説明

封止用部材およびそれを備える電子機器

【課題】 筺体内部へ挿入される挿入部材に装着可能であると共に、挿入部材に悪影響を与えにくい封止用部材を提供すること。
【解決手段】
筺体2,3の開口部に挿入される挿入部材5を外側から挟持するように装着される第1の装着用部材11および第2の装着用部材21と、第1の装着用部材11と第2の装着用部材21とに挿入部材5が挟持された状態で、第1の装着用部材11と第2の装着用部材21とを囲むリングを構成する第1のシール部材12,22と、挿入部材5と第1の装着用部材11もしくは第2の装着用部材21との間、および、第1の装着用部材11と第2の装着用部材21との間に配置される第2のシール部材13,23と、を有する封止用部材10としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封止用部材およびそれを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、携帯情報端末(PDA)などの電子機器には、筺体に形成された開口部からフレキシブル基板等の挿入部材を挿通させる場合がある。かかる場合にその開口部から筺体内に異物が侵入しないように、その開口部と挿入部材との間に封止用部材を設ける場合がある。
【0003】
たとえば、封止用部材としては、開口部と挿入部材との間隙に液状のゴムを充填してなるものが知られている(特許文献1を参照)。また、封止用部材と挿入部材との密着性を向上させるために、挿入部材と封止用部材とを一体成型されたものも知られている(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開公報WO2003/085793
【特許文献2】特開2005−348341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1あるいは特許文献2に記載の封止用部材では、挿入部材と封止用部材とを一体成型しているため、その一体成型の際に加えられる熱および圧力等により、挿入部材が破損あるいは変形等するという問題がある。たとえば、挿入部材としてフレキシブル基板等を用いる場合、一体成型の際に加えられる熱および圧力等により、フレキシブル基板に内包されている導線の断線を招く危険性がある。
【0006】
また、特許文献1あるいは特許文献2に記載の封止用部材では、挿入部材と封止用部材とが固着しているため、挿入部材に加えられた張力により、挿入部材と封止用部材との固着部分にストレスが生じ、破損等する危険性がある。
【0007】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたものであって、筺体内部へ挿入される挿入部材に装着可能であると共に、挿入部材に悪影響を与えにくい封止用部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の封止用部材は、筺体の開口部に挿入される挿入部材を外側から挟持するように装着される第1の装着用部材および第2の装着用部材と、第1の装着用部材と第2の装着用部材とに挿入部材が挟持された状態で、挿入部材を貫通させかつ第1の装着用部材と第2の装着用部材とを囲むリングを構成する第1のシール部材と、挿入部材と第1の装着用部材もしくは第2の装着用部材との間、および、第1の装着用部材と第2の装着用部材との間に配置される第2のシール部材と、を有する。
【0009】
また、第1のシール部材は、第1の装着用部材と第2の装着用部材とが密着状態を保つように保持する保持手段を兼ねてもよい。
【0010】
また、第1の装着用部材と第2の装着用部材とが密着状態を保つように保持する保持手段をさらに有してもよい。
【0011】
また、第1のシール部材のショアA硬度は、第2のシール部材のショアA硬度よりも高いのが好ましい場合もある。
【0012】
また、第1の装着用部材および第2の装着用部材のショア硬度は、第1のシール部材および第2のシール部材のショア硬度よりも高いのが好ましい。
【0013】
また、第1の装着用部材および第2の装着用部材の少なくとも一方は、挿入部材と接する領域が、それ以外の領域よりも内方にへこむようにしてもよい。
【0014】
また、別の発明の電子機器の実施の形態では、筺体に設けられた開口部から挿入される挿入部材と、挿入部材を外側から挟持するように構成され、かつ、開口部を封止する封止用部材と、を有し、封止用部材は、挿入部材を外側から挟持するように装着される第1の装着用部材および第2の装着用部材と、第1の装着用部材と第2の装着用部材とに挿入部材が挟持された状態で、第1の装着用部材と第2の装着用部材とを囲むリングを構成する第1のシール部材と、挿入部材と第1の装着用部材もしくは第2の装着用部材との間、および、第1の装着用部材と第2の装着用部材との間に配置される第2のシール部材と、を備えるものとしている。
【0015】
また、第1の装着用部材と第2の装着用部材とが密着状態を保つように保持するために、第1の装着用部材および第2の装着用部材には、挿入部材へ向かう方向の挟圧力が筺体の内壁により付与されていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、筺体内部へ挿入される挿入部材に装着可能であると共に、挿入部材に悪影響を与えにくい封止用部材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る封止用部材を備える電子機器としての携帯電話の斜視図である。
【図2】図1に示す携帯電話が折り畳まれた状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る封止用部材が装着された挿入部材を示す斜視図である。
【図4】図3の封止用部材および挿入部材について、Aで示す領域を拡大して示す斜視図である。
【図5】図4の封止用部材および挿入部材の分解斜視図である。
【図6】封止用部材の第1の装着用部材と第2の装着用部材とを結合させていない状態において、挿入部材の貫通方向に見た場合の正面図である。
【図7】図6の封止用部材の側面図である。
【図8】図6の封止用部材の底面図である。
【図9】図6の封止用部材をB−B線で切断した場合の断面図である。
【図10】挿入部材が挿入された封止用部材を、図7のC−C線と同様の線で切断した場合の断面図である。
【図11】本実施の形態の変形例に係る封止用部材を挿入部材に装着した状態を示す分解斜視図である。
【図12】本実施の形態のさらなる別の変形例に係る封止用部材を挿入部材に装着した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態に係る電子機器および封止用部材について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
1.電子機器の構成
図1は、本発明の実施の形態に係る封止用部材10を備える電子機器としての携帯電話1の斜視図である。図2は、図1に示す携帯電話1が折り畳まれた状態を示す斜視図である。なお、図1および図2においては、携帯電話1に備えられる挿入部材5および封止用部材10を点線にて示している。
【0020】
携帯電話1は、第1の筺体2および第2の筺体3を有している。携帯電話1は、第1の筺体2と第2の筺体3とが連結部4により回動可能に連結された、いわゆる折り畳みタイプの携帯電話として構成されている。挿入部材5は、一端側が第1の筺体2に設けられた開口部を通って、第1の筺体2の内部に挿入され、他端側が第2の筺体3に設けられた開口部を通って、第2の筺体3の内部に挿入されている。また、挿入部材5は、連結部4の内部を通って、第1の筺体2の内部に位置する基板と第2の筺体3に位置する基板とにそれぞれ接続されている。挿入部材5は、第1の筺体2側と第2の筺体3側とにそれぞれ封止用部材10を装着している。封止用部材10は、第1の筺体2に設けられた開口部および第2の筺体2に設けられた開口部を塞ぐように装着されている。
【0021】
図3は、封止用部材10が装着された挿入部材5を示す斜視図である。
【0022】
挿入部材5としては、たとえば、フレキシブルプリント回路基板(FPC)を用いることができる。FPCは、携帯電話1の折り畳み動作に追従できるような柔軟な配線資材となることから、第1の筺体2および第2の筺体3を連動させるために用いられる。本実施の形態では、挿入部材5は、帯状のFPCであって、その両端部に、コネクタ6をそれぞれ備える。封止用部材10が挿入部材5を挟むように装着されると、挿入部材5は、封止用部材10に挿通された状態となる。
【0023】
2.封止用部材の構成
図4は、図3の封止用部材10および挿入部材5について、Aで示す領域を拡大して示す斜視図である。図5は、図4の封止用部材10および挿入部材5の分解斜視図である。図6は、封止用部材10の第1の装着用部材11と第2の装着用部材21とを結合させていない状態において、挿入部材5の貫通方向に見た場合の正面図である。図7は、図6の封止用部材10の側面図である。図8は、図6の封止用部材10の底面図である。図9は、図6の封止用部材10を図6のB−B線で切断した場合の断面図である。図10は、挿入部材5が挿入された封止用部材10を、図7のC−C線と同様の線で切断した場合の断面図である。なお、背面図については、正面図と略左右対称となるため図示を省略する。同様に、左側面図と右側面図、底面図と平面図とは、略対称となるため、一方のみを図示している。
【0024】
封止用部材10は、挿入部材5を挿入するために、第1の筺体2および第2の筺体3に設けられた開口部を封止し、第1の筺体2あるいは第2の筺体3の内部に水、埃あるいはその他の異物の侵入を防ぐ部材である。封止用部材10は、第1の装着用部材11および第2の装着用部材21を有している。第1の装着用部材11および第2の装着用部材21は、互いに略同一の形態を有し、挿入部材5を挟むようにして挿入部材5に対して着脱可能な部材である。また、封止用部材10は、第1の筺体2または第2の筺体3に挿入した状態において、その内壁から、第1の装着用部材11と第2の装着用部材21を互いに押し付ける方向への挟圧力が付与されている。そのため、第1の装着用部材11および第2の装着用部材21は、挿入部材5を挟持した状態で保持できる。
【0025】
第1の装着用部材11および第2の装着用部材21は、第1のシール部材としての弾性体12および弾性体22をそれぞれ有する。図9に示すように、第1の装着用部材11および第2の装着用部材21は、その外周に、弾性体12および弾性体22をそれぞれ嵌め入れる溝14および溝24をそれぞれ有する。当該溝14および溝24の深さは、弾性体12および弾性体22の各直径より小さい。このため、弾性体12および弾性体22をそれぞれ第1の装着用部材11および第2の装着用部材21に嵌め入れた状態において、弾性体12および弾性体22は、第1の筺体2および第2の筺体3側に突出する。第1の筺体2または第2の筺体3の内壁が封止用部材10を挟持している場合には、弾性体12および弾性体22は、第1の筺体2または第2の筺体3の内壁の凹凸に沿って変形し、密着できるため、封止効果を高めるのに寄与する。また、取り扱い性を向上させるために、弾性体12は、溝14において第1の装着用部材11と固着され、弾性体22は、溝24において第2の装着用部材21と固着される。
【0026】
また、第1の装着用部材11および第2の装着用部材21は、第2のシール部材としてのシール部13およびシール部23をそれぞれ有する。シール部13およびシール部23は、第1の装着用部材11および第2の装着用部材21が挿入部材5に装着された状態において、挿入部材5と接触する面およびその周囲を封止するように、第1の第1の装着用部材11および第2の装着用部材21の互いに対向する面に配置される。
【0027】
第1の装着用部材11および第2の装着用部材21は、たとえば、ポリカーボネート、アクリル、ABS(アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合樹脂)、ポリアミド、ウレタン等の樹脂あるいはそれらの混合物から構成される。第1の装着用部材11および第2の装着用部材21は、シール部13、シール部23、弾性体12および弾性体22の硬度よりも高く、かつ、剛性を有する材料から構成されるのが好ましい。かかる場合には、第1の装着用部材11および第2の装着用部材21は、第1の筺体2または第2の筺体3に組み込まれた際に加えられる圧力に耐えられると共に、所定の配置位置に確実に係止できる。また、第1の装着用部材11および第2の装着用部材21は、成型前と成型後との寸法差が小さく、寸法精度が高い部材であって、かつ、製造時あるいは使用時に形状等の変化が小さい部材から構成されるのが好ましい。
【0028】
第1のシール部材としての弾性体12および弾性体22は、第1の装着用部材11および第2の装着用部材21の各外周と、第1の筺体2および第2の筺体3の各内面との隙間を封止するための部材である。弾性体12および弾性体22は、ともにU字形状を有しており、第1の装着用部材11および第2の装着用部材21を挿入部材5に装着した際に、挿入部材を貫通させかつ第1の装着用部材と第2の装着用部材とを囲むような1つの環形状の弾性体を構成する。本実施の形態では、第1の装着用部材11および第2の装着用部材21が挿入部材5に装着されると、第1の装着用部材11に設けられた弾性体12と、第2の装着用部材21に設けられた弾性体22とは、互いに連結し、第1の装着用部材11と第2の装着用部材21との結合体の外周を囲む1つのリングを構成する。弾性体12と弾性体22とが形成するリングは、挿入部材5を軸とする封止用部材10の外周に設けられている。
【0029】
弾性体12および弾性体22は、好適には、柔軟な樹脂若しくはエラストマーから成る。弾性体12および弾性体22を柔軟な樹脂若しくはエラストマーから構成することにより、弾性体12および弾性体22は、第1の筺体2あるいは第2の筺体3の内面と第1の装着用部材11あるいは、第2の装着用部材21との隙間を埋めるように容易に変形できる。このため、封止効果を高めることができる。弾性体12および弾性体22は、たとえば、ショアA硬度が40〜70度のウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム等から主に形成されるのが好ましい。それらの中でも、耐久性が高いシリコーンゴムあるいはそれらの複合品を用いるのがより好ましい。弾性体12および弾性体22が第1の装着用部材11および第2の装着用部材21の外周から突出する長さは、使用する弾性体の硬度により変化させることができるが、例えば、1〜2mmとすることができる。弾性体12,22の突出長さが1mm以上の場合には、弾性体12,22が第1の筺体2および第2の筺体3と接し、第1の筺体2あるいは第2の筺体3により圧縮および固定された際に、弾性体12,22は、容易に変形し、各筐体の寸法のばらつきを吸収できる。そのため、弾性体12,22と、第1の筺体2および第2の筺体3との間に隙間が生じにくい。一方、弾性体12,22の突出長さが2mm以下の場合には、長期間の使用においても、弾性体12,22の弾性力の低下によるシール性能の低下、あるいは弾性体12,22自体が変形することによるシール性能の低下の影響を小さくできる。さらに、弾性体12,22の突出長さが2mm以内の場合には、第1の筐体2および第2の筐体3により弾性体12,22が圧縮および固定された際に弾性体12,22に加えられる圧縮荷重が大きくなりすぎないため、第1の筐体2あるいは第2の筐体3が変形あるいは破損しにくくなる。
【0030】
第2のシール部材としてのシール部13およびシール部23は、第1の装着用部材11と挿入部材5との間、第2の装着用部材21と挿入部材5との間、および、第1の装着用部材11と第2の装着用部材21との間を封止し、挿入部材5の周囲に隙間を生じさせないようにするための部材である。シール部13およびシール部23は、封止用部材10を挿入部材5に装着した状態で、第1の装着用部材11と第2の装着用部材21との間に設けられている。したがって、シール部13およびシール部23と、挿入部材5とが接触する部分では、シール部13およびシール部23は、挿入部材5と十分に密着できる。また、シール部13とシール部23とが接触する部分でも、シール部13とシール部23とが互いに十分に密着できる。なお、シール部13およびシール部23のうち、挿入部材5と接触しない部分は、シール部13およびシール部23のいずれか一方のみが設けられていてもよい。また、シール部13およびシール部23のうち、挿入部材5と接触しない部分は、挿入部材5と接触する部分よりも、挿入部材5側に突出しているのが好ましい。このことは、シール部13,23のうち、挿入部材5と接触する領域は、それ以外の領域よりも内方にへこんでいることを意味する。
【0031】
シール部13およびシール部23は、好適には、柔軟な樹脂若しくはエラストマーから成る。シール部13およびシール部23を柔軟な樹脂若しくはエラストマーから構成することにより、シール部13およびシール部23は、挿入部材5の表面上の凹凸に合わせて容易に変形し、その凹凸を有する表面と密着できる。シール部13およびシール部23は、たとえば、ショアA硬度が20〜50度のウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム等から構成されるのが好ましい。また、シール部13およびシール部23のショアA硬度は、弾性体12および弾性体22のショアA硬度よりも小さいのが好ましい。このように、弾性体12,22とシール部13,23の硬度を調節すると、シール部13およびシール部23とは、挿入部材5との密着性を高め、かつ、弾性体12,22の寸法精度を確保できる。また、シール部13およびシール部23がシリコーン樹脂から主に成る場合、第1の装着用部材11および第2の装着用部材21とシール部13およびシール部23とを固着するために、第1の装着用部材11および第2の装着用部材21は、ポリカーボネート、アクリル、ポリアミド、あるいはウレタン樹脂から構成されるのが好ましい。
【0032】
図10に示すように、第1の装着用部材11は、第2の装着用部材21との対向する面に凹部16,16を有する。第2の装着用部材21は、当該凹部16,16と対向する位置に、凸部26,26を有する。凹部16,16は、凸部26,26の突出方向に凹むように設けられている。そのため、凸部26と凹部16とを合わせることで、第1の装着用部材11と第2の装着用部材21との位置合わせを行うことができる。なお、シール部13およびシール部23は、凹部16,16および凸部26,26の箇所を除くように形成されているのが好ましい。
【0033】
上述のような構成の封止用部材10では、封止用部材10を挿入部材5に装着する際に熱や圧力を加える必要がない。このため、挿入部材5の破損あるいは変形を防ぐことができる。また、上述のような封止用部材10では、挿入部材5と封止用部材10とが固着していないため、挿入部材5への張力により、挿入部材5と封止用部材10との固着部分にストレスが生じにくく、挿入部材5の破損等を防ぐことができる。
【0034】
また、上述のような封止用部材10を備える携帯電話1では、携帯電話1の内部に水や埃等の異物が侵入するのを防ぐことができる。なぜなら、携帯電話1の第1の筺体2あるいは第2の筺体3の内壁と挿入部材5との隙間を封止用部材10が封止しているからである。特に、封止用部材10の弾性体12および弾性体22は、携帯電話1の第1の筺体2あるいは第2の筺体3の内壁と封止用部材10との隙間を封止できる。また、シール部13およびシール部23は、封止部材10と挿入部材5との隙間を封止できる。また、封止用部材10すべてを弾性体により形成した場合と比較して、弾性体が長期間同じ形状に保持されていることにより生じる弾性力の低下も生じにくい。
【0035】
3.その他の実施の形態
以上、本発明の封止用部材10、および封止用部材10を備える携帯電話1について説明したが、本発明は、上述の実施の形態に限定されることなく、種々変形を施して実施可能である。
【0036】
上述の実施の形態では、電子機器として携帯電話1を例示したが、携帯電話以外の電子機器に封止用部材10を採用してもよい。たとえば、PDA、ポータブルコンピュータあるいはその他の精密機器に封止用部材10を採用してもよい。
【0037】
また、上述の実施の形態では、携帯電話1は、第1の筺体2および第2の筺体3を有するものとしたが、このような形態に限らない。1つの筺体しか有さない電子機器であって、その筺体に何らかの部材を挿入するための開口部が設けられている場合にも、本発明を用いることができる。また、本発明の電子機器は、折り畳み式の携帯電話1ではなく、スライド式(第1の筺体2が第2の筺体3に対してスライド移動するもの)の携帯電話であってもよい。
【0038】
また、上述の実施の形態では、挿入部材5は、FPCであるが、このような形態に限らない。FPC以外の挿入部材5に封止用部材10を適用することもできる。かかる場合には、第1の装着用部材11および第2の装着用部材21のうち、挿入部材5と接触する各部分には、挿入部材5の表面に沿った形状の凹部が設けられていてもよい。
【0039】
上述の実施の形態では、挿入部材5は、第1の装着用部材11および第2の装着用部材21により挟持されているが、このような形態に限らない。たとえば、挿入部材5は、3つ以上の装着用部材により挟持されていてもよい。
【0040】
また、上述の実施の形態では、封止用部材10は、挿入部材5に対し、着脱可能に装着されるものとしているが、そのような形態に限らない。たとえば、封止用部材10は、一旦、挿入部材5に装着されると、封止用部材10を破壊しない限り取り外しができないような形態であってもよい。
【0041】
また、上述の実施の形態に係る封止用部材10では、第1の装着用部材11と第2の装着用部材21とを、同程度の大きさおよび形状としたが、このような形状に限られない。第1の装着用部材11と第2の装着用部材21とは、異なる大きさあるいは形状であってもよい。しかし、異物を侵入させにくくするために、第1の装着用部材11と第2の装着用部材21とを接合した際に、その弾性体12,22が配置される外周部分の凹凸が少ないのが好ましい。さらに、封止用部材10は、挿入部材5を中心軸として、左右および上下が対称の形状であるのが好ましい。かかる場合には、封止用部材10は、弾性体12,22のどの部分であっても筺体の内面に均一に密着することができるため、弾性体12,22のどの部分からでも均一に異物の侵入を防ぐことができる。
【0042】
また、上述の実施の形態では、弾性体12を溝14にて第1の装着用部材11に固着し、弾性体22を溝24にて第2の装着用部材21に固着するようにしているが、そのような形態に限らない。弾性体12および弾性体22は、第1の装着用部材11および第2の装着用部材21と嵌め込み可能に構成されてもよい。しかし、挿入部材5への取り付けを容易にする観点では、第1の装着用部材11と弾性体12および第2の装着用部材21と弾性体22を一体化するのが好ましい。
【0043】
図11は、本実施の形態の変形例に係る封止用部材30を挿入部材5に装着した状態を示す分解斜視図である。なお、上述の実施の形態と同じ要素には、同じ符号を付して説明する。
【0044】
上述の実施の形態では、弾性体12および弾性体22は、第1の装着用部材11と第2の装着用部材21とが結合された状態においてこれらを囲む1つのリングを構成する。しかし、第1のシール部材は、このような形態に限られない。たとえば、図11に示すように、第1の装着用部材11と第2の装着用部材21とを挿入部材5に装着した後で、環状の弾性体32を第1の装着用部材11と第2の装着用部材21の外周に嵌めるような形態であってもよい。かかる形態の場合、弾性体32が第1の装着用部材11と第2の装着用部材21との密着状態を保持するための保持手段として機能する。
【0045】
図12は、本実施の形態のさらなる別の変形例に係る封止用部材40を挿入部材5に装着した状態を示す斜視図である。なお、上述の実施の形態と同じ要素には、同じ符号を付して説明する。
【0046】
封止用部材40は、上記の弾性体32に依らず、第1の装着用部材11と第2の装着用部材21とが挿入部材5を挟持した状態に保つための保持手段を、第1のシール部材と別個に備えてもよい。保持手段としては、たとえば、図12に示すような1組のフック機構41等を有していてもよい。かかる場合には、第1の装着用部材11と第2の装着用部材21とは、フック機構41により離れないように保持される。また、フック機構41により、第1の装着用部材11と第2の装着用部材21との位置が合わせられてもよい。
【0047】
また、上述の実施の形態では、第1の装着用部材11および第2の装着用部材21に、それぞれ凹部16および凸部26を備えているが、凹部16および凸部16を備えなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、たとえば、防水用あるいは防塵用の電子機器に利用できる。
【符号の説明】
【0049】
1 携帯電話(電子機器)
2 第1の筺体(筺体)
3 第2の筺体(筺体)
5 挿入部材
10,30,40 封止用部材
11 第1の装着用部材
12,22 弾性体(第1のシール部材)
13,23 シール部(第2のシール部材)
21 第2の装着用部材
32 弾性体(第1のシール部材、保持手段の一例)
41 フック機構(保持手段の一例)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
筺体の開口部に挿入される挿入部材を外側から挟持するように装着される第1の装着用部材および第2の装着用部材と、
上記第1の装着用部材と上記第2の装着用部材とに上記挿入部材が挟持された状態で、上記挿入部材を貫通させ、かつ、上記第1の装着用部材と上記第2の装着用部材とを囲むリングを構成する第1のシール部材と、
上記挿入部材と上記第1の装着用部材もしくは上記第2の装着用部材との間、および、上記第1の装着用部材と上記第2の装着用部材との間に配置される第2のシール部材と、
を有することを特徴とする封止用部材。
【請求項2】
請求項1に記載の封止用部材であって、
前記第1のシール部材は、前記第1の装着用部材と前記第2の装着用部材とが密着状態を保つように保持する保持手段を兼ねることを特徴とする封止用部材。
【請求項3】
請求項1に記載の封止用部材であって、
前記第1の装着用部材と前記第2の装着用部材とが密着状態を保つように保持する保持手段をさらに有することを特徴とする封止用部材。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の封止用部材であって、
前記第1のシール部材のショアA硬度は、前記第2のシール部材のショアA硬度よりも高いことを特徴とする封止用部材。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の封止用部材であって、
前記第1の装着用部材および前記第2の装着用部材のショア硬度は、前記第1のシール部材および前記第2のシール部材のショア硬度よりも高いことを特徴とする封止用部材。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の封止用部材であって、
前記第1の装着用部材および前記第2の装着用部材の少なくとも一方は、前記挿入部材と接する領域が、それ以外の領域よりも内方にへこんでいることを特徴とする封止用部材。
【請求項7】
筺体に設けられた開口部から挿入される挿入部材と、
上記挿入部材を外側から挟持するように構成され、かつ、上記開口部を封止する封止用部材と、を有し、
上記封止用部材は、上記挿入部材を外側から挟持するように装着される第1の装着用部材および第2の装着用部材と、
上記第1の装着用部材と上記第2の装着用部材とに上記挿入部材が挟持された状態で、上記第1の装着用部材と上記第2の装着用部材とを囲むリングを構成する第1のシール部材と、
上記挿入部材と上記第1の装着用部材もしくは上記第2の装着用部材との間、および、上記第1の装着用部材と上記第2の装着用部材との間に配置される第2のシール部材と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項7に記載の電子機器であって、
前記第1の装着用部材と前記第2の装着用部材とが密着状態を保つように保持するために、前記第1の装着用部材および前記第2の装着用部材には、上記挿入部材へ向かう方向の挟圧力が前記筺体の内壁により付与されていることを特徴とする電子機器。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−141001(P2012−141001A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293203(P2010−293203)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】