説明

封入触媒粒子を有するシガレット構成要素及びその製造及び使用方法

【課題】封入触媒粒子を有するシガレット構成要素及びその製造及び使用方法を提供する。
【解決手段】封入触媒粒子は、シガレットを形成するのに使用されるタバコ切断充填物及び/又はシガレット紙に組み込むことができる。主流タバコ煙中の一酸化炭素及び/又は酸化窒素を低減することができる封入触媒粒子は、揮発性コーティングで封入された触媒粒子を含む。封入触媒粒子を含むシガレットの喫煙中に、揮発性コーティングは、揮発して触媒粒子の活性表面を露出させる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
シガレットは、吸煙中に主流煙かつ静的燃焼中に副流煙の両方を生成する。主流煙と副流煙の両方の成分は、一酸化炭素(CO)と酸化窒素(NO)である。煙中の一酸化炭素及び/又は酸化窒素の低減が望ましい。
【0002】
【特許文献1】米国特許公開第2004/0131859号
【特許文献2】米国特許公開第2004/0040566号
【特許文献3】米国特許公開第2004/0110633号
【特許文献4】米国特許第6、053、176号
【特許文献5】米国特許第5、934、289号
【特許文献6】米国特許第5、591、368号
【特許文献7】米国特許第5、322、075号
【特許文献8】米国特許第5、143、098号
【非特許文献1】Richard R.Baker著「煙形成及び送出の機構」、「タバコ科学の最近の進歩」、第6巻、184〜224ページ(1980年)
【非特許文献2】Richard R.Baker著「喫煙サイクル中のシガレット燃焼コール内の気体形成領域の変動」、「Beitrage zur Tabakforschung Internationa1」、第11巻、第1号、1〜17ページ(1981年)
【発明の開示】
【0003】
開示するのは、シガレットと、主流タバコ煙中の一酸化炭素及び/又は酸化窒素を低減することができ、揮発性封入材料で少なくとも部分的に被覆された触媒粒子を含む封入触媒粒子を含むシガレットの構成要素(例えば、タバコの切断した充填物及びシガレット紙)である。好ましくは、触媒粒子は、揮発性封入材料で完全に被覆される。
ナノスケールの粒子を含むことができる触媒粒子は、好ましくは、Mg、A1、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Ag、Sn、Ce、Pr、La、Hf、Ta、W、Re、0s、Ir、及びAuから成る群から選択された少なくとも1つの元素の元素金属、合金、酸化物、及び/又はオキシ水酸化物を含む。
【0004】
好ましい触媒粒子は、タバコ煙成分を低減し、例えば、一酸化炭素から二酸化炭素及び/又は酸化窒素から窒素への変換の触媒の働きをし、一酸化炭素を二酸化炭素に酸化し、かつ酸化窒素を窒素に還元することができる。
揮発性封入材料は、好ましくは、ワックス、水溶性ポリマー、又は水不溶性ポリマーである。揮発性封入材料は、メントール、メントール派生物、又はメントール前駆物質のような香味含有化合物を含むことができる。好ましい揮発性封入材料は、約40℃と約350℃の間の揮発温度を有し、又は約5%よりも高い相対湿度を有する雰囲気に露出されると揮発する。
【0005】
実施形態において、揮発性封入材料は、触媒粒子と接触する第1の層(例えば、香味含有層)及び第1の層の上に形成された第2の層を含む。
封入触媒粒子を含むシガレットでは、揮発性封入材料は、シガレットの喫煙中に揮発して(例えば、熱又は化学的に分解する)、触媒粒子の活性表面を露出するようになっている。
一実施形態では、封入触媒粒子は、シガレットのタバコロッドに沿って均質に又は不均質に組み込むことができる。更に別の実施形態では、封入触媒粒子は、シガレットの包装紙又はフィルタ内に組み込むことができる。例えば、封入触媒粒子は、多層包装紙の第1(すなわち、内側)の層内に組み込むことができる。封入触媒粒子は、包装紙を通して分布させるか又は包装紙の表面上に印刷することができる。シガレットは、異なる封入触媒粒子の混合物を含むことができる。
【0006】
シガレットを作る方法は、(i)封入触媒粒子をタバコ切断充填物及びシガレット包装紙の少なくとも一方の中に及び/又はその表面上に組み込む段階、(ii)タバコ切断充填物をタバコ製造機に供給してタバコ列を形成する段階、(iii)タバコ列の周りにシガレット包装紙を配置してシガレットのタバコロッドを形成する段階、及び(iv)任意的に先端紙を使用してシガレットフィルタをタバコ列に取り付ける段階を含む。封入触媒粒子は、噴霧、散布、又は浸漬によって組み込むことができる。例えば、封入触媒粒子は、濡れたベースウェブ、中間ウェブ、又は完成ウェブ上に封入触媒粒子を噴霧又は被覆することによってシガレット紙に組み込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
開示するのは、封入触媒粒子を組み込んだシガレット構成要素、シガレット、及びシガレットを喫煙する方法である。封入触媒粒子は、1つ又はそれよりも多くの触媒粒子のコアとコアの周りに形成された揮発性封入層(すなわち、コーティング)とを含む。揮発性封入層は、ほぼ周囲温度(例えば、シガレットの貯蔵中に及び着火シガレットの燃焼/熱分解区域の下流)での触媒粒子のための保護層とすることができるが、シガレット煙の上昇した温度、湿度、又は気相成分に露出されると、揮発性材料は、揮発して(例えば、熱又は化学的分解)下に重なる触媒粒子を露出することができる。
【0008】
封入触媒粒子は、シガレットのタバコ切断充填物、シガレット紙、及びシガレットフィルタのようなシガレットの1つ又はそれよりも多くの構成要素に組み込むことができる。封入触媒粒子を含むシガレットでは、主流煙中の一酸化炭素及び/又は酸化窒素の量を低減することができる。封入触媒粒子を含むシガレットを提供する方法は、触媒粒子の封入と、シガレットを形成するのに使用される1つ又はそれよりも多くの構成要素への封入触媒粒子の組み込みとを含む。
【0009】
1つ又はそれよりも多くのシガレットの構成要素への触媒粒子の組み込みは、その内容が参照として本明細書に組み込まれている、本出願人所有の米国特許公開第2004/0131859号、第2004/0040566号、及び第2004/0110633号に開示されている。1つ又はそれよりも多くの気相成分(例えば、CO又はNO)の主流煙及び/又は副流煙中濃度を低減するために、触媒粒子をシガレットに組み込むことができる。しかし、触媒粒子を含むシガレットの喫煙中に、触媒粒子にタールのような半揮発性又は不揮発性燃焼生成物が形成する可能性がある。半揮発性又は不揮発性堆積物の早期の堆積は、触媒粒子を事実上不活性化する可能性がある(例えば、触媒粒子と気相成分の間に障壁を形成することにより、及び/又は触媒粒子と化学的に相互作用することにより)。例えば、半揮発性又は不揮発性材料は、主流煙中に生成された気相成分に対して事実上不浸透性とすることができる。更に、高温においては、半揮発性又は不揮発性材料は、触媒粒子と反応して触媒作用を低減する可能性がある。
【0010】
開示するのは、触媒粒子の露出面(例えば、触媒面)上に直接形成された揮発性コーティングを含む封入触媒粒子である。揮発性とは、封入層が好ましくはタバコ燃焼/熱分解のタール又は他の固相副産物の揮発温度よりも低い揮発温度を有することを意味する。封入触媒粒子を含むシガレットを喫煙する前に、揮発性コーティングは、触媒粒子を好ましくは部分的に封入し、より好ましくは完全に封入する。好ましい揮発性コーティングは、シガレットの喫煙中に揮発する。
【0011】
封入触媒粒子を含むシガレットでは、封入触媒粒子がコーティングの揮発温度よりも低い温度に露出された時に、揮発性コーティングは、半揮発性及び不揮発性材料(例えば、タール)が上に堆積することができる保護層を形成する。半揮発性及び不揮発性材料は、触媒粒子上ではなく揮発性コーティング上に形成かつ堆積することができる。温度が封入材料の温度に到達するか又はそれを超える時に、揮発性コーティング、並びにそこに形成されたあらゆる材料は、除去されて、触媒粒子の活性表面を露出することができる。従って、触媒粒子の活性表面は、喫煙条件下に露出され(すなわち、燃焼区域よりも前に)、主流煙及び/又は副流煙の気相成分に触媒作用を及ぼして酸化させることができる。本出願人は、封入されていない触媒粒子よりもシガレットに組み込まれた封入触媒粒子がシガレットの喫煙中に高い触媒効果を有することを予想外に見出した。
実施形態において、シガレットは、封入触媒粒子を含み、炭化線の前に約0.1mmから約10mmの距離で、好ましくは約0.5mmから約2mmの距離でシガレットの喫煙中に揮発性封入材料が揮発する。本明細書で使用される「炭化線」は、シガレットの燃焼区域の縁部においてシガレットの喫煙中に生成されたシガレット包装紙に作られた線である。
【0012】
封入層は、熱又は化学的に分解する可能性がある揮発性材料から形成される。第1の実施形態では、封入材料は、周囲温度を超えるが約350℃よりも低い、好ましくは約200℃よりも低い温度に露出されると熱分解(例えば、溶融、昇華、又は熱分解)させることができ、主流煙、副流煙、又は両方に対して触媒粒子面を露出する。好ましい封入材料は、約40℃と約200℃の間の温度で熱分解する。例えば、主流煙中の水分が封入層と相互作用して封入材料を揮発させ、触媒粒子を露出させることができる。好ましい封入層は、好ましくは約5%よりも高い、より好ましくは約20%よりも高い相対湿度を有する主流煙又は副流煙に露出されると化学的に分解する。
【0013】
揮発性封入層を設けることによって、シガレットの燃焼区域よりも前にシガレットに(例えば、タバコ切断充填物に)組み込まれた粒子の活性触媒面を露出することができる。揮発性封入層は、触媒粒子と不揮発性又は半揮発性燃焼物及び/又は熱分解生成物(例えば、タール)との間の物理的な相互作用及び化学反応を最小にすることができる。例えば、触媒粒子との反応によるタール分子の高温亀裂を最小にすることができる。
【0014】
封入触媒粒子のコアを構成する触媒粒子は、Mg、A1、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Ag、Sn、Ce、Pr、La、Hf、Ta、W、Re、0s、Ir、及びAuから成る群から選択された少なくとも1つの元素の元素金属、合金、酸化物、及び/又はオキシ水酸化物を含むことができる。
触媒粒子は、好ましくはナノスケール粒子を含む。「ナノスケール」とは、触媒粒子が1ミクロンよりも小さい平均粒子径を有することを意味する。好ましくは、ナノスケール粒子は、約100nmよりも小さい平均粒子径を有し、より好ましくは、約50nmよりも小さい平均粒子径を有し、最も好ましくは約10nmよりも小さい平均粒子径を有する。
【0015】
好ましい触媒粒子は、鉄の酸化物及び/又はオキシ水酸化物を含む。例えば、米国ペンシルベニア州キング・オブ・プラシア所在の「MACH I、Inc.」は、商標名「NANOCAT(登録商標)超微細酸化鉄(SFIO)」及び「NANOCAT(登録商標)磁性酸化鉄」の下でFe23ナノスケール粒子を販売している。「NANOCAT(登録商標)超微細酸化鉄(SFIO)」は、粒径が約3nm、比表面積が約250m2/g、体積密度が約0.05g/m1の自由流動粉体の形態をしたアモルファス酸化鉄である。「NANOCAT(登録商標)超微細酸化鉄(SFIO)」は、従来の触媒内に存在することがある不純物を実質的になくし、かつ食品、薬品、及び化粧品に使用するのに適する気相処理によって合成される。「NANOCAT(登録商標)磁性酸化鉄」は、粒径が約25nm、表面積が約40m2/gの自由流動粉体である。更に別の好ましい触媒粒子は、マンガン、銅、及びセリウムの酸化物及び/又はオキシ水酸化物を含む。
【0016】
触媒粒子を封入するコーティングを形成する封入材料は、ワックス、水溶性ポリマー、水不溶性ポリマー、又はシガレットの喫煙中に揮発して下に重なる触媒粒子を露出させる他の材料を含むことができる。好ましい封入材料は、毒性がなく、触媒粒子に容易に被覆され、かつ典型的なシガレットの貯蔵条件下で安定な(例えば、熱的及び化学的に安定な)材料である。好ましい封入材料は、1つ又はそれよりも多くの香味含有化合物を含む。
封入材料は、ワックスを含むことができる。好ましいワックスは、融点温度が約40℃から約350℃の熱溶融材料を含む。例示的ワックスは、蜜蝋、ココナツ蝋、カンデリラ蝋、カルナウバ蝋、モンタン蝋、オーリクリー蝋、パラフィン蝋、米蝋、又はそれらの混合物を含む。
【0017】
封入材料は、水溶性ポリマーを含むことができる。例示的な水溶性ポリマーは、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸化ポリエチレン、水溶性ポリアミド、水溶性ポリエステル、水溶性セルロース、アクリル酸ポリマー、又はそれらの混合物を含む。天然及び変性水溶性ポリマーは、でんぷん、デキストリン、ゴム、ゼラチン、ペクチン、アルギン酸塩、アラビアゴム、又はそれらの混合物を含む。
【0018】
好ましい封入材料は、アルギン酸塩である。アルギン酸塩は、長鎖、炭水化物生体高分子アルギン酸であり、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸カリウム、及びアルギン酸プロピレングリコールを含む。アルギン酸は、水不溶性であるが、その塩類は、親水コロイド(すなわち、水を結合又は吸収する)でコーティングに形成することができる。
アルギン酸塩は、一般的に耐酸性で耐熱性である。カルシウムイオン濃度を調整すると、架橋を引き起こしてゲル強度を制御する。アルギン酸塩をペクチンのような他のゴムと組み合わせると粘性を高くすることができる。
アルギン酸塩は、一般的に水温の低下に伴って溶解度が低くなるが、周囲温度の水に分散させることができる。約2重量%を超えるアルギン酸塩濃度は、高剪断混合を使用して分散させ、凝集塊を解消することができる。高速度混合器は、高速流を高剪断と組み合わせて混合効率を改善する。アルギン酸カルシウムコーティングを含む封入触媒粒子を形成する好ましい方法を以下に説明する。
【0019】
封入材料は、水不溶性ポリマーを含むことができる。例示的な水不溶性ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、ポリメチルメタクリル酸塩、塩化ポリビニル、塩化ポリビニリデン、多糖類、又はそれらの混合物を含む。
封入材料は、香味含有化合物を含むことができる。好ましい香味含有化合物は、メントール、メントール派生物、及びメントール前駆物質を含む。他の適切な香味化合物は、合成及び天然芳香剤、精油、アルコール、アルデヒド、エステル、エーテル、ケトン、フェノール、及びそれらの混合物を含む。香味化合物は、芳香性化合物又は非芳香性化合物とすることができる。
【0020】
触媒粒子は、同一の又は異なる揮発性封入材料の1つ又はそれよりも多くの層を用いて被覆することができる。例えば、複数の被覆段階を使用して望ましい厚み及び/又は望ましい封入材料の適用範囲を達成することができる。更に別の事例では、触媒粒子は、第1の揮発性コーティング、及び次に第2の揮発性コーティングを用いて被覆することができる。好ましい実施形態では、第1の揮発性コーティングは、香味含有化合物を含む。
【0021】
様々な方法を使用して封入触媒粒子を形成することができる。適切な方法は、触媒粒子を準備する段階と、触媒粒子の上に少なくとも1つの揮発性封入層を形成する段階とを含む。本方法は、気相技術と液層技術を含む
例示的な気相技術では、触媒粒子は、液相の封入材料(例えば、揮発性化合物の溶液又は純粋な液体)と混合して混合物を形成することができる。混合中に、温度及び攪拌の量は、制御することができる。例えば、触媒粒子及び封入材料の溶液は、均質な混合物を形成するために室温で超音波処理を用いて組み込むことができる。
触媒粒子封入材料混合物は、乾燥させて封入触媒粒子を形成することができる。好ましい実施形態によれば、混合物は、吸引されて封入材料で被覆された触媒粒子を含むエアロゾルを形成することができる。エアロゾル化温度及び分配率は、固相封入触媒粒子(すなわち、封入材料相が乾燥して触媒粒子に固体のコーティングを形成する)を形成するように制御することができる。
【0022】
一例として、アラビアゴムで被覆された50重量%の「NANOCAT(登録商標)」酸化鉄粒子を含む封入触媒粒子は、一定の攪拌条件下で約30m1の脱イオン水内にアラビアゴム(〜1g)を備えた第1の混合酸化鉄粒子(〜1g)によって調製され、酸化鉄粒子の均質な懸濁液を形成することができる。懸濁液は、約170℃の温度で0.5mmのノズルを使用してエアロゾル化され、それによって混合物内に存在する水分が蒸発し、アラビアゴムで被覆された酸化鉄粒子が形成される。処理条件に応じて、封入触媒粒子は、粉体、顆粒、又は凝集粒子の形態とすることができる。封入触媒粒子は、球形、長球形、より糸形、及び小繊維形などの形状とすることができる。
【0023】
例示的な液相技術では、触媒粒子は、液相封入材料又は封入材料前駆物質(例えば、揮発性化合物の溶液又は純粋な液体)の中に浸漬され、触媒粒子上にコーティングが形成される混合物を形成することができる。浸漬時の温度は制御され、混合物は、任意的に攪拌する(例えば、かき混ぜる)ことができる。触媒粒子及び封入材料は、室温で混合してコーティングを形成することができる。浸漬の後に、被覆された触媒粒子は、乾燥させて、更に任意的に処理されて封入触媒粒子を形成することができる。更に別の処理は、例えば、イオン交換反応を通じた封入ポリマーの架橋を含むことができる。
【0024】
アルギン酸塩封入触媒粒子を形成する方法は、触媒粒子をアルギン酸塩の溶液内に浸漬して被覆された触媒粒子を形成する段階と、次に、被覆された触媒粒子を処理して架橋ポリマーアルギン酸塩コーティングを形成する段階とを含む。
一例として、アルギン酸カルシウム及び/又はナトリウムで被覆された50重量%の「NANOCAT(登録商標)」酸化鉄粒子を含む封入触媒粒子は、一定の攪拌条件下でアルギン酸ナトリウムの溶液(約100m1の脱イオン水内に1gのアルギン酸ナトリウム)を備えた第1の混合酸化鉄粒子(〜1g)によって調製され、酸化鉄粒子で被覆されたアルギン酸ナトリウムを形成することができる。混合物は、好ましくは、均質化され(例えば、30〜130秒間)、空気内に放置され(例えば、10〜60分間)、次に、再度均質化される(例えば、30〜130秒間)。
【0025】
アルギン酸ナトリウムコーティングは、イオン交換反応を通じて少なくとも部分的にかつ好ましくは完全にアルギン酸カルシウムコーティングに変換(例えば、重合)することができる。既知容積のアルギン酸ナトリウム被覆酸化鉄粒子が、好ましくは多価カチオンを含む溶液と接触する。ナトリウムは、水溶液又は非水(例えば、アルコール)溶液を含むことができる。好ましい方法では、溶液は、塩化カルシウム(例えば、塩化カルシウムの0.1M水溶液)を含み、それによって酸化鉄粒子の周りに架橋揮発性アルギン酸カルシウムシェルを形成するイオン交換反応を通じてCa2+がNa1+と交換される。架橋封入層を形成するのに適する他の多価カチオン溶液は、アルミニウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、ストロンチウム、銀、及びバリウムを含むことができる。架橋ポリマー封入材料の硬度は、架橋の程度を変えることによって制御することができる。架橋の量は、封入材料と多価カチオン溶液の間の反応時間(例えば、硬化時間)に比例する。イオン交換を通じて架橋することができる他のポリマーは、多糖類を含む。
【0026】
好ましい方法では、既知容積のアルギン酸ナトリウム被覆酸化鉄粒子が、塩化カルシウム溶液内に滴状分散される(例えば、26.5ゲージの注射針により)。分配の高さと速度が制御されて、封入触媒粒子の大きさを制御することができる。過剰の塩化カルシウム溶液は、予め設定した硬化時間後に(例えば、約2時間まで)、除去(例えば、濾過又は静かに注ぐ)され、アルギン酸カルシウム被覆粒子は、洗浄して乾燥させることができる。少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、又は90±5重量%の触媒粒子(例えば、酸化鉄粒子)を含む封入触媒粒子を調製することができる。
【0027】
酸化鉄/アルギン酸カルシウムサンプルの光学顕微鏡写真を図1に示している。図1(a)は、受け取ったままの「NANOCAT(登録商標)」酸化鉄触媒粒子の光学顕微鏡写真を示している。図1(b)は、不規則で球形粒子形態のアルギン酸カルシウム封入酸化鉄粒子の光学顕微鏡写真を示している。図1(c)は、小繊維形形態のアルギン酸カルシウム封入酸化鉄粒子の光学顕微鏡写真を示している。
封入触媒粒子を形成するための付加的な方法は、ポリマー対ポリマー非相容性(触媒粒子が、共通溶剤に溶解した非相容性ポリマーの溶液から1つのポリマーの選択的吸着を通じて被覆される)、流動化床封入、及び気相重合を含む。
【0028】
封入ミクロンサイズ触媒粒子は、約1ミクロン又はそれ未満から約1000ミクロン又はそれよりも大きいまでの平均粒径を有することができる。封入触媒粒子は、10、20、30、40、50、60、70、80、又は90±5ミクロンから約100、200、300、400、500、600、700、800、又は900ミクロン±50ミクロンの平均粒径を有することができる。封入触媒粒子は、個別の粒子又は被覆触媒粒子の凝集を含むことができる。好ましい封入触媒粒子は、約1ミクロンよりも小さい平均粒径を有することができる。サブミクロン及びナノスケール触媒粒子は、封入され、封入材料の平均厚みに応じて、10、20、30、40、50、60、70、80、又は90±5ミクロンから約100、200、300、400、500、600、700、800、又は900ミクロン±50ミクロンの平均粒径を有する封入触媒粒子を形成する。
【0029】
好ましい方法によれば、封入触媒粒子は、シガレットを形成するのに使用されるタバコ切断充填物、シガレット紙、及びシガレットフィルタの少なくとも1つに組み込むことができる。シガレットの1つ又はそれよりも多くの構成要素の中に触媒粒子を組み込むことによって、喫煙中に主流煙中の一酸化炭素及び/又は酸化窒素の量を低減することができる。
好ましくは、封入触媒粒子は、少なくとも5%だけ(例えば、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は96%だけ)一酸化炭素及び/又は酸化窒素の主流煙中濃度を低下させるのに有効な量でタバコ切断充填物、シガレット紙、及び/又はシガレットフィルタに組み込むことができる。シガレット当たりの触媒粒子の好ましい量は、約200mgまで(例えば、1mgから200mg、1mgから50mg、又は50mgから100mg)である。封入触媒粒子は、約200℃よりも低い温度で二酸化炭素に対して主流タバコ煙中の一酸化炭素の少なくとも5%、より好ましくは少なくとも25%を変換し、及び/又は約200℃よりも低い温度で酸化窒素に対して主流タバコ煙中の酸化窒素の少なくとも5%、より好ましくは少なくとも25%を変換するのに有効な量で組み込むことができる。
【0030】
開示するのは、(i)タバコ切断充填物、シガレット紙、及びシガレットフィルタの少なくとも1つの中に及び/又はその表面上に封入触媒粒子を組み込む段階、(ii)シガレット製造機にタバコ切断充填物を供給してタバコ列を形成する段階、(iii)タバコ列の周りにシガレット包装紙を配置してシガレットのタバコロッドを形成する段階、及び(iv)任意的に、先端紙を使用してタバコ列にシガレットフィルタを取り付ける段階を含むシガレットの製造方法である。
【0031】
理論に制限されるのを望まないが、封入触媒粒子を組み込んだシガレットの喫煙中に、CO及び/又はNOが酸素の存在下で触媒作用を受け、主流煙及び/又は副流煙中のCO及び/又はNOレベルを低下させることができると考えられている。また、触媒反応に続いて、触媒粒子は、酸素の存在の有無に関わらずCOを酸化させ、及び/又はNOを還元し、主流煙及び/又は副流煙中のCO及び/又はNOレベルを低下させることができると考えられている。好ましくは、封入触媒粒子は、CO対CO2、及びNO対N2変換の両方に対して触媒作用を及ぼすことができる。
【0032】
ここで使用されるように、触媒は、化学反応速度に影響を及ぼすことができ、例えば、触媒は、反応の反応物質又は反応生成物として参加せずに一酸化炭素対二酸化炭素の酸化速度を増大させることができる。酸化剤は、例えば、反応物質に酸素を提供して酸化剤自体を還元させることによって反応物質を酸化させることができる。還元剤は、反応物質から酸素を受け取り、還元剤自体を酸化させることによって反応物質を還元させることができる。
【0033】
シガレットの「喫煙」は、シガレットを通して吸引することができる煙を形成するためのシガレットの加熱又は燃焼を意味する。一般的に、シガレットの喫煙は、シガレットの一端に着火すると同時にそこに含有されるタバコが燃焼反応の作用を受ける段階と、シガレットの唇側端部を通した燃焼により煙を吸引する段階とを含む。シガレットはまた、他の手段によって喫煙することができる。例えば、シガレットは、シガレットを加熱することにより、及び/又は本出願人に譲渡された米国特許第6、053、176号、第5、934、289号、第5、591、368号、又は第5、322、075号に説明されているような電気加熱器手段を使用して加熱することによって喫煙することができる。
【0034】
用語「主流」煙は、タバコロッド下流まで通過してフィルタ端部を通って排出される気体の混合物、すなわち、シガレットの喫煙中にシガレットの唇側端部から排出されるか又は吸引される煙を指す。主流煙は、シガレット包装紙を通して、並びに着火領域の両方を通して吸引される煙を含有する。用語「副流」煙は、静的燃焼中に生成された煙を意味する。
いくつかの要素が、シガレット内の一酸化炭素及び酸化窒素形成に寄与する。タバコ内の成分に加えて、喫煙時のシガレットの温度及び酸素濃度がそれらの形成に影響を及ぼす。例えば、喫煙中に形成される一酸化炭素の全体量は、3つの主要な原因、すなわち、熱分解(約30%)、燃焼(約36%)、及び炭化したタバコに伴う二酸化炭素の減少(少なくとも23%)の組合せに由来する。熱分解による一酸化炭素の形成は、化学的動力学によって大部分制御されるが、約180℃の温度で始まり、約1050℃の温度で終わる。燃焼時の一酸化炭素及び二酸化炭素の形成は、表面への酸素の拡散(ka)及び表面反応を通じた酸素の拡散(kb)によって大部分制御される。温度250℃では、kaとkbは、ほぼ同じである。400℃では、反応は、拡散制御型になる。最終的に、炭化タバコ又はチャコールに伴う二酸化炭素の減少が、390℃付近又はそれよりも高い温度で発生する。
【0035】
燃焼中に、約0.5mg/シガレットの濃度で主流煙中に酸化窒素が生成される。しかし、酸化窒素は、以下の反応による一酸化炭素によって低減することができる。
2NO+CO→N20+CO2
2O+CO→N2+CO2
喫煙中に、シガレットには、燃焼区域、熱分解/蒸留区域、及び凝縮/濾過区域の3つの異なる領域がある。燃焼区域は、シガレットの喫煙中に通常シガレットの着火端部に生成されるシガレットの燃焼する区域である。燃焼区域の温度は、約700℃から約950℃まで、及び加熱速度は、500℃/秒ほどになる可能性がある。タバコの燃焼においては酸素が消費され、一酸化炭素、二酸化炭素、酸化窒素、水蒸気、及び他の有機化合物(例えば、タール)を生成する。燃焼区域は、高い発熱性があり、発生熱は、熱分解/蒸留区域に搬送される。
【0036】
熱分解区域は、燃焼区域の後方の区域であり、そこでは温度が約200℃から約600℃までに及んでいる。熱分解区域は、一酸化炭素の大部分が生成される場所である。主要な反応は、燃焼区域で発生した熱を使用して一酸化炭素、二酸化炭素、酸化窒素、チャコール、及び他の煙成分(例えば、タール)を生成するタバコの熱分解(すなわち、熱分解)である。
凝縮/濾過区域では、温度が周囲温度から約150℃までに及んでいる。この区域での主要な処理は、煙成分の凝縮/濾過である。一酸化炭素、二酸化炭素、酸化窒素、及び窒素の一部の量は、シガレットから外に拡散し、一部の酸素(例えば、空気)は、シガレット内に拡散する。
【0037】
シガレットの喫煙中に、主流煙は、シガレットのフィルタ端部に向って流れる。一酸化炭素と酸化窒素がシガレット内に移動するので、酸素は、シガレットの中に、かつ一酸化炭素及び酸化窒素は、シガレットから外に包装紙を通って拡散する。シガレットの標準的な2秒間の吸煙の後に、COとNOは、シガレットの周囲部、すなわち、燃焼区域の前のシガレット包装紙近くに集中する。O2のシガレット中への拡散のために、酸素の集中はまた、周囲部区域内で高い。タバコロッド中への空気流は、シガレットの周囲部の燃焼区域近くで最も大きく、かつ温度勾配にほぼ対応しており、すなわち、より高い空気流がより大きな温度勾配と関連している。標準的なシガレットでは、最高温度勾配は、燃焼区域(>850℃〜900℃)からシガレットのフィルタ端部に向って軸線方向である。燃焼区域の後方数ミリメートルの範囲内で、温度は、周囲温度近くまで低下する。空気流パターンに対する更に別の情報、喫煙中のシガレット内の成分の形成、及び煙の形成及び送出は、Richard R.Baker著「煙形成及び送出の機構」、「タバコ科学の最近の進歩」、第6巻、184〜224ページ(1980年)と、Richard R.Baker著「喫煙サイクル中のシガレット燃焼コール内の気体形成領域の変動」、「Beitrage zur Tabakforschung Internationa1」、第11巻、第1号、1〜17ページ(1981年)とに見ることができるが、それらの内容は、両方とも引用により本明細書に組み込まれている。
【0038】
タバコの燃焼及び/又は熱分解から生成されたタールのような不揮発性化合物は、封入されていない触媒粒子を被覆し、それらの触媒効率を低下させる可能性がある。封入触媒粒子の表面に形成する不揮発性化合物は、しかし、触媒粒子から揮発性封入層を除去することによって排除され、それによってシガレット煙に触媒粒子を露出させることができる。
封入触媒粒子は、乾燥粉末、ペースト、液体内に分散した形態で提供することができる。例えば、封入触媒粒子は、散布するか、又は噴霧するか、又は切断充填物タバコ又はシガレット紙と組み合わせることができる。更に別の例では、タバコ切断充填物又はシガレット紙材料は、水洗するか又は封入触媒粒子を含有する液体で浸漬被覆することができる。
【0039】
シガレット製造技術は、当業技術で公知である。封入触媒粒子を組み込むために、あらゆる従来の又は改良されたシガレット製造技術を使用することができる。シガレット製造では、一般的に、切断した充填物組成物は、他のシガレット添加物と任意的に組み合わされ、シガレット製造機に供給されてタバコ列を生成し、それは、次に、シガレット紙に包まれて区画に切断され、任意的にフィルタを先端に付けたタバコロッドを形成する。得られるシガレットは、標準の又は改良されたシガレット製造技術及び装置を使用して望ましい規格値のものに製造することができる。シガレットの長さは、約50mmから約120mmに及んでいる。周囲長は、約15mmから約30mmであり、好ましくは約25mmである。タバコの充填密度は、一般的に、約100mg/cm3から約300mg/cm3の範囲であり、好ましくは、約150mg/cm3から約275mg/cm3の範囲である。
【0040】
一実施形態は、封入触媒粒子を形成し、次に触媒粒子をタバコ切断充填物上に堆積させ、及び/又は触媒粒子を、その後シガレットを形成するのに使用されるタバコ切断充填物に組み込む方法を提供する。タバコ切断充填物は、通常は、約1/4cmから約1/8cm(約1/10インチから約1/20インチ)、又は更に1/16cm(1/40インチ)にも及ぶ幅に切断された刻み又はストランドの形態である。ストランドの長さは、約0.65cmから約7.6cmまで(約0.25インチから約3.0インチまで)に及んでいる。シガレットは、1つ又はそれよりも多くの香味料又は他の添加物(例えば、燃焼性添加剤、燃焼改良剤、着色剤、結合剤、その他)を更に含むことができる。
【0041】
切断した充填物には、あらゆる適切なタバコ混合物を使用することができる。適切な種類のタバコ材料の例は、煙道乾燥タバコ、Bur1eyタバコ、Brightタバコ、Mary1andタバコ、又はOrienta1タバコ、レア又は特製タバコ、及びそれらの配合物を含む。タバコ材料は、タバコ葉、体積膨張又はパフタバコのような加工タバコ材料、カットロール状又はカットパフ状茎のような加工タバコ茎、再構成タバコ材料、又はそれらの配合物の形態で提供することができる。タバコはまた、タバコ代用品を含むことができる。
【0042】
封入触媒粒子は、シガレット製造機に供給される切断した充填物タバコ原料(例えば、ばら詰めの切断した充填物)に追加するか、又はタバコ列を形成するためにシガレットロッドの周りにシガレット包装紙を包む前にタバコロッドに直接組み込むことができる。封入触媒粒子は、タバコロッドの長さ方向に沿って個々の位置に供給されるが、好ましくは、封入触媒粒子は、タバコロッドの長さ方向に沿って連続して供給することができる。従って、封入触媒粒子は、タバコロッドの長さ方向に沿って均一に又は不均一に分布させることができる。例えば、タバコロッドは、タバコロッドに沿った1つの位置に封入触媒粒子の第1の装填物と、タバコロッドに沿った第2の位置に封入粒子の第2の装填物とを含むことができる。封入触媒粒子を含む好ましいタバコロッドは、タバコロッドのフィルタ端部に封入触媒粒子の第1の装填物と、タバコロッドの遠位端に封入触媒粒子の第2の装填物とを有し、第1の装填物が第2の装填物よりも大きい。
【0043】
封入触媒粒子とタバコ切断充填物は、あらゆる望ましい割合、例えば、1重量%から90重量%の封入触媒粒子及び99重量%から10重量%のタバコ切断充填物、より好ましくは、1重量%から50重量%の封入触媒粒子、最も好ましくは、1重量%から20重量%の封入触媒粒子で供給することができる。
タバコロッドに封入触媒粒子を組み込むのに加えて又はその代わりに、封入触媒粒子は、シガレット紙がシガレットに組み込まれる前か又は組み込まれた後にシガレット紙に組み込むことができる。封入触媒粒子は、繊維状ウェブに又は紙内に組み込まれたウェブ充填物材料に粒子を直接堆積させることによって紙の繊維状ウェブ内に組み込むことができる。封入触媒粒子は、シガレット紙の中に及び/又はシガレット紙を作るために使用される原材料の中に組み込むことができる(例えば、シガレット紙製造機の紙原料の中に組み込むことができる)。
【0044】
封入触媒粒子は、湿ったベース(例えば、セルロース)ウェブ、中間ウェブ、又は完成ウェブに粒子を噴霧又は被覆することによってシガレット紙に組み込むことができる。1つの方法によれば、粉末の形態をした封入触媒粒子は、紙製造工程中にシガレット紙材料と物理的に混ぜることができる。別の方法では、封入触媒粒子のスラリ(例えば、水溶性スラリ)を紙製造機のヘッドボックスの中に組み込むことができ、かつ封入触媒粒子は、紙製造工程中にシガレット紙に組み込むことができる。
【0045】
封入触媒粒子とシガレット紙は、あらゆる望ましい比率、例えば、1重量%から90重量%の触媒と99重量%から10重量%のシガレット紙とで供給することができる。好ましい実施形態では、封入触媒粒子の量は、シガレット紙の約1重量%から約50重量%、より好ましくは、約1重量%から約20重量%を含む。
封入触媒粒子のシガレットの量、位置、及び分布は、CO対CO2及び/又はNO対N2の変換速度を調節するために、例えば、増加又は最大にするために、喫煙中に示される温度及び空気流特性に応じて選択することができる。シガレット内に組み込まれた封入触媒粒子の量は、シガレットの喫煙中に主流煙中の一酸化炭素の量及び酸化窒素の量が減少するように選択することができる。
【0046】
封入触媒粒子は、包装紙の少なくとも1つの表面(例えば、内面及び/又は外面)上に被覆及び/又は印刷され、シガレット包装紙にテキスト又は画像を形成することができる。印刷の量及び/又は触媒の量を変えて、CO及び/又はNO低減量を調節することができる。
揮発性封入層は、封入触媒粒子の外観を制御するために染色することができる(例えば、食品のための染料で)。例えば、封入触媒粒子の色は、シガレット紙(又はタバコ切断充填物)の色と調和又は対比するように設けることができる。
【0047】
シガレットは、異なる封入触媒粒子の混合物を含むことができる。封入触媒粒子の組成(すなわち、触媒粒子の組成及び/又は大きさ、及び/又は封入材料の組成及び/又は厚み)は、所定の温度範囲で作用するように選択され、触媒粒子の触媒作用的に有効な量がシガレットの構成要素(例えば、タバコ切断充填物、シガレットフィルタ、及び/又はシガレット紙)の中に組み込まれ、触媒の変換効率及び/又は選択性を制御することができる。例えば、第1の封入触媒粒子をシガレットのタバコ切断充填物に組み込み、第2の封入触媒粒子をシガレット紙に組み込むことができる。組み込まれた封入触媒粒子を有するシガレット紙は、シガレット内で包装紙、紙フィルタ、及び/又は紙充填物として使用することができる。
【0048】
シガレット包装紙は、亜麻、麻、ボンベイ麻、アフリカハネガヤ、稲わら、及びセルロースなどを含有する包装紙を含む、切断充填物を取り囲むのに適するあらゆる包装とすることができる。任意的な充填物材料、香味添加物、及び燃焼性添加物は、シガレット包装紙に含めることができる。本明細書においてその全開示内容が引用により組み込まれている、本出願人所有の米国特許第5、143、098号に開示するように、包装紙は、2層包装紙のような断面に1つよりも多くの層を有することができる。
【0049】
封入触媒粒子は、シガレット包装紙の中に組み込むことができる。繊維状セルロース材料のウェブを含む包装紙は、炭酸カルシウム(CaCO3)のようなウェブ充填物材料の粒子を更に含むことができる。実際面では、ウェブ充填物材料は、包装紙の浸透性を制御するための作用物として役立つ。包装紙の浸透性は、典型的には、1.0キロパスカルの圧力降下で毎分1平方センチメートルの材料を通過する立方センチメートルで測定した空気の容積として定められるCoresta単位で測定される。
【0050】
包装紙は、1つ又はそれよりも多くの層を含むことができる。好ましいシガレットは、第1の包装紙、第1の包装紙の周りに形成された第2の包装紙、及び第1の包装紙に組み込まれた封入触媒粒子を含む。
封入触媒粒子は、好ましくは、シガレットのタバコロッド部分及び/又はシガレット包装紙部分を通して分配されることになる。シガレットの1つ又はそれよりも多くの構成要素を通して封入触媒を設けることにより、特に燃焼、熱分解、凝縮、及び/又は濾過領域においてシガレットを通して吸引される一酸化炭素の量を低減することができる。
【0051】
更に別の実施形態は、シガレットに着火してタバコ煙を形成する段階と、シガレットを通して煙を吸引する段階とを含み、揮発性封入材料が、少なくとも部分的に揮発して触媒粒子の表面を露出させる、タバコ煙を処理する方法を提供する。好ましい実施形態では、揮発性封入材料は、炭化線の前の約0.1mmから10mmの距離で揮発する。
様々な実施形態を説明したが、当業者には明らかなように、変形及び修正の手段に頼ることができることは理解されるものとする。そのような変形及び修正は、特許請求の範囲及び視野に含まれると考えるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1(a)】受け取ったままのNANOCAT酸化鉄触媒粒子の光学顕微鏡写真画像を示す図である。
【図1(b)】粒子の形態のアルギン酸塩封入NANOCAT酸化鉄の光学顕微鏡写真画像を示す図である。
【図1(c)】繊維の形態のアルギン酸塩封入NANOCAT酸化鉄の光学顕微鏡写真画像を示す図である。
【図1A】

【図1B】

【図1C】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
主流タバコ煙中の一酸化炭素及び酸化窒素の少なくとも一方を低減することができる封入触媒粒子を含むシガレットの構成要素であって、
触媒粒子が、少なくとも部分的に揮発性封入材料で被覆され、
構成要素が、タバコ切断充填物、シガレット紙、及びシガレットフィルタから成る群から選択される、
ことを特徴とする構成要素。
【請求項2】
(a)前記触媒粒子は、前記揮発性封入材料で完全に被覆され、
(b)前記触媒粒子は、Mg、A1、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Ag、Sn、Ce、Pr、La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、及びAuから成る群から選択された少なくとも1つの元素の元素金属、合金、酸化物、及びオキシ水酸化物の少なくとも1つを含み、
(c)前記触媒粒子は、マンガン、鉄、銅、又はセリウムの酸化物及びオキシ水酸化物の少なくとも一方を含み、
(d)前記触媒粒子は、ナノスケール粒子を含み、又は
(e)前記触媒粒子は、約100nmよりも小さいか又は約50nmよりも小さな平均粒径を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の構成要素。
【請求項3】
前記揮発性封入材料は、
(a)ワックス、水溶性ポリマー、又は水不溶性ポリマー、
(b)蜜蝋、ココナツ蝋、カンデリラ蝋、カルナウバ蝋、モンタン蝋、オーリクリー蝋、パラフィン蝋、米蝋、及びそれらの混合物から成る群から選択されたワックス、
(c)ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸化ポリエチレン、水溶性ポリアミド、水溶性ポリエステル、水溶性セルロース、アクリル酸ポリマー、でんぷん、デキストリン、ゴム、ゼラチン、ペクチン、アルギン酸塩、アラビアゴム、及びそれらの混合物から成る群から選択された水溶性ポリマー、
(d)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、ポリメチルメタクリル酸塩、塩化ポリビニル、塩化ポリビニリデン、多糖類、及びそれらの混合物から成る群から選択された水不溶性ポリマー、
(e)前記触媒粒子と接触した第1の層及び該第1の層の上に形成された第2の層、及び
(f)香味含有化合物を含む第1の層及び該第1の層の上に形成された第2の層、
のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の構成要素。
【請求項4】
(a)前記揮発性封入材料は、約40℃と約350℃の間の揮発温度を有し、
(b)前記揮発性封入材料は、約5%よりも高い相対湿度を有する雰囲気で揮発するようになっており、又は
(c)前記揮発性封入材料は、約40℃と約350℃の間の揮発温度を有し、かつ約5%よりも高い相対湿度を有する雰囲気で揮発するようになっている、
ことを特徴とする請求項1に記載の構成要素。
【請求項5】
前記揮発性封入材料は、香味含有化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の構成要素。
【請求項6】
前記香味含有化合物は、メントール、メントール派生物、メントール前駆物質、又はそれらの混合物を含むことを特徴とする請求項5に記載の構成要素。
【請求項7】
前記香味含有化合物は、合成芳香剤、天然芳香剤、精油、アルデヒド、アルコール、エステル、ケトン、フェノール、又はそれらの混合物を含むことを特徴とする請求項5に記載の構成要素。
【請求項8】
前記触媒粒子は、一酸化炭素から二酸化炭素への変換のための酸化剤、酸化窒素から窒素への変換のための還元剤、及び一酸化炭素から二酸化炭素及び酸化窒素から窒素の少なくとも一方への変換のための触媒として作用することができることを特徴とする請求項1に記載の構成要素。
【請求項9】
タバコロッド、シガレット紙、及び任意的なフィルタを含むシガレットであって、
タバコロッド、シガレット紙、及びフィルタのうちの少なくとも1つが、主流タバコ煙中の一酸化炭素及び酸化窒素の少なくとも一方を低減することができる封入触媒粒子を含み、
前記触媒粒子は、少なくとも部分的に揮発性封入材料で被覆されている、
ことを特徴とするシガレット。
【請求項10】
(a)前記揮発性封入材料は、シガレットの吸煙中に揮発して前記触媒粒子の活性表面を露出するようになっており、
(b)前記揮発性封入材料は、シガレットの吸煙中に熱又は化学的に分解して前記触媒粒子の表面を露出するようになっており、又は
(c)前記揮発性封入材料は、シガレットの吸煙中に揮発し、かつ熱又は化学的に分解して前記触媒粒子の表面を露出するようになっている、
ことを特徴とする請求項9に記載のシガレット。
【請求項11】
前記触媒粒子は、前記揮発性封入材料で完全に被覆されることを特徴とする請求項9に記載のシガレット。
【請求項12】
前記封入触媒粒子は、
(a)主流タバコ煙中の前記一酸化炭素の少なくとも5%を二酸化炭素に、又は主流タバコ煙中の前記酸化窒素の少なくとも5%を窒素に変換するのに有効な量で、又は主流タバコ煙中の該一酸化炭素の少なくとも5%を二酸化炭素に、かつ主流タバコ煙中の該酸化窒素の少なくとも5%を窒素に変換するのに有効な量で組み込まれ、
(b)シガレット当たり約200mgまでの全体量で組み込まれ、かつ、
(c)タバコロッドの全長に沿って均一又は不均一に配分される、
うちの少なくとも1つである、
ことを特徴とする請求項9に記載のシガレット。
【請求項13】
前記シガレット紙は、
(a)第1の層及び該第1の層の周りに形成された第2の層を有し、かつ前記封入触媒粒子が該第1の層に組み込まれた包装紙、及び
(b)少なくとも1つの表面上に前記封入触媒粒子が被覆され、印刷され、又は被覆かつ印刷された包装紙、
のうちの少なくとも一方を含む、
ことを特徴とする請求項9に記載のシガレット。
【請求項14】
異なる封入触媒粒子の混合物を含むことを特徴とする請求項9に記載のシガレット。
【請求項15】
シガレットを製造する方法であって、
(i)封入触媒粒子をタバコ切断充填物、シガレットフィルタ、及びシガレット包装紙のうちの少なくとも1つの中に、その表面上に、又はその中にかつその表面上に組み込む段階、
(ii)前記タバコ切断充填物をシガレット製造機に供給してタバコ列を形成する段階、
(iii)前記タバコ列の周りに前記シガレット包装紙を配置してシガレットのタバコロッドを形成する段階、及び
(iv)任意的に、先端紙を使用して前記シガレットフィルタを前記タバコ列に取り付ける段階、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記組み込む段階は、噴霧、散布、又は浸漬を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記封入触媒粒子は、該封入触媒粒子を濡れたベースウェブ、中間ウェブ、又は完成ウェブ上に噴霧又は被覆することによってシガレット紙に組み込まれることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記組み込む段階は、前記封入触媒粒子と、前記タバコ切断充填物及びシガレット包装紙の少なくとも一方とを液体のない状態で組み合わせる段階を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。

【公表番号】特表2009−523439(P2009−523439A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550874(P2008−550874)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【国際出願番号】PCT/IB2007/000576
【国際公開番号】WO2007/083245
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(596060424)フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム (222)
【Fターム(参考)】