説明

封止装置

【課題】 ガスよりも分子の大きい水により封止筒を膨張させることができ、しかも、ボーリングロッド内に引き上げる時には封止筒を確実に縮めることができるようにする。
【解決手段】 封止筒12を拡径(膨張)させるための水が水タンク21に貯留され、水タンク21が封止部13と同軸状態に備えられて掘削孔1に挿入され、封止筒12を拡径させるための水を水タンク21から直接供給し、ガスよりも分子の大きい水により封止筒12を膨張させ、ボーリングロッド5内に引き上げる時には水頭圧の影響をなくして排水し、封止筒12を確実に縮める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下岩盤内を掘削しながら掘削孔内に封止部材(パッカー)を設置し封鎖区間を設ける封止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、放射性廃棄物の地下処分、二酸化炭素の地中貯留、深部鉱山の開発等で地下深所を利用した研究が実施されている。これらの研究では、岩盤の透水性や水質調査を行うことが多く、長尺なボーリングを実施しながらその途中で簡便な方法で調査を行うことが望ましい。
【0003】
長尺な掘削孔を掘削する際には、ボーリングロッドの中に長さ数mのコア管をワイヤで掘削箇所の先端まで降ろし、掘削コアをワイヤで引き上げて岩石コアを収容している。このような掘削装置を用いた試験では、コア管を回収した後、ボーリングロッドを必要に応じて数mから数十m引き上げ、露出した岩盤部分で行われる。掘削により露出した直後の岩盤で試験が行えるため、孔壁はきわめて新鮮で孔壁の崩落等により試験が不能になることが少ない。
【0004】
ボーリングロッドの引き上げにより掘削孔の先端に露出する新鮮な岩盤で試験を行う場合、掘削孔の先端に露出した岩盤部分と外部とを完全に独立させるために、流体圧により膨張自在な膨張体を備えたパッカーが用いられている(例えば、特許文献1参照)。パッカーは、筒状の配管の外周に膨張体(積層ゴム)を嵌合させたものであり、筒体と膨張体の間に地上から流体を供給し、膨張体を膨張させて岩盤やボーリングロッドの内壁に密着させる。
【0005】
パッカーの膨張に使われる流体は、通常ガスが用いられる。これは、ガスは取り扱いが容易で配管との摩擦が少ないこと、試験箇所が離れていても(掘削孔が深くても)パッカーの膨張が迅速に行えること、更に、試験後のパッカーの回収もガスを抜くことで迅速に行えることによる。特に、試験箇所が深く地下水位が掘削孔口から著しく離れている場合、ガスは水に比べて密度が著しく小さいため、自重ではパッカーは膨張せず、試験前に膨張してしまうことがない。
【0006】
仮に、試験箇所が地下150mで地下水位が途中の地下100mにある場合、水でパッカーを膨張させるとした場合、掘削孔口から150mの配管を延ばし、配管内に水を満たしておく必要がある。この時、既にパッカーの内部には100m分の水頭圧がかかることになり、パッカーは1MPaの圧力で膨張してしまう。このため、所定の試験箇所に設置する前にパッカーが膨張して試験を行うことができなくなってしまう。
【0007】
しかし、ガスでパッカーを膨張させると、パッカーに使用されている積層ゴムをガスが通過してガス漏れが生じる虞がある。ガス漏れが生じると、パッカーを所定の圧力で岩盤に密着させることができなくなる。
【0008】
また、ガスはゴム内部の気泡や積層ゴムの各層の間に侵入しやすいため、ゴム内部や積層ゴムの各層の間にガスが侵入して残存することがあった。新たな試験で掘削を進めるためにガスを抜いてパッカーを縮めようとした場合、ゴム内部や積層ゴムの各層の間に侵入したガスが残存していると、パッカーが十分に縮まず、ボーリングロッドの内部に引き上げることができなくなってしまう。このため、掘削を進めることが不能になり、全ての作業を中断したり、掘削孔を放棄せざるを得ない状況に発展することもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−180775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、ガスよりも分子の大きい液体(水)により封止部材を必要な時にだけ確実に拡径(パッカーを膨張)させることができ、しかも、必要時には封止部材を確実に縮めることができる封止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の封止装置は、掘削孔に挿入され液体が貯留された液体タンク体と、前記液体タンク体の下部に接続され、前記液体タンク体の液体により拡径する封止部材と、前記液体タンク体の内部の液体を前記封止部材に供給することで前記封止部材を拡径させて前記掘削孔の内壁に密着させる液体供給手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項1に係る本発明では、封止部材に接続された液体タンク体から液体が供給されることにより、封止部材が拡径し、封止部材が掘削孔の内壁に密着する。供給される液体は、封止部材と共に掘削孔に挿入される液体タンク体に貯留され、地上からの長い液体供給配管等を用いることなく液体タンク体を加圧することで簡単に供給することができる。このため、水頭圧の影響がなくなり、必要な時に液体タンク体を加圧することで封止部材を拡径させることができ、液体タンク体の加圧を解放することで封止部材を縮めることができる。また、液体はガスよりも分子が格段に大きいので、封止部材の隙間等に侵入することがなく、封止部材を縮めた際に封止部材の内部に水が残存することがない。
【0013】
このため、ガスよりも分子の大きい液体(水)により封止部材を必要な時にだけ確実に拡径(パッカーを膨張)させることができ、しかも、必要時には封止部材を確実に縮めることが可能になる。
【0014】
そして、請求項2に係る本発明の封止装置は、請求項1に記載の封止装置において、前記封止部材は、掘削孔に挿入される本体筒部と、前記本体筒部の筒面に嵌合され両端部が前記本体筒部に密封固定される弾性材製の封止筒とからなり、前記封止筒は、ゴム製の筒部に補強シートが介在していることを特徴とし、請求項3に係る本発明の封止装置は、請求項2に記載の封止装置において、前記補強シートは前記封止筒と同心状の筒体であることを特徴とする。
【0015】
請求項2に係る本発明では、補強シートにより補強されたゴム製の筒部を膨張させることで、掘削孔の内壁に封止筒を密着させることができ、請求項3に係る本発明では、封止筒と同心状の補強シートによりゴム製の筒部が補強され、封止筒の全周に対して均一な補強が行える。
【0016】
また、請求項4に係る本発明の封止装置は、請求項3に記載の封止装置において、前記掘削孔はボーリングロッドで掘削され、前記封止筒は前記液体タンク体と共に前記ボーリングロッドの内部を通して前記掘削孔に挿入されるものであり、前記封止筒と前記液体タンク体の間に設けられ、前記ボーリングロッドの内壁に密着して前記ボーリングロッドを封止する上部封止筒と、前記上部封止筒で封止された前記ボーリングロッドの内部の流体を流入させる流入手段と、前記封止筒の先端側に設けられ、前記流入手段から供給される流体を前記封止筒で封止された前記掘削孔の先端空間に流出させる流出手段とを備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項4に係る本発明では、ボーリングロッドの中に長さ数mのコア管をワイヤで掘削箇所の先端まで降ろし、掘削コアをワイヤで引き上げて岩石コアを収容して掘削を行う。そして、コア管を回収した後、ボーリングロッドを必要距離だけ引き上げ、ボーリングロッドの内部を上部封止筒で封止し、露出した掘削孔の部分を封止筒で封止する。流入手段により、上部封止筒で封止された部分のボーリングロッドの内部から流体を流入させ、噴出手段から、封止筒で封止した掘削孔の先端空間に流体を流出させることで、封止筒で封止した空間に流体を満たす。封止された空間の流体の状態を各種機器で試験することにより、掘削孔の流体の水位計測、採取、成分分析等の試験を行う。
【発明の効果】
【0018】
本発明の封止装置は、ガスよりも分子の大きい液体(水)により封止部材を必要な時にだけ確実に拡径(パッカーを膨張)させることができ、しかも、必要時には封止部材を確実に縮めることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態例に係る封止装置の全体構成図である。
【図2】封止筒の断面図である。
【図3】封止筒の断面図である。
【図4】掘削孔への設置状況の説明図である。
【図5】掘削孔への設置状況の説明図である。
【図6】掘削孔への設置状況の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1には本発明の一実施形態例に係る封止装置の全体を表す外観を示してある。また、図2、図3には封止筒の部分の詳細を説明するための断面を示してあり、図2は封止筒が膨張していない状態、図3は封止筒が膨張して掘削孔の内壁に密着している状態である。
【0021】
図1に示すように、本実施例の封止装置2は、筒状のボーリングロッド5(ワイヤーラインロッド)で掘削された掘削孔1に挿入されるもので、封止筒12を備えた封止部13(封止部材:パッカー)は、ボーリングロッド5の内部を通して掘削孔1に挿入されるものである。
【0022】
ボーリングロッド5により形成された小径で長尺の掘削孔1には封止装置2が挿入される。封止装置2の先端側(下端側)には、封止された区画の調査に必要な機器として、例えば、圧力センサー等のモニタ手段3が装備されている。また、封止した区画内に注水を行うための注水手段としての注水穴4が備えられている。
【0023】
封止装置2には、本体筒部11の筒面に封止筒12が嵌合された封止部13が先端に備えられている。封止部13の先端側にはモニタ手段3が装備され、封止部13とモニタ手段3の間には注水穴4が設けられている。封止部13の上部には中間軸15を介して上部封止筒16が接続され、上部封止筒16には配管18により外部から膨張ガスが供給される。
【0024】
上部封止筒16の上部には流入手段としての流入穴19を備えた接続軸17が設けられ、流入穴19は注水穴4に連通している。上部封止筒16によりボーリングロッド5が封止された状態で、ボーリングロッド5の内部の水が、流入穴19から上部封止筒16、中間軸15、封止部13の軸部を通して水が注水穴4に送られ、封止部13で封止された区画内に注水穴4から注水が行われる。
【0025】
接続軸17の上部には液体タンク体としての金属製の水タンク21が直列に2つ備えられ、2つの水タンク21の内部は連通状態とされている。水タンク21は地上で給水が行われて接続軸17に接続され、水タンク21には水を圧送するためのガス(例えば、Nガス)を供給する配管22が接続されている。水タンク21の下部には給水配管23の一端が接続され、給水配管23の他端は封止筒12に接続されている(液体供給手段)。
【0026】
上述した封止装置2は、封止筒12を拡径(膨張)させるための水が水タンク21に貯留され、水タンク21が封止部13と同軸状態に備えられて掘削孔1に挿入されるので、地上からの配管等を用いることなく、封止筒12を拡径させるための水を水タンク21から直接供給することができる。
【0027】
このため、地上からの配管のスペースにより、封止筒12に水を供給する給水配管23やモニタ手段3等の機器に対する制約を受けることがなくなり、長尺で限られた径の掘削孔1に対しても機器や給水配管23の制約を受けることが抑制された封止装置2となる。
【0028】
図2、図3に基づいて封止部13を説明する。
【0029】
本体筒部11の筒面には封止筒12が嵌合されている。封止筒12の両端部はかしめ材25によりそれぞれかしめられて封止された状態になっている。封止筒12はゴム製の筒部26a、26bで形成され、筒部26a、26bの間には筒体の補強シート27が介在している。補強シート27は封止筒12(筒部26)と同心状の筒体で構成され、封止筒12(筒部26)の全周に対して均一に補強されている。
【0030】
封止筒12が嵌合された部位の本体筒部11には注水孔31が形成され、注水孔31は接続管32により給水配管23に接続されている。つまり、給水配管23からの水が接続管32を通して注水孔31に送られ、注水孔31から本体筒部11と封止筒12(筒部26)との間に供給される。水が供給されることにより、ゴム製の筒部26が膨張して拡径し(図3参照)、掘削孔1の内壁に封止筒12の外周面が密着され、掘削孔1の岩盤箇所が区画される。
【0031】
封止筒12は掘削孔1の岩盤に直接密着するため、伸縮量の差が大きくなり、水で膨張させている。上部封止筒16はボーリングロッド5の内壁に密着するため、伸縮量の差が小さいので、軽量化を測るために膨張ガスで膨張させている。
【0032】
ゴム製の筒部26を水により膨張させているため、岩盤孔壁に的確に密着させることができ、密着を解除するため水タンク21側に排水を行った際に本体筒部11と封止筒12(筒部26)との間の水を確実に排水することができる。また、筒部26a、26bの間に補強シート27が介在していても、分子の小さい空気と異なり、筒部26a、26bの間に水が浸入することがないので、排水後に筒部26の膨張を確実に解除することができる。
【0033】
封止部13を掘削孔1から抜き外す際に、水タンク21のガス圧を解放し、ボーリングロッド5に水を注入して注水穴4から水を供給し、供給された水の圧力により筒部26を縮めた時に、膨張したままの部位が筒部26に存在することがなく、封止部13を容易に抜き外すことができる。
【0034】
図4から図6に基づいて上述した封止装置2の使用状況を具体的に説明する。
【0035】
図4には封止装置2が使用される掘削孔を形成している状態の断面、図5にはボーリングロッド5の内側から封止装置2を掘削孔1に挿入した状態の断面、図6には掘削孔1の先端部位の内壁に封止筒12の外周面を密着させてシールした状態の断面を示してある。図に示した例は、掘削孔1の先端区画における流体の拡散状況(該当岩盤の流体の拡散状況)を検証するため、封止装置2を用いて所定密閉区画の部位の水圧の変化を検出するものである。
【0036】
図4に示すように、ボーリングロッド5の先端にはビット筒35が取り付けられ、ビット筒35には岩盤を削るためのビット36が設けられている。岩盤に対してボーリングロッド5を回転ながら掘進させ、所定距離(深さ)の掘削孔1が掘削され、岩盤の採取等が必要に応じて実施される(図中点線で示してある)。所定深さの掘削孔1が掘削された後、ボーリングロッド5が所定距離(数mから数十m)だけ引き上げられる(図中実線で示してある)。
【0037】
図5に示すように、ボーリングロッド5の内側から封止装置2を掘削孔1に吊り下げて挿入し、中間軸15から先の部位をビット筒35から突出させ、上部封止筒16から上の部位をボーリングロッド5の内部に配するようにする。
【0038】
即ち、上部封止筒16の下側にはストッパ37が設けられ、図示しない吊り具を用いて封止装置2をボーリングロッド5の内部に吊り下げ、ストッパ37をビット筒35の内側に当接させる。これにより、中間軸15から先の部位がビット筒35から突出し、上部封止筒16から上の部位がボーリングロッド5の内部に配される状態にされる。
【0039】
この状態で、外部から配管18を介して上部封止筒16に膨張ガスを供給する。また、配管22から水を圧送するためのガスを水タンク21内に供給することにより、水タンク21の内部の水が給水配管23から封止筒12に圧送される。
【0040】
上部封止筒16に膨張ガスが供給されることで、上部封止筒16が膨張してボーリングロッド5の下部の内壁に密着し、ボーリングロッド5の下部が密閉される。封止筒12の注水孔31(図2参照)に給水配管23から接続管32(図2参照)を通して水が圧送されることで、本体筒部11と封止筒12(筒部26)との間に水が供給されて筒部26が膨張して拡径し、掘削孔1の内壁に封止筒12の外周面が密着して掘削孔1の先端岩盤の箇所(注水穴4、モニタ手段3が配される箇所)が区画される。
【0041】
上部封止筒16及び封止筒12により所定箇所が密閉された状態で、ボーリングロッド5の内部に水が溜まる。つまり、地下水は、上部封止筒16で密閉された部位の上側のボーリングロッド5の内部に既知の容量を持って溜まり、流入穴19から上部封止筒16、中間軸15、封止部13の軸部を通して注水穴4に送られる。封止部13で密閉された掘削孔1の部位に注水穴4から水が送られ、密閉された部位に水が満たされる。
【0042】
封止部13で密閉された部位の状況変化をモニタ手段3で監視することにより、密閉された部位の岩盤における水の状況を把握することができる。例えば、モニタ手段3には、水圧を経時的に記録できる圧力センサーが耐圧容器に入れられて設置され、ボーリングロッド5内に蓄えられる地下水の水位を計測する。また、モニタ手段3には、一定の水圧がかかると、チャック弁が開き、地下水、ガスを採取できる容器が取り付けられる。採取した地下水・ガスは地下深部の岩盤部分から湧出する地下水・ガスとして成分分析に供される。
【0043】
封止装置2を抜き外す場合、水タンク21のガス圧を解放し、ボーリングロッド5に水を注入して注水穴4から水を供給し、供給された水の圧力により筒部26の水を水タンク21に排水して筒部26を縮め、筒部26の掘削孔1への密着を解除する。この場合、分子の小さいガスと異なり、水タンク21の水を使用しているため、上部封止筒16よりも大きく拡径する封止筒12の積層ゴムの筒部26の間に水が浸入することがなく、排水後に筒部26の膨張を確実に解除することができる。このため、封止装置2を抜き外す(ワイヤラインでボーリングロッド5の内部に引き上げる)ことができ、抜き外しの際にゴム製の筒部26に亀裂などの破損が生じることがない。
【0044】
ボーリングロッド5の先の最下部の封止部13は、膨張して岩盤に密着させると共にビット筒35を通過させなければならないため、膨張した時の径はボーリングロッド5の外径よりも大きく、縮んだときの径がビット筒35の径よりも小さくなる必要がある。このため、収縮量と膨張量の差が大きくなり、ゴムの気泡や積層間に流体が侵入することを避けなければならない。このため、上述した実施例では、積層ゴムを通過しない分子の大きな水を使って封止部13を膨張させている。
【0045】
上述した封止装置2は、水タンク21がボーリングロッド5内の上部封止筒16の直上に接続されているので、地上からの配管等を用いて水を供給する必要がなく、水タンク21からの水を用いて封止筒12を迅速に拡径(膨張)させることができる。この時、地上からの配管のスペースは、水タンク21の水を圧送するためのガスの配管スペースだけとなる。
【0046】
また、地上から離れた地下深所においても水頭圧の影響をなくして水の自重が封止筒12にかかることがないので、封止筒12に対する圧力を高くすることなく確実に縮めた状態にすることができ、封止部13を引き上げる時に、ボーリングロッド5の先端のビット筒35の内側を容易に通過させることができる。
【0047】
従って、ガスよりも分子の大きい水により封止筒12を膨張させることができ、しかも、ボーリングロッド5内に引き上げる時には封止筒12を確実に縮めることが可能になる。
【0048】
尚、上述した封止装置2は、2つの水タンク21を備えた構成を例に挙げて説明したが、水タンク21の数は1つまたは3つ以上にすることも可能である。つまり、掘削孔1の径に応じて封止筒12を膨張させる容量が変わるため、膨張させる容量に応じて水タンク21の数は1つまたは3つ以上にされる。また、所望のガスや水を採取する手段や種々の計測機器を備えたものをボーリングロッド5内の水タンク21の上に設置することができ、地下水・ガスの採取を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、地盤等に掘削された掘削孔を部分的に封止するための封止装置の産業分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 掘削孔
2 封止装置
3 モニタ手段
4 注水穴
5 ボーリングロッド
11 本体筒部
12 封止筒
13 封止部
15 中間軸
16 上部封止筒
17 接続軸
19 流入穴
21 水タンク
22 配管
23 給水配管
25 かしめ材
26 筒部
27 補強シート
31 注水孔
32 接続管
35 ビット筒
36 ビット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削孔に挿入され液体が貯留された液体タンク体と、
前記液体タンク体の下部に接続され、前記液体タンク体の液体により拡径する封止部材と、
前記液体タンク体の内部の液体を前記封止部材に供給することで前記封止部材を拡径させて前記掘削孔の内壁に密着させる液体供給手段とを備えた
ことを特徴とする封止装置。
【請求項2】
請求項1に記載の封止装置において、
前記封止部材は、
掘削孔に挿入される本体筒部と、
前記本体筒部の筒面に嵌合され両端部が前記本体筒部に密封固定される弾性材製の封止筒とからなり、
前記封止筒は、ゴム製の筒部に補強シートが介在している
ことを特徴とする封止装置。
【請求項3】
請求項2に記載の封止装置において、
前記補強シートは前記封止筒と同心状の筒体である
ことを特徴とする封止装置。
【請求項4】
請求項3に記載の封止装置において、
前記掘削孔はボーリングロッドで掘削され、
前記封止筒は前記液体タンク体と共に前記ボーリングロッドの内部を通して前記掘削孔に挿入されるものであり、
前記封止筒と前記液体タンク体の間に設けられ、前記ボーリングロッドの内壁に密着して前記ボーリングロッドを封止する上部封止筒と、
前記上部封止筒で封止された前記ボーリングロッドの内部の流体を流入させる流入手段と、
前記封止筒の先端側に設けられ、前記流入手段から供給される流体を前記封止筒で封止された前記掘削孔の先端空間に流出させる流出手段とを備えた
ことを特徴とする封止装置。




【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−36676(P2012−36676A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179585(P2010−179585)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(000173809)財団法人電力中央研究所 (1,040)