説明

封止フィルムの透過率の改善方法

炭素含有材料層を基板上に堆積するための方法は、炭素含有材料層用の前駆体混合物を処理チャンバ内に供給し、炭素含有材料層をケイ素でドープし、炭素含有材料層を低温で堆積することを含む。一態様において、炭素含有材料層の光透過率は可視光スペクトルの全ての波長で改善される。加えて、封止層を堆積するための方法は使用される下層材料の熱安定性不良により低温堆積処理を必要とする様々なディスプレイ用途を対象としている。封止層は1つ以上のバリア層材料層と1つ以上の非晶質炭素材料層を含んでいてもよい。非晶質炭素材料は熱応力を軽減し、堆積した薄層が基板から剥離することを防止するために使用可能である。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
(発明の分野)
本発明の実施形態は、概して、化学気相蒸着処理を用いての薄膜の堆積に関する。更に具体的には、本発明は大面積基板上に薄膜を堆積するための方法に関する。
【0002】
(関連技術の説明)
有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)と比較した場合のその迅速な応答時間、広い視野角、高いコントラスト、軽量性、低電力及び可撓性基板への適合度の高さという観点から、近年、ディスプレイ用途で非常に高い関心を得ている。OLEDの実際的な応用は、図1に図示されるように、2つの電極102、104に挟持されて基板101上に構成される有機材料103の層を用いて可能となる。例えば、従来の単一の有機層とは対照的に、単極(孔)輸送が可能な層ともう一方のエレクトロルミネセンス用の層を含む2つの有機層をアノード層及びカソード層と共に用いてOLEDディスプレイに必要な動作電圧を低下させることが可能である。通常、カソード層は金属材料を含み、アノード層はインジウムスズ酸化物(ITO)材料等の透明材料を含んでいてもよく、トップエミッション方式のデバイス又はボトムエミッション方式のデバイスでの発光用にそれぞれ基板に隣接した底部又はOLEDデバイスの最上部に配置される。有機薄膜トランジスタ(TFT)デバイス、アクティブマトリクス方式デバイス、及びその他のデバイスはTFT構造等の追加の構造を含んでいてもよい。
【0003】
長年に亘り、ディスプレイデバイス中の層は各層が異なる機能を果たす多層構造へと進化してきた。例えば、積層させた有機層には正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び電子注入層が含まれる。上記5つの有機層全てがOLEDセルの構築に必要であるわけではないことに留意しなくてはならない。例えば、場合によっては、正孔輸送層及び発光層だけが必要である。適当な電圧(典型的には数ボルト)をセルに印加すると、注入された正負の電荷が発光層内で再結合して発光する(エレクトロルミネセンス)。有機層の構造及びアノード、カソード層の選択は発光層内での再結合過程が最も有効に行われ、OLEDデバイスからの光出力が最大となるように設計されている。
【0004】
OLEDで使用される有機材料に加え、多くの高分子材料もまた、分子の小さい、フレキシブル有機発光ダイオード(FOLED)及び高分子型発光ダイオード(PLED)ディスプレイ用に開発されている。これらの有機及び高分子材料の多くは様々な基板上に複合多層型デバイスを形成する際に融通が利くことから、様々な透明多色ディスプレイ用途、例えば薄型フラットパネルディスプレイ(FPD)、フレキシブルディスプレイ、電気励起型有機レーザ、及び有機光増幅装置にとって理想的である。ディスプレイデバイスの寿命には限界があり、EL効率の低下と駆動電圧の上昇を特徴とし、有機又は高分子材料の劣化、発光しないダークスポットの形成、及び約55℃以上の高温での有機層の結晶化、例えば正孔輸送材料の結晶化を原因としている。従って、これらの材料を低温、例えば約100℃以下で堆積する方法が必要である。
【0005】
加えて、材料の劣化及びダークスポット問題の主な原因に水分と酸素の侵入がある。例えば、湿度の高い大気への曝露が、発光層としてよく使用される8−ヒドロキシキノリン・アルミニウム(Alq)の結晶構造の形成を誘発し、これがカソードの剥離につながり、時間の経過と共に発光しないダークスポットの拡大につながることが判明している。加えて、空気又は酸素への曝露によりカソードの酸化が生じる可能性があり、有機材料は一旦、水又は酸素と反応すると使い物にならなくなる。現在、殆どのディスプレイ製造業者が金属缶又はガラス缶材料をデバイス内の有機材料を水(HO)又は酸素(O)からの攻撃から保護するための封止層として使用している。金属又はガラス材料は紫外線硬化させたエポキシ樹脂のビードを用いて蓋のようにして基板に取り付けられる。しかしながら、水分はエポキシ樹脂に容易に浸透可能であるため、デバイスを損傷してしまう。
【0006】
無機材料、例えばプラズマ化学気相蒸着(PECVD)で形成した窒化ケイ素(SiN)、酸窒化ケイ素(SiON)及び酸化ケイ素(SiO)等のその他の材料を水分、空気及びこういったデバイスにとって腐食性を示すイオンに対して効果的な封止/バリア層として使用することも可能である。例えば、図1に図示されるように、封止/バリア層105は基板101の最上部上に堆積され、その下の電極102、104及び有機材料103を保護している。しかしながら、遮水無機封止材料を低温堆積法を用いて生成するのは非常に困難であり、これは得られるフィルムの密度が低く、欠陥ピンホール構造の発生が高くなるからである。有機層中での水分の残留も、封止したデバイス内であってもAlqの結晶化過程を促進することがあるということに留意することが重要である。加えて、封止時に捕捉されOLEDデバイス内に浸透してカソードや有機材料と接触する酸素及び湿気により、通常、ダークスポットが形成され、有機発光ダイオードを損なう欠陥となることが多い。従って、良好な封止/バリアフィルムは水蒸気透過速度(WVTR)が低い必要もある。
【0007】
薄膜無機窒化ケイ素(SiN)に関連した材料を封止/バリア層として使用する場合には別の問題が生じる。封止層を厚く堆積すると酸素及び水に対しての良好なバリアとして機能するが、通常、硬質で脆く、厚すぎることから基板表面への接着性が低く、特に高温及び高湿度という条件下では亀裂や基板表面からの剥離が発生する。封止層を薄くすると接着性と熱安定性が向上するが、水分バリアとしては厚さが不十分となる。従って、追加のストレス緩和層又はその他の操作が必要となる場合がある。例えば、我々は、以前は1つ以上の低誘電率材料層を1つ以上の無機封止/バリア層と交互に用いることで遮水性と熱応力性能を改善し、その下のデバイスを保護していた。しかしながら、良好な遮水性能が得られたにもかかわらず、低誘電率材料はあまり透明性が高くなく、複数の層を用いた場合、光透過率が低下する。このため、交互に積層した低誘電率材料は多層型封止層を通しての発光が必要とされる用途には適合しない。図2は可視光スペクトルを透過する光と異なる厚みの低誘電率材料フィルムとの間の直接的な相関関係を示す。線240は最も厚みのあるフィルム、線210は最も薄いフィルムを表しており、4つの誘電率材料フィルムの透過率は4つの線210、220、230、240について低波長で特に低く、これらの波長での光透過性の質に直接影響し、カラーディスプレイの不良へとつながる。
【0008】
従って、大面積基板上に透過性を改善しながらストレス緩和材料と封止/バリア材料から成る複数の層を堆積するための方法が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本発明の実施形態は、概して、基板上に封止フィルムを堆積するための方法及び装置を提供する。一実施形態において、多層型封止フィルムを基板処理システム内に設置された基板上に形成する方法は、第1ケイ素含有化合物を基板処理システムへと供給することで複数のケイ素含有無機バリア層を基板表面上に堆積することを含む。本方法は、1つ以上の炭素含有材料層をその1つ以上のケイ素含有無機バリア層の間に及び/又は交互に基板温度約200℃以下で堆積することを更に含み、炭素含有化合物と、第2ケイ素含有化合物と、窒素含有化合物を含む前駆体混合物を基板処理システムに供給することで行う。
【0010】
別の実施形態においては、非晶質炭素層を備えた多層型封止フィルムを基板処理システム内の基板上に形成する方法は非晶質炭素層用の炭化水素含有前駆体を供給し、非晶質炭素層のフィルム均一性を改善するための水素ガスを基板処理システムに供給し、非晶質炭素層の光透過率を約80%以上にと全ての可視光スペクトルの波長でもって改善するためのケイ素含有前駆体と窒素含有前駆体とを基板処理システムに供給することを含む。本方法は更に基板温度を約150℃以下に制御し、プラズマを発生させることで非晶質炭素層を基板表面上に堆積し、所望の厚さの非晶質炭素層が得られるまで非晶質炭素層を基板上に堆積することを含む。
【0011】
更に別の実施形態では、ケイ素含有無機バリア材料と炭素含有材料の1つ以上の層を有する封止層を基板処理システム内の基板上へと堆積する方法を提供する。本方法はケイ素含有無機バリア層用の第1前駆体混合物を供給し、水素ガスを基板処理システム内に供給し、基板の温度を約150℃以下に制御し、プラズマを発生させることでケイ素含有無機バリア層を基板表面上に堆積することを含む。本方法は、炭素含有材料層用の第2前駆体混合物を供給し、水素ガスを基板処理システム内に供給し、基板温度を約150℃以下に制御し、プラズマを発生させて炭素含有材料層をケイ素含有無機バリア層の表面に堆積させることを更に含む。第2前駆体混合物は炭化水素含有前駆体と、ケイ素含有前駆体と、窒素含有前駆体を含む。封止層は、その厚さが約15000オングストローム以上に達するまで基板上に堆積される。
【0012】
更に別の実施形態において、非晶質炭素層を備えた多層型封止フィルムを基板処理システム内の基板上に形成する方法は炭化水素含有前駆体を非晶質炭層の形成のために第1流量で供給し、非晶質炭素層のフィルム均一性を改善するための水素ガスを基板処理システムに供給することを含む。本方法は、ケイ素含有前駆体を第2流量で、窒素含有前駆体を第3流量で基板処理システムに供給し、基板温度を約150℃以下に制御し、プラズマを基板処理システム内で一定時間発生させることを更に含み、ここで第1流量と第2流量の比を4:1以上とすることで非晶質炭素層を基板表面上に堆積し、非晶質炭素層をケイ素でドープする。
【0013】
更に別の実施形態において、低温材料層を基板上に堆積するための装置も提供する。本装置は処理チャンバ内に配置された、大面積基板等の基板を支持するための基板支持体と、処理チャンバ内部でプラズマを発生させるための、処理チャンバに連結されたRF源と、処理チャンバに連結されたケイ素含有化合物供給源と、処理チャンバに連結された1つ以上の窒素含有化合物供給源と、処理チャンバに連結された水素ガス供給源と、処理チャンバに連結された炭素含有化合物供給源と、基板処理中、基板温度を約200℃以下に制御し、かつ1つ以上の炭素含有材料層を1つ以上のケイ素含有無機バリア層の間に有する封止層を堆積するよう適合された、処理チャンバに連結された制御装置とを含む。
【詳細な説明】
【0014】
本発明は、概して、基板とその上に堆積されたフィルム/層との間の遮水及び熱安定性能を改善するための方法に関する。本発明では水素ガスを用いてフィルム表面粗さを軽減し、基板表面上で滑らかなフィルム表面と高いレベルのフィルム均一性を実現することについて記載している。堆積されたフィルム表面が滑らかであることで更に水と酸素の大気中からフィルム内への浸透が防止され、非常に低いWVTR(Water Vapor Transmission Rate:水蒸気透過速度)値を示す。WVTRはフラットパネルディスプレイ(FPD)業界において遮水性能を示す重要なパラメータである。更に、本発明はディスプレイデバイス等の基板表面上に封止/バリア層を堆積することでデバイスの寿命を大幅に増大/延ばすための方法及び装置を提供する。
【0015】
加えて、本発明は低温、例えば約200℃以下で炭素含有材料層を大面積基板表面上に堆積し、図2で図示されるような430nm〜570nmの低波長で観察される低光透過率を克服するための方法について記載している。従って、本発明は可視光スペクトルの全ての波長、例えば400nm〜900nmで約80%以上まで炭素含有材料層の光透過率を上昇させる。
【0016】
炭素含有材料層としては非晶質炭素材料、ケイ素ドープ炭素材料、ダイヤモンド様炭素材料、炭素ドープケイ素含有材料その他を挙げることができる。炭素含有材料及び/又は非晶質炭素材料を封止層の一部として使用して、封止層のフィルム均一性、フィルム接着性、及び熱安定性を改善することが可能である。従って、炭素含有材料又は非晶質炭素材料の1つ以上の層を基板表面上に堆積させ、OLEDデバイスその他等のディスプレイデバイスの遮水性能を改善するための接着性強化層又は熱応力緩和層として機能させることが可能である。
【0017】
本発明は更に、水及び酸素の基板表面への拡散の防止に使用可能な単層又は多層型封止フィルムを提供する。単層型封止フィルムはケイ素含有無機バリア材料であってもよく、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素その他が挙げられる。多層型封止フィルムは1つ以上のバリア層と1つ以上の炭素含有材料層を含んでいてもよい。1つ以上の炭素含有材料層は、封止層及び/又は1つ以上のバリア層の接着性と熱安定性を強化する役割を果たす。
【0018】
一実施形態において、1つ以上の炭素含有材料層は1つ以上のバリア層間に堆積される。例えば、少なくとも1つの非晶質炭素層と少なくとも1つのバリア材料層を交互にディスプレイデバイス等の基板表面上に堆積する。
【0019】
別の実施形態では、第1非晶質炭素層より前に第1バリア層を基板表面上に堆積することで良好な遮水性能を付与する。更に別の実施形態においては、ケイ素含有無機バリア材料が最上層として堆積されるように多層型の封止フィルムを基板表面の最上部に堆積することで、良好な遮水バリア性能を封止フィルムに付与している。
【0020】
本発明の基板は半導体ウェハ製造及びフラットパネルディスプレイ製造用に円形又は多角形が可能である。フラットパネルディスプレイ用の矩形基板の表面積は典型的には広く、例えば少なくとも約300mmx約400mmの約500mm以上、例えば約120000mm以上の矩形である。加えて、本発明はいずれのデバイスにも応用でき、OLED、FOLED、PLED、有機TFT、アクティブマトリクス、パッシブマトリクス、トップエミッション方式デバイス、ボトムエミッション方式デバイス、太陽電池等が挙げられ、シリコンウェハ、ガラス基板、金属基板、プラスチックフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等)、プラスチックエポキシフィルムその他のいずれの上にも形成可能である。光透過性の改善とそれに伴うデバイス最上部上の透明封止/バリアフィルムがトップエミッション方式デバイス及びアクティブマトリクスデバイスで特に必要とされている。
【0021】
少なくとも1つの炭素含有材料層の堆積
本発明の態様は可視光スペクトルの全ての波長、例えば波長400nm〜900nmでの光透過率が改善された炭素含有材料層の堆積を提供する。波長約430nm〜約570nmでの改善が最も劇的である。約4未満の誘電率(k)を有する一例示的な炭素含有材料層が非晶質炭素材料である。炭素含有材料のその他の例には炭素含有低誘電率材料、ケイ素ドープ炭素材料、炭素ドープケイ素材料、ダイヤモンド様炭素材料その他が含まれる。
【0022】
図3は本発明の一実施形態による堆積方法300のフロー図である。工程310で、基板を堆積処理チャンバ内に配置して炭素含有材料、例えば非晶質炭素材料層を基板上に堆積する。
【0023】
工程320で、非晶質炭素材料用の前駆体混合物を処理チャンバへと供給する。多彩なガス混合物を用いて炭素含有材料を堆積することができ、こういったガス混合物の非制限的な例は以下に示す。一般的に、ガス混合物は1つ以上の炭素含有化合物及び/又は炭化水素化合物を含んでいてもよい。適切な有機炭素含有化合物には脂肪族有機化合物、環状有機化合物、又はその組み合わせが含まれる。脂肪族有機化合物は1つ以上の炭素原子を含む直鎖又は分岐構造を有する。有機炭素含有化合物は炭素原子を有機基内に含む。有機基はアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロヘキセニル、及びアリール基をその官能性誘導体に加えて含んでいてもよい。炭素含有前駆体/化合物は、サイズ約400mmx約500mmの基板について、例えば流量約10立方センチメートル/毎分(sccm)以上、例えば約100sccm〜約500sccmで供給可能である。
【0024】
例えば、炭素含有化合物の式はCであり、xの範囲は1〜8であり、yの範囲は2〜18であり、アセチレン(C)、エタン(C)、エテン(C)、プロピレン(C)、プロピン(C)、プロパン(C)、メタン(CH)、ブタン(C10)、ブチレン(C)、ブタジエン(C)、ベンゼン(C)、トルエン(C)、及びその組み合わせが含まれるが、これに限定されない。或いは、炭素含有化合物の部分又は完全フッ素化誘導体、例えばC又はCを用いてフッ素化非晶質炭素層を堆積してもよく、非晶質フルオロカーボン層と称される。炭化水素化合物と炭化水素化合物のフッ素化誘導体の組み合わせを用いて、非晶質炭素層又は非晶質フルオロカーボン層を堆積してもよい。
【0025】
工程330で、ケイ素含有前駆体と窒素含有前駆体とを処理チャンバへと供給し非晶質炭素層を堆積し、非晶質炭素層の光透過率を改善してもよい。非晶質炭素層を堆積するための例示的なケイ素含有前駆体はシラン(SiH)、SiF、及びSiその他を含んでいてもよい。ケイ素含有前駆体/化合物は、例えば流量約20sccm〜約80sccm又は約50sccm等の流量約10sccm以上で供給することが可能である。
【0026】
一実施形態において、炭素含有化合物の流量はケイ素含有化合物の流量よりも高く、好ましくはその比は約3:1以上、例えば約4:1以上であり、その内容物の大半が炭素でありケイ素部分がそれよりも少ない炭素含有材料層が堆積される。別の実施形態においては、ケイ素含有前駆体を用い、得られた炭素含有材料をドープし、その光透過率を改善する。
【0027】
非晶質炭素層を堆積するための例示的な窒素含有前駆体にはアンモニア(NH)、窒素ガス(N)、アンモニアと窒素の組み合わせ、亜酸化窒素(NO)、一酸化窒素(NO)、及びその組み合わせその他が含まれる。例えば、非晶質炭素層を堆積し、その光透過率を改善するための窒素含有前駆体は、処理チャンバに接続された様々なガス供給源から供給されるアンモニア(NH)又は窒素ガス(N)、或いはアンモニア(NH)と窒素ガス(N)の混合物である。窒素含有前駆体/化合物は、例えば流量100sccm以上の約200sccm〜約5000sccm等、好ましくは約500sccm〜約1500sccmで供給可能である。一実施形態においては、窒素含有前駆体を用いて炭素含有材料の光透過率を改善する。
【0028】
ケイ素含有前駆体及び窒素含有前駆体をソースガスとして添加すると、より透明な非晶質炭素フィルムが得られる。これにより光透過率が約80%以上、例えば約90%以上、約95%以上、又は約97%以上まで可視光の全ての波長、例えば波長400nm〜900nmで改善される。対照的に、ケイ素含有前駆体と窒素含有前駆体を添加しない場合、堆積した低誘電率非晶質炭素材料の透明度はあまり高くなく、可視光スペクトル、特に低波長での光透過率が低い。
【0029】
加えて、様々なガスをガス混合物に添加して非晶質炭素層の特性を改変してもよい。流量約5sccm以上、例えば約100sccm〜約6000sccmで供給される不活性ガス(例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン、クリプトン等)その他を用いて非晶質炭素層の密度と堆積速度を制御する。更に、H及び/又はNHの添加を用いて非晶質炭素層の水素比を制御し、非晶質炭素層の性質、例えば反射率を制御することが可能である。例えば、水素ガスを処理チャンバに供給し、フィルム均一性(均一性測定における%の低下と表面粗さにおける低下)を強化してもよい。水素ガスをソースガスとして添加すると、約+/−10%以下、例えば約+/−5%以下、又は約+/−3%以下のフィルム均一性が得られる。対照的に、水素ガスを添加しないと、堆積される非晶質炭素材料が非常に粗く不均一となり、フィルム均一性の測定値は約+/−15%〜約+/−35%となる。フィルム均一性を改善するための水素ガスを添加しない場合、複数の層を堆積する際に、ステップカバレッジにかなり劇的な影響がある。フィルム均一性(滑らかで均一なフィルム表面)が向上した非晶質炭素材料層によりステップカバレッジは約80%以上、又は約95%以上にまで顕著に改善され、多層型フィルム積層体内においてケイ素含有無機バリア層間で良好に接着される。
【0030】
工程340で、電場を印加し、プラズマを処理チャンバ内で発生させる。電場は電源、例えば高周波電力、マイクロ波周波電力を処理チャンバに印加することで発生可能である。電源は処理チャンバに誘導又は容量結合可能である。13.56MHzの単一のRF電源からの電力を処理チャンバに供給し、プラズマを出力密度約0.14ワット/cm〜約8.6ワット/cm、又は電力レベル約100ワット〜約6000ワットで形成してもよい。好ましくは約0.25ワット/cm〜約0.6ワット/cmの出力密度を処理チャンバに供給し、プラズマを発生させる。RF電力を周波数約0.01MHz〜300MHzで供給してもよい。RF電力は連続的又は短時間のサイクルで供給することができる。RF電力を処理チャンバに結合させ、化合物の解離を増大させる。化合物は、堆積チャンバへの導入に先立ってマイクロ波チャンバで解離させることもできる。しかしながら、各パラメータを修正することで多様なチャンバや異なる基板サイズでこのプラズマ処理を行えることに留意しなくてはならない。
【0031】
炭素含有化合物、ケイ素含有前駆体、窒素含有前駆体、及び/又は水素ガスを異なる供給源からガス分配システムを介して処理チャンバへと導入する。ガス分配システムは、通常、その上に非晶質炭素層が堆積される基板から約180ミリ〜約200ミリ、例えば約900ミリの間隔を置いて配置されている。加えて、処理チャンバの圧力は約100ミリTorr〜約20Torr、例えば約1.5Torrで維持される。
【0032】
工程350で、高い光透過率を有する非晶質炭素材料を基板上へと基板温度約200℃以下、例えば約−20℃〜約100℃、好ましくは約20℃〜約80℃に維持された基板温度で堆積する。好ましい非晶質炭素層は、一実施形態においては、アセチレンをプラズマ処理チャンバへと流量約100sccm〜約5000sccm、例えば約200sccmで供給することで堆積する。シランもまた、流量約10sccm〜約200sccm、例えば約50sccmで供給される。アンモニア及び/又は窒素ガスは流量約300sccm〜約2000sccm、例えば約1000sccmで添加する。水素ガスもまた処理チャンバに流量約100sccm〜約2500sccm、例えば約200sccm〜約600sccmで供給する。
【0033】
上記記載の工程を、所望の厚さの炭素含有材料が得られるまで繰り返す。上記の処理パラメータを元に得られる非晶質炭素層の典型的な堆積速度は約500Å/分以上、例えば約1000Å/分〜約2000Å/分の範囲であり、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアル社から入手可能な、慣用の平行平板高周波(Radio−frequency:RF)プラズマ化学気相蒸着(PECVD)システムの化学気相蒸着チャンバで実行可能である。本願に記載の非晶質炭素堆積パラメータは説明上のものであり、本発明の範囲を制限すると解釈されるべきではない。
【0034】
堆積される非晶質炭素材料は炭素と水素原子を含み、炭素:水素比は約10%〜約60%の水素範囲で調節可能である。その各自光学特性、エッチング選択性、及び化学機械研磨抵抗特性を微調整するにあたって、非晶質炭素層の水素比を制御することが望ましい。具体的には、水素含有量が低下するにつれ、そうして堆積された層の光学特性、例えば屈折率(n)及び吸収係数(k)は増大する。同様に、水素含有量が低下すると、非晶質炭素層のエッチング抵抗性が上昇する。
【0035】
加えて、非晶質炭素材料を堆積するための炭化水素含有前駆体及びケイ素含有前駆体の流量比を例えば比4:1以上に調節することで、堆積される非晶質炭素材料中の炭素含有量をケイ素含有量よりも高くする。更に、ケイ素含有前駆体と窒素含有前駆体存在下での非晶質炭素材料の堆積により最終的なフィルムの光透過率が改善されるだけでなく、最終的に形成される非晶質炭素フィルムにおいてC−H結合の低下、N−H結合及びSi−C結合の上昇が生じることを、実験結果は実証している。従って、炭素含有ガス混合物に加えてケイ素含有前駆体、窒素含有前駆体、及び/又は水素ガスを添加し、その流量を調節することで非晶質炭素材料の堆積中に異なるタイプの原子間の比のみならず共有結合の組成を制御することで非晶質炭素材料の光透過率を改善することが望ましい。
【0036】
当然ながら、本発明の実施形態は本願に記載の処理パラメータ/変数を基板サイズ、チャンバ条件等その他に応じて上昇、低下させることを含む。また、本発明の実施形態において、その工程を本願に記載の順序で実行する必要はない。例えば、水素ガスの処理チャンバへの供給を前駆体混合物のチャンバへの供給前に行うことが可能であり、場合によっては、工程320と工程330を同時に実行することが可能である。
【0037】
封止フィルムの堆積
本発明の態様は、炭素含有材料層とケイ素含有無機バリア層とを交互に堆積することを提供する。図4は本発明の方法を用いて製造した例示的なディスプレイデバイス500を図示しており、本発明の実施形態による改善された光透過率を備えた1つ以上の炭素含有材料層を有する多層型封止フィルムを含む。ディスプレイデバイス500は基板501とデバイス502とを含んでいてもよい。複数の材料層と約1000Å以上の厚さを有し得る封止フィルム510を次に本発明の方法を用いて堆積して水/水分及び空気が基板501とデバイス502に浸透することを防ぎ、かつ電圧を印加した際にデバイス502から発光するように高光透過性を付与する。
【0038】
デバイス502は透明アノード層を含んでいてもよく、ガラス又はプラスチック、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンテレフタレート(PEN)から形成することができる。透明アノード層の一例は、厚さ範囲約200Å〜約2000Åのインジウムスズ酸化物(ITO)である。加えて、有機又は高分子材料から成る複数の層をデバイス502に堆積、パターン形成可能である。例えば、厚さ約200Å〜約1000Åの正孔輸送層、例えばナフチル置換ベンジジン(NPB)誘導体、又はN,N´−ジフェニル−N,N´−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1´−ビフェニル)−4,4´−ジアミン(TPD)等のジアミン系の正孔輸送層をデバイス502に含めることが可能である。
【0039】
発光層をデバイス502内に堆積可能である。発光層用の材料は典型的には蛍光金属キレート錯体類に属し、一例が8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq)である。発光層の厚さは、典型的には約200Å〜約1500Åである。発光層を堆積した後、これらの有機層にパターン形成する。OLEDディスプレイは典型的には、インクジェット印刷又は蒸着法により基板の事前にパターンを施された表面上に堆積される。金属、金属混合物つまり合金が考えられるカソード層もデバイス502内に堆積及びパターニングすることが必要である。カソード材料の一例は、厚さ範囲約1000Å〜約3000Åのマグネシウム(Mg)、銀(Ag)及びアルミニウム(Al)の合金である。
【0040】
デバイス502は封止が必要ないずれのタイプのディスプレイデバイスであってもよい。例えば、デバイス502はOLED、FOLED、PLED、有機TFT、太陽電池、トップエミッション方式デバイス、ボトムエミッション方式デバイス、アクティブマトリクスデバイス、パッシブマトリクスデバイスその他である。封止フィルム510は、デバイス502、例えばOLEDディスプレイデバイスの構築が完了した後に、基板表面最上部上に堆積される。本発明の封止フィルム510の材料例には、厚さ範囲約500Å〜約500000Å、例えば約2000Å〜約50000Åの無機窒化物フィルムの薄層、無機酸化物フィルム、及び高分子型の有機フィルムが含まれる。例えば、窒化ケイ素(SiN)、酸窒化ケイ素(SiON)、酸化ケイ素(SiO)、及び炭化ケイ素(SiC)その他を封止材料して使用可能である。
【0041】
本発明の実施形態では、基板501の表面上のデバイス502に堆積した封止フィルム510はバリア/封止材料、例えば無機窒化物、無機酸化物フィルム及び高分子型有機材料等の1つ以上の層と、例えば多様な炭素含有材料及び高分子型の有機材料、及び低誘電率材料、例えば非晶質炭素、ダイヤモンド様炭素、ケイ素ドープ炭素材料、炭素ドープケイ素含有材料等の1つ以上の追加材料層を封止層内に含むことで接着性を強化し、封止層を軟化させている。
【0042】
一実施形態においては、少なくとも1つのバリア層と、本発明の方法を用いて堆積した、光透過率の改善された少なくとも1つの非晶質炭素材料層を有する多層型封止フィルムを、少なくとも1つの非晶質炭素材料層の堆積中にケイ素含有前駆体と窒素含有前駆体を添加することで得る。別の実施形態においては、少なくとも1つのバリア層と少なくとも1つの非晶質炭素材料層を有する多層型封止フィルムをデバイス502の最上部に堆積することで水とその他のガス又は液体がデバイス502内に拡散しデバイス502がショートするのを防止しており、接着不良及び熱安定性の不良から多層型封止フィルムに亀裂が生じたりデバイス502の表面から剥落することを伴わない。図4に図示するように、封止フィルム510は1つ以上のバリア層511、512、513等と1つ以上の炭素含有材料層521、522等を交互にした層を含む。
【0043】
一態様において、本発明は1つ以上の炭素含有材料層521、522、例えば1つ以上のバリア層511、512、513の間に堆積された複数の非晶質炭素材料層を提供する。別の態様において、基板表面最上部に堆積された多層型封止フィルムの最終層はバリア層、例えばバリア層513である。最終層は本発明の方法を用いて堆積したバリア材料、例えば窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化ケイ素、及び炭化ケイ素その他を含み、例示的なディスプレイデバイス500の最終表面に対して良好な遮水及び酸素バリアとして機能する。
【0044】
デバイス502のすぐ上に形成される第1層としては、炭素含有材料層又はバリア層が可能である。好ましい実施形態においては、本発明はデバイス502のすぐ上に堆積する第1層をバリア層とすることで、例示的なディスプレイデバイス500の遮水性能を強化している。例えば、バリア層511等の第1バリア層は接着性強化層及び/又は炭素含有材料層、例えば炭素含有材料層521の前に堆積可能である。従って、炭素含有材料層をバリア層上に堆積することで隣接するバリア層間の接着性を促進し、多層型封止フィルムの厚みが十分なもの、例えば約8000Å以上となるまで堆積することが可能となる。
【0045】
図5は本発明の一実施形態による堆積方法600のフロー図である。まず最初に、材料層、例えば封止フィルム510を基板上に堆積するために基板処理システムの処理チャンバ内に基板を設置する。方法600は、任意で、デバイスを基板上に形成する工程を含む。例示的なデバイスにはOLED、PLED,及びFOLEDその他が含まれるが、これに限定されない。
【0046】
工程602で、バリア層、例えばケイ素含有バリア層用の前駆体の第1混合物を基板処理システム内に供給する。前駆体の第1混合物は1つ以上のケイ素含有ガス、例えばシラン(SiH)、SiF及びSiその他を含んでいてもよい。前駆体の第1混合物は更に1つ以上の窒素含有ガス、例えばアンモニア(NH)、亜酸化窒素(NO)、一酸化窒素(NO)、及び窒素ガス(N)その他を含んでいてもよい。前駆体の第1混合物は炭素含有ガス及び/又は酸素含有ガスも含んでいてもよい。
【0047】
例えば、窒化ケイ素バリア層をケイ素含有ガスと窒素含有ガスの混合物、例えばシラン、アンモニア、及び/又は窒素ガスの混合物から堆積することが可能である。別の例としては、酸窒化ケイ素バリア層をケイ素含有ガス、酸素含有ガス、及び窒素含有ガスの混合物、例えばシラン、亜酸化窒素、及び/又は窒素ガスの混合物の混合物から堆積することが可能である。
【0048】
工程604で、水素ガスを基板処理システムへと供給し、ケイ素含有無機バリア層を基板表面上へと基板温度約200℃以下で工程606で堆積する。ディスプレイデバイス、例えばOLEDデバイスに向けた基板処理中の基板温度はOLEDデバイス内の複数の有機材料層の熱安定性の悪さから、低温に維持する必要がある。概して、温度約150℃以下が望ましく、例えば約100℃以下、約80℃以下、又は約20℃〜約80℃である。
【0049】
水素ガスの存在により、堆積されるケイ素含有無機バリア層の表面粗さが軽減され、表面粗さ測定値(RMS)は約40Å〜約70Åから約40Å以下、例えば約15Å以下、好ましくは約10Å以下へと低下することが判明した。また、表面粗さが低下した(滑らかな表面の)バリア層によりバリア層への水の浸透が大幅に防止され、その下のいずれの材料(例えば、ディスプレイデバイス用の有機及び/又は高分子材料)にとっても良好な封止層として機能することを本発明者は発見した。水素ガスの導入により水の浸透が防止され、温度約38℃、相対湿度90%で測定した場合の水蒸気透過速度は1日あたり約1x10−2g/m未満、例えば約1x10−3g/m〜約1x10−4g/mとなる
【0050】
工程608で、炭素含有材料層用の前駆体の第2混合物を同一又は異なる基板処理システム内に供給する。好ましくは、炭素含有材料層をバリア層堆積システムと同一の基板処理システムで処理して、基板処理のスループットを向上させる。加えて、基板を1つの基板処理システム内の同一又は異なる処理チャンバ内に設置してバリア層及び/又は炭素含有材料層を堆積することで操作を簡素化し、基板の基板処理システム内外への搬入搬出の際の空気と水分への曝露の可能性を低減することが可能である。
【0051】
前駆体の第2混合物は1つ以上の炭素含有化合物を含んでいてもよく、例えばアセチレン(C)、エタン(C)、エテン(C)、メタン(CH)プロピレン(C)、プロピン(C)、プロパン(C)、ブタン(C10)、ブチレン(C)、ブタジエン(C)、ベンゼン(C)、トルエン(C)その他である。
【0052】
炭素含有材料層は非晶質炭素材料、ダイヤモンド様炭素材料、ケイ素ドープ炭素材料、炭素ドープケイ素含有材料その他であってもよい。例えば、非晶質炭素層はアセチレン(C)等の炭素含有化合物の混合物から堆積することが可能である。
【0053】
工程610で、ケイ素含有化合物と窒素含有化合物を基板処理システムへ供給し、炭素含有材料層、例えば非晶質炭素層を基板表面上へと基板温度200℃以下で工程612で堆積する。加えて、水素ガス及び異なる窒素含有ガスの組み合わせも基板処理システムに供給して非晶質炭素層を堆積してもよい。好ましくは、基板温度は約150℃以下、例えば約100℃以下、約80℃以下、又は約20℃〜約80℃を用いる。
【0054】
ケイ素含有化合物と窒素含有化合物の存在により堆積される非晶質炭素層の光透過率が改善され、可視光の全ての波長で透過率が約80%以上、例えば約90%以上となることも判明した。従って、堆積される非晶質炭素層の透明度は従来のフィルムよりかなり高くなり、発光に透明なフィルムが必要とされる用途に適している。
【0055】
水素ガスの存在により堆積される炭素含有材料層のフィルム均一性が改善され、フィルム均一性測定値が約+/−15%〜約+/−35%から約+/−10%以下、例えば約+/−5%以下又は約+/−3%以下となることも判明した。また、フィルム均一性が改善された炭素含有材料層により堆積される炭素含有材料層のステップカバレッジが顕著に改善されることから、追加の複数の層を良好なステップカバレッジで堆積可能であることも発見した。例えば、封止フィルムの層について約80%以上、例えば約95%以上のステップカバレッジが観察される。
【0056】
工程614でケイ素含有無機バリア層と非晶質炭素材料層を有する封止フィルムが既定の厚さで得られたら、堆積処理を工程616で終了することが可能である。但し、既定の厚さの封止層が得られない場合、工程602、604、606、608、610及び612の組み合わせのいずれかを繰り返すことが可能である。例えば、1つ以上のケイ素含有無機バリア層及び1つ以上の炭素含有材料層を堆積した後に所望の厚さが一旦得られたなら、ケイ素含有無機バリア層又は炭素含有材料層を最後に堆積して方法600を終了してもよい。
【0057】
封止層の厚さは変更可能である。例えば、厚さ約1000Å以上、約20000Å〜約60000Å等の約10000Å以上が望ましい。デバイス502用の封止フィルムの厚さとその空気及び水分バリア性能とが相関関係にあり、デバイス502の寿命を延ばすことを本発明者は発見した。本発明の方法を用いることで、約40日以上、例えば約45日以上、又は約60日以上のデバイス502寿命を得ることが可能である。
【0058】
更に、非晶質炭素材料層の透過率が改善され、かつケイ素含有無機バリア層は通常、光透過率が高いため、ケイ素含有無機バリア層と非晶質炭素材料層を有する封止フィルム全体としての光透過率は大幅に改善される。この結果、デバイス502の寿命を延ばすために封止フィルムを極めて厚く形成することが可能でありながら依然として高い透明度を有するため、可視光が透過可能である。
【0059】
一態様において、本発明の方法を用いて堆積した単一のバリア層を本発明のディスプレイデバイスの封止フィルムとして使用することが可能である。例えば、厚さ約10000Åの単一の窒化ケイ素バリア層を封止フィルムとして使用することが可能である。別の態様において、本発明は少なくとも1つのケイ素含有無機バリア層と少なくとも1つの炭素含有材料層を有する多層型封止フィルムを提供する。ケイ素含有無機バリア層の厚さは約1000Å〜約10000Å、例えば約2000Å〜約8000Åであってもよい。炭素含有材料層の厚さは約1000Å〜約10000Åであってもよい。炭素含有材料の存在により隣接するバリア層間の接着性が上昇、熱安定性が改善され、ケイ素含有無機バリア層の多層構造を十分な厚さとすることが可能となることが判明した。
【0060】
本発明の一例示的な封止フィルムは2つの窒化ケイ素層とその間の非晶質炭素材料層を全体厚さ約3000Å〜約30000Åで含んでいてもよい。本発明の別の例示的な封止フィルムには5つの窒化ケイ素層とその間の4つの非晶質炭素材料層が、全体厚さ約9000Å〜約90000Åで含まれていてもよい。
【0061】
各層を堆積する前又はその後、基板表面をプラズマで洗浄してもよい。例えば、1つ以上の洗浄ガスを処理チャンバに供給し、RF電源又はマイクロ波電源からの電場を印加することで洗浄プラズマを発生させてもよい。洗浄ガスには酸素含有ガス(例えば、酸素、二酸化炭素)、水素含有ガス(例えば、水素ガス)、窒素含有ガス(例えば、アンモニア、亜酸化窒素)、不活性ガス(例えば、ヘリウム、アルゴン)その他が含まれるが、これに限定されない。水素含有ガスの例には水素ガス(H)及びアンモニア(NH)その他が含まれるが、これに限定されない。加えて、チャンバを洗浄ガスから発生させたプラズマで洗浄する場合、洗浄ガスを任意でキャリアガスと共にチャンバへと供給してもよい。例示的なキャリアガスには不活性ガス、例えばヘリウム及びアルゴンその他が含まれる。例えば、インシチュの酸素プラズマを発生させて、先行の基板処理及び基板除去後に処理チャンバ内の材料、例えばチャンバ壁部、ガス分配板、場所を問わずその上に堆積された材料を洗浄除去してもよい。
【0062】
本発明の実施形態はこれらの工程を本願に記載の順序で実行することを必要としていないことに留意しなくてはならない。例えば、水素ガスは前駆体混合物のチャンバへの供給前に処理チャンバに供給することが可能であり、場合によっては工程602と604を同時に実行可能である。同様に、工程608及び610を同時に実行可能である。
【0063】
少なくとも1つのケイ素含有バリア層の堆積
1つ以上のケイ素含有無機バリア層を、処理チャンバに供給される前駆体混合物から堆積する。前駆体はケイ素含有前駆体、例えばシラン(SiH)、Si、SiFその他を含んでいてもよく、窒化ケイ素(SiN)、酸窒化ケイ素(SiON)又は酸化ケイ素(SiO)、炭化ケイ素その他の層を基板上に封止層として堆積する。ケイ素含有前駆体は、基板サイズ約400mmx約500mmの場合、例えば流量10sccm以上、例えば約100sccm〜約500sccmで供給可能である。窒素含有前駆体は流量約5sccm以上、例えば多様な窒素含有前駆体について約100sccm〜約6000sccmで供給可能である。
【0064】
例えば、前駆体混合物は酸窒化ケイ素フィルムを堆積するためのシラン、亜酸化窒素、及び窒素その他を含んでいてもよい。或いは、シラン、アンモニア、及び窒素その他を用いて窒化ケイ素フィルムを堆積する。又、酸化ケイ素フィルムを堆積するために、前駆体はシラン、及び亜酸化窒素を含んでいてもよい。加えて、各前駆体を異なる又は同一の流量で供給することができ、必要とされる様々な堆積パラメータに依存する。当然ながら、本発明の実施形態は本願に記載の処理パラメータ/変数を基板サイズ、チャンバ条件等その他に応じて上昇、低下させることを含む。
【0065】
1つ以上のケイ素含有無機バリア層の堆積中、水素ガスを処理チャンバに供給して本発明の封止層の遮水性能を改善する。加えて、水素ガスの導入が1つ以上のケイ素含有無機バリア層の表面粗さを軽減し、封止層を良好なものとすることが明らかとなった。
【0066】
1つ以上のケイ素含有無機バリア層は、電場を印加して処理チャンバ内でプラズマを発生させることで基板上に堆積する。電場は電源、例えば高周波電力、マイクロ波周波電力を処理チャンバに印加することで発生可能である。電源は処理チャンバに誘導又は容量結合可能である。加えて、処理チャンバの圧力を約0.5Torr〜約10Torrに維持する。
【0067】
この結果、1つ以上のケイ素含有無機バリア層は堆積速度約500Å/分以上、例えば約1000Å/分〜約3000Å/分で堆積される。1つ以上のケイ素含有無機バリア層の厚さは約1000Å〜約30000Åの範囲で変動し得る。通常、バリア層は薄いよりは厚いほうが水の浸透の防止のためには良い。
【0068】
慣用の低温無機フィルム堆積処理では封止層の特性が望ましいものとはならなかった。例えばフィルムの密度が低く、その表面は粗く欠陥構造を有し、水試験後の高い屈折率変化、高い透過フーリエ変換赤外分光(FTIR)変化、水試験後の高い水蒸気透過速度(WVTR)等のフィルム特性の不良を伴う。一例として、優れた水分バリア/フィルムとして使用される、遮水性能が良好な窒化ケイ素薄膜の堆積について以下で更に説明するが、本発明は本願に記載の詳細に限定することを意図するものではない。
【0069】
基板(サイズ400mmx500mm)をカリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアル社から入手可能な慣用の平行平板高周波(RF)プラズマ化学気相蒸着(PECVD)システムであるAKT1600PECVDのチャンバ内に、間隔約900ミリで真空状態に置いた。低温堆積処理のため、基板支持体(サセプタ)の温度は約60℃に設定した。水素ガス(H)存在下のシラン(SiH)、アンモニア(NH)、窒素(N)混合物をチャンバ内へと水分及び酸素バリアとしての窒化ケイ素フィルム堆積用のソース前駆体ガスとして供給した。比較として、窒化ケイ素を堆積するためのシラン(SiH)、アンモニア(NH)、窒素(N)を使用する従来法を同一処理条件下で平行して準備した。チャンバ内の圧力は約2.1Torrである。プラズマは約13.56MHz、約900Wに設定したRF発電機で維持した。
【0070】
基本的なフィルム特性を両方の処理条件で形成したフィルムについて比較した。水素ソースガスの存在下及び不在下で堆積した窒化ケイ素フィルムは最初に屈折率(RI)約1.7〜約1.9、フィルム応力ゼロ〜約2x10ダイン/cmの同様の基本フィルム特性を示すことを結果は表わしている。堆積速度は双方のフィルムについて約1000Å/分〜約1500Å/分で同程度である。従って、水素ガスの存在は基本的なフィルム特性又は堆積速度に影響しない。
【0071】
しかしながら、双方のフィルムの堆積後の表面粗さ(単位は2乗平均平方根RMS)は劇的に異なった。双方のフィルムを顕微鏡下で比較し、3次元での表面粗さ画像を比較して表面粗さを測定した。水素ソースガスの非存在下で堆積したSiNフィルムの平均表面粗さは約40Å〜約70Åであり、表面が粗いことを示した。水素ソースガスの存在下で堆積したSiNフィルムの平均表面粗さは約9Å〜約12Åで、表面が滑らかなことを示した。
【0072】
水/水分のフィルム特性への影響を測定するための水試験後に双方のフィルムを比較すると、違いはより顕著となった。主要遮水性能について比較した表1を参照すると、Hソースガスがフィルム表面粗さを滑らかなものにするにあたって重要な役割を果たし、滑らかな表面により大気からフィルム内部への水/酸素の浸透が防止され、フラットパネルディスプレイ業界において水分/水への抵抗性を示す重要なパラメータとなるWVTR(水蒸気透過速度)が非常に低くなることがわかる。WVTRを測定するための水試験とは高湿度試験であり、通常、試験対象である構造体を温度範囲約25℃〜約100℃、相対湿度(RH)約40%〜約100%の湿度室内に特定の時間(時間又は日数等)に亘って配置することで行われる。試験時間あたりの試験構造体の特定の範囲に亘って保持される水の量を計算し、試験温度及び試験相対湿度での水蒸気透過速度(WVTR)を求めた。
【0073】
【表1】

【0074】
水素ソースガスの存在下で堆積したSiNフィルムについての水処理前後の透過フーリエ変換赤外分光(FTIR)も行い、比較した。FTIR及び屈折率(RI)における変化を比較するための水処理も、異なる堆積フィルムを約100℃等の温水に特定の時間、例えば約100時間に亘って浸漬することで実行した。FTIRスペクトルは1500cm−1〜4000cm−1の範囲で記録された。Si−H、N−H及びO−H結合がスペクトル中で示された。水処理前後での差はあまりなく、これは水素ソースガス存在下で堆積されたSiNフィルムとは水処理後に結合に違いがないことを示している。表1で示されるように、この結果もまた、約100℃での約100時間に亘る水中での(高温かつ高湿度での)SiNフィルムの処理後、前駆体ソースガスの1つとしての水素ガスの存在下での堆積条件で堆積したSiNフィルムの屈折率に変化はないことを示している。水試験後に測定された低い水蒸気透過速度(WVTR)という結果も含め、全ての結果が高品質の窒化ケイ素がソースガス混合物の一部として水素ガスを用いて良好な遮水性能で堆積されたことを示している。
【0075】
比較のため、水素ソースガスを用いない従来法で堆積したSiNフィルムについて、水処理前後の透過フーリエ変換赤外分光(FTIR)の変化も実行し比較した。結果はSi−H結合における大幅な低下、N−H結合における若干の低下、O−H結合における若干のピーク上昇を示した。この結果は、同様に表1に示されるように、水素ソースガスの非存在下で堆積したSiNフィルムの屈折率に約15%の変化があることを示した。加えて、水試験後、より高い水蒸気透過速度(WVTR)が測定された。これらは全て水素ソースガスの非存在下で堆積された窒化ケイ素フィルムの遮水性能が不良であることを示している。
【0076】
基板処理システム
本発明を、大面積基板の処理用に構成されたプラズマ化学気相蒸着システムを参照しながら以下で実例と共に説明する。システムにはカリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアル社の事業部であるAKTから入手可能な、様々な基板サイズについてのAKT1600、AKT3500、AKT4300、AKT5500、AKT10K、AKT15K、及びAKT25Kを含む多様な平行平板高周波(RF)プラズマ化学気相蒸着(PECVD)システムが挙げられる。但し、当然ながら本発明は円形基板を処理するように構成されたシステムを含め、その他のシステム構成、例えばその他の化学気相蒸着システム及びその他のフィルム堆積システムでも有用である。
【0077】
本発明は、基板表面に光透過率が改善された単層又は多層型の封止フィルムを堆積するための1つ以上の処理チャンバを有する基板処理システムを提供する。本発明の多層型封止フィルムは同一又は異なる基板処理システム、1つの基板処理システム内の同一又は異なる処理チャンバで堆積可能である。一実施形態においては多層型封止フィルムを同一の真空基板処理システム内で堆積することで時間を節約し、処理スループットを改善している。別の実施形態においては、本発明の多層型封止フィルムを複式チャンバ型基板処理システム内部の同一又は異なる処理チャンバ内で基板表面上に堆積可能である。例えば、1つ以上のケイ素含有無機バリア層と1つ以上の炭素含有材料層を有する多層型封止フィルムを化学気相蒸着(CVD)システム内でその外部に基板を取り出すことなく効率的に堆積することができ、基板表面への水及び酸素の拡散の可能性が低下する。
【0078】
図6は1つ以上のプラズマ化学気相蒸着チャンバを有する基板処理システム400の一実施形態の概略断面図であり、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアル社の一部門であるAKTから入手可能である。基板処理システム400は通常、1つ以上の処理チャンバ402、基板搬入/搬出チャンバ、基板搬入/搬出チャンバと処理チャンバ402との間で基板を移動させるための主要搬送ロボット、及び自動基板処理制御用のメインフレーム制御装置を含む。
【0079】
1つ以上のソース化合物及び/又は前駆体を供給するために、処理チャンバ402は通常、1つ以上のガス供給源404に連結されている。1つ以上のガス供給源404はケイ素含有化合物供給源、水素ガス供給源、炭素含有化合物供給源、窒素含有化合物供給源その他を含んでいてもよい。処理チャンバ402は壁部406と底部408を有し、処理容積412を部分的に規定している。処理容積412には典型的にはポート及び弁(図示せず)を通ってアクセスすることで、基板440、例えば大面積ガラス基板の処理チャンバ402内外での移動を円滑にしている。壁部406は排気プレナム414を備えた蓋部アセンブリ410を支持しており、プレナム414は処理容積412を排気ポート(様々なポンプ構成材を含む。図示せず)へと連結しており、ガス及び処理による副生成物を処理チャンバ402から排気する。
【0080】
温度管理された基板支持アセンブリ438は処理チャンバ402の中央に位置されている。基板支持アセンブリ438は処理中、基板440を支持する。基板支持アセンブリ438は少なくとも1つの埋設ヒータ432が封入されたアルミニウム本体部424を備える。基板支持アセンブリ438内に配置された抵抗素子等のヒータ432は任意の電源474に連結されており、基板支持体438とその上に位置された基板440を既定の温度まで制御下で加熱する。
【0081】
一実施形態において、ヒータ432の温度は約200℃以下、例えば150℃以下、又は約20℃〜約100℃に設定可能であり、堆積する材料層の堆積/処理パラメータに依存する。例えば、低温堆積処理の場合、ヒータは約60℃〜約80℃、例えば約70℃に設定可能である。
【0082】
別の実施形態においては、その内部を温水が流れるポートを基板支持アセンブリ438内に配置することで基板440を200℃以下、例えば約20℃〜約100℃の均一な温度に維持する。或いは、ヒータ432の電源を切り、基板支持アセンブリ438を流れる温水だけで堆積中の基板温度を制御することが可能であり、低温堆積処理の場合、これにより基板温度は約100℃以下となる。
【0083】
支持アセンブリ438は通常、接地されているため、電源422によって蓋アセンブリ410と基板支持アセンブリ438(又はチャンバの蓋アセンブリ内又は付近に位置されるその他の電極)との間に位置されるガス分配板アセンブリ418に供給されるRF電力によって支持アセンブリ438とガス分配板アセンブリ418との間の処理容積412内に存在するガスが励起される。電源422からのRF電力は通常、基板のサイズに見合った、化学気相蒸着処理を実行できるものを選択する。
【0084】
一実施形態においては、約10W以上、例えば約400W〜約5000WのRF電力を電源422に印加して処理容積412内で電場を発生させる。例えば、出力密度約0.2ワット/cm以上、例えば約0.2ワット/cm〜約0.8ワット/cm、又は約0.45ワット/cmを用いて本発明の低温基板堆積法に適合させることが可能である。電源422及び整合回路(図示せず)により処理容積412内で前駆体ガスから処理ガスのプラズマを発生させ、維持する。好ましくは、13.56MHzの高周波RF電力を使用可能であるが重要ではなく、低周波も使用可能である。更に、セラミック材料又は陽極酸化アルミニウム材料で被覆することで、チャンバ壁部を保護可能である。
【0085】
通常、支持アセンブリ438は下方側426と基板440を支持している上方側434を有する。下方側426には幹部442が連結されており、支持アセンブリ438を(図示の)上昇処理位置と降下基板搬送位置との間で移動させるための昇降システム(図示せず)に接続されている。幹部442は更に支持アセンブリ438とシステム400のその他の構成材とをつなぐ電気及び熱電対リード線用の導管でもある。蛇腹部446が基板支持アセンブリ438に連結されており、処理容積412と処理チャンバ402外部の大気との間の真空シールを形成し、支持アセンブリ438の垂直運動を円滑にしている。
【0086】
一実施形態において、昇降システムは基板とガス分配板アセンブリ418との間の間隔が処理中、約400ミリ以上、例えば約400ミリ〜約1600ミリ、例えば約900ミリとなるように調節される。間隔調整が可能であることにより、大面積基板の範囲全体で必要なフィルム均一性を維持しながら広範囲に亘る堆積条件下で処理を最適化することが可能となる。接地基板支持アセンブリ、セラミックライナ、高い圧力及び間隔の狭さが相まってガス分配板アセンブリ418と基板支持アセンブリ438との間でプラズマが高いレベルで閉じ込められ、反応種濃度の上昇と対象となる薄膜の堆積速度の上昇が生じる。
【0087】
支持アセンブリ438は外接するシャドーフレーム448も支持している。通常、シャドーフレーム448により基板440と支持アセンブリ438の縁部での堆積が防止され、基板が支持アセンブリ438に固着することがない。蓋アセンブリ410は典型的には投入ポート480を含み、そのポートを通して処理ガスがガス供給源404から処理チャンバ402へと導入される。投入ポート480は洗浄剤供給源482にも連結されている。洗浄剤供給源482は典型的には解離フッ素等の洗浄剤を供給し、洗浄剤は処理チャンバ402に導入され、ガス分配板アセンブリ418を含む処理チャンバハードウェアから堆積副生成物とフィルムを除去する。
【0088】
ガス分配板アセンブリ418は典型的には、基板440の輪郭に実質的に沿うように、例えば大面積基板の場合は多角形、ウェハの場合は円形に構成されている。ガス分配板アセンブリ418は穿孔領域416を含み、この穿孔領域を通してガス供給源404からの前駆体及びその他のガス、例えば水素ガスを処理容積412へと供給する。穿孔領域416はガス分配板アセンブリ418を処理チャンバ402へと通過するガスが均一に分散されるように構成されている。ガス分配板アセンブリ418は典型的には吊架板460に懸架された拡散板458を含む。複数のガス流路462が拡散板458内には形成されており、これにより既定の量のガスがガス分散板アセンブリ418内を処理容積412へと通過可能となる。
【0089】
本発明で有用となり得るガス分散板は同一譲受人に譲渡されたケラー(Keller)その他による2001年8月8日出願の米国特許出願第09/922219号、2002年5月6日に出願の第10/140324号、及びブロニガン(Blonigan)その他により2003年1月7日に出願の第10/337483号、ホワイト(White)その他に2002年11月12日に発行された米国特許第6477980号、及びチェ(Choi)その他による2003年4月16日に出願の米国特許出願第10/417592号に記載されており、参照により本願に全て組み込まれる。本発明を特定の実施形態と実施例に従って説明したが、本発明はそれに限定されることを意図するものではない。本願のCVD処理はその他のチャンバを用いても実行可能であり、ガス流量、圧力、プラズマ密度、及び温度を調節することで実際的な堆積速度で高品質なフィルムを得ることができる。
【実施例】
【0090】
本発明は炭素含有材料層を低温、例えば約200℃以下で大面積基板表面上に堆積する方法について記載する。本発明は図2で図示されるような、様々なフィルム厚さでの430nm〜570nmの低波長で観察される低光透過率を克服しており、可視光スペクトルの全ての波長で約80%以上、例えば約90%以上、約95%以上、又は約97%以上まで炭素含有材料層の光透過率を上昇させている。本発明の方法を用いて改良しない場合の炭素含有材料層の光透過率は図2に図示されるようにフィルム厚さが線210、220、230、及び240についてそれぞれ0.8ミクロン、1.5ミクロン、2ミクロン及び3.2ミクロンと厚くなるにつれて悪化し、光透過率はフィルム厚さが上昇するにつれ低くなっている。
【0091】
図7は幾つかの例示的な炭素含有材料フィルムについて測定した透過率の結果についてのグラフであり、可視光スペクトルでの異なる波長での光透過率の改善を示している。フィルム例は本発明の方法を用いて堆積した非晶質炭素フィルムである。実施例701の場合、前駆体混合物にはアセチレン、窒素ガス、及び水素ガスが含まれる。実施例711において、前駆体混合物にはアセチレン、シラン、窒素ガス、及び水素ガスが含まれる。実施例712においては、前駆体混合物にはアセチレン、シラン、アンモニア、窒素ガス、及び水素ガスが含まれる。実施例713においては、前駆体ガス混合物にはアセチレン、シラン、アンモニア、及び水素ガスが含まれる。実施例714においては、前駆体混合物にはアセチレン、シラン、アンモニア、窒素ガス、及び水素ガスが含まれる。
【0092】
前駆体は同一のPECVD処理チャンバにアセチレンの場合、流量約100sccm〜約500sccm、シランの場合は流量約10sccm〜約300sccm、アンモニアの場合は流量約300sccm〜約2000sccm、窒素ガスの場合は流量約300sccm〜約2500sccm、及び水素ガスの場合は流量約200sccm〜約800sccmで供給することが可能である。基板はPECVD処理チャンバ内に間隔約900ミリで配置され、圧力約1.5Torrを維持した。プラズマを基板バイアス存在下でRF出力密度約0.25ワット/cmで堆積時間約400秒に亘って印加した。堆積中、基板温度を約100℃で維持すると、約1600オングストローム/分の堆積速度となる。
【0093】
実施例701、711、712、713、714の堆積フィルムの光透過率の測定結果を図7に示し、表2で例証している。全体的に、異なる波長での非晶質炭素フィルム例の透過率は非常に高い。実施例711、712、713、714は、ケイ素含有化合物と窒素含有化合物が前駆体混合物中に存在する場合には各波長で光透過率が約80%以上、例えば約90%以上又は95%以上に改善されることを実証している。光透過率の改善は図7と表2に図示されるように低波長、例えば波長約400nm〜560nmで最も劇的である。この結果は、本発明の非晶質炭素フィルムをトップ又はボトムエミッション方式のディスプレイデバイスを含む多様な用途にも使用可能なことを示唆している。
【0094】
【表2】

【0095】
本発明は1層、2層、3層、4層、又は5層の非晶質炭素材料を2層、3層、4層、5層又は6層の窒化ケイ素材料の間にそれぞれ有する多様な封止フィルムも提供し、フィルムを堆積し比較/試験した。加えて、様々な厚さ又は水素ソースガスの存在下又は非存在下で堆積したケイ素含有無機バリア層及び非晶質炭素層も試験した。
【0096】
ケイ素含有無機バリア層と非晶質炭素層を有する本発明の封止フィルムをセロハンテープ剥離試験とカルシウム試験を用いて試験した。結果は非常に良好で、各種の多層型封止フィルムは基板から剥離せず、水及び酸素腐食は生じなかった又は低レベルでしか生じなかった(カルシウム試験中、透明カルシウム塩の生成がゼロ又は低レベルであった)。本発明の封止フィルムをOLEDデバイス等のデバイス上でも試験し、デバイス表面から剥離することなく所望の厚さまで堆積可能か否か及び水、酸素がデバイス中に浸透することを防止してデバイス寿命を延ばすか否かを調べた。約60℃及び約85%の高湿度下で試験したところ、本発明の封止フィルムはデバイスの寿命を約1440時間より長く延ばすことが可能である。
【0097】
図8はその上に多層型の封止フィルム820を備えた基板810の走査電子顕微鏡断面写真を描いたものである。多層型封止フィルム820は本発明の方法で堆積した、4層の窒化ケイ素無機バリアフィルムと3層の非晶質炭素フィルムを含む。本発明の多層型封止フィルム820は4つの窒化ケイ素バリア材料層811、812、813、814と、その間の3つの非晶質炭素材料層821、822、823を含み、窒化ケイ素材料の接着性が促進され、多層型封止フィルム820の最終厚さは約35000オングストロームとなる。合計9つの堆積材料層を備えた多層型封止フィルム820の総ステップカバレッジは非常に良好で、約95%のステップカバレッジが得られる。
【0098】
非晶質炭素フィルムの堆積について上述した。例示的なバリア層は、それぞれ約150sccm、約400sccm、約1500sccm、及び約4000sccmでPECVD処理チャンバに供給されたシラン、アンモニア、窒素ガス、及び水素ガスの混合物によって堆積された窒化ケイ素層である。基板はPECVD処理チャンバ内に約900ミリの間隔で配置され、圧力約2.1Torrを維持した。プラズマをRF出力密度約0.45ワット/cmから堆積時間約390秒に亘って基板バイアス存在下で印加した。堆積中、基板温度を約70℃で維持すると、堆積速度が約1700Å/分となる。
【0099】
上記は本発明の実施形態を対象としているが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく本発明のその他及び更に別の実施形態を考案することができ、本発明の範囲は特許請求の範囲に基づいて定められる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
本発明の上述した構成が詳細に理解可能であるように、添付図面で図示されている実施形態を参照して上記で簡単に概要を述べた本発明を更に具体的に説明する。しかしながら、添付図面は本発明の典型的な実施形態を図示するに過ぎず、本発明はその他の同等に効果的な実施形態も含み得るため、本発明の範囲を制限すると解釈されないと理解すべきである。
【図1】その上に封止層が堆積されたOLEDデバイスの概略断面図である。
【図2】低k材料層の厚さが可視光の異なる波長での透過率に与える影響を示すグラフである。
【図3】本発明の実施形態による可視光スペクトルにおける透過率が改善された炭素含有材料層を基板処理システム内部の基板上に形成するための一例示的な方法のフローチャートである。
【図4】本発明の方法による透過率が改善された1つ以上の炭素含有材料層を有する多層型封止フィルムの一実施形態の概略断面図である。
【図5】本発明の実施形態による、基板処理システム内部の基板上に多層型封止フィルムを形成するための一方法のフロー図である。
【図6】本発明による処理チャンバの一実施形態の概略断面図である。
【図7】本発明の方法を用いて堆積した例示的な炭素含有材料層についての、異なる可視光波長での光透過率の改善を示すグラフである。
【図8】本発明の方法で堆積した4つの窒化ケイ素無機バリアフィルムと3つの非晶質炭素フィルムを有する一例示的な多層型封止フィルムを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理システム内に配置された基板上に多層型封止フィルムを形成するための方法であり、
複数のケイ素含有無機バリア層を基板表面上に堆積し、この堆積が第1ケイ素含有化合物を基板処理システムに供給することを含み、
1つ以上の炭素含有材料層を1つ以上のケイ素含有無機バリア層の間に基板温度約200℃以下で堆積し、この堆積が炭素含有化合物、第2ケイ素含有化合物、及び窒素含有化合物を含む前駆体混合物を基板処理システムに供給することを含む多層型封止フィルムの形成方法。
【請求項2】
1つ以上の炭素含有材料層の透過率が波長400nm〜900nmで約80%以上である請求項1記載の方法。
【請求項3】
1つ以上の炭素含有材料層の透過率が波長400nm〜900nmで約90%以上である請求項1記載の方法。
【請求項4】
1つ以上の炭素含有材料層の透過率が波長400nm〜900nmで約95%以上である請求項1記載の方法。
【請求項5】
1つ以上の炭素含有材料層の透過率が波長400nm〜900nmで約97%以上である請求項1記載の方法。
【請求項6】
1つ以上の炭素含有材料層を基板温度約20℃〜約150℃で堆積する請求項1記載の方法。
【請求項7】
複数のケイ素含有無機バリア層が窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素及びその組合せから成る群から選択された材料を含む請求項1記載の方法。
【請求項8】
1つ以上の炭素含有材料層が非晶質炭素、ケイ素ドープ炭素材料、ダイヤモンド様炭素、及びその組合せから成る群から選択された材料を含む請求項1記載の方法。
【請求項9】
炭素含有化合物がアセチレン(C)、エタン(C)、エテン(C)、メタン(CH)、プロピレン(C)、プロピン(C)、プロパン(C)、ブタン(C10)、ブチレン(C)、ブタジエン(C)、ベンゼン(C)、トルエン(C)、及びその組み合わせから成る群から選択された化合物を含む請求項1記載の方法。
【請求項10】
第2ケイ素含有化合物がシラン、SiF、Si、及びその組合せから成る群から選択された化合物を含む請求項1記載の方法。
【請求項11】
窒素含有化合物が、アンモニア(NH)、亜酸化窒素(NO)、一酸化窒素(NO)、窒素ガス(N)及びその組合せから成る群から選択された化合物を含む請求項1記載の方法。
【請求項12】
前駆体混合物が更に水素ガスを含む請求項1記載の方法。
【請求項13】
前駆体混合物がアセチレン、水素ガス、シラン及びアンモニアを含む請求項1記載の方法。
【請求項14】
前駆体混合物がアセチレン、水素ガス、シラン及び窒素ガスを含む請求項1記載の方法。
【請求項15】
前駆体混合物がアセチレン、水素ガス、シラン(SiH)、アンモニア(NH)、及び窒素ガス(N)を含む請求項1記載の方法。
【請求項16】
1つ以上のケイ素含有無機バリア層及び1つ以上の炭素含有材料層が基板処理システム内の単一の処理チャンバ内で堆積される請求項1記載の方法。
【請求項17】
基板処理システム内の基板上に多層型封止フィルムの非晶質炭素層を形成するための方法であり、
非晶質炭素層用の炭化水素含有前駆体を供給し、
非晶質炭素層のフィルム均一性を改善するための水素ガスを基板処理システムに供給し、
非晶質炭素層の光透過率を可視光スペクトルの全ての波長において約80%以上にまで改善するためのケイ素含有前駆体及び窒素含有前駆体を基板処理システムに供給し、
基板温度を約150℃以下に制御し、
プラズマを発生させて非晶質炭素層を基板表面上に堆積し、
所望の厚みの非晶質炭素層が得られるまで非晶質炭素層を基板上に堆積することを含む多層型封止フィルムの非晶質炭素層を形成するための方法。
【請求項18】
非晶質炭素層の光透過率が波長400nm〜900nmで約90%以上である請求項17記載の方法。
【請求項19】
非晶質炭素層の光透過率が波長400nm〜900nmで約95%以上である請求項17記載の方法。
【請求項20】
非晶質炭素層の光透過率が波長400nm〜900nmで約97%以上である請求項17記載の方法。
【請求項21】
非晶質炭素層を基板温度約20℃〜約100℃で堆積する請求項17記載の方法。
【請求項22】
ケイ素含有前駆体がシラン、SiF、Si及びその組合せから成る群から選択された化合物を含む請求項17記載の方法。
【請求項23】
窒素含有前駆体が、アンモニア(NH)、亜酸化窒素(NO)、一酸化窒素(NO)、窒素ガス(N)及びその組合せから成る群から選択された化合物を含む請求項17記載の方法。
【請求項24】
窒素含有前駆体がアンモニア(NH)及び窒素ガス(N)を含む請求項17記載の方法。
【請求項25】
炭化水素含有前駆体がアセチレン(C)、エタン(C)、エテン(C)、メタン(CH)、プロピレン(C)、プロピン(C)、プロパン(C)、ブタン(C10)、ブチレン(C)、ブタジエン(C)、ベンゼン(C)、トルエン(C)、及びその組み合わせから成る群から選択された化合物を含む請求項17記載の方法。
【請求項26】
ケイ素含有無機バリア材料と炭素含有材料の1つ以上の層を有する封止層を基板処理システム内の基板上に堆積するための方法であり、
ケイ素含有無機バリア層用の第1前駆体混合物を供給し、水素ガスを基板処理システムに供給し、
基板温度を約150℃以下に制御し、
プラズマを発生させてケイ素含有無機バリア層を基板表面上に堆積し、
炭素含有材料層用の炭化水素含有前駆体と、ケイ素含有前駆体と、窒素含有前駆体を含む第2前駆体混合物を供給し、水素ガスを基板処理システムに供給し、
基板温度を約150℃以下に制御し、
プラズマを発生させて炭素含有材料層をケイ素含有無機バリア層の表面上に堆積し、
厚さ約15000オングストローム以上の封止層が得られるまで上記工程を繰り返すことで封止層を基板上に堆積することを含む堆積方法。
【請求項27】
炭素含有材料層が非晶質炭素、ケイ素ドープ炭素材料、ダイヤモンド様炭素、及びその組合せから成る群から選択された材料を含む請求項26記載の方法。
【請求項28】
ケイ素含有無機バリア層が基板表面上に封止層の最終材料層として堆積される請求項26記載の方法。
【請求項29】
ケイ素含有無機バリア層及び炭素含有材料層が基板処理システム内の単一の処理チャンバ内で堆積される請求項26記載の方法。
【請求項30】
基板処理システム内の基板上に多層型封止フィルムの非晶質炭素層を形成するための方法であり、
非晶質炭素層用に炭化水素含有前駆体を第1流量で供給し、
非晶質炭素層のフィルム均一性を改善するための水素ガスを基板処理システムに供給し、
ケイ素含有前駆体を第2流量で、窒素含有前駆体を第3流量で基板処理システムに供給し、
基板温度を約150℃以下に制御し、
基板処理システム内で一定時間に亘ってプラズマを発生させて非晶質炭素層を基板表面上に堆積することを含み、ここで第1流量と第2流量の比が4:1以上である多層型封止フィルムの非晶質炭素層の形成方法。
【請求項31】
非晶質炭素層の光透過率が波長400nm〜900nmで約80%以上である請求項30記載の方法。
【請求項32】
非晶質炭素層の光透過率が波長400nm〜900nmで約90%以上である請求項30記載の方法。
【請求項33】
非晶質炭素層の光透過率が波長400nm〜900nmで約95%以上である請求項30記載の方法。
【請求項34】
1つ以上の炭素含有材料層の透過率が波長400nm〜900nmで約97%以上である請求項30記載の方法。
【請求項35】
非晶質炭素層を基板温度約20℃〜約100℃で堆積する請求項30記載の方法。
【請求項36】
封止層を基板上に堆積するための装置であり、
処理チャンバと、
処理チャンバ内に配置された、基板をその上で支持するための基板支持体と、
処理チャンバ内部でプラズマを発生させるための、処理チャンバに連結されたRF源と、
処理チャンバに連結されたケイ素含有化合物供給源と、
処理チャンバに連結された窒素含有化合物供給源と、
処理チャンバに連結された水素ガス供給源と、
処理チャンバに連結された炭化水素含有前駆体化合物供給源と、
基板処理中、基板温度を約200℃以下に制御し、かつ1つ以上のケイ素含有無機バリア層とその間の1つ以上の炭素含有材料層を有する封止層を封止層の厚さが約15000オングストローム以上となるまで同一の処理チャンバ内で堆積するように適合された、処理チャンバに連結された制御装置とを含み、ここで1つ以上のケイ素含有無機バリア層をケイ素含有化合物供給源及び水素ガス供給源から供給された化合物を含む第1前駆体混合物から堆積し、1つ以上の炭素含有材料層を炭化水素含有前駆体供給源、水素ガス供給源、ケイ素含有化合物供給源、及び窒素含有化合物供給源から供給された化合物を含む第2前駆体混合物から堆積する装置。
【請求項37】
1つ以上の炭素含有材料層が非晶質炭素、ケイ素ドープ炭素材料、ダイヤモンド様炭素、及びその組合せから成る群から選択した材料を含む請求項36記載の装置。
【請求項38】
1つ以上のケイ素含有無機バリア層が基板表面上に封止層の最終材料層として堆積される請求項36記載の装置。
【請求項39】
1つ以上の炭素含有材料層の光透過率が波長400nm〜900nmで約80%以上である請求項36記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−509036(P2009−509036A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531097(P2008−531097)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【国際出願番号】PCT/US2006/030304
【国際公開番号】WO2007/040798
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】