説明

封止材料検査装置および封止材料検査方法

【課題】発光体を封止する封止材料のスペクトル変換効率の変動要因を特定する検査装置および検査方法を提供すること。
【解決手段】被測定物である封止材料1004に含まれる蛍光体粒子の形状を測定する粒子状態評価ユニット101と、封止材料1004のスペクトルを検出する光学特性評価ユニット102と、当該形状およびスペクトルの解析を行うデータ処理演算用PC105とを備える封止材料検査装置100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED等の発光体を封止する封止材料の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(以下、LED(Light Emitting Diode)と称する場合がある)は、発光ダイオードディスプレイ装置、および、液晶ディスプレイ装置のバックライト光源等に用いられている。LEDがこれらの装置に用いられる場合、大部分は、青色LED素子と、青色光を吸収することで黄色発光する蛍光体材料と、を組み合わせて、全体として白色光を得る白色LEDユニットとして用いられる。
【0003】
このような白色LEDユニット1005を図10に示す。
【0004】
図10に示す白色LEDユニット1005では、上方に開口する凹部を有する上方開口直方体形に形成されたパッケージ1002が基板1001上に取り付けられている。また、パッケージ1002の凹部底面の中央に青色LED素子1003が設置されている。
【0005】
さらに、黄色系蛍光体粒子と、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂などの透明な熱硬化性樹脂とを混合した封止材料1004が、凹部内に定量的に充填され、熱硬化することにより封止層が形成されている。
【0006】
白色LEDユニット1005は、当該白色LEDユニット1005が用いられるディスプレイ装置の輝度および色度の規格に基づき許容される輝度範囲および色度範囲が定まっており、不適切な色度および輝度の白色LEDユニット1005は検査および選別により廃棄されなければならない。
【0007】
ここで、色度および輝度の大部分は青色LED素子1003の波長および発光効率と封止材料1004のスペクトル変換効率とにより決定される。封止材料1004のスペクトル変換効率は、混合した蛍光体粒子の結晶構造および形状、凝集状態、濃度、または異物混入の影響を受け、変動する。
【0008】
白色LEDユニット1005の廃棄コストを抑えるためには、その製造工程において、封止材料1004のスペクトル変換効率に影響を与える要素を検査および管理する必要がある。
【0009】
同様に白色LEDユニット1005の色度および輝度に影響を及ぼす青色LED素子1003の波長および発光効率については、納入時の仕様により、その変動幅が決まるため、変動を抑えるためには、青色LED素子1003の仕様を制限する他ない。
【0010】
変換効率の変動要因を評価するには、蛍光体粒子の粒子径など形状の評価をする必要と、変換効率を求める必要とがある。ここで、従来の粒子径の検査装置としては、粒子画像を撮像し、分析するものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
図11は、前記特許文献1に記載された従来の検査装置1109の構成を示す図である。
【0012】
図11に示す検査装置1109において、フローセル1101に試料が流し込まれた状態で、ラインセンサー1102の赤外光が、可視光反射および赤外透過の第1ダイクロイックミラー1103および第2ダイクロイックミラー1104を透過する。その結果、制御部1105により、当該試料に含まれる粒子の通過が検出される。
【0013】
粒子の検出を受け、撮像用ストロボ光源1106の光が第1ダイクロイックミラー1103および第2ダイクロイックミラー1104に反射され、CCDカメラ1107により、粒子の静止画像が撮像される。
【0014】
従来の検査装置1109では、この静止画像をイメージプロセッサ1108で解析することにより、粒子の形状についての情報を得ていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平4−072544号公報(10頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
白色LEDユニット1005に使用される封止材料1004のスペクトル変換効率は、上述のように、混合した蛍光体粒子の結晶構造および形状、凝集状態、濃度、または異物混入の影響を受ける。そのため、白色LEDユニット1005の製造工程における封止材料1004の検査および管理には、封止材料1004となった状態で解析する必要がある。
【0017】
しかしながら、前記従来の検査装置1109の構成では、試料(封止材料1004)をフローセルに通すために希釈する必要があり、蛍光体粒子の濃度情報を得ることが出来ない。また、例えば20μmの蛍光体粒子を含む封止材料1004に対し、非常に小さな異物、例えば0.8μm以下の異物が混入している場合、静止画像の解析による異物の混入率の計測は困難である。
【0018】
封止材料1004には、粘度調整のために、平均粒子径が0.8μm以下のシリカ粉末が混合されることもあり、この混合量の変化が前記スペクトル変換効率に影響を与え得る。
【0019】
また、製造工程において発生する、スペクトル変換効率が極端に低下した、平均粒子径が0.8μm以下の微細な蛍光体粒子が封止材料1004に混入していることもある。
【0020】
したがって、従来技術においては、封止材料1004のスペクトル変換効率の、異物混入を主とした変動要因を解析することが出来ず、その結果、製造工程の検査・管理によって前記白色LEDの廃棄コストを抑えることが出来ないという課題を有していた。
【0021】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、封止材料に混合された状態での蛍光体粒子の物理量を計測することで、封止材料のスペクトル変換効率の変動要因を特定することのできる、封止材料検査装置および封止材料検査方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る封止材料検査装置は、被測定物である封止材料に含まれる蛍光体粒子の形状を測定する形状測定部と、前記封止材料のスペクトルを検出するスペクトル測定部と、前記形状および前記スペクトルの解析を行う解析部とを備える。
【0023】
この構成によれば、蛍光体粒子の結晶構造、形状、濃度、または異物混入による封止材料のスペクトル変換効率への影響度検査を行うことができる。
【0024】
つまり、本構成によって、封止材料のスペクトル変換効率の変動要因の特定を行うことができる。
【0025】
また、本発明の一態様に係る封止材料検査装置は、さらに前記被測定物を搬送する搬送部を備え、前記搬送部は、前記形状測定部と前記スペクトル測定部との間で、前記被測定物の搬送を行うとしてもよい。
【0026】
この構成によれば、封止材料についての静止画像の撮像およびスペクトルの検出が、効率よく、順次実行される。
【0027】
また、本発明の一態様に係る封止材料検査装置において、前記搬送部には、前記被測定物を一定厚みにするサンプリングユニット部を有するとしてもよい。
【0028】
また、本発明の一態様に係る封止材料検査装置において、前記サンプリングユニット部には、光を透過する第1平面板と光を反射する第2平面板との間に、スペーサーと前記被測定物を配置する部分とが配置されるとしてもよい。
【0029】
また、本発明の一態様に係る封止材料検査装置において、前記搬送部は、テープ上に前記被測定物を配置して搬送する機構であるとしてもよい。
【0030】
また、本発明は、上記いずれかの態様に係る封止材料検査装置が実行する特徴的な処理を含む封止材料検査方法として実現することもできる。
【0031】
例えば、本発明の一態様に係る封止材料検査方法は、発光体を封止するための封止材料に含まれる蛍光体粒子を撮像し、前記封止材料のスペクトルを測定し、撮像によって得られた静止画像と測定された前記スペクトルとを解析し、解析された結果を用いて封止材料を評価する封止材料検査方法、と表現することができる。
【0032】
また、本発明の一態様に係る封止材料検査方法において、、前記封止材料を一定厚みに設定後、前記撮像と前記スペクトルの測定を行うとしてもよい。
【0033】
また、本発明の一態様に係る封止材料検査方法において、前記解析は、前記撮像した画像から、前記蛍光体粒子の平均粒子径、前記蛍光体粒子の平均円形度、および、前記蛍光体粒子の濃度を求めるとしてもよい。
【0034】
また、本発明の一態様に係る封止材料検査方法において、前記解析は、前記スペクトルの測定から取得した前記スペクトルから、内部量子収率および異物状態を求めるとしてもよい。
【0035】
また、本発明の一態様に係る封止材料検査方法において、前記撮像と前記スペクトルの測定とは、同じ状態の前記封止材料に対してされるとしてもよい。
【0036】
また、本発明の一態様に係る封止材料検査方法において、テープにて前記封止材料を搬送し、前記撮像と前記スペクトルの測定とを行うとしてもよい。
【0037】
また、本発明の封止材料検査方法が含む各処理をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現すること、および、そのプログラムが記録された記録媒体として実現することもできる。そして、そのプログラムをインターネット等の伝送媒体又はDVD等の記録媒体を介して配信することもできる。
【0038】
また、本発明は、上記いずれかの態様に係る封止材料検査装置が有する特徴的な構成部を備える集積回路として実現することもできる。
【発明の効果】
【0039】
本願発明によれば、例えば、LEDユニットに用いられる封止材料中の蛍光体の静止画像を撮像し、スペクトルを測定し、前記静止画像と前記スペクトルとの解析処理を行う。そして、その蛍光体粒子の形状を示す静止画像から、蛍光体の平均粒子径、蛍光体の平均円形度、および、蛍光体粒子の濃度を求め、スペクトルから、内部量子収率および異物状態を求めることができる。これにより、当該封止材料中の蛍光体のスペクトル変換効率の変動要因の特定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施の形態1における封止材料検査装置の構成を示す図である。
【図2】実施の形態1におけるサンプリングユニットの構成を示す図である。
【図3】実施の形態1における粒子状態評価ユニットの構成を示す図である。
【図4】実施の形態1における光学特性評価ユニットの構成を示す図である。
【図5】実施の形態1における、サンプリングされた封止材料の静止画像の一例を示す図である。
【図6】実施の形態1における、撮像データから得られる各種の解析パラメータを示す図である。
【図7】実施の形態1における基準スペクトルおよび波長変換光スペクトルの例を示す図である。
【図8】実施の形態2における封止材料検査装置の構成を示す図である。
【図9】異物のスペクトル変換効率への影響を示す図である。
【図10】従来の白色LEDユニットの構造の一例を示す図である。
【図11】従来の検査装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下で説明する実施の形態のそれぞれは、本発明の好ましい一具体例を示すものである。各実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。本発明は、特許請求の範囲によって限定される。よって、以下の各実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素は、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。
【0042】
まず、本発明の実施の形態1について、図面を参照しながら説明する。
【0043】
(実施の形態1)
(検査装置の構成)
図1は、実施の形態1における封止材料検査装置100の構成を示す図である。
【0044】
封止材料検査装置100は、LEDユニットを検査するシステムであって、図1に示すように、粒子状態評価ユニット101と、光学特性評価ユニット102と、サンプリングユニット103と、XY平面ステージ104と、データ処理演算用PC105とを有する。
【0045】
粒子状態評価ユニット101は、形状測定部の一例であり、粒子の撮像、およびサンプリングされた封止材料の厚みの測定を行うことにより、粒子の形状および粒子濃度を評価する。
【0046】
光学特性評価ユニット102は、スペクトル測定部の一例であり、封止材料のスペクトル変換効率を評価する。
【0047】
サンプリングユニット103は、封止材料を一定の厚みでサンプリングする。サンプリングユニット103は、XY平面ステージ104にセットされている。
【0048】
XY平面ステージ104は、搬送部の一例であり、サンプリングユニット103を搬送する。具体的には、XY平面ステージ104は、粒子状態評価ユニット101と光学特性評価ユニット102との間でサンプリングユニット103の移動を行う。また、XY平面ステージ104は、粒子状態評価ユニット101での測定時のサンプリングユニット103の移動を行う。
【0049】
データ処理演算用PC105は、解析部の一例であり、粒子状態評価ユニット101および光学特性評価ユニット102より送られてくるデータから、封止材料のスペクトル変換効率の変動要因を評価する。
【0050】
(検査装置の動作)
評価の対象である封止材料をサンプリングユニット103にセットする。封止材料がセットされたサンプリングユニット103は、粒子状態評価ユニット101の設置位置まで移動される。その後、粒子状態評価ユニット101により、封止材料の撮像が行われ、そのデータがデータ処理演算用PC105に転送される。
【0051】
続いて、サンプリングユニット103は、光学特性評価ユニット102の設置位置まで移動される。光学特性評価ユニット102により、封止材料のスペクトル変換効率の測定が行われ、そのデータがデータ処理演算用PC105に転送される。
【0052】
データ処理演算用PC105は、粒子状態評価ユニット101と光学特性評価ユニット102とから送られたデータを処理することにより、封止材料のスペクトル変換効率の変動要因を評価する。
【0053】
上記一連の処理は、例えば、発光体であるLEDを封止するための封止材料1004に含まれる蛍光体粒子を撮像し、封止材料1004のスペクトルを測定し、撮像によって得られた静止画像と測定された前記スペクトルとを解析し、解析された結果を用いて封止材料1004を評価する封止材料検査方法、と説明することができる。
【0054】
実施の形態1における封止材料検査装置100では、同じ蛍光体材料(封止樹脂)の同じ状態での、粒子状態評価と光学特性評価とが、同時期に行えるため、これらの正確な評価が可能である。
【0055】
以下に各図で各ユニットの詳細について説明する。
【0056】
(サンプリングユニットの構成)
図2は、実施の形態1におけるサンプリングユニット103の構成を示す図である。
【0057】
図2に示されるサンプリングユニット103は、平行平面基板ガラス201、アルミ平面ミラー202、スペーサー203、Z軸調整ステージ204、および、ゴニオステージ(Gonio Stage)205を有する。
【0058】
平行平面基板ガラス201は、粒子状態評価ユニット101からの照射光208、および、光学特性評価ユニット102からの照射光208を透過させるとともに、封止材料1004の厚み形状を規定する。
【0059】
アルミ平面ミラー202は、上部に位置する粒子状態評価ユニット101からの照射光208、および、光学特性評価ユニット102からの照射光208を反射し、測定感度を上げるとともに、封止材料1004の厚み形状を規定する。
【0060】
スペーサー203は、封止材料1004の厚みを規定する。
【0061】
Z軸調整ステージ204は、サンプリングされた封止材料1004の厚みを微調整する。
【0062】
ゴニオステージ205は、あおり角を調整することで、サンプリングされた封止材料1004の厚みを一様にする。
【0063】
このように、サンプリングユニット103では、封止材料1004を、平行平面基板ガラス201とアルミ平面ミラー202とで挟み込む。また、このとき、平行平面基板ガラス201とアルミ平面ミラー202との間には、厚みが10〜30μm程度のスペーサー203が配置されている。
【0064】
封止材料1004は、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂のような熱硬化性の樹脂に、蛍光体粉末、例えばYAG蛍光体、BOS蛍光体、シリケート蛍光体、およびサイアロン蛍光体などを混合した材料である。
【0065】
また、封止材料1004には、粘度調整のために、平均粒径0.8μm以下のシリカ粉末が混合されることもある。
【0066】
スペーサー203の厚みは、蛍光体粉末の平均粒子径の1〜1.5倍程度が好ましい。例えば、平均粒子径20μmのYAG蛍光体を含む封止材料1004を検査する場合、厚みが30μmのスペーサー203を使用することにより、蛍光体粒子が平面上で重なる確率が低くなり、個別蛍光体粒子の検出精度が向上する。なお、20μm以下のスペーサー203を使用した場合、蛍光体粒子を破砕してしまい、正確な計測を行えない。
【0067】
スペーサー203は、例えばアルミ平面ミラー202にパターン印刷を行うことでアルミ平面ミラー202上に形成される。スペーサー203以外の方法、たとえば、平行平面基板ガラス201とアルミ平面ミラー202の一方、または、両方を移動可能とする方法や、平行平面基板ガラス201とアルミ平面ミラー202の一方、または、両方に凹凸を設ける方法などがある。
【0068】
また、封止材料1004のサンプリング厚みの微調整を行うために、スペーサー203に加え、Z軸調整ステージ204に固定された平行平面基板ガラス201が用いられる。具体的には、Z軸調整ステージ204により、平行平面基板ガラス201の浮き上がり等によるサンプリング厚みのバラツキを抑えることができる。
【0069】
さらにアルミ平面ミラー202は、θxおよびθyが調整可能なゴニオステージ205に固定されることにより、あおり角が調整可能である。その結果、封止材料1004は、一様なサンプリング厚みのもとで検査することができる。
【0070】
(粒子状態評価ユニットの構成)
図3は、実施の形態1における粒子状態評価ユニット101の構成を示す図である。
【0071】
図3に示される粒子状態評価ユニット101は、CCDカメラ301、ハーフミラー302、対物レンズ303、ハロゲン光源304、参照ミラー305、および走査用Z軸306を有する。
【0072】
CCDカメラ301は、粒子の撮像および、サンプリングされた樹脂の厚みを測定する。CCDカメラ301は、データ処理演算用PC105とUSBケーブルによって接続されている。
【0073】
ハーフミラー302は、ハロゲン光源304の照射光をサンプリングユニット103に向かう光と、参照ミラー305に向かう光とに分離する。
【0074】
対物レンズ303は、粒子の撮像倍率を調整する。
【0075】
ハロゲン光源304は、粒子の撮像および、サンプリングされた樹脂の厚みを測定するための光を照射する。
【0076】
参照ミラー305は、樹脂の厚み測定のための参照光であって、光路長が既知の参照光を作るミラーである。
【0077】
走査用Z軸306は、樹脂の厚みを測定するためにハロゲン光源304より照射された光の光路長を調整するための機構である。
【0078】
(光学特性評価ユニットの構成)
図4は、実施の形態1における光学特性評価ユニット102の構成を示す図である。
【0079】
図4に示される光学特性評価ユニット102は、小型積分球401、光ファイバーケーブル402、分光器403、コリメーターレンズ404、およびLED光源405を有する。
【0080】
小型積分球401は、球状のガラス体である。
【0081】
光ファイバーケーブル402は、小型積分球401内で平均化された光を分光器403に導光する。
【0082】
分光器403は、光ファイバーケーブル402によって導かれた光のスペクトル強度を測定する。
【0083】
コリメーターレンズ404は、拡散光を平行光に変換する。
【0084】
LED光源405は、封止材料1004を励起し、光らせるための光源である。
【0085】
サンプリングユニット103が光学特性評価ユニット102の設置位置にあるとき、小型積分球401は、平行平面基板ガラス201の直上になるように固定される。
【0086】
本願発明者らの実験によれば、小型積分球401と、サンプリングユニット103内の平行平面基板ガラス201との間が3mm以下の距離で小型積分球401の位置を固定した場合、精度の高い測定を行うことができた。この距離が長くなると外乱光の影響が大きくなり、S/N比が悪化する。
【0087】
LED光源405から照射される光線がコリメーターレンズ404を通して平行光となり、小型積分球401の上面に入射するように、LED光源405等が配置される。
【0088】
LED光源405の中心波長は、前記蛍光体粒子の励起波長の中心波長と合わせることが望ましい。例えば、前記蛍光体粒子の励起波長が440〜480nmの場合、LED光源405の中心波長は460nmとすることが好ましい。
【0089】
本願発明者らの実験によれば、LED光源405のスポット径は、サンプリングした封止材料1004の広がり径の60〜80%とすると、測定の再現性が保たれた。例えば、前記封止材料1004の広がり形がφ7mmのとき、スポット径をφ5mmとしたとき最も再現性が良かった。
【0090】
小型積分球401の側面に光ファイバーケーブル402の一端が接続され、光ファイバーケーブル402の他端が分光器403に接続される。
【0091】
分光器403とデータ処理演算用PC105とはUSBケーブルによって接続されている。
【0092】
(検査の全体フロー)
検査のフローについて以下に説明する。
【0093】
蛍光体を含むLED用の封止材料1004を、図2で示されるサンプリングユニット103のアルミ平面ミラー202の上に滴下する。平行平面基板ガラス201をアルミ平面ミラー202上のスペーサー203と接触するまで移動させる。
【0094】
サンプリングユニット103の上部に位置する粒子状態評価ユニット101(図3参照)により、封止材料1004の滴下されていない任意の3点における平行平面基板ガラス201とアルミ平面ミラー202との間の距離を測定する。この測定結果から、サンプリングされた封止材料1004の厚みが算出される。
【0095】
以下、粒子状態評価ユニット101による封止材料1004の厚みの測定の手順について具体的に説明する。
【0096】
図3で示される粒子状態評価ユニット101において、ハロゲン光源304より照射された光はハーフミラー302によって、参照ミラー305に向かう光とサンプリングユニット103に向かう光とに分けられる。
【0097】
参照ミラー305に向かう光は参照ミラー305によって反射され、さらにハーフミラー302によって反射されることによりCCDカメラ301に入射する。他方、サンプリングユニット103に向かう光は、平行平面基板ガラス201の下面、およびアルミ平面ミラー202によって反射され、CCDカメラ301に入射する。
【0098】
ここで、図3に示す2つの距離(L1およびL2)が一致したときに、干渉縞がCCDカメラ301によって観測される。このことを利用し、走査用Z軸306によってハロゲン光源304のZ軸方向(図3における上下方向)の位置を移動させながらCCDカメラ301によって光を観測することで、平行平面基板ガラス201の下面位置、およびアルミ平面ミラー202の上面位置を特定することができる。さらに、特定された当該下面位置と当該上面位置との差分を取ることにより、サンプリングされた封止材料1004の厚みを測定することができる。
【0099】
より詳細には、粒子状態評価ユニット101は、図1に示されるXY平面ステージ104上においてサンプリングユニット103が移動される期間に、3点の距離測定を行う。
【0100】
さらに、3点の距離測定データをもとに図2のサンプリングユニット103のZ軸調整ステージ204と、あおり角調整のためのゴニオステージ205とを調整し、平行平面基板ガラス201とアルミ平面ミラー202との間の距離が一定となるように微調整する。なお、3点の前記距離が±1%以内に設定できることが望ましい。
【0101】
例えば、このようにして微調整された後の3点の前記距離の平均を求めることで、封止材料1004の厚みが求められる。
【0102】
粒子状態評価ユニット101は、続いて粒子状態の評価を行う。図3の粒子状態評価ユニット101において、ハロゲン光源304より照射された光がハーフミラー302により一部が反射され、対物レンズ303を通して、サンプリングユニット103にセットされている封止材料1004を照らし、それをCCDカメラ301により撮像する。
【0103】
図5に、撮像した画像の一例を示す。図5のように、サンプリングした封止材料1004をCCDカメラ301の視野角領域単位501で区切り、図1のXY平面ステージ104によりサンプリングユニット103を移動させる。このようにして、CCDカメラ301に、視野角領域単位501ごとに封止材料1004の静止画像を撮像させ、静止画像を示す撮像データを図1のデータ処理演算用PC105にストレージする。
【0104】
例えば、平均粒子径20μmのYAG蛍光体粒子を混合した封止材料0.8μlを検査する場合、図3の粒子状態評価ユニット101の対物レンズ303に倍率20倍のものをセットすると視野角70μmとなり、撮像画像数は100枚程度となる。
【0105】
データ処理演算用PC105では、このようにして得られた視野角領域単位501ごとの撮像データを結合することで、一枚の封止材料サンプル画像を生成し、当該封止材料サンプル画像から粒子径等の情報を取得する。
【0106】
(粒子状態の解析について)
図6の(1)から(5)に、解析に利用した画像例を示す。図6に示されるように、撮像データから得られる解析パラメータは、(1)塗布面積、(2)合計粒子数、(3)合計粒子体積、(4)粒子径、(5)円形度である。
【0107】
図6の(1)塗布面積は、サンプリングした封止材料1004の平面積である。つまり、封止材料1004により形成された円の面積である。
【0108】
図6の(2)合計粒子数は、サンプリングした封止材料1004に含まれる粒子の合計数である。
【0109】
図6の(3)合計粒子体積は、サンプリングした封止材料1004に含まれる粒子の体積の合計である。なお、図中の円は、粒子に近似させた円を表しており、このことは図6の(4)および(5)でも同様である。
【0110】
図6の(4)粒子径は、粒子形状を球と仮定した場合の球の直径である。
【0111】
図6の(5)円形度は、粒子の平面形状を円と仮定した円の円周長を、粒子の外周長で除算したものである。
【0112】
データ処理演算用PC105は、具体的には、以下の(a)〜(e)の手順により、各種の解析パラメータを求める。
【0113】
(a)データ処理演算用PC105は、図5に示される封止材料画像から図6の(1)に示される塗布面積を算出し、算出した塗布面積を用い、(式1)により封止材料1004の体積を求める。
【0114】
封止材料の体積=塗布面積×サンプリングされた封止材料の厚み (式1)
【0115】
(b)データ処理演算用PC105は、封止材料画像を解析し、図6の(2)に示すように周囲から孤立した領域を1個とカウントすることで合計粒子数を求める。
【0116】
(c)データ処理演算用PC105は、カウントした個別の粒子に対して、粒子面積と同じ面積を持つ近似円を設定し、(式2)により、図6の(3)に示される合計粒子体積を求める。
【0117】
【数1】

【0118】
ここで、Rは近似円の半径である。データ処理演算用PC105は、(式1)に示される封止材料1004の体積および(式2)に示される合計粒子体積を用い、蛍光体体積濃度を下記の(式3)からに求めることができる。
【0119】
蛍光体体積濃度=(合計粒子体積/封止材料の体積)×100(%) (式3)
【0120】
蛍光体体積濃度は封止材料のスペクトル変換効率に影響を及ぼす因子である。
【0121】
(d)図6の(4)に示される粒子径は下記の(式4)により求められる。
【0122】
粒子径=2R (式4)
【0123】
データ処理演算用PC105は、求められた個別粒子の粒子径より、平均粒子径を求める。平均粒子径は封止材料1004のスペクトル変換効率に影響を及ぼす因子である。
【0124】
(e)図6の(5)に示される円形度は下記の(式5)により求められる。
【0125】
円形度=近似円の円周長/粒子の周囲長 (式5)
【0126】
求められた個別粒子の円形度より、平均円形度が求められる。平均円形度は封止材料1004のスペクトル変換効率に影響を及ぼす因子である。
【0127】
(光学特性の解析について)
ここで封止材料1004のスペクトル変換効率は、下記の概略式によって表すことができる。
【0128】
スペクトル変換効率
∝平均粒子径×平均円形度×内部量子収率×(1−異物混入率)×蛍光体粒子濃度
(式6)
【0129】
ここで、粒子形状の評価により、平均粒子径、平均円形度、および、蛍光体粒子濃度の評価は可能であるが、蛍光体格子欠陥状態により決まる内部量子収率および異物状態の影響を含めて分析することができない。したがって、粒子形状の評価だけでは、封止材料1004のスペクトル変換効率が変動した場合、その変動要因を評価することが出来ないという課題が残る。
【0130】
しかし、本実施の形態における封止材料検査装置100では、次に示す光学特性評価ユニット102で、内部量子収率および異物混入の影響を同時解析することにより、封止材料のスペクトル変換効率の変動要因を評価することができる。
【0131】
すなわち、本実施の形態における封止材料検査装置100では、変動要因の評価情報をもとに白色LEDユニットの製造工程を管理し、封止材料のスペクトル変換効率の変動を抑制することにより、白色LEDユニットの廃棄コストを抑えることができる。
【0132】
図1に示す封止材料検査装置100において、粒子状態評価ユニット101により、粒子形状の評価を行う。その後、XY平面ステージ104を動作させることで、粒子状態評価ユニット101による粒子状態の評価済みの封止材料1004がサンプリングされているサンプリングユニット103を、粒子状態評価ユニット101の設置位置から光学特性評価ユニット102の設置位置まで移動させる。
【0133】
なお、測定の流れは、光学特性評価ユニット102による評価の後に、粒子状態評価ユニット101による評価を行うという順であってもよい。
【0134】
サンプリングユニット103によりサンプリングされた封止材料1004のセンターに、図4に示される光学特性評価ユニット102のLED光源405のスポットセンターを合わせる。
【0135】
LED光源405より照射された青色光はコリメーターレンズ404を通して平行光となり、小型積分球401を通過して、図2に示されるサンプリングユニット103にサンプリングされている封止材料1004に入射する。入射した光は、封止材料1004に混合されている蛍光体粒子によって波長変換され封止材料1004から出射する。
【0136】
出射した光は、アルミ平面ミラー202により反射され、再度、封止材料1004に入射し、封止材料1004を通過して、図4に示される小型積分球401に入射する。
【0137】
封止材料1004より出射した光は、平行光ではなく拡散光のため、小型積分球401内部で拡散反射し空間的に平均化される。このようにして平均化された波長変換光のスペクトルを分光器403で検出する。
【0138】
また、事前に蛍光体粒子および異物の混合されていない樹脂をサンプリングし、そこに上記同様LED光源405による光を入射させる。その結果得られる当該樹脂からの出射光を小型積分球401により平均化し、蛍光体による波長変換のなされていない光のスペクトルを基準スペクトルとして分光器403で検出する。さらに、検出した基準スペクトルを図2のデータ処理演算用PC105にストレージしておく。
【0139】
データ処理演算用PC105は、このようにして得られた基準スペクトルと波長変換光スペクトルとを分析することにより、内部量子収率および異物混入の影響度を測定することができる。
【0140】
基準スペクトルと波長変換光のスペクトルの例を図7の(a)および(b)に示す。
【0141】
図7の(a)は、基準スペクトル701の一例を示す図である。基準スペクトル701は、蛍光体を混合させていない封止材料を透過した光から取得したスペクトルである。
【0142】
図7の(b)は、波長変換光のスペクトル702の一例を示す図である。波長変換光のスペクトル702は、測定対象の封止材料1004を透過した光から取得したスペクトルである。
【0143】
波長変換光の未変換部分703は、封止材料に混合されている蛍光体粒子によって、波長変換がなされなかったスペクトル部分である。
【0144】
波長変換光の変換部分704は、封止材料に混合されている蛍光体粒子によって、波長変換がなされたスペクトル部分である。
【0145】
以上からスペクトル変換効率は、下記の式で求めることができる。
【0146】
スペクトル変換効率= 波長変換光スペクトルの変換部分積分値/(基準スペクトル積分値−波長変換光スペクトルの未変換部分積分値) (式7)
【0147】
(式7)により求められたスペクトル変換効率と、(式6)とにより、内部量子収率および異物混入の影響は、以下のようになる。
【0148】
(内部量子収率×(1−異物混入率))∝
スペクトル変換効率/(蛍光体粒子濃度×平均粒子径×平均円形度) (式8)
【0149】
以上により、本実施の形態における封止材料検査装置100によれば、計測対象である白色LEDユニットの色度および輝度に影響を及ぼす封止材料1004のスペクトル変換効率の変動要因である(内部量子収率×(1−異物混入率))を計測することができる。
【0150】
(実施の形態2)
以下本発明の実施の形態2について、図面を参照しながら説明する。
【0151】
図8は、実施の形態2における封止材料検査装置800の構成を示す図である。
【0152】
封止材料検査装置800は、図8に示されるような構成を採用することにより、テープ状封止材料808の検査を行うことができる。
【0153】
テープ状封止材料808は、照明用の白色LEDの製造コストを半分程度に抑えられる技術として産業機械商社の東富士電機株式会社(東京・品川)によって開発された。
【0154】
テープ状封止材料808は、蛍光体粒子をシリコーン樹脂に混ぜてテープ化したものである。つまり、テープ状封止材料808は、実施の形態1における封止材料1004とは異なり、液状ではなく形状が固定されている。そのため、実施の形態2における封止材料検査装置800は、粒子状態評価ユニット809と、光学特性評価ユニット810と、テープ状封止材料送りユニット811と、データ処理演算用PC812とを備えている。
【0155】
(検査装置の構成について)
粒子状態評価ユニット809は、実施の形態1の粒子状態評価ユニット101と同様の構成および機能を有する。
【0156】
光学特性評価ユニット810は、実施の形態1の光学特性評価ユニット102と同様の機能を有する。光学特性評価ユニット810は、小型積分球801、光ファイバーケーブル802、分光器803、コリメーターレンズ804、およびLED光源805を有する。
【0157】
テープ状封止材料送りユニット811は、テープ状封止材料808を定寸送りすることにより、一定領域のテープ状封止材料808に対する、粒子状態評価ユニット809および光学特性評価ユニット810による評価を可能にする。
【0158】
テープ状封止材料送りユニット811は、テープ送りカセット806、および、送りサーボモーター807を有する。
【0159】
粒子状態評価ユニット809は、実施の形態1の粒子状態評価ユニット101と同様の構成および機能を有する。
【0160】
光学特性評価ユニット810は、小型積分球801がテープ状封止材料808の直下になるように配置される。小型積分球801とテープ状封止材料808との間の距離は3mm以下の距離で固定とすることが望ましい。距離が長くなると外乱光の影響が大きくなり、S/N比が悪化する。
【0161】
LED光源805は、LED光源805から照射される光線がコリメーターレンズ804を通して平行光となり、テープ状封止材料808の上面より入射し、その出射光が小型積分球801に入射するように配置される。
【0162】
小型積分球801の側面には光ファイバーケーブル802の一端が接続され、光ファイバーケーブル802の他端は分光器803に接続される。分光器803とデータ処理演算用PC812はUSBケーブルによって接続されている。
【0163】
(検査装置の動作について)
検査のフローについて以下に説明する。
【0164】
テープ状封止材料808をテープ状封止材料送りユニット811にセットする。テープ状封止材料送りユニット811は、図8の矢印Aの方向に、テープ状封止材料808を、粒子状態評価ユニット809の視野角単位で送る。
【0165】
例えば、平均粒子径20μmのYAG蛍光体粒子を混ぜたテープ状封止材料808を検査する場合、対物レンズ303に倍率20倍のものをセットすると視野角70μmとなる。この場合、送りサーボモーター807の送り分解能は70μm以上のものを選定する必要がある。
【0166】
送られたテープ状封止材料808について、粒子状態評価ユニット809により、視野角単位毎に、平均粒子径、平均円形度、および蛍光体粒子濃度が評価される。
【0167】
テープ状封止材料808は、厚みが既知であることから、サンプリングユニット103を使用することなく、蛍光体粒子濃度を(式9)により算出することが出来る。
【0168】
蛍光体粒子濃度=合計粒子体積/(テープ状封止材料厚み×視野角面積) (式9)
【0169】
算出された平均粒子径、平均円形度、および、蛍光体粒子濃度情報は、送りサーボモーター807からの測定位置情報とともに、データ処理演算用PC812にストレージされる。測定位置情報は粒子状態評価ユニット809の視野角の中心値とするとよい。
【0170】
続いて、送りサーボモーター807によりテープ状封止材料808が送り出され、光学特性評価ユニット810によりテープ状封止材料808のスペクトル変換効率の測定が行われる。
【0171】
測定されたテープ状封止材料808のスペクトル変換効率とその測定位置情報とがデータ処理演算用PC812にストレージされる。スペクトル変換効率の測定位置情報は、LED光源805のスポットの中心値とするとよい。
【0172】
データ処理演算用PC812は、同じ位置情報を持つ、粒子状態評価ユニット809より算出された平均粒子径、平均円形度、および蛍光体粒子濃度データと、光学特性評価ユニット810より算出されたスペクトル変換効率と、上述の(式8)とにより、内部量子収率および異物混入の影響度を算出することができる。
【0173】
以上により、白色LEDユニットの色度および輝度に影響を及ぼす、テープ状封止材料808のスペクトル変換効率の変動要因である、平均粒子径、平均円形度、内部量子収率、異物混入率、および、蛍光体粒子濃度を計測することができる。
【0174】
以上のように、実施の形態1および2における封止材料検査装置100および800のそれぞれによれば、白色LEDユニットの色度および輝度に影響を及ぼす封止材料のスペクトル変換効率の変動要因の測定を行うことができる。
【0175】
(異物による影響評価)
例えば、図9は、封止材料検査装置100(800)により求められた異物のスペクトル変換効率への影響を示す図である。
【0176】
蛍光体濃度を一定とした封止材料901および902について、平均粒子径および平均円形度からなる粒子状態変数を横軸に取り、縦軸にスペクトル変換効率を取り、プロットする。
【0177】
ここで、内部量子収率の大部分は蛍光体種別で決まるため、使用している蛍光体種別が同じである場合、図9に示される2種類の封止材料901および902のスペクトル変換効率の差は、異物の影響による結果と判断される。
【0178】
異物は主に、画像認識による検出が難しい0.8μm以下の粘度調整のためのシリカ粉末、および、製造工程において発生するスペクトル変換効率が極端に低下した微細蛍光体粒子などである。
【0179】
したがって、画像認識では、異物の含有量を評価することができない。また、同様にスペクトル変換効率の評価では、その変動要因を特定することができない。特に微細蛍光体は、蛍光体粒子と熱硬化性樹脂とを調合および混練する工程の変動ならびに蛍光体材料ロットのバラツキにより、蛍光体粒子の含有量が変動し、白色LEDの色度および輝度が変動する。
【0180】
不適切な色度および輝度の白色LEDは検査および選別により廃棄されなければならず、異物含有量の変動は、白色LEDの製造コストを押し上げる。
【0181】
しかしながら、実施の形態1および2における封止差材料検査装置100および800によれば、製造工程において簡易に異物含有量の変動を測定することができる。その結果、異物含有量を管理することが可能となり、これにより、白色LEDユニットにおける色度および輝度のバラツキを抑制し、製造コストを下げることが出来る。
【0182】
以上、本発明の封止材料検査装置および封止材料検査方法について、各実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、各実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を各実施の形態に施したもの、および、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0183】
例えば、実施の形態1および2では、発光体であるLEDの封止に用いられる、蛍光体を含む封止材料の検査に関して説明した。しかし、封止材料検査装置100および800の構成は、蛍光体を含む封止材料を用いるいろいろな機器についての検査装置としても利用できる。
【0184】
例えば、封止差材料検査装置100および800は、半導体レーザまたは有機EL(Electro Luminescence)である半導体発光素子を封止する封止材料を検査する装置として利用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0185】
本発明は、LEDの封止材料に限らず、蛍光体を含む各種の材料の検査に用いる検査装置および検査方法等として有用である。
【符号の説明】
【0186】
100 封止材料検査装置
101、809 粒子状態評価ユニット
102、810 光学特性評価ユニット
103 サンプリングユニット
104 XY平面ステージ
105、812 データ処理演算用PC
201 平行平面基板ガラス
202 アルミ平面ミラー
203 スペーサー
204 Z軸調整ステージ
205 ゴニオステージ
301、1107 CCDカメラ
302 ハーフミラー
303 対物レンズ
304 ハロゲン光源
305 参照ミラー
306 走査用Z軸
401、801 小型積分球
402、802 光ファイバーケーブル
403、803 分光器
404、804 コリメーターレンズ
405、805 LED光源
501 視野角領域単位
701 基準スペクトル
702 波長変換光のスペクトル
703 波長変換光の未変換部分
704 波長変換光の変換部分
806 テープ送りカセット
807 送りサーボモーター
808 テープ状封止材料
811 テープ状封止材料送りユニット
901、902、1004 封止材料
1001 基板
1002 パッケージ
1003 青色LED素子
1005 白色LEDユニット
1101 フローセル
1102 ラインセンサー
1103 第1ダイクロイックミラー
1104 第2ダイクロイックミラー
1105 制御部
1106 撮像用ストロボ光源
1108 イメージプロセッサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物である封止材料に含まれる蛍光体粒子の形状を測定する形状測定部と、
前記封止材料のスペクトルを検出するスペクトル測定部と、
前記形状および前記スペクトルの解析を行う解析部と
を備える封止材料検査装置。
【請求項2】
さらに前記被測定物を搬送する搬送部を備え、
前記搬送部は、前記形状測定部と前記スペクトル測定部との間で、前記被測定物の搬送を行う
請求項1記載の封止材料検査装置。
【請求項3】
前記搬送部には、前記被測定物を一定厚みにするサンプリングユニット部を有する
請求項1または2に記載の封止材料検査装置。
【請求項4】
前記サンプリングユニット部には、光を透過する第1平面板と光を反射する第2平面板との間に、スペーサーと前記被測定物を配置する部分とが配置される
請求項3に記載の封止材料検査装置。
【請求項5】
前記搬送部は、テープ上に前記被測定物を配置して搬送する機構である
請求項2〜4のいずれか1項に記載の封止材料検査装置。
【請求項6】
発光体を封止するための封止材料に含まれる蛍光体粒子を撮像し、
前記封止材料のスペクトルを測定し、
撮像によって得られた静止画像と測定された前記スペクトルとを解析し、
解析された結果を用いて封止材料を評価する
封止材料検査方法。
【請求項7】
前記封止材料を一定厚みに設定後、前記撮像と前記スペクトルの測定を行う
請求項6記載の封止材料検査方法。
【請求項8】
前記解析は、前記撮像した画像から、前記蛍光体粒子の平均粒子径、前記蛍光体粒子の平均円形度、および、前記蛍光体粒子の濃度を求める
請求項6または7に記載の封止材料検査方法。
【請求項9】
前記解析は、前記スペクトルの測定から取得した前記スペクトルから、内部量子収率および異物状態を求める
請求項6〜8のいずれか1項に記載の封止材料検査方法。
【請求項10】
前記撮像と前記スペクトルの測定とは、同じ状態の前記封止材料に対してされる
請求項6〜9のいずれか1項に記載の封止材料検査方法。
【請求項11】
テープにて前記封止材料を搬送し、前記撮像と前記スペクトルの測定とを行う
請求項6〜10のいずれか1項に記載の封止材料検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−80799(P2013−80799A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219579(P2011−219579)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】