説明

封止材組成物及びそれを用いた太陽電池モジュール用封止材

【課題】UVA領域の紫外線を有効に利用でき、かつ、ガラスとの密着強度にも優れるポリエチレン系樹脂を含む封止材組成物及びそれを用いた太陽電池モジュール用封止材を提供する。
【解決手段】密度0.900g/cm以下のポリエチレン系樹脂を90質量%以上含有する樹脂と、組成物中に1.0質量%以上2.5質量%以下含有する分子量2000以上の光安定剤と、を含み、A波紫外線吸収剤を実質的に含有しない封止材組成物であり、波長240から280nm領域に最大吸収波長を有するA波紫外線吸収剤とは異なる紫外線吸収剤を更に含有する。得られる封止材は、UVA波長領域である300nmにおける光線透過率が厚さ400μmで50%以上であり、好ましくは波長240から280nmにおける光線透過率が10%以下であり、ガラスとの密着強度にも優れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュール用の封止材組成物、及びそれを用いた太陽電池モジュール用の封止材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリーンなエネルギー源としての太陽電池が注目されている。太陽電池を構成する太陽電池モジュールには、太陽電池素子が含まれ、この太陽電池素子が太陽光等の光エネルギーを電気エネルギーに変換する役割を担う。
【0003】
太陽電池素子は、単結晶シリコン基板や多結晶シリコン基板を用いて作製することが多い。このため、太陽電池素子は、物理的衝撃に弱く、また屋外に太陽電池モジュールを取り付けた場合に雨等からこれを保護する必要がある。また、太陽電池素子1枚では発生する電気出力が小さいため、複数の太陽電池素子を直並列に接続して、実用的な電気出力が取り出せるようにする必要がある。このため、複数の太陽電池素子を接続し、透明基板及び封止材で封入して太陽電池モジュールを作製することが通常行なわれている。一般に、太陽電池モジュールは、透明前面基板、封止材、太陽電池素子、封止材及び裏面保護シート等を順次積層し、これらを真空吸引して加熱圧着するラミネーション法等により製造される。
【0004】
太陽電池モジュールに使用される封止材には、紫外線による樹脂の劣化を防ぐための紫外線吸収剤が通常含有されている。この紫外線吸収剤は、樹脂の劣化が防止される一方、本来、太陽電池素子が発電に使用可能な315nmから400nm付近のUVA領域の紫外線も吸収してしまう。このため、このUVA領域の紫外線を吸収するA波紫外線吸収剤を含有しない太陽電池モジュール用の封止材が検討されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6093757号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ベース樹脂がポリエチレン系樹脂主体の太陽電池モジュール用封止材では、単にA波紫外線吸収剤を含有させないのみでは、樹脂の劣化によってガラスとの密着力が低下するという問題が別途生じる。このため、特に、ポリエチレン系樹脂主体の太陽電池モジュール用封止材において、UVA領域の紫外線を有効に発電に利用できる仕様が望まれていた。
【0007】
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、UVA領域の紫外線を有効に利用でき、かつ、ガラスとの密着強度にも優れる、ポリエチレン系樹脂を含む封止材組成物及びそれを用いた太陽電池モジュール用封止材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、ポリエチレン系樹脂に、従来より多量の光安定剤(HALS)を含有させ、しかも、その分子量を限定することにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0009】
(1) 密度0.900g/cm以下のポリエチレン系樹脂を90質量%以上含有する樹脂と、組成物中に1.0質量%以上2.5質量%以下含有する分子量2000以上の光安定剤と、を含み、A波紫外線吸収剤を実質的に含有しない太陽電池モジュール用の封止材組成物。
【0010】
(2) 波長240から280nm領域に最大吸収波長を有する、前記A波紫外線吸収剤とは異なる紫外線吸収剤を更に含有する(1)記載の封止材組成物。
【0011】
(3) 前記A波紫外線吸収剤とは異なる紫外線吸収剤がベンゾエート系紫外線吸収剤である(1)又は(2)に記載の封止材組成物。
【0012】
(4) 前記A波紫外線吸収剤とは異なる紫外線吸収剤が2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートである(1)から(3)いずれかに記載の封止材組成物。
【0013】
(5) (1)から(4)いずれかに記載の封止材組成物をシート化した太陽電池モジュール用封止材であって、
厚さ460μmで測定した場合に、波長300nmにおける光線透過率が50%以上である太陽電池モジュール用封止材。
【0014】
(6) 厚さ460μmで測定した場合に、波長240から280nmにおける光線透過率が10%以下である太陽電池モジュール用封止材。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、UVA領域の紫外線を有効に利用でき、かつ、ガラスとの密着強度にも優れる、ポリエチレン系樹脂を含む封止材組成物及びそれを用いた太陽電池モジュール用封止材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の太陽電池モジュールの層構成の一例を示す断面図である。
【図2】実施例における分光透過率を測定した結果である。本発明の太陽電池モジュールの層構成の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<太陽電池モジュール用封止材組成物>
本発明の太陽電池モジュール用封止材を製造するための封止材組成物は、密度が0.900g/cm以下のポリエチレン系樹脂と、光安定剤と、を含めばよく特に限定されないが、好ましくは、密度が0.900g/cm以下のポリエチレン系樹脂を90%以上含有する樹脂組成物と、光安定剤と、重合開始剤と、を含有する。
【0018】
本発明の太陽電池モジュール用封止材は、この封止材組成物からなる単層フィルム、或いは、この封止材組成物を積層してなる多層フィルムである。太陽電池モジュール用封止材が多層フィルムである場合は、多層フィルムとして積層されるそれぞれの各封止材組成物については、密度が0.900g/cm以下のポリエチレン系樹脂を90%以上含有する樹脂組成物である限り、各層ごとに組成や成分比の異なるものを用いることができる。
【0019】
[ポリエチレン系樹脂]
ベース樹脂として、本発明においては密度が0.900g/cm以下の低密度ポリエチレン(LDPE)、好ましくは直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いる。直鎖低密度ポリエチレンはエチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、本発明においては、その密度が0.900g/cm以下、好ましくは0.870〜0.890g/cmの範囲である。この範囲であれば、シート加工性を維持しつつ良好な透明性と耐熱性を付与することができる。
【0020】
本発明においてはメタロセン系直鎖低密度ポリエチレンを用いることが好ましい。メタロセン系直鎖低密度ポリエチレンは、シングルサイト触媒であるメタロセン触媒を用いて合成されるものである。このようなポリエチレンは側鎖の分岐が少なく、コモノマーの分布が均一である。このため、分子量分布が狭く、上記のような超低密度にすることが可能である。また、結晶性分布が狭く、結晶サイズが揃っているので、結晶サイズの大きいものが存在しないばかりでなく、低密度であるために結晶性自体が低い。このため、シート状に加工した際の透明性に優れる。したがって、本発明の封止材組成物からなる太陽電池モジュール用封止材が透明前面基板と太陽電池素子との間に配置されても発電効率はほとんど低下しない。
【0021】
直鎖低密度ポリエチレンのα−オレフィンとしては、好ましくは分枝を有しないα−オレフィンが好ましく使用され、これらの中でも、炭素数が6〜8のα−オレフィンである1−ヘキセン、1−ヘプテン又は1−オクテンが特に好ましく使用される。α−オレフィンの炭素数が6以上8以下であることにより、太陽電池モジュール用封止材に良好な柔軟性を付与することができるとともに良好な強度を付与することができる。その結果、太陽電池モジュール用封止材と基材との密着性が高まり、太陽電池モジュール用封止材と基材との間への水分の浸入を抑えることができる。
【0022】
ポリエチレン系樹脂のメルトマスフローレート(MFR)は、190℃、荷重2.16kg、において1.0g/10分以上40g/10分以下であることが好ましく、2g/10分以上40g/10分以下であることが更に好ましい。MFRが上記の範囲であることにより、製膜時の加工適性に優れる。
【0023】
本明細書中におけるMFRとは、特に断りのない限り、以下の方法により得られた値である。
MFR(g/10min):JIS K7210に準拠して測定。具体的には、ヒーターで加熱された円筒容器内で合成樹脂を、190℃で加熱・加圧し、容器底部に設けられた開口部(ノズル)から10分間あたりに押出された樹脂量を測定した。試験機械は押出し形プラストメータを用い、押出し荷重については2.16kgとした。
尚、多層フィルムである封止材シートについては、全ての層が一体積層された多層状態のまま、上記処理による測定を行い、得た測定値を当該多層の封止材シートのMFR値とした。
【0024】
本発明における「ポリエチレン系樹脂」には、エチレンを重合して得られる通常のポリエチレンのみならず、α−オレフィン等のようなエチレン性の不飽和結合を有する化合物を重合して得られた樹脂、エチレン性不飽和結合を有する複数の異なる化合物を共重合させた樹脂、及びこれらの樹脂に別の化学種をグラフトして得られる変性樹脂等が含まれる。
【0025】
なかでも、少なくともα−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなるシラン共重合体を好ましく使用することができる。このような樹脂を使用することにより、透明前面基板や太陽電池素子等といった部材と太陽電池モジュール用封止材との接着性が得られる。
【0026】
シラン共重合体は、例えば、特開2003−46105号公報に記載されているものである。当該共重合体を太陽電池モジュールの封止材組成物の成分として使用することにより、強度、耐久性等に優れ、且つ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、その他の諸特性に優れ、更に、太陽電池モジュールを製造する加熱圧着等の製造条件に影響を受けることなく極めて優れた熱融着性を有し、安定的に、低コストで、種々の用途に適する太陽電池モジュールを製造し得る。
【0027】
シラン共重合体は、少なくともα−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物をコモノマーとし、必要に応じて更にその他の不飽和モノマーをコモノマーとして共重合して得られる共重合体であり、該共重合体の変性体ないし縮合体も含むものである。
【0028】
具体的には、例えば、α−オレフィンの1種ないし2種以上と、エチレン性不飽和シラン化合物の1種ないし2種以上と、必要ならば、その他の不飽和モノマーの1種ないし2種以上とを、所望の反応容器を使用し、例えば、圧力500〜4000Kg/cm位、好ましくは、1000〜4000Kg/cm位、温度100〜400℃位、好ましくは、150〜350℃位の条件下で、ラジカル重合開始剤及び必要ならば連鎖移動剤の存在下で、同時に或いは段階的にランダム共重合させ、更には、必要に応じて、その共重合によって生成するランダム共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させて、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体又はその変性ないし縮合体を製造することができる。
【0029】
また、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体又はその変性ないし縮合体としては、例えば、α−オレフィンの1種ないし2種以上と、必要ならば、その他の不飽和モノマーの1種ないし2種以上とを、所望の反応容器を使用し、上記と同様に、ラジカル重合開始剤及び必要ならば連鎖移動剤の存在下で、同時に或いは段階的に重合させ、次いで、その重合によって生成するポリオレフィン系重合体に、エチレン性不飽和シラン化合物の1種ないし2種以上をグラフト共重合させ、更には、必要に応じて、その共重合体によって生成するグラフト共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させて、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体又はその変性ないし縮合体を製造することができる。
【0030】
α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンより選択される1種以上を使用することができる。
【0031】
エチレン性不飽和シラン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリペンチロキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリベンジルオキシシラン、ビニルトリメチレンジオキシシラン、ビニルトリエチレンジオキシシラン、ビニルプロピオニルオキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリカルボキシシランより選択される1種以上を使用することができる。
【0032】
その他の不飽和モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ビニルアルコールより選択される1種以上を使用することができる。
【0033】
ラジカル重合開始剤としては、例えば、ラウロイルパーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物、分子状酸素、アゾビスイソブチロニトリルアゾイソブチルバレロニトリル等のアゾ化合物等を使用することができる。
【0034】
連鎖移動剤としては、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン等のパラフィン系炭化水素、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、n−ブチルアルデヒド等のアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、芳香族炭化水素、塩素化炭化水素等を使用することができる。
【0035】
ランダム共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させる方法、或いは、グラフト共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させる方法としては、例えば、錫、亜鉛、鉄、鉛、コバルト等の金属のカルボン酸塩、チタン酸エステル及びキレート化物等の有機金属化合物、有機塩基、無機酸、及び、有機酸等のシラノール縮合触媒等を使用し、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とのランダム共重合体或いはグラフト共重合体を構成するシラン化合物の部分のシラノール間の脱水縮合反応等を行うことにより、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体の変性ないし縮合体を製造する方法が挙げられる。
【0036】
シラン共重合体としては、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、及びグラフト共重合体のいずれであっても好ましく使用することができるが、グラフト共重合体であることがより好ましく、重合用ポリエチレンを主鎖とし、エチレン性不飽和シラン化合物が側鎖として重合したグラフト共重合体が更に好ましい。このようなグラフト共重合体は、接着力に寄与するシラノール基の自由度が高くなるため、太陽電池モジュールにおける他の部材への太陽電池モジュール用封止材の接着性を向上することができる。
【0037】
α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体を構成する際のエチレン性不飽和シラン化合物の含量としては、全共重合体質量に対して、例えば、0.001〜15質量%位、好ましくは、0.01〜5質量%位、特に好ましくは、0.05〜2質量%位が望ましいものである。本発明において、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体を構成するエチレン性不飽和シラン化合物の含量が多い場合には、機械的強度及び耐熱性等に優れるが、含量が過度になると、引っ張り伸び及び熱融着性等に劣る傾向にある。
【0038】
封止材組成物に含まれる上記の密度0.900g/cm以下のポリエチレン系樹脂の含有量は、封止材組成物中に90質量%以上であればよく、99.9%以上であることが好ましい。その範囲内において、その他の樹脂を含んでいてもよい。その他の樹脂としては、例えば0.900g/cmを超える他のポリエチレン系樹脂等が例示できる。これらは、例えば添加用樹脂として用いてもよく、後述のその他の成分をマスターバッチ化するために使用できる。
【0039】
[重合開始剤]
本発明においては、従来知られている太陽電池モジュール用封止材組成物の一般的な架橋処理を行う場合とは異なり、太陽電池モジュール用封止材組成物に対する重合開始剤の含有量が、一般的な架橋処理の場合よりも少ない特定の範囲の含有量となるように重合開始剤を使用する。重合開始剤の含有量は、太陽電池モジュール用封止材組成物中に0.02質量%以上0.5質量%未満であり、上限は好ましくは0.2質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。この範囲未満であると上記ポリエチレン系樹脂の架橋が進まず耐熱性が不足する。また、この範囲を超えると、成形中にゲルが発生する等して製膜性が低下し、透明性も低下する。
【0040】
重合開始剤は公知のものが使用でき特に限定されず、例えば公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサン等のヒドロパーオキサイド類;ジ‐t‐ブチルパーオキサイド、t‐ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐パーオキシ)ヘキシン‐3等のジアルキルパーオキサイド類;ビス‐3,5,5‐トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、o‐メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4‐ジクロロベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t‐ブチルパーオキシアセテート、t‐ブチルt‐‐エチルヘキサノエート、t‐ブチルパーオキシピバレート、t‐ブチルパーオキシオクトエート、t‐ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t‐ブチルパーオキシベンゾエート、ジ‐t‐ブチルパーオキシフタレート、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン‐3、t‐ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート等のパーオキシエステル類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;t−アミル−パーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、t−ブチルパーオキシ2―エチルヘキシルカーボネート等のパーオキシカーボネート類、等の有機過酸化物、又は、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4‐ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジクミルパーオキサイド、といったシラノール縮合触媒等を挙げることができる。
【0041】
上記のなかでも、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等が好ましく使用できる。これらは、活性酸素量が5%以上と高く、また重合開始剤の1分間半減期温度が160から190℃であり成形時点で消費され成形後に残留して余分な後架橋の進行を抑制できるので好ましい。1分間半減期温度が160℃未満であると成形中に重合開始剤を十分に分散させてから架橋反応を進行させることが困難である点から好ましくない。
【0042】
[架橋助剤]
本発明においては、一般的な架橋処理とは異なり、架橋助剤は使用しない。ここで架橋助剤とは、例えば、多官能ビニル系モノマー及び/又は多官能エポキシ系モノマー等であり、具体的には、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルフマレート、ジアリルマレエート等のポリアリル化合物、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート等のポリ(メタ)アクリロキシ化合物、二重結合とエポキシ基を含むグリシジルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル及びエポキシ基を2つ以上含有する1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物を挙げることができる。
【0043】
なお、本発明における実質的に架橋助剤を使用せずとは、架橋効果を示さない程度の量が不純物的に含有しても本発明の範囲内であることを意味し、その量は例えば組成物中に0.01質量%未満である。
【0044】
[光安定剤(HALS)]
本発明においては、分子量2000以上の光安定剤を含有する。このような光安定剤としては、従来公知のラジカル吸収剤が使用可能であり特に限定されない。例えば、Chimassorb2020、Chimassorb944、Uvinul5050(共にBASF社製)に代表されるような、高分子量タイプのヒンダードアミン系光安定剤が例示できる。一方、本発明においては、Tinuvin770に代表されるような低分子量タイプのヒンダードアミン系光安定剤は、低分子量のためブリードアウトし易く、また、本発明に必要な量を樹脂中に混練することが困難であるので好ましくない。
【0045】
光安定剤の含有量は、組成物中に1.0質量%以上2.5質量%以下であり、この含有量は従来より数倍多く、これにより、本発明においては樹脂の劣化を防止するとともに、ガラス密着強度の低下を防止している。後述する実施例において詳述するが、1.0質量%未満であるとガラス密着強度が低下するので好ましくなく。2.5質量%を越えるとHALSのブリードアウトが発生しうる点から好ましくない。
【0046】
[紫外線吸収剤]
本発明においては、A波紫外線吸収剤を実質的に含有しない。ここで、A波紫外線吸収剤とは、上記のように315nmから400nm付近のUVA領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤であり、A波紫外線吸収剤を配合しないことにより、UVA領域の紫外線を有効に太陽電池素子面に照射でき、発電効率を向上させることができる。A波紫外線吸収剤は有機系紫外線吸収剤が使用可能であり特に限定されない。例えば、Chimassorb81(BASF社製)に代表されるような、ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤が例示できる。なお、実質的に含有しないとは、A波紫外線吸収効果を示さない程度の量が不純物的に含有しても本発明の範囲内であることを意味し、その量は例えば組成物中に0.01質量%未満である。
【0047】
なお、本発明においては、UVA領域より更に低波長の紫外線は積極的にカットすることが好ましい。このため、波長240から280nm領域に最大吸収波長を有する前記A波紫外線吸収剤とは異なる紫外線吸収剤を更に含有することが好ましい。このような他の紫外線吸収剤としては、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(商品名の一例としてTinuvin120(BASF社製))に代表されるようなベンゾエート系紫外線吸収剤が例示できる。この場合、含有量は、組成物中に0.1質量%以上0.3質量%以下が好ましい。
【0048】
[その他の成分]
太陽電池モジュール用封止材組成物には、上記のHALSや紫外線吸収剤の他、更にその他の成分を含有させることができる。例えば、本発明の太陽電池モジュール用封止材組成物から作製された太陽電池モジュール用封止材に耐候性を付与するための耐候性マスターバッチ、各種フィラー、熱安定剤等の成分が例示される。これらの含有量は、その粒子形状、密度等により異なるものではあるが、それぞれ太陽電池モジュール用封止材組成物中に0.001〜5質量%の範囲内であることが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、太陽電池モジュール用封止材組成物に対して、長期に亘って安定した機械強度や、黄変やひび割れ等の防止効果等を付与することができる。
【0049】
耐候性マスターバッチとは、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び上記の酸化防止剤等をポリエチレン等の樹脂に分散させたものであり、これを封止材組成物に添加することにより、太陽電池モジュール用封止材に良好な耐候性を付与することができる。耐候性マスターバッチは、適宜作製して使用してもよいし、市販品を使用してもよい。耐候性マスターバッチに使用される樹脂としては、本発明に用いる直鎖低密度ポリエチレンでもよく、上記のその他の樹脂であってもよい。
【0050】
なお、これらの光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び酸化防止剤は、それぞれ1種単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0051】
更に、本発明の太陽電池モジュール用封止材組成物に用いられる他の成分としては上記以外に、シランカップリング剤等の接着性向上剤、核剤、分散剤、レベリング剤、可塑剤、消泡剤、難燃剤等を挙げることができる。
【0052】
<太陽電池モジュール用封止材>
太陽電池モジュール用封止材(以下単に「封止材シート」ともいう)は、上記の封止材組成物を、従来公知の方法で成形加工して得られるものであり、単層又は多層のシート状又はフィルム状としたものである。なお、本発明におけるシート状とはフィルム状も含む意味であり両者に差はない。
【0053】
上記封止材シートのシート化は、通常の熱可塑性樹脂において通常用いられる成形法、すなわち、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形、回転成形等の各種成形法により行われる。尚、封止材シートが多層フィルムである場合のシート化の方法としては、一例として、2種以上の溶融混練押出機による共押出により成形する方法が挙げられる。ただし、いずれの方法においても、成形中に架橋反応を促進させるために、成形温度は前記ポリエチレン系樹脂の融点+50℃以上であることが好ましい。具体的には150から250℃の高温とすることが好ましく、より好ましくは190から230℃の範囲である。このように、本発明においては、重合開始剤の添加が少量であるため、MFRが低下するものの、その低下の程度が小さい。このため溶融成形中に架橋を進行させることができる。そして、たとえ少量の重合開始剤であって実質的に架橋助剤がなくても、ポリエチレン系樹脂の架橋が進行する。なお、この成形温度は重合開始剤の1分間半減期温度以上であるので、成形後には重合開始剤はほとんど残留しない。このため、架橋はこの成形段階で終了する。
【0054】
太陽電池モジュール用封止材のゲル分率は25%以下であり、好ましくは10%以下であり、より好ましくはゼロも含む1%以下である。このことから、上記の従来技術の特許文献2のように30%以上のゲル分率となるように架橋処理して難燃性を付与する技術思想と、本発明の架橋処理とは根本的に異なるものである。なお、ここでいうゲル分率とは以下の方法により得られた値である。
ゲル分率(%):架橋後封止材1g秤量し、80メッシュの金網袋に入れる。次いで、ソックスレー抽出器内に金網ごとサンプル投入し、キシレンを沸点下において還流させる。10時間連続抽出したのち、金網ごとサンプルを取出し乾燥処理後秤量し、抽出前後の質量比較を行い残留不溶分の質量%を測定しこれをゲル分率とした。なお、多層フィルムである封止材シートのゲル分率については、全ての層が積層された多層状態のままで、上記処理を行い、得られた測定値を、当該多層の封止材シートのゲル分率とした。
【0055】
本発明の太陽電池モジュール用封止材のポリスチレン換算の重量平均分子量が12万以上30万以下であり、架橋後の封止材/架橋前ポリエチレン系樹脂、の重量平均分子量の比が1.5以上3.0以下の範囲である。なお、本発明における重量平均分子量は、キシレン6wt%となるように溶解して粘度を測定し、その粘度から、ポリスチレン標品との換算より重量平均分子量を求めたものである。なお、多層フィルムである封止材シートの分子量については、全ての層が積層された多層状態のままで、上記処理を行い、得られた測定値を、当該多層の封止材シートのゲル分率とした。
【0056】
多層フィルムである封止材シートにおいては、各層ごとのMFRが異なる封止材シートとすることがより好ましい。封止材シートは、後に説明する通り、太陽電池モジュール内において、一方の面が太陽電池素子の電極面と密着して使用されることが一般的である。その場合、封止材シートには、該電極面の凹凸にかかわらず高い密着性を有するものであることが求められる。本発明の封止材シートは、単層の封止材シートである場合においても、好ましい透明性、柔軟性及び耐熱性を備えるものではあるが、太陽電池素子の電極面と密着する面については、更にこのようなモールディング特性に優れるものであることがより好ましい。各層のMFRが異なる多層フィルムである本発明の封止材シートは、MFRの高い層を太陽電池素子の電極面と密着させて使用する側の最外層に配置することにより、封止材シートとして上記の好ましい透明性及び耐熱性を保持しつつ、更に太陽電池素子との密着面におけるモールディング特性を高めることができる。
【0057】
例えば、3層以上の層からなる多層フィルムである封止材シートにおいては、最外層の厚さは、30μm以上120μm以下であり、且つ、最外層以外の全ての層からなる中間層と最外層の厚さの比は、最外層:中間層:最外層=1:3:1〜1:8:1の範囲であることが好ましい。このようにすることにより、封止材としての好ましい耐熱性を保持しつつ、最外層における好ましいモールディング特性を備えることができ、更に製造コストも低く抑えることができる。
【0058】
このようにして得られた本発明の封止材シートの光線透過率は、厚さ460μmで測定した場合に、波長300nmにおける光線透過率が50%以上であり、好ましくは、波長240から280nmにおける光線透過率が10%以下である。光線透過率は、従来公知の分光光度計にて測定した値である。
【0059】
波長300nmにおける光線透過率が50%以上であることで、UVA波長領域の紫外線を可能であり、波長240から280nmにおける光線透過率が40%以下、好ましくは10%以下であることで、UVA領域より短波長側の紫外線を充分に遮断でき、樹脂の劣化によるガラス密着強度の低下を防止できる。
【0060】
<太陽電池モジュール>
次に、本発明の太陽電池モジュールの一例について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の太陽電池モジュールについて、その層構成の一例を示す断面図である。本発明の太陽電池モジュール1は、入射光の受光面側から、透明前面基板2、前面封止材層3、太陽電池素子4、背面封止材層5、及び裏面保護シート6が順に積層されている。本発明の太陽電池モジュール1は、前面封止材層3及び背面封止材層5の少なくとも一方に上記の太陽電池モジュール用封止材を使用する。
【0061】
太陽電池モジュール1は、例えば、上記の透明前面基板2、前面封止材層3、太陽電池素子4、背面封止材層5、及び裏面保護シート6からなる部材を順次積層してから真空吸引等により一体化し、その後、ラミネーション法等の成形法により、上記の部材を一体成形体として加熱圧着成形して製造することができる。
【0062】
また、太陽電池モジュール1は、通常の熱可塑性樹脂において通常用いられる成形法、例えば、Tダイ押出成形等により、太陽電池素子4の表面側及び裏面側のそれぞれに、前面封止材層3及び背面封止材層5を溶融積層して、太陽電池素子4を前面封止材層3及び背面封止材層5でサンドし、次いで、透明前面基板2及び裏面保護シート6を順次積層し、次いで、これらを真空吸引等により一体化して加熱圧着する方法で製造してもよい。
【0063】
なお、本発明の太陽電池モジュール1において、前面封止材層3及び背面封止材層5以外の部材である透明前面基板2、太陽電池素子4及び裏面保護シート6は、従来公知の材料を特に制限なく使用することができる。また、本発明の太陽電池モジュール1は、上記部材以外の部材を含んでもよい。なお、本発明の封止材シートは単結晶型に限らず、薄膜型その他の全ての太陽電池モジュールに適用できる。
【実施例】
【0064】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<太陽電池モジュール用封止材の製造>
表1の組成(単位質量部)の封止材組成物を混合し3層のフィルムを成型するための内層用及び外層用のブレンドとした。上記ブレンドを、それぞれ、φ30mm押出し機、200mm幅のTダイスを有するフィルム成形機を用いて、押出し温度210℃、引き取り速度1.5m/minでフィルム成型し、それらを積層して、3層の太陽電池モジュール用封止材を作製した。この封止材の層厚は、総厚を460μmとし、外層:内層:外層の厚さの比を1:5:1とした。なお、比較例7については、HALSが低分子量のためにブリードアウトが発生し、スクリューで空回りして製膜不可であった。
【0065】
封止材組成物原料としては、以下の原料を使用した。
樹脂(M−LLDPE):密度0.880g/cm、190℃でのMFRが3.1g/10分のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン
架橋剤マスターバッチ(MB):密度0.880g/cm、190℃でのMFRが3.1g/10分のM−LLDPEペレット100質量部に対して、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(重合開始剤A)0.5質量部を含浸させコンパウンドペレットを得た。
シラン変性樹脂(Si樹脂):密度0.881g/cmであり、190℃でのMFRが2g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)98質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.1質量部とを混合し、200℃で溶融、混練し、密度0.884g/cm、190℃でのMFRが1.8g/10分であるシラン変性透明樹脂を得た。
【0066】
添加剤マスターバッチ(MB):密度0.880g/cmのチーグラー直鎖状低密度ポリエチレンを粉砕したパウダー100質量部に対して、表1に記載の添加剤(HALS又はUV吸収剤)を配合し、混合して溶融、加工し、ペレット化したマスターバッチを得た。なお、実施例1から4と比較例7のHALSについては、樹脂100部:添加剤28部でMB化し、それ以外のHALS及びUV吸収剤については、樹脂100部:添加剤5部でMB化した。表1の添加剤MBにおける括弧内の数値は、組成物中におけるHALS、UV吸収剤の含有量を質量%で示した数値である。
【0067】
それぞれのHALS、UV吸収剤は以下のものを用いた。
HALS1:Chimassorb2020(分子量2600から3400)
HALS2:Chimassorb944(分子量2000から3100)
HALS3:Uvinul5050(分子量3500)
HALS4:Tinuvin770(分子量770)
UV吸収剤1:Tinuvin120(極大吸収波長265nm)
UV吸収剤2:Chimassorb81(A波紫外線吸収剤)
【0068】
【表1】

【0069】
<評価例>
上記の方法で製膜可能であった実施例1から4、比較例1から6についてガラス密着強度を下記の測定方法で評価した結果を表2に示す。なお、ガラス密着強度の評価はIEC−6125準拠(照射強度:60W/m、相対湿度:50%、槽内温度:38℃、黒板標準板温度(ブラックスタンダード):65℃)におけるXe照射試験にかけた際の維持率を以て実施した。先ず透明白板半強化ガラスに封止材サンプルを真空ラミネートし、これのテンシロンによる剥離試験(180°剥離、剥離速度50mm/min)を実施し、初期の密着強度(N/15mm)とした。次にATLAS社製:Ci4000にて上記と同様に調整したサンプルを投入、Xe照射を実施した。任意の照射時間に達した後、サンプルを取り出し、剥離試験を実施した。Xe照射後のサンプルの密着強度を初期の密着強度で除した値を百分率で表記した値を以て、各サンプルのガラス密着強度の維持率とした。
【0070】
【表2】

【0071】
また、実施例2、4、比較例1、2、6の封止材について分光光度計、日本分光社製:V−650を用いて分光透過率を測定した結果を図2に示す。
【0072】
表2及び図2から解るように、本発明の実施例1から4は、ガラス密着強度の維持率が高く、しかも、図2における実施例2と比較例6との比較から解かるように、UVA領域の300nmにおいて実施例2では紫外線を50%以上透過しており、UVA領域の紫外線を有効に利用できることが理解できる。また、実施例4においては、更に波長240から280nmにおける光線透過率が10%以下であり、これによりガラス密着強度の維持率が更に高かった。
【符号の説明】
【0073】
1 太陽電池モジュール
2 透明前面基板
3 前面封止材層
4 太陽電池素子
5 背面封止材層
6 裏面保護シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密度0.900g/cm以下のポリエチレン系樹脂を90質量%以上含有する樹脂と、
組成物中に1.0質量%以上2.5質量%以下含有する分子量2000以上の光安定剤と、を含み、
A波紫外線吸収剤を実質的に含有しない太陽電池モジュール用の封止材組成物。
【請求項2】
波長240から280nm領域に最大吸収波長を有する、前記A波紫外線吸収剤とは異なる紫外線吸収剤を更に含有する請求項1記載の封止材組成物。
【請求項3】
前記A波紫外線吸収剤とは異なる紫外線吸収剤がベンゾエート系紫外線吸収剤である請求項1又は2に記載の封止材組成物。
【請求項4】
前記A波紫外線吸収剤とは異なる紫外線吸収剤が2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートである請求項1から3いずれかに記載の封止材組成物。
【請求項5】
請求項1から4いずれかに記載の封止材組成物をシート化した太陽電池モジュール用封止材であって、
厚さ460μmで測定した場合に、波長300nmにおける光線透過率が50%以上である太陽電池モジュール用封止材。
【請求項6】
厚さ460μmで測定した場合に、波長240から280nmにおける光線透過率が10%以下である太陽電池モジュール用封止材。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−65610(P2013−65610A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202002(P2011−202002)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】