説明

封入封緘装置

【課題】同封物を封筒に封入した後に、封筒のフラップ部への同封物のはみ出しを検査できる封入封緘装置を提供する。
【解決手段】本発明の封入封緘装置1には、同封物3が封入された封筒2のフラップ部20に超音波を発信する送信ユニット101と、送信ユニット101と対向するように設けられ、受信した超音波の強度を測定し、該強度が基準強度を下回ると、封筒2のフラップ部20への同封物3のはみ出しが発生したと判定する受信ユニット100とか少なくとも構成される超音波センサ10が、同封物3を封筒2に封入する封入機構12の後に設置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封筒に同封物を封入封緘する封入封緘装置において、封筒に封入された同封物を検査するための技術に関し、更に詳しくは、封筒のフラップ部への同封物のはみ出しを検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、同封物を封入封緘した封筒を大量に製造する印刷会社では、製造効率を高めるために、封筒に同封物を封入封緘する際、同封物を封筒に自動的に封入封緘する自動封入封緘装置を利用している。
【0003】
封筒に封入封緘する同封物が企業の広告媒体などであれば、封筒に封入された同封物を検査する必要性は少ないかも知れないが、封筒に封入封緘する同封物に、個人情報(例えば、利用明細)など記載されている場合、同封物の封入ミスにより、個人情報が漏洩する可能性があるため、封筒に封入した同封物の検査が必要となる。
【0004】
封筒に封入した同封物の検査に係る発明として、例えば、特許文献1において、同封物を封入した封筒の理論厚みを算出し、その理論厚みと実際厚みとを比較し、理論厚みと実際厚みとの差が所定値よりも大きい場合に封入異常と判断することで、封筒に封入された同封物の過不足を検査する封入封緘システムが開示されている。
【0005】
また、折り機で折り曲げられる同封物に折り不良が発生すると、封入封緘不良が発生するなど、自動封入封緘装置の信頼性を著しく下げてしまう可能性があるため、特許文献2において、同封物の折り状態の良否を精度よく判定できる封入封緘装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002―37071号公報
【特許文献2】特開2000−318921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、フラップ部に同封物がはみ出している状態で封筒が封入封緘されてしまうと、同封物が封筒からはみ出た格好になり、同封物に印刷された個人情報の一部が漏洩してしまう危険性があるが、同封物を封筒に封入した後に、封筒のフラップ部への同封物のはみ出しを検知できる発明は開示されていなかった。
【0008】
そこで、本発明は、同封物を封筒に封入した後に、封筒のフラップ部への同封物のはみ出しを検査できる封入封緘装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決する第1の発明は、同封物が封入された封筒のフラップ部に超音波を発信する送信ユニットと、前記送信ユニットと対向するように設けられ、受信した超音波の強度を測定し、該強度が基準強度を下回ると、封筒のフラップ部への同封物のはみ出しが発生したと判定する受信ユニットとから少なくとも構成される超音波センサが、同封物を封筒に封入する封入機構の後に設置されていることを特徴とする封入封緘装置である。
【0010】
更に、第2の発明は、前記超音波センサが、封筒のフラップ部への同封物のはみ出しが発生したと判定すると装置を停止する動作を実行することを特徴とする、第1の発明に記載の封入封緘装置である。
【発明の効果】
【0011】
封筒のフラップ部に同封物がはみ出すと、封筒のフラップ部に同封物が重なり、本発明に係る超音波センサの受信ユニットが受信する超音波の強度が、封筒のフラップ部に同封物が重なっていないときより小さくなるため、封筒のフラップ部のみが存在する際の超音波の強度を基準強度として設定すれば、封筒のフラップ部への同封物のはみ出しを検査できるようになる。また、超音波の強度は封筒や同封物の色に左右されないため、品目別の設定変更が不要になり、準備時間が削減され、生産性向上にも繋がる。
【0012】
更に、封筒のフラップ部への同封物のはみ出しが発生したと判定すると装置を停止することで、封筒のフラップ部への同封物のはみ出しが発生した封筒が製品に混入するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係る封入封緘装置を説明する図。
【図2】超音波センサの設置状況を説明する図。
【図3】超音波センサが、封筒のフラップ部の重なり状態を判定する内容を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここから,本発明の実施形態について、本発明の技術分野に係わる当業者が、発明の内容を理解し、発明を実施できる程度に説明する。なお、これから説明する実施形態は本発明の一実施形態にしか過ぎず、本発明は、これから説明する実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能である。
【0015】
図1は、本実施形態に係る封入封緘装置1を説明する図である。本実施形態の封入封緘装置1は、同封物3を封筒2に封入封緘する処理を自動的に行う装置で、封筒2のフラップ部20への同封物3のはみ出しを検査する機能を有していることを特徴とする。なお、封入封緘装置1は、封筒2のフィード機構、折り機構などの様々な機構を備えているが、図1では、封筒2のフラップ部20への同封物3のはみ出しを検査する機能の説明に必要な機構のみを図示している。
【0016】
本実施形態に係る封入封緘装置1のライン15上には、封筒2に同封物3を封入する封入機構12の後に、超音波を利用して封筒2のフラップ部20の重なり状態を判定する超音波センサ10(例えば、超音波二重シート検出センサ)が設置されている。なお、図1では、同封物3が封入された封筒2のフラップ部20に糊部22を形成する糊付け機構13の後に超音波センサ10を設置しているが、超音波センサ10は封入機構12と糊付け機構13の間でもよい。
【0017】
図2は、超音波センサ10の設置状況を説明する図である。図2に図示したように、超音波を利用して封筒2のフラップ部20の重なり状態を判定する超音波センサ10は、超音波を発信する送信ユニット101と、送信ユニット101が発信した超音波を受信し、受信した超音波の強度を測定することで、封筒2のフラップ部20の重なり状態を判定する受信ユニット100から構成される。
【0018】
本実施形態では、封筒2のフラップ部20への同封物3のはみ出しを検査するために、封筒2の折り部21の4mmの上方に超音波が当たるように送信ユニット101を設置し、受信ユニット100を送信ユニット101に対向して設置し、送信ユニット101と受信ユニット100間には、数十mm程度の隙間が設けられている。また、本実施形態では、送信ユニット101と受信ユニット100間を封筒2が通過する際、封筒2がばたつかないようにするための押さえ板14を封入封緘機1に設けている。
【0019】
図3は、超音波センサ10が、封筒2のフラップ部20の重なり状態を判定する内容を説明する図である。図3(a)は、封筒2のフラップ部20が無いケースを示した図で、送信ユニット101と受信ユニット100間に封筒2のフラップ部20が無いケースでは、送信ユニット101が発信した超音波は減衰することなく受信ユニット100に届くため、受信ユニット100が受信する超音波の強度は最大になる。
【0020】
また、図3(b)は、封筒2のフラップ部20に同封物3が重なっていないケースを示した図で、封筒2のフラップ部20に同封物3が重なっていないケースでは、送信ユニット101と受信ユニット100間に封筒2のフラップ部20のみが存在することになり、送信ユニット101が発信した超音波は封筒2のフラップ部20によって吸収されるため、受信ユニット100が受信する超音波の強度は、最大の強度から減衰した強度になる。
【0021】
更に、図3(c)は、封筒2のフラップ部20に同封物3が重なっているケースを示した図で、封筒2のフラップ部20に同封物3が重なっているケースでは、送信ユニット101と受信ユニット100間に封筒2のフラップ部20及び同封物3が存在することになり、送信ユニット101が発信した超音波は封筒2のフラップ部10及び同封物3によって吸収されるため、受信ユニット100が受信する超音波の強度は、封筒2のフラップ部20に同封物3が重なっていないケースの強度から更に減衰した強度になる。
【0022】
このように、封筒2のフラップ部20への同封物3のはみ出しが発生すると、超音波センサ10の受信ユニット100が受信する超音波の強度が最も小さくなるので、受信ユニット100は、送信ユニット101と受信ユニット100間に封筒2のフラップ部20のみが存在するときの超音波の強度を基準強度として記憶し、受信ユニット100が受信した超音波の強度が基準強度を下回れば、封筒2のフラップ部20への同封物3のはみ出しが発生したと判定する。
【0023】
例えば、図2のように、超音波センサ10の送信ユニット101と受信ユニット100を配置することで、封筒2の折り部21から真っ直ぐはみ出した同封物3については、はみ出し量が10mmで検知でき、また、封筒2の折り部21から斜めにはみ出した同封物4については、はみ出し量が13mmで検知できるようになる。
【0024】
超音波センサ10の受信ユニット100は、封筒2のフラップ部20への同封物3のはみ出しが発生したと判定すると、所定の信号を封入封緘装置1の制御部11に入力し、封入封緘装置1の制御部11は、超音波センサ10の受信ユニット100から所定の信号が入力されると、封入封緘装置1を停止させる処理を行い、同封物3がフラップ部20にはみ出した封筒2が製品に混入するのを防止する。
【符号の説明】
【0025】
1 封入封緘装置
10 超音波センサ
100 受信ユニット
101 送信ユニット
11 制御部
12 封入機構
13 糊付け機構
2 封筒
20 フラップ部
3 同封物


【特許請求の範囲】
【請求項1】
同封物が封入された封筒のフラップ部に超音波を発信する送信ユニットと、前記送信ユニットと対向するように設けられ、受信した超音波の強度を測定し、該強度が基準強度を下回ると、封筒のフラップ部への同封物のはみ出しが発生したと判定する受信ユニットとから少なくとも構成される超音波センサが、同封物を封筒に封入する封入機構の後に設置されていることを特徴とする封入封緘装置。
【請求項2】
前記超音波センサが、封筒のフラップ部への同封物のはみ出しが発生したと判定すると装置を停止する動作を実行することを特徴とする、請求項1に記載の封入封緘装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−250735(P2012−250735A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124130(P2011−124130)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】