説明

寿命検出回路

【課題】低コストの寿命検出回路を提供する。
【解決手段】スイッチング電源装置の寿命検出部11では、平滑コンデンサ10の端子間電圧VDCを分圧してモニタ電圧VMを生成し、そのモニタ電圧VMの瞬時値がトランジスタ25のしきい値電圧VTHよりも低下すると、トランジスタ25が非導通になって出力電圧VOが「H」レベルになる。報知部28は、出力電圧VOが「H」レベルになると、平滑コンデンサ10の寿命が到来したことを報知する。したがって、寿命検出用コンデンサを別途設けていた従来に比べ、構成の簡素化による低コスト化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は寿命検出回路に関し、特に、電源装置において平滑コンデンサの寿命を検出する寿命検出回路に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチング電源装置には、交流電圧を整流する整流回路と、整流回路の出力電圧を平滑化する平滑コンデンサとが設けられている。スイッチング電源装置の寿命は平滑コンデンサの寿命で決まる。このため、平滑コンデンサの寿命を検出する寿命検出部を設けたスイッチング電源装置がある。この寿命検出部は、平滑コンデンサと別の寿命検出用コンデンサに所定周波数のパルス電圧を印加し、寿命検出用コンデンサの端子間電圧に基づいて平滑コンデンサの寿命を判別していた(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−231253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、寿命検出部が寿命検出用コンデンサや、パルス電圧を発生する発振器などを備えていたので、寿命検出部の構成が複雑になり、コスト高になると言う問題があった。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、低コストの寿命検出回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る寿命検出回路は、交流電圧を整流および平滑化して直流電圧を生成する電源装置において平滑コンデンサの寿命を検出する寿命検出回路であって、平滑コンデンサの端子間電圧は直流成分とリプル電圧を含み、平滑コンデンサの端子間電圧の瞬時値が予め定められた電圧よりも低下したことに応じて、平滑コンデンサの寿命が到来したことを示す信号を出力する信号発生回路を備えたものである。
【0007】
また、この発明に係る他の寿命検出回路は、交流電圧を整流および平滑化して直流電圧を生成する電源装置において平滑コンデンサの寿命を検出する寿命検出回路であって、平滑コンデンサの端子間電圧は直流成分とリプル電圧を含み、平滑コンデンサの端子間電圧よりも低く、かつ平滑コンデンサの端子間電圧に応じたレベルのモニタ電圧を生成するモニタ電圧発生回路と、モニタ電圧の瞬時値が予め定められた電圧よりも低下したことに応じて、平滑コンデンサの寿命が到来したことを示す信号を出力する信号発生回路とを備えたものである。
【0008】
好ましくは、モニタ電圧発生回路は、平滑コンデンサの端子間電圧を分圧する分圧回路を含む。
【0009】
また好ましくは、モニタ電圧発生回路は、平滑コンデンサの正側端子の電圧を負側にレベルシフトさせるレベルシフト回路を含む。
【0010】
また好ましくは、モニタ電圧発生回路は温度上昇に応じて抵抗値が変化するサーミスタを含み、モニタ電圧は温度上昇に応じて低下する。
【0011】
また好ましくは、信号発生回路は、平滑コンデンサの正側端子と出力端子との間に接続された抵抗素子と、出力端子と平滑コンデンサの負側端子との間に接続され、モニタ電圧の瞬時値が予め定められた電圧よりも高い場合は導通し、低い場合は非導通になるスイッチング素子とを含む。平滑コンデンサの寿命が到来したことを示す信号は、スイッチング素子の非導通時に出力端子に出力される平滑コンデンサの正側端子の電圧である。
【0012】
また好ましくは、信号発生回路は、平滑コンデンサの正側端子と出力端子との間に接続され、モニタ電圧の瞬時値が予め定められた電圧よりも高い場合は導通し、低い場合は非導通になるスイッチング素子と、出力端子と平滑コンデンサの負側端子との間に接続された抵抗素子とを含む。平滑コンデンサの寿命が到来したことを示す信号は、スイッチング素子の導通時に出力端子に出力される平滑コンデンサの負側端子の電圧である。
【発明の効果】
【0013】
この発明に係る寿命検出回路では、平滑コンデンサの端子間電圧の瞬時値が予め定められた電圧よりも低下したことに応じて、平滑コンデンサの寿命が到来したことを示す信号を出力する信号発生回路が設けられる。したがって、寿命検出用コンデンサを別途設けていた従来に比べ、構成の簡素化による低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の一実施の形態によるスイッチング電源装置の構成を示す回路ブロック図である。
【図2】図1に示したスイッチング電源装置の出力電圧の波形を示す図である。
【図3】図1に示した寿命検出部の構成を示す回路ブロック図である。
【図4】図3に示した寿命検出回路の動作を示すタイムチャートである。
【図5】図3に示した寿命検出回路の動作を示す他のタイムチャートである。
【図6】実施の形態の変更例を示す回路ブロック図である。
【図7】実施の形態の他の変更例を示す回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施の形態によるスイッチング電源装置は、図1に示すように、入力端子1、入力フィルタ2、整流回路3、平滑コンデンサ(電界コンデンサ)4、トランス5、NチャネルMOSトランジスタ8、ダイオード9、平滑コンデンサ(電界コンデンサ)10、寿命検出部11、電圧検出回路12、出力端子13、フィードバック回路14、および制御回路15を備える。
【0016】
入力端子1には、たとえば商用交流電源から交流電圧VACが供給される。入力フィルタ2は、商用周波数の交流電圧VACを通過させ、スイッチング電源で発生したスイッチング周波数のノイズが商用交流電源側に漏れるのを防止する低域通過フィルタである。
【0017】
整流回路3は、入力フィルタ2を通過した交流電圧VACを全波整流する。整流回路3の出力電圧は、平滑コンデンサ4によって平滑化されて直流電圧になる。トランス5の1次巻線6とNチャネルMOSトランジスタ8は、平滑コンデンサ4の正側端子と負側端子との間に直列接続される。
【0018】
制御回路15は、トランジスタ8をオン/オフ制御する。トランジスタ8がオン/オフされると、トランス5の2次巻線7の端子間に交流電圧が発生する。その交流電圧はダイオード9によって整流され、平滑コンデンサ10によって平滑化されて直流電圧VDCになる。寿命検出部11は、平滑コンデンサ10の寿命を検出し、寿命が到来した場合はスイッチング電源装置の使用者にその旨を報知する。
【0019】
直流電圧VDCは、出力端子13に与えられ、たとえば高周波信号を増幅するブースターの電源電圧として使用される。電圧検出回路12は、直流電圧VDCのレベルを検出し、検出結果を示す電圧検知信号をフィードバック回路14に与える。フィードバック回路14は、電圧検出回路12にから与えられた電圧検知信号を制御回路15に与える。制御回路15は、電圧検知信号に基づいて、直流電圧VDCが所定の目標電圧になるようにトランジスタ8をオン/オフ制御する。
【0020】
図2は、直流電圧VDCの波形図である。図2において、直流電圧VDCは、直流成分と交流成分(リプル電圧)を含む。平滑コンデンサ10が劣化していない場合は、リプル電圧の振幅は平滑コンデンサ10によって小さく抑制される。しかし、スイッチング電源装置の運転に伴って平滑コンデンサ10が劣化すると、平滑コンデンサ10の内部インピーダンスが増大してリプル電圧の振幅が増大する。
【0021】
リプル電圧の振幅が増大すると、直流電圧VDCの平均値(直流成分)を目標電圧に維持しても直流電圧VDCの瞬時値の最低値が低下する。直流電圧VDCの瞬時値が負荷装置(たとえばブースター)の最低動作電圧VLよりも低下すると、負荷装置の動作が不安定になる。スイッチング電源装置と負荷装置で1つの製品(たとえば通信装置)を構成した場合、負荷装置が安定に動作しなくなったときが製品の寿命となる。そこで、本願発明では、直流電圧VDCの瞬時値が負荷装置の最低動作電圧VLよりも低下したときに、平滑コンデンサ10の寿命が到来したと判断する。
【0022】
図3は、図1に示した寿命検出部11の構成を示す回路ブロック図である。図3において、寿命検出部11は、寿命検出回路20および報知部28を備える。寿命検出回路20は、平滑コンデンサ10の寿命が到来していないために直流電圧VDCの瞬時値が負荷装置の最低動作電圧VLよりも高い場合は、出力電圧VOを「L」レベル(0V)に維持する。また、寿命検出回路20は、平滑コンデンサ10の寿命が到来したために直流電圧VDCの瞬時値が負荷装置の最低動作電圧VLよりも低下した場合は、出力電圧VOを「H」レベル(直流電圧VDC)にする。
【0023】
すなわち、寿命検出回路20は、抵抗素子21,23,26、コンデンサ22、NPN型バイポーラトランジスタ25、および出力端子27を含む。抵抗素子21,23は、平滑コンデンサ10の正側端子および負側端子の間に直列接続される。コンデンサ22およびサーミスタ24の各々は、抵抗素子23に並列接続される。コンデンサ22は、ノイズを除去し、寿命検出回路20の誤動作を防止するために設けられている。
【0024】
抵抗素子21,23およびサーミスタ24は、分圧回路(モニタ電圧発生回路)を構成する。抵抗素子21の抵抗値をR1とし、抵抗素子23およびサーミスタ24の並列接続体の抵抗値をR2とすると、ノードN21のモニタ電圧VMはVM=VDC×R2/(R1+R2)となる。サーミスタ24の抵抗値は、温度上昇に応じて減少する。サーミスタ24は、温度に応じてモニタ電圧VMを補正するために設けられている。これについては後述する。
【0025】
抵抗素子26は、平滑コンデンサ10の正側端子と出力端子27との間に接続される。トランジスタ25のコレクタは出力端子27に接続され、そのベースは抵抗素子21,23間のノードN21に接続され、そのエミッタは平滑コンデンサ10の負側端子に接続される。温度が基準値の場合に、直流電圧VDCの瞬時値の最低値が負荷装置の最低動作電圧VLに到達したときに、モニタ電圧VMがトランジスタ25のしきい値電圧VTHに到達するように、抵抗素子21,23およびサーミスタ24の抵抗値が設定されている。
【0026】
図4および図5は、寿命検出回路20の動作を示すタイムチャートである。図4および図5において、平滑コンデンサ10の劣化前、すなわち平滑コンデンサ10の寿命が到来していない場合は、直流電圧VDCの瞬時値が負荷装置の最低動作電圧VLよりも高くなる。この場合は、モニタ電圧VMがトランジスタ25のしきい値電圧VTHよりも高くなり、トランジスタ25が導通して出力端子27の電圧VOは「L」レベル(0V)になる。
【0027】
また、平滑コンデンサ10の劣化後、すなわち平滑コンデンサ10の寿命が到来した場合は、直流電圧VDCの瞬時値の最低値が負荷装置の最低動作電圧VLよりも低下する。この場合は、モニタ電圧VMがトランジスタ25のしきい値電圧VTHよりも低くなり、トランジスタ25が非導通になって出力端子27の電圧VOは「H」レベル(直流電圧VDC)になる。
【0028】
平滑コンデンサ10の寿命が到来した後もスイッチング電源装置の使用を継続すると、平滑コンデンサ10の劣化がさらに進み、リプル電圧の振幅が徐々に増大し、図5に示すように、電圧VOのパルス幅が徐々に増大する。
【0029】
報知部28は、寿命検出回路20の出力電圧VOが「H」レベルにされた場合は、平滑コンデンサ10の寿命が到来したことを音、光、信号などによってスイッチング電源装置の使用者に報知する。寿命検出回路20の出力電圧VOのパルス幅の増大に応じて、平滑コンデンサ10の寿命が到来したことを報知する音、光、信号のレベルを増大してもよい。これにより、スイッチング電源装置の使用者は、平滑コンデンサ10の寿命が到来したことを検知し、スイッチング電源装置を新品と交換する。
【0030】
ここで、サーミスタ24を設けた理由について説明する。温度が上昇すると、平滑コンデンサ10を構成する電界コンデンサの内部インピーダンスが低下し、リプル電圧の振幅が小さくなる。逆に、温度が低下すると、平滑コンデンサ10を構成する電界コンデンサの内部インピーダンスが増大し、リプル電圧の振幅が大きくなる。
【0031】
このため、サーミスタ24が無い場合は、温度が高い日中には平滑コンデンサ10の寿命が未だ到来していないと判別され、温度が低い深夜には平滑コンデンサ10の寿命が到来したと判別される場合が起こり得る。この場合、スイッチング電源装置の使用者は、深夜にはスイッチング電源装置を監視していないため、平滑コンデンサ10の寿命が到来したことに気付かない恐れがある。
【0032】
また、温度が高いと夏季には、平滑コンデンサ10の寿命が到来しているのにそれが検出されず、温度が低い冬季に多数のスイッチング電源装置において平滑コンデンサ10の寿命の到来が一斉に検出され、スイッチング電源装置の交換が困難になる事態も起こり得る。
【0033】
一方、サーミスタ24を設けた場合は、温度が上昇すると、サーミスタ24の抵抗値が減少して上記抵抗値R2が減少し、モニタ電圧VMが低下する。これにより、温度が高い場合に、平滑コンデンサ10の寿命が到来しているのに、未だ寿命が到来していないと誤って判別されることを防止できる。逆に、温度が低下すると、サーミスタ24の抵抗値が増大して上記抵抗値R2が増大し、モニタ電圧VMが上昇する。これにより、温度が低い場合に、平滑コンデンサ10の寿命が未だ到来していないのに、寿命が到来したと誤って判別されることが防止される。このように、温度に応じて特性が変化する素子を利用することにより、寿命検出回路20の温度補正を簡易に行なうことができる。
【0034】
以上のように、この実施の形態では、平滑コンデンサ10の端子間電圧VDCを分圧してモニタ電圧VMを生成し、そのモニタ電圧VMの瞬時値がトランジスタ25のしきい値電圧VTHよりも低下した場合に平滑コンデンサ10の寿命が到来したと判別する。したがって、寿命検出用コンデンサを別途設けていた従来に比べ、寿命検出回路20の構成の簡素化による低コスト化を図ることができる。
【0035】
なお、この実施の形態では、スイッチング電源装置の2つの平滑コンデンサ4,10のうちの平滑コンデンサ10の寿命を検出したが、平滑コンデンサ4の寿命を検出してもよい。2つの平滑コンデンサ4,10のうちの寿命の短い方の平滑コンデンサの寿命を検出すればよい。あるいは、スイッチング電源装置の動作時の温度上昇の大小の観点などから、寿命を正確かつ簡単に検出できる方の平滑コンデンサの寿命を検出すればよい。
【0036】
また、複数の直流電圧を出力するスイッチング電源装置のように、複数の平滑コンデンサを備えたものがある。この場合は、各平滑コンデンサに寿命検出回路20を設けてもよいし、最も寿命が短い平滑コンデンサのみに寿命検出回路20を設けてもよい。
【0037】
また、回路構成上、最も寿命が短い平滑コンデンサの近傍に寿命検出回路20を配置することが困難な場合は、近傍に寿命検出回路20を最も配置し易い平滑コンデンサをモニタ用コンデンサとし、そのモニタ用コンデンサに寿命検出回路20を設けてもよい。この場合は、最も寿命が短い平滑コンデンサの寿命が到来したときのモニタ用コンデンサの端子間電圧の下限値を予め求めておき、モニタ用コンデンサの端子間電圧が予め求めた下限値よりも低下したときにスイッチング電源装置の寿命が到来したと判別するとよい。
【0038】
また、この実施の形態では、平滑コンデンサ10の端子間電圧VDCを分圧してモニタ電圧VMを生成したが、これに限るものではなく、平滑コンデンサ10の正側端子の電圧VDCを負側に所定電圧だけレベルシフトさせてモニタ電圧VMを生成してもよい。レベルシフト回路としては、たとえばツェナーダイオードを用いたものや、直列接続された複数のダイオードを用いたものがある。また、平滑コンデンサ10の正側端子の電圧VDCを負側に所定電圧だけレベルシフトさせた電圧を図3の分圧回路で分圧してモニタ電圧VMを生成してもよい。
【0039】
また、図6は、この実施の形態の変更例を示す回路ブロック図であって、図3と対比される図である。図6を参照して、この変更例は、図1〜図5で示したスイッチング電源装置において寿命検出回路20を寿命検出回路30で置換したものである。寿命検出回路30は、寿命検出回路20からサーミスタ24を除去し、サーミスタ31を追加したものである。サーミスタ24は温度上昇に応じて抵抗値が減少する素子であるのに対し、サーミスタ31は温度上昇に応じて抵抗値が増大する素子である。サーミスタ31は、平滑コンデンサ10の正側端子とノードN21との間に抵抗素子21と直列接続される。
【0040】
抵抗素子21,23およびサーミスタ31は、分圧回路(モニタ電圧発生回路)を構成する。抵抗素子21およびサーミスタ31の直列接続体の抵抗値をR11とし、抵抗素子23の抵抗値をR12とすると、ノードN21のモニタ電圧VMはVM=VDC×R12/(R11+R12)となる。サーミスタ31は、温度に応じてモニタ電圧VMを補正するために設けられている。
【0041】
温度が基準値の場合に、直流電圧VDCの瞬時値の最低値が負荷装置の最低動作電圧VLに到達したときに、モニタ電圧VMがトランジスタ25のしきい値電圧VTHに到達するように、抵抗素子21,23およびサーミスタ31の抵抗値が設定されている。
【0042】
平滑コンデンサ10の劣化前、すなわち平滑コンデンサ10の寿命が到来していない場合は、直流電圧VDCの瞬時値が負荷装置の最低動作電圧VLよりも高くなる。この場合は、モニタ電圧VMがトランジスタ25のしきい値電圧VTHよりも高くなり、トランジスタ25が導通して出力端子27の電圧VOは「L」レベル(0V)になる。
【0043】
また、平滑コンデンサ10の劣化後、すなわち平滑コンデンサ10の寿命が到来した場合は、直流電圧VDCの瞬時値の最低値が負荷装置の最低動作電圧VLよりも低下する。この場合は、モニタ電圧VMがトランジスタ25のしきい値電圧VTHよりも低くなり、トランジスタ25が非導通になって出力端子27の電圧VOは「H」レベル(直流電圧VDC)になる。
【0044】
また、温度が上昇すると、サーミスタ31の抵抗値が増大して上記抵抗値R11が増大し、モニタ電圧VMが低下する。これにより、温度が高い場合に、平滑コンデンサ10の寿命が到来しているのに、未だ寿命が到来していないと誤って判別されることを防止できる。逆に、温度が低下すると、サーミスタ31の抵抗値が減少して上記抵抗値R11が減少し、モニタ電圧VMが上昇する。これにより、温度が低い場合に、平滑コンデンサ10の寿命が未だ到来していないのに、寿命が到来したと誤って判別されることが防止される。他の構成および動作は、実施の形態と同じであるので、その説明は繰り返さない。この変更例でも、実施の形態と同じ効果が得られる。
【0045】
また、図7は、この実施の形態の他の変更例を示す回路ブロック図であって、図3と対比される図である。図7を参照して、この変更例は、図1〜図5で示したスイッチング電源装置において寿命検出回路20および報知部28をそれぞれ寿命検出回路35および報知部38で置換したものである。寿命検出回路35は、寿命検出回路20のNPN型バイポーラトランジスタ25および抵抗素子26をPNP型バイポーラトランジスタ36および抵抗素子37で置換したものである。
【0046】
温度が基準値の場合に、直流電圧VDCの瞬時値の最低値が負荷装置の最低動作電圧VLに到達したときに、モニタ電圧VMと直流電圧VDCの差の電圧VM−VDCがトランジスタ36のしきい値電圧(−VTH)に到達し、トランジスタ36が非導通になるように、抵抗素子21,23およびサーミスタ31の抵抗値が設定されている。
【0047】
平滑コンデンサ10の劣化前、すなわち平滑コンデンサ10の寿命が到来していない場合は、直流電圧VDCの瞬時値が負荷装置の最低動作電圧VLよりも高くなる。この場合は、VM−VDC<−VTHとなり、トランジスタ36が導通して出力端子27の電圧VOは「H」レベル(直流電圧VDC)になる。
【0048】
また、平滑コンデンサ10の劣化後、すなわち平滑コンデンサ10の寿命が到来した場合は、直流電圧VDCの瞬時値の最低値が負荷装置の最低動作電圧VLよりも低下する。この場合は、VM−VDC>−VTHとなり、トランジスタ36が非導通になって出力端子27の電圧VOは「L」レベル(0V)になる。
【0049】
報知部38は、寿命検出回路35の出力電圧VOが「L」レベルにされた場合は、平滑コンデンサ10の寿命が到来したことを音、光、信号などによってスイッチング電源装置の使用者に報知する。他の構成および動作は、実施の形態と同じであるので、その説明は繰り返さない。この変更例でも、実施の形態と同じ効果が得られる。
【0050】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0051】
1 入力端子、2 入力フィルタ、3 整流回路、4,10 平滑コンデンサ、5 トランス、6 1次巻線、7 2次巻線、8 NチャネルMOSトランジスタ、9 ダイオード、11 寿命検出部、12 電圧検出回路、13,27 出力端子、14 フィードバック回路、15 制御回路、20,30,35 寿命検出回路、21,23,26,37 抵抗素子、22 コンデンサ、24,31 サーミスタ、25 NPN型バイポーラトランジスタ、28,38 報知部、36 PNP型バイポーラトランジスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧を整流および平滑化して直流電圧を生成する電源装置において平滑コンデンサの寿命を検出する寿命検出回路であって、
前記平滑コンデンサの端子間電圧は直流成分とリプル電圧を含み、
前記平滑コンデンサの端子間電圧の瞬時値が予め定められた電圧よりも低下したことに応じて、前記平滑コンデンサの寿命が到来したことを示す信号を出力する信号発生回路を備える、寿命検出回路。
【請求項2】
交流電圧を整流および平滑化して直流電圧を生成する電源装置において平滑コンデンサの寿命を検出する寿命検出回路であって、
前記平滑コンデンサの端子間電圧は直流成分とリプル電圧を含み、
前記平滑コンデンサの端子間電圧よりも低く、かつ前記平滑コンデンサの端子間電圧に応じたレベルのモニタ電圧を生成するモニタ電圧発生回路と、
前記モニタ電圧の瞬時値が予め定められた電圧よりも低下したことに応じて、前記平滑コンデンサの寿命が到来したことを示す信号を出力する信号発生回路とを備える、寿命検出回路。
【請求項3】
前記モニタ電圧発生回路は、前記平滑コンデンサの端子間電圧を分圧する分圧回路を含む、請求項2に記載の寿命検出回路。
【請求項4】
前記モニタ電圧発生回路は、前記平滑コンデンサの正側端子の電圧を負側にレベルシフトさせるレベルシフト回路を含む、請求項2または請求項3に記載の寿命検出回路。
【請求項5】
前記モニタ電圧発生回路は温度上昇に応じて抵抗値が変化するサーミスタを含み、
前記モニタ電圧は温度上昇に応じて低下する、請求項2から請求項4までのいずれかに記載の寿命検出回路。
【請求項6】
前記信号発生回路は、
前記平滑コンデンサの正側端子と出力端子との間に接続された抵抗素子と、
前記出力端子と前記平滑コンデンサの負側端子との間に接続され、前記モニタ電圧の瞬時値が前記予め定められた電圧よりも高い場合は導通し、低い場合は非導通になるスイッチング素子とを含み、
前記平滑コンデンサの寿命が到来したことを示す信号は、前記スイッチング素子の非導通時に前記出力端子に出力される前記平滑コンデンサの正側端子の電圧である、請求項2から請求項5までのいずれかに記載の寿命検出回路。
【請求項7】
前記信号発生回路は、
前記平滑コンデンサの正側端子と出力端子との間に接続され、前記モニタ電圧の瞬時値が前記予め定められた電圧よりも高い場合は導通し、低い場合は非導通になるスイッチング素子と、
前記出力端子と前記平滑コンデンサの負側端子との間に接続された抵抗素子とを含み、
前記平滑コンデンサの寿命が到来したことを示す信号は、前記スイッチング素子の非導通時に前記出力端子に出力される前記平滑コンデンサの負側端子の電圧である、請求項2から請求項5までのいずれかに記載の寿命検出回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−176986(P2011−176986A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40612(P2010−40612)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】