説明

封入構造体

【課題】 ダイレクトメールの受取人の注意を喚起することのできる封入構造体を提供する。
【解決手段】 表側シート(11)及び裏側シート(12)から構成され、内部にシート状の被封入体(18)が封入されている一方、表側シート及び/又は裏側シートの側縁部位には開封部(16,17,112,113)が設けられ、該開封部から開封することによって被封入体が取り出し可能であるとともに、ホルダー類(20)が得られるようにする。例えば、シートを折り線で二つに折り重ねて表側シート及び裏側シートを構成し、折り線(19)を左側縁として上側縁、下側縁及び右側縁の全部又は一部をシールして内部に被封入体を封入することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は例えばダイレクトメール等に適した封入構造体に関し、特に開封後にいわゆるクリアホルダー等のホルダー類として利用できるようにした構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、書類を収納し保管するのに便利な、いわゆるクリアホルダー等のホルダー類が種々提案されている(特許文献1、特許文献2)。この種のホルダー類では一枚の合成樹脂製シートを半折するとともに、その半折の部分を左側縁として下縁をシールし、右側縁及び上縁を開放させた構造が基本的に採用されている。
【特許文献1】特開平2003−25779号公報
【特許文献2】特開平2003−170687号公報
【0003】
ところで、各種のダイレクトメールには封書や葉書がよく利用されている。例えば、少なくとも2枚の紙片を二つ又はZ状に相互に折り重ね、あるいは巻き紙状に折り重ね、少なくとも重ねられた2枚の紙片の周縁又は全面を擬似接着し、受取人が貼り合わせた紙片を剥離して内部の印刷や印字の内容を見れるようにした構造が知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のダイレクトメールではその宣伝広告機能が注目され、一人の受取人に多数のダイレクトメールが届くことが多くなったことから、受け取ったダイレクトメールをそのまま廃棄し、あるいは貼り合わせた紙片を剥離しても内部の印刷や印字の内容をよく読まずに廃棄してしまうことが多かった。
【0005】
本発明はかかる問題点に鑑み、ダイレクトメールの受取人の注意を喚起することができるようにした封入構造体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る封入構造体は、表側シート及び裏側シートから構成され、内部に被封入体が封入されている一方、上記表側シート及び/又は裏側シートの側縁部位には開封部が設けられ、該開封部から開封することによって被封入体が取り出し可能であるとともに、ホルダー類が得られるようにしたことを特徴とする。
【0007】
本発明の特徴の1つは封入構造体を開封部から開封すると、ホルダー類が得られるようにした点にある。
【0008】
これにより、例えばダイレクトメールを受け取った受取人は開封部の形状からホルダー類の存在に気がつき、ダイレクトメールをそのまま廃棄してしまうことは少なくなり、開封して被封入体の印刷や印字の内容をよく読むことが期待できる。また、廃棄する部分が少ないので、省資源上も有利である。
【0009】
封入構造体は表側シート及び裏側シートから構成されていればよい。例えば、二枚のシートを重ね、周縁をシールし又は貼り合わせて被封入体を封入することによって製造してもよく、又ホルダー類の製造工程を利用して製造することもできる。即ち、シートを折り線で二つに折り重ね、折り線を左側縁として上側縁、下側縁及び右側縁の全部又は一部をシールし又は貼り合わせて内部に被封入体を封入するようにすることもできる。
【0010】
また、表裏のシートの材質は特に限定されず、合成樹脂材料、合成紙、紙、合成樹脂フィルムをラミネートした合成紙や紙等を用いることができる。また、表裏のシートは不透明としてもよいが、封入構造体が開封後にホルダー類として利用されることを考慮すると、表側シート及び裏側シートのうちの少なくとも一方の全部又は一部が透明又は半透明であるのが望ましい。
【0011】
得られるホルダーの形態は特に限定されず、上側縁と一側方の側縁とがシール又は貼り合わされ、上側縁及び他側縁が開放された形態とすることもでき、又封入構造体の全周を開封し、1枚のシートにポケットを形成した形態とすることもできる。
【0012】
開封部はマイクロミシン目、ミシン目あるいはハーフカットで構成し、切り取るようにしてもよく、又表側シート及び/又は裏シートの開封箇所に糸を埋設しておき、糸を引っ張って切り取るようにしてもよく、あるいは擬似接着することによって構成し、擬似接着部位を相互に剥離するようにしてもよい。擬似接着は例えば接着強度を調製した接着剤を用い、接着部位を剥離できるようにすることによって実現できる。
【0013】
さらに、ホルダー類の開放した側縁の全部又は一部を剥離可能なテープで封鎖し、テープを剥離して開封するようにしてもよく、又ホルダー類の側縁を切り裂くことによって開封するようにしてもよい。
【0014】
また、ユーザが封入構造体を利用する場合、上側又は右側の側縁を開放した封入構造素形体をユーザに提供し、ユーザが上側又は右側の側縁の開放端から被封入体を入れて開放端を密封できるようにするのがよい。
【0015】
即ち、本発明に係る封入構造素形体は、表側シート及び裏側シートから構成され、該表側シート及び裏側シートの上側、下側又は側方の側縁が開放されて内部にシート状の被封入体を封入可能である一方、上記表側シート及び/又は裏側シートの側縁部位には開封部が設けられ、上記表側シート及び裏側シートの上側、下側又は側方の開放端を密封後に上記開封部から開封することによって被封入体が取り出し可能であるとともに、ホルダー類が得られるようにしたことを特徴とする。
【0016】
また、封筒にホルダー類を入れ、外部からこのホルダー類を見ることができるようにすると、ダイレクトメールを受け取った受取人の注意を喚起でき、本発明の目的を達成することができる。
【0017】
そこで、本発明に係る封入構造体は、封筒の出入れ口から上記封筒内にホルダー類が入れられるとともに、上記封筒の出入り口が封止されている一方、上記ホルダー類は表側シート及び裏側シートから構成され、該表裏のシートの間には被封入体が差し込まれ、上記封筒は上記ホルダー類が外部から見えるように表裏の少なくとも一方の面が透明又は半透明となっていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る封入構造体は、封筒の出入れ口から上記封筒内にホルダー類及び被封入体が入れられ、上記封筒の出入り口が封止されている一方、上記封筒は上記ホルダー類が外部から見えるように表裏の少なくとも一方の面が透明又は半透明となっていることを特徴とする。
【0019】
封筒はその表裏の少なくとも一方の面が透明又は半透明であれば、封筒の素材は特に限定されず、合成樹脂材料、合成紙、紙、合成樹脂フィルムをラミネートした合成紙や紙等を用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図3は本発明に係る封入構造体の好ましい実施形態を示す。図において、封入構造体10は全部が透明又は半透明の表側シート部11と裏側シート部12とから構成され、表側シート部11及び裏側シート部12は折り線19で二つに折り重ねられ、周縁の開放端が例えば超音波圧着や熱圧着等で帯状に固着され、又内部には広告案内を印刷した用紙(シート状の被封入体)18が封入されている。
【0021】
また、上下、右側の各固着部位13、14、15のうち、上側及び右側の固着部位14、15の内側にはマイクロミシン目(開封部)16、17が入れられており、マイクロミシン目16、17から開封して内部の用紙18を取り出せ、又マイクロミシン目16、17から周縁部分23を取り去ることにより、表裏のシート21、22からなるホルダー類20が得られるようになっている。
【0022】
本例の封入構造体を製造する場合、図3に示されるように、例えば方形の合成樹脂シートの上縁及び左右の側縁の内側にマイクロミシン目16、17を入れ、あるいはマイクロミシン目16、17を入れた合成樹脂シートを用い、シート中央の押し罫(折り線)19で2つの折り重ね、押し罫19を左側とし、右側の側縁を帯状に固着して封入構造素形体を製作する。次に、封入構造素形体内に用紙18を入れ、上縁を帯状に固着すると、本例の封入構造体が得られる。
【0023】
また、シートを押し罫(折り線)19で2つに折り重ねてその間に用紙18を入れ、押し罫19を左側とし、右側の側縁及び上縁を帯状に固着するようにしてもよい。
【0024】
封入した用紙18を取り出す場合、マイクロミシン目16、17から開封すればよく、又周縁部分23を取り除くと、図2に示されるホルダー類20が得られる。
【0025】
例えば、本例の封入構造体をダイレクトメールに用いた場合、ダイレクトメールを受け取った受取人はマイクロミシン目16、17の形状からホルダー類20が内包されていることにすぐに気がつく。
【0026】
その結果、受取人は開封後にはホルダー類20として利用できるので、ダイレクトメールをそのまま廃棄してしまうことは少なく、開封して用紙18の印刷や印字の内容を読むことが期待される。
【0027】
図4は第2の実施形態を示す。本例ではホルダー類の上側及び右側の側縁に耳片部110、111を一体的に形成し、表裏の耳片部110、111を固着部14、15で帯状に固着するとともに、その内側にマイクロミシン目16、17を入れ、耳片部110、111をマイクロミシン目16、17から取り除けるようにしている。このように封入構造体10にホルダー類の形態を残すようにしてもよい。
【0028】
図5は第3の実施形態を示す。本例では擬似接着可能な接着剤を用いて上側及び右側の側縁に帯状の固着部112、113を形成し、固着部112、113を剥離することによって開封できるようにしている。なお、擬似接着可能な接着剤はダイレクトメールの分野では一般的に用いられているので、その詳細な説明は省略する。
【0029】
図6は第4の実施形態を示す。本例ではマイクロミシン目16、17を一本ではなく、二本相互に平行に入れ、帯状に切り取れるようにしている。
【0030】
なお、表側シート部11及び裏側シート部12の材質は特に限定されず、ポリプロピレン等の合成樹脂材料、合成紙、紙、合成樹脂フィルムをラミネートした合成紙や紙を単独で又はこれらを組み合わせて用いることができる。
【0031】
また、開封部16、17はマイクロミシン目や擬似接着部に代え、ミシン目あるいはハーフカットで構成し、切り取るようにしてもよく、又表側シート部11及び/又は裏シート部12の開封箇所に糸を埋設しておき、糸を引っ張って切り取るようにしてもよく、又ホルダー類の開放した側縁の全部又は一部を剥離可能なテープで封鎖し、テープを剥離して開封するようにしてもよく、又ホルダー類の側縁を切り裂くことによって開封するようにしてもよい。いずれにしてもダイレクトメールの分野で採用されている公知の開封方式を採用することができる。
【0032】
図7は第5の実施形態を示す。本例の封入構造体は封筒30の上端の出入れ口から封筒30内にホルダー類20を入れ出入れ口を封止片31で封止して構成され、ホルダー類20の表裏のシート21、22間には広告案内等を印刷した用紙18が挟まれている。封筒30は表面が透明(又は半透明)な素材、例えば合成樹脂材料で製作され、裏面が不透明な素材、例えば合成紙、紙、合成樹脂フィルムをラミネートした合成紙や紙で製作され、内部のホルダー類20を外から視認できるようになっている。
【0033】
本例の封筒30では表面の全体が透明(又は半透明)となっているので、封筒30を受け取った受取人は封筒30内にホルダー類20が入っていることがすぐに分かり、ホルダー類20を取り出すべく封筒30を開封すること、従って用紙18の内容を読むことが期待される。
【0034】
なお、本例ではホルダー類20の表裏のシート21、22の間に用紙18を挟むようにしたが、用紙18をホルダー類30と重ねて封筒20に入れるようにしてもよい。また、封筒30は表面を透明(又は半透明)としたが、裏面を透明又は半透明としてもよく、表裏の両面を透明又は半透明としてもよい。さらには、封筒は表面又は裏面の一部をホルダー類20を確認できる大きさで透明又は半透明としてもよく、例えば上半分あるいは下半分を透明又は半透明としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る封入構造体の好ましい実施形態を示す図である。
【図2】上記実施形態における開封後の状態を示す図である。
【図3】上記実施形態における展開した状態を示す図である。
【図4】第2の実施形態を示す図である。
【図5】第3の実施形態を示す図である。
【図6】第4の実施形態を示す図である。
【図7】第5の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
10 封入構造体
11 表側シート部
12 裏側シート部
13、14、15 帯状固着部
16、17 マイクロミシン目(開封部)
18 用紙(被封入体)
20 ホルダー類
30 封筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表側シート及び裏側シートから構成され、内部に被封入体が封入されている一方、
上記表側シート及び/又は裏側シートの側縁部位には開封部が設けられ、該開封部から開封することによって被封入体が取り出し可能であるとともに、ホルダー類が得られるようにしたことを特徴とする封入構造体。
【請求項2】
シートが折り線で二つに折り重ねられ、上記折り線を左側縁として上側縁、下側縁及び右側縁の全部又は一部がシールされ又は貼り合わされて内部に被封入体が封入されている請求項1記載の封入構造体。
【請求項3】
二枚のシートが重ねられ、周縁がシールされ又は貼り合わされて被封入体が封入されている請求項1記載の封入構造体。
【請求項4】
上記表側シート及び裏側シートのうちの少なくとも一方の全部又は一部が透明又は半透明である請求項1記載の記載の封入構造体。
【請求項5】
上記開封部がマイクロミシン目、ミシン目あるいはハーフカットで構成されている請求項1ないし4のいずれかに記載の封入構造体。
【請求項6】
上記開封部が擬似接着されることによって構成されている請求項1ないし4のいずれかに記載の封入構造体。
【請求項7】
上記開封部が剥離可能なテープで構成されている請求項1ないし4のいずれかに記載の封入構造体。
【請求項8】
表側シート及び裏側シートから構成され、該表側シート及び裏側シートの上側、下側又は側方の側縁が開放されて内部にシート状の被封入体を封入可能である一方、
上記表側シート及び/又は裏側シートの側縁部位には開封部が設けられ、上記表側シート及び裏側シートの上側、下側又は側方の開放端を密封後に上記開封部から開封することによって被封入体が取り出し可能であるとともに、ホルダー類が得られるようにしたことを特徴とする封入構造素形体。
【請求項9】
封筒の出入れ口から上記封筒内にホルダー類が入れられるとともに、上記封筒の出入り口が封止されている一方、
上記ホルダー類は表側シート及び裏側シートから構成され、該表裏のシートの間には被封入体が差し込まれ、上記封筒は上記ホルダー類が外部から見えるように表裏の少なくとも一方の面が透明又は半透明となっていることを特徴とする封入構造体。
【請求項10】
封筒の出入れ口から上記封筒内にホルダー類及び被封入体が入れられ、上記封筒の出入り口が封止されている一方、上記封筒は上記ホルダー類が外部から見えるように表裏の少なくとも一方の面が透明又は半透明となっていることを特徴とする封入構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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