封印用ICタグ、書類ファイル及び書類ファイル管理システム
【課題】 止め具と保持部との間に封印用ICタグを固定し、止め具が取り外されると封印用ICタグが動作不能になる構成にして、書類ファイルの外部から封印が破られたことを検知できる書類ファイル管理システムを提供する。
【解決手段】 この書類ファイル300は、書類ファイル300に綴じられた書類の管理情報を記録したICタグA(ファイル用ICタグ)43と、表紙30と、裏表紙38と、バインダ300aから構成されている。そしてバインダ300aは着脱自在の止め具39と、止め具39を保持し、綴じる書類37の綴じ穴を通す保持部35と、止め具39と保持部35との間に固定されたICタグB(封印用ICタグ)31と、止め具39を表紙30を閉じたときに固定するロック部40とを備えている。そしてロック部40は止め具39の凹部39aに入り込んでロックするカム40aを備えている。またバインダ300aは背表紙42にリベット41により固定されている。
【解決手段】 この書類ファイル300は、書類ファイル300に綴じられた書類の管理情報を記録したICタグA(ファイル用ICタグ)43と、表紙30と、裏表紙38と、バインダ300aから構成されている。そしてバインダ300aは着脱自在の止め具39と、止め具39を保持し、綴じる書類37の綴じ穴を通す保持部35と、止め具39と保持部35との間に固定されたICタグB(封印用ICタグ)31と、止め具39を表紙30を閉じたときに固定するロック部40とを備えている。そしてロック部40は止め具39の凹部39aに入り込んでロックするカム40aを備えている。またバインダ300aは背表紙42にリベット41により固定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封印用ICタグ、書類ファイル及び書類ファイル管理システムに関し、さらに詳しくは、書類ファイルに綴じられた書類の持ち出しを管理する書類ファイル管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、会社、役所等のように多量の書類を保管、整理、移動する作業を日常的に行うオフィス環境では、作業を効率化するために、書類を分類して書類ファイルに綴じて管理し、その書類ファイルを収容棚に収容している形態が多く見られる。これらの書類ファイルとしては、例えば図10に示すように書類を着脱自在に綴じ込むルーズリーフ式のファイルが多く使用される。この書類ファイル500は、書類ファイル500に綴じられた書類の管理情報を記録したICタグ143と、表紙130と、裏表紙138と、バインダ500aから構成されている。そしてバインダ500aは書類を着脱自在に保持する止め具139と、止め具139を着脱自在に保持し、且つ綴じる書類の綴じ穴内に挿通される細棒状の保持部135と、保持部135により書類の綴じ穴と止め具139の固定棒136を支持した状態で表紙130を閉じたときに止め具139の凹部139aに係合してこれをロックするロック部140とを備えている。ロック部140は止め具139の凹部139aに入り込んでロックするロック片140aを備えている。またバインダ500aは背表紙142にリベット141により固定されている。
図11は止め具139を保持部135から離脱したときの様子を表す部分拡大図である。止め具139には棒状の固定棒136があり、保持部135が中空となっているため、その中空部135aに固定棒136を挿入して書類を保持する構成である。
このように通常使用される書類ファイルは、止め具139を外すことにより容易に中の書類を持ち出すことが可能となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のルーズリーフ式のファイルにあっては、ファイルを閲覧した人が止め具139を外すことにより容易に中の書類を持ち出すことが可能であるため、ICタグ141により管理されている情報とファイルの中味が一致しているとは限らない。即ち、外部からICタグの記録情報をリーダライタにより読み取っても、その情報が中味の書類と一致しているか否かは書類を確認しなければならず、管理が煩わしく確実とはいえなかった。
また、止め具139が取り外された履歴を確認したり、取外しの有無を管理するために、止め具を封印紙、或いは封印用の針金等で封印する方法もあるが、書類ファイルの封印が破られたか否かを外部から間接的に確認することができない。
本発明は、かかる課題に鑑み、止め具と保持部との間に封印用ICタグを固定し、止め具が取り外されると封印用ICタグが動作不能になる構成にして、書類ファイルの外部から封印が破られたことを検知できる書類ファイル管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、情報を記録するIC回路部と、外部から該IC回路部に対して記録情報を読み書きするために送受される電波を授受するアンテナと、前記IC回路部及びアンテナを電気的に接続した状態に保持する保持部材と、該保持部材を取付対象物に固定するための固定手段と、を備え、前記保持部材は前記IC回路部とアンテナとを分断可能にする切断部を備えていることを特徴とする。
ICタグは情報を記録するメモリ、通信回路及び制御回路から成るIC回路部と、リーダライタとの電波の授受を行なうアンテナ(ループアンテナ)から構成されている。そして一般的にはアンテナがIC回路部と一体化されてICチップとして構成されている。本発明の封印用ICタグは、IC回路部の外部にアンテナを備えた構成とし、そのアンテナの一部が切断されるように切り口を設けたものである。そして封印用ICタグ本体を接着剤等により固定できる構成である。
請求項2は、請求項1に記載の封印用ICタグと、書類を着脱自在に綴じ込むルーズリーフ式のバインダと、該バインダにより綴じられた書類についての情報を記録するファイル用ICタグと、を備えた書類ファイルであって、前記バインダは着脱可能な止め具部と該止め具部を保持する保持部により構成され、前記書類が前記バインダに綴じ込まれた場合、前記止め具部と保持部間に跨って前記封印用ICタグにより固定することを特徴とする。
本発明の書類ファイルは、ルーズリーフ式のバインダと、書類ファイルに綴じられた書類の管理情報を記録したファイル用ICタグと、請求項1に記載の封印用ICタグとを備え、バインダの止め具部とこの止め具部を保持する保持部の間に跨って封印用ICタグを固定するようにして封印するものである。
【0005】
請求項3は、前記バインダの止め具部を前記保持部から離脱した場合、前記封印用ICタグのアンテナの少なくとも一部が切断するように構成されていることを特徴とする。
本発明の大きな特徴は、封印用ICタグのアンテナの一部を切断することによって、封印用ICタグの動作を不能にして封印が破られたことを認識させるものである。そのためには、止め具部を保持部から外すと封印用ICタグのアンテナの一部が切断され、それにより封印用ICタグのIC回路部がリーダライタからの電波を受信できなくなって動作不能となるように構成する。
請求項4は、請求項2または3に記載の書類ファイルと、前記ファイル用ICタグ及び封印用ICタグに対して前記記録情報の読み書きを行うリーダライタと、該リーダライタを制御する制御手段と、を備えた書類ファイル管理システムであって、前記制御手段は、前記封印用ICタグを前記止め具部と保持部間に跨って固定した後、当該封印用ICタグのIDを前記ファイル用ICタグに記録情報として記録することを特徴とする。
封印用ICタグは一度封印が破られると、アンテナが切断され二度と使用することが不可能となる。しかし、別のICタグが不正に取り付けられた場合、封印用ICタグからの情報が読み取れるため、封印が破られたか否かを判別することが困難になる。そこで本発明では、封印用ICタグを固定した後にリーダライタによりファイル用ICタグに封印用ICタグのIDを記録しておく。
【0006】
請求項5は、前記制御手段は、前記リーダライタに前記書類ファイルを近接した場合、前記ファイル用ICタグの記録情報を読出すと共に、前記封印用ICタグの情報が読出し可能か否かをチェックし、読出し可能で且つ前記ファイル用ICタグに記録されている封印用ICタグのIDと当該封印用ICタグから読み出したIDとを比較して一致していることを確認すると、当該書類ファイルのバインダの止め具部は外されたことがないと判断することを特徴とする。
本発明では2重のセキュリティ管理を行っている。一つは封印用ICタグの情報が読出し可能か否かをチェックする方法であり、二つ目は封印用ICタグのIDが正しいか否かをチェックしていることである。そして両者が満足されると止め具部は外されたことがないと判断する方法である。
請求項6は、前記制御手段は、前記リーダライタに前記書類ファイルを近接した場合、前記ファイル用ICタグの記録情報を読出すと共に、前記封印用ICタグの情報が読出し可能か否かをチェックし、読出しが不可能な場合、若しくは読出しが可能な場合で、前記ファイル用ICタグに記録されている封印用ICタグのIDと当該封印用ICタグから読み出したIDとを比較して不一致であることを確認した場合、当該書類ファイルのバインダの止め具部は外されたことがあると判断することを特徴とする。
本発明は封印が破られたことを以下の2つの方法で確認している。即ち、封印用ICタグの情報が読出し不可能な場合、若しくは封印用ICタグの情報が読出し可能な場合で、ファイル用ICタグに記録されている封印用ICタグのIDと当該封印用ICタグから読み出したIDとが不一致の場合の何れかが確認されたときである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、封印用ICタグの保持部材に、アンテナの少なくとも一部を切断可能なように切断部を備えているので、アンテナを確実に切断して再使用を不能にすることができる。
また請求項2では、書類ファイルのバインダに着脱可能な止め具部とこれを保持する保持部により構成し、書類がバインダに綴じ込まれたとき止め具部と保持部間を封印用ICタグにより固定するので、封印後に書類を不正に持ち出すことを抑止することができる。
また請求項3では、止め具部を保持部から取り外した場合、封印用ICタグのアンテナの少なくとも一部が切断するように構成されているので、封印が破られると封印用ICタグが動作不能となり、外部のリーダライタは封印が破られたことを検知することができる。
また請求項4では、書類ファイル管理システムの制御手段は、封印用ICタグを止め具部と保持部間に固定した後、当該封印用ICタグのIDをファイル用ICタグに記録情報として記録するので、不正な封印用ICタグが使用されても、IDの不一致を検出して不正を見破ることができる。
また請求項5では、制御手段が封印用ICタグの情報が読むことが可能で、且つその封印用ICタグに記録されているIDと正規のIDが一致したことを確認して封印が破られていないと認識するので、セキュリティレベルを更に高めることができる。
また請求項6では、制御手段が封印用ICタグの情報を読むことが不可能な場合か、若しくは封印用ICタグの情報を読むことができるが、その封印用ICタグに記録されているIDと正規のIDが一致しないことの何れかを確認して封印が破られたと認識するので、封印が破られたことを更に確実に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は、一般的なICタグ用リーダライタの構成を示すブロック図である。このICタグ用リーダライタ(以下、単にリーダライタと呼ぶ)100は、リーダライタ100との間でデータの授受を行ってシステム全体を制御するPC50によって制御される。リーダライタ100は、外部のPC50とのデータの通信プロトコルを司る送受信装置1と、リーダライタ100全体の動作を制御する制御装置2と、制御装置2を動作させる手順を記録したファームウェアと読み取ったデータを格納するメモリ装置3と、制御装置2からのデータを搬送波に乗せて変調する変調器4と、操作コマンドを入力する入力装置5と、制御装置2により制御された情報を表示する表示装置6と、制御装置2からの交流信号である電力供給用信号と変調器4からの書き込みコマンドを電力増幅する電力増幅器7と、ループアンテナ9から受信した搬送波から2値化データに変換する検波復調器8と、図示しないICタグとの電力用搬送波とデータの授受をするループアンテナ9とを備えて構成されている。
次に、本構成によるリーダライタ100の動作を説明する前に、ICタグの構成を先に説明しておく。図2は、一般的なICタグの構成を示すブロック図である。本実施形態のICタグ200は、リーダライタ100からの電力用搬送波によりデータの授受をするループアンテナ20と、書き込みコマンド読み出しコマンドを生成する送受信回路21と、ループアンテナ20からの電力用搬送波を受け、それを整流して直流電力に変換する電力生成回路22と、制御用ファームウェアとデータの記憶を司るメモリ装置23と、制御回路26からの送信コマンドに搬送波を乗せて変調する変調器24と、送受信回路21からの搬送波データから2値化データに変換する検波器25と、ICタグ200の全体の動作を制御する制御回路26から構成されている。尚、ループアンテナ20は外部に設ける場合もあるが、構成は全く同一である。
【0009】
次に、図1と図2を併せて参照してそれぞれ単独の動作について説明する。リーダライタ100は、図示しない電源が入れられると制御装置2のイニシャル動作後、メモリ装置3に記憶されたプログラムに従い動作を開始する。まず、初期化が行われる。次に、制御装置2は、ICタグ200に供給する電力供給用信号と、ポーリング信号を交互に電力増幅器7から送信する。その信号は、ループアンテナ9から電磁波として外部に放射される。次に、ICタグ200がリーダライタ100に近接すると、ループアンテナ20が電力供給用信号を受信し、電力生成回路22によりその搬送波を整流して直流電力に変換して、ICタグ内の全ての回路に供給する。電力を供給されて制御回路26が駆動すると、メモリ装置23に格納されたプログラムに従って、制御を開始する。
次に、制御回路26は、まず送受信回路21からコマンドを検波器25で復調して2値化信号に変換し、そのコマンドを解析する。その結果自分が呼び出されていることを認識すると、レスポンスを変調器24により変調して送受信回路21を介してループアンテナ20から送信する。このレスポンスをリーダライタ100がループアンテナ9で受信して、検波復調器8で2値化コードに変換し、制御回路2により解析してICタグ200が規格に合致したタグであると認識する。それにより、以後リーダライタ100とICタグ200の間でポーリングが行われる。
【0010】
図3(a)は本発明を適用する書類ファイルのバインダ部を表す図であり、書類が封印されている状態を表している。この書類ファイル300は、書類ファイル300に綴じられた書類の管理情報を記録したICタグA(ファイル用ICタグ)43と、表紙30と、裏表紙38と、バインダ300aから構成されている。そしてバインダ300aは保持部35に対して着脱自在の止め具39と、止め具39を保持し、綴じる書類37の綴じ穴を通す細棒状の保持部35と、止め具39と保持部35との間に固定されたICタグB(封印用ICタグ)31(詳細は後述する)と、表紙30を閉じたときに止め具39を固定するために表紙30側に設けられたロック部40とを備えている。そしてロック部40は止め具39の凹部39aに入り込んでロックするロック片40aを備えている。またバインダ300aは背表紙42にリベット41により固定されている。
尚、止め具39には棒状の固定棒36があり、保持部35が中空となっているため、その中空部に挿入して書類37を保持する構成である。また本実施形態の場合、止め具39と保持部35がICタグB31の取り付け対象物となる。
本実施形態の書類ファイル300は、ルーズリーフ式のバインダ300aと、書類ファイルに綴じられた書類37の書類の目録等を記録したファイル用ICタグ43と、図5に記載の封印用ICタグ31とを備え、バインダの止め具39とこの止め具39を保持する保持部35の間に書類を挟んだ状態で封印用ICタグ31と保持部35との間に跨って接着することにより封印するものである。これにより、ICタグ31を切断、破壊しない限り開封することが不可能となり、その結果、無断で封印を解除して書類を不正に持ち出すことを抑止することができる。
なお、上記した書類ファイルのバインダ部の構成は、一例に過ぎない。従って、本発明は、保持部35と、保持部35に対して着脱されることによって書類を綴じる止め具部とを備えたバインダ一般に適用することができる。
【0011】
図3(b)は本発明の書類ファイル管理システムの概略ブロック図であり、書類ファイル300が図3(a)の状態のときの概略ブロック図である。同じ構成要素には同じ参照番号を付して説明する。この書類ファイル管理システム400は、図3(a)で説明した書類ファイル300と、ICタグA43とICタグB31に記録されている記録情報を読み書きするリーダライタ100と、リーダライタ100を制御するPC50とを備えて構成されている。そしてICタグB31は、情報を記録するIC回路部32と、このIC回路部32に対して記録情報を読み書きするための電波を授受するアンテナ34とを備え、アンテナ34の少なくとも一部を切断可能なように切断部33を備えている。このICタグB31はIC回路部32の部分を止め具39側に固定し、アンテナ34の先端部を保持部35側に固定する(この逆でも可)。この状態で書類ファイル300をリーダライタ100に近接して、ICタグA43にICタグB31のID(認証番号)を記録しておく。これにより書類ファイル300にバインドされた書類37はICタグB31により封印されたことになる(詳細は後述する)。
【0012】
図4(a)は本発明の書類ファイルのバインダ部を表す図であり、書類の封印が解除された状態を表している。同じ構成要素には同じ参照番号を付して説明する。この書類ファイル300は、ロック部40が解除されて止め具39が保持部35から取り外されている。このときICタグB31は切断されて切断片31a、31bに分離され、IC回路部32とアンテナ34が分離されている。
図4(b)は本発明の書類ファイル管理システムの概略ブロック図であり、書類ファイル300が図4(a)の状態のときの概略ブロック図である。同じ構成要素には同じ参照番号を付して説明する。この書類ファイル管理システム400は、図3(a)で説明した書類ファイル300と、ICタグA43とICタグB31に記録されている記録情報を読み書きするリーダライタ100と、リーダライタ100を制御するPC50とを備えて構成されている。そしてICタグB31は、情報を記録するIC回路部32と、このIC回路部32に対して記録情報を読み書きするための電波を授受するアンテナ34とが切断部33から切断されている。そして止め具39を元に戻した状態で書類ファイル300をリーダライタ100に近接して、ICタグB31の情報を読もうとするが、IC回路部32とアンテナ34が分離されているのでICタグB31の情報を読み取ることができない(詳細は後述する)。
このように止め具39を保持部35から取り外した場合、封印用ICタグ31のアンテナ34の少なくとも一部が切断するように構成されているので、封印が破られると封印用ICタグ31が動作不能となり、個々のファイルを開いて目視確認しなくても、外部のリーダライタ100は封印が破られたことを検知することができる。
【0013】
図5は本発明の封印用ICタグの構成を示す図であり、図5(a)は上面透視図、図5(b)は側面透視図である。この封印用ICタグ31は、情報を記録するIC回路部32と、このIC回路部32に対して記録情報を読み書きするための電波を授受するアンテナ34と、IC回路部32及びアンテナ34を所定の形状に保持する保持部材45と、この保持部材45を止め具39と保持部35とに固定するために設けた接着層(固定手段)44とを備え、保持部材45にはアンテナ34の少なくとも一部を切断して分断し易くしたミシン目などの切断部33を備えている。
そして一般的にはアンテナ34がIC回路部32と一体化されてICチップとして構成されている。本実施形態の封印用ICタグ31は、IC回路部32の外部にアンテナ34を備えた構成とし、そのアンテナ34の一部が切断されるように切断部33を設けたものである。そして封印用ICタグ本体を接着剤等により固定できる構成である。これによりアンテナ34を確実に切断して再使用を不能にすることができる。
図6は図3における止め具39と保持部35との間に固定されたICタグB31の固定状態を説明する図である。同じ構成要素には同じ参照番号を付して説明する。例えば、図5で説明した封印用ICタグ31の一端を止め具39の表面に沿うように貼り付け、他端を保持部35に貼り付ける。この例ではIC回路部32が止め具39側に来て、アンテナ34の先端が保持部35側に来るように貼り付けているが、どちら向きでも構わない。また切断部33が止め具39と保持部35の境界に位置するようにするのが好ましい。この状態は書類37が封印用ICタグ31により封印されている状態といえる。即ち、封印用ICタグ31に対して図示しないリーダライタから電波が放射されると、アンテナ34によりその電波を受信してIC回路部32により制御されて情報の授受が行なわれる。
【0014】
図7は図4における止め具39と保持部35との間に固定されたICタグB31が切断されIC回路部32とアンテナ34が分離されている状態を説明する図である。同じ構成要素には同じ参照番号を付して説明する。書類ファイルにバインドされている書類37を取り出すためには、止め具39を矢印Aの方向に引き上げて、固定棒36を保持部35から引き抜かなければならない。そのようにすると必然的に封印用ICタグ31は止め具39と保持部35にまたいで固定されているので、強度が弱い切断部33から切断片31a、31bに分離される。これにより止め具39を元に戻した状態で書類ファイル300をリーダライタ100に近接して、ICタグB31の情報を読もうとするが、IC回路部32とアンテナ34が分離されているのでICタグB31の情報を読み取ることができない。
図8は本発明の封印用タグを書類ファイルに取り付ける際の書類ファイル管理システムの動作を説明するフローチャートである。まず予め封印用ICタグ31に封印情報、例えば封印した日付、封印責任者名等を記録する(S1)。そして封印用ICタグ31をIC回路部32の部分を止め具39側に固定し、アンテナ34の先端部を保持部35側に固定する(この逆でも可)(S2)。この状態で書類ファイル300をリーダライタ100に近接して、ファイル用ICタグ43に封印用ICタグ31のID(認証番号)を記録する(S3)。これにより書類ファイル300にバインドされた書類は封印用ICタグ31により封印されたことになる。
このように書類ファイル管理システム400のPC50は、封印用ICタグ31を止め具39と保持部35間に固定した後、当該封印用ICタグ31のIDをファイル用ICタグ43に記録情報として記録するので、不正な封印用ICタグが使用されても、IDの不一致を検出して不正を見破ることができる。
【0015】
図9は本発明の書類ファイル管理システムの動作を説明するフローチャートである。棚卸等で書類ファイルの中身が正常にファイルされているか否かを検証するために、検証対象の書類ファイルをリーダライタ100に近接する(S11)。リーダライタ100はアンテナから電波を放射してファイル用ICタグ43と交信して記録情報を読み取る(S12)。このときファイル用ICタグ43には封印用ICタグ31のIDが記録されているので、その情報も併せて読取っておく。次に封印用ICタグ31に対してコマンドを送信して情報を読み取る(S13)。このとき封印用ICタグ31の封印が破られていなければ、封印情報が正しく読取ることができる(S14でYESのルート)。次に封印用ICタグ31が書類ファイルを封印した正規の封印用ICタグであるか否かを検証するために、この封印用ICタグ31に記録されているIDと図8でファイル用ICタグ43に記録した封印用ICタグ31の正規のIDとを比較して一致しているか否かを検証する(S15)。その結果、一致していれば(S15でYESのルート)止め具39が外されていないと判断する(S16)。またステップS14で封印用ICタグ31の封印が破られていれば、封印情報を正しく読取ることができないので(S14でNOのルート)、止め具39が外されたことがあると判断する(S17)。またステップS15で封印用ICタグ31に記録されているIDとファイル用ICタグ43に記録している封印用ICタグ31の正規のIDとが一致しなかった場合も(S15でNOのルート)、止め具39が外されたことがあると判断する(S17)。
【0016】
以上のように、PC50が封印用ICタグ31の情報が読むことが可能で、且つその封印用ICタグ31に記録されているIDと正規のIDが一致したことを確認して封印が破られていないと認識するので、セキュリティレベルを更に高めることができる。またPC50が封印用ICタグ31の情報を読むことが不可能な場合か、若しくは封印用ICタグ31の情報を読むことができるが、その封印用ICタグ31に記録されているIDと正規のIDが一致しないことの何れかを確認して封印が破られたと認識するので、封印が破られたことを更に確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】一般的なICタグ用リーダライタの構成を示すブロック図である。
【図2】一般的なICタグの構成を示すブロック図である。
【図3】(a)は書類が封印されている状態を表している図であり、(b)は書類ファイル300が封印されている状態のときの概略ブロック図である。
【図4】(a)は書類が封印が解除されている状態を表している図であり、(b)は書類ファイル300が封印が解除されている状態のときの概略ブロック図である。
【図5】本発明の封印用ICタグの構成を示す図であり、(a)は上面透視図、(b)は側面透視図である。
【図6】図3における止め具39と保持部35との間に固定されたICタグB31の固定状態を説明する図である。
【図7】図4における止め具39と保持部35との間に固定されたICタグB31が切断されIC回路部32とアンテナ34が分離されている状態を説明する図である。
【図8】本発明の封印用タグを書類ファイルに取り付ける際の書類ファイル管理システムの動作を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の書類ファイル管理システムの動作を説明するフローチャートである。
【図10】従来の書類ファイルのバインダ部を表す図である。
【図11】止め具139を保持部135から離脱したときの様子を表す部分拡大図である。
【符号の説明】
【0018】
30 表紙、31 ICタグB(封印用ICタグ)、35 保持部、37 書類、38 裏表紙、39 止め具、39a 凹部、40 ロック部、40a ロック片、41 リベット、43 ICタグA(ファイル用ICタグ)、50 PC、100 リーダライタ、300 書類ファイル、300a バインダ
【技術分野】
【0001】
本発明は、封印用ICタグ、書類ファイル及び書類ファイル管理システムに関し、さらに詳しくは、書類ファイルに綴じられた書類の持ち出しを管理する書類ファイル管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、会社、役所等のように多量の書類を保管、整理、移動する作業を日常的に行うオフィス環境では、作業を効率化するために、書類を分類して書類ファイルに綴じて管理し、その書類ファイルを収容棚に収容している形態が多く見られる。これらの書類ファイルとしては、例えば図10に示すように書類を着脱自在に綴じ込むルーズリーフ式のファイルが多く使用される。この書類ファイル500は、書類ファイル500に綴じられた書類の管理情報を記録したICタグ143と、表紙130と、裏表紙138と、バインダ500aから構成されている。そしてバインダ500aは書類を着脱自在に保持する止め具139と、止め具139を着脱自在に保持し、且つ綴じる書類の綴じ穴内に挿通される細棒状の保持部135と、保持部135により書類の綴じ穴と止め具139の固定棒136を支持した状態で表紙130を閉じたときに止め具139の凹部139aに係合してこれをロックするロック部140とを備えている。ロック部140は止め具139の凹部139aに入り込んでロックするロック片140aを備えている。またバインダ500aは背表紙142にリベット141により固定されている。
図11は止め具139を保持部135から離脱したときの様子を表す部分拡大図である。止め具139には棒状の固定棒136があり、保持部135が中空となっているため、その中空部135aに固定棒136を挿入して書類を保持する構成である。
このように通常使用される書類ファイルは、止め具139を外すことにより容易に中の書類を持ち出すことが可能となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のルーズリーフ式のファイルにあっては、ファイルを閲覧した人が止め具139を外すことにより容易に中の書類を持ち出すことが可能であるため、ICタグ141により管理されている情報とファイルの中味が一致しているとは限らない。即ち、外部からICタグの記録情報をリーダライタにより読み取っても、その情報が中味の書類と一致しているか否かは書類を確認しなければならず、管理が煩わしく確実とはいえなかった。
また、止め具139が取り外された履歴を確認したり、取外しの有無を管理するために、止め具を封印紙、或いは封印用の針金等で封印する方法もあるが、書類ファイルの封印が破られたか否かを外部から間接的に確認することができない。
本発明は、かかる課題に鑑み、止め具と保持部との間に封印用ICタグを固定し、止め具が取り外されると封印用ICタグが動作不能になる構成にして、書類ファイルの外部から封印が破られたことを検知できる書類ファイル管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、情報を記録するIC回路部と、外部から該IC回路部に対して記録情報を読み書きするために送受される電波を授受するアンテナと、前記IC回路部及びアンテナを電気的に接続した状態に保持する保持部材と、該保持部材を取付対象物に固定するための固定手段と、を備え、前記保持部材は前記IC回路部とアンテナとを分断可能にする切断部を備えていることを特徴とする。
ICタグは情報を記録するメモリ、通信回路及び制御回路から成るIC回路部と、リーダライタとの電波の授受を行なうアンテナ(ループアンテナ)から構成されている。そして一般的にはアンテナがIC回路部と一体化されてICチップとして構成されている。本発明の封印用ICタグは、IC回路部の外部にアンテナを備えた構成とし、そのアンテナの一部が切断されるように切り口を設けたものである。そして封印用ICタグ本体を接着剤等により固定できる構成である。
請求項2は、請求項1に記載の封印用ICタグと、書類を着脱自在に綴じ込むルーズリーフ式のバインダと、該バインダにより綴じられた書類についての情報を記録するファイル用ICタグと、を備えた書類ファイルであって、前記バインダは着脱可能な止め具部と該止め具部を保持する保持部により構成され、前記書類が前記バインダに綴じ込まれた場合、前記止め具部と保持部間に跨って前記封印用ICタグにより固定することを特徴とする。
本発明の書類ファイルは、ルーズリーフ式のバインダと、書類ファイルに綴じられた書類の管理情報を記録したファイル用ICタグと、請求項1に記載の封印用ICタグとを備え、バインダの止め具部とこの止め具部を保持する保持部の間に跨って封印用ICタグを固定するようにして封印するものである。
【0005】
請求項3は、前記バインダの止め具部を前記保持部から離脱した場合、前記封印用ICタグのアンテナの少なくとも一部が切断するように構成されていることを特徴とする。
本発明の大きな特徴は、封印用ICタグのアンテナの一部を切断することによって、封印用ICタグの動作を不能にして封印が破られたことを認識させるものである。そのためには、止め具部を保持部から外すと封印用ICタグのアンテナの一部が切断され、それにより封印用ICタグのIC回路部がリーダライタからの電波を受信できなくなって動作不能となるように構成する。
請求項4は、請求項2または3に記載の書類ファイルと、前記ファイル用ICタグ及び封印用ICタグに対して前記記録情報の読み書きを行うリーダライタと、該リーダライタを制御する制御手段と、を備えた書類ファイル管理システムであって、前記制御手段は、前記封印用ICタグを前記止め具部と保持部間に跨って固定した後、当該封印用ICタグのIDを前記ファイル用ICタグに記録情報として記録することを特徴とする。
封印用ICタグは一度封印が破られると、アンテナが切断され二度と使用することが不可能となる。しかし、別のICタグが不正に取り付けられた場合、封印用ICタグからの情報が読み取れるため、封印が破られたか否かを判別することが困難になる。そこで本発明では、封印用ICタグを固定した後にリーダライタによりファイル用ICタグに封印用ICタグのIDを記録しておく。
【0006】
請求項5は、前記制御手段は、前記リーダライタに前記書類ファイルを近接した場合、前記ファイル用ICタグの記録情報を読出すと共に、前記封印用ICタグの情報が読出し可能か否かをチェックし、読出し可能で且つ前記ファイル用ICタグに記録されている封印用ICタグのIDと当該封印用ICタグから読み出したIDとを比較して一致していることを確認すると、当該書類ファイルのバインダの止め具部は外されたことがないと判断することを特徴とする。
本発明では2重のセキュリティ管理を行っている。一つは封印用ICタグの情報が読出し可能か否かをチェックする方法であり、二つ目は封印用ICタグのIDが正しいか否かをチェックしていることである。そして両者が満足されると止め具部は外されたことがないと判断する方法である。
請求項6は、前記制御手段は、前記リーダライタに前記書類ファイルを近接した場合、前記ファイル用ICタグの記録情報を読出すと共に、前記封印用ICタグの情報が読出し可能か否かをチェックし、読出しが不可能な場合、若しくは読出しが可能な場合で、前記ファイル用ICタグに記録されている封印用ICタグのIDと当該封印用ICタグから読み出したIDとを比較して不一致であることを確認した場合、当該書類ファイルのバインダの止め具部は外されたことがあると判断することを特徴とする。
本発明は封印が破られたことを以下の2つの方法で確認している。即ち、封印用ICタグの情報が読出し不可能な場合、若しくは封印用ICタグの情報が読出し可能な場合で、ファイル用ICタグに記録されている封印用ICタグのIDと当該封印用ICタグから読み出したIDとが不一致の場合の何れかが確認されたときである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、封印用ICタグの保持部材に、アンテナの少なくとも一部を切断可能なように切断部を備えているので、アンテナを確実に切断して再使用を不能にすることができる。
また請求項2では、書類ファイルのバインダに着脱可能な止め具部とこれを保持する保持部により構成し、書類がバインダに綴じ込まれたとき止め具部と保持部間を封印用ICタグにより固定するので、封印後に書類を不正に持ち出すことを抑止することができる。
また請求項3では、止め具部を保持部から取り外した場合、封印用ICタグのアンテナの少なくとも一部が切断するように構成されているので、封印が破られると封印用ICタグが動作不能となり、外部のリーダライタは封印が破られたことを検知することができる。
また請求項4では、書類ファイル管理システムの制御手段は、封印用ICタグを止め具部と保持部間に固定した後、当該封印用ICタグのIDをファイル用ICタグに記録情報として記録するので、不正な封印用ICタグが使用されても、IDの不一致を検出して不正を見破ることができる。
また請求項5では、制御手段が封印用ICタグの情報が読むことが可能で、且つその封印用ICタグに記録されているIDと正規のIDが一致したことを確認して封印が破られていないと認識するので、セキュリティレベルを更に高めることができる。
また請求項6では、制御手段が封印用ICタグの情報を読むことが不可能な場合か、若しくは封印用ICタグの情報を読むことができるが、その封印用ICタグに記録されているIDと正規のIDが一致しないことの何れかを確認して封印が破られたと認識するので、封印が破られたことを更に確実に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は、一般的なICタグ用リーダライタの構成を示すブロック図である。このICタグ用リーダライタ(以下、単にリーダライタと呼ぶ)100は、リーダライタ100との間でデータの授受を行ってシステム全体を制御するPC50によって制御される。リーダライタ100は、外部のPC50とのデータの通信プロトコルを司る送受信装置1と、リーダライタ100全体の動作を制御する制御装置2と、制御装置2を動作させる手順を記録したファームウェアと読み取ったデータを格納するメモリ装置3と、制御装置2からのデータを搬送波に乗せて変調する変調器4と、操作コマンドを入力する入力装置5と、制御装置2により制御された情報を表示する表示装置6と、制御装置2からの交流信号である電力供給用信号と変調器4からの書き込みコマンドを電力増幅する電力増幅器7と、ループアンテナ9から受信した搬送波から2値化データに変換する検波復調器8と、図示しないICタグとの電力用搬送波とデータの授受をするループアンテナ9とを備えて構成されている。
次に、本構成によるリーダライタ100の動作を説明する前に、ICタグの構成を先に説明しておく。図2は、一般的なICタグの構成を示すブロック図である。本実施形態のICタグ200は、リーダライタ100からの電力用搬送波によりデータの授受をするループアンテナ20と、書き込みコマンド読み出しコマンドを生成する送受信回路21と、ループアンテナ20からの電力用搬送波を受け、それを整流して直流電力に変換する電力生成回路22と、制御用ファームウェアとデータの記憶を司るメモリ装置23と、制御回路26からの送信コマンドに搬送波を乗せて変調する変調器24と、送受信回路21からの搬送波データから2値化データに変換する検波器25と、ICタグ200の全体の動作を制御する制御回路26から構成されている。尚、ループアンテナ20は外部に設ける場合もあるが、構成は全く同一である。
【0009】
次に、図1と図2を併せて参照してそれぞれ単独の動作について説明する。リーダライタ100は、図示しない電源が入れられると制御装置2のイニシャル動作後、メモリ装置3に記憶されたプログラムに従い動作を開始する。まず、初期化が行われる。次に、制御装置2は、ICタグ200に供給する電力供給用信号と、ポーリング信号を交互に電力増幅器7から送信する。その信号は、ループアンテナ9から電磁波として外部に放射される。次に、ICタグ200がリーダライタ100に近接すると、ループアンテナ20が電力供給用信号を受信し、電力生成回路22によりその搬送波を整流して直流電力に変換して、ICタグ内の全ての回路に供給する。電力を供給されて制御回路26が駆動すると、メモリ装置23に格納されたプログラムに従って、制御を開始する。
次に、制御回路26は、まず送受信回路21からコマンドを検波器25で復調して2値化信号に変換し、そのコマンドを解析する。その結果自分が呼び出されていることを認識すると、レスポンスを変調器24により変調して送受信回路21を介してループアンテナ20から送信する。このレスポンスをリーダライタ100がループアンテナ9で受信して、検波復調器8で2値化コードに変換し、制御回路2により解析してICタグ200が規格に合致したタグであると認識する。それにより、以後リーダライタ100とICタグ200の間でポーリングが行われる。
【0010】
図3(a)は本発明を適用する書類ファイルのバインダ部を表す図であり、書類が封印されている状態を表している。この書類ファイル300は、書類ファイル300に綴じられた書類の管理情報を記録したICタグA(ファイル用ICタグ)43と、表紙30と、裏表紙38と、バインダ300aから構成されている。そしてバインダ300aは保持部35に対して着脱自在の止め具39と、止め具39を保持し、綴じる書類37の綴じ穴を通す細棒状の保持部35と、止め具39と保持部35との間に固定されたICタグB(封印用ICタグ)31(詳細は後述する)と、表紙30を閉じたときに止め具39を固定するために表紙30側に設けられたロック部40とを備えている。そしてロック部40は止め具39の凹部39aに入り込んでロックするロック片40aを備えている。またバインダ300aは背表紙42にリベット41により固定されている。
尚、止め具39には棒状の固定棒36があり、保持部35が中空となっているため、その中空部に挿入して書類37を保持する構成である。また本実施形態の場合、止め具39と保持部35がICタグB31の取り付け対象物となる。
本実施形態の書類ファイル300は、ルーズリーフ式のバインダ300aと、書類ファイルに綴じられた書類37の書類の目録等を記録したファイル用ICタグ43と、図5に記載の封印用ICタグ31とを備え、バインダの止め具39とこの止め具39を保持する保持部35の間に書類を挟んだ状態で封印用ICタグ31と保持部35との間に跨って接着することにより封印するものである。これにより、ICタグ31を切断、破壊しない限り開封することが不可能となり、その結果、無断で封印を解除して書類を不正に持ち出すことを抑止することができる。
なお、上記した書類ファイルのバインダ部の構成は、一例に過ぎない。従って、本発明は、保持部35と、保持部35に対して着脱されることによって書類を綴じる止め具部とを備えたバインダ一般に適用することができる。
【0011】
図3(b)は本発明の書類ファイル管理システムの概略ブロック図であり、書類ファイル300が図3(a)の状態のときの概略ブロック図である。同じ構成要素には同じ参照番号を付して説明する。この書類ファイル管理システム400は、図3(a)で説明した書類ファイル300と、ICタグA43とICタグB31に記録されている記録情報を読み書きするリーダライタ100と、リーダライタ100を制御するPC50とを備えて構成されている。そしてICタグB31は、情報を記録するIC回路部32と、このIC回路部32に対して記録情報を読み書きするための電波を授受するアンテナ34とを備え、アンテナ34の少なくとも一部を切断可能なように切断部33を備えている。このICタグB31はIC回路部32の部分を止め具39側に固定し、アンテナ34の先端部を保持部35側に固定する(この逆でも可)。この状態で書類ファイル300をリーダライタ100に近接して、ICタグA43にICタグB31のID(認証番号)を記録しておく。これにより書類ファイル300にバインドされた書類37はICタグB31により封印されたことになる(詳細は後述する)。
【0012】
図4(a)は本発明の書類ファイルのバインダ部を表す図であり、書類の封印が解除された状態を表している。同じ構成要素には同じ参照番号を付して説明する。この書類ファイル300は、ロック部40が解除されて止め具39が保持部35から取り外されている。このときICタグB31は切断されて切断片31a、31bに分離され、IC回路部32とアンテナ34が分離されている。
図4(b)は本発明の書類ファイル管理システムの概略ブロック図であり、書類ファイル300が図4(a)の状態のときの概略ブロック図である。同じ構成要素には同じ参照番号を付して説明する。この書類ファイル管理システム400は、図3(a)で説明した書類ファイル300と、ICタグA43とICタグB31に記録されている記録情報を読み書きするリーダライタ100と、リーダライタ100を制御するPC50とを備えて構成されている。そしてICタグB31は、情報を記録するIC回路部32と、このIC回路部32に対して記録情報を読み書きするための電波を授受するアンテナ34とが切断部33から切断されている。そして止め具39を元に戻した状態で書類ファイル300をリーダライタ100に近接して、ICタグB31の情報を読もうとするが、IC回路部32とアンテナ34が分離されているのでICタグB31の情報を読み取ることができない(詳細は後述する)。
このように止め具39を保持部35から取り外した場合、封印用ICタグ31のアンテナ34の少なくとも一部が切断するように構成されているので、封印が破られると封印用ICタグ31が動作不能となり、個々のファイルを開いて目視確認しなくても、外部のリーダライタ100は封印が破られたことを検知することができる。
【0013】
図5は本発明の封印用ICタグの構成を示す図であり、図5(a)は上面透視図、図5(b)は側面透視図である。この封印用ICタグ31は、情報を記録するIC回路部32と、このIC回路部32に対して記録情報を読み書きするための電波を授受するアンテナ34と、IC回路部32及びアンテナ34を所定の形状に保持する保持部材45と、この保持部材45を止め具39と保持部35とに固定するために設けた接着層(固定手段)44とを備え、保持部材45にはアンテナ34の少なくとも一部を切断して分断し易くしたミシン目などの切断部33を備えている。
そして一般的にはアンテナ34がIC回路部32と一体化されてICチップとして構成されている。本実施形態の封印用ICタグ31は、IC回路部32の外部にアンテナ34を備えた構成とし、そのアンテナ34の一部が切断されるように切断部33を設けたものである。そして封印用ICタグ本体を接着剤等により固定できる構成である。これによりアンテナ34を確実に切断して再使用を不能にすることができる。
図6は図3における止め具39と保持部35との間に固定されたICタグB31の固定状態を説明する図である。同じ構成要素には同じ参照番号を付して説明する。例えば、図5で説明した封印用ICタグ31の一端を止め具39の表面に沿うように貼り付け、他端を保持部35に貼り付ける。この例ではIC回路部32が止め具39側に来て、アンテナ34の先端が保持部35側に来るように貼り付けているが、どちら向きでも構わない。また切断部33が止め具39と保持部35の境界に位置するようにするのが好ましい。この状態は書類37が封印用ICタグ31により封印されている状態といえる。即ち、封印用ICタグ31に対して図示しないリーダライタから電波が放射されると、アンテナ34によりその電波を受信してIC回路部32により制御されて情報の授受が行なわれる。
【0014】
図7は図4における止め具39と保持部35との間に固定されたICタグB31が切断されIC回路部32とアンテナ34が分離されている状態を説明する図である。同じ構成要素には同じ参照番号を付して説明する。書類ファイルにバインドされている書類37を取り出すためには、止め具39を矢印Aの方向に引き上げて、固定棒36を保持部35から引き抜かなければならない。そのようにすると必然的に封印用ICタグ31は止め具39と保持部35にまたいで固定されているので、強度が弱い切断部33から切断片31a、31bに分離される。これにより止め具39を元に戻した状態で書類ファイル300をリーダライタ100に近接して、ICタグB31の情報を読もうとするが、IC回路部32とアンテナ34が分離されているのでICタグB31の情報を読み取ることができない。
図8は本発明の封印用タグを書類ファイルに取り付ける際の書類ファイル管理システムの動作を説明するフローチャートである。まず予め封印用ICタグ31に封印情報、例えば封印した日付、封印責任者名等を記録する(S1)。そして封印用ICタグ31をIC回路部32の部分を止め具39側に固定し、アンテナ34の先端部を保持部35側に固定する(この逆でも可)(S2)。この状態で書類ファイル300をリーダライタ100に近接して、ファイル用ICタグ43に封印用ICタグ31のID(認証番号)を記録する(S3)。これにより書類ファイル300にバインドされた書類は封印用ICタグ31により封印されたことになる。
このように書類ファイル管理システム400のPC50は、封印用ICタグ31を止め具39と保持部35間に固定した後、当該封印用ICタグ31のIDをファイル用ICタグ43に記録情報として記録するので、不正な封印用ICタグが使用されても、IDの不一致を検出して不正を見破ることができる。
【0015】
図9は本発明の書類ファイル管理システムの動作を説明するフローチャートである。棚卸等で書類ファイルの中身が正常にファイルされているか否かを検証するために、検証対象の書類ファイルをリーダライタ100に近接する(S11)。リーダライタ100はアンテナから電波を放射してファイル用ICタグ43と交信して記録情報を読み取る(S12)。このときファイル用ICタグ43には封印用ICタグ31のIDが記録されているので、その情報も併せて読取っておく。次に封印用ICタグ31に対してコマンドを送信して情報を読み取る(S13)。このとき封印用ICタグ31の封印が破られていなければ、封印情報が正しく読取ることができる(S14でYESのルート)。次に封印用ICタグ31が書類ファイルを封印した正規の封印用ICタグであるか否かを検証するために、この封印用ICタグ31に記録されているIDと図8でファイル用ICタグ43に記録した封印用ICタグ31の正規のIDとを比較して一致しているか否かを検証する(S15)。その結果、一致していれば(S15でYESのルート)止め具39が外されていないと判断する(S16)。またステップS14で封印用ICタグ31の封印が破られていれば、封印情報を正しく読取ることができないので(S14でNOのルート)、止め具39が外されたことがあると判断する(S17)。またステップS15で封印用ICタグ31に記録されているIDとファイル用ICタグ43に記録している封印用ICタグ31の正規のIDとが一致しなかった場合も(S15でNOのルート)、止め具39が外されたことがあると判断する(S17)。
【0016】
以上のように、PC50が封印用ICタグ31の情報が読むことが可能で、且つその封印用ICタグ31に記録されているIDと正規のIDが一致したことを確認して封印が破られていないと認識するので、セキュリティレベルを更に高めることができる。またPC50が封印用ICタグ31の情報を読むことが不可能な場合か、若しくは封印用ICタグ31の情報を読むことができるが、その封印用ICタグ31に記録されているIDと正規のIDが一致しないことの何れかを確認して封印が破られたと認識するので、封印が破られたことを更に確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】一般的なICタグ用リーダライタの構成を示すブロック図である。
【図2】一般的なICタグの構成を示すブロック図である。
【図3】(a)は書類が封印されている状態を表している図であり、(b)は書類ファイル300が封印されている状態のときの概略ブロック図である。
【図4】(a)は書類が封印が解除されている状態を表している図であり、(b)は書類ファイル300が封印が解除されている状態のときの概略ブロック図である。
【図5】本発明の封印用ICタグの構成を示す図であり、(a)は上面透視図、(b)は側面透視図である。
【図6】図3における止め具39と保持部35との間に固定されたICタグB31の固定状態を説明する図である。
【図7】図4における止め具39と保持部35との間に固定されたICタグB31が切断されIC回路部32とアンテナ34が分離されている状態を説明する図である。
【図8】本発明の封印用タグを書類ファイルに取り付ける際の書類ファイル管理システムの動作を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の書類ファイル管理システムの動作を説明するフローチャートである。
【図10】従来の書類ファイルのバインダ部を表す図である。
【図11】止め具139を保持部135から離脱したときの様子を表す部分拡大図である。
【符号の説明】
【0018】
30 表紙、31 ICタグB(封印用ICタグ)、35 保持部、37 書類、38 裏表紙、39 止め具、39a 凹部、40 ロック部、40a ロック片、41 リベット、43 ICタグA(ファイル用ICタグ)、50 PC、100 リーダライタ、300 書類ファイル、300a バインダ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を記録するIC回路部と、外部から該IC回路部に対して記録情報を読み書きするために送受される電波を授受するアンテナと、前記IC回路部及びアンテナを電気的に接続した状態に保持する保持部材と、該保持部材を取付対象物に固定するための固定手段と、を備え、前記保持部材は前記IC回路部とアンテナとを分断可能にする切断部を備えていることを特徴とする封印用ICタグ。
【請求項2】
請求項1に記載の封印用ICタグと、書類を着脱自在に綴じ込むルーズリーフ式のバインダと、該バインダに綴じられた書類についての情報を記録するファイル用ICタグと、を備えた書類ファイルであって、
前記バインダは着脱可能な止め具部と該止め具部を保持する保持部により構成され、前記書類が前記バインダに綴じ込まれた場合、前記止め具部と保持部間に跨って前記封印用ICタグにより固定することを特徴とする書類ファイル。
【請求項3】
前記バインダの止め具部を前記保持部から離脱した場合、前記封印用ICタグのアンテナの少なくとも一部が切断するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の書類ファイル。
【請求項4】
請求項2または3に記載の書類ファイルと、前記ファイル用ICタグ及び封印用ICタグに対して前記記録情報の読み書きを行うリーダライタと、該リーダライタを制御する制御手段と、を備えた書類ファイル管理システムであって、
前記制御手段は、前記封印用ICタグを前記止め具部と保持部間に跨って固定した後、当該封印用ICタグのIDを前記ファイル用ICタグに記録情報として記録することを特徴とする書類ファイル管理システム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記リーダライタに前記書類ファイルを近接した場合、前記ファイル用ICタグの記録情報を読出すと共に、前記封印用ICタグの情報が読出し可能か否かをチェックし、読出し可能で且つ前記ファイル用ICタグに記録されている封印用ICタグのIDと当該封印用ICタグから読み出したIDとを比較して一致していることを確認すると、当該書類ファイルのバインダの止め具部は外されたことがないと判断することを特徴とする請求項4に記載の書類ファイル管理システム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記リーダライタに前記書類ファイルを近接した場合、前記ファイル用ICタグの記録情報を読出すと共に、前記封印用ICタグの情報が読出し可能か否かをチェックし、読出しが不可能な場合、若しくは読出しが可能な場合で、前記ファイル用ICタグに記録されている封印用ICタグのIDと当該封印用ICタグから読み出したIDとを比較して不一致であることを確認した場合、当該書類ファイルのバインダの止め具部は外されたことがあると判断することを特徴とする請求項4に記載の書類ファイル管理システム。
【請求項1】
情報を記録するIC回路部と、外部から該IC回路部に対して記録情報を読み書きするために送受される電波を授受するアンテナと、前記IC回路部及びアンテナを電気的に接続した状態に保持する保持部材と、該保持部材を取付対象物に固定するための固定手段と、を備え、前記保持部材は前記IC回路部とアンテナとを分断可能にする切断部を備えていることを特徴とする封印用ICタグ。
【請求項2】
請求項1に記載の封印用ICタグと、書類を着脱自在に綴じ込むルーズリーフ式のバインダと、該バインダに綴じられた書類についての情報を記録するファイル用ICタグと、を備えた書類ファイルであって、
前記バインダは着脱可能な止め具部と該止め具部を保持する保持部により構成され、前記書類が前記バインダに綴じ込まれた場合、前記止め具部と保持部間に跨って前記封印用ICタグにより固定することを特徴とする書類ファイル。
【請求項3】
前記バインダの止め具部を前記保持部から離脱した場合、前記封印用ICタグのアンテナの少なくとも一部が切断するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の書類ファイル。
【請求項4】
請求項2または3に記載の書類ファイルと、前記ファイル用ICタグ及び封印用ICタグに対して前記記録情報の読み書きを行うリーダライタと、該リーダライタを制御する制御手段と、を備えた書類ファイル管理システムであって、
前記制御手段は、前記封印用ICタグを前記止め具部と保持部間に跨って固定した後、当該封印用ICタグのIDを前記ファイル用ICタグに記録情報として記録することを特徴とする書類ファイル管理システム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記リーダライタに前記書類ファイルを近接した場合、前記ファイル用ICタグの記録情報を読出すと共に、前記封印用ICタグの情報が読出し可能か否かをチェックし、読出し可能で且つ前記ファイル用ICタグに記録されている封印用ICタグのIDと当該封印用ICタグから読み出したIDとを比較して一致していることを確認すると、当該書類ファイルのバインダの止め具部は外されたことがないと判断することを特徴とする請求項4に記載の書類ファイル管理システム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記リーダライタに前記書類ファイルを近接した場合、前記ファイル用ICタグの記録情報を読出すと共に、前記封印用ICタグの情報が読出し可能か否かをチェックし、読出しが不可能な場合、若しくは読出しが可能な場合で、前記ファイル用ICタグに記録されている封印用ICタグのIDと当該封印用ICタグから読み出したIDとを比較して不一致であることを確認した場合、当該書類ファイルのバインダの止め具部は外されたことがあると判断することを特徴とする請求項4に記載の書類ファイル管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−39302(P2006−39302A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−220413(P2004−220413)
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】
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