説明

対象物認識装置

【課題】対象物の数や種類を問わず、特定の対象物の種類と位置と向きとを正確に認識することが可能な対象物認識装置を提供する。
【解決手段】エコー波を発信する共振タグ(例えば1,2,3…)と、共振タグを配設した対象物(例えば11a,11b)に対し、所定の周波数(例えばf1〜f8)の電磁波(例えばW1〜W8)を送信すると共に、当該電磁波を送信した際に共振タグから発信されるエコー波(例えばF1,F2,F3…)を検出する検出系9と、検出系を複数配列することにより対象物載置領域35が構成され、当該対象物載置領域に対して部分的に重なっている対象物の占有面積に応じて増減変化するエコー波の電圧値レベルを認識する認識系27とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の種類と位置を認識すると共に、当該対象物の向きを認識するための技術に関し、例えばトランプ等の対象物を配布した際の配布種類と配布位置並びに配布向きを認識することが可能な対象物認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の対象物認識装置として、例えば特許文献1には、複数の対象物即ち食器に配設された共振タグと、各共振タグから発信するエコー波を検出す検出系とを構成とした装置が開示されている。この従来の装置では、各共振タグから発信された異なる種類のエコー波を検出系で検出することによって、複数の食器の中から特定の食器を認識している。
【特許文献1】特開平8−44794号(段落番号0010〜0024)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、共振タグには、インダクタンスLと容量Cとから成る共振回路が構築されており、この共振回路は、ある特定周波数の電磁波が印加されると共振現象を引き起こし、印加した電磁波の周波数と同じ周波数のエコー波を発信するようになっている。従って、従来の装置のようにエコー波を検出して複数の食器の認識を行う場合、その食器の数だけ、異なる周波数のエコー波を発信する共振タグが必要となる。例えば50種類の食器の認識を行う場合には、50個の共振タグが必要となる。
【0004】
この場合、各々の共振タグを共振させる電磁波の周波数も50種類選択しなければならないが、互いに近接した帯域の周波数を選択すると、各共振タグから発信するエコー波の周波数が互いに近接したものとなる。例えば隣り合う帯域の周波数が近接していると、エコー波相互が類似したものとなり、その結果、異なる種類の食器を誤って同じものと認識してしまう場合があり得る。
数多くの食器の種類を正確に認識するためには、互いに離間した帯域の周波数を選択すれば良いが、利用可能な周波数には種々の制約があり、あまり広い帯域の周波数を無条件に利用することはできない。
従って、上述したような従来の装置では、認識可能な対象物の数や種類が制限されてしまうといった問題がある。
【0005】
また、従来の装置では、複数の対象物の中から特定の対象物の種類を認識することはできるが、対象物の位置や向きを認識することができなかったため、その特定した対象物が複数の対象物の中にどのように位置しているのかを認識することはできなかった。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するために成されており、その目的は、対象物の数や種類を問わず、特定の対象物の種類と位置と向きとを正確に認識することが可能な対象物認識装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、第1の発明は、エコー波を発信する共振タグと、共振タグを配設した対象物に対し、所定の周波数の電磁波を送信すると共に、当該電磁波を送信した際に共振タグから発信されるエコー波を検出する検出系9と、検出系を複数配列することにより対象物載置領域35が構成され、当該対象物載置領域に対して部分的に重なっている対象物の占有面積に応じて増減変化するエコー波の電圧値レベルを認識する認識系27とを備えている。
第1の発明によれば、共振タグから発信されるエコー波を検出する検出系を複数配列して構成される対象物載置領域に対し、部分的に重なっている対象物の占有面積に応じて増減変化するエコー波の電圧値レベルを認識することで、対象物載置領域に対する当該対象物の種類及び位置並びに向きを正確に認識することができる。
【0008】
第2の発明において、検出系は、電磁波の周波数が登録される周波数登録部17と、周波数登録部に登録された周波数の中から選択した周波数を対象物に対して個別に対応付けて登録する対象物対応周波数登録部21と、周波数登録部に登録されている周波数に基づいて、検出したエコー波の周波数を解析し、その解析した周波数と対象物対応周波数登録部に登録された対象物とを照合する解析照合部25とを備えている。
第2の発明によれば、対象物に対応付けて登録された周波数に基づいて、検出したエコー波の周波数を解析することにより、対象物載置領域上の対象物の種類を正確に認識することができる。
【0009】
第3の発明において、共振タグは、複数種類有すると共に、当該複数種類の共振タグからは、互いに異なる周波数のエコー波を発信し、検出系は、複数種類の共振タグを配設した個々の対象物に対し、所定の周波数の電磁波を送信すると共に、当該電磁波を送信した際に複数種類の共振タグから発信されるエコー波をそれぞれ検出する。
第3の発明によれば、複数種類の共振タグから発信されるエコー波をそれぞれ検出することにより、対象物載置領域上の対象物の種類及び位置並びに向きを正確に認識することができる。
【0010】
第1〜第3の発明において、電磁波は、一定の送信時間間隔で送信する。そして、電磁波の送信を一定の送信停止時間だけ停止している間に、前記エコー波を受信する。このとき、電磁波の一定の送信時間と一定の送信停止時間とを合算した時間は、1つの対象物を認識する時間よりも短い。
これにより、対象物載置領域上の対象物の種類及び位置並びに向きを短時間に且つ正確に認識することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、対象物の数や種類を問わず、特定の対象物の種類と位置と向きとを正確に認識することが可能な対象物認識装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態に係る対象物認識装置について、図1を参照して説明する。
図1(a)〜(c)に示すように、本実施の形態の対象物認識装置は、複数の対象物の中から特定の対象物(例えば11a,11b)の種類と位置を同時に認識することができるように構成されており、互いに異なる周波数のエコー波(例えばF1,F2,F3…)を発信する複数種類の共振タグ(例えば1,2,3…)と、各共振タグから発信したエコー波を検出する検出系9と、検出系9によって検出されたエコー波(例えばF1,F2,F3…)に基づいて、特定の対象物(例えば11a,11b)の種類と位置を同時に認識する認識系27とを備えている。
この構成によれば、個々の対象物(例えば11a,11b)に対して2個以上の共振タグ(例えば、対象物11aに共振タグ1,2,3、対象物11bに共振タグ1,3,7)をそれぞれ配設し、これら共振タグから発信した各エコー波(F1,F2,F3、F1,F3,F7)を検出することによって、複数の対象物の中から特定の対象物(例えば11a,11b)の種類と位置を同時に認識することができる。
各共振タグには、インダクタンスLと容量Cとを含んだ共振回路13が構築されており、この共振回路13は、誘導リアクタンスωLと容量リアクタンス1/ωCとが等しくなるような周波数の電磁波(例えばW1,W2,W3,W4,W5,W6,W7,W8)を作用させて励振すると、共振現象を起こし、作用させた電磁波と同じ周波数(例えばf1,f2,f3,f4,f5,f6,f7,f8)のエコー波(例えばF1,F2,F3,F4,F5,F6,F7,F8)を発信する。
【0013】
検出系9には、複数の共振タグ(例えば1,2,3、1,3,7)からエコー波(F1,F2,F3、F1,F3,F7)を発信させるための電磁波(W1,W2,W3,W4,W5,W6,W7,W8)を複数の対象物(11a,11b)に向けて送信する送信回路15と、電磁波(W1,W2,W3,W4,W5,W6,W7,W8)の周波数(f1,f2,f3,f4,f5,f6,f7,f8)を設定して登録する周波数登録部17と、周波数登録部17に登録された各々の周波数に対応した電磁波を送信回路15から送信させる送信回路制御部19と、周波数登録部17に登録された周波数の中から2以上の周波数の組み合わせ(例えばf1,f2,f3、f1,f3,f7)を選択し、選択した2以上の周波数を複数の対象物(11a,11b)のそれぞれに個別に対応付けて登録する対象物対応周波数登録部21と、送信回路15から電磁波(W1,W2,W3,W4,W5,W6,W7,W8)が送信された際に、複数の共振タグ(1,2,3、1,3,7)から発信した各エコー波(F1,F2,F3、F1,F3,F7)を受信する受信回路23と、受信回路23で受信した各エコー波(F1,F2,F3、F1,F3,F7)の周波数(f1,f2,f3、f1,f3,f7)を周波数登録部17に登録されている周波数(f1,f2,f3,f4,f5,f6,f7,f8)に基づいて解析し、その解析した各周波数(f1,f2,f3、f1,f3,f7)と対象物対応周波数登録部21に登録された複数の対象物(11a,11b)とを照合する解析照合部25と、解析照合部25によって解析されたエコー波の電圧値レベルを検出するレベル検出回路29とが設けられている。
【0014】
また、認識系27には、解析照合部25によって照合された照合結果に基づいて、特定の対象物の種類を認識する種類認識回路31と、レベル検出回路29によって検出されたエコー波(F1,F2,F3)の電圧レベル(例えばEa,Eb,Ec,Ed:図2(b))に基づいて、特定の対象物(11a,11b)の位置を認識する位置認識回路33とが設けられている。
本実施の形態では、検出系9を複数配列して構成した対象物載置領域35に対象物(後述するトランプ11a,11b)が位置付けられる場合を想定している。この場合、各検出系9のレベル検出回路29で検出された各エコー波の電圧値レベルに基づいて、位置認識回路33が対象物載置領域35上における対象物(11a,11b)の位置を認識すると同時に、各検出系9の解析照合部25によって照合された照合結果に基づいて、種類認識回路31が対象物載置領域35上における対象物(11a,11b)の種類を認識する。
【0015】
また、本実施の形態において、対象物載置領域35としては、図1(a)に示すように、複数の検出系9がXY方向に縦横に隣接配置されたカジノ台を想定しており、このカジノ台35上に複数の対象物(後述するトランプ11a,11b)が配布される。具体的には、カジノ台には、各プレイヤ前面に配布領域A,Bが規定されており、ディーラ(図示しない)から配布されたトランプ11a,11bは、これら配布領域A,Bに所定枚数だけ配布されるようになっている。そして、配布されたトランプ11a,11bを用いてカードゲームが行われる。なお、図面には、一例として、配布領域Aにトランプ11aを、また、配布領域Bにトランプ11bを配布した状態が示されている。
【0016】
また、本実施の形態では、複数の対象物の一例として、54枚から成るトランプ(図面ではハートAのトランプ11a、ハート10のトランプ11bのみ示す)を想定しており、各々のトランプ(11a,11b)に対して2個以上の共振タグ(1,2,3、1,3,7)がそれぞれ配設されている。
最小数の共振タグで54枚のトランプの種類を認識するためには、互いに異なる周波数のエコー波を発信する8個の共振タグが必要であり、その場合、各トランプには、3個の共振タグを組み合わせて(=56)配設すれば良い。また、11個の共振タグを用いる場合には、2個の共振タグを組み合わせて(11=55)各トランプに配設すれば良い。なお、用いる共振タグの個数と配設する個数は、対象物の数や種類に応じて任意に設定することが可能であり、2個以上の共振タグを組み合わせることによって、電磁波の周波数の種類を最小にして、最大数の対象物の種類を認識することができる。
【0017】
ここでは、8個の共振タグ(図面には1,2,3,7のみ示すが、実際には1〜8)を用いて54枚から成るトランプのそれぞれに3個の共振タグを組み合わせて配設した場合を想定する。この場合、検出系9の周波数登録部17には、8個の共振タグを励振させるための8種類の周波数(f1,f2,f3,f4,f5,f6,f7,f8)が登録される。また、対象物対応周波数登録部であるカード対応周波数登録部21には、周波数登録部17に登録された8種類の周波数の中から3種類の周波数が組み合わされて選択され、選択した3種類の周波数が各々のトランプに対応付けて登録される。例えばハートAは周波数(f1,f2,f3)で対応付けられ、また、ハート10は周波数(f1,f3,f7)で対応付けられる。この場合、3個の共振タグから発信した各エコー波の周波数が(f1,f2,f3)であれば、そのトランプはハートAであると認識され、また、3個の共振タグから発信した各エコー波の周波数が(f1,f3,f7)であれば、そのトランプはハート10であると認識されることになる。
【0018】
次に、上述した構成の対象物認識装置の動作について説明する。ここでは、54枚のトランプから2つのトランプ(ハートA、ハート10)の種類を認識すると同時に、それらのトランプの位置を認識する場合を想定する。
ディーラ(図示しない)から配布領域A,Bにトランプ11a,11bがそれぞれ配布されたとき、検出系9の送信回路15からは、周波数登録部17に登録された8種類の周波数(f1,f2,f3,f4,f5,f6,f7,f8)に対応した8種類の電磁波(W1,W2,W3,W4,W5,W6,W7,W8)が所定のタイミングで順次送信される。このとき、2つのトランプ(ハートA、ハート10)11a,11bの各共振タグ(1,2,3、1,3,7)からは、それらの共振周波数と同じ周波数の電磁波(W1,W2,W3、W1,W3,W7)が作用することによって、作用した電磁波と同じ周波数(f1,f2,f3、f1,f3,f7)のエコー波(F1,F2,F3、F1,F3,F7)が発信する。
【0019】
このとき発信した各エコー波(F1,F2,F3、F1,F3,F7)は、検出系9の受信回路23を介して解析照合部25に送られた後、解析照合部25において、各エコー波(F1,F2,F3、F1,F3,F7)の周波数(f1,f2,f3、f1,f3,f7)が周波数登録部17に登録されている周波数(f1,f2,f3,f4,f5,f6,f7,f8)に基づいて解析され、その解析した各周波数(f1,f2,f3、f1,f3,f7)とカード対応周波数登録部21に登録された複数の対象物(11a,11b)との照合が行われる。そして、その照合結果は、認識系27の種類認識回路31に送られ、解析照合部25で解析された周波数が(f1,f2,f3)の組み合わせであれば、それに対応したカードがハートAであると認識される。一方、解析照合部25で解析された周波数が(f1,f3,f7)の組み合わせであれば、それに対応したカードがハート10であると認識される。
【0020】
また同時に位置認識が行われ、検出系9の受信回路23を介して解析照合部25に送られた各エコー波(F1,F2,F3、F1,F3,F7)は、レベル検出回路29において、その各エコー波(F1,F2,F3、F1,F3,F7)の電圧値レベルが検出される。この電圧値レベルは、各エコー波によって受信回路23に誘起する電圧値の大きさを意味しており、複数の検出系9と各対象物(11a,11b)との間の相対距離に応じて増減変化する。例えば図2(b)に示すようにトランプ11aが4つの検出系9上に跨って位置付けられている場合、各検出系9のレベル検出回路29では、それぞれの検出系9に部分的に重なっているトランプ11aの占有面積9a,9b,9c,9dに応じた電圧値Ea,Eb,Ec,Edが検出される。即ち、占有面積の大きさに比例してレベル検出回路29で検出される電圧値Ea,Eb,Ec,Edが増減変化する。この場合、占有面積の大きさは、9a>9b>9c>9dとなっているため、レベル検出回路29で検出される電圧値レベルは、Ea>Eb>Ec>Edとなる。そして、レベル検出回路29で検出された電圧値レベルは、認識系27の位置認識回路33に送られ、その電圧値レベル(Ea>Eb>Ec>Ed)に基づいて、トランプ11aの位置が認識される。即ち、トランプ11aは、図2(b)に示すようなXY方向に沿った向きで位置付けられていることが認識される。
同様に、図2(c)に示すようにトランプ11bが位置付けられた場合も、それに応じたレベル検出回路29の電圧値レベルEa,Eb,Ec,Edに基づいて、トランプ11bがXY方向に対して傾斜して位置付けられていることが認識される。
【0021】
図1(a)に示すようにカジノ台35に配列された複数の検出系9には、それぞれ認識番号が割り振られており、認識系27の位置認識回路33は、各検出系9の認識番号からカジノ台35上の各検出系9の位置を特定できるようになっている。この場合、位置認識回路33は、電圧値レベル(Ea,Eb,Ec,Ed)の変化を検出したレベル検出回路29が、どの認識番号の検出系9のものかを把握することによって、カジノ台35上の検出系9を特定し、その特定した検出系9上にトランプ11a,11bが位置付けられているものと認識する。この結果、位置認識回路33によってカジノ台35上のトランプ11a,11bの位置が認識される。
具体的に説明すると、図1(a)に示すように、カジノ台35の各配布領域A,Bに配列された各検出系9は、それらの認識番号からカジノ台35上における位置が予め特定されている。いま、配布領域A,Bにトランプ11a,11bがそれぞれ配布されたものとすると、各トランプ11a,11bが位置付けられた各検出系9(レベル検出回路29)の電圧値レベル(Ea,Eb,Ec,Ed)が変化するため、位置認識回路33は、この電圧値レベルの変化に基づいて、トランプ11a,11bが配布領域A,Bにそれぞれ位置付けられているものと認識する。
この場合、電圧値レベル(Ea,Eb,Ec,Ed)は、検出系9に部分的に重なっているトランプ11a,11bの占有面積9a,9b,9c,9dに応じて増減変化するため、それを検出することによって、配布領域A,Bにおける各トランプ11a,11bの向きも認識されることになる。
そして、上述した各トランプ11a,11bの種類を認識する場合については、電圧値レベルが最も大きく検出された検出系9からの出力(具体的には、検出系9の解析照合部25の照合結果)を抽出することによって、より正確に各トランプ11a,11bの種類を認識することが可能となる。
【0022】
このようなトランプ11a,11bの種類及び位置の認識時において、8種類の電磁波(W1,W2,W3,W4,W5,W6,W7,W8)の送信タイミングは、任意に設定することが可能であるが、その一例として、図2(a)に示すように、5μs間隔で電磁波(W1,W2,W3,W4,W5,W6,W7,W8)を順次送信する。また、これら電磁波が送信されている間はエコー波を受信することはできないので、例えば45μsだけ電磁波の送信を停止する。更に、精度良く認識するために複数回(例えば250回)の検出を行う。かかる設定条件によれば、
(5μs+45μs)×8(電磁波の種類)×250(検出回数)=10−1ms
程度の時間で1つのトランプの認識を行うことができる。従って、54枚のトランプの全てを認識したとしても、54×10−1ms=5.4ms程度しかかからない。このような電磁波送信タイミングチャートにおいて、トランプ11aの各共振タグ(1,2,3)からのエコー波(F1,F2,F3)を検出することによって、そのトランプ11aの種類(ハートA)及び位置が短時間に且つ正確に認識され、一方、トランプ11bの各共振タグ(1,3,7)からのエコー波(F1,F3,F7)を検出することによって、そのトランプ11bの種類(ハート10)及び位置が短時間に且つ正確に認識される。
【0023】
以上、本実施の形態によれば、対象物であるトランプ(例えば11a,11b)が位置付けられた検出系9(レベル検出回路29)の電圧値レベルの増減変化を検出することによって、対象物の種類及び位置を同時に且つ正確に認識することができる。この場合、検出系9を常時作動させておけば、例えばトランプが配布される度にリアルタイムに、その種類及び位置を認識することが可能となる。
また、本実施の形態によれば、8種類の電磁波(W1,W2,W3,W4,W5,W6,W7,W8)を所定のタイミング(図1(c))で送信すると共に、送信停止の間に受信したエコー波(F1,F2,F3、F1,F3,F7)の周波数(f1,f2,f3、f1,f3,f7)を分析照合することによって、短時間に且つ正確に特定の対象物(11a,11b)の種類及び位置を認識することができる。
【0024】
更に、本実施の形態によれば、2個以上の共振タグを組み合わせたことによって、対象物の数や種類が増加した場合でも最小数の共振タグで全ての対象物の種類及び位置を認識することができる。この場合、使用する電磁波の周波数の種類を最小にすることができるため、共振タグ相互のエコー波の周波数は互いに離間したものとなる。この結果、例えば隣り合う帯域の周波数が近接することがなくなるため、エコー波相互が類似して異なる種類の対象物を誤って同じものと認識してしまうといった従来の問題を解消することが可能となる。
【0025】
なお、上述した実施の形態では、対象物として54枚から成るトランプを想定したが、これは一例であり、本発明を限定するものではない。対象物として、例えば、花札、製造ラインを流れる各種の構成品、書籍類、生鮮食料品など、何らかのプロセスや環境で認識されるものの全てを対象物とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(a)は、検出系を複数配列して構成した対象物載置領域に対象物(トランプ)が位置付けられている状態を示す斜視図、(b)は、本発明の一実施の形態に係る対象物認識装置の全体構成を示す図、(c)は、共振タグに構築されている共振回路の構成図
【図2】(a)は、電磁波の送信タイミングと、エコー波の発信タイミングとの関係を示すチャート図、(b),(c)は、複数の検出系に跨って対象物(トランプ)が位置付けられた状態において、各検出系で検出された各エコー波の電圧値レベルの状態を示す図。
【符号の説明】
【0027】
1,2,3… 共振タグ
9 検出系
11a,11b 対象物
27 認識系
35 対象物載置領域
F1,F2,F3… エコー波
f1〜f8 周波数
W1〜W8 電磁波

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エコー波を発信する共振タグと、
前記共振タグを配設した対象物に対し、所定の周波数の電磁波を送信すると共に、当該電磁波を送信した際に前記共振タグから発信されるエコー波を検出する検出系と、
前記検出系を複数配列することにより対象物載置領域が構成され、当該対象物載置領域に対して部分的に重なっている前記対象物の占有面積に応じて増減変化する前記エコー波の電圧値レベルを認識する認識系と、を備えていることを特徴とする対象物認識装置。
【請求項2】
前記検出系は、
前記電磁波の周波数が登録される周波数登録部と、
前記周波数登録部に登録された周波数の中から選択した周波数を前記対象物に対して個別に対応付けて登録する対象物対応周波数登録部と、
前記周波数登録部に登録されている周波数に基づいて、検出した前記エコー波の周波数を解析し、その解析した前記周波数と前記対象物対応周波数登録部に登録された前記対象物とを照合する解析照合部と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の対象物認識装置。
【請求項3】
前記共振タグは、複数種類有すると共に、当該複数種類の共振タグからは、互いに異なる周波数のエコー波を発信し、
前記検出系は、前記複数種類の共振タグを配設した個々の対象物に対し、所定の周波数の電磁波を送信すると共に、当該電磁波を送信した際に前記複数種類の共振タグから発信されるエコー波をそれぞれ検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の対象物認識装置。
【請求項4】
前記電磁波は、一定の送信時間間隔で送信することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の対象物認識装置。
【請求項5】
前記電磁波の送信を一定の送信停止時間だけ停止している間に、前記エコー波を受信することを特徴とする請求項4に記載の対象物認識装置。
【請求項6】
前記電磁波の一定の送信時間と一定の送信停止時間とを合算した時間は、1つの対象物を認識する時間よりも短いことを特徴とする請求項5に記載の対象物認識装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−176797(P2008−176797A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−25856(P2008−25856)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【分割の表示】特願2002−377835(P2002−377835)の分割
【原出願日】平成14年12月26日(2002.12.26)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【出願人】(391065769)株式会社セタ (89)
【Fターム(参考)】