説明

寿司用容器

【課題】寿司の視認性に優れた、透明性が高い蓋体の使用に好適であり、寿司の転がり等を防止し、寿司の収容作業がし易く、寿司を取り出し易く、しかも、寿司が沈み込んだように感じられることを防止した、寿司のおいしさ及び新鮮さが訴求できる包装用容器を提供する。
【解決手段】周縁の平面視形状が略長方形とされた容器本体1に略平坦な面で構成される収容物載置部11を備え、前記収容物載置部11には、複数個の寿司を前記容器本体1に対して斜め向きに載置可能であり、前記収容物載置部11における周縁よりも外側に、部分的に高さの異なる周縁壁12を設けてなり、前記周縁壁12は、前記収納物載置部11に載置される複数個の寿司を囲むように、前記容器本体1の内側に張り出すように位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寿司を収容して陳列販売する場合等に適した寿司用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばコンビニエンスストアやスーパーマーケットや百貨店等で持ち帰り用の寿司を収容して陳列販売する場合等に用いる包装用容器は、一般に合成樹脂シートから熱成形された底面がほぼ平坦な略方形状の容器本体と、やはり合成樹脂シートから熱成形された上面がほぼ平坦で透明な蓋体とからなり、容器本体に寿司を所定の間隔をおいて並べてから、蓋体を被せて包装している。
【0003】
上記のような容器本体には、一般に美麗な印刷が施され、蓋体の内面には曇り止め処理を施し、寿司を入れて冷蔵陳列ケース等に入れた際に、寿司から蒸発した水蒸気が粒状に凝縮して蓋体が曇ったり、また、それによって内部が見えなくなることのないようにしている。さらに、容器本体の表面には、寿司が少しでも滑りにくいように微細な凹凸を設けて摩擦を大きくしたものも多い。
【0004】
一方、このような滑り止めの凹凸だけでは持ち帰る際等の振動により寿司が寄ることを防止することができない。これを改良するものとして特許文献1、2等が知られている。
【0005】
特許文献1では、容器置き台部の周囲に5mm以下の縁部を設けることで寿司が寄ることを防止することが記載されている。
【0006】
特許文献2では、寿司を個別に収容するために寿司の下部がほぼ丁度入る大きさ形状に形成された上面側が開口する平面略長方形状の浅い凹部を容器本体に複数個形成すると共に、その各凹部内に収容した寿司の上部を覆う下面側が開口する平面略長方形状の凹部を蓋体に形成し、その蓋体の凹部の少なくとも長手方向と略平行な側面が、容器本体の凹部に収容した寿司の側面の近傍に位置するように構成して寿司が寄ることを防止することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−171770号公報
【特許文献2】特開2002−95429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1のように容器置き台部の周囲に5mm以下の縁部を設けたのでは、寿司が転がることがあり、また、片寄ることを十分に防止できない。一方、縁部の深さを大きくすると、作業者が寿司を収容する作業がし難くなると共に、消費者が寿司を取り出し難くなり、加えて、容器置き台部の強度が弱く撓みやすくなり、収容した寿司が沈み込んだように感じられて収容した寿司のおいしさ及び新鮮さが訴求できなくなってしまう。
【0009】
また、特許文献2のように、寿司を個別に収容するために凹部を容器本体に設け、さらに、蓋にも凹部の少なくとも長手方向と略平行な側面を設ける構成では、作業者が寿司を収容する作業がし難く、消費者が寿司を取り出し難くなり、さらに、蓋にも凹部の少なくとも長手方向と略平行な側面を設けるために、せっかくの収容された寿司を視認し難くなり、収容した寿司のおいしさ及び新鮮さが訴求できなくなり、ひいては消費者の購買意欲を低下させてしまうこととなる。
【0010】
そこで本発明は、透明性が高い蓋体であり、収容された寿司の視認性に優れた蓋体の使用に好適な包装用容器であって、寿司の転がり及び片寄りを防止するとともに、寿司を収容する作業がし易く、かつ、寿司を取り出し易くすることができ、しかも、収容した寿司が沈み込んだように感じられることを防止した、寿司のおいしさ及び新鮮さが訴求できる寿司用容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、前記課題を解決し、収容された寿司のおいしさ及び新鮮さが訴求できるよう透明性が高く、収容された寿司の視認性に優れた蓋体を使用した際に好適な包装用容器を鋭意研究した。そして、撓みにくい十分な強度を持ち、かつ寿司が転がらず、また片寄ることを防止するとともに、寿司を収容する作業がし易く、かつ、寿司を取り出し易くすることができる容器を提供することについて鋭意研究し、本発明を完成させた。
【0012】
本発明は、周縁の平面視形状が略長方形とされた容器本体に略平坦な面で構成される収容物載置部を備え、前記収容物載置部には、複数個の寿司を前記容器本体に対して斜め向きに載置可能であり、前記収容物載置部における周縁よりも外側に、部分的に高さの異なる周縁壁を設けてなり、前記周縁壁は、前記収納物載置部に載置される複数個の寿司を囲むように、前記容器本体の内側に張り出すように位置することを特徴とする寿司用容器である。
【0013】
この構成によると、略平坦な面で構成される収容物載置部により、寿司を見栄え良く配置できる。そして、部分的に高さの異なる周縁壁を設けたことにより、周縁壁のうち高さの高い部分では、寿司が転がったり片寄ったりすることを効果的に防止でき、高さの低い部分では、寿司を収容する作業がし易く、かつ、寿司を取り出し易くすることができる。また、全体的に高い周縁壁を設けた場合のように、収容した寿司が沈み込んだように感じられるようなこと(沈み込み感)がない。
【0014】
また本発明は、周縁の平面視形状が略長方形とされた容器本体に略平坦な面で構成される収容物載置部を備え、前記収容物載置部には、複数個の寿司を前記容器本体に対して斜め向きに載置可能であり、前記収容物載置部における周縁よりも外側に、部分的に高さの異なる周縁壁を設けてなり、前記収納物載置部に載置される複数個の寿司の境界に一致する位置のうち、当該各寿司の短辺に沿う位置に突起が設けられたことを特徴とする寿司用容器である。
【0015】
この構成によると、略平坦な面で構成される収容物載置部により、寿司を見栄え良く配置できる。そして、部分的に高さの異なる周縁壁を設けたことにより、周縁壁のうち高さの高い部分では、寿司が転がったり片寄ったりすることを効果的に防止でき、高さの低い部分では、寿司を収容する作業がし易く、かつ、寿司を取り出し易くすることができる。また、全体的に高い周縁壁を設けた場合のように、収容した寿司が沈み込んだように感じられるようなこと(沈み込み感)がない。そして、収納物載置部に設けられた突起を、作業者が収容物載置部に寿司を並べる位置の目安として用いることができ、更にこの突起は、前記周縁壁と共に寿司が長手方向にずれることを防止する。
【0016】
また本発明は、周縁の平面視形状が略長方形とされた容器本体に略平坦な面で構成される収容物載置部を備え、前記収容物載置部には、複数個の寿司を前記容器本体に対して斜め向きに載置可能であり、前記収容物載置部における周縁よりも外側に、部分的に高さの異なる周縁壁を設けてなり、前記周縁壁は、前記収納物載置部に載置される複数個の寿司を囲むように、前記容器本体の内側に張り出すように位置し、前記収納物載置部に載置される複数個の寿司の境界に一致する位置のうち、当該各寿司の短辺に沿う位置に突起が設けられたことを特徴とする寿司用容器である。
【0017】
この構成によると、略平坦な面で構成される収容物載置部により、寿司を見栄え良く配置できる。そして、部分的に高さの異なる周縁壁を設けたことにより、周縁壁のうち高さの高い部分では、寿司が転がったり片寄ったりすることを効果的に防止でき、高さの低い部分では、寿司を収容する作業がし易く、かつ、寿司を取り出し易くすることができる。また、全体的に高い周縁壁を設けた場合のように、収容した寿司が沈み込んだように感じられるようなこと(沈み込み感)がない。そして、収納物載置部に設けられた突起を、作業者が収容物載置部に寿司を並べる位置の目安として用いることができ、更にこの突起は、前記周縁壁と共に寿司が長手方向にずれることを防止する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、透明性が高い蓋体であり、収容された寿司の視認性に優れた蓋体の使用に好適な寿司用容器であって、寿司の転がり及び片寄りを防止するとともに、寿司を収容する作業がし易く、かつ、寿司を取り出し易くすることができ、しかも、収容した寿司が沈み込んだように感じられることを防止した、寿司のおいしさ及び新鮮さが訴求できる寿司用容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態の容器本体と蓋体とを示す斜視図である。
【図2】本実施形態の容器本体の平面図である。
【図3】本実施形態の容器本体の底面側から見た斜視図である。
【図4】本実施形態の容器本体の、A−A断面(図2)における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明につき、一実施形態を取り上げて説明を行う。なお、以下の説明における方向の表現のうち、上下方向の表現は、包装用容器に寿司を載置可能な状態におけるものである。また、内外方向の表現は、平面視におけるものである。
【0021】
本実施形態の包装用容器は、容器本体1と蓋体2とが組み合わされてなる。本実施形態では、にぎり寿司(以下、単に「寿司」と表記する)用の包装用容器を取り上げて説明する。
【0022】
本実施形態では、容器本体1と蓋体2における周縁の平面視形状が略長方形とされているが、デザイン上、図2に示すように周縁が湾曲した形状とされている。容器本体1と蓋体2の形状はこれに限らず、種々の形状で実施可能である。また、本実施形態では、8個(貫)の寿司が斜め向きで2列配置できるようにされているが、例えば配置を1列とする等、収容物を配置させる状況に合わせて種々の形状で実施し得る。
【0023】
容器本体1及び蓋体2における周縁には、成形による細かな凹凸加工やエンボス加工を施すことにより、側面視にて波形(正弦波、三角波、台形波等)の外縁線、即ち、直線ではない外縁線を備えるようにすることが望ましい(図示しない)。これにより、容器本体1及び蓋体2における周縁のエッジが鋭利でなくなるため、例えば、包装用容器に触れる際や蓋体2を開閉する際の指先を保護することができる。さらに、周縁の強度が増し、包装用容器が裂断するのを防止する効果もある。
【0024】
本実施形態の包装用容器は、樹脂シートを熱成形したものが使用でき、特に発泡シートを熱成形したものであって良く、またこの発泡シートの片面もしくは両面に樹脂フィルムが積層された発泡層と表面フィルム層とを有する積層樹脂シートを使用することもできる。
【0025】
この樹脂シートとしては、特に限定されるものではなく、従来公知のものを用いることができる。例えば、スチレン樹脂単独、あるいは、スチレンモノマーと共重合可能なブタジエン、無水マレイン酸、αメチル・スチレン、メタクリル酸等のモノマーとスチレンモノマーとの共重合体樹脂単独、または、スチレン樹脂と前記共重合体樹脂やポリフェニレンエーテル系樹脂等の耐熱性樹脂等との混合物、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等や、これらの樹脂に、ブタンやペンタン等の物理的発泡剤や、アゾジカルボンアミド等の化学的発泡剤や、二酸化炭素、窒素、空気等の発泡剤とともに押出機で混練して押出し発泡させてなる発泡シートや、その片面もしくは両面に樹脂フィルムを積層させたものを挙げることができる。
【0026】
この発泡シートの片面、もしくは両面に積層される樹脂フィルムには、例えば、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、耐熱ポリスチレン樹脂等のスチレン系樹脂が用いられてなるフィルムや、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂が用いられてなるフィルム、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂が用いられてなるフィルム、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂等のガスバリア性に優れた樹脂が用いられてなるフィルムをそれぞれ単独で用いることができる。
【0027】
あるいは、これらのフィルムどうしを積層させたフィルム(積層フィルム)やこれらの積層フィルムを発泡シートに積層させる樹脂フィルムとして用いることができる。なかでも、発泡シートに用いられたスチレン樹脂や共重合体樹脂が用いられてなるフィルムを用いる場合には、その全体が同じ材質で構成されることとなり、包装用容器のリサイクル性を向上させ得る点において好適である。
【0028】
本実施形態の容器本体1のように、食品等を収容させるための包装用容器の容器本体の形成に用いる場合には、通常、前記発泡シートによって1〜5mmのいずれかの厚みに発泡層が形成され、前記樹脂フィルムによって3μm〜500μmのいずれかの厚みに表面フィルム層が形成された樹脂シートを用いることが好ましい。
【0029】
なお、本実施形態に係る容器本体の形成には、発泡層を備えている樹脂シートであれば、上記例示の樹脂シートに限定されることなく、種々のものを採用することができ、表面フィルム層を有していない発泡層のみによって構成されたものや、発泡層を介して両面に表面フィルム層が形成されているもの等も採用が可能である。
【0030】
前記のように樹脂シートを熱成形してなる容器本体1の上面には、内側から周縁に向かう方向に、順に、収容物載置部11、周縁壁12、突状部13がそれぞれ形成されている。そして、下方に突出するように脚部14が形成されている。脚部14の設けられている部分では、周縁壁12と突状部13との間に脚部14が設けられている。
【0031】
収容物載置部11は略平坦な面で構成される。本実施形態の収容物載置部11は、にぎり寿司が、斜め方向を向いた状態で隣り合うようにして、1列4個(貫)で2列の計8個(貫)配置できる形状とされている。収容物載置部11は略平坦な面で構成されているため、寿司を見栄え良く配置できる。なお、収容物載置部11における周縁11aは、一部(脚部14のみが形成された位置)を除き、周縁壁12によって定められている。そして、収容物載置部11における、複数の寿司の境界に一致する位置には小突起111と大突起112が設けられている。
【0032】
小突起111は、収容物載置部11に並べられる寿司の長辺に沿うように設けられている。この小突起111は、寿司の盛り付け作業を行う現場(食品工場や小売店舗のバックヤード等)にて、作業者が収容物載置部11に寿司を並べる位置の目安として用いられる。また、寿司のずれ止めとしての作用も発揮できる。本実施形態では、収容物載置部11の表面から上方にわずかに突出した直線状の突条として形成されているが、主に位置の目安としての作用を発揮するものであるから、形状は特に限定されない。例えば、破線状の突起としても良いし、凹条としても良い。また、凹凸は形成せずに印刷等により模様だけを設けても良い。
【0033】
大突起112は、小突起111に直交するように、つまり、収容物載置部11に並べられる寿司の短辺に沿うように設けられている。本実施形態の大突起112は、小突起111よりも収容物載置部11の表面から大きく突出して形成されている。この大突起112は、前記の小突起111と同様、作業者が収容物載置部11に寿司を並べる位置の目安として用いられるものである。そして更に、周縁壁12と共に、寿司が長手方向にずれることを防止する作用も発揮する。
【0034】
この大突起112の長手方向中央には、大突起凹部112aが形成されている。本実施形態では、略長方形とされた容器本体1の幅方向略中央において、容器本体1の長手方向に沿うように設けられている。この大突起凹部112aには、「バラン」と呼ばれる、収容物(本実施形態では寿司)を仕切るための、樹脂等からなるシートを配置することができる。この大突起凹部112aに「バラン」をまず配置した上で、収容物載置部11に寿司を並べると、2列に並んだ寿司の列間に「バラン」を湾曲させて配置させることができる。そのため、「バラン」を美しく配置することができる。また、寿司が収容物載置部11上でずれることを、この「バラン」によって、より効果的に防止することができる。
【0035】
周縁壁12は、収容物載置部11における周縁11aよりも外側に設けられたものであって、本実施形態では、部分的に高さの異なるものが複数設けられている。本実施形態の周縁壁12は、図1及び図2に示すように、連続壁121と独立壁122とから構成されており、図4に示すように、収容物載置部11における周縁11aを起点として立ち上げられている。
【0036】
連続壁121は、収容物載置部11における周縁11aのうち、短尺脚部142(後述)を除いた部分に設けられている。この連続壁121の断面形状は、図4に示すように、収容物載置部11側から容器本体1における周縁に向かうにつれ、急に立ち上げられ、頂部を越えた後に緩やかに下がるものとされている。そして、この連続壁121は、頂部の稜線が収容物載置部11における周縁11aに沿う方向において波打つように、つまり、同方向において交互に上下するように(収容物載置部11からの高さが部分的に異なるように)形成されている。図2で例示すると、高部121Hと低部121Lとが交互に形成されている。
【0037】
独立壁122は、前記の連続壁121が途切れた部分であって、短尺脚部142(後述)の内側寄りの位置に設けられている。この独立壁122の断面形状も、前記の連続壁121と同様に、収容物載置部11側から容器本体1における周縁に向かうにつれ、急に立ち上げられ、頂部を越えて緩やかに下がるものとされている。そして、この独立壁122は、頂部の稜線が収容物載置部11における周縁11aに沿う方向における中央で最も高くなるように形成されている。本実施形態では、独立壁122と連続壁121との間にも、収容物載置部11が存在するものとされている。
【0038】
収容物載置部11に並べられた寿司は、連続壁121及び独立壁122に囲まれる。これにより、連続壁121において高さの高い部分(高部121H)では寿司が転がったり片寄ったりすることを効果的に防止できる。そして独立壁122も、寿司が転がったり片寄ったりすることを防止する作用を奏する。一方、連続壁121において高さの低い部分(低部121L)、及び、独立壁122と連続壁121との間の全く立ち上げられていない部分では、作業者が寿司を収容する作業がし易く、かつ、消費者が寿司を取り出し易くすることができる。なお本実施形態では、前記高さの低い部分が配置された寿司の角部に略一致するように設けられていることで、いっそう、前記した収容作業及び取り出しを容易にすることができる。
【0039】
ここで、全体的に高い周縁壁を設けた場合では、この高い周縁壁に寿司の下側部分が隠されてしまい、消費者に対して寿司が沈み込んだ感じ(沈み込み感)を与えてしまうことがあるが、本実施形態では、連続壁121に低い部分(低部121L)が存在し、寿司が露出する割合が大きくなることから、このような「沈み込み感」を消費者に与えることを防止できる。
【0040】
突状部13は、容器本体1における周縁の全周に周回するように設けられたものである。この突状部13と前記周縁壁12の内側に収容物載置部11が設けられることとなる。突状部13の断面形状は、図4に示すように、周縁壁12における連続壁121、あるいは脚部14に連続して形成された、上向きの凸条である。この突状部13における周縁のエッジは、前記のように直線ではない外縁線を備えるようにされており、このエッジが鋭利でないものとされている。
【0041】
前記の周縁壁12に加え、この突状部13が設けられたことによって、容器本体1における周縁部には二重の突部が部分的に設けられたこととなり、これによって容器本体1の剛性を高めることができる。この剛性の向上は具体的には、容器本体1における周縁のうち、ある区間では周縁壁12の連続壁121と突状部13とが組み合わされ、また、前記とは別のある区間では、周縁壁12の連続壁121、脚部14の長尺脚部141、突状部13の各々が組み合わされてなされる。これにより、軽量化のために薄い樹脂シートを用いた場合であっても、収容物載置部11に収容された寿司の重さで容器本体1自体が撓んだりすることを防止できる。
【0042】
脚部14は、突状部13と前記周縁壁12とが収容物載置部11を基準として上方に突出するのに対し、下方に突出するものである。
【0043】
本実施形態の脚部14は、長尺脚部141と短尺脚部142とからなる。図2及び図3に示すように、平面視形状が略長方形である容器本体1の一つの角部を挟んで短辺側の大部分と長辺側の一部にわたって長尺脚部141が設けられている。そして、容器本体1の長辺側の一部に短尺脚部142が設けられている。長尺脚部141と短尺脚部142とは各々二つずつ設けられている。このように脚部14が設けられたことにより、収容物載置部11を上方へ位置させることができ、前記「沈み込み感」の防止をいっそう効果的に発揮できる。
【0044】
図3に示すように、長尺脚部141には凹部141aが形成されている。ここには、消費者等が包装用容器を持ち上げる際に、消費者等の指が入り、持ち上げをし易くすることができる。
【0045】
蓋体2は、図1に示すようなもので、周縁部21を容器本体1における周縁に対し、嵌合により取り付けることができる。この周縁部21における周縁のエッジもまた、前記のように直線ではない外縁線を備えるようにされており、このエッジが鋭利でないものとされている。
【0046】
蓋体2の平面視における中央には蓋体中央部22が設けられている。この蓋体中央部22は、蓋体2を容器本体1に取り付けた場合において、収容物載置部11の上方に被さるように位置する。蓋体中央部22の天部221は平板状とされており、側部222も、強度確保のために最低限設けられているリブ222aを除いて平板状とされている。
【0047】
ここで、特許文献2に記載された、収容された寿司の上部を覆う凹部を形成した蓋体では、凹部の角や折れ曲がった箇所等が邪魔をして外部から寿司が視認しにくくなる場合がある。一方、本実施形態の蓋体2では、大部分が平板状とされているため、収容物載置部11に並べた寿司のおいしさ及び新鮮さが消費者に訴求できるよう透明性が高く、かつ、寿司の視認性に優れたものとなる。
【0048】
また、本実施形態では、天部221が平板状とされ、天部221の平面視寸法が、脚部14(長尺脚部141及び短尺脚部142)の内側に嵌まり込むことのできるものとされている。これにより、包装用容器を複数積み重ねることが可能であって、包装用容器同士のずれを防止して確実に積み重ねできる。
【0049】
以上、本実施形態の包装用容器は、収容した寿司のおいしさ及び新鮮さが訴求できるよう透明性が高く、かつ収容された寿司の視認性に優れた蓋体の使用に好適な包装用容器であって、撓みにくい十分な強度を有し、かつ寿司が転がらず、また片寄ることを防止するとともに、寿司を収容する作業がし易く、かつ、寿司を取り出し易くすることができる。しかも、収容した寿司等の収容物が沈み込み感を生じることを防止した収容物のおいしさ及び新鮮さが訴求できる。
【0050】
なお、本発明は、容器本体に略平坦な面で構成される収容物載置部を備え、前記収容物載置部における周縁よりも外側に、部分的に高さの異なる周縁壁を設けてなることを特徴とする包装用容器とされていてもよい。
【0051】
この構成によると、略平坦な面で構成される収容物載置部により、寿司等の収容物を見栄え良く配置できる。そして、部分的に高さの異なる周縁壁を設けたことにより、周縁壁のうち高さの高い部分では、収容物が転がったり片寄ったりすることを効果的に防止でき、高さの低い部分では、収容物を収容する作業がし易く、かつ、収容物を取り出し易くすることができる。また、全体的に高い周縁壁を設けた場合のように、収容した収容物が沈み込んだように感じられるようなこと(沈み込み感)がない。
【0052】
また、前記容器本体における周縁に周回する突状部が設けられ、前記突状部の内側に前記収容物載置部を備えたものとされていてもよい。
【0053】
この構成によると、突状部と周縁壁とにより、容器本体の周縁部に二重の突部が部分的に設けられることとなり、容器本体に収容物を収容してもその重さで容器自体が撓んだりすることを防止できる。
【0054】
また、前記突状部と前記周縁壁との間に、前記収容物載置部を上方へ位置させる脚部を備えてなるものとされていてもよい。
【0055】
この構成によると、脚部により、収容物載置部を上方へ位置させることができ、上記「沈み込み感」の防止をいっそう効果的に発揮できる。
【符号の説明】
【0056】
1 容器本体
11 収容物載置部
11a 収容物載置部の周縁
12 周縁壁
13 突状部
14 脚部
2 蓋体
21 周縁部
22 蓋体中央部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周縁の平面視形状が略長方形とされた容器本体に略平坦な面で構成される収容物載置部を備え、
前記収容物載置部には、複数個の寿司を前記容器本体に対して斜め向きに載置可能であり、
前記収容物載置部における周縁よりも外側に、部分的に高さの異なる周縁壁を設けてなり、
前記周縁壁は、前記収納物載置部に載置される複数個の寿司を囲むように、前記容器本体の内側に張り出すように位置することを特徴とする寿司用容器。
【請求項2】
周縁の平面視形状が略長方形とされた容器本体に略平坦な面で構成される収容物載置部を備え、
前記収容物載置部には、複数個の寿司を前記容器本体に対して斜め向きに載置可能であり、
前記収容物載置部における周縁よりも外側に、部分的に高さの異なる周縁壁を設けてなり、
前記収納物載置部に載置される複数個の寿司の境界に一致する位置のうち、当該各寿司の短辺に沿う位置に突起が設けられたことを特徴とする寿司用容器。
【請求項3】
周縁の平面視形状が略長方形とされた容器本体に略平坦な面で構成される収容物載置部を備え、
前記収容物載置部には、複数個の寿司を前記容器本体に対して斜め向きに載置可能であり、
前記収容物載置部における周縁よりも外側に、部分的に高さの異なる周縁壁を設けてなり、
前記周縁壁は、前記収納物載置部に載置される複数個の寿司を囲むように、前記容器本体の内側に張り出すように位置し、
前記収納物載置部に載置される複数個の寿司の境界に一致する位置のうち、当該各寿司の短辺に沿う位置に突起が設けられたことを特徴とする寿司用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−32188(P2013−32188A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−253226(P2012−253226)
【出願日】平成24年11月19日(2012.11.19)
【分割の表示】特願2010−250570(P2010−250570)の分割
【原出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000239138)株式会社エフピコ (98)
【Fターム(参考)】