説明

寿命算出装置、画像形成装置、制御方法及びプログラム

【課題】機体内に搭載される部品に含まれる電解コンデンサの寿命時間を精度良く且つ簡易に算出することができる寿命算出装置を提供する。
【解決手段】 機体の各動作モード時における電解コンデンサの温度上昇量と、電解コンデンサの保証寿命時間と、電解コンデンサの部品定格温度と、を関連付けて記憶する第1の記憶手段(21)と、少なくとも1つの温度センサ(14)によって計測された各動作モード時の機体内の気温の最大値を記憶する第2の記憶手段(21)と、第1の記憶手段と、第2の記憶手段(21)に記憶されている情報を基に、各動作モードの電解コンデンサの寿命時間を算出する寿命時間算出手段(20)と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置などの機体内に搭載される部品に含まれる電解コンデンサの寿命時間を算出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置本体やその画像形成装置に用いられる多数の部品をリサイクル、リユースすることが盛んに行われるようになってきている。しかし、画像形成装置本体の寿命と、その画像形成装置に用いられる多数の部品の寿命と、が必ずしも一致しておらず、それらの部品をリサイクル、リユースする場合に、部品の寿命時間の算出が問題となっている。
【0003】
例えば、今までは、画像形成装置の周囲の温度(周囲温度)と、画像形成装置で使用している部品の使用時間と、を基に部品の寿命時間を算出し、その部品がリサイクル、リユース可能であるか否かを判定していた。
【0004】
具体的には、部品に含まれるアルミ電解コンデンサの寿命時間は、余剰電解液の量と、余剰電解液が封止ゴムを通過して蒸発するスピードと、そのスピードを決定する部品の使用温度と、によって決まっており、アルミ電解コンデンサの寿命時間は、部品の使用温度によって算出することができる。このため、従来は、部品に含まれるアルミ電解コンデンサの寿命時間を基に、部品の寿命時間を算出し、その部品がリサイクル、リユース可能であるか否かを判定していた。
【0005】
しかし、従来は、画像形成装置の周囲温度を各部品の使用温度とし、各部品のアルミ電界コンデンサの寿命時間を算出していたため、各部品の寿命時間を精度良く算出することができていなかった。
【0006】
また、部品の周辺に温度センサを設け、その温度センサにより測定した部品の使用温度を基に、各部品のアルミ電界コンデンサの寿命を算出した場合は、部品毎に温度センサを設けたり、温度センサの設置環境を確保したりする必要があるため、コストがかかってしまう。
【0007】
このようなことから、機体内に搭載される部品に含まれるアルミ電界コンデンサの寿命時間を精度良く且つ簡易に算出できる仕組みの開発が必要視されている。
【0008】
なお、本発明より先に出願された技術文献として、例えば、特許文献1(特開2003−205663号公報)には、画像形成装置本体(または使用部品)をリサイクル、リユースする際に、プリント基板等で使用される寿命部品の残寿命判定を行うためのデータを最適な形で取得する技術について開示されている。
【0009】
上記特許文献1では、装置の動作時間を動作モード別に計測して積算し、その積算した積算動作時間を不揮発メモリに記録し、また、装置の内部または近傍の周囲温度を不揮発メモリに記録し、その不揮発メモリに記録した積算動作時間と周囲温度とを基に各部品の残寿命を算出することを可能にしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1には、不揮発メモリに記録した積算動作時間と周囲温度とを基に各部品の残寿命を算出することを可能にしている。また、一定の温度範囲毎の積算動作時間を不揮発メモリに記録し、各部品の残寿命を精度良く算出することを可能にしている。しかし、上記特許文献1のように、一定の温度範囲毎の積算動作時間を動作モード別に不揮発メモリに記録すると、不揮発メモリに記録するデータ量が多くなると共に残寿命の算出も複雑になる。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、機体内に搭載される部品に含まれる電解コンデンサの寿命時間を精度良く且つ簡易に算出することができる寿命算出装置、画像形成装置、制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有する。
本発明にかかる寿命算出装置は、
機体内に搭載される部品に含まれる電解コンデンサの寿命時間を算出する寿命算出装置であって、
前記機体の各動作モード時における前記電解コンデンサの温度上昇量と、前記電解コンデンサの保証寿命時間と、前記電解コンデンサの部品定格温度と、を関連付けて記憶する第1の記憶手段と、
少なくとも1つの温度センサによって計測された各動作モード時の前記機体内の気温の最大値を記憶する第2の記憶手段と、
前記第1の記憶手段と、前記第2の記憶手段に記憶されている情報を以下の(式1)に代入し、各動作モードの前記電解コンデンサの寿命時間を算出する寿命時間算出手段と、
を有することを特徴とする。
【0013】
【数1】

【0014】
但し、Lxは、前記電解コンデンサの寿命時間であり、Lrは、前記電解コンデンサの保証寿命時間であり、T0は、前記電解コンデンサの部品定格温度であり、Taは、前記機体内の気温の最大値と前記温度上昇量とを加算した温度である。
【0015】
本発明にかかる画像形成装置は、
上記記載の寿命算出装置を有することを特徴とする。
【0016】
本発明にかかる制御方法は、
機体内に搭載される部品に含まれる電解コンデンサの寿命時間を算出する寿命算出装置で行う制御方法であって、
前記寿命算出装置は、
前記機体の各動作モード時における前記電解コンデンサの温度上昇量と、前記電解コンデンサの保証寿命時間と、前記電解コンデンサの部品定格温度と、を関連付けて記憶する第1の記憶手段を有し、
少なくとも1つの温度センサによって計測された各動作モード時の前記機体内の気温の最大値を第2の記憶手段に記憶する記憶工程と、
前記第1の記憶手段と、前記第2の記憶手段に記憶されている情報を以下の(式1)に代入し、各動作モードの前記電解コンデンサの寿命時間を算出する算出工程と、
を前記寿命算出装置が行うことを特徴とする。
【0017】
【数2】

【0018】
但し、Lxは、前記電解コンデンサの寿命時間であり、Lrは、前記電解コンデンサの保証寿命時間であり、T0は、前記電解コンデンサの部品定格温度であり、Taは、前記機体内の気温の最大値と前記温度上昇量とを加算した温度である。
【0019】
本発明にかかるプログラムは、
機体内に搭載される部品に含まれる電解コンデンサの寿命時間を算出する寿命算出装置のコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記寿命算出装置は、
前記機体の各動作モード時における前記電解コンデンサの温度上昇量と、前記電解コンデンサの保証寿命時間と、前記電解コンデンサの部品定格温度と、を関連付けて記憶する第1の記憶手段を有し、
少なくとも1つの温度センサによって計測された各動作モード時の前記機体内の気温の最大値を第2の記憶手段に記憶する記憶処理と、
前記第1の記憶手段と、前記第2の記憶手段に記憶されている情報を以下の(式1)に代入し、各動作モードの前記電解コンデンサの寿命時間を算出する算出処理と、
を前記コンピュータに実行させることを特徴とする。
【0020】
【数3】

【0021】
但し、Lxは、前記電解コンデンサの寿命時間であり、Lrは、前記電解コンデンサの保証寿命時間であり、T0は、前記電解コンデンサの部品定格温度であり、Taは、前記機体内の気温の最大値と前記温度上昇量とを加算した温度である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、機体内に搭載される部品に含まれる電解コンデンサの寿命時間を精度良く且つ簡易に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態における画像形成装置の全体構成例を示す概略図である。
【図2】本実施形態における画像形成装置の制御構成例を示す図である。
【図3】アルミ電解コンデンサの寿命時間の算出処理例を示すフローチャートである。
【図4】本実施形態における画像形成装置の処理動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<本実施形態の画像形成装置の概要>
まず、図2を参照しながら、本実施形態の画像形成装置の概要について説明する。
【0025】
本実施形態の画像形成装置は、機体の各動作モード時における電解コンデンサの温度上昇量と、電解コンデンサの保証寿命時間と、電解コンデンサの部品定格温度と、を関連付けて記憶する第1の記憶手段(不揮発メモリ21に相当)と、少なくとも1つの温度センサ14によって計測された各動作モード時の装置内の気温の最大値を記憶する第2の記憶手段(不揮発メモリ21に相当)と、第1の記憶手段、第2の記憶手段21に記憶されている情報を基に、各動作モードのコンデンサの寿命時間を算出する寿命時間算出手段(制御部20に相当)と、を有して構成する。
【0026】
本実施形態の画像形成装置は、上記構成を有することで、機体内に搭載される部品に含まれる電解コンデンサの寿命時間を精度良く且つ簡易に算出することができる。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態の画像形成装置について詳細に説明する。
【0027】
<画像形成装置の全体構成例>
まず、図1を参照しながら、本実施形態の画像形成装置の全体構成例について説明する。図1は、本実施形態の画像形成装置の全体構成例を示す概略図である。
【0028】
本実施形態の画像形成装置は、機体10、画像形成駆動部11、給紙トレイ12、プリント基板13、温度センサ14、電源ユニット15、排紙トレイ16、操作部17などで構成する。
【0029】
本実施形態の画像形成装置は、給紙トレイ12に装填された用紙を画像形成駆動部11に搬送し、画像形成駆動部11にて画像形成、転写及び定着を行い、排紙トレイ16から排紙する。
【0030】
また、本実施形態の画像形成装置は、電源ユニット15を介して電源供給を行う。
【0031】
また、本実施形態の画像形成装置は、プリント基板13上に形成された制御回路、制御回路に接続された電源ユニット15、不揮発メモリ(図2参照)、温度センサ14、操作部17などが信号の交換を行いながら動作する。
【0032】
温度センサ14は、機体10内に設置され、電源ユニット15の発熱などで変化する機体10内の気温を計測する。なお、温度センサ14は、寿命時間の算出対象であるアルミ電解コンデンサを含む部品の周囲に設置することが好ましい。
【0033】
<画像形成装置の制御構成例>
次に、図2を参照しながら、本実施形態の画像形成装置の制御構成例について説明する。図2は、本実施形態の画像形成装置の制御構成例を示す図である。
【0034】
本実施形態の画像形成装置は、画像形成装置全体の各種制御を行う制御部20、画像形成などを行う画像形成駆動部11、各種情報を記憶する不揮発メモリ21、機体10内の気温を計測する温度センサ14、液晶・LED表示及び各種キー入力を行う操作部17などで構成している。
【0035】
制御部20は、画像形成駆動部11、不揮発メモリ21、温度センサ14、操作部17などを制御する。
【0036】
本実施形態の画像形成装置は、操作部17や制御部20に備えられた外部インターフェイスから、一定時間を経過しても入力がない場合は、画像形成駆動部11及び制御部20などで使用している一部の電源供給を停止し、待機モードからスリープモードの状態に移行する。
【0037】
また、本実施形態の画像形成装置は、スリープモードの状態で、操作部17や制御部20に備えられた外部インターフェイスから印刷要求などの入力があった場合は、一部停止していた電源供給を再開し、スリープモードから待機モードの状態に移行する。更に、制御部20によって画像形成駆動部11を制御し、待機モードから動作モードの状態に移行して印刷を実行する。
【0038】
このように、本実施形態の画像形成装置は、操作部17や制御部20に備えられた外部インターフェイスから、一定時間を経過しても入力がない場合は、待機モードからスリープモードの状態に移行する。また、操作部17や制御部20に備えられた外部インターフェイスから印刷要求などの入力があった場合は、待機モード及び動作モードの状態に速やかに移行し、必要な回路のみに電源を供給したり、クロック周波数の低減を行ったりする。その結果、本実施形態の画像形成装置は、消費電力を大幅に削減することができる。
【0039】
また、本実施形態の画像形成装置は、スリープモードの状態時は消費電力が少ないため、電源ユニット15の発熱を抑えることができ、電源ユニット15の発熱による部品の劣化を遅らせることができる。
【0040】
<アルミ電解コンデンサの寿命時間の算出処理例>
次に、図3を参照しながら、画像形成装置の機体10内に搭載される部品に含まれるアルミ電解コンデンサの寿命時間の算出処理例について説明する。
【0041】
本実施形態の画像形成装置は、表1に示すように、『アルミ電解コンデンサのアドレス』と、『保証寿命』と、『部品定格温度』と、各電源供給モード(動作モード、待機モード、スリープモード)における『温度上昇量』と、を関連付けて不揮発メモリ21に予め記憶する(ステップA1)。『アルミ電解コンデンサのアドレス』は、アルミ電解コンデンサを特定するためのアドレス情報である。『保証寿命』は、アルミ電解コンデンサの寿命時間を特定するための寿命情報である。『部品定各温度』は、アルミ電解コンデンサが使用可能な最大許容温度を特定するための情報である。『温度上昇量』は、各モード状態時の温度上昇量を特定するための情報である。
【0042】
【表1】

【0043】
また、本実施形態の画像形成装置は、表2に示すように、各電源供給モード滞在の『積算時間』と、温度センサ14で計測した『機体10内の気温の最大値』と、を対応付けて不揮発メモリ21に記憶する(ステップA2)。『積算時間』は、画像形成装置が各モードになっている時間の累積時間である。『機体10内の気温の最大値』は、温度センサ14で今まで計測した機体10内の気温の中で最も高い値の気温である。表2に示す『機体10内の気温の最大値』と『積算時間』とは後述する処理動作を行うことで逐一更新される。
【0044】
【表2】



【0045】
次に、画像形成装置は、不揮発メモリ21に記憶されている情報を基に、画像形成装置の機体10内に搭載される部品に含まれるアルミ電解コンデンサの寿命時間を算出する(ステップA3)。
【0046】
機体10内に搭載される部品(例えば、プリント基板15)に含まれるアルミ電解コンデンサの寿命時間Lxは、余剰電解液の量、その余剰電解液が封止ゴムを通過して蒸発するスピード、そのスピードを決定する温度によって決まり、アルミ電解コンデンサの寿命時間Lxとアルミ電解コンデンサの周囲温度Taとの関係は、アレニウスの温度2倍速で説明することができる。このため、アルミ電解コンデンサの寿命時間Lxは、アルミ電解コンデンサの部品定格温度T0と、アルミ電解コンデンサの保証寿命Lrと、を用いて以下の(式1)で算出することができる。
【0047】
【数4】

【0048】
但し、Lxは、アルミ電解コンデンサの寿命時間であり、Lrは、アルミ電解コンデンサの保証寿命時間であり、T0は、アルミ電解コンデンサの部品定格温度であり、Taは、アルミ電解コンデンサの周囲温度である。
【0049】
アルミ電解コンデンサの周囲温度Taは、機体10内の気温の最大値と、アルミ電解コンデンサの温度上昇量と、を用いて以下の(式2)で算出することができる。なお、機体10内の気温の最大値と、アルミ電解コンデンサの温度上昇量と、は、それぞれ不揮発メモリ21に記憶されており、電源供給モードごとにそれぞれ異なる(表1、表2参照)。
【0050】
【数5】

【0051】
次に、画像形成装置は、ステップA3で算出した部品に含まれるアルミ電解コンデンサの寿命時間を基に、その部品のリサイクル、リユースが可能か否かを判定する(ステップA4)。
【0052】
以下の(式3)は、部品のリサイクル、リユース可否の判定指数Lを算出するための式である。判定指数Lは、上記式1で算出した各電源供給モードにおけるアルミ電解コンデンサの寿命時間と各電源供給モード滞在の積算時間とを用いて算出する。
【0053】
本実施形態では、判定指数Lは、動作モード滞在の積算時間tDと同モード時のアルミ電解コンデンサの寿命時間LDとの比率、待機モード滞在の積算時間tWと同モード時のアルミ電解コンデンサの寿命時間LWとの比率、スリープモード滞在の積算時間tSと同モード時のアルミ電解コンデンサの寿命時間LSとの比率を、足し合わせることで求めることができる。
【0054】
【数6】

【0055】
機体10内に搭載される部品のリサイクル、リユース可否の判定は、次のように行う。
部品に含まれるアルミ電解コンデンサの寿命時間Lは、画像形成装置の耐用年数(製品寿命)の2倍以上で作られている。従って、ステップA3で算出したアルミ電解コンデンサの寿命時間Lが0.5より大きい場合は、そのアルミ電解コンデンサは既に寿命を迎えているため、部品に含まれるアルミ電解コンデンサを交換しなければ部品のリサイクル、リユースは行えないと判定する。また、ステップA3で算出したアルミ電解コンデンサの寿命時間Lが0.5以下の場合は、そのアルミ電解コンデンサの寿命時間が製品寿命以上あると判定し、部品に含まれるアルミ電解コンデンサの交換なしで部品のリサイクル、リユースが行えると判定する。
【0056】
このように、本実施形態の画像形成装置は、不揮発メモリ21に記憶させた、アルミ電解コンデンサの電源供給モードごとの『温度上昇量』と、『保証寿命』と、『部品定格温度』と、温度センサ14によって計測された『機体10内の気温の最大値』と、各電源供給モード滞在の『積算時間』と、を用いることにより、機体10内に搭載される部品に含まれるアルミ電解コンデンサの寿命時間を算出し、アルミ電解コンデンサの製品寿命の判定を行い、部品のリサイクル、リユースが可能か否かを判定することができる。
【0057】
図4は、本実施形態の画像形成装置の処理動作例を示すフローチャートである。
【0058】
本実施形態の画像形成装置は、起動後に、画像形成装置の現在のモード状態(待機モード、スリープモード、動作モードなど)を特定し、電源供給モードを選択する(ステップS1)。例えば、操作部17や制御部20に備えられた外部インターフェイスから入力が無い場合は、画像形成装置が待機モードであるため、待機モードを選択する。また、操作部17や制御部20に備えられた外部インターフェイスから一定時間を経過しても入力がない場合は、画像形成装置がスリープモードであるためスリープモードを選択する。また、操作部17や制御部20に備えられた外部インターフェイスから入力がある場合は、画像形成装置が動作モードであるため、動作モードを選択する。
【0059】
ステップS1で選択できる電源供給モードは、少なくとも3通りある(待機モード、スリープモード、動作モードなど)。但し、寿命計算を精度よく算出するためにステップS1で選択できる電源供給モードを細かく区分することも可能である。
【0060】
画像形成装置は、ステップS1で電源供給モードを選択した場合は、その電源供給モードを基に、以下の処理を行う(ステップS2)。図4では、ステップS1でモードAを選択したとする。
【0061】
まず、画像形成装置は、モードAの積算時間を計測するための積算時間タイマをスタートさせる。これにより、モードAの積算時間を計測することができる。なお、積算時間タイマの初期値は0とする(ステップS3)。
【0062】
次に、画像形成装置は、モードAにおける機体10内の気温Tを、温度センサ14により計測する(ステップS4)。
【0063】
次に、画像形成装置は、不揮発メモリ21に保存されているモードAにおける機体10内の気温の最大値を参照し、モードAにおける機体10内の気温の最大値がステップS4で計測したモードAにおける機体10内の気温Tよりも小さい場合は、機体10内の気温Tの値を機体10内の気温の最大値として不揮発メモリ21に保存する(ステップS5)。これにより、不揮発メモリ21に保存されているモードAにおける機体10内の気温の最大値を更新することができる。
【0064】
次に、画像形成装置は、画像形成装置のモード状態が遷移したか否かを判定する(ステップS6)。例えば、画像形成装置が待機モードの状態で、操作部17や制御部20に備えられた外部インターフェイスから一定時間を経過しても入力がない場合は、待機モードからスリープモードに遷移するため、画像形成装置のモード状態が遷移したと判定する(ステップS6/Yes)。また、画像形成装置が待機モードやスリープモードの状態で、操作部17や制御部20に備えられた外部インターフェイスから印刷要求などの入力があった場合は、待機モードやスリープモードから動作モードに遷移するため、画像形成装置のモード状態が遷移したと判定する(ステップS6/Yes)。また、画像形成装置がスリープモードの状態で、操作部17や制御部20に備えられた外部インターフェイスから入力がない場合は、モード状態を遷移せず、スリープモードの状態のままにする(ステップS6/No)。
【0065】
画像形成装置は、画像形成装置のモード状態が遷移していない場合は(ステップS6/No)、再び、モードAにおける機体10内の気温Tを、温度センサ14により計測する(ステップS4)。また、画像形成装置のモード状態が遷移している場合は(ステップS6/Yes)、積算時間タイマを止めて、タイマの積算時間を不揮発メモリ21に保存されているモードAの積算時間に加算し、モード不揮発メモリに保存する(ステップS7)。これにより、不揮発メモリ21に保存されているモードAの積算時間を更新することができる。次に、画像形成装置は、ステップS1に移行し、再び、画像形成装置の現在のモード状態(待機モード、スリープモード、動作モードなど)を特定し、電源供給モードを選択する(ステップS1)。
【0066】
<本実施形態の画像形成装置の作用・効果>
このように、本実施形態の画像形成装置は、画像形成装置の各電源供給モード滞在の積算時間及び機体10内の気温の最大値を取得し、その取得したデータと、予め不揮発メモリ21に記憶したデータと、を用いて、各電源供給モードの各アルミ電解コンデンサの寿命時間を精度良く算出することができる。その結果、各電源供給モードの各アルミ電解コンデンサの寿命時間を基に、機体10内に搭載されている部品のリサイクル、リユースが可能か否かの判定を行うことができる。
【0067】
また、不揮発メモリ21に記憶するデータは、小容量のデータで済むため、部品に含まれるアルミ電解コンデンサの寿命時間を精度良く且つ簡易に算出することができる。
【0068】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0069】
例えば、上述した本実施形態の画像形成装置を構成する各部の制御動作は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成を用いて実行することも可能である。
【0070】
なお、ソフトウェアを用いて処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして実行させることが可能である。あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。
【0071】
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、リムーバブル記録媒体に、一時的、あるいは、永続的に格納(記録)しておくことが可能である。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することが可能である。なお、リムーバブル記録媒体としては、フロッピー(登録商標)ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magneto optical)ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどが挙げられる。
【0072】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールすることになる。また、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送することになる。また、ネットワークを介して、コンピュータに有線で転送することになる。
【0073】
また、本実施形態における画像形成装置は、上記実施形態で説明した処理動作に従って時系列的に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に実行するように構築することも可能である。
【0074】
また、上述した実施形態では、画像形成装置の機体10内に搭載されている部品に含まれるアルミ電解コンデンサの寿命時間を算出し、その算出した寿命時間を基に、部品のリサイクル、リユースが可能か否かの判定を行うことにした。しかし、本実施形態の技術思想は、画像形成装置の機体10内に搭載されている部品に含まれるアルミ電解コンデンサだけでなく、様々な装置の機体内に搭載されている部品に含まれるアルミ電解コンデンサの寿命時間を算出し、その算出した寿命時間を基に、部品のリサイクル、リユースが可能か否かの判定を行うことも可能である。即ち、本実施形態の技術思想は、様々な装置の機体10内に搭載される部品に含まれるアルミ電解コンデンサの寿命時間を算出する寿命算出装置で行うことも可能であり、その寿命算出装置を上述した画像形成装置に搭載し、画像形成装置の機体10内に搭載されている部品に含まれるアルミ電解コンデンサの寿命時間を算出し、その算出した寿命時間を基に、部品のリサイクル、リユースが可能か否かの判定を行うことも可能である。
【符号の説明】
【0075】
10 機体
11 画像形成駆動部
12 給紙トレイ
13 プリント基板
14 温度センサ
15 電源ユニット
16 排紙トレイ
17 操作部
20 制御部
21 不揮発メモリ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】
【特許文献1】特開2003−205663号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体内に搭載される部品に含まれる電解コンデンサの寿命時間を算出する寿命算出装置であって、
前記機体の各動作モード時における前記電解コンデンサの温度上昇量と、前記電解コンデンサの保証寿命時間と、前記電解コンデンサの部品定格温度と、を関連付けて記憶する第1の記憶手段と、
少なくとも1つの温度センサによって計測された各動作モード時の前記機体内の気温の最大値を記憶する第2の記憶手段と、
前記第1の記憶手段と、前記第2の記憶手段に記憶されている情報を以下の(式1)に代入し、各動作モードの前記電解コンデンサの寿命時間を算出する寿命時間算出手段と、
を有することを特徴とする寿命算出装置。
【数1】

但し、Lxは、前記電解コンデンサの寿命時間であり、Lrは、前記電解コンデンサの保証寿命時間であり、T0は、前記電解コンデンサの部品定格温度であり、Taは、前記機体内の気温の最大値と前記温度上昇量とを加算した温度である。
【請求項2】
前記第2の記憶手段は、前記機体内の気温の最大値と、各動作モードの時間を積算した積算時間と、を関連付けて記憶し、
前記寿命時間算出手段で算出した各動作モードの前記電解コンデンサの寿命時間と、前記第2の記憶手段に記憶されている各動作モードの前記積算時間と、を基に、各動作モードの前記電解コンデンサの寿命時間に対する前記積算時間の割合を算出する割合算出手段を有することを特徴とする請求項1記載の寿命算出装置。
【請求項3】
前記第1の記憶手段は、前記電解コンデンサの温度上昇量と、前記電解コンデンサの保証寿命時間と、前記電解コンデンサの部品定格温度と、を、前記電解コンデンサを識別するためのアドレス情報と関連付けて記憶していることを特徴とする請求項1または2記載の寿命算出装置。
【請求項4】
少なくとも1つの温度センサによって各動作モード時に計測された前記機体内の気温の値が前記第2の記憶手段に記憶されている前記機体内の気温の最大値よりも大きい場合は、前記気温の最大値を更新することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の寿命算出装置。
【請求項5】
各動作モードの時間を計測する計測手段によって各動作モード時に計測された前記時間を前記第2の記憶手段に記憶されている前記動作モードに対応する前記積算時間に加算し、前記積算時間を更新することを特徴とする請求項2から4の何れか1項に記載の寿命算出装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載の寿命算出装置を有する画像形成装置。
【請求項7】
機体内に搭載される部品に含まれる電解コンデンサの寿命時間を算出する寿命算出装置で行う制御方法であって、
前記寿命算出装置は、
前記機体の各動作モード時における前記電解コンデンサの温度上昇量と、前記電解コンデンサの保証寿命時間と、前記電解コンデンサの部品定格温度と、を関連付けて記憶する第1の記憶手段を有し、
少なくとも1つの温度センサによって計測された各動作モード時の前記機体内の気温の最大値を第2の記憶手段に記憶する記憶工程と、
前記第1の記憶手段と、前記第2の記憶手段に記憶されている情報を以下の(式1)に代入し、各動作モードの前記電解コンデンサの寿命時間を算出する算出工程と、
を前記寿命算出装置が行うことを特徴とする制御方法。
【数2】

但し、Lxは、前記電解コンデンサの寿命時間であり、Lrは、前記電解コンデンサの保証寿命時間であり、T0は、前記電解コンデンサの部品定格温度であり、Taは、前記機体内の気温の最大値と前記温度上昇量とを加算した温度である。
【請求項8】
機体内に搭載される部品に含まれる電解コンデンサの寿命時間を算出する寿命算出装置のコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記寿命算出装置は、
前記機体の各動作モード時における前記電解コンデンサの温度上昇量と、前記電解コンデンサの保証寿命時間と、前記電解コンデンサの部品定格温度と、を関連付けて記憶する第1の記憶手段を有し、
少なくとも1つの温度センサによって計測された各動作モード時の前記機体内の気温の最大値を第2の記憶手段に記憶する記憶処理と、
前記第1の記憶手段と、前記第2の記憶手段に記憶されている情報を以下の(式1)に代入し、各動作モードの前記電解コンデンサの寿命時間を算出する算出処理と、
を前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【数3】

但し、Lxは、前記電解コンデンサの寿命時間であり、Lrは、前記電解コンデンサの保証寿命時間であり、T0は、前記電解コンデンサの部品定格温度であり、Taは、前記機体内の気温の最大値と前記温度上昇量とを加算した温度である。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−189707(P2012−189707A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51965(P2011−51965)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】