説明

寿司の包装方法、包装寿司及び止具付包装寿司

【課題】開封の容易な寿司の包装方法の提供を目的とする。
【解決手段】寿司の包装方法は、帯状の第1包装用シート4上に置かれる寿司の側面を全周に亘って帯状の第2包装用シート5で券装し、第2包装用シート5の巻き始め端部Sの外方に第2包装シート5を重ねた後に、第2包装シート5を上向きに折り曲げて寿司の上面を被い、第2包装用シート5により被われた寿司の上面を、第1包装用シート4の寿司載置位置7から折り返される外面被覆部8,9で被う構成にしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用シートを用いた寿司の包装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、アセ寿司や笹寿司は、植物であるアセや笹の葉に包装され、販売されている。その包装方法は、これらの葉2枚を用いて十文字に交差させ、その交差した上に寿司を置き、寿司の上面を葉の先端部分で被った後、紐などの止具を用いて外れないよう結ぶというものである。
【0003】
また、最近では合成樹脂製の包装フィルムによって寿司を包装するといったことも行われており、例えば、特許文献1には、軍艦巻き用寿司を合成樹脂製の包装フィルムで包装する方法が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平7−132057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の包装方法により包装した寿司は、開封の際に、紐を解いたり、包装フィルムに予め形成されているミシン目に沿って包装フィルムを切断するといった作業が必要である。その際には必ず両手を使用しなければ開封できないため、煩わしさを感じるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、開封の容易な寿司の包装方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る寿司の包装方法は、帯状の第1包装用シート上に置かれる寿司の側面を全周に亘って帯状の第2包装用シートで券装し、第2包装用シートの巻き始め端部の外方に第2包装シートを重ねた後に、第2包装シートを上向きに折り曲げて寿司の上面を被い、第2包装用シートにより被われた寿司の上面を、第1包装用シートの寿司載置位置から折り返される外面被覆部で被う構成にしてある。
【0008】
また、本発明に係る包装寿司は、寿司の側面を全周に亘って被う側面被覆部と、側面被覆部から延在し寿司の上面を被う上面被覆部とを備えた第2包装用シートと、寿司が置かれる載置部と、載置部から延在し前記寿司を被った第2包装シートの上面被覆部の上面を被う外面被覆部とを備えた第1の包装用シートとによって、寿司が包装されているものである。
【0009】
そして、前記した構成において、包装寿司における第1包装用シートが止め具によって係止されているものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る寿司の包装方法によれば、寿司の側面及び上面を帯状の第2包装用シートで被い、更に、この第2包装用シートにより被われた寿司の底面及び上面を第1包装用シートにより被うので、この包装方法により包装された寿司を食する際は、第1包装用シートを開封し、更に、帯状の第2包装用シートの端部を引き上げて剥がすといった作業が行われる。このような作業は片手で容易に行うことができる。
【0011】
また、第1包装用シートが止め具によって係止されている場合は、包装寿司の配達などの間に包装が解けるのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の最良の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態に係る止具付包装寿司の平面図、図2は前記止具付包装寿司の正面図、図3は側断面図である。各図において、この実施形態に係る止具付包装寿司1は、第1包装用シート4及び第2包装用シート5によって包装された包装寿司2が、止具3により係止された構造を有する。
【0013】
図4に、止具付包装寿司1の止具3を解き、第1包装シート4を開封した状態の斜視図を示す。同図より、包装寿司2は、第2包装用シート5の側面被覆部12によって寿司6の側面が全周に亘って巻装され、第2包装シート5の巻き始め端部Sの外方に第2包装シート5が重ね合わされている。そして、この重ね合わされた位置Jで第2包装シート5が上向きに折り曲げられ、側面被覆部12から延在した上面被覆部14により寿司6の上面が被われている。更に、第2包装用シート5により被われた寿司6が第1包装用シート4の上に置かれ、第1包装用シートの寿司載置位置から折り返される外面被覆部8,9で上面被覆部14の上面を被う構造となっている。
【0014】
図5(a),(b)は、第1包装用シート4及び第2包装用シート5をそれぞれ展開した状態の平面図を示す。ここで、第1包装用シート4及び第2包装用シート5は1枚のアセの葉を長手方向中央部で切断し、根元側を第1包装用シート4、葉先側を第2包装用シート5としたものである。そして、第2包装用シートの葉先側の先端部分を切除したものである。同図に示すように、第1包装用シート4は第2包装用シート5より幅広となっており、第2包装用シート5は葉先側の先端に行くに従って幅が狭くなっている。
【0015】
図5(a)より、第1包装用シート4は長手方向中央部に寿司が置かれる載置部7を備え、載置部7の左右に延在して外面被覆部8,9を備えている。また、同図(b)より、第2包装用シート5は、幅広の根元側端部10と、幅狭の葉先側端部11を備え、根元側端部10が寿司6の側面を巻き始める巻き始め端部Sとなっている。この巻き始め端部Sより長手方向に第2包装用シート5の全長の略3分の2までが寿司6の側面を全周に亘って被う側面被覆部12となっており、側面被覆部12に延在して寿司の上面を被う上面被覆部14を備えている。また、側面被覆部12と上面被覆部14との境は、第2包装用シート5が折り曲げられる折り目13となっている。
【0016】
止具3は針金を合成樹脂製等のフィルムで包み、作業性を向上させた市販の止部材により構成されている。
【0017】
寿司3は、寿司飯の上面にサバ、コダイ、サワラ、カマス、サンマ、アジ、イワシ、トビウオ、エビ等の具がのせられたもので、手で握られたいわゆる「握り」や型に入れられ成形されるいわゆる「押し寿司」等が用いられる。
【0018】
引続き、寿司6の包装方法につき、以下に説明する。図6(a)〜(d)に示すように、まず、寿司6を第1包装用シート4の載置部7に置き、側面被覆部12で寿司6の側面を全周に亘って被い(同図(a))、重ね合わせ位置Jで巻き始め端部Sの外方に第2包装用シート5を重ねる。そして、折り目13において上面被覆部14を上向きに折り曲げて(同図(b))、寿司6の上面を被う(同図(c)、(d))。
【0019】
図7に、上記のようにして第1包装用シート4の載置部7に寿司6を置き、第2包装用シート5で寿司6を被った状態の背面側から見た斜視図を示す。
【0020】
そして、図8に示すように、第2包装用シート5により被われた寿司6の上面を、第1包装用シート4の寿司6載置位置で外面被覆部8,9を折り返すことによって被う。更に、第1包装用シート4及び第2包装用シート5により包装された包装寿司2の長手方向中央部を止具3により係止する。(図2参照)
【0021】
止具付包装寿司1を食する際には、止具付包装寿司1を一方の手の平の上に乗せ、他方の手で止具3を外し、外面被覆部8,9を開封する。すると、第2包装用シート5で包装された寿司6が現れるので、第2包装用シート5の葉先側端部11を摘んで上方に引き上げ、上面被覆部14を寿司6の上面から外し、続いて、側面被覆部12を寿司6から離し開封する。第2包装用シート5が剥がされた寿司6を一方の手の平に載せたままの状態で他方の手によって摘み上げて食する。
【0022】
以上のように、第1包装用シート4の外面被覆部8,9を開封し、更に、葉先側端部11を摘んで第2包装用シート5を剥がすことにより、第1包装用シート4、第2包装用シート5及び止具3によって包装された止具付包装寿司1を容易に開封することができる。また、以上の開封作業は、一方の手の平に止具付包装寿司1を乗せたまま他方の手で行うことができるので、開封の際に両手を使う必要がなく、煩わしさを感じることがない。更に、皿や机等の寿司を載置する場所を必要としない。
【0023】
また、第1包装用シート4及び第2包装用シート5によって寿司飯及び具が完全に包み隠され、外方からは全く見えないよう被われているので、寿司飯や具が空気に触れるのを防止することができる。よって、品質の劣化を低減させることができるとともに非常に衛生的である。更に、寿司飯などが外部から見えないことで外観上もシンプルで上品となり、高級感を漂わせることができる。
【0024】
更に、本実施形態にかかる止具付包装寿司1は1枚のアセの葉によって1個の寿司6を包装することができるので、従来のように、複数の葉を使用しなくてもよい。よって、原料コストを低く抑えることが可能である。また、1枚のアセの葉によって包装できる程度の大きさに1個の寿司を成形すれば、寿司の大きさが若干小さめとなるので、多数、多種の寿司を食することが可能となる。
【0025】
また、止具3により包装が解けないよう止めているので、包装寿司6の配達などの間に包装が解けるといったことがない。
【0026】
尚、上記の実施形態では、第1包装用シート4及び第2包装用シート5は天然のアセの葉を長手方向中央部で切断したものを用いたが、本発明の第1包装用シート及び第2包装用シートはそれに限定されるものでなく、帯状のシートであれば生又は乾燥後の自然の植物の葉や茎などを用いてもよく、合成樹脂製のフィルムなどを用いてもよい。よって、例えば、笹(クマザサ)、アセ、ミョウガなどの植物の葉や、これらを模した合成樹脂製のフィルムであってもよく、合成樹脂製、紙製、木や竹の皮、布製又は天然の帯状シートなどを用いることができる。
【0027】
自然の植物の葉または自然の植物の葉を模した合成樹脂製のシートを用いた場合には、見た目も美しく食欲をそそるため好ましい。また、笹(クマザサ)、アセ、ミョウガなどの自然の植物の葉を用いた場合には合成樹脂製フィルムの場合とは異なり、各々の植物特有の香りがして寿司に風味を添え、食欲をそそり、高級感を付与することができる。
【0028】
また、止具3は針金をフィルムで包んだ市販の止部材により構成したが、必ずしもこれに限定されず、ゴム紐、糸、合成樹脂製の紐などを用いることができる。
【0029】
また、上記実施形態における包装方法では、まず寿司6を第1包装用シート4の載置部7に置きその後第2包装用シート5の側面被覆部12で被ったが、これに限定されず、第2包装用シート5で寿司6を被った後、これを第1包装用シート4の載置部7に置き、その後外面被覆部8,9で被ってもよい。
【0030】
また、上記実施形態では包装寿司2を止具3により係止したが、止具を全く使用しないままでも構わない。更に、図9に示す止具付包装寿司1aのように、包装寿司2と止具3との間に紙などの外装部材17を巻装してもよく、この紙に商品名、商標等を記載してもよく、サバ、アジ等の寿司の具の名称を記載してもよい。具の名称を外装部材17に記載した場合には包装寿司2を開封しなくても寿司の具の種類が分かり、食する際に好みの具の寿司を選択することができる。尚、このように外装部材17を巻装する場合には、外装部材17に皺がよりにくくするために、止具にゴムなどを用いることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る止具付包装寿司の平面図である。
【図2】前記止具付包装寿司の正面図である。
【図3】前記止具付包装寿司の正断面図である。
【図4】前記止具付包装寿司の止具を解き第1の包装シートを開封した状態の斜視図である。
【図5】前記止具付包装寿司の第1包装用シート及び第2包装用シートを展開した状態の平面図である。
【図6】前記止具付包装寿司の包装手順の説明図である。
【図7】前記止具付包装寿司の包装手順の説明を背面側から見た斜視図である。
【図8】前記止具付包装寿司の包装手順の説明図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る止め具付包装寿司の平面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 止具付包装寿司
2 包装寿司
3 止具
4 第1包装用シート
5 第2包装用シート
6 寿司
7 載置部
8,9 外面被覆部
12 側面被覆部
14 上面被覆部
S 巻き始め端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の第1包装用シート上に置かれる寿司の側面を全周に亘って帯状の第2包装用シートで巻装し、第2包装用シートの巻き始め端部の外方に第2包装シートを重ねた後に、第2包装シートを上向きに折り曲げて寿司の上面を被い、第2包装用シートにより被われた寿司の上面を、第1包装用シートの寿司載置位置から折り返される外面被覆部で被うことを特徴とする寿司の包装方法。
【請求項2】
寿司の側面を全周に亘って被う側面被覆部と、側面被覆部から延在し寿司の上面を被う上面被覆部とを備えた第2包装用シートと、寿司が置かれる載置部と、載置部から延在し前記寿司を被った第2の包装用シートの上面被覆部の上面を被う外面被覆部とを備えた第1の包装用シートとによって、寿司が包装されていることを特徴とする包装寿司。
【請求項3】
請求項2に記載の包装寿司における第1包装用シートが止め具によって解け止めされていることを特徴とする止具付包装寿司。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−127067(P2008−127067A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−314280(P2006−314280)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(506389551)株式会社笹一 (1)
【Fターム(参考)】