説明

封入光学素子を提供するための光デバイスの連結方法

【課題】高精度で3次元の安定した高分子光学素子を直接に加工し、デバイスを低挿入損失及びモード整合で互いに連結する方法の提供。
【解決手段】光硬化性官能価を含む成分中に少なくとも部分的に封入された、部分的に形成された第1の光学素子を備える第1の光デバイスを提供する工程であって、前記部分的に形成された第1の光学素子が、光硬化性材料を含む領域によって前記第1の光デバイスの境界から隔置されている端部を有する、工程と、前記第1の光学素子の前記端部が、第2の光デバイスに組み込まれた第2の光学素子の端部と整列して少なくとも略並置されるように、前記第1の光デバイスを前記第2の光デバイスに隣接して配置し、光硬化性材料を含有する領域が前記端部の間に配置される工程と、前記第1及び第2の光学素子の前記端部が相互に光学的に連結される条件下で前記領域の少なくとも一部分を光硬化する工程と、を含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
この出願は、2000年6月15日に出願された米国仮出願第60/211,709号(その全内容を本願明細書に引用したものとする)の優先権を主張する。
【0002】
この発明は、光通信装置内で特に有用である光学機能素子(例えば、導波管、回折格子、スプリッタ、カプラー、レンズ、リング共振器、他の光学回路部品、など)を加工するための、多光子による光重合方法の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
光インターコネクト及び集積回路を用いて、1つの適用において、1つ以上の光ファイバーを1つ以上の遠隔部位、一般に他の光ファイバーに光学的に接続することができる。例えば、光が1つ以上の入力ファイバーによって搬送される場合、光を1つ以上の遠隔部位に転送し、間で分割し、または統合することができる。光学集積回路内の能動または受動装置もまた、入力信号を変調または切り替えることができる。光インターコネクトは、ファイバー電気通信、ケーブルテレビリンク、及びデータ通信において重要な役割を果たす。導波管は光インターコネクトの一タイプである。
【0004】
大部分は、市販の光インターコネクトはガラスから作製された。かかる配線、またはカプラーは概して、ガラス光ファイバーを融合することによって、または光を入力ファイバーから、デバイスの異なった端末に取付けた出力ファイバーに誘導する平面のガラス集積光デバイスにガラスファイバーを取付けることによって、作製される。両方の方法とも、労働集約的であり、コストがかかる。コストは、各々の単一ファイバーを融合または結合するために必要な付加的な労働のために、使用したファイバーの数に比例して増大する。この集約労働は、これらの装置の大量生産を妨げる。
【0005】
更に別の問題が、ガラスファイバー及び集積光デバイスの光学モードの状態の不整合の結果として生じる。ガラスファイバー芯材は一般に丸いのに対して、チャネルガイドは直線断面を有する傾向がある。この不整合は、ファイバーが集積光デバイスに突合せ連結される時に挿入損失をもたらす傾向がある。従って、良好なモードの整合によって光ファイバーに容易に結合され得る集積光デバイスまたはインターコネクトに対する大きな需要がある。
【0006】
ガラス構造体と比較したとき、高分子光学構造体は多くの可能な利点を提供し、電気通信及びデータ通信産業の需要を満たすことができる高分子光学素子を有することが望ましい。高分子素子の利点には、(キャスチング、溶剤被覆、及び押出しの後の、直接光パターン形成などの)加工技術の多用性、低加工温度(無機材料の高い処理温度特性によって可能であるより多様な他のシステムの成分及び基材との共存を可能にする、室温の温度まで)、及び、そのすべてがより低コスト及び高容積の製造につながる、3次元の独自の装置を製造できる可能性など、がある。
【0007】
ガラス光インターコネクトと異なり、2次元の、高分子チャネル導波管が、相対的に容易に製造される。高分子導波管を加工するための多数の方法が開発されている。例えば、原型にニッケルを電気メッキしてチャネル導波管型を形成し、フォトレジスト技術を用いて導波管チャネルを形成することが、以前から周知である。キャスト及び硬化の方法は、高分子チャネル導波管を形成する従来からの射出造型法を補っている。チャネル導波管の形成後に、高分子導波管は概して、性能に悪影響を及ぼすことがある湿気吸収または損傷を防ぐために環境から保護されなくてはならないので、更にクラッディング及び保護被覆が一般に加えられる。
【0008】
他の3次元の、マイクロ光学素子の製造は非常に困難であった。イオン拡散法は、3次元構造体を作るために複合的な、多ステップ方法を必要とする。フォトリソグラフィ技術、例えば、フォトレジストリフローが、レンズ等を作製するために用いられている。しかしながら、リソグラフィを用いて作製することができる形状の範囲は、表面張力効果などの多くの因子によって制限される。フォトリソグラフィはまた、上に素子が製造される基材に光学軸が垂直である素子の製造に制限されている。例えば、フォトリソグラフィを用いて正確なアンダーカットを有する素子を作製することは難しい。
【0009】
米国特許第5,402,514号には、ドライ薄膜を一緒に積層することによって高分子3次元インターコネクトを製造するための異なった方法が記載されている。これらの積層構造体において、外層がクラッディングとして機能し、内層は光学回路部品を組み込む。単一光子光重合(single photon photopolymerization)を用いて、各単層の部分を光硬化する。この方法を用いて3次元回路部品を形成するために、多数の露光工程が、各光硬化単層を形成するために必要とされる。積層構造体を形成するために集成する間の層のアラインメントもまた、問題があることがある。層間の接着の品質が低い場合、層は同じく、離層しやすい。
【0010】
多光子重合技術は、より便利に3次元光学構造体を加工する可能性を提供する。分子の2光子吸収が、1931年にゴッペルト−マイヤーによって予想された。1960年のパルスルビーレーザーの発明によって、2光子吸収の実験的な観察が現実のものとなった。引き続いて、2光子励起が、生物学及び光学データ記憶、並びに他の分野に適用された。
【0011】
2光子による光プロセスと単一光子によるプロセスとの間に2つの重要な相違がある。単一光子吸収が入射放射の強度によって直線的に増加するのに対し、2光子吸収は二次的に増加する。より高次の吸収は、関連するより高倍率の入射強度に伴って増加する。結果として、3次元の空間分解能(spatial resolution)を有する多光子プロセスを行うことが可能である。同様に、多光子プロセスは、2個以上の光子の同時吸収を含むので、吸収発色団は、各光子が個々に、発色団を励起するには不十分なエネルギーを有する場合でも、発色団の励起状態のエネルギーに総エネルギーが等しい多数の光子によって励起される。励起光が硬化性母材または材料中で単一光子吸収によって減衰されないので、材料内のその深さに集束されるビームを使用することによって単一光子の励起で可能であるよりも材料内の大きい深さで分子を選択的に励起することが可能である。これらの2つの現象はまた、例えば、組織または他の生物的材料中での励起にも当てはまる。
【0012】
主な利点は、多光子吸収を光硬化及び微細加工の領域に適用することによって予想されている。例えば、多光子リソグラフィまたはステレオリソグラフィにおいて、強度による多光子吸収の非線形増加(nonlinear scaling)は、利用された回折限界より小さい寸法の特徴を書き込むことができ、また、(ホログラフィーについて同様に重要である)3次元の特徴を書き込むことができる能力を提供した。
【0013】
多光子による光重合の使用は、ムケシュP・ジョシら著、「Three−dimensional optical circuitry using two−photo−assisted polymerization」、Applied Physics Letters、74巻、No.2、1999年1月11日、170〜172ページ、コルネリウスダイヤモンドら著、「Two−photon holography in 3−D photopolymer host−guest matrix」、OPTICS EXPRESS、Vol.6、No.3、2000年1月31日、64〜68ページ、コルネリウスダイヤモンド著、「OMOS:Optically Written Micro−Optical Systems in Photopolymer」、博士論文、2000年1月、ブライアン・H・カンプストンら著、「Two−photon polymerization initiators for three−dimensional optical data storage and microfabrication」、NATURE、Vol.398、1999年3月4日、51〜54ページ、T.J.バンニングら著、「Electrically Switchable Gratings Formed Using Ultrafast Holographic Two−Photon−Induced Photopolymerization」、Chem.Mater.、2000年12月、2842〜2844、コルネリウスダイヤモンドら著、「Two−photon holography in 3−D photopolymer host−guest matrix:errata」、OPTICS EXPRESS、Vol.6、No.4、2000年2月14日、109〜110ページ、S.M.カークパトリックら著、「Holographic recording using two−photon−induced photopolymerization」、Appl.Phys.A69、461〜464ページ(1999)、ホン−ボーサンら著、「Three−dimensional photonic crystal structures achieved with two−photon−absorption photopolymerization of resin」、APPLIED PHYSICS LETTERS、74巻、No.6、1999年2月8日、786〜788ページ、ケビン・D・ベルフィールドら著、「Near−IR Two−Photon Photoinitiated Polymerization Using a Fluorone/Amine Initiating System」、J.Am.Chem.Soc.2000年、122、1217〜1218、に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
多光子重合技術を用いて作製された3次元光学構造体の安定性及び品質は依然として関心の的である。今日まで作製された素子は、完全硬化材料で作製されていず、従って、特に光に露光されるとき、低い安定性を有する。他の素子は独立しており、封入されず、従って周囲の環境に敏感性であり、光学性能に対して安定性の問題を有する恐れがある。隣接した素子間の境界を十分な精度で制御することができないとき、回路の高密度を達成することもまた、更に難しい。形状、屈折率の性質、及び/または他のまたは化学物理的性質が、相対的に短時間で低下する傾向がある素子を他の方法が提供している。
【0015】
従って、必要な場合、高精度で3次元の安定した高分子光学素子を直接に加工することが、本技術分野で大いに必要とされている。デバイスを低挿入損失及びモード整合で互いに連結することを可能にする方法もまた、必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願発明は、以下の発明に関する。
第一に、本願発明は、
第1の光デバイスを第2の光デバイスに連結する方法であって、
(a)光硬化性官能価を含む成分中に少なくとも部分的に封入された、部分的に形成された第1の光学素子を備える第1の光デバイスを提供する工程であって、前記部分的に形成された第1の光学素子が、光硬化性材料を含む領域によって前記第1の光デバイスの境界から隔置されている端部を有する、工程と、
(b)前記第1の光学素子の前記端部が、第2の光デバイスに組み込まれた第2の光学素子の端部と整列して少なくとも略並置されるように、前記第1の光デバイスを前記第2の光デバイスに隣接して配置し、光硬化性材料を含有する領域が前記端部の間に配置される工程と、
(c)前記第1及び第2の光学素子の前記端部が相互に光学的に連結される条件下で前記領域の少なくとも一部分を光硬化する工程と、を含む方法に関する。
第二に、本願発明は、
第1の光デバイスを第2の光デバイスに連結する方法であって、
(a)結合剤、光硬化性母材前駆物質、及び多光子光開始剤系を含む成分中に少なくとも部分的に封入された、部分的に形成された第1の光学素子を備える第1の光学素子デバイスを提供する工程であって、前記部分的に形成された光学素子が、本体の境界から隔置されている端部を有し、多光子光硬化性領域が前記端部と前記境界との間に並置される工程と、
(b)前記第1の光学素子に連結される端部を有する第2の光学素子を備える第2の光学素子デバイスを提供する工程と、
(c)前記第1の光学素子デバイスを前記第2の光学素子デバイスに隣接して配置して、前記第1及び第2の光学素子の前記端部を互いに整列して少なくとも略並置し、前記多光子光硬化性領域が前記端部の間に配置される工程と、
(d)前記第1及び第2の光学素子の前記端部が相互に光学的に連結される条件下で前記領域の少なくとも一部分を光硬化する工程と、を含む方法に関する。
本発明は、高度の精度を有する3次元の、安定した光学素子の加工方法を提供する。画像の通りの多光子重合(multiphoton polymerization)及びブランケット照射技術を組み合わせて、封入保護モノリシック高分子母材中でかかる光学素子をin situ加工する。画像の通りの多光子重合技術を用いて、多光子重合性物質を混入する本体中に光学素子を形成する。光学素子を囲む本体はまた、ブランケット照射及び/または熱硬化によって光硬化されて、封入構造体を形成するのを助ける。最終成果は、良好な分解能、硬度、耐久性、寸法安定性、レジリエンス、屈折率の対比、及び靭性を有する封入構造体である。
【0017】
従って、1つの態様において、本発明は、封入光学素子の加工方法に関する。
(i)光重合した時にポリマー母材を形成し、前記母材が屈折率を有する、拡散種を含む光重合性前駆物質と、
(ii)前記ポリマー母材の前記屈折率より低い屈折率を有すると共に前記光重合性前駆物質と混和性である実質的に非拡散性の結合剤成分と、
(iii)多光子光開始剤系と、を含有する本体が提供される。前記本体の少なくとも一部分が、3次元光学素子を形成するために有効なパターンで前記ポリマー前駆物質を多光子光重合するのに有効な条件下で多光子重合誘導エネルギー(multiphoton polymerizing fluence of energy)に画像の通り露光される。前記本体を画像の通り露光した後に、モノリシック封入母材が前記光学素子の少なくとも一部分の周りに形成される条件下で、前記本体の少なくとも一部分が、例えば、ブランケット照射によって、光重合誘導エネルギーに画像の通りではなく露光される。
【0018】
本発明はまた、前記2つの素子の間の接合部がin situ形成される、2つの光学素子の革新的な連結方法を提供する。前記方法は挿入損失を低減し、良好なモードの整合を提供する。かかる1つの態様において、本発明は、第1の光デバイスを第2の光デバイスに連結する方法であって、
(a)光硬化性官能価を含む成分中に少なくとも部分的に封入された、部分的に形成された第1の光学素子を備える第1の光デバイスを提供する工程であって、前記部分的に形成された第1の光学素子が、光硬化性材料を含む領域によって前記第1の光デバイスの境界から隔置されている端部を有する、工程と、
(b)前記第1の光学素子の前記端部が、第2の光デバイスに組み込まれた第2の光学素子の端部と整列して少なくとも略並置されるように、前記第1の光デバイスを前記第2の光デバイスに隣接して配置し、光硬化性材料を含有する領域が前記端部の間に配置される工程と、
(c)前記第1及び第2の光学素子の前記端部が相互に光学的に連結される条件下で前記領域の少なくとも一部分を光硬化する工程と、を含む方法、に関する。
【0019】
2つの光デバイスを相互にin situ連結する好ましい態様において、本発明は、第1の光デバイスを第2の光デバイスに連結する方法であって、
(a)結合剤、光硬化性母材前駆物質、及び多光子光開始剤系を含む成分中に少なくとも部分的に封入された、部分的に形成された第1の光学素子を備える第1の光学素子デバイスを提供する工程であって、前記部分的に形成された光学素子が、本体の境界から隔置されている端部を有し、多光子光硬化性領域が前記端部と前記境界との間に並置される工程と、
(b)前記第1の光学素子に連結される端部を有する第2の光学素子を備える第2の光学素子デバイスを提供する工程と、
(c)前記第1の光学素子デバイスを前記第2の光学素子デバイスに隣接して配置して、前記第1及び第2の光学素子の前記端部を互いに整列して少なくとも略並置し、前記多光子光硬化性領域が前記端部の間に配置される工程と、
(d)前記第1及び第2の光学素子の前記端部が相互に光学的に連結される条件下で前記領域の少なくとも一部分を光硬化する工程と、を含む方法、に関する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の上に記載した及び他の利点、それらを達成する方法は、添付した図面と共に示した実施態様の以下の説明を参照して、より明らかになり、本発明それ自体、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】多光子吸収が、光重合性本体に向けられたレーザー光の焦点域内に光重合をどのように引き起こすか示す、本発明の封入光学素子を加工するシステムの略図である。
【図2】どのように画像の通りの露光が本体中に光学素子を形成するのかを示す、図1のシステムの略図である。
【図3】ブランケット照射される図2の本体を図解的に示す。
【図4】加熱されて本体中に含有された熱硬化性ポリマーを硬化する図3の本体を図解的に示す。
【図5】部分的に完成された封入光学素子がin situ完成され、前記素子を別の光デバイスに連結する、本発明を実施する好ましいモードを図解的に示す。
【0022】
好ましい実施態様の詳細な説明
以下に記載した本発明の実施態様は網羅的であること、または以下の詳細な説明に開示された正確な形に本発明を制限することを意図するものではない。むしろ実施態様は、当業者が本発明の原理及び実施を正当に評価し、理解するように選択及び記載される。
【0023】
本発明の好ましい実施態様は、光学素子を封入結合剤母材中に作製する方法を提供する。好ましい方法は、光学素子、例えば、単純または複雑な2次元または3次元の幾何学的配置(geometries)を有する光学素子を、本体中で形成することができる、本体の選択部分の多光子開始光重合を必要とする。光重合性物質の他に、前記組成物はまた、良好な分解能を有する光学素子を中に形成する安定したバックグラウンドを供給する実質的に非拡散性の結合剤成分を含有する。光学素子の形成後に、得られた光学素子を、必要な場合、本体のブランケット照射または他の硬化によって残存物質の一部または全ての中に安定して入れることができる。本体のブランケット照射は、単一及び/または多光子吸収を必要とする機構によって光重合を引き起こすエネルギーで行われてもよい。このように、何れの残存光重合性物質も、更に行われる露光に対して非感受性にされ、構造体の安定性を増強する。
【0024】
本体のブランケット照射にもかかわらず、別々に光重合した光学素子は、それでもなお、周囲の光重合母材との屈折率の対比を保持する。非拡散性結合剤成分が熱硬化性であるかどうかによって、それはまた、ブランケット照射(それが光重合性官能価を有する場合)、熱エネルギー、化学架橋等によって硬化されてもよい。得られた封入光学素子は、例えば、光集積回路に有用である。
【0025】
図1〜4は、より詳細に本発明の1つの好ましい方法論を図解的に示す。図1を参照すると、システム10は、レーザー光14を光学レンズ16中に通すレーザー光源12を備える。レンズ16は、光重合性成分を含有する本体20内の焦点域18にレーザー光14を集束させる。レーザー光14は強度を有し、多光子光増感剤が、焦点域の外側の光度が多光子吸収を起こすには不十分であるような吸収断面積を有するのに対して、焦点域18内の光重合性組成物の部分の光度は、かかる焦点域18内で光重合を引き起こす多光子吸収をもたらすのに十分である。実際の結果では、これは、焦点域18内の光重合性組成物の容積が光硬化によって硬化するのに対し、焦点域18の外側の組成物の部分は実質的に影響されない。
【0026】
適した並進機構(translation mechanism)24は、3次元の本体20、レンズ16、及び/または焦点域18の間の相対運動を提供し、焦点域18を本体20内の何れかの望ましい位置に配置させる。この相対運動は、光源12、レンズ16、及び/または本体20の物理的運動によって起こることができる。本体20の連続した領域を画像の通りに適切に露光することによって、本体12の相応する光重合部分は、本体20内に1つ以上の3次元構造体を形成することができる。次に、得られた構造体を、適した技術、例えば、溶剤による処理を用いて本体20から分離し、露光されていない領域を除去する。1つの適したシステムは、移動試料台を有する鏡搭載検流計(galvonometer)を備える。
【0027】
有用な露光システムは、少なくとも1つの光源(通常パルスレーザ)及び少なくとも1つの光学素子を備える。好ましい光源には、例えば、アルゴンイオンレーザー(例えば、コヒーレントインノヴァ)によってポンプ処理されたフェムト秒近赤外チタンサファイヤ発振器(例えば、コヒーレントマイラオプティマ900−F)などがある。76MHzで作動するこのレーザーは、200フェムト秒より小さいパルス持続時間を有し、700〜980nmでチューナブルであり、1.4ワットまでの平均電力を有する。
【0028】
別の実施例は、80MHzで作動し、平均電力約0.85ワット、750〜850nmでチューナブルであり、約100フェムト秒のパルス持続時間を有するスペクトラフィジックス「Mai Tai」Ti:サファイヤレーザーシステムである。しかしながら、実際は、(光反応性組成物中で用いた)光増感剤に適切な波長で(多光子吸収を達成するのに)十分な強度を提供する何れの光源をも利用することができる。かかる波長は概して、約300〜約1500nm、好ましくは、約600〜約1100nm、より好ましくは、約750〜約850nmの範囲であってもよい。
【0029】
Q−切り換えNd:YAGレーザー(例えば、Spectra−Physics Quanta−Ray PRO)は、可視波長色素レーザー(例えば、Spectra−Physics Quanta−Ray PROによってポンプ処理されたSpectra−Physics Sirah)、及びQ−切り換えダイオードポンプ処理レーザー(例えば、Spectra−Physics FCbarTM)もまた、利用することができる。
【0030】
当業者は、多光子重合を行うためにかかるレーザーシステムを用いるための適切な設定を選ぶことができる。例えば、平方単位面積当たりのパルスエネルギーは、広範囲で変化することができ、パルス持続時間、強度、焦点などの因子を、従来の実施のとおりに望ましい硬化の結果を達成するように調節することができる。Epが非常に高い場合、硬化されている材料を除去することができ、またはそうでなければ劣化することがある。Epが非常に低い場合、硬化は起こらないことがあり、または非常にゆっくりと起こることがある。
【0031】
好ましい近赤外パルスレーザを用いるときのパルス持続時間に関して、好ましいパルス持続時間は概して、約10-8秒より短く、より好ましくは約10-9秒より短く、最も好ましくは約10-11秒より短い。これらは多光子硬化を行うために適したEpレベルを設定するための相対的に大きい窓を提供するので、フェムト秒の型のレーザーパルスが最も好ましい。ピコ秒のパルスでは、作業窓は同じ程に大きくない。ナノ秒のパルスでは、硬化は、いくつかの場合には望ましいよりもゆっくり進むかまたは全く進まないことがある。かかる相対的に長いパルスでは、Epレベルは、パルスが相対的に非常に長いときに材料の損傷を避けるために低レベルにされる必要がある場合がある。
【0032】
有利には、本発明の製造方法は、導波管26の形の光学素子によって搬送される光の波長の範囲内または重なり合う波長を有するレーザー光14を、必要ならば使用することを可能にする。これは、用いた光開始剤がレーザー線の波長を2分の1吸収し、従ってレーザー光を減衰させないので、望ましい。これは、光学素子または導波管を製造するための材料を選択する時により大きい許容度をもたらし、光学素子または導波管によって搬送される光の望ましい波長の吸収を最小にする。従って、いくつかの実施態様において、レーザー光14は、導波管26によって搬送される光の波長と実質的に同じである波長を有することがある。これに関連していえば、「実質的に同じ」は、10%以内、好ましくは5%以内、より好ましくは1%以内を意味する。
【0033】
レンズ16を示すが、本発明の方法を実施するのに有用な他の光学素子を用いて、光14を集束させることができ、例えば、屈折光学素子(例えば、レンズ)、反射光学素子(例えば、再帰反射器または集束鏡)、回折光学素子(例えば、格子、相マスク及びホログラム)、拡散体、ポッケルスセル、導波管などの1つ以上を備えることができる。かかる光学素子は、集束、ビームデリバリー、ビーム/モード整形、パルス整形、及びパルスタイミングに有用である。概して、光学素子の組合せを利用することができ、他の適切な組合せが、当業者には理解されよう。高度の集束光を提供するために大きな口径特性を有する光学素子を用いることが、しばしば望ましい。しかしながら、望ましい強度分布(及びその空間配置)を提供する光学素子の何れかの組合せを利用することができる。例えば、露光システムは、0.75NA対物レンズ(Zeiss 20X Fluar)を備えた走査共焦点顕微鏡(BioRad MRC600)を含めることができる。
【0034】
露光時間及び走査速度は概して、画像形成のために用いた露光システムのタイプ(及び口径、光度の空間分布の幾何学、レーザーパルスの間のピーク光度(より高い強度及びより短いパルス持続時間はピーク光度にほぼ対応する)、並びに露光した組成物の性質(及び光増感剤、光開始剤、及び電子供与化合物のその濃度)に依存する。概して、集束領域でのより高いピーク光度が、より短い露光時間を可能にし、他のすべてが等しい。線状画像形成または「書き込み」速度は概して、約10E−8〜10E−15秒(好ましくは、約10E−12〜10E−14秒)のレーザーパルス持続時間を用いて約5〜100,000ミクロン/秒であってもよく、毎秒約10E3〜10E9パルス(好ましくは、毎秒約10E5〜10E8パルス)であってもよい。
【0035】
図2は、本体20の選択された部分を画像の通り露光することにより、どのように本体20内に光重合した3次元導波管26を形成するかを示す。導波管26を構成する光重合部分の外側にある本体20の部分28は、この実施態様のこの段階で光重合しないままである。画像の通りの光重合の結果として、導波管26の屈折率は、未硬化部分28の屈折率と比較して増大する。この対比は概して、導波または他の望ましい光学機能性を提供するのに十分である。
【0036】
理論上、導波管の形成は、少なくとも一部は、未硬化物質に対して硬化物質の密度の増大のためであると考えられる。レーザー光に露光した時に、多光子によって誘導された、光重合反応が焦点域18内に起こる。これらの領域の界面の少なくとも付近に、未露光領域から露光領域中への相対的に低分子量の種の若干の相互拡散があると考えられる。この相互拡散は、露光領域の密度を変化させ、一般には更に増大させ、その屈折率を大きくする。同時に、拡散種の濃度が、界面に近い未露光領域から低減され、領域間の屈折率の対比を更に強調する。要するに、この拡散性は、望ましい光学素子の境界において(領域の拡散種の濃度が低減されるという意味で)いわゆる空乏領域(depletion zone)を形成し、素子の境界と周囲の封入物質との間の重要な光学対比に寄与すると考えられる。
【0037】
本発明の著しい利点は、書き込みビームのモードプロフィルを表すことを通して、素子の屈折率のプロフィルを制御することができるということである。これは、他の素子にモード整合し、光学素子26のモードプロフィルを最適化するのに有用である。屈折率のプロフィルは、結合剤のTg、モノマーの大きさ(拡散速度を制御するために)、及び露光の間の試料の温度、などの1つ以上の他の因子を適切に選択することによって更に制御され得る。例えば、モノマーの分子が拡散することができる距離は、成長ポリマー鎖と反応するその可能性に或る程度、依存するので、導波管の幅、露光の時間、強度、及び強度分布、光開始剤系の濃度、及びモノマーの反応性及び官能価などの因子を制御することによっ制御され得る。拡散は分子量、形状、及び大きさの関数であるので、モノマーの拡散は、モノマーの分子量、形状、及び大きさを制御することによって、制御され得る。拡散はまた、モノマーの粘度、並びに結合剤のガラス転移点を制御することによって、制御され得る。粘度など、これらの性質のいくつかはまた、温度によって変化するので、温度の変化及び何か他の因子が同時に、複雑な相互作用を生じることがある。他の変数は、露光と(下に記載した)ブランケット照射工程との間の時間の他、素子が多光子硬化とブランケット照射との間の時間に貯蔵される温度、である。
【0038】
図3は、本体20の少なくとも未硬化部分28、及びより好ましくは少なくとも実質的な全部が本体20のブランケット照射部分の光重合を引き起こすのに十分なエネルギーを吸収するための光学断面を有するタイプのエネルギーフルエンス32で供給源30から本体20がブランケット照射、すなわち、画像通りではなく照射される工程を示す。ブランケット照射は、単一及び/または多光子光重合を誘導するために有効な強度及びタイプの適切なエネルギーを用いて行われてもよい。ブランケット照射の結果として、未硬化部分28の光重合性物質は硬化(cured)及び硬化(hardened)され、従ってモノリシックポリマー母材中の導波管26の少なくとも一部分を封入する。得られた封入構造体は、導波管26を保護及び安定化するのを助ける。顕著に、ブランケット照射が本体20の全体にわたって光重合を引き起こしても、導波を助ける導波管26と硬化部分28との間の十分な屈折率の対比が維持される。好ましくは、かかる対比は0.03より大きく、より好ましくは0.04より大きく、最も好ましくは0.05より大きい。以下に記載したように、低分子量の種の拡散によって硬化光学素子の境界のいわゆる空乏領域の形成が、かかる光学対比を提供するのを助けると考えられる。
【0039】
有利には、ブランケット照射が、構造体の寸法の及び化学的な安定性を促進する。長時間にわたっての継続的な拡散が、光学素子の形状及び屈折率のプロフィルを変化させることがある。更に、ブランケット照射した後に、組成物中の重合性種の、すべてでないにしても、大部分が重合され、更に行われる照射、加熱、重合または架橋を必要とする化学反応に対して組成物を化学的に不活性にし、ブランケット照射しない同光学素子/デバイスと比較して改善された物理的性質を有する安定した、信頼性のある光学素子/デバイスを提供する。更に、ブランケット照射した後の完成デバイス中に未重合ポリマー前駆物質が存在しないか、またはほとんど存在しないため、健康障害を引き起こす可能性が低減される。
【0040】
ブランケット照射を達成するために用いたエネルギー源は化学線(例えば、スペクトルの紫外線または可視領域の波長を有する放射線)、加速粒子(例えば、電子ビーム放射線)、熱源(例えば、熱または赤外線)であってもよい。好ましくは、エネルギーは化学線または加速粒子であるが、その理由は、かかるエネルギーは硬化の開始及び速度のすぐれた制御を提供するからである。更に、化学線及び加速粒子は、相対的に低い温度で硬化するために用いられてもよい。これは、熱硬化技術を用いるとき、光重合性基の硬化を開始するために必要とされる場合がある相対的に高い温度に敏感性である成分が分解するのを避ける。適した化学線源には、水銀ランプ、クセノンランプ、カーボンアークランプ、タングステン白熱電球、レーザー、電子ビームエネルギー、日光などがある。
【0041】
図4は、ブランケット照射工程及び/または画像の通りの露光工程から得られた光学機能性の複合構造体を熱源34で加熱して、構造体中に含有される他の何れの熱硬化性物質をも更に硬化する任意の工程を示す。この工程は、実質的に非拡散性の結合剤成分が、加熱した時に架橋する非光重合性であるが硬化性の熱硬化性ポリマーを含有するときに特に有利である。熱による硬化が、熱硬化性材料の性質に応じて、適した触媒を用いてまたは用いずに任意に行われてもよい。
【0042】
いくつかの実施態様において、かかる何れかの熱硬化性ポリマー及び硬化フォトポリマーが、2つの母材間に実質的に共有結合がない、必要ならば、絡み合っているが実質的に別個のポリマー母材を形成することができることは、理解されよう。かかる絡み合いポリマー母材は概して、本技術分野では、相互侵入高分子網目、またはIPNと称される。別の可能性として、本体20を形成する材料は、架橋反応をせず光重合ポリマー母材との共有結合もない熱可塑性ポリマーを含有してもよいが、これらは更に、光重合ポリマー母材中で絡み合っているポリマー鎖を含んでもよい。かかる絡み合い母材は概して、本技術分野では、半相互侵入高分子網目、または半IPNと称される。熱可塑性及び/または熱可塑性ポリマー成分の性質、並びに、もしあれば、本体20中に混入された光重合性組成物の他の組成の態様が、以下により詳細に記載される。
【0043】
概して、図1の本体20を構成する材料は概して、(1)光重合した時に硬化ポリマー母材を形成する、拡散性種を混入する光重合性前駆物質と、(2)光硬化ポリマー母材の屈折率に光学的に対比可能であると共により低い屈折率を有する、光重合性前駆物質と混和性である実質的に非拡散性の結合剤成分と、(3)好ましくは多光子光増感剤と光増感剤によって光増感され得る任意に少なくとも1つの光開始剤とを含有する多光子光開始剤系と、を含有する。任意に、多光子光開始剤系はまた、電子供与体を含有してもよい。
【0044】
本明細書で用いた用語「光重合性」は、適切な硬化エネルギー源に露光した時に硬化反応に関与するモノマー、オリゴマー、及び/またはポリマー主鎖(場合による)からの直接または間接の側鎖である官能価を指す。かかる官能価は概して、放射線照射した時にカチオン機構によって硬化する基だけではなくフリーラジカル機構によって硬化する基も含める。本発明の実施に適したかかる光重合性基の代表的な実施例には、エポキシ基、(メタ)アクリレート基、オレフィン炭素−炭素二重結合、アリルオキシ基、アルファ−メチルスチレン基、(メタ)アクリルアミド基、シアネートエステル基、ビニルエーテル基、これらの組合せなどがある。フリーラジカル硬化性基が好ましい。これらのうち、(メタ)アクリル部分が最も好ましい。本明細書で用いた用語「(メタ)アクリル」は、アクリル及び/またはメタクリルを包含する。
【0045】
本明細書で用いた用語「モノマー」は、1つ以上の重合性基を有する相対的に低分子量の材料(すなわち、約500g/モルより小さい分子量を有する)を意味する。「オリゴマー」は、相対的に中間の分子量の材料(すなわち、約500〜約10,000g/モルの分子量を有する)を意味する。「ポリマー」は、相対的に大きい分子量の材料(すなわち、約10,000g/モル以上)を意味する。この明細書の全体にわたって用いた用語「分子量」は、特に指示しない限り、平均分子量を意味する。本明細書中で用いた用語「樹脂」は一括して、オリゴマー及びポリマーを指すものとする。
【0046】
光重合性前駆物質は好ましくは、光重合性官能価を有する、1つ以上のモノマー、オリゴマー、及び/またはポリマーを含有する。好ましくは、前駆物質は、少なくとも1つのかかるモノマーを含有する。所望の性能基準に従って、何れかの光重合性モノマーまたはそれらの組合せを、光重合性前駆物質中に混入してもよい。したがって、かかる性能条件が満たされる限り、いろいろな態様の特定の種類の光重合性モノマーに本発明を制限することを意図するものではない。光重合性官能価の他に、光重合性前駆物質中に混入されたモノマーは、同一及び/または異なったタイプの他の官能価または多数の官能価を有してもよい。
【0047】
光重合性モノマーは、光重合性部分に関してモノ−、ジ−、トリ−、テトラ−または他の多官能性であってもよい。光重合性前駆物質中に混入されるかかるモノマーの量は、得られた組成物の所期の使用に応じて、広範囲に変化することができる。一般的な指針として、光重合性前駆物質は、かかるモノマーを約10〜約100重量パーセント、好ましくは20〜90重量パーセント含有することができる。モノマーは、前駆物質組成物中の拡散種として作用する低分子量の物質である。
【0048】
光重合性前駆物質に使用するのに適した一官能性光重合性モノマーの代表的な実施例には、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル、1,2,4−ブタントリオールトリ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、米国特許第4,642,126号に記載されているようなアクリル化オリゴマー、アリルアクリレート、アルファ−エポキシド、アルファ−メチルスチレン、ベータ−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ビス[1−(2−アクリルオキシ)]−p−エトキシフェニルジメチルメタン、ビス[1−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシ)]−p−プロポキシフェニルジメチルメタン、(メタ)アクリル化モノマーの共重合性混合物、ジアリルフタレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジビニルアジペート、ジビニルフタレート、ジビニルスクシネート、ドデシル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ官能性カプロラクトンエステル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシイソブチル(メタ)アクリレート、エトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソプロピルメタクリレート、イタコン酸、ラウリル(メタ)アクリレート、無水マレイン酸、メチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエトキシレート(メタ)アクリレート、N−置換(メタ)アクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、オクチル(メタ)アクリレート、ソルビトールhex(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、スチレン、置換スチレン、200〜500の分子量のポリエテレングリコールのビス−アクリレート及びビス−メタクリレート、不飽和アミド(例えば、メチレンビス−(メタ)アクリルアミド、メチレンビス−(メタ)アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス−(メタ)アクリルアミド及びベータ−(メタ)アクリルアミノエチル(メタ)アクリレート)、ビニルエステル、ビニルエーテル、これらの組合せなどがある。適したエチレン性不飽和種はまた、例えば、パラゾットらの米国特許第5,545,676号、第1欄、65行目〜第2欄、26行目、並びに米国特許第4,652,274号及び米国特許第4、642,126号に記載されている)。
【0049】
好ましい一官能性(メタ)アクリレートには、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−(1−ナフトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ナフトキシ)エチルアクリレート、アルコキシル化ノニルフェノールアクリレート、及び9−フェナントリルメチル(メタ)アクリレートなど、置換及び非置換芳香族基を有する一官能性(メタ)アクリレートなどがある。
【0050】
平均して、1分子中に1個より多い光重合性基を含む多官能性光重合性モノマーもまた、光重合性前駆物質中に混入し、架橋密度、硬度、粘着性、耐擦傷性など、硬化構造体の1つ以上の性質を増強することができる。1つ以上の多官能性材料が存在している場合、光重合性前駆物質は、かかる材料を0.5〜約50、好ましくは0.5〜35、より好ましくは約0.5〜約25重量パーセント、含んでもよい。かかるより高官能性の、光重合性モノマーの実施例には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、及びネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、これらの組合せなどがある。好ましい多官能性(メタ)アクリレートには、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート(サートマー社製のM−CureTM203及びCN972及びCN1963など)、及び芳香族エポキシ(メタ)アクリレート(サートマー社製のCN−120、CN−124、及びCN−151など)など、置換及び非置換芳香族基を有する多官能性(メタ)アクリレートなどがある。
【0051】
好ましくはないが、光重合性前駆物質はまた、光重合性官能価を有する1つ以上の樹脂を含有してもよい。存在する場合、光重合性前駆物質は、前駆物質100重量部当たりかかる1つ以上の光重合性樹脂1〜50重量部を含有してもよい。適した反応性ポリマーには、(メタ)アクリレート側基を有する、例えば、1ポリマー鎖中に1〜約50個の(メタ)アクリレート基を有するポリマーなどがある。かかるポリマーの実施例には、サートマー製のSarboxTM樹脂(例えば、SarboxTM400、401、402、404、及び405)などの芳香族酸(メタ)アクリレート半エステル樹脂などがある。フリーラジカル化学によって硬化性である他の有用な反応性ポリマーには、米国特許第5,235,015号(アリら)に記載されているような、フリーラジカル重合性官能価を有するヒドロカルビル主鎖及びペプチド側基を有するそれらのポリマーなどがある。必要ならば、2つ以上のモノマー、オリゴマー、及び/または反応性ポリマーの混合物を用いることができる。好ましいエチレン性不飽和種には、アクリレート、芳香族酸(メタ)アクリレート半エステル樹脂の他、フリーラジカル重合性官能基がそれに結合したヒドロカルビル主鎖及びペプチド側基を有するポリマーなどがある。
【0052】
適したカチオン反応性種は、例えば、オックスマンらによって、米国特許第5,998,495号及び6,025,406号に記載されており、エポキシ樹脂を含める。広くエポキシドと呼ばれるかかる材料には、モノマーのエポキシ化合物及びポリマータイプのエポキシドなどがあり、脂肪族、脂環式、芳香族、または複素環式であってもよい。これらの材料は概して、平均して、1分子中に少なくとも1個の重合性エポキシ基(好ましくは、少なくとも約1.5、より好ましくは、約2)を有する。ポリマーのエポキシドには、末端エポキシ基を有する線状ポリマー(例えば、ポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル)、オキシラン骨格単位を有するポリマー(例えば、ポリブタジエンポリエポキシド)、及びエポキシ側基を有するポリマー(例えば、グリシジルメタクリレートポリマーまたはコポリマー)などがある。エポキシドは高純度化合物であってもよく、または1分子中に1、2個以上のエポキシ基を含有する化合物の混合物であってもよい。これらのエポキシ含有材料は、それらの主鎖及び置換基の性質が非常に変化することができる。例えば、主鎖は何れのタイプであってもよく、その上の置換基は、室温で実質的にカチオン硬化を妨げない何れの基であってもよい。許容できる置換基の具体例には、ハロゲン、エステル基、エーテル、スルホネート基、シロキサン基、ニトロ基、ホスフェート基などがある。エポキシ含有材料の分子量は、約58〜約100,000以上、変化することができる。
【0053】
有用なエポキシ含有材料には、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、及びビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペートによって代表される、エポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどのシクロヘキセンオキシド基を含有するエポキシ含有材料などがある。この性質の有用なエポキシドのより詳細なリストは、米国特許第3,117,099号に示されている。
【0054】
有用な他のエポキシ含有材料には、式:
【化1】

のグリシジルエーテルモノマーがあり、式中、R’がアルキルまたはアリールであり、nが1〜6の整数である。実施例は、エピクロロヒドリンなどのクロロヒドリンの過剰分と多価フェノールとを反応させることによって得られた多価フェノールのグリシジルエーテル(例えば、2,2−ビス−(2,3−エポキシプロポキシフェノール)−プロパンのジグリシジルエーテル)である。このタイプのエポキシドの更に別の実施例は、米国特許第3,018,262号、Handbook of Epoxy Resins、リー及びネヴィル著、マグローヒルブックカンパニー、ニューヨーク(1967年)に記載されている。
【0055】
多数の市販のエポキシ樹脂もまた、利用することができる。特に、容易に入手できるエポキシドには、オクタデシレンオキシド、エピクロロヒドリン、スチレンオキシド、ビニルシクロヘキセンオキシド、グリシドール、グリシジルメタクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(例えば、以前はシェルケミカルカンパニー製の、レゾルーションパフォーマンスプロダクツ製の商品名EponTM828、EponTM825、EponTM1004、及びEponTM1010、並びにダウケミカルカンパニー製のDERTM−331、DERTM−332、及びDERTM−334)、ビニルシクロヘキセンジオキシド(例えば、ユニオンカーバイドコーポレーション製のERL−4206)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(例えば、ユニオンカーバイドコーポレーション製のERL−4221またはCyracureTM UVR 6110またはUVR 6105)、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチル−シクロヘキセンカルボキシレート(例えば、ユニオンカーバイドコーポレーション製のERL−4201)、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート(例えば、ユニオンカーバイドコーポレーション製のERL−4289)、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル(例えば、ユニオンカーバイドコーポレーション製のERL−0400)、ポリプロピレングリコールから改質された脂肪族エポキシ(例えば、ユニオンカーバイドコーポレーション製のERL−4050及びERL−4052)、ジペンテンジオキシド(例えば、ユニオンカーバイドコーポレーション製のERL−4269)、エポキシ化ポリブタジエン(例えば、FMCコーポレーション製のOxironTM2001)、エポキシ官能基を含有するシリコーン樹脂、難燃性エポキシ樹脂(例えば、DERTM−580、ダウケミカルカンパニー製の臭素化ビスフェノールタイプのエポキシ樹脂)、フェノールホルムアルデヒドノボラックの1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(例えば、ダウケミカルカンパニー製のDENTM−431及びDENTM−438)、レゾルシノールジグリシジルエーテル(例えば、コッパーズ社製のKopoxiteTM)、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート(例えば、ユニオンカーバイドコーポレーション製のERL−4299またはUVR−6128)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)−シクロヘキサン−メタジオキサン(例えば、ユニオンカーバイドコーポレーション製のERL−4234)、ビニルシクロヘキセンモノオキシド1,2−エポキシヘキサデカン(例えば、ユニオンカーバイドコーポレーション製のUVR−6216)、アルキルC8−C10グリシジルエーテル(例えば、レゾルーションパフォーマンスプロダクツ製のHeloxyTMモディファイアー7)、アルキルC12−C14グリシジルエーテル(例えば、レゾルーションパフォーマンスプロダクツ製のHeloxyTMモディファイアー8)、ブチルグリシジルエーテル(例えば、レゾルーションパフォーマンスプロダクツ製のHeloxyTMモディファイアー61)、クレジルグリシジルエーテル(例えば、レゾルーションパフォーマンスプロダクツ製のHeloxyTMモディファイアー62)、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル(例えば、レゾルーションパフォーマンスプロダクツ製のHeloxyTMモディファイアー65)などのアルキルグリシジルエーテルの他、多官能性グリシジルエーテル、例えば、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル(例えば、レゾルーションパフォーマンスプロダクツ製のHeloxyTMモディファイアー67)、ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテル(例えば、レゾルーションパフォーマンスプロダクツ製のHeloxyTMモディファイアー68)、シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル(例えば、レゾルーションパフォーマンスプロダクツ製のHeloxyTMモディファイアー107)、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル(例えば、レゾルーションパフォーマンスプロダクツ製のHeloxyTMモディファイアー44)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(例えば、レゾルーションパフォーマンスプロダクツ製のHeloxyTMモディファイアー48)、脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル(例えば、レゾルーションパフォーマンスプロダクツ製のHeloxyTMモディファイアー84)、ポリグリコールジエポキシド(例えば、レゾルーションパフォーマンスプロダクツ製のHeloxyTMモディファイアー32)、ビスフェノールFエポキシド(例えば、チバガイギーコーポレーション製のEponTM−1138またはGY−281)、及び9,9−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−フェニル]フルオレノン(例えば、レゾルーションパフォーマンスプロダクツ製のEponTM1079)などがある。
【0056】
他の有用なエポキシ樹脂は、グリシドールのアクリル酸エステル(グリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレートなど)と1つ以上の共重合性ビニル化合物とのコポリマーを含む。かかるコポリマーの実施例は、1:1のスチレン−グリシジルメタクリレート、1:1のメチルメタクリレート−グリシジルアクリレート、及び62.5:24:13.5のメチルメタクリレート−エチルアクリレート−グリシジルメタクリレートである。他の有用なエポキシ樹脂は周知であり、エピクロロヒドリン、アルキレンオキシド(例えば、プロピレンオキシド)、スチレンオキシド、アルケニルオキシド(例えば、ブタジエンオキシド)、及びグリシジルエステル(例えば、エチルグリシデート)などのエポキシドを含有する。
【0057】
有用なエポキシ−官能性ポリマーには、米国特許第4,279,717号(エクバーグ)に記載されているような、ゼネラルエレクトリック社製のエポキシ−官能性シリコーンなどがある。これらは、ケイ素原子の1〜20モル%がエポキシアルキル基(好ましくは、米国特許第5,753,346号に記載されているようなエポキシシクロヘキシルエチル(ケッセル))で置換されているポリジメチルシロキサンである。
【0058】
いろいろなエポキシ含有材料のブレンドもまた、利用することができる。かかるブレンドは、エポキシ含有化合物の2つ以上の重量平均分子量の分布(低分子量(200より小さい)、中間の分子量(約200〜10,000)、及びより高分子量(約10,000より大きい)など)を含むことができる。代わりに、または更に、エポキシ樹脂は、異なった化学性質(脂肪族及び芳香族)または官能価(極性及び無極性)を有するエポキシ含有材料のブレンドを含有することができる。他のカチオン反応性ポリマー(ジビニルエーテルなど)を更に、必要ならば、混入することができる。
【0059】
好ましいエポキシ材料には、例えば芳香族グリシジルエポキシ(レゾリューションパフォーマンスプロダクツ製のフェニルグリシジルエーテル及びEponTM樹脂など)、臭素化エポキシ、及び脂環式エポキシ(ユニオンカーバイド製のERL−4221及びERL−4299のような)など、芳香族の、モノ−、ジ−、及びより大きな官能価を有する、高屈折率を有するモノマー及び/または樹脂などがある。
【0060】
1つ以上のポリオールが一般に、エポキシ官能性材料と同時反応するように提供される。好ましいポリオールには、エトキシ化ビスフェノール、9,10−ビス(2−ヒドロキシエチル)アントラセン、9−(2−(1,3−ジヒドロキシ)プロピル)フェナントレンなど、芳香族官能価を有するポリオールなどがある。米国特許第5,856,373号、第4欄、24行目〜第6欄、17行目、を参照のこと。前記エポキシ及び/またはポリオールは、特にかかる材料が拡散種である場合、芳香族官能価を有することが好ましい。
【0061】
適したカチオン反応性種にはまた、ビニルエーテルモノマー、オリゴマー、及び反応性ポリマー(例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル(ニュージャージー州、ウェインのインターナショナルスペシャルティズプロダクツ製のRapi−CureTM DVE−3)、トリメチロールプロパントリビニルエーテル(ニュージャージー州、マウントオリーブのBASFコーポレーション製のTMPTVE)、及びアライドシグナル製のVectomerTMジビニルエーテル樹脂(例えば、VectomerTM2010、VectomerTM2020、VectomerTM4010及びVectomerTM4020及び他の製造元によるそれらの同等物))、及びそれらの混合物などがある。1つ以上のビニルエーテル樹脂及び/または1つ以上のエポキシ樹脂のブレンド(任意の比率)もまた、利用することができる。
【0062】
適した光重合性種もまた、例えば、パラゾットらの、米国特許第5,545,676号、第1欄、65行目〜第2欄、26行目、トラウトらの、米国特許第4,963,471号、第6欄、53行目〜第7欄、53行目に記載されている。適したカチオン重合性種は、例えば、オックスマンらの、米国特許第5,998,495号及び6,025,406号、ダールらの、米国特許第5,759,721号に記載されている。
【0063】
特に好ましい実施態様において、光重合性前駆物質は、(a)2−(1−ナプトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ナプトキシ)エチル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、及びそれらの混合物の少なくとも1つを、(b)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(TMPTA)、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びそれらの混合物の少なくとも1つ0.5〜50、好ましくは約10重量部当たり、10〜100、好ましくは約90重量部、含む。TMPTAなどの多官能性材料の使用は、広範囲の温度にわたって寸法安定性を提供するのを助けるが、用いた量は、得られた光学素子とその封入母材との間の屈折率の対比を維持するように望ましくは制限される。米国特許第6,005,137号に記載されているような、フッ素化(メタ)アクリレート、好ましくはフッ素化芳香族(メタ)アクリレートもまた、前駆物質の全てまたは一部分として用いてもよい。
【0064】
光重合性組成物中に混入された非拡散性結合剤成分は、多数の利点を提供する。重要なことには、かかる材料の好ましい実施態様の相対的に大きい大きさが、その拡散速度を相対的に低くし、光学素子が、安定したバックグラウンド中の多光子光重合によって形成されることを可能にする。更に、非拡散性結合剤成分は、得られた物品の物理的、及び屈折率の特性に寄与する。例えば、非拡散性結合剤成分は、硬化した時に収縮を低減させるのを助け、レジリエンス及び靭性、凝集力、付着力、柔軟度、引張強度などを改善する。硬化(もしある場合)及び/または未硬化状態でより低い屈折率を有するように非拡散性結合剤成分を選択することによって、かかる材料中に封入された光学素子の光学性能を同様に増強することができる。概して、光の散乱を回避するために、かかる前駆物質が硬化される前、好ましくは後に、非拡散性結合剤成分は光重合性前駆物質と混和性である。前駆物質が硬化される前、好ましくは後に、非拡散性結合剤成分が、少なくとも実質的に非晶質であることもまた、好ましい。好ましい材料はまた、溶剤に可溶性であり、概して、少なくとも約1000、好ましくは1000〜2,000,000以上の重量平均分子量を有する。
【0065】
非拡散性結合剤成分は熱可塑性または熱硬化性、またはゾルベースであってもよい。熱硬化性である場合、非拡散性結合剤成分は光硬化性であってもよい。または、熱硬化性結合剤材料は、光重合性前駆物質の場合とは異なった種類の硬化官能基を有することができる。硬化した時、かかる材料は、光重合母材と共にIPNを形成する。熱可塑性物質が用いられる場合、かかる材料は、光重合母材と共に半IPNを形成する傾向がある。1つの実施態様において、非拡散性結合剤成分は、ヒドロキシル官能性側基(pendant hydroxyl functionality)を有してもよい。イソシアネート架橋剤及びジブチル錫ジラウレートなどの適した触媒の存在下で、ヒドロキシル側基部分が、イソシアネート架橋剤のNCO基とのウレタン架橋反応を経て、ウレタン結合を含む架橋網目を形成する。
【0066】
有用な熱可塑性ポリマーには、欧州特許出願第377,182号、6ページ、8〜42行目、及び米国特許第4,963,471号、第5欄、6行目〜第6欄、50行目に記載されているように、アクリレート及びメタクリレート、ポリ(ビニルエステル)、エチレン/ビニルアセテートコポリマー、スチレンポリマー及びコポリマー、ビニリデンクロリドコポリマー、ビニルクロリドポリマー及びコポリマー、セルロースエステル、セルロースエーテル、などが挙げられる。
【0067】
他の実施態様において、非拡散性結合剤成分は、エポキシ樹脂、アミン硬化エポキシ樹脂、ポリアクリレート及びポリメタクリレート、ポリウレタン、ポリトリアジン及びポリ(ビニルエーテル)、ポリエステル、ポリエーテル、ポリシリコーン、フルオロポリマー、ポリスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリオレフィン、から選択された熱硬化性ポリマーであってもよいが、ただし、かかる熱硬化性ポリマーへの前駆物質は、得られた熱硬化性ポリマーが多光子光重合ポリマー母材との共有結合を実質的に含まないように選択される。より好ましくは、非拡散性結合剤成分は、テネシー州、キングスポートのイーストマンケミカル製のCAB−531材料などのセルロースアセテートブチレートを含む。
【0068】
本明細書中で用いた用語「実質的に非拡散性(substantially non-diffusing)」は、画像の通りの露光とブランケット露光との間の時間にわたる拡散の長さが、画像の通りの露光において形成された光学素子の寸法より小さいことを意味する。有利には、これは、結合剤が、3次元素子をその中に形成する安定したバックグラウンドを提供することを可能にする。
【0069】
用いた非拡散性結合剤成分の量は、広範囲に変化してもよい。好ましくは、光重合性前駆物質5〜60重量部当たり非拡散性結合剤成分25〜75重量部を用いることが、本発明の実施に適する。
【0070】
本発明の多光子光開始剤系は好ましくは、少なくとも1つの多光子光増感剤と、光増感剤によって光増感され得る少なくとも1つの光開始剤とを含有し、より好ましくは少なくとも1つの電子供与化合物を更に含有する。理論に縛られるわけではないが、多光子吸収を達成するために十分な強度と適切な波長の光が、多光子光増感剤を2光子の吸収によって電子励起状態にさせることができるのに対し、かかる光は概して、光硬化性材料を1光子吸収によって電子励起状態に直接にさせることができないと考えられる。光増感剤は次に、電子を光開始剤に移し、光開始剤を還元させると考えられる。還元された光開始剤は、次に、光硬化性材料に望ましい硬化反応を経させることができる。本明細書で用いた用語「硬化する(cure)」は、重合を引き起こし、及び/または架橋を引き起こすことを意味する。従って、かかる光の適切な集束によって、光硬化を相対的に高い分解能で焦点の容積内に制御可能に引き起こし、必要ならば、簡単なまたは複雑な、3次元の幾何学的配置を有する光学素子を形成することができる。
【0071】
多光子光増感剤は本技術分野に周知であり、相対的に大きな多光子吸収断面を有する具体的な実施例は概して、例えば、マーダー、ペリーらによるPCT特許出願公開第98/21521号及び公開第99/53242号、グッドマンらによるPCT特許出願公開第99/54784号に記載されている。フルオレセインより大きい多光子断面は本発明を実施するのに必要ではないが、本発明の好ましい態様において、光反応性組成物の多光子光開始剤系に使用するために適した多光子光増感剤は、十分な光に露光されるとき、少なくとも2光子を同時に吸着することができると共に、フルオレセインのそれより大きい(すなわち、3’,6’−ジヒドロキシスピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9’−[9H]キサンテン]3−オンのそれより大きい)2光子吸収断面を有する多光子光増感剤である。概して、断面は、J.Opt.Soc.Am.B,13,481(1996)(それは、マーダー及びペリーらの国際公開第WO98/21521号、85ページ、18−22行目によって参照されている)にC・スー及びW・W・ウェッブによって記載された方法によって測定したとき、約50×10-50cm4秒/光子より大きいことがある。
【0072】
この方法は、光増感剤の2光子蛍光強度と対照化合物のそれとの比較(同一の励起強度及び光増感剤濃度条件下)を必要とする。対照化合物を、光増感剤吸収及び蛍光によってカバーされたスペクトル範囲をできる限りよく整合させるように選択することができる。1つの可能な実験的な構成において、励起ビームを2叉に分けることができ、励起強度の50%が光増感剤に行き、50%が対照化合物に行く。対照化合物に対しての光増感剤の相対的な蛍光強度を、次に、2本の光電子増倍管または他の目盛りを付けられた検出器を用いて測定することができる。最終的に、両方の化合物の蛍光量子収量(quantum efficiency)を、1光子の励起下で測定することができる。
【0073】
放射状態が1−及び2光子励起下で同じであるとすると(共通の前提)、光増感剤の2光子吸収断面、(δsam)は、δref(Isam/Iref)(Φsam/Φref)に等しく、そこにおいて、δrefが対照化合物の2光子吸収断面であり、Isamが光増感剤の蛍光強度であり、Irefが対照化合物の蛍光強度であり、Φsamが光増感剤の蛍光量子収量であり、Φrefが対照化合物の蛍光量子収量である。有効な測定を確実にするために、2光子蛍光強度の励起電力への明らかな二次依存を裏づけることができ、光増感剤と対照化合物との両方の相対的に低い濃度を利用することができる(蛍光再吸収及び光増感剤の凝結効果を避けるため)。
【0074】
本発明を実施するために必要ではないが、光増感剤の2光子吸収断面がフルオレッセインの2光子吸収断面の約1.5倍より大きく(または、上記の方法によって測定したとき、約75×10-50cm4秒/フォトンより大きい)、より好ましくは、フルオレッセインの2光子吸収断面の約2倍より大きく(または、約100×10-50cm4秒/フォトンより大きい)、最も好ましくは、フルオレッセインの2光子吸収断面の約3倍より大きく(または、約150×10-50cm4秒/フォトンより大きい)、最適には、フルオレッセインの2光子吸収断面の約4倍より大きい(または、約200×10-50cm4秒/フォトンより大きい)ことが好ましい。
【0075】
好ましくは、光増感剤は、組成物の本体20を形成するために用いた光硬化性材料に可溶性である。最も好ましくは、光増感剤はまた、米国特許第3,729,313号に記載された試験手順を用いて、光増感剤の単一光子吸収スペクトル(単一の光子吸収条件)と重なり合う波長範囲の連続照射下で2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンに感光性を与えることができる。現在利用できる材料を用いて、その試験を以下のように実施できる。
【0076】
以下の組成を有する標準試験液を調製することができる。45,000〜55,000の分子量、9.0〜13.0%ヒドロキシル含有量のポリビニルブチラール(ButvarTM B76、モンサント)のメタノール中5%(容積基準(weight by volume))溶液5.0部、トリメチロールプロパントリメタクリレート0.3部、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン(Bull.Chem.Soc.日本、42、2924−2930(1969)を参照)0.03部。この溶液に、光増感剤として試験される化合物0.01部を添加することができる。次に、得られた溶液を、0.05mmのナイフオリフィスを用いて0.05mmの透明なポリエステル薄膜上にナイフ被覆することができ、被覆を約30分間、空気乾燥することができる。0.05mmの透明なポリエステル被覆薄膜を、乾燥した、軟らかい粘着性被覆の上に、空気の閉じ込めを最小にして注意深く配置することができる。次に、得られたサンドイッチ構造体を、可視光及び紫外線の両方の範囲を提供するタングステン光源(ゼネラル・エレクトリック社製のFCHTM650ワットの水晶−ヨウ素ランプ)からの入射光161,000ルクスに3分間、露光することができる。構造体の露光した及び未露光領域を提供するようにステンシルを通して露光を行うことができる。露光した後に被覆薄膜を除去することができ、被覆を、ゼログラフィーで従来から用いられたタイプのカラートナー粉末など、微細着色粉末で処理することができる。試験された化合物が光増感剤である場合、トリメチロールプロパントリメタクリレートモノマーは、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンから光生成フリーラジカルによって露光領域中で重合される。重合領域は本質的に粘着性がないので、着色粉末は、本質的に、被覆の粘着性の、未露光領域にだけ付着し、ステンシル中の視像に相応する視像を提供する。
【0077】
好ましくは、多光子光増感剤もまた、一部は、貯蔵安定性の問題点に基づいて選択することができる。したがって、特定の光増感剤の選択は、ある程度、利用された特定の反応性種(並びに、これらの何れかを用いる場合、電子供与化合物及び/または光開始剤の選択)に依存することがある。
【0078】
特に好ましい多光子光増感剤には、ローダミンB(すなわち、N−[9−(2−カルボキシフェニル)−6−(ジエチルアミノ)−3H−キサンテン−3−イリデン]−N−エチルエタンアミニウムクロリド)など、大きな多光子吸収断面を示す多光子光増感剤、及びマーダー及びペリーらによる国際特許公開第WO98/21521号及び第WO99/53242号に記載されている光増感剤の4つのクラスなどがある。前記4つのクラスを以下の通り、記載できる。(a)2個の供与体が共役π(pi)電子橋(electron bridge)に結合している分子、(b)2個の供与体が、1個以上の電子受容基で置換されている共役π(pi)電子橋に結合している分子、(c)2個の受容体が共役π(pi)電子橋に結合している分子、及び(d)2個の受容体が、1個以上の電子供与基で置換されている共役π(pi)電子橋に結合している分子(そこにおいて、「橋」が2個以上の化学基に結合する分子フラグメントを意味し、「供与体」が、共役π(pi)電子橋に結合することができる低イオン化電位を有する原子または原子団を意味し、「受容体」が、共役π(pi)電子橋に結合することができる高い電子親和力を有する原子または原子団を意味する。)光増感剤の4つの上記のクラスは、標準ウィッティヒ条件(Wittig condition)下でアルデヒドをイリドと反応させることによって、または国際特許公開第WO98/21521号に詳細に記載されているような、McMurray反応を用いることによって、調製されてもよい。
【0079】
他の多光子光増感剤化合物は、ラインハルトら(例えば、米国特許第6,100,405号、5,859,251号及び5,770,737号)によって大きな多光子吸収断面を有するとして記載されているが、これらの断面は本明細書に記載した方法以外の方法によって確認される。他の適した多光子開始剤も記載されているのは、グッドマンらのPCT特許公開第WO99/54784号、ムケシュP・ジョシらの「Three−dimensional optical circuitry using two−photo−assisted polymerization」、Applied Physics Letters、74巻、No.2、1999年1月11日、170〜172ページ、コルネリウスダイヤモンドらの「Two−photon holography in 3−D photopolymer host−guest matrix」、OPTICS EXPRESS、Vol.6、No.3、2000年1月31日、64〜68ページ、ブライアン・H・カンプストンらの「Two−photon polymerization initiators for three−dimensional optical data storage and microfabrication」、NATURE、Vol.398、1999年3月4日、51〜54ページ、T.J.バンニングらの「Electrically Switchable Gratings Formed Using Ultrafast Holographic Two−Photon−Induced Photopolymerization」、Chem.Mater.、2000年12月、2842〜2844、コルネリウスダイヤモンドらの「Two−photon holography in 3−D photopolymer host−guest matrix:errata」、OPTICS EXPRESS、Vol.6、No.4、2000年2月14日、109〜110ページ、S.M.カークパトリックらの「Holographic recording using two−photon−induced photopolymerization」、Appl.Phys.A69、461〜464(1999年)、ホン−ボー・サンらの「Three−dimensional photonic crystal structures achieved with two−photon−absorption photopolymerization of material」、APPLIED PHYSICS LETTERS、74巻、No.6、1999年2月8日、786〜788ページ、ケビン・D・ベルフィールドらの「Near−IR Two−Photon Photoinitiated Polymerization Using a Fluorone/Amine Initiating System」、Am.Chem.Soc.、2000年、122、1217〜1218、である。
【0080】
好ましい多光子光開始剤系は概して、画像の通り硬化するために用いられるエネルギーの焦点域中で光重合を容易にするために有効な多光子光増感剤の量を含有する。光硬化性材料100重量部当たり、多光子開始剤約0.01〜約10、好ましくは0.1〜5重量部、を使用するのが、本発明の実施に適する。
【0081】
多光子光増感剤の他に、本発明の好ましい多光子光開始剤系は、光硬化性能を増強するのを助ける他の成分を含有してもよい。例えば、特定の1光子光開始剤は多光子光増感剤によって光増感性を与えられてもよく、従って、多光子光硬化反応において電子媒介物として作用することができる。1つ以上の電子供与化合物が任意に、多光子光開始剤系中に含有されてもよい。1光子光開始剤及び/または電子供与化合物は、2001年6月14日にロバートJ.デヴォーの名で本願明細書と同時に出願された、代理人整理番号55639PCT4A.003を有する、MULTIPHOTON PHOTOSENSITIZATION SYSTEMと題された譲受人の係属中の出願に記載されている。
【0082】
本発明に有用な1光子光開始剤には、スルホニウム、ジアゾニウム、アジニウムなどのオニウム塩、及びジアリールヨードニウム塩などのヨードニウム塩、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどのクロロメチル化トリアジン、及びトリフェニルイミダゾリルダイマーなどがある。有用なヨードニウム塩は、1電子の還元の後に重合を開始することができるヨードニウム塩または分解して重合開始種を形成するヨードニウム塩である。適したヨードニウム塩は、パラゾットらの米国特許第5,545,676号、第2欄、28〜46行に記載されている。有用なクロロメチル化トリアジンには、米国特許第3,779,778号、第8欄、45〜50行目に記載されたものがある。有用なトリフェニルイミダゾリルダイマーには、米国特許第4,963,471号、第8欄、18〜28行目(その教示内容を本願明細書に引用したものとする)に記載されたものがある。これらのダイマーには、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ビス(m−メトキシフェニル)イミダゾールダイマーなどがある。
【0083】
2001年6月14日にロバートJ.デヴォーの名で本願明細書と同時に出願された、代理人整理番号55639PCT4A.003を有する、MULTIPHOTON PHOTOSENSITIZATION SYSTEMと題された譲受人の係属中の出願に記載されているように、かかる他の成分はまた、電子供与化合物及び光開始剤の両方を含めてもよい。有利には、この組合せを用いることにより、多光子硬化の速度及び分解能を増強する。光開始剤は、適した硬化エネルギーで光規定性組成物のブランケット光規定を同じく任意に容易にすることによって、同様に、2つの機能を果たす。かかる電子供与体及び/または単一光子開始剤を用いるとき、前記組成物は、多光子開始剤5〜100重量部当たり、1個以上の電子供与体10重量部まで、好ましくは0.1〜10重量部と、1つ以上の単一光子開始剤0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部とを含有してもよい。
【0084】
多種多様な任意の補助剤もまた、望ましい最終用途に依存して、本発明の光規定性組成物中に含有されてもよい。適した補助剤には、溶剤、希釈剤、可塑剤、顔料、染料、無機または有機補強または増量充填剤、チキソトロピー剤、指示薬、阻害剤、安定剤、紫外吸収剤、薬剤(例えば、浸出フッ化物(leachable fluorides))などがある。かかる補助剤の量及びタイプ及びそれらを組成物に添加する方法は、当業者には周知であるが、課題の光学素子の光学的性質に悪影響を及ぼさないように選択されるのがよい。
【0085】
本発明の光重合性組成物を、従来のやり方による何れかの適した方法によって調製することができる。1つのアプローチにおいて、成分を、組合せの何れかの順序及び方法を用いて(任意に、撹拌またはかきまぜながら)「安全光」条件下で配合するが、光開始剤を最後に(及び他の成分の溶解を容易にするために任意に用いられる何れかの加熱工程の後に)添加することは、(貯蔵寿命及び熱的安定性の観点から)好ましいことがある。溶剤が組成物の成分と感知できる程度に反応しないように選択される場合、必要ならば、溶剤を用いることができる。適した溶剤には、例えば、アセトン、ジクロルメタン及び他のハロゲン化(好ましくは塩素化)炭化水素、及びアセトニトリルなどがある。光重合性前駆物質のモノマー成分は時々、他の成分のための溶剤として役立つ。
【0086】
図5は、導波管101の形状の、部分的に完成した封入光学素子を組み込む本発明のデバイス100をin situ完成して素子101を別の光デバイス102に光学的に連結する、本発明を実施する好ましいモードを図解的に示す。第1のデバイス100は、第2の光デバイス102に対して突き合わせられる。導波管101は、導波管101の端部104が境界106まで完全に延在しないように部分的に完成される。導波管101は、封入材料108によって囲まれる。材料108は光硬化性であり、好ましくは、本明細書中に記載したように光硬化性材料及び多光子光開始剤系を含有し、材料108を、多光子重合技術によって及び/またはブランケット照射技術によって、画像の通り光硬化させる。従って、かかる光硬化性材料の領域110は、端部104と境界106との間に配置される。
【0087】
第2の光デバイス102は、図解のために、クラッディング114によって囲まれたガラスファイバー芯112を有する。そして次に、保護層116は、クラッディング114を囲む。ガラスファイバー芯112の端部118は、導波管101の端部104と少なくとも実質的に整列している。本発明の実施において、端部104と118との間の正確な整列は、導波管101とガラスファイバー芯112との間の有効な連結を達成することを必要とされない。例えば、導波管101及び芯112の長さ方向の軸が互いに対して数度まで、または更に小さく、好ましくは1度以下、より好ましくは0.1度以下、わずかに整列位置から外れていることが可能である。更に、端部104及び118はまた、互いに喰違っていてもよい。緩和許容度で素子を互いに連結できることは、本発明の優れた利点である。対照的に、2つの光学素子が互いに接合されるとき、従来の連結方法は、更により精密さを必要とする。
【0088】
本発明の実施において、領域110がin situ光硬化されて導波管101を完成し、それによって導波管101とファイバー芯112とを互いに連結する。領域110の幅は、かかるin situ硬化の実施を可能にしたまま、広範囲に変化することができる。示唆した指針のように、導波管101とファイバー芯112との間の領域110の幅は、数ナノメートルから数ミリメートル、より好ましくは、50nmから500マイクロメータ、最も好ましくは約50nmから約0.2マイクロメータの範囲であってもよい。
【0089】
図5は、第1の素子100のin situ硬化を、相対的に容易に行うことができる1つの方法を示す。多光子重合を引き起こす適した波長(例えば、導波管101及び/またはガラスファイバー芯112によって誘導することができる光の波長を整合させる)及び強度の光が、導波管101、ガラスファイバー芯112、または両方に入射させられる。図5に示すように、レーザー光パルス122及び124が、領域110に向かって導波管101及び芯112の両方を通って導入される。かかる光の少なくとも一部が、導波管101及びファイバー芯112によってそれぞれ誘導され、領域110を通って伝送される。結果として、領域110の部分が光を吸収し、結果として光硬化される。導波管101がこのように完成され、ガラスファイバー芯112に光学的に連結される。導波管101がこのようにしてin situ完成されてファイバー芯112に連結された後、第1の光デバイス100に適したブランケット照射を行い、母材108を光硬化し、少なくとも導波管101の周りに保護封入母材を形成することができる。
【0090】
図5に示した方法は、多くの利点を有する。第一に、上記のとおり、2つの光デバイス100及び102が、有効な連結が行うために正確に整列される必要がないという点で、前記方法は整列の利点を提供する。第2に、2つのデバイスが互いに突き合わせられる時に材料108が完全に硬化していないので、本発明は、2つのデバイスが互いに突き合わせられる前にデバイス100及び/または102の突き合わせ面を磨く必要を低減する。これは、製造プロセスの磨き工程の必要を除き、前記プロセスを経済的にし、サイクル時間を低減させるのを助ける。第三に、整列の許容度がより緩和されるため、挿入損失が低減される。
【0091】
図5において、デバイス102が完成される間、デバイス100だけが、部分的に完成された導波管101を組み込む。しかしながら、図5の方法論もまた、2つのデバイスを互いに連結するために用いてもよく、そこにおいて、各々が、2つのデバイスが一緒に配置された後にin situ完成される(図5の領域108に相当する)少なくとも1つの光誘導部分を備える。
【0092】
この発明の目的及び利点が、以下の実施例によって示されるが、これらの実施例で引用された特定の材料及びそれらの量、並びに他の条件及び詳細が、この発明を不当に制限すると解釈されるべきではない。
【0093】
実施例1
40重量%のポリメチルメタクリレート(mw120,000、n=1.490、ウィスコンシン州、ミルウォーキーのアルドリッチケミカルカンパニー製)、25重量%のフェノキシエチルアクリレート、34重量%のビスフェノールAグリセロレートジアクリレート(ジョージア州、シマーナのUCBケミカル製のEbecryl 3700TM)、及び1重量%の4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)−trans−スチルベンを含有する溶液(メチレンクロリド中に固形分40%)を調製する。溶液を厚さ約500ミクロンのシリコンウエハ上に被覆し、60℃のオーブン内で乾燥させる。露光を、4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)−trans−スチルベンの2光子吸収最大値、700nmを作動するTiサファイヤレーザーを有する2光子顕微鏡を用いて行ない、光を、NA=1.4の油浸レンズを通して集束させる。試料のXYZ制御を、顕微鏡試料台上に取付けたマニピュレータを用いて実施する。薄膜の平面に平行な及び垂直な一次軸を有する相互接続した導波管のパターンが、媒体中に書き込まれ、前記パターンの3次元画像をもたらし、そこにおいて、硬化導波管の屈折率の変調(modulation)は、引き続いて硬化された母材に対して少なくとも0.01である。次に、被覆を、10分間、350nmで一次出力を有する6つのシルバニアF15T8/350BLバルブ(マサチューセッツ州、ダンバーのオスラムシルバニア社製)のバンクを用いて画像の通りではなくブランケット露光する。前記薄膜は、導波管に対して少なくとも0.01の屈折率の変調を維持し、前記導波管は、導入された光を有効に搬送することができる。
【0094】
実施例2
60重量%のセルロースアセテートブチレート(MW70,000、13.5重量%のアセチル、37重量%のブチリル、ウィスコンシン州、ミルウォーキーのアルドリッチケミカルカンパニー製)、25重量%のフェノキシエチルアクリレート、34重量%のビスフェノールAグリセロレートジアクリレート(ジョージア州、シマーナのUCBケミカル製のEbecryl 3700TM)、及び1重量%の4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)−trans−スチルベンを含有する溶液(メチレンクロリド中に固形分40%)を調製する。溶液を厚さ約500ミクロンのシリコンウエハ上に被覆し、60℃のオーブン内で乾燥させる。露光を、4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)−trans−スチルベンの2光子吸収最大値、700nmを作動するTiサファイヤレーザーを有する2光子顕微鏡を用いて行ない、光を、NA=1.4の油浸レンズを通して集束させる。試料のXYZ制御を、顕微鏡試料台上に取付けたマニピュレータを用いて実施する。薄膜の平面に平行な及び垂直な一次軸を有する相互接続した導波管のパターンが、媒体中に書き込まれ、前記パターンの3次元画像をもたらし、そこにおいて、硬化導波管の屈折率の変調(modulation)は、少なくとも0.01である。次に、被覆を、10分間、350nmで一次出力を有する6つのシルバニアF15T8/350BLバルブ(オスラムシルバニア社製)のバンクを用いて画像の通りではなくブランケット露光する。前記薄膜は、導波管に対して少なくとも0.01の屈折率の変調を維持し、前記導波管は、導入された光を有効に搬送することができる。
【0095】
実施例3〜5で用いた材料
特に指示しない限り、実施例3〜5で用いた化学物質は、ウィスコンシン州、ミルウォーキーのアルドリッチケミカルカンパニー製であった。CGI 7460は、ニューヨーク州、タリータウンのチバスペシャルティケミカルズ製のボラート塩であり、CD1012はペンシルベニア州、ウェストチェスターのサートマーカンパニー製であるジアリールヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート塩である。2000年12月21日に出願された、譲受人の係属中の出願第09/746,613号(代理人整理番号55983USA7A)の13ページの実施例1の前に記載された手順に従って、材料2−(1−ナフトキシ)エチルアクリレートを作製した。
【0096】
2フォトン感光染料、ビス−[4−(ジフェニルアミノ)スチリル(stryl)]−1,4−(ジメトキシ)ベンゼンを以下のように調製した。
【0097】
(1)1,4−ビス−ブロモメチル−2,5−ジメトキシベンゼンとトリエチルホスフィットとの反応:1,4−ビス−ブロモメチル−2,5−ジメトキシベンゼンを、文献の手順(サイパーら著、Tetrahedron、1983年、39、781〜792)に従って調製した。1,4−ビス−ブロモメチル−2,5−ジメトキシベンゼン(253g、0.78モル)を、1000mLの丸底フラスコ中に置いた。トリエチルホスフィット、P(OEt)3、(300g、2.10モル)を添加した。反応物を加熱し、窒素雰囲気下で48時間、撹拌しながら激しく還流した。反応混合物を冷却し、過剰なP(OEt)3をKugelrohr装置を用いて真空下で除去した。所望の生成物は実際に蒸留されなかったが、Kugelrohr装置を用いて、過剰なP(OEt)3を生成物から蒸留することによってそれを除去した。0.1mmHgで100℃まで加熱した時に、透明な油を生じた。冷却した時に、所望の生成物が固化した。生成物は次の工程ですぐに使用するために適しており、1H NMRは、示唆された構造体:
【化2】

と一致していた。トルエンからの再結晶により、無色の針状物を生じ、より高純度の生成物をもたらしたが、これは、たいていの場合、後続の工程に必要ではなかった。
【0098】
(2)ビス−[4−(ジフェニルアミノ)スチリル]−1,4−(ジメトキシ)ベンゼンの合成:1000mLの丸底フラスコに、目盛り付き滴下漏斗及び磁気撹拌機を取付けた。フラスコに、上に調製したHorner Eamons試薬を入れ(19.8g、45.2mal)、それにまた、N,N−ジフェニルアミノ−p−ベンズアルデヒド(25g、91.5mmol、フルカ製)を入れた。フラスコを窒素でフラッシし、そして隔壁(septa)で密封した。無水テトラヒドロフラン(750mL)を、フラスコ中にカニューレで注入し、すべての固形分を溶解させた。滴下漏斗に、KOtBu(カリウムtert−ブトキシド)(125mL、THF中に1.0M)を入れた。フラスコ中の溶液を撹拌し、KOtBu溶液を、30分にわたってフラスコの内容物に添加した。次に、溶液を一晩、周囲温度で撹拌しておいた。次いで、反応物を、H2O(500mL)を添加して急冷した。反応物を撹拌し続け、約30分後に非常に螢光性の黄色の固体がフラスコ内に形成していた。固体を濾過によって単離し、空気乾燥させた。次に、それをトルエン(450mL)から再結晶させた。所望の生成物が、螢光性の針状物(24.7g、81%の収量)として得られた。1H NMRは、示唆された構造体:
【化3】

と一致していた。
【0099】
実施例3
ガラスと活性層との間の低屈折率緩衝層を作製するために、顕微鏡スライド上に表1に示した組成物の溶液(1,2−ジクロロエタン中に固形分16%)をスピン被覆し、10分間、80℃のオーブン内で溶剤を蒸発させ、次に、シルバニア350BLB UV光下で10分間、硬化させた。硬化緩衝層の厚さは、約10ミクロンであった。
【0100】
【表1】

【0101】
組成を表2に示した活性層を、作製された緩衝層上に1,2−ジクロロエタン中固形分25%溶液からスパン被覆し、10分間、80℃のオーブン内で乾燥させた。厚さを更に増大させるために、第2の活性層を上にスパンし、試料を再び乾燥させた。緩衝層を含めての硬化性被覆の最終厚さは、約65ミクロンであった。すべての試料の作製を安全光下で行った。乾燥した試料を、露光する前に防光箱(light-tight box)内に保管した。
【0102】
【表2】

【0103】
硬化性組成物で覆われた基材の露光は、顕微鏡対物レンズからの高集束光下で連続的に試料を移動させることによって、行われた。ビームの焦点位置は、硬化性組成物の表面の下に配置された。光源は、800nmの波長、パルス幅100fs、80MHzのパルス反復速度(pulse repetition rate)、約2mmのビーム径で作動するダイオードポンプ処理Ti:サファイヤレーザー(スペクトラフィジックス)であった。前記光学縦列は、低分散回転鏡、光パワーを変化させる光学減衰器、試料に光を集束させる40X顕微鏡対物レンズを備えた。全ての場合において、試料に供給された平均電力(98mW)を、ビームが顕微鏡対物レンズを出たところでコヒーレントパワーメーターを用いて測定した。基材を、コンピュータ制御の、3軸試料台を用いて集束ビーム下で移動させた。導波管及びスプリッタのパターンを媒体中に書き込んだ。次に、被覆を、45分間、3つのフィリップスTLD 15W−03バルブのバンクを用いて画像の通りではなくブランケット露光した。
【0104】
導波管の光学モード及び損失の測定のために、ガラス顕微鏡スライドを、OG125低屈折率エポキシ(マサチューセッツ州、ビレリカ製のEPO−TEK)を用いてデバイスの上に接着した。次に、試料をダイのこぎりを用いてさいの目状に切り、導波管の端部を露光した。芯径9マイクロメータの電気通信光ファイバーを導波管の1つと整列し、3軸マイクロポジショナーを用いて出力端で最大光強度を提供するように配置した。1550nmの波長の光を、ILX Lightwave7000システム、精密ファイバー光学源を用いて導波管の磨き入力端に導入した。近接場配光(near field light distribution)を、5X顕微鏡対物レンズ及び赤外線カメラを用いて画像形成した。画像は、導波管が1550nmで2つのTEモードを補助することを示した。657nmの光が導波管に入力されるとき、導波管は、多重モード挙動を示した。
【0105】
損失測定のために、透過光をヒューレットパッカード GMGHゲルマニウム光検出器上に誘導し、透過パワー(transmitted power)を測定した。入力パワーを、測定後にすぐに確認するために、試料を除去し、導波管の出力端があった場所に入力ファイバーを配置し、それによって、透過光パワーを確認した同じ光路及び装置で入力基準パワー(input reference power)を捕えた。入力パワーレベルは、供給源に応じて、約30〜100マイクロワットであった。1550nmでの損失を測定すると、約5.4デシベル/cmであった。波長の低下によって、損失が増大した。
【0106】
実施例4
この実施例において、試料によって受容された硬化エネルギーの線量を、屈折率の対比を制御するために変化させた。表1及び2に記載されているのと同じ組成物の試料を、60X顕微鏡対物レンズ(空中のN.A.は0.85である)及び106mWの平均電力を用いて露光した。ビームの焦点が硬化性層のだいたい真中にあるように、試料を配置した。50マイクロメータ/秒〜51.2mm/秒の速度で集束ビーム下で試料を走査することによって、導波管を作った。次に、被覆を45分間、3つのフィリップスTLD 15W−03バルブのバンクを用いて画像の通りではなくブランケット露光した。各々の導波管の屈折率を、白色光でイエナ干渉顕微鏡上でMach Zehnder干渉法を用いて確認した。バルク薄膜の屈折率をイエナ干渉計を用いて確認すると、1.49であった。データは、導波管における屈折率の対比は、−4.5(log線量、J/マイクロメータ)で約0.002対−2.8(log線量、J/マイクロメータ)で約0.063の対比から実質的に線的に増大線量のlogによって増大した。線量は、平均電力を線走査速度で割って求められ、1ミクロン当たりのジュールの単位を有する。このエネルギー範囲にわたって、試料の損傷の形跡はなかった。
【0107】
実施例5
この実施例において、導波管及びY−スプリッタを説明する。表1及び2に記載したのと同じ組成物の試料を調製し、40X顕微鏡対物レンズ(空気中のN.A.は0.65である)及び60mWの平均電力を用いて露光した。10cmの焦点距離の視野レンズを、ビームを拡大して顕微鏡対物レンズの全口径を占めるために光学縦列内に置いた。Y−スプリッタは、同じパターンで20mm/秒で5回通過することによって書き込まれた。光学マイクログラフを用いて、上部から及び断面で見られたスプリッタを観察した。スプリッタを材料のバルク中に確かに封入し、各アームの側方厚さは約2マイクロメータであった。断面において、構造体は、上から順に、ガラス層、処理組成物の層、エポキシ層、及び別のガラス層を備えた。断面の画像のために、ガラススライドを、実施例3に記載したように上面に接着し、試料をさいの目状に切って導波管の端部を露光した。
【0108】
本明細書に引用された特許、特許文書、および刊行物の完全な開示内容を、各々、個別に取り入れたかのように、全て引用したものとする。この発明に対するいろいろな修正及び変更が、この発明の範囲及び精神から逸れることなく実施することができることは、当業者には明らかであろう。この発明は、本明細書に示した具体的な実施態様及び実施例によって不当に制限されるものではなく、かかる実施例及び実施態様は例として示したにすぎず、本発明の範囲は、以下に示す請求項によってのみ制限されるものとすることが理解されるべきである。
本願発明に関連する発明の実施形態を以下に列挙する。
[実施形態1]封入光学素子の加工方法であって、
(a)(i)光重合した時にポリマー母材を形成し、硬化した母材が屈折率を有する、拡散種を含む光重合性前駆物質と、
(ii)前記硬化した母材の前記屈折率より低い屈折率を有すると共に前記光重合性前駆物質と混和性である実質的に非拡散性の結合剤成分と、
(iii)多光子光開始剤系と、を含む本体を提供する工程と、
(b)3次元光学素子を形成するために有効なパターンでポリマー前駆物質を多光子光重合するのに有効な条件下で前記本体の少なくとも一部分をエネルギーに画像の通り露光する工程と、
(c)前記本体を画像の通り露光した後に、前記本体の少なくとも一部分を光重合誘導エネルギーに画像の通りではなく露光する工程と、を含む、方法。
[実施形態2]前記結合剤が、熱可塑性ポリマーを含む成分から誘導される、実施形態1に記載の方法。
[実施形態3]前記結合剤が、光硬化性官能価を実質的に有しない熱硬化性ポリマーを含む成分から誘導される、実施形態1に記載の方法。
[実施形態4]前記多光子光開始剤系が多光子光増感剤を含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態5]前記多光子光開始剤系が単一光子光開始剤を更に含む、実施形態4に記載の方法。
[実施形態6]前記多光子光開始剤系が電子供与体を更に含む、実施形態5に記載の方法。
[実施形態7]ブランケット照射工程が単一光子重合を引き起こすことを含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態8]前記ブランケット照射工程が多光子重合を引き起こすことを含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態9]前記画像の通り露光する工程が、低減された量の前記拡散種を含む空乏領域を前記光学素子の境界に形成させることを含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態10]前記画像の通り露光する工程が複数のフェムト秒レーザーパルスを前記本体に向けさせることを含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態11]前記本体が前記前駆物質及び前記結合剤を含む成分の均一な混合物を含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態12]前記光学素子が導波管である、実施形態1に記載の方法。
[実施形態13]前記画像の通り露光する工程が、非ホログラフィックに行われる、実施形態1に記載の方法。
[実施形態14]前記前駆物質が、少なくとも1つの芳香族(メタ)アクリレートモノマーを含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態15]前記前駆物質が、フッ素化部分を含む少なくとも1つの芳香族(メタ)アクリレートを含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態16]前記前駆物質が、(b)少なくとも1つの多官能性(メタ)アクリレートモノマー0.5〜50重量部当たり、2−(1−ナフトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ナフトキシ)エチル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、及びそれらの混合物の少なくとも1つを10〜100重量部、含む、実施形態1に記載の方法。
[実施形態17]前記多官能性(メタ)アクリレートモノマーが、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(TMPTA)、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びそれらの混合物の少なくとも1つを含む、実施形態16に記載の方法。
[実施形態18]第1の光デバイスを第2の光デバイスに連結する方法であって、
(a)光硬化性官能価を含む成分中に少なくとも部分的に封入された、部分的に形成された第1の光学素子を備える第1の光デバイスを提供する工程であって、前記部分的に形成された第1の光学素子が、光硬化性材料を含む領域によって前記第1の光デバイスの境界から隔置されている端部を有する、工程と、
(b)前記第1の光学素子の前記端部が、第2の光デバイスに組み込まれた第2の光学素子の端部と整列して少なくとも略並置されるように、前記第1の光デバイスを前記第2の光デバイスに隣接して配置し、光硬化性材料を含有する領域が前記端部の間に配置される工程と、
(c)前記第1及び第2の光学素子の前記端部が相互に光学的に連結される条件下で前記領域の少なくとも一部分を光硬化する工程と、を含む方法。
[実施形態19]第1の光デバイスを第2の光デバイスに連結する方法であって、
(a)結合剤、光硬化性母材前駆物質、及び多光子光開始剤系を含む成分中に少なくとも部分的に封入された、部分的に形成された第1の光学素子を備える第1の光学素子デバイスを提供する工程であって、前記部分的に形成された光学素子が、本体の境界から隔置されている端部を有し、多光子光硬化性領域が前記端部と前記境界との間に並置される工程と、
(b)前記第1の光学素子に連結される端部を有する第2の光学素子を備える第2の光学素子デバイスを提供する工程と、
(c)前記第1の光学素子デバイスを前記第2の光学素子デバイスに隣接して配置して、前記第1及び第2の光学素子の前記端部を互いに整列して少なくとも略並置し、前記多光子光硬化性領域が前記端部の間に配置される工程と、
(d)前記第1及び第2の光学素子の前記端部が相互に光学的に連結される条件下で前記領域の少なくとも一部分を光硬化する工程と、を含む方法。
[実施形態20]3次元光学素子の少なくとも一部分と、
前記素子の少なくとも一部分を封入する高分子母材と、を含む光デバイスであって、
前記光学素子が、実質的に非拡散性の結合剤と、拡散種を含む光硬化性前駆物質と、多光子光開始剤系と、を含む本体の画像の通りの多光子重合を引き起こす工程を含む方法によって形成された、光硬化エネルギーフルエンスでブランケット照射されている光デバイス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光デバイスを第2の光デバイスに連結する方法であって、
(a)光硬化性官能価を含む成分中に少なくとも部分的に封入された、部分的に形成された第1の光学素子を備える第1の光デバイスを提供する工程であって、前記部分的に形成された第1の光学素子が、光硬化性材料を含む領域によって前記第1の光デバイスの境界から隔置されている端部を有する、工程と、
(b)前記第1の光学素子の前記端部が、第2の光デバイスに組み込まれた第2の光学素子の端部と整列して少なくとも略並置されるように、前記第1の光デバイスを前記第2の光デバイスに隣接して配置し、光硬化性材料を含有する領域が前記端部の間に配置される工程と、
(c)前記第1及び第2の光学素子の前記端部が相互に光学的に連結される条件下で前記領域の少なくとも一部分を光硬化する工程と、を含む方法。
【請求項2】
第1の光デバイスを第2の光デバイスに連結する方法であって、
(a)結合剤、光硬化性母材前駆物質、及び多光子光開始剤系を含む成分中に少なくとも部分的に封入された、部分的に形成された第1の光学素子を備える第1の光学素子デバイスを提供する工程であって、前記部分的に形成された光学素子が、本体の境界から隔置されている端部を有し、多光子光硬化性領域が前記端部と前記境界との間に並置される工程と、
(b)前記第1の光学素子に連結される端部を有する第2の光学素子を備える第2の光学素子デバイスを提供する工程と、
(c)前記第1の光学素子デバイスを前記第2の光学素子デバイスに隣接して配置して、前記第1及び第2の光学素子の前記端部を互いに整列して少なくとも略並置し、前記多光子光硬化性領域が前記端部の間に配置される工程と、
(d)前記第1及び第2の光学素子の前記端部が相互に光学的に連結される条件下で前記領域の少なくとも一部分を光硬化する工程と、を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−109379(P2013−109379A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−50401(P2013−50401)
【出願日】平成25年3月13日(2013.3.13)
【分割の表示】特願2011−115616(P2011−115616)の分割
【原出願日】平成13年6月14日(2001.6.14)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】