0012】
本発明に係る対象物検出装置は、少なくとも前記測定対象物が接触する位置に、前記光照射手段が照射する光の一部又は全部を透過し、外部からの圧力に対して弾性を有する弾性体を備え、前記対象情報記憶手段が、前記測定対象物に光が照射された場合のインピーダンスの測定結果を、前記測定対象物と前記対象物検出装置との距離に応じて記憶し、前記対象物判別手段が、前記インピーダンス測定手段が測定したインピーダンスの値と、前記対象情報記憶手段に記憶されている前記測定対象物に関する情報とから、前記測定対象物からの圧力を特定するものである。
【0013】
このように、本発明に係る対象物検出装置においては、測定対象物が接触する位置に、光の一部又は全部を透過し、外部からの圧力に対して弾性を有する弾性体を備え、測定したインピーダンスの値に基づいて、測定対象物と対象物検出装置との距離から測定対象物の圧力を特定するため、測定対象物の材質及び/又は接近距離に加えて、圧力を検出することができるという効果を奏する。
【0014】
本発明に係る対象物検出装置は、前記対象情報記憶手段が、前記測定対象物がなく、且つ前記光照射手段が光を照射しない場合に、前記インピーダンス測定手段が測定した測定結果を記憶しているものである。
【0015】
このように、本発明に係る対象物検出装置においては、測定対象物がなく、且つ光を照射しない場合の測定結果を記憶しておくため、測定対象物がない状態を正確に把握した上で、測定対象物の測定を行うことができ、高精度なセンサを実現することができるという効果を奏する。
【0016】
本発明に係る対象物検出装置は、前記光検出手段が、フォトダイオード又はフォトトランジスタであるものである。
このように、本発明に係る対象物検出装置においては、光検出手段がフォトダイオード又はフォトトランジスタであるため、CdSのように環境への影響の問題がなく、応答速度も速くすることができるという効果を奏する。
【0017】
本発明に係る対象物検出装置は、前記測定対象物と前記対象物検出装置との間の距離を制御する距離制御手段を備え、前記インピーダンス測定手段が、前記距離制御手段にて前記測定対象物と前記対象物検出装置との間の距離を変化させて、少なくとも2つの距離におけるインピーダンスを測定し、前記インピーダンス測定手段が、測定した2つ以上のインピーダンスの値と、前記対象情報記憶手段に記憶されている前記測定対象物に関する情報とから、前記測定対象物の材質及び/又は接近距離を判別するものである。
【0018】
このように、本発明に係る対象物検出装置においては、測定対象物と対象物検出装置との間の距離を制御し、少なくとも2つの距離におけるインピーダンスを測定し、測定した2つ以上のインピーダンスの値と、記憶されている測定対象物に関する情報とから、測定対象物の材質及び/又は接近距離を判別するため、記憶されている測定対象物の特性が似ている場合であっても、2つ以上の測定値から測定対象物の特性を正確に判別し、高精度に測定対象物の材質及び/又は接近距離を判別することができるという効果を奏する。
【0019】
本発明に係る対象物検出装置は、少なくとも前記測定対象物が接触する位置に、前記光照射手段が照射する光の一部又は全部を透過し、外部からの圧力に対して弾性を有する弾性体と、前記弾性体の測定側の表面に、前記光照射手段が照射する光の少なくとも一部を反射する反射体とを備え、前記対象情報記憶手段が、前記反射体に光が照射された場合のインピーダンスの測定結果を、前記測定対象物と前記対象物検出装置との距離に応じて記憶し、前記対象物判別手段が、前記インピーダンス測定手段が測定したインピーダンスの値と、前記対象情報記憶手段に記憶されている前記測定対象物に関する情報とから、前記測定対象物の圧力を特定するものである。
【0020】
このように、本発明に係る対象物検出装置においては、測定対象物が接触する位置に、光の一部又は全部を透過し、外部からの圧力に対して弾性を有する弾性体と、弾性体の測定側の表面に、照射する光の少なくとも一部を反射する反射体とを備え、測定したインピーダンスの値に基づいて、測定対象物と対象物検出装置との距離から測定対象物の圧力を特定するため、測定対象物の材質及び/又は接近距離に加えて、圧力を検出することができるという効果を奏する。特に、光検出手段が受光する光は、反射体から反射された光であるため、測定対象物の種類によらず反射体の反射率は一定であり、対象情報記憶手段に記憶する測定対象物の光特性の情報を格段に減らすことができ、装置を簡略化することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1の実施形態に係る測定物検出装置の概略図である。
【図2】第1の実施形態に係る測定物検出装置の等価回路を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る測定物検出装置の構成を示す図である。
【図4】第1の実施形態に係る測定物検出装置の機能ブロック図である。
【図5】第1の実施形態に係る測定物検出装置における光の有無によるアドミタンスの関係を示す図である。
【図6】第1の実施形態に係る測定物検出装置における光の有無による測定値の変化を示す図である。
【図7】第1の実施形態に係る測定物検出装置の他の構成例を示す図である。
【図8】第2の実施形態に係る対象物検出装置の構成を示す図である。
【図9】第2の実施形態に係る対象物検出装置における光の有無による測定値の変化を示す図である。
【図10】本発明に係る対象物検出装置の他の構成例を示す図である。
【図11】実験における対象物検出装置の構造を示す図である。
【図12】実験における各測定試料のインピーダンスの測定結果を示す図である。
【図13】距離をパラメータとした光の有無によるインピーダンスの相関を示す図である。
【図14】実験における対象物検出装置の構造を示す第2の図である。
【図15】実験における対象物検出装置のセンサシステムを示す図である。
【図16】実験における対象物検出装置の等価回路を示す図である。
【図17】図16における抵抗の電圧とフォトダイオードの内部コンダクタンスの値を示す図である。
【図18】各測定対象物における結果を示す図である。
【図19】各測定対象物における測定結果を示す図である。
【図20】実施例における実験結果を示す第1の図である。
【図21】実施例における実験結果を示す第2の図である。
【図22】距離をパラメータとした電気特性と光特性の相関を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明は多くの異なる形態で実施可能である。また、本実施形態の全体を通して同じ要素には同じ符号を付けている。
【0023】
(本発明の第1の実施形態)
本実施形態に係る対象物検出装置について、図1ないし図7を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る測定物検出装置の概略図、図2は、本実施形態に係る測定物検出装置の等価回路を示す図、図3は、本実施形態に係る測定物検出装置の構成を示す図、図4は、本実施形態に係る測定物検出装置の機能ブロック図、図5は、本実施形態に係る測定物検出装置における光の有無によるアドミタンスの関係を示す図、図6は、本実施形態に係る測定物検出装置における光の有無による測定値の変化を示す図、図7は、本実施形態に係る測定物検出装置の他の構成例である。
【0024】
本実施形態に係る測定物検出装置は、電極とフォトダイオード又はフォトトランジスタを用い、測定対象物の電気特性(誘電率)及び光特性(反射)を同時に測定するものである。通常、フォトダイオード又はフォトトランジスタは、電流出力の変化により光検出を行うものであるが、本実施形態では、フォトダイオード又はフォトトランジスタの内部インピーダンスを測定することで光検出を行う。
【0025】
本実施形態においては、電極2a,2b、フォトダイオード3b及びLED3aを用いる。図1に、測定物検出装置1の概略図を示す。図1(A)に示すように、所定の間隔で離隔配設される電極2a,2bにより測定対象物20までの距離情報を含む電気特性(誘電率)を測定する。また、図1(B)に示すように、離隔配設された電極2a,2bの間に配設されるLED3aにより光を照射し、測定対象物20により反射した光をフォトダイオード3bで受光することにより、測定対象物20までの距離情報を含む光特定(反射)を測定する。
【0026】
図2(A)に、フォトダイオード3bと電極2a,2bを並列に接続した場合の等価回路を示し、図2(B)に、図2(A)の並列部分の回路図を示す。フォトダイオード3bの内部インピーダンスをGP,CP、電極2a,2b間のインピーダンスをCEとすると、インピーダンスの測定値Zは、以下の式で表される。
【0027】
【数1】
【0028】
フォトダイオード3bへの入射光がない場合、フォトダイオード3bの内部インピーダンスに変化がなく、ZはCEにより変化する。よって、測定対象物20の電気特性が得られる。次に、LED3aにより測定対象物20に照射した光が、測定対象物20の表面から反射されてフォトダイオード3bに入射する場合、フォトダイオード3bの内部インピーダンスが変化する。よって、測定対象物20の光特性が得られる。このような手法により、複数の光の状態でインピーダンスを測定することで、測定対象物20の光特性及び電気特性を得ることができ、測定対象物20の複数の情報を検出することができる。
【0029】
図3に、本実施形態に係る測定物検出装置の構成を示す。図3(A)は測定物検出装置1の下面図、図3(B)は測定物検出装置1の断面図である。測定物検出装置1は、アクリルの基材4に、基材4の表面に同一平面上に所定の間隔で離隔配設される平板状の電極2a,2bを備え、電極2a,2bの間に測定対象物20に対して光を照射するLED(L)3aと、測定対象物20の表面から反射された光を受光するフォトダイオード3bとを備える。なお、このときフォトダイオード3bは、LED3aから照射された光を直接受光しないように、LED3aの発光面より背面側が受光面となるように配設されることが望ましい。また、電極2a,2bは、図に示すような平板状でもよいし、例えば曲面状であってもよい。
【0030】
図3(B)に示されるように、電極2a,2bの間の静電容量成分と、LED3aから照射された光をフォトダイオード3bが受光した場合のフォトダイオード3bの静電容量成分及びコンダクタンス成分とを測定することで、測定対象物20の材質及び/又は距離を検出することができる。
【0031】
また、図4の機能ブロックを用いて測定物検出装置の構成を説明する。測定物検出装置1は、基材4、電極2a,2b、LED3a及びフォトダイオード3bからなるセンサ部41と、センサ部41で検出された値からインピーダンスを測定するインピーダンス測定部42と、測定対象物20に関する情報が格納されている対象情報記憶部45の情報と測定されたインピーダンスの値とから、測定対象物20の材質及び/近接距離を判別する対象物判別部43と、判別された情報を出力部46に出力制御する出力制御部44とを備える。
【0032】
ここで、対象情報記憶部45に格納されている情報について説明する。図5は、測定対象物20ごとの距離変化(測定対象物20と対象物検出装置1との距離変化)における光が照射されない場合のアドミタンスに対する光が照射された場合のアドミタンスの変化を示す。なお、アドミタンスは、アドミタンス(Y)=1/インピーダンス(Z)で示される。横軸が光照射なしの場合のアドミタンス(Y1)を示し、縦軸が光照射ありの場合のアドミタンス(Y2)を示す。光照射なしの場合のアドミタンス(Y1)は、式(1)から、GP,CPは一定となり、CEのみが変化し、光照射ありの場合のアドミタンス(Y2)は、式(1)から、GP,CPは変化し、CEも変化する。これらの変化の情報を図5のように記憶しておき、対象物判別部43が、測定値と比較して測定対象物20の材質や近接距離を判別する。なお、光の照度に応じてアドミタンスの変化の情報を記憶するようにしてもよい。
【0033】
測定物検出装置1の処理について、より詳細に説明する。図6は、測定値の変化を示す図である。図6(A)は、測定対象物20がない場合のインピーダンスの静電容量成分とコンダクタンス成分とを示し、図6(B)は、測定対象物20があって光照射なしの場合のインピーダンスの静電容量成分とコンダクタンス成分とを示し、図6(C)は、測定対象物20があって光照射ありの場合のインピーダンスの静電容量成分とコンダクタンス成分とを示す。
【0034】
図6(A)に示すように、測定対象物20がない場合はインピーダンスの値に変化がなく、初期値の状態となる。次に、LED3aが光を照射しない状態で測定対象物20のインピーダンスを測定すると、図6(A)の初期状態から図6(B)に示すように値が変化する。すなわち、光を照射していないため、フォトダイオード3bのGP,CPに変化はなく、電極2a,2b間のCEのみが変化する。次に、LED3aが光を照射した状態で測定対象物20のインピーダンスを測定すると、図6(B)の状態から図6(C)に示すように値が変化する。すなわち、電極2a,2b間のCEに変化はなく、フォトダイオード3bのGP,CPのみが変化する。
【0035】
したがって、測定対象物20のインピーダンスの測定値、すなわち電気特性から得られる測定対象物20の比誘電率、近接距離及び測定対象物20の厚み、並びに光特性から得られる測定対象物20の反射、近接距離等から、対象情報記憶部45の情報を参照することで、測定対象物20の材質、厚さ及び近接距離を測定することができる。
【0036】
なお、図5に示すように、測定対象物ごとに異なる特性を有する場合(例えば、取り扱う部材が予め決まっている工場のライン等で使用する場合)は、グラフ上の1点のみを測定することで、その材質や距離を判別することができるが、不特定多数の測定対象物を測定対象とする場合には、図5の特性が酷似している場合やグラフが交差する場合が有り得る。そのような場合に、グラフ上の1点のみを測定しても材質や距離を確実に判別できなくなる可能性がある。
【0037】
そこで、本実施形態においては、より確実に測定対象物を測定するために、測定対象物20と対象物検出装置1との間の距離を制御して変化させ、少なくとも2つの距離においてインピーダンスを測定するようにしてもよい。そうすることで、特性が酷似している場合やグラフが交差しているような場合であっても、測定対象物20を正確に判別することができる。
【0038】
また、本実施形態に係る対象物測定装置においては、図7に示すように、測定する側の表面に少なくともLED3aからの光の一部を透過する弾性体5を備えるようにしてもよい。すなわち、弾性体5と測定対象物20の接触状態により、測定対象物20からの押圧力を測定することができる。具体的には、上記で説明したように、測定対象物20と対象物検出装置1との距離を判別し、予めわかっている弾性体5のヤング率と測定した距離とから、測定対象物20の押圧力を求めることができる。また、センサ部を能動的に動かして測定対象物20に接触させることで、測定対象物20の硬さ、すべり度等を検出することも可能である。
【0039】
このように、本実施形態に係る対象物測定装置によれば、測定対象物20のインピーダンスを測定することで、電気特性及び光特性を検出することができ、それらの情報から測定対象物20の材質、近接距離及び押圧力を同時に正確に測定することができる。
【0040】
(本発明の第2の実施形態)
本実施形態に係る対象物検出装置について、図8及び図9を用いて説明する。図8は、本実施形態に係る対象物検出装置の構成を示す図、図9は、本実施形態に係る対象物検出における光の有無による測定値の変化を示す図である。
なお、本実施形態において、前記第1の実施形態と重複する説明は省略する。
【0041】
本実施形態に係る対象物検出装置は、図6に示す対象物検出装置の構成において、弾性体5の測定側の面の表面に、LED3aが照射する光の少なくとも一部を反射する反射体6を備える。すなわち、LED3aから照射された光は反射体6で反射され、フォトダイオード3bがその反射された光を受光する。したがって、反射体6の反射率は一定であり、対象情報記憶部45が、測定対象物20の材質ごとに光特性の情報を記憶する必要がなく、情報量を格段に減らして処理を迅速にすることができる。
【0042】
なお、反射体6は、LED3aから照射された光を全て反射してもよいし、一部の波長のみ(例えば、赤外線のみ)を反射し、他の波長の光は透過するような反射体6であってもよい。つまり、LED3aから照射された光を全て反射する場合は、反射光は反射体6の材質にのみ依存するため、測定対象物20の材質は比誘電率に基づいて測定することとなる。一方、LED3aから照射された光の一部のみを反射する場合、反射した光は反射体6で反射した光と測定対象物20で反射した光とに分けることができ、測定対象物20の材質を誘電率と反射体6で反射した反射光とに基づいて測定することができる。
【0043】
本実施形態における対象物検出装置の処理について、図9を用いて詳細に説明する。図9は、測定値の変化を示す図である。図9(A)は、測定対象物20がなく光照射もない場合のインピーダンスの静電容量成分とコンダクタンス成分とを示し、図9(B)は、測定対象物20がなく光照射がある場合のインピーダンスの静電容量成分とコンダクタンス成分とを示し、図9(C)は、測定対象物があって光照射なしの場合のインピーダンスの静電容量成分とコンダクタンス成分とを示し、図9(D)は、測定対象物があって光照射もありの場合のインピーダンスの静電容量成分とコンダクタンス成分とを示している。
【0044】
図9(A)に示すように、測定対象物20がなく光照射もない場合はインピーダンスの値に変化がなく初期値の状態となる。また、測定対象物20がない状態で光を照射すると、図9(B)に示すように値が変化する。すなわち、反射体6で反射した光をフォトダイオード3bが受光することで、フォトダイオード3bのGP,CPのみが変化する。
【0045】
これに対して、測定対象物20がある場合は、光を照射しなければ、図9(C)に示すようにフォトダイオード3bのGP,CPに変化はなく、電極2a,2b間のCEのみが変化する。その状態で光を照射すると、図9(D)に示すようにフォトダイオード3bのGP,CPが変化する。測定対象物20が反射体6に接触して押圧されている場合は、図9(B)と図9(D)との受光状態の変化や、図9(A)と図9(C)との静電容量の変化により、弾性体5の撓み量を求めることができ、測定対象物20からの押圧力を正確に測定することができる。
【0046】
したがって、測定対象物20のインピーダンスの測定値、すなわち電気特性から得られる測定対象物20の比誘電率、近接距離及び測定対象物20の厚み、並びに光特性から得られる反射体6からの反射等から、対象情報記憶部45の情報を参照することで、測定対象物20の材質、厚さ、近接距離及び押圧力を測定することができる。
【0047】
(本発明の第3の実施形態)
本実施形態に係る対象物検出装置について説明する。前記各実施形態においては、インピーダンスの値を測定しているが、本実施形態においては、測定したインピーダンスを静電容量成分とコンダクタンス成分を分けて、電気特性及び光特性を測定する。
【0048】
図2の回路において、フォトダイオード3bの内部インピーダンスをGP,CP、電極2a,2b間のインピーダンスをCEとおくと、測定値の静電容量値Cとコンダクタンス値Gは、以下の式で表される。
【0049】
【数2】
【0050】
このとき、電極間のインピーダンスは、静電容量成分が支配的であることから、電極間のコンダクタンスは無視する。そのことから、コンダクタンスの測定値は、フォトダイオード3bのコンダクタンスGPと考えることができる。また、フォトダイオード3bの内部インピーダンスGP,CPは光量より増加する。このことにより、フォトダイオード3bの内部インピーダンスGP,CPの関係は次式で表せる。
【0051】
【数3】
【0052】
よって、フォトダイオード3bのコンダクタンス値より静電容量値を求めることができる。ここで、センサを測定対象物20に近づける又は測定対象物20がセンサに近づいた場合、電極2a,2b間の静電容量値CEは変化する。このとき、フォトダイオード3bは測定対象物20の誘電率により変化しないことから、測定対象物20の電気特性は、電極2a,2b間の静電容量で得ることができる。ここで、電極2a,2b間の静電容量は、上記(2)、(3)式より、次式で表せる。
【0053】
【数4】
【0054】
よって、測定した静電容量はフォトダイオード3bの静電容量と電極2a,2b間の静電容量に分けることができ、そこから測定対象物20の電気特性を取得できる。
【0055】
LED3aにより測定対象物20に光を照射し、測定対象物20の表面によって反射した光がフォトダイオード3bで受光された場合、フォトダイオード3bの内部インピーダンス(コンダクタンス及び静電容量)は変化する。このとき、フォトダイオード3bのインピーダンスは、LED3aから光を照射しない場合のフォトダイオード3bの内部コンダクタンスをGPoff、LED3aから光を照射し測定対象物20から反射した光を受光した場合のフォトダイオード3bの内部コンダクタンスをGPon、LED3aの光によるフォトダイオード3bの内部コンダクタンスの変化をGPLとすると、式(5)で表すことができる。
【0056】
【数5】
【0057】
このとき、GPoff、GPonは、
【0058】
【数6】
【0059】
である。ここでGP0は、フォトダイオード3bが全く光を受光しない場合の内部コンダクタンス、GPALは、環境光の影響により変化したコンダクタンスの値である。LED3aの光により変化したコンダクタンスGPLより、測定対象物20の光特性(反射)を測定できる。これらのことより、測定対象物20の光特性及び電気特性を同時に測定することができる。
【0060】
なお、上記各実施形態において、フォトダイオード3bはフォトトランジスタであってもよい。また、LED3aはレーザ、光ファイバによる光の伝搬であってもよい。さらに、弾性体5は、LED3aの光の一部又は全部を透過し、外力に対して弾性を有するものであればよい。さらにまた、反射体6は、LED3aの光の一部又は全部を透過するものであればよく、特定の方向の光や特定の波長のみを透過する(例えば、偏光膜等)ものでもよい。
【0061】
また、上記各実施形態に係る対象物検出装置は、ロボットの触覚、物体検出、生体の測定(体脂肪、水分量、酸素状態、経穴等)、健康状態測定(排便、血液)、植物の測定(糖度、水分量)、飲食物(加工物、果物、野菜、魚、肉、飲み物、調味料)の測定(成分分析)、品質検査(製品)、ガス・液体の測定、タッチパネル、スイッチ等に適用することができる。
【0062】
さらに、上記各実施形態に係る対象物検出装置として、図3、図7及び図8に示すような平面型を示したが、図10に示すように縦型の構成にしてもよい。この場合、光照射手段と光検出手段とが、並行して配設される透明電極を介して対向して配設される。測定対象物は、透明電極の間に設置され、電気特性及び光特性が測定される。また、電極が不透明な場合は、発光素子、受光素子と電極が同一位置でなくてもよい。
【0063】
さらにまた、フォトダイオードやフォトトランジスタの温度特性を利用することで、測定対象物の電気特性及び光特性に加えて温度特性を測定することも可能である。
【実施例1】
【0064】
前記第1の形態に係る対象物検出装置に関する実験を行った。図11に、実験用に試作した対象物検出装置の構造を示す。受光素子として4素子のフォトトランジスタ(最大感度800nm、図中のP)、電極E及び発光素子としてLED(ピーク波長950nm、図中のL)を用いた。試作したセンサをロボットアームの先端に取り付け、センサと測定対象物との距離を制御した。また、本実験では基礎実験として、外乱光が入らない状態とした。
【0065】
下記の表1に本実験で用いた6種類の測定試料を示す。絶縁体である白、黒、透明のアクリル、ベークライト、導体であるアルミニウム及び鉄を用いた。測定試料の大きさは、30mm×30mm×10mmとした。測定対象物は、黒のアクリルの土台に設置した。
【0066】
【表1】
【0067】
測定対象物の誘電率及び光の反射を測定するために、4素子のフォトトランジスタ(P)を直列に接続し、それを電極(E)と並列にLCRメータ(周波数100kHz、印加電圧1V、バイアス1V)を接続した。光の状態は、光照射なし(LEDの印加電圧0V)と光照射あり(LEDの印加電圧1.2V)の2種類とした。
【0068】
図12(A)、(B)に各測定試料におけるインピーダンスの測定結果を示す。横軸は測定対象物までの距離、縦軸は各測定試料のインピーダンスをそれぞれ示す。図12(A)は光なしの場合(Zoff)、図12(B)は光ありの場合(Zon)である。図12(A)より、センサと各測定試料までの距離における測定値を比較すると、それぞれの材質の誘電率の大きさの順で得られているゆえ、本センサによる測定対象物の電気特性の測定が可能であることがわかる。また、センサと測定試料との距離が離れていくにしたがい、徐々にインピーダンスが減少する。
【0069】
この結果より、測定電極と測定対象物の距離が5mm以内であれば、インピーダンスに変化が見られるゆえ、距離又は材質(誘電率)が既知であれば、誘電率が異なる材質識別又は距離検出が可能である。図12(B)より、各測定試料において、測定対象物との距離の変化に対してインピーダンスの変化が見られるため、距離又は材質(誘電率、反射率)が既知であれば、材質識別及び距離検出が可能である。
【0070】
図13に距離をパラメータとしたZoffとZonの相関を示す。横軸は光なしの場合のインピーダンスZoff、縦軸は光ありの場合のインピーダンスZonの測定結果を示す。図13より2種類のインピーダンスの測定値を用いることで、材質の識別と距離の検出が可能であることが明らかである。
【実施例2】
【0071】
次に、前記第3の実施形態に係る対象物検出装置に関する実験を行った。図14に今回試作したセンサの構造を示す。受光素子としてフォトダイオード(最大感度860nm、図中P)、発光素子としてLED(ピーク波長950nm)を5mm離しアクリル基板(A)に設置した。今後、アレイ化を目指しており、そのために電極(E)はアレイ化することを考慮した構造とし、電極の端を5mm離した。検出面の裏に外部の電気的影響を除去するため電極(E)と0.1mm離し、シールド(S)を設置した。図15にセンサシステムを示す。試作したセンサをロボットアームの先端に取り付け、センサと対象の距離を制御した。電極及びフォトダイオードをLCRメータ(周波数100kHz、印加電圧1V、バイアス2V)に接続し、測定を行った。
【0072】
通常の使用方法であるフォトダイオードの電流変化の測定と、本発明に係る対象物検出装置のフォトダイオードの内部インピーダンスの測定における光に対する変化について検討する。図16に、本実験の等価回路を示す。図16(A)に示すように通常の測定手法であるフォトダイオードに流れる電流変化を検出するため、フォトダイオードに抵抗(1MΩ)を直列に接続し、抵抗の電圧をデジタルマルチメータ(DMM)で測定する。図16(B)に示すように、本発明におけるフォトダイオードの内部インピーダンスをLCRメータで測定する。LEDの電流は電圧源を用い0mAから60mAまで変化させた。対象は、白のアクリルを用い、センサと対象までの距離は4mmとした。図17に、図16(A)における抵抗の電圧と図16(B)におけるフォトダイオードの内部コンダクタンスの値を示す。図17より、フォトダイオードに流れる電流及びコンダクタンスは、LEDによる照射光の増加に伴い増加する。
【0073】
次にフォトダイオードの内部インピーダンスの実部成分(コンダクタンス)と虚部成分(静電容量)の関係について検討する。図16(B)の測定システムを用い、測定対象物は白と黒のアクリル及び銀色のアルミニウムを用いた。センサと測定対象物までの距離は4mmとした。図18(A)、(B)に各測定対象物における結果を示す。横軸にLEDの電流、縦軸にコンダクタンスと静電容量値をそれぞれ示す。図18(A)、(B)より、測定されたコンダクタンスと静電容量値は、光の反射の低い黒のアクリルが最も小さく、次に白のアクリルさらに銀色のアルミニウムと増加し、光の反射の違いがコンダクタンス及び静電容量に反映されていることがわかる。図18(C)に、コンダクタンスと静電容量の関係を示す。横軸にコンダクタンス、縦軸に静電容量を示す。本試作センサにおけるフォトダイオードのコンダクタンスと静電容量の関係をこの結果を用いて最小二乗法により近似式により式(3)を求める。
【0074】
【数7】
【0075】
ここで、k(i=1−4)は、k1=1.59632×10−12、k2=1.53046×10−6、k3=−1.21534、k4=4.57090×106である。式(7)を用いることにより、GPよりCPを求めることができる。
【0076】
試作したセンサを用い、フォトダイオード及び電極間のインピーダンスを測定することにより、対象の電気特性及び光特性の検出をLCRメータに接続することで行った。光の状態は、LEDから光照射なし(0mA)と光照射あり(40mA)の2種類とした。表2に今回用いた6種類の測定試料を示す。表2に示すように、絶縁体として比誘電率2の白のフッ素樹脂、比誘電率3の白、黒、透明のアクリル、比誘電率6の透明のガラス、導体として銀色のアルミニウムを用いた。
【0077】
【表2】
【0078】
図19に各測定対象物における測定結果を示す。横軸にセンサから測定対象物までの距離、縦軸に式(4)より求めた電極間の静電容量値(CE)及び式(5)より求めたコンダクタンスの変化(GPL)をそれぞれ示す。図19(A)よりCEは、静電容量の違いによる材質識別ができた。また、電極と測定対象物との距離が離れていくに従い、静電容量が減少する。この結果より、距離又は材質(誘電率)が既知であれば、誘電率の異なる材質の識別及び距離の測定が可能であることがわかる.
【0079】
図19(B)よりGPLは、測定対象物からの光の反射の違いを反映しており、光の反射の違いを測定できることがわかる。また、フォトダイオードと測定対象物との距離によりGPLが変化する。この結果より、距離又は材質(反射)が既知であれば、光の反射の異なる材質の識別及び距離の測定が可能である。この結果より、測定値は電気特性、光特性を測定できていると言える。
【0080】
さらに、光センサを用いる場合、環境光が測定に影響を与える。そこで、本発明における環境光の影響を検討する。実験として、白のアクリルを用いてセンサと測定対象物との距離を4mmとし、実験条件(A)−(C)で環境光を変化させた。
(A)環境光がない場合
(B)センサに蛍光灯(15W、60Hz)を横から照射した場合
(C)センサに白熱電灯(100W)を横から照射した場合
実験は、LEDから光を照射しない場合(0mA)の静電容量値(Coff)及び式(4)より求めたCEを電気特性、LEDから光を照射した場合(40mA)のコンダクタンス(Con)及び式(5)より求めたGPLを光特性とした。
【0081】
図20に実験結果を示す。図21に実験条件(A)のそれぞれの平均値(CAav,GAav)との差を示す。図20及び図21よりCoff及びConは環境光の影響を受けることがわかる。また、蛍光灯の光は主に可視光であるため、測定への影響が小さく、白熱電灯の光は赤外線を多く含んでいるため、測定への影響が大きい。ここで、式(4)より求めたCE及び式(5)より求めたGPLを用いることにより、環境光の影響を除去し、測定対象物の電気特性及び光特性を環境光の影響をほぼ受けずに取得できることがわかる。
【0082】
測定対象物の光特性、電気測定を同時に測定することより、測定対象物までの距離検出を含む材質識別ができる。図22に距離をパラメータとしたCE(電気特性)とGPL(光特性)の相関を示す。例えば、測定対象物までの距離情報を含む電気特性の測定結果(CE*)だけでは、図22の×の6種類の測定対象物の可能性があり、距離検出を含めた材質識別は困難である。また、測定対象物までの距離情報を含む光特性の測定結果(GPL*)だけでは、図22の○の2種類の測定対象物の可能性があり、距離検出を含めた材質識別は困難である。しかしながら、CE*及びGPL*の測定値を用いることで、距離3mmの白のアクリルと推定できる。この結果、測定対象物の誘電率及び光の反射の相関的関係から今回対象として用いた6種類の材質識別が可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 対象物検出装置
2a,2b 電極
3a LED
3b フォトダイオード
4 基材
5 弾性体
6 反射体
20 測定対象物
41 センサ部
42 インピーダンス測定部
43 対象物判別部
44 出力制御部
45 対象情報記憶部
46 出力部
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一のセンサで測定対象物に関する複数の情報を検出する対象物検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、非接触センサは産業界を中心に様々な分野で利用されており、カメラを用いたセンサ、超音波センサ、電磁センサ、静電容量センサ、マイクロ波センサ等の様々な技術が盛んに研究されている。これらの多くが単一センサにより単一の情報を取得することを目的としているのに対して、発明者らが開発した特許文献1に示す技術は、単一のセンサにより複数の情報を取得することを目的としている。
【0003】
特許文献1に示す技術は、測定対象物が透明体の場合は不透明な部材を背面に配設し、導電体の場合は不導電体の部材を背面に配設し、該測定対象物に光を照射して対象物からの反射光を受光し、該受光光により二つの電極の抵抗値を変化させる複数の光導電素子を所定の間隔で離隔配設し、複数の光導電素子の少なくとも一の光導電素子の一方の電極に交流電源が接続されると共に、他の光導電素子の一方の電極が出力端子として形成される検知手段と、予め検出された前記測定対象物に関する厚さ及び位置情報が基準データとして格納される基データベースメモリと、前記検知手段からの検知信号及び基準データに基づき前記測定対象物の厚さ及び位置を判別する判別手段とを備えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−203221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示す技術は、電極としてCdSセルを用いているため、カドミウムによる環境への影響が問題となる。また、CdSセルを用いた場合は、応答速度が遅くなってしまうという課題を有する。
【0006】
そこで、本発明は、光検出手段としてフォトダイオードやフォトトランジスタを用い、光検出手段と電極間とのインピーダンスから、測定対象物の電気特性及び光特性を同時に測定する対象物検出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る対象物検出装置は、測定対象物の方向に対して光を照射する光照射手段と、前記光照射手段が照射した光の反射光を受光して電気的な信号に変換する光検出手段と、前記光検出手段に並列に接続し、所定の間隔で離隔配設される1対の電極と、前記光検出手段及び前記電極に接続する交流電源と、並列に接続される前記光検出手段及び前記電極間のインピーダンスを測定するインピーダンス測定手段と、前記測定対象物の電気特性及び光特性に関する情報を予め記憶する対象情報記憶手段と、前記インピーダンス測定手段が測定したインピーダンスの値と、前記対象情報記憶手段に記憶されている前記測定対象物に関する情報とから、前記測定対象物の材質及び/又は接近距離を判別する対象物判別手段とを備えるものである。
【0008】
このように、本発明に係る対象物検出装置においては、測定対象物の方向に対して光を照射する光照射手段と、照射された光の反射光を受光して電気的な信号に変換する光検出手段と、光検出手段に並列に接続し、所定の間隔で離隔配設される1対の電極と、光検出手段及び電極に接続する交流電源と、並列に接続される光検出手段及び電極間のインピーダンスを測定するインピーダンス測定手段と、測定対象物の電気特性及び光特性に関する情報を予め記憶する対象情報記憶手段と、インピーダンス測定手段が測定したインピーダンスの値と、対象情報記憶手段に記憶されている前記測定対象物に関する情報とから、測定対象物の材質及び/又は接近距離を判別する対象物判別手段とを備えるため、測定対象物の電気特性及び光特性の測定をインピーダンス測定のみで可能となり、回路構成を簡潔にすることができるという効果を奏する。
【0009】
また、並列に接続される光検出手段及び電極間のインピーダンスを測定するため、静電容量とコンダクタンスの両方の成分を測定することにより、より正確な測定が可能になるという効果を奏する。
【0010】
本発明に係る対象物検出装置は、前記光検出手段が、前記測定対象物に当たって反射した光を受光し、前記対象情報記憶手段が、前記測定対象物に複数の状態で光が照射された場合のインピーダンスの相関を、前記測定対象物と前記対象物検出装置との距離に応じて記憶し、前記対象物判別手段が、前記測定対象物に複数の状態で光が照射された場合のインピーダンスの測定結果と、前記対象情報記憶手段に記憶された情報とに基づいて、前記測定対象物の材質及び/又は接近距離を判別するものである。
【0011】
このように、本発明に係る対象物検出装置においては、測定対象物に複数の状態で光が照射された場合(例えば、光が照射されない場合、低い照度で光が照射された場合、高い照度で光が照射された場合等)のインピーダンスの測定結果に基づいて、測定対象物の材質及び/又は接近距離を判別するため、測定対象物の光特定と電気特性を、複数の光の状態における測定結果の相関関係から得ることができ、正確な測定を実現することができるという効果を奏する。
【0012】
本発明に係る対象物検出装置は、少なくとも前記測定対象物が接触する位置に、前記光照射手段が照射する光の一部又は全部を透過し、外部からの圧力に対して弾性を有する弾性体を備え、前記対象情報記憶手段が、前記測定対象物に光が照射された場合のインピーダンスの測定結果を、前記測定対象物と前記対象物検出装置との距離に応じて記憶し、前記対象物判別手段が、前記インピーダンス測定手段が測定したインピーダンスの値と、前記対象情報記憶手段に記憶されている前記測定対象物に関する情報とから、前記測定対象物からの圧力を特定するものである。
【0013】
このように、本発明に係る対象物検出装置においては、測定対象物が接触する位置に、光の一部又は全部を透過し、外部からの圧力に対して弾性を有する弾性体を備え、測定したインピーダンスの値に基づいて、測定対象物と対象物検出装置との距離から測定対象物の圧力を特定するため、測定対象物の材質及び/又は接近距離に加えて、圧力を検出することができるという効果を奏する。
【0014】
本発明に係る対象物検出装置は、前記対象情報記憶手段が、前記測定対象物がなく、且つ前記光照射手段が光を照射しない場合に、前記インピーダンス測定手段が測定した測定結果を記憶しているものである。
【0015】
このように、本発明に係る対象物検出装置においては、測定対象物がなく、且つ光を照射しない場合の測定結果を記憶しておくため、測定対象物がない状態を正確に把握した上で、測定対象物の測定を行うことができ、高精度なセンサを実現することができるという効果を奏する。
【0016】
本発明に係る対象物検出装置は、前記光検出手段が、フォトダイオード又はフォトトランジスタであるものである。
このように、本発明に係る対象物検出装置においては、光検出手段がフォトダイオード又はフォトトランジスタであるため、CdSのように環境への影響の問題がなく、応答速度も速くすることができるという効果を奏する。
【0017】
本発明に係る対象物検出装置は、前記測定対象物と前記対象物検出装置との間の距離を制御する距離制御手段を備え、前記インピーダンス測定手段が、前記距離制御手段にて前記測定対象物と前記対象物検出装置との間の距離を変化させて、少なくとも2つの距離におけるインピーダンスを測定し、前記インピーダンス測定手段が、測定した2つ以上のインピーダンスの値と、前記対象情報記憶手段に記憶されている前記測定対象物に関する情報とから、前記測定対象物の材質及び/又は接近距離を判別するものである。
【0018】
このように、本発明に係る対象物検出装置においては、測定対象物と対象物検出装置との間の距離を制御し、少なくとも2つの距離におけるインピーダンスを測定し、測定した2つ以上のインピーダンスの値と、記憶されている測定対象物に関する情報とから、測定対象物の材質及び/又は接近距離を判別するため、記憶されている測定対象物の特性が似ている場合であっても、2つ以上の測定値から測定対象物の特性を正確に判別し、高精度に測定対象物の材質及び/又は接近距離を判別することができるという効果を奏する。
【0019】
本発明に係る対象物検出装置は、少なくとも前記測定対象物が接触する位置に、前記光照射手段が照射する光の一部又は全部を透過し、外部からの圧力に対して弾性を有する弾性体と、前記弾性体の測定側の表面に、前記光照射手段が照射する光の少なくとも一部を反射する反射体とを備え、前記対象情報記憶手段が、前記反射体に光が照射された場合のインピーダンスの測定結果を、前記測定対象物と前記対象物検出装置との距離に応じて記憶し、前記対象物判別手段が、前記インピーダンス測定手段が測定したインピーダンスの値と、前記対象情報記憶手段に記憶されている前記測定対象物に関する情報とから、前記測定対象物の圧力を特定するものである。
【0020】
このように、本発明に係る対象物検出装置においては、測定対象物が接触する位置に、光の一部又は全部を透過し、外部からの圧力に対して弾性を有する弾性体と、弾性体の測定側の表面に、照射する光の少なくとも一部を反射する反射体とを備え、測定したインピーダンスの値に基づいて、測定対象物と対象物検出装置との距離から測定対象物の圧力を特定するため、測定対象物の材質及び/又は接近距離に加えて、圧力を検出することができるという効果を奏する。特に、光検出手段が受光する光は、反射体から反射された光であるため、測定対象物の種類によらず反射体の反射率は一定であり、対象情報記憶手段に記憶する測定対象物の光特性の情報を格段に減らすことができ、装置を簡略化することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1の実施形態に係る測定物検出装置の概略図である。
【図2】第1の実施形態に係る測定物検出装置の等価回路を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る測定物検出装置の構成を示す図である。
【図4】第1の実施形態に係る測定物検出装置の機能ブロック図である。
【図5】第1の実施形態に係る測定物検出装置における光の有無によるアドミタンスの関係を示す図である。
【図6】第1の実施形態に係る測定物検出装置における光の有無による測定値の変化を示す図である。
【図7】第1の実施形態に係る測定物検出装置の他の構成例を示す図である。
【図8】第2の実施形態に係る対象物検出装置の構成を示す図である。
【図9】第2の実施形態に係る対象物検出装置における光の有無による測定値の変化を示す図である。
【図10】本発明に係る対象物検出装置の他の構成例を示す図である。
【図11】実験における対象物検出装置の構造を示す図である。
【図12】実験における各測定試料のインピーダンスの測定結果を示す図である。
【図13】距離をパラメータとした光の有無によるインピーダンスの相関を示す図である。
【図14】実験における対象物検出装置の構造を示す第2の図である。
【図15】実験における対象物検出装置のセンサシステムを示す図である。
【図16】実験における対象物検出装置の等価回路を示す図である。
【図17】図16における抵抗の電圧とフォトダイオードの内部コンダクタンスの値を示す図である。
【図18】各測定対象物における結果を示す図である。
【図19】各測定対象物における測定結果を示す図である。
【図20】実施例における実験結果を示す第1の図である。
【図21】実施例における実験結果を示す第2の図である。
【図22】距離をパラメータとした電気特性と光特性の相関を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明は多くの異なる形態で実施可能である。また、本実施形態の全体を通して同じ要素には同じ符号を付けている。
【0023】
(本発明の第1の実施形態)
本実施形態に係る対象物検出装置について、図1ないし図7を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る測定物検出装置の概略図、図2は、本実施形態に係る測定物検出装置の等価回路を示す図、図3は、本実施形態に係る測定物検出装置の構成を示す図、図4は、本実施形態に係る測定物検出装置の機能ブロック図、図5は、本実施形態に係る測定物検出装置における光の有無によるアドミタンスの関係を示す図、図6は、本実施形態に係る測定物検出装置における光の有無による測定値の変化を示す図、図7は、本実施形態に係る測定物検出装置の他の構成例である。
【0024】
本実施形態に係る測定物検出装置は、電極とフォトダイオード又はフォトトランジスタを用い、測定対象物の電気特性(誘電率)及び光特性(反射)を同時に測定するものである。通常、フォトダイオード又はフォトトランジスタは、電流出力の変化により光検出を行うものであるが、本実施形態では、フォトダイオード又はフォトトランジスタの内部インピーダンスを測定することで光検出を行う。
【0025】
本実施形態においては、電極2a,2b、フォトダイオード3b及びLED3aを用いる。図1に、測定物検出装置1の概略図を示す。図1(A)に示すように、所定の間隔で離隔配設される電極2a,2bにより測定対象物20までの距離情報を含む電気特性(誘電率)を測定する。また、図1(B)に示すように、離隔配設された電極2a,2bの間に配設されるLED3aにより光を照射し、測定対象物20により反射した光をフォトダイオード3bで受光することにより、測定対象物20までの距離情報を含む光特定(反射)を測定する。
【0026】
図2(A)に、フォトダイオード3bと電極2a,2bを並列に接続した場合の等価回路を示し、図2(B)に、図2(A)の並列部分の回路図を示す。フォトダイオード3bの内部インピーダンスをGP,CP、電極2a,2b間のインピーダンスをCEとすると、インピーダンスの測定値Zは、以下の式で表される。
【0027】
【数1】
【0028】
フォトダイオード3bへの入射光がない場合、フォトダイオード3bの内部インピーダンスに変化がなく、ZはCEにより変化する。よって、測定対象物20の電気特性が得られる。次に、LED3aにより測定対象物20に照射した光が、測定対象物20の表面から反射されてフォトダイオード3bに入射する場合、フォトダイオード3bの内部インピーダンスが変化する。よって、測定対象物20の光特性が得られる。このような手法により、複数の光の状態でインピーダンスを測定することで、測定対象物20の光特性及び電気特性を得ることができ、測定対象物20の複数の情報を検出することができる。
【0029】
図3に、本実施形態に係る測定物検出装置の構成を示す。図3(A)は測定物検出装置1の下面図、図3(B)は測定物検出装置1の断面図である。測定物検出装置1は、アクリルの基材4に、基材4の表面に同一平面上に所定の間隔で離隔配設される平板状の電極2a,2bを備え、電極2a,2bの間に測定対象物20に対して光を照射するLED(L)3aと、測定対象物20の表面から反射された光を受光するフォトダイオード3bとを備える。なお、このときフォトダイオード3bは、LED3aから照射された光を直接受光しないように、LED3aの発光面より背面側が受光面となるように配設されることが望ましい。また、電極2a,2bは、図に示すような平板状でもよいし、例えば曲面状であってもよい。
【0030】
図3(B)に示されるように、電極2a,2bの間の静電容量成分と、LED3aから照射された光をフォトダイオード3bが受光した場合のフォトダイオード3bの静電容量成分及びコンダクタンス成分とを測定することで、測定対象物20の材質及び/又は距離を検出することができる。
【0031】
また、図4の機能ブロックを用いて測定物検出装置の構成を説明する。測定物検出装置1は、基材4、電極2a,2b、LED3a及びフォトダイオード3bからなるセンサ部41と、センサ部41で検出された値からインピーダンスを測定するインピーダンス測定部42と、測定対象物20に関する情報が格納されている対象情報記憶部45の情報と測定されたインピーダンスの値とから、測定対象物20の材質及び/近接距離を判別する対象物判別部43と、判別された情報を出力部46に出力制御する出力制御部44とを備える。
【0032】
ここで、対象情報記憶部45に格納されている情報について説明する。図5は、測定対象物20ごとの距離変化(測定対象物20と対象物検出装置1との距離変化)における光が照射されない場合のアドミタンスに対する光が照射された場合のアドミタンスの変化を示す。なお、アドミタンスは、アドミタンス(Y)=1/インピーダンス(Z)で示される。横軸が光照射なしの場合のアドミタンス(Y1)を示し、縦軸が光照射ありの場合のアドミタンス(Y2)を示す。光照射なしの場合のアドミタンス(Y1)は、式(1)から、GP,CPは一定となり、CEのみが変化し、光照射ありの場合のアドミタンス(Y2)は、式(1)から、GP,CPは変化し、CEも変化する。これらの変化の情報を図5のように記憶しておき、対象物判別部43が、測定値と比較して測定対象物20の材質や近接距離を判別する。なお、光の照度に応じてアドミタンスの変化の情報を記憶するようにしてもよい。
【0033】
測定物検出装置1の処理について、より詳細に説明する。図6は、測定値の変化を示す図である。図6(A)は、測定対象物20がない場合のインピーダンスの静電容量成分とコンダクタンス成分とを示し、図6(B)は、測定対象物20があって光照射なしの場合のインピーダンスの静電容量成分とコンダクタンス成分とを示し、図6(C)は、測定対象物20があって光照射ありの場合のインピーダンスの静電容量成分とコンダクタンス成分とを示す。
【0034】
図6(A)に示すように、測定対象物20がない場合はインピーダンスの値に変化がなく、初期値の状態となる。次に、LED3aが光を照射しない状態で測定対象物20のインピーダンスを測定すると、図6(A)の初期状態から図6(B)に示すように値が変化する。すなわち、光を照射していないため、フォトダイオード3bのGP,CPに変化はなく、電極2a,2b間のCEのみが変化する。次に、LED3aが光を照射した状態で測定対象物20のインピーダンスを測定すると、図6(B)の状態から図6(C)に示すように値が変化する。すなわち、電極2a,2b間のCEに変化はなく、フォトダイオード3bのGP,CPのみが変化する。
【0035】
したがって、測定対象物20のインピーダンスの測定値、すなわち電気特性から得られる測定対象物20の比誘電率、近接距離及び測定対象物20の厚み、並びに光特性から得られる測定対象物20の反射、近接距離等から、対象情報記憶部45の情報を参照することで、測定対象物20の材質、厚さ及び近接距離を測定することができる。
【0036】
なお、図5に示すように、測定対象物ごとに異なる特性を有する場合(例えば、取り扱う部材が予め決まっている工場のライン等で使用する場合)は、グラフ上の1点のみを測定することで、その材質や距離を判別することができるが、不特定多数の測定対象物を測定対象とする場合には、図5の特性が酷似している場合やグラフが交差する場合が有り得る。そのような場合に、グラフ上の1点のみを測定しても材質や距離を確実に判別できなくなる可能性がある。
【0037】
そこで、本実施形態においては、より確実に測定対象物を測定するために、測定対象物20と対象物検出装置1との間の距離を制御して変化させ、少なくとも2つの距離においてインピーダンスを測定するようにしてもよい。そうすることで、特性が酷似している場合やグラフが交差しているような場合であっても、測定対象物20を正確に判別することができる。
【0038】
また、本実施形態に係る対象物測定装置においては、図7に示すように、測定する側の表面に少なくともLED3aからの光の一部を透過する弾性体5を備えるようにしてもよい。すなわち、弾性体5と測定対象物20の接触状態により、測定対象物20からの押圧力を測定することができる。具体的には、上記で説明したように、測定対象物20と対象物検出装置1との距離を判別し、予めわかっている弾性体5のヤング率と測定した距離とから、測定対象物20の押圧力を求めることができる。また、センサ部を能動的に動かして測定対象物20に接触させることで、測定対象物20の硬さ、すべり度等を検出することも可能である。
【0039】
このように、本実施形態に係る対象物測定装置によれば、測定対象物20のインピーダンスを測定することで、電気特性及び光特性を検出することができ、それらの情報から測定対象物20の材質、近接距離及び押圧力を同時に正確に測定することができる。
【0040】
(本発明の第2の実施形態)
本実施形態に係る対象物検出装置について、図8及び図9を用いて説明する。図8は、本実施形態に係る対象物検出装置の構成を示す図、図9は、本実施形態に係る対象物検出における光の有無による測定値の変化を示す図である。
なお、本実施形態において、前記第1の実施形態と重複する説明は省略する。
【0041】
本実施形態に係る対象物検出装置は、図6に示す対象物検出装置の構成において、弾性体5の測定側の面の表面に、LED3aが照射する光の少なくとも一部を反射する反射体6を備える。すなわち、LED3aから照射された光は反射体6で反射され、フォトダイオード3bがその反射された光を受光する。したがって、反射体6の反射率は一定であり、対象情報記憶部45が、測定対象物20の材質ごとに光特性の情報を記憶する必要がなく、情報量を格段に減らして処理を迅速にすることができる。
【0042】
なお、反射体6は、LED3aから照射された光を全て反射してもよいし、一部の波長のみ(例えば、赤外線のみ)を反射し、他の波長の光は透過するような反射体6であってもよい。つまり、LED3aから照射された光を全て反射する場合は、反射光は反射体6の材質にのみ依存するため、測定対象物20の材質は比誘電率に基づいて測定することとなる。一方、LED3aから照射された光の一部のみを反射する場合、反射した光は反射体6で反射した光と測定対象物20で反射した光とに分けることができ、測定対象物20の材質を誘電率と反射体6で反射した反射光とに基づいて測定することができる。
【0043】
本実施形態における対象物検出装置の処理について、図9を用いて詳細に説明する。図9は、測定値の変化を示す図である。図9(A)は、測定対象物20がなく光照射もない場合のインピーダンスの静電容量成分とコンダクタンス成分とを示し、図9(B)は、測定対象物20がなく光照射がある場合のインピーダンスの静電容量成分とコンダクタンス成分とを示し、図9(C)は、測定対象物があって光照射なしの場合のインピーダンスの静電容量成分とコンダクタンス成分とを示し、図9(D)は、測定対象物があって光照射もありの場合のインピーダンスの静電容量成分とコンダクタンス成分とを示している。
【0044】
図9(A)に示すように、測定対象物20がなく光照射もない場合はインピーダンスの値に変化がなく初期値の状態となる。また、測定対象物20がない状態で光を照射すると、図9(B)に示すように値が変化する。すなわち、反射体6で反射した光をフォトダイオード3bが受光することで、フォトダイオード3bのGP,CPのみが変化する。
【0045】
これに対して、測定対象物20がある場合は、光を照射しなければ、図9(C)に示すようにフォトダイオード3bのGP,CPに変化はなく、電極2a,2b間のCEのみが変化する。その状態で光を照射すると、図9(D)に示すようにフォトダイオード3bのGP,CPが変化する。測定対象物20が反射体6に接触して押圧されている場合は、図9(B)と図9(D)との受光状態の変化や、図9(A)と図9(C)との静電容量の変化により、弾性体5の撓み量を求めることができ、測定対象物20からの押圧力を正確に測定することができる。
【0046】
したがって、測定対象物20のインピーダンスの測定値、すなわち電気特性から得られる測定対象物20の比誘電率、近接距離及び測定対象物20の厚み、並びに光特性から得られる反射体6からの反射等から、対象情報記憶部45の情報を参照することで、測定対象物20の材質、厚さ、近接距離及び押圧力を測定することができる。
【0047】
(本発明の第3の実施形態)
本実施形態に係る対象物検出装置について説明する。前記各実施形態においては、インピーダンスの値を測定しているが、本実施形態においては、測定したインピーダンスを静電容量成分とコンダクタンス成分を分けて、電気特性及び光特性を測定する。
【0048】
図2の回路において、フォトダイオード3bの内部インピーダンスをGP,CP、電極2a,2b間のインピーダンスをCEとおくと、測定値の静電容量値Cとコンダクタンス値Gは、以下の式で表される。
【0049】
【数2】
【0050】
このとき、電極間のインピーダンスは、静電容量成分が支配的であることから、電極間のコンダクタンスは無視する。そのことから、コンダクタンスの測定値は、フォトダイオード3bのコンダクタンスGPと考えることができる。また、フォトダイオード3bの内部インピーダンスGP,CPは光量より増加する。このことにより、フォトダイオード3bの内部インピーダンスGP,CPの関係は次式で表せる。
【0051】
【数3】
【0052】
よって、フォトダイオード3bのコンダクタンス値より静電容量値を求めることができる。ここで、センサを測定対象物20に近づける又は測定対象物20がセンサに近づいた場合、電極2a,2b間の静電容量値CEは変化する。このとき、フォトダイオード3bは測定対象物20の誘電率により変化しないことから、測定対象物20の電気特性は、電極2a,2b間の静電容量で得ることができる。ここで、電極2a,2b間の静電容量は、上記(2)、(3)式より、次式で表せる。
【0053】
【数4】
【0054】
よって、測定した静電容量はフォトダイオード3bの静電容量と電極2a,2b間の静電容量に分けることができ、そこから測定対象物20の電気特性を取得できる。
【0055】
LED3aにより測定対象物20に光を照射し、測定対象物20の表面によって反射した光がフォトダイオード3bで受光された場合、フォトダイオード3bの内部インピーダンス(コンダクタンス及び静電容量)は変化する。このとき、フォトダイオード3bのインピーダンスは、LED3aから光を照射しない場合のフォトダイオード3bの内部コンダクタンスをGPoff、LED3aから光を照射し測定対象物20から反射した光を受光した場合のフォトダイオード3bの内部コンダクタンスをGPon、LED3aの光によるフォトダイオード3bの内部コンダクタンスの変化をGPLとすると、式(5)で表すことができる。
【0056】
【数5】
【0057】
このとき、GPoff、GPonは、
【0058】
【数6】
【0059】
である。ここでGP0は、フォトダイオード3bが全く光を受光しない場合の内部コンダクタンス、GPALは、環境光の影響により変化したコンダクタンスの値である。LED3aの光により変化したコンダクタンスGPLより、測定対象物20の光特性(反射)を測定できる。これらのことより、測定対象物20の光特性及び電気特性を同時に測定することができる。
【0060】
なお、上記各実施形態において、フォトダイオード3bはフォトトランジスタであってもよい。また、LED3aはレーザ、光ファイバによる光の伝搬であってもよい。さらに、弾性体5は、LED3aの光の一部又は全部を透過し、外力に対して弾性を有するものであればよい。さらにまた、反射体6は、LED3aの光の一部又は全部を透過するものであればよく、特定の方向の光や特定の波長のみを透過する(例えば、偏光膜等)ものでもよい。
【0061】
また、上記各実施形態に係る対象物検出装置は、ロボットの触覚、物体検出、生体の測定(体脂肪、水分量、酸素状態、経穴等)、健康状態測定(排便、血液)、植物の測定(糖度、水分量)、飲食物(加工物、果物、野菜、魚、肉、飲み物、調味料)の測定(成分分析)、品質検査(製品)、ガス・液体の測定、タッチパネル、スイッチ等に適用することができる。
【0062】
さらに、上記各実施形態に係る対象物検出装置として、図3、図7及び図8に示すような平面型を示したが、図10に示すように縦型の構成にしてもよい。この場合、光照射手段と光検出手段とが、並行して配設される透明電極を介して対向して配設される。測定対象物は、透明電極の間に設置され、電気特性及び光特性が測定される。また、電極が不透明な場合は、発光素子、受光素子と電極が同一位置でなくてもよい。
【0063】
さらにまた、フォトダイオードやフォトトランジスタの温度特性を利用することで、測定対象物の電気特性及び光特性に加えて温度特性を測定することも可能である。
【実施例1】
【0064】
前記第1の形態に係る対象物検出装置に関する実験を行った。図11に、実験用に試作した対象物検出装置の構造を示す。受光素子として4素子のフォトトランジスタ(最大感度800nm、図中のP)、電極E及び発光素子としてLED(ピーク波長950nm、図中のL)を用いた。試作したセンサをロボットアームの先端に取り付け、センサと測定対象物との距離を制御した。また、本実験では基礎実験として、外乱光が入らない状態とした。
【0065】
下記の表1に本実験で用いた6種類の測定試料を示す。絶縁体である白、黒、透明のアクリル、ベークライト、導体であるアルミニウム及び鉄を用いた。測定試料の大きさは、30mm×30mm×10mmとした。測定対象物は、黒のアクリルの土台に設置した。
【0066】
【表1】
【0067】
測定対象物の誘電率及び光の反射を測定するために、4素子のフォトトランジスタ(P)を直列に接続し、それを電極(E)と並列にLCRメータ(周波数100kHz、印加電圧1V、バイアス1V)を接続した。光の状態は、光照射なし(LEDの印加電圧0V)と光照射あり(LEDの印加電圧1.2V)の2種類とした。
【0068】
図12(A)、(B)に各測定試料におけるインピーダンスの測定結果を示す。横軸は測定対象物までの距離、縦軸は各測定試料のインピーダンスをそれぞれ示す。図12(A)は光なしの場合(Zoff)、図12(B)は光ありの場合(Zon)である。図12(A)より、センサと各測定試料までの距離における測定値を比較すると、それぞれの材質の誘電率の大きさの順で得られているゆえ、本センサによる測定対象物の電気特性の測定が可能であることがわかる。また、センサと測定試料との距離が離れていくにしたがい、徐々にインピーダンスが減少する。
【0069】
この結果より、測定電極と測定対象物の距離が5mm以内であれば、インピーダンスに変化が見られるゆえ、距離又は材質(誘電率)が既知であれば、誘電率が異なる材質識別又は距離検出が可能である。図12(B)より、各測定試料において、測定対象物との距離の変化に対してインピーダンスの変化が見られるため、距離又は材質(誘電率、反射率)が既知であれば、材質識別及び距離検出が可能である。
【0070】
図13に距離をパラメータとしたZoffとZonの相関を示す。横軸は光なしの場合のインピーダンスZoff、縦軸は光ありの場合のインピーダンスZonの測定結果を示す。図13より2種類のインピーダンスの測定値を用いることで、材質の識別と距離の検出が可能であることが明らかである。
【実施例2】
【0071】
次に、前記第3の実施形態に係る対象物検出装置に関する実験を行った。図14に今回試作したセンサの構造を示す。受光素子としてフォトダイオード(最大感度860nm、図中P)、発光素子としてLED(ピーク波長950nm)を5mm離しアクリル基板(A)に設置した。今後、アレイ化を目指しており、そのために電極(E)はアレイ化することを考慮した構造とし、電極の端を5mm離した。検出面の裏に外部の電気的影響を除去するため電極(E)と0.1mm離し、シールド(S)を設置した。図15にセンサシステムを示す。試作したセンサをロボットアームの先端に取り付け、センサと対象の距離を制御した。電極及びフォトダイオードをLCRメータ(周波数100kHz、印加電圧1V、バイアス2V)に接続し、測定を行った。
【0072】
通常の使用方法であるフォトダイオードの電流変化の測定と、本発明に係る対象物検出装置のフォトダイオードの内部インピーダンスの測定における光に対する変化について検討する。図16に、本実験の等価回路を示す。図16(A)に示すように通常の測定手法であるフォトダイオードに流れる電流変化を検出するため、フォトダイオードに抵抗(1MΩ)を直列に接続し、抵抗の電圧をデジタルマルチメータ(DMM)で測定する。図16(B)に示すように、本発明におけるフォトダイオードの内部インピーダンスをLCRメータで測定する。LEDの電流は電圧源を用い0mAから60mAまで変化させた。対象は、白のアクリルを用い、センサと対象までの距離は4mmとした。図17に、図16(A)における抵抗の電圧と図16(B)におけるフォトダイオードの内部コンダクタンスの値を示す。図17より、フォトダイオードに流れる電流及びコンダクタンスは、LEDによる照射光の増加に伴い増加する。
【0073】
次にフォトダイオードの内部インピーダンスの実部成分(コンダクタンス)と虚部成分(静電容量)の関係について検討する。図16(B)の測定システムを用い、測定対象物は白と黒のアクリル及び銀色のアルミニウムを用いた。センサと測定対象物までの距離は4mmとした。図18(A)、(B)に各測定対象物における結果を示す。横軸にLEDの電流、縦軸にコンダクタンスと静電容量値をそれぞれ示す。図18(A)、(B)より、測定されたコンダクタンスと静電容量値は、光の反射の低い黒のアクリルが最も小さく、次に白のアクリルさらに銀色のアルミニウムと増加し、光の反射の違いがコンダクタンス及び静電容量に反映されていることがわかる。図18(C)に、コンダクタンスと静電容量の関係を示す。横軸にコンダクタンス、縦軸に静電容量を示す。本試作センサにおけるフォトダイオードのコンダクタンスと静電容量の関係をこの結果を用いて最小二乗法により近似式により式(3)を求める。
【0074】
【数7】
【0075】
ここで、k(i=1−4)は、k1=1.59632×10−12、k2=1.53046×10−6、k3=−1.21534、k4=4.57090×106である。式(7)を用いることにより、GPよりCPを求めることができる。
【0076】
試作したセンサを用い、フォトダイオード及び電極間のインピーダンスを測定することにより、対象の電気特性及び光特性の検出をLCRメータに接続することで行った。光の状態は、LEDから光照射なし(0mA)と光照射あり(40mA)の2種類とした。表2に今回用いた6種類の測定試料を示す。表2に示すように、絶縁体として比誘電率2の白のフッ素樹脂、比誘電率3の白、黒、透明のアクリル、比誘電率6の透明のガラス、導体として銀色のアルミニウムを用いた。
【0077】
【表2】
【0078】
図19に各測定対象物における測定結果を示す。横軸にセンサから測定対象物までの距離、縦軸に式(4)より求めた電極間の静電容量値(CE)及び式(5)より求めたコンダクタンスの変化(GPL)をそれぞれ示す。図19(A)よりCEは、静電容量の違いによる材質識別ができた。また、電極と測定対象物との距離が離れていくに従い、静電容量が減少する。この結果より、距離又は材質(誘電率)が既知であれば、誘電率の異なる材質の識別及び距離の測定が可能であることがわかる.
【0079】
図19(B)よりGPLは、測定対象物からの光の反射の違いを反映しており、光の反射の違いを測定できることがわかる。また、フォトダイオードと測定対象物との距離によりGPLが変化する。この結果より、距離又は材質(反射)が既知であれば、光の反射の異なる材質の識別及び距離の測定が可能である。この結果より、測定値は電気特性、光特性を測定できていると言える。
【0080】
さらに、光センサを用いる場合、環境光が測定に影響を与える。そこで、本発明における環境光の影響を検討する。実験として、白のアクリルを用いてセンサと測定対象物との距離を4mmとし、実験条件(A)−(C)で環境光を変化させた。
(A)環境光がない場合
(B)センサに蛍光灯(15W、60Hz)を横から照射した場合
(C)センサに白熱電灯(100W)を横から照射した場合
実験は、LEDから光を照射しない場合(0mA)の静電容量値(Coff)及び式(4)より求めたCEを電気特性、LEDから光を照射した場合(40mA)のコンダクタンス(Con)及び式(5)より求めたGPLを光特性とした。
【0081】
図20に実験結果を示す。図21に実験条件(A)のそれぞれの平均値(CAav,GAav)との差を示す。図20及び図21よりCoff及びConは環境光の影響を受けることがわかる。また、蛍光灯の光は主に可視光であるため、測定への影響が小さく、白熱電灯の光は赤外線を多く含んでいるため、測定への影響が大きい。ここで、式(4)より求めたCE及び式(5)より求めたGPLを用いることにより、環境光の影響を除去し、測定対象物の電気特性及び光特性を環境光の影響をほぼ受けずに取得できることがわかる。
【0082】
測定対象物の光特性、電気測定を同時に測定することより、測定対象物までの距離検出を含む材質識別ができる。図22に距離をパラメータとしたCE(電気特性)とGPL(光特性)の相関を示す。例えば、測定対象物までの距離情報を含む電気特性の測定結果(CE*)だけでは、図22の×の6種類の測定対象物の可能性があり、距離検出を含めた材質識別は困難である。また、測定対象物までの距離情報を含む光特性の測定結果(GPL*)だけでは、図22の○の2種類の測定対象物の可能性があり、距離検出を含めた材質識別は困難である。しかしながら、CE*及びGPL*の測定値を用いることで、距離3mmの白のアクリルと推定できる。この結果、測定対象物の誘電率及び光の反射の相関的関係から今回対象として用いた6種類の材質識別が可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 対象物検出装置
2a,2b 電極
3a LED
3b フォトダイオード
4 基材
5 弾性体
6 反射体
20 測定対象物
41 センサ部
42 インピーダンス測定部
43 対象物判別部
44 出力制御部
45 対象情報記憶部
46 出力部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物の方向に対して光を照射する光照射手段と、
前記光照射手段が照射した光の反射光を受光して電気的な信号に変換する光検出手段と、
前記光検出手段に並列に接続し、所定の間隔で離隔配設される1対の電極と、
前記光検出手段及び前記電極に接続する交流電源と、
並列に接続される前記光検出手段及び前記電極のインピーダンスを測定するインピーダンス測定手段と、
前記測定対象物の電気特性及び光特性に関する情報を予め記憶する対象情報記憶手段と、
前記インピーダンス測定手段が測定したインピーダンスの値と、前記対象情報記憶手段に記憶されている前記測定対象物に関する情報とから、前記測定対象物の材質及び/又は接近距離を判別する対象物判別手段とを備える対象物検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の対象物検出装置において、
前記光検出手段が、前記測定対象物に当たって反射した光を受光し、
前記対象情報記憶手段が、前記測定対象物に複数の状態で光が照射された場合のインピーダンスの相関を、前記測定対象物と前記対象物検出装置との距離に応じて記憶し、
前記対象物判別手段が、前記測定対象物に複数の状態で光が照射された場合のインピーダンスの測定結果と、前記対象情報記憶手段に記憶された情報とに基づいて、前記測定対象物の材質及び/又は接近距離を判別することを特徴とする対象物検出装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の対象物検出装置において、
少なくとも前記測定対象物が接触する位置に、前記光照射手段が照射する光の一部又は全部を透過し、外部からの圧力に対して弾性を有する弾性体を備え、
前記対象情報記憶手段が、前記測定対象物に光が照射された場合のインピーダンスの測定結果を、前記測定対象物と前記対象物検出装置との距離に応じて記憶し、
前記対象物判別手段が、前記インピーダンス測定手段が測定したインピーダンスの値と、前記対象情報記憶手段に記憶されている前記測定対象物に関する情報とから、前記測定対象物の圧力を特定することを特徴とする対象物検出装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の対象物検出装置において、
前記対象情報記憶手段が、前記測定対象物がなく、且つ前記光照射手段が光を照射しない場合に、前記インピーダンス測定手段が測定した測定結果を記憶していることを特徴とする対象物検出装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の対象物検出装置において、
前記光検出手段が、フォトダイオード又はフォトトランジスタであることを特徴とする対象物検出装置。
【請求項6】
請求項2ないし5のいずれかに記載の対象物検出装置において、
前記測定対象物と前記対象物検出装置との間の距離を制御する距離制御手段を備え、
前記インピーダンス測定手段が、前記距離制御手段にて前記測定対象物と前記対象物検出装置との間の距離を変化させて、少なくとも2つの距離におけるインピーダンスを測定し、
前記インピーダンス測定手段が、測定した2つ以上のインピーダンスの値と、前記対象情報記憶手段に記憶されている前記測定対象物に関する情報とから、前記測定対象物の材質及び/又は接近距離を判別することを特徴とする対象物検出装置。
【請求項7】
請求項1に記載の対象物検出装置において、
少なくとも前記測定対象物が接触する位置に、前記光照射手段が照射する光の一部又は全部を透過し、外部からの圧力に対して弾性を有する弾性体と、
前記弾性体の測定側の表面に、前記光照射手段が照射する光の少なくとも一部を反射する反射体とを備え、
前記対象情報記憶手段が、前記反射体に光が照射された場合のインピーダンスの測定結果を、前記測定対象物と前記対象物検出装置との距離に応じて記憶し、
前記対象物判別手段が、前記インピーダンス測定手段が測定したインピーダンスの値と、前記対象情報記憶手段に記憶されている前記測定対象物に関する情報とから、前記測定対象物の圧力を特定することを特徴とする対象物検出装置。
【請求項1】
測定対象物の方向に対して光を照射する光照射手段と、
前記光照射手段が照射した光の反射光を受光して電気的な信号に変換する光検出手段と、
前記光検出手段に並列に接続し、所定の間隔で離隔配設される1対の電極と、
前記光検出手段及び前記電極に接続する交流電源と、
並列に接続される前記光検出手段及び前記電極のインピーダンスを測定するインピーダンス測定手段と、
前記測定対象物の電気特性及び光特性に関する情報を予め記憶する対象情報記憶手段と、
前記インピーダンス測定手段が測定したインピーダンスの値と、前記対象情報記憶手段に記憶されている前記測定対象物に関する情報とから、前記測定対象物の材質及び/又は接近距離を判別する対象物判別手段とを備える対象物検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の対象物検出装置において、
前記光検出手段が、前記測定対象物に当たって反射した光を受光し、
前記対象情報記憶手段が、前記測定対象物に複数の状態で光が照射された場合のインピーダンスの相関を、前記測定対象物と前記対象物検出装置との距離に応じて記憶し、
前記対象物判別手段が、前記測定対象物に複数の状態で光が照射された場合のインピーダンスの測定結果と、前記対象情報記憶手段に記憶された情報とに基づいて、前記測定対象物の材質及び/又は接近距離を判別することを特徴とする対象物検出装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の対象物検出装置において、
少なくとも前記測定対象物が接触する位置に、前記光照射手段が照射する光の一部又は全部を透過し、外部からの圧力に対して弾性を有する弾性体を備え、
前記対象情報記憶手段が、前記測定対象物に光が照射された場合のインピーダンスの測定結果を、前記測定対象物と前記対象物検出装置との距離に応じて記憶し、
前記対象物判別手段が、前記インピーダンス測定手段が測定したインピーダンスの値と、前記対象情報記憶手段に記憶されている前記測定対象物に関する情報とから、前記測定対象物の圧力を特定することを特徴とする対象物検出装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の対象物検出装置において、
前記対象情報記憶手段が、前記測定対象物がなく、且つ前記光照射手段が光を照射しない場合に、前記インピーダンス測定手段が測定した測定結果を記憶していることを特徴とする対象物検出装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の対象物検出装置において、
前記光検出手段が、フォトダイオード又はフォトトランジスタであることを特徴とする対象物検出装置。
【請求項6】
請求項2ないし5のいずれかに記載の対象物検出装置において、
前記測定対象物と前記対象物検出装置との間の距離を制御する距離制御手段を備え、
前記インピーダンス測定手段が、前記距離制御手段にて前記測定対象物と前記対象物検出装置との間の距離を変化させて、少なくとも2つの距離におけるインピーダンスを測定し、
前記インピーダンス測定手段が、測定した2つ以上のインピーダンスの値と、前記対象情報記憶手段に記憶されている前記測定対象物に関する情報とから、前記測定対象物の材質及び/又は接近距離を判別することを特徴とする対象物検出装置。
【請求項7】
請求項1に記載の対象物検出装置において、
少なくとも前記測定対象物が接触する位置に、前記光照射手段が照射する光の一部又は全部を透過し、外部からの圧力に対して弾性を有する弾性体と、
前記弾性体の測定側の表面に、前記光照射手段が照射する光の少なくとも一部を反射する反射体とを備え、
前記対象情報記憶手段が、前記反射体に光が照射された場合のインピーダンスの測定結果を、前記測定対象物と前記対象物検出装置との距離に応じて記憶し、
前記対象物判別手段が、前記インピーダンス測定手段が測定したインピーダンスの値と、前記対象情報記憶手段に記憶されている前記測定対象物に関する情報とから、前記測定対象物の圧力を特定することを特徴とする対象物検出装置。
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図16】
【図17】
【図20】
【図21】
【図22】
【図1】
【図3】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図18】
【図19】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図16】
【図17】
【図20】
【図21】
【図22】
【図1】
【図3】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−29313(P2013−29313A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163393(P2011−163393)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成23年5月26日 一般社団法人日本機械学会発行の「ロボティクス・メカトロニクス 講演会2011 講演論文集」に発表
【出願人】(504209655)国立大学法人佐賀大学 (176)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成23年5月26日 一般社団法人日本機械学会発行の「ロボティクス・メカトロニクス 講演会2011 講演論文集」に発表
【出願人】(504209655)国立大学法人佐賀大学 (176)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]