説明

封止部材、封止部材の製造方法および蓄電装置用容器

【課題】生産性が高く、水蒸気や酸素ガスなどの気体を透過させない高いバリア性、機械的な強度も高く、軽量コンパクトで、封止部材との溶着部からの水分侵入や内容品からの液体成分漏洩のおそれの小さい筒状フィルムの端部を封止する封止部材を提供する。
【解決手段】外面に筒状フィルムの端部内面に溶着される溶着層32aと内面に接着樹脂層32cとそれらを貫通する貫通孔33とを備えた金属箔成型体32と、接着樹脂層32cに接着され、筒状フィルムの端部封止の主面となる封止面を構成する封止壁37と、封止壁37に連続して金属箔成型体32を補強する環状の側壁38とを備える樹脂成型体36と、絶縁層35aで全周が覆われた絶縁部35を中間に備える板状または棒状の電極部材34と、を有し、電極部材34の絶縁部35が金属箔成型体32の貫通孔33に挿入され、樹脂成型体36により気密に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電要素を収容するための蓄電装置用容器に用いることができる封止部材、その封止部材の製造方法およびその封止部材が溶着された蓄電装置用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リチウムイオン二次電池やキャパシタ等の蓄電装置の発電要素を収容する蓄電装置用容器として、優れた耐水蒸気透過性を有する金属製容器が多用されている。しかし、金属容器は重く、嵩張り、包装工程も複雑で生産性に欠ける。特に、容器本体と蓋体との溶接は多くの工数を必要とし、量産性の観点からも問題がある。また、電気自動車用のリチウム電池等は、車載する数が多いので、容器は軽くコンパクトであることが望まれている。
これらの要望に対して、図7に示すような、アルミ箔などの金属箔と樹脂フィルムを積層した積層体LをヒートシールHで封止してなる平袋Pや絞り成型した蓄電装置用容器を用いて包装したパック電池が開発されており、薄型軽量化が図られている。ところが、アルミラミネート包材を蓄電装置用容器として用いる場合は、機械的な強度や溶着強度が不足する場合がある。特に、電極部材の溶着部からの水分侵入、内容品の液体成分の揮発や電解液漏洩の問題がある。
【0003】
一方、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)等の樹脂を用いて成型された蓄電装置用容器も開発されており、特に、PPは、優れた防熱性及び耐薬品性等を有するとともに、成型性も良好であり、蓄電装置用容器の材料として多用されている。このような樹脂製容器を用いた蓄電装置用容器として、特許文献1には、有底筒状の樹脂容器の外周面に防湿性を付与するためのアルミ箔を積層した蓄電装置用容器が提案されている。
しかし、これらの樹脂製容器の場合、筒状の成型容器を用いるため、端部開口が肉厚となる。この開口を封止するに際し、端部開口に蓋材を挿入する内嵌め方式とすると、蓋材との溶着時に肉厚の筒状の樹脂壁を溶融する必要があり、接合に長時間を要する。また、肉厚の樹脂壁の端面から侵入する酸素や水蒸気のバリア性を確保するためには、肉厚の樹脂壁端面を蓋材で覆って高い溶着強度で溶着する必要がある。そのためには、蓋材を筒状体に被せる外嵌め方式とせざるを得ない。
【0004】
筒状の樹脂成型容器を用いて内嵌め方式としたときの接合時の不都合を改良すべく、特許文献2には、樹脂製の筒状部材と、筒状部材の端部に嵌装された内嵌め方式の樹脂製の蓋体被接合部に周方向から赤外線レーザを照射して発熱させることにより、筒状部材と蓋体と筒状部材の端部と蓋体とを融着させる蓄電装置用容器の製造方法が提案されている。
しかし、赤外線レーザの照射により被接合部を発熱させて、筒状部材の端部と蓋体とを接合させるためには、筒状部材の端部の被接合部又は蓋体の被接合部が赤外線レーザ吸収性である必要がある。そのためには、筒状部材の端部の被接合部又は蓋体の被接合部に、赤外線レーザ吸収剤を塗布したり、筒状部材および蓋体の各々を構成する樹脂に、赤外線レーザ吸収剤を配合したりする必要があり、余分な手間とコストがかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−281156号公報
【特許文献2】特開2011−9175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、生産性が高く、水蒸気や酸素ガスなどの気体を透過させない高いバリア性、機械的な強度も高く、軽量コンパクトで、封止部材との溶着部からの水分侵入や内容品からの液体成分漏洩のおそれの小さい筒状フィルムの端部を封止する封止部材、その封止部材の製造方法およびその封止部材が溶着された蓄電装置用容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の発明者は、軽量コンパクトで、封止部材を筒状フィルムに高いバリア性および高いシール強度で溶着することを検討した結果、樹脂成型の筒体を省略して、筒状フィルムの溶着部にバリア性を付与した封止部材を挿入し、筒状フィルムの外側から溶着部材を筒状フィルムに押し付け、封止部材に密着させて溶着することが最適であるとの知見を得て、本発明はなされた。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の封止部材を提供する。
(1) 内面が溶着性の筒状フィルムの端部内面に溶着されて前記端部を封止する封止部材であって、外面に前記筒状フィルムの端部内面に溶着される溶着層と、中間に金属箔と、内面に接着樹脂層と、外面の溶着層から内面の接着樹脂層まで貫通する貫通孔とを備える金属箔積層体からなり、接着樹脂層が内面となるように絞り成型された金属箔成型体と、該金属箔成型体の接着樹脂層に接着され、前記筒状フィルムの端部封止の主面となる封止部材の封止面を構成する封止壁と、前記金属箔成型体の接着樹脂層に少なくともその一部が接着され、前記封止壁に連続して前記金属箔成型体を補強する環状の側壁と、を備える樹脂成型体と、絶縁層で全周が覆われた絶縁部を中間に備える板状または棒状の電極部材と、を有し、前記電極部材の前記絶縁部が前記金属箔成型体の前記貫通孔に挿入され、前記樹脂成型体により気密に固定されたことを特徴とする封止部材。
【0009】
(2) 前記金属箔成型体の接着樹脂層と前記樹脂成型体の側壁との接着部の端縁が前記側壁外面内に終端し、前記側壁に接着されない前記金属箔積層体が除去されて前記側壁を構成する樹脂層の一部が露出した(1)の封止部材。
(3) 前記側壁および露出した樹脂層がともに一定の幅を有する平坦な環状に形成され、露出した樹脂層の幅の前記側壁の全幅に対する比率が50%以上である(2)の封止部材。
(4) 絶縁層が前記電極部材の全周に溶着された絶縁フィルムである(1)ないし(3)のいずれかの封止部材。
(5) 前記封止部材の溶着面に溝状の凹みが設けられた(1)ないし(4)のいずれかの封止部材。
【0010】
また、本発明は、以下の封止部材の製造方法を提供する。
(6) (1)ないし(5)のいずれかの封止部材の製造方法であって、前記電極部材の前記絶縁部を前記金属箔積層体の前記貫通孔に挿入し、前記絶縁部と前記金属箔積層体の接着樹脂層とを固定して前記樹脂成型体を射出成型することを特徴とする封止部材の製造方法。
(7) 絶縁層となる2枚の絶縁フィルムの間に前記電極部材の中間部を挟んで2枚の絶縁フィルムの一端側または中間における前記電極部材の全周を溶着し、絶縁層で覆われた前記電極部材の前記絶縁部を前記金属箔積層体の前記貫通孔に挿入し、未溶着の2枚の絶縁フィルムの自由端を前記接着樹脂層に溶着により固定して前記樹脂成型体を射出成型する(6)の封止部材の製造方法。
(8) インサート成型装置の金型内に前記金属箔積層体を配置し、前記金型内で型締め時に接する前記金型および射出される溶融樹脂の一方または両方により前記金属箔積層体に押圧力を加えて前記金属箔成型体を絞り成型するとともに、前記溶融樹脂で前記樹脂成型体を射出成型する(6)または(7)の封止部材の製造方法。
【0011】
また、本発明は、以下の蓄電装置用容器を提供する。
(9) (1)ないし(5)のいずれかの封止部材の前記側壁を、金属箔の積層フィルムからなり、内面が溶着性の筒状フィルムの一端または両端の内面に挿入し溶着して前記筒状フィルムの端部を封止したことを特徴とする蓄電装置用容器。
(10) 前記側壁に接着された前記金属箔成型体の溶着層と前記側壁の露出した樹脂層との両者を前記筒状フィルムの内面に溶着した(9)の蓄電装置用容器。
(11) 前記封止部材の溶着面に溝状の凹みを設け、前記筒状フィルムの一部を前記凹みに溶着して前記筒状フィルムに凹部を形成した(9)または(10)の蓄電装置用容器。
(12) 溝状の凹みを溶着面に有する前記封止部材、または、溝状の凹みを前記筒状フィルムとの溶着部に有する金属箔の積層体からなる閉鎖部材を一端内面に溶着した前記筒状フィルムの他端内面に、前記筒状フィルムの一端側と他端側とで互いの凹みを対向させて溝状の凹みを溶着面に有する前記封止部材を溶着して各溝状の凹みの上で前記筒状フィルムに凹部を形成し、さらに前記筒状フィルムの中間部にも凹部を形成して、前記筒状フィルムの凹部が一端から他端まで連続する溝状に形成された(9)ないし(11)のいずれかの蓄電装置用容器。
【発明の効果】
【0012】
(1)の封止部材によれば、封止部材の封止面と環状の側壁に金属箔成型体が接着されているので、バリア性に優れる。
また、金属箔成型体が樹脂成型体により裏打ちされているので、機械的な強度も高く、軽量コンパクトな封止部材となり、容易に筒状フィルムを気密に封止できる。
また、電極部材の絶縁部が金属箔成型体の貫通孔に挿入され、樹脂成型体で固定されているので、電極部材と金属箔成型体の金属箔とが短絡することがない。
また、封止部材を筒状フィルムの端部内面に挿入し溶着したとき、筒状フィルムの金属箔と封止部材の金属箔をオーバーラップさせることができるので、高いバリア性の蓄電装置用容器を、簡易な製造設備により高い生産性で製造することができる。
【0013】
(2)の封止部材によれば、(1)の封止部材の効果に加えて、側壁に接着されない前記金属箔積層体が切除されて前記側壁を構成する樹脂層の一部が露出しているので、これを筒状フィルムの端部内面に溶着することで、高い溶着強度で溶着することができる。
(3)の封止部材によれば、(2)の封止部材の効果がより確実となる。
(4)の封止部材によれば、(1)〜(3)の封止部材の効果に加えて、予めフィルム状に成型された絶縁層を溶着するので、生産性が高くなる。
(5)の封止部材によれば、(1)〜(4)の封止部材の効果に加えて、封止部材の凹みの溶着面に沿って、凹みの形状に対応した凸条の溶着部材で筒状フィルムを引き延ばして封止部材の凹みに密着させることができるので、接合部の筒状フィルムに皺や金属層の破れを発生させることなく、封止部材に筒状フィルムを容易に密着させて溶着することができる。
【0014】
(6)の封止部材の製造方法によれば、電極部材の絶縁部を金属箔積層体の貫通孔に挿入し、絶縁層と金属箔積層体の接着樹脂層とを固定して樹脂成型体を射出成型するので、位置ずれが起きないので、封止部材の金属箔と電極部材の絶縁を容易かつ確実に確保し、封止部材を高い生産性で製造することができる。
(7)の封止部材の製造方法によれば、(6)の封止部材の効果に加えて、予めフィルム状に成型された絶縁層を溶着するので、生産性を高くすることができる。
また、未溶着の2枚の絶縁フィルムの自由端を溶着により金属箔積層体の接着樹脂層に固定できるので、固定作業が容易となる。
(8)の封止部材の製造方法によれば、(6)または(7)の封止部材の効果に加えて、インサート成型装置の金型内で金属箔積層体の絞り成型と樹脂成型体の射出成型ができるので、生産性を高くすることができる。
【0015】
(9)の蓄電装置用容器によれば、肉厚の成型容器を用いないので、蓄電装置用容器を軽量でコンパクトなものとすることができる。また、端部開口が肉厚とならないので、ここから侵入する水蒸気や揮発する内容品の液体成分の量が小さいので、バリア性の確保が容易である。
また、接合部において筒状フィルムの金属箔と封止部材の金属箔をオーバーラップさせることができるので、高いバリア性の蓄電装置用容器を、簡易な製造設備により高い生産性で製造することができる。
【0016】
(10)の蓄電装置用容器によれば、(9)の蓄電装置用容器の効果に加えて、側壁に接着された金属箔成型体の溶着層と側壁の露出した樹脂層との両者を筒状フィルムの内面に溶着するので、より高い溶着強度で溶着することができる。
これにより、接合部における筒状フィルムの金属箔と封止部材の金属箔のオーバーラップの幅が、バリア性が確保される最小の長さであっても、筒状フィルムと封止部材の露出した樹脂層との溶着により蓄電装置用容器の機械的強度および気密性が確保される。
【0017】
(11)の蓄電装置用容器によれば、(9)または(10)の蓄電装置用容器の効果に加えて、封止部材の凹みの溶着面に沿って、凹みの形状に対応した凸条の溶着部材で筒状フィルムを引き延ばして封止部材の凹みに密着させて溶着することで、封止部材に筒状フィルムを密着させて溶着した蓄電装置用容器が得られる。
これにより、使用する筒状フィルムの内径を封止部材の溶着面の外径より大きくし、封止部材の挿入を容易にした場合であっても、封止部材との溶着部の筒状フィルムに皺や弛みのない蓄電装置用容器が得られる。
また、筒状フィルムの一端を密閉し、蓄電装置の蓄電要素を封止部材の電極部材に接続し、封止部材の凹みの少なくとも一部を残して筒状フィルムの他端に溶着し、凹みから電解液を充填した後、凹みを筒状フィルムに気密に溶着して、蓄電装置が密封された蓄電装置用容器を構成することができる。
【0018】
(12)の蓄電装置用容器によれば、(9)〜(11)の蓄電装置用容器の効果に加えて、筒状フィルムの中間部の凹部によって蓄電装置用容器の剛性も高くなり、封止部材近傍の筒状フィルムに皺が入らないので、機械的強度に優れ外観も良好となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の蓄電装置用容器の一例を示す斜視図である。
【図2】図1の蓄電装置用容器に用いる封止部材の一例を示す斜視図である。
【図3】図2の封止部材の製造方法を説明する断面図である。
【図4】本発明の封止部材の他の一例を示す斜視図である。
【図5】図4の封止部材を用いた蓄電装置用容器の斜視図である。
【図6】本発明の封止部材の他の一例を示す斜視図である。
【図7】従来の絞り成型した金属は積層体を用いた蓄電装置用容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施の形態に基づいて、本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明の封止部材の一例を示す斜視図である。図2は、図1の蓄電装置用容器に用いる封止部材の一例を示す斜視図である。図3は、図2の封止部材の製造方法を説明する断面図である。
図1〜図3において、符号1は本発明の蓄電装置用容器、符号2は筒状フィルム、符号21は筒状フィルム2に設けられた凹部、符号3は第1の封止部材、符号31は第1の封止部材3の溶着面、符号39は第1の封止部材3に設けられた凹み、符号4は第2の封止部材、符号41は第2の封止部材4の溶着面、符号49は第2の封止部材4に設けられた凹みを示す。
【0021】
本発明の蓄電装置用容器に用いる筒状フィルム2は、金属箔の積層フィルムからなり、内面が溶着性であり、少なくとも内面にシーラント層を有する。筒状フィルム2は、シーラント層が積層された金属板をシーラント層が内面となるように深絞り成型してもよいが、深絞り可能な材質は制約が多く、加工装置や加工方法が複雑となるため、本形態例においては、筒状フィルム2は、金属箔にシーラント層が積層された可撓性基材を丸め、両端を溶着して筒状に成形する。
従って、筒状フィルム2のシーラント層は、内容品との接触層および封止部材3,4との溶着層となるが、本形態例においては、可撓性基材の両端を溶着して筒状に成形して筒状フィルム2とするためにも用いられる。この目的からは、可撓性基材がシーラント層を両面に有していてもよい。
【0022】
筒状フィルム2となる可撓性基材がシーラント層を片面のみに有する場合は、シーラント層を内側にして両端を重ねて溶着するので、手のひら同士を合わせた様な合掌シールとなる。この場合は、接合部が筒状フィルム2の外面にフィン状に立ち上がるので、筒状フィルム2の外面に重なるように折り畳み、必要に応じて、接着剤やホットメルトにより筒状フィルム2の外面に接着させることが好ましい。
可撓性基材がシーラント層を両面に有する場合は、合掌シールとして、筒状フィルム2の外面に接合部を接着することができるが、両端をオーバーラップさせて重なり部分を溶着する封筒貼りシールとすることもできる。封筒貼りシールとする場合には、接合部が目立ちにくいので外観がよいが、溶着時にマンドレル等の中子を受部材として用いる必要がある。また、筒状フィルム2の内面および外面に可撓性基材の端面に金属箔が露出するので、シーラント層が薄い場合は、この端面の金属箔を樹脂層で覆って保護する端面処理が必要となることがある。
【0023】
筒状フィルム2のシーラント層を構成する樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖線状ポリエチレン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、カルボン酸変性ポリエチレン等のポリエチレン(PE)系樹脂やプロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体、カルボン酸変性ポリプロピレン等のポリプロピレン(PP)系樹脂などのポリオレフィンを挙げることができる。
これらのうち、耐熱性に優れるので、PP系樹脂が好ましい。また、シーラント層が金属箔に直接積層される場合は、カルボン酸変性されたPE系樹脂やPP系樹脂が好ましい。これらの樹脂は、複数が混合されたり、複数層に積層されて用いられてもよい。
【0024】
シーラント層の厚さは、溶着強度の確保や加工適性その他を考慮すると、内面側のシーラント層が15μm〜200μmの範囲となるのが好ましい。内面側のシーラント層の厚みが15μmに満たないと、シーラント層の形成が困難になる場合がある。また、可撓性基材の両端を溶着して筒状に成形したり、封止部材3,4と溶着したりする際の溶着強度が十分でない場合がある。内面側のシーラント層の厚みが200μmより厚いと、封止部材3,4の溶着部の端面から水蒸気や酸素ガス等が侵入するおそれがある。
シーラント層の積層に際しては、接着剤を用いるドライラミネート、溶融樹脂を押し出して直接またはアンカー剤層を介して積層する押出ラミネート、押出ラミネートの溶融樹脂層でシーラントフィルムを接着するサンドラミネートや加熱加圧して圧着する熱ラミネート等を用いることができる。
【0025】
金属箔は、積層体に酸素や水蒸気などの気体遮断性(バリア性)を付与するバリア層である。金属箔としては、例えば、アルミ箔、ステンレス箔、鉄箔、銅箔や鉛箔を挙げることができる。
これらのうち、比重が小さく、展延性(延びやすさ)および熱伝導性に優れることから、アルミ箔が好ましく、展延性に優れるのでアルミ合金箔がより好ましい。熱伝導性に優れると、蓄電装置が発熱した場合の放熱性がよくなる。アルミ箔の厚さは、バリア性の確保や加工適性その他を考慮すると、6μm〜200μmの範囲とするのが好ましい。アルミ箔の厚みが6μmに満たないと、ピンホールの発生が多くなり、バリア性が低下する。また、アルミ箔の厚みが200μmを超えると、封止部材3および4の溶着時に熱が逃げ易く溶着時間が長くなる。また、蓄電装置用容器1の重量が大きくなる。
【0026】
また、ステンレス箔は、展延性および熱伝導性に劣るが、耐食性が高い。耐食性が高いと、シーラント層等の金属箔より内側の層が損傷して金属箔と電解質が接触した場合でも腐食しにくいので好ましい。ステンレス箔を用いる場合は、耐食性が高いので、SUS304やSUS316などのオーステナイトが好ましく、特にSUS316が好ましい。ステンレス箔の厚さは、10μm〜150μmの範囲とするのが好ましい。ステンレス箔の厚みが10μmに満たないと、ピンホールの発生が多くなり、バリア性が低下する。また、ステンレス箔の厚みが150μmを超えると、剛性が高くて加工しにくい。
これらの金属箔は、複数層用いられてもよい。
【0027】
筒状フィルム2は、引張強度や引裂き強度等の機械的強度が高いことが好ましい。従って、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、6−ナイロン等のポリアミド系樹脂などからなるフィルムが補強層として積層されていることが好ましい。これらのフィルムは、二軸延伸されていることが好ましい。蓄電装置用容器1に腰を持たせるために、筒状フィルム2に紙を積層してもよい。補強層は、強度を上げるために複数積層されてもよい。また、加飾のために補強層に印刷や着色を施してもよい。
【0028】
筒状フィルム2は、酸素や水蒸気などの気体による金属箔の腐食や劣化を防ぐために、金属箔より外側に金属蒸着層、金属酸化物などのセラミックを蒸着したセラミック蒸着層などのバリア層を含んでいてもよい。このバリア層は、補強層に積層されることが好ましい。
これらの補強層の積層に際しては、ドライラミネート、サンドラミネートや熱ラミネート等を用いることができる。
【0029】
筒状フィルム2に挿入される封止部材3,4は、図1〜3に示すように、外面に筒状フィルム2の端部内面に溶着される溶着層と、内面に接着樹脂層とを有する金属箔成型体32,42と、電極部材34,44と、樹脂成型体36,46と、を有する。
封止部材3,4は、封止部材3,4の外周面に有する溶着面31,41で筒状フィルム2に溶着される限り、その形状に制限はないが、概略、封止部材3,4を平面から見たとき(以下、「平面視」という場合がある。)、凹み39,49がない場合(図4の状態)の外周形状が、円形、長円形、楕円形、角が丸められた矩形であると筒状フィルム2との溶着が容易となるので好ましい。
なお、本形態例においては、封止部材3と封止部材4は、正極と負極となる電極部材34,44を有するが、基本構造は同じなので、以下、両者を代表して封止部材3について説明する。
【0030】
封止部材3の金属箔成型体32は、溶着層32aと金属箔32bと接着樹脂層32cとそれらを貫通する貫通孔33とを備える金属箔積層体32d(図3(b)参照)からなり、接着樹脂層32cが内面となるように絞り成型されている。
金属箔成型体32の金属箔32bは、金属箔成型体32に酸素や水蒸気などの気体遮断性(バリア性)を付与するバリア層である。金属箔成型体32の金属箔32bとしては、筒状フィルム2の金属箔と同様なものを用いることができる。それらの金属箔のうち、アルミ箔は、展延性に優れるので、絞り成型しやすい。金属箔32bは、外面の溶着層32aと内面の接着樹脂層32cとの間の内部に積層されればよく、金属箔32bと溶着層32aまたは接着樹脂層32cとの間に、他の層が介在されても構わない。
金属箔成型体32は、絞り成型により凹状に絞られて、筒状フィルム2の内面に溶着される溶着面31がスカート状に形成される。従って、溶着面31をスカート状に形成するに際しては、金属箔成型体32の屈曲部が直角になるように絞り成型することが好ましいが、筒状フィルム2が可撓性を有するので、多少の調整が可能であるから、必ずしも正確な直角でなくてもよい。
【0031】
金属箔成型体32の外面の溶着層32aは、筒状フィルム2の内面に溶着される。金属箔成型体32の溶着層32aを構成する樹脂としては、筒状フィルム2のシーラント層を構成する樹脂と同様なものを用いることができる。
金属箔成型体32の溶着層32aの厚さは、15〜100μmの範囲とするのが好ましい。この厚さが15μmに満たないと、溶着層32aの形成が困難になる場合がある。また、この厚さが100μmを超えると、筒状フィルム2のシーラント層との溶着部から水蒸気や酸素ガス等が侵入する恐れがある。
【0032】
金属箔成型体32の内面の接着樹脂層32cは、樹脂成型体36に接着される。金属箔成型体32の接着樹脂層32cを構成する樹脂としては、筒状フィルム2のシーラント層を構成する樹脂と同様なものを用いることができる。
金属箔成型体32の接着樹脂層32cの厚さは、15〜100μmの範囲とするのが好ましい。この厚みが15μmに満たないと、接着樹脂層32cの形成が困難になる場合がある。また、この厚みが100μmを超えても特に問題はないが、樹脂成型体36に接着していない部分を除去する場合に、経済的に不利となる。
【0033】
金属箔成型体32は、絞り成型時の金型内における摺動による傷や外部からの水蒸気や酸素等の気体から金属箔32bを保護することが好ましい。このため補強層(図示せず)として筒状フィルム2の補強層と同様なフィルムが溶着層32aと金属箔32bとの間に積層されていることが好ましい。また、この補強層に加飾のために印刷や着色を施してもよい。
この補強層および溶着層と接着樹脂層は、筒状フィルム2の補強層と同様な方法で金属箔に積層することができる。
【0034】
封止部材3の樹脂成型体36は、金属箔成型体32の接着樹脂層32cによって直接または他の樹脂層を介して金属箔成型体32に接着された樹脂製の成型部材である。
樹脂成型体36は、金属箔成型体32に接着されて、金属箔成型体32を補強する。
樹脂成型体36は、接着剤で金属箔成型体32の接着樹脂層32cに接着されてもよいが、金属箔成型体32の接着樹脂層32cおよび後述する電極部材34の絶縁部35を覆う絶縁層35aを形成する樹脂と溶着可能な樹脂で射出成型することが好ましい。
樹脂成型体36は、金属箔成型体32に接着されて、筒状フィルム2の端部封止の主面となる封止部材3の封止面30を構成する封止壁37と、筒状フィルム2の端部内面と溶着するための封止壁37に連続する環状の側壁38と、を有する。
なお、「主面」とは、主要な機能を担う面または面積が最も大きな面を意味する。
【0035】
樹脂成型体36の封止壁37は、その全面が貫通孔33の周縁を含む金属箔成型体32の接着樹脂層32cと接着して、封止部材3の封止面30を構成する。
樹脂成型体36の側壁38は、封止壁37と連続しており、少なくともその一部がスカート状に成型された金属箔成型体32の接着樹脂層32cと接着している。側壁38に接着している金属箔成型体32の外面の溶着層は、封止部材3の筒状フィルム2の端部内面との溶着面31となる。
樹脂成型体36の側壁38は、金属箔成型体32を補強すると共に、筒状フィルム2の裏打ち部材として機能し、溶着時に受け部材の役目も果たす。
樹脂成型体36の封止壁37と側壁38の境界は、金属箔成型体32を絞り成型したときの稜線に該当し、丸みを帯びて金属箔成型体32に接着されている。
【0036】
封止部材3の射出成型に際しては、金属箔成型体32または未成型の金属箔積層体32d(図3(b)参照)を射出する樹脂に接着させて成型するインモールド成型法を用いることが好ましい。
インモールド成型法は、例えば、特開2004−174925号公報に記載されるように、対向して配置された金型の間に金属箔積層体32dを配置し、金型内に形成される成型空間の周囲に設けられた押圧部により金属箔積層体32dを摺動可能に支持しながら、成型空間内の金属箔積層体32dに溶融した樹脂を接着させ、樹脂成型体36を成型するものである。本発明においては、金属箔積層体32dが摺動不能であってもよい。
【0037】
インモールド成型法を用いる場合は、金型内で金属箔積層体32dに押圧力を加えて絞り成型と、樹脂成型体36の射出成型と、樹脂成型体36の金属箔積層体32dへの接着を一連の工程で行うことができる。そして、金属箔積層体32dは、型締め時の金型の接触および金型内に射出される樹脂の圧力の一方または両方によって、絞り成型される。
これにより、製造コストや生産性を著しく向上することができる。また、金属箔積層体32dの位置ズレを防止することができ、封止部材3の成型の精度や歩留まりを高くすることができる。
【0038】
封止部材3の電極部材34は、アルミ、銅、ニッケル等の金属からなる板状または棒状の部材である。電極部材34の断面形状は、円形、長円形、楕円形、角が丸められた矩形等が好ましい。
電極部材34は、蓄電装置用容器1内に収納される蓄電装置を外部に電気的に接続する部材である。従って、電極部材34は、一端が蓄電装置用容器1の外部に突出し、他端が蓄電装置用容器1の内部に到達するように、樹脂成型体36の封止壁37および封止壁37に接着された金属箔成型体32の貫通孔33を貫通している。
【0039】
電極部材34は、金属箔成型体32の金属箔との短絡を防止するために、少なくとも金属箔成型体32の金属箔32bと交差する中間部分に絶縁層35aで全周が覆われた絶縁部35(図3参照)を備えている。絶縁部35の絶縁層35aを形成する材料は、電気絶縁性であれば、エナメル、ガラスや木材等であってもよいが、熱可塑性樹脂であると、電極部材34に溶着させることができ、被覆作業が容易となるので好ましい。
電極部材34の絶縁部35は、金属箔成型体32の接着樹脂層32cに接着剤による接着や溶着等により固定しておくと、封止部材3の製造工程において、絶縁部35が金属箔積層体32dの金属箔32bと交差する部分から移動することがないので好ましい。
【0040】
電極部材34の絶縁部35は、金属箔成型体32の貫通孔33および樹脂成型体36の封止壁37に挿入されている。
電極部材34は、絶縁部35の絶縁層35aと樹脂成型体36を構成する樹脂とにより気密に封止され、かつ樹脂成型体36の封止壁37に固定されている。
電極部材34を樹脂成型体36に気密かつ強固に固定するために、樹脂成型体36の封止壁37を貫通して蓄電装置用容器1の内面に突出している部分の電極部材34の全周を、樹脂成型体36を構成する樹脂で被覆して気密固定部37a(図3(d)参照)とすることが好ましい。
気密固定部37aは、電極部材34に沿って封止壁37から樹脂壁37b(図3(d)参照)を突出させて形成することが好ましい。これにより、樹脂成型体36の封止壁37から突出する電極部材34を覆う気密固定部37aの長さを長くしても、封止壁37の肉厚を抑制することができる。また、樹脂壁37bにより、電極部材34が、収容される電解質と接触する部分を小さくすることができる。なお、気密固定部37aの先端は、収容される発電部材と接続するので、電極部材34を露出させることが好ましい。
【0041】
電極部材34の絶縁部35の絶縁層35aを熱可塑性樹脂で形成するに際し、予めフィルムに成形された絶縁フィルム(タブフィルム)を電極部材34に溶着すると、容易に絶縁性能が確実な絶縁層35aが得られる。絶縁フィルムは、1枚の絶縁フィルムを巻きつけて溶着してもよいが、2枚の絶縁フィルムの間に電極部材34を挟んで溶着することが好ましい。このとき、2枚の絶縁フィルムの一端側または中間における電極部材34の中間部の全周を溶着し、2枚の絶縁フィルムに未溶着部分を形成して自由に取扱い可能な自由端35bとして残しておくことが好ましい(図3(a)参照)。そして、この自由端35bを金属箔積層体32dの接着樹脂層32cに溶着して固定しておくことが好ましい(図3(c)参照)。
樹脂成型体36の成型にインモールド成型法を用いる場合は、電極部材34の絶縁部35を金属箔積層体32dの貫通孔33に挿入し、絶縁部35を覆う絶縁層35aと金属箔積層体32dの接着樹脂層32cとを固定してから、樹脂を射出して成型することが好ましい(図3(d)参照)。
【0042】
なお、本発明の封止部材は、電極部材を二本以上有していてもよい。この場合は、一の封止部材が正極用の電極部材と負極用の電極部材の両方を有していてもよい。電極部材を二本以上有する封止部材は、金属箔の積層体を深絞り成型した有底の筒状フィルムを用いる場合に好適である。
また、電極部材を有しない閉鎖部材5を筒状フィルム2の一端内面に溶着し、二本以上の電極部材34を有する封止部材3を筒状フィルム2の他端内面に溶着することもできる。この閉鎖部材5は、封止部材3と同様に、金属箔の積層体を有する。この金属箔の積層体は、内面に接着樹脂層を備えていなくてもよい。この金属箔の積層体も溶着層が外面となるように絞り成型されていることが好ましい。
また、閉鎖部材5は、貫通孔33、電極部材34や樹脂壁37bを有しないほかは封止部材3と同様に構成することもできる。この閉鎖部材5は、図6に示すように、封止部材3と同様な、絞り成型された金属箔成型体52と封止壁57と溶着面51を構成する環状の側壁58と、を備える樹脂成型体56と、を有する。
【0043】
封止部材3を筒状フィルム2に挿入し、蓄電装置用容器1を封止するに際しては、金属箔成型体32の金属箔32bと筒状フィルム2の金属箔とがオーバーラップする様に金属箔成型体32の溶着面31を筒状フィルム2の内面に溶着すると、バリア性が高まり好ましい。
しかし、金属箔成型体32を絞り成型するときに、金属箔32bに皺や破れが生じない正常な状態に絞り成型可能な深さには限度があり、溶着面31の幅が狭くなることがある。そのため、バリア性は確保できても、封止部材3の溶着面31と筒状フィルム2の内面との溶着強度が不足する場合がある。
【0044】
その様な場合は、封止部材3の金属箔成型体32の絞り成型を正常な状態で絞り成型可能な最大の深さとする。そして、正常に絞り成型された部分の接着樹脂層32cと樹脂成型体36の側壁38とを接着し、接着部の端縁を側壁38の外面内に終端させる。そして、この接着部端縁において側壁38に接着されない金属箔積層体32e(図3(d)参照)を切除して側壁38を構成する樹脂層の一部を露出させる。
この様にして、側壁38に接着された金属箔成型体32の溶着層32aとともに、側壁38を構成する樹脂層の一部を筒状フィルム2の内面と溶着することにより、溶着強度を確保することができる。
【0045】
そして、溶着強度を確保の点からは、側壁38の立ち上り幅Bおよび側壁38の露出した樹脂層38aの幅Aがともに一定の幅を有する平坦な環状に形成され、露出した樹脂層38aの幅Aの側壁38の立ち上り幅Bに対する比率(A/B)が50%以上であることが好ましい。ここで、側壁38の立ち上り幅Bとは、図3(d)に示すように、封止部材3が筒状フィルム2の内面と溶着される溶着面31の全幅をいう。(筒状フィルム2と溶着されない部分、すなわち、封止面30との間の屈曲部は含まない。)
また、図6に示す電極部材を有しない閉鎖部材5を用いる場合にも、樹脂成型体56の側壁58を構成する樹脂層の一部を、封止部材3の場合と同様に露出させて金属箔成型体52の溶着層とともに、筒状フィルム2の内面と溶着することが好ましい。
この場合も、側壁58および露出した樹脂層を封止部材3の場合と同様に形成し、露出した樹脂層の幅Aの側壁58の立ち上り幅Bに対する比率(A/B)を50%以上とすることが好ましい。
【0046】
蓄電装置用容器1においては、筒状フィルム2と封止部材3との接合部におけるバリア性は、筒状フィルム2の金属箔と金属箔成型体32の金属箔32bとがオーバーラップすることで確保される。従って、このオーバーラップは、ある程度の幅を有することが好ましい。オーバーラップの幅は、筒状フィルム2のシーラント層と金属箔成型体32の溶着層32aの合計厚さが厚い程広くする必要があり、合計厚さが薄くなるに従って、幅が狭くてもバリア性が確保される。
しかし、合計厚さが薄い場合であっても、オーバーラップの幅は、0.1mm以上であることが好ましい。その理由は、合計厚さが薄くても、金属箔成型体32と筒状フィルム2との接合部の端面から浸入した水蒸気や酸素ガス等の気体の回り込みによって、バリア性が低下するためである。
【0047】
封止部材3は、その周面の一部を溝状に凹ませて、凹み39が形成されている。凹み39は、筒状フィルム2の外側から溝状の凹み39に対応した凸条の溶着部材を当接し、凸条の溶着部材で凹み39に押圧力を加えて筒状フィルム2を凹み39に押し付け密着させて溶着するためのものである。
封止部材3を筒状フィルム2に挿入するに際し、筒状フィルム2の両端の封止部材3の封止面30同士を平行に向かい合わせ、凹み39同士を対向させて(位置を合わせて)挿入する。封止部材3の封止面30同士を平行に向かい合わせて挿入することで、封止部材3の溶着面31(金属箔成型体32の屈曲部)が必ずしも正確な垂直にならず、僅かに末広がりのテーパー状に絞り成形される場合に、筒状フィルム2に封止部材3を挿入しやすく、密着させやすい。場合によっては、封止部材3を挿入しつつ、筒状フィルム2を僅かに引き延ばして密着させることも可能である。
【0048】
封止部材3の凹み39は、封止部材3に少なくとも一つ設ければよいが、二つ対向させて設けると、筒状フィルム2の外側から溝状の凹み39に対応した凸条の溶着部材を当接し、筒状フィルム2を凹み39に押し込み溶着する際、二つの溶着部材で封止部材3を挟むように押圧することができるので好ましい。
凹み39の大きさは、平面視、封止部材3の凹み39がない場合(図4の状態)の筒状フィルム2の周長との差(筒状フィルム2の余裕)が凹み39に収まる筒状フィルム2の周長と同じか、やや小さいと溶着時に皺が入らないので好ましい。
【0049】
凹み39が設けられていると、封止部材3を筒状フィルム2の溶着個所に配置するに際し、筒状フィルム2の余裕により弛みを持たせることができるので挿入作業が容易となる。これにより、筒状フィルム2成形時の公差を大きくすることができる。
また、筒状フィルム2が伸びにくい金属箔を含んでいても、割れや破れを発生させることなく筒状フィルム2への封止部材3の溶着が容易となる。また、筒状フィルム2が金属蒸着層、金属酸化物などのセラミックを蒸着したセラミック蒸着層などのバリア層を含む場合は、筒状フィルム2の蒸着層にクラックが入ることがない。
【0050】
筒状フィルム2を凹み39の周面に溶着するタイミングは、溶着面31の全体のうちで最初に凹み39の周面を溶着することができる。この溶着部分は、筒状フィルム2に対する封止部材3の位置決めとしても機能する。また、引き延ばされた筒状フィルム2の縮もうとする力で筒状フィルム2が凹み39以外の封止部材3の溶着面31(以下、「主溶着面31」ということがある。)に密着するので、気密に溶着することが容易となる。
最初に筒状フィルム2を凹み39の周面に溶着すると、主溶着面31と筒状フィルム2とが未溶着の状態で凹み39の周面に筒状フィルム2を押し付けるため、筒状フィルム2の溶着部における全周を引き延ばすことになる。従って、筒状フィルム2に発生するひずみが相対的に小さくなるので、金属箔を有する筒状フィルム2を伸ばすと金属箔にひびや裂けが入る恐れがある場合であっても容易に溶着することができる。
【0051】
また、封止部材3の凹み39以外の溶着面31の主溶着面31を先に筒状フィルム2と溶着してから凹み39を筒状フィルム2に溶着することもできる。この場合、筒状フィルム2に発生するひずみを凹み39で吸収する割合が大きくなるので、筒状フィルム2の金属箔がアルミ合金箔である場合など伸びやすい場合に好適である。
筒状フィルム2が伸びにくい場合は、凹み39で吸収する筒状フィルム2の弛みを大きくしたり、筒状フィルム2と封止部材3の主溶着面31との隙間(筒状フィルム2の余裕)の公差を小さくしたりする必要がある。
凹み39を後から溶着する場合、一端に封止部材4が溶着された筒状フィルム2に、蓄電用部材を収納し、他端に封止部材3の凹み39の少なくとも一部を残して封止部材3の主溶着面31を先に筒状フィルム2と溶着すると、未溶着の封止部材3の凹み39から電解液を充填して、その後に封止部材3の凹み39を筒状フィルム2と溶着し、密封することで、蓄電装置が密封された蓄電装置用容器を構成することができる。
【0052】
また、最初に封止部材3の主溶着面31の一部と筒状フィルム2とを溶着して位置決めし、次に凹み39の一部、好ましくは凹み39の中央付近と筒状フィルム2とを溶着して、最後に残余の未溶着部を溶着することもできる。この場合、封止部材3の主溶着面31と凹み39の境目の筒状フィルム2との溶着を確実なものとすることができる。この場合も、引き延ばされた筒状フィルム2の縮もうとする力で筒状フィルム2が凹み39以外の封止部材3の未溶着の主溶着面31に密着するので、気密に溶着することが容易となる。そして、最初に溶着する封止部材3の主溶着面31の一部と筒状フィルム2との長さによって、筒状フィルム2に発生するひずみの大きさを調整することができる。
【0053】
筒状フィルム2が封止部材3の凹み39を溶着する際に封止部材3の主溶着面31の周面に沿って変位可能となるためには、主溶着面31の一部を先に筒状フィルム2と溶着した場合、その溶着部と凹み39との間の未溶着部が主溶着面31の周面に沿ってある程度の長さをもつことが好ましい。このため、最初に位置決めで設ける溶着部としては、主溶着面31の周面に沿って凹み39から最も離れた位置が例示できる。例えば、封止部材3に180°離して2つの凹み39,39を設けた場合は、凹み39から90°離れた位置を位置決め溶着し、封止部材の凹み39を1つ設けた場合は、凹み39から180°離れた位置を位置決め溶着することが挙げられる。位置決め溶着をした後で凹み39を溶着する際に、位置決め溶着部と凹み39との間の未溶着部をなるべく均等に配分することで、未溶着の筒状フィルム2を主溶着面31に密着させるときのひずみの偏りを抑制することができる。
【0054】
筒状フィルム2を外側から凹み39に押し付けたときに、引き延ばされた筒状フィルム2の縮もうとする力、即ち、弾性変形における弾性で筒状フィルム2が封止部材3の凹み39以外の主溶着面31に密着する。
この弾性による密着を発現するためには、筒状フィルム2が凹み39で筒状フィルム2が引き延ばされるときの伸び(ひずみ)は、筒状フィルム2が上降伏応力の荷重を受けたときのひずみより小さいことが好ましい。筒状フィルム2が上降伏応力を示さない場合は、凹み39で筒状フィルム2が引き延ばされるときの伸びが、除荷時の永久ひずみが0.2%になる応力(0.2%耐力)の荷重を受けたときのひずみより小さいことが好ましい。これにより、降伏点に到達しない弾性変形可能な範囲で筒状フィルム2にひずみを加えることができ、筒状フィルム2の急激な塑性変形を抑制することができる。
以上の封止部材3に関する説明は、封止部材4に関しても同様であり、対応する部分の符号を図3において併記した。
【0055】
本発明の蓄電装置用容器1は、図2に示すような凹み39,49を有する封止部材3,4を筒状フィルム2の両端に溶着し、各凹み39,49の上の筒状フィルム2に凹部21を形成する。そして、図1に示すように、封止部材3,4が存在しない筒状フィルム2の中間部にも凹部21を形成して、筒状フィルム2の凹部21を一端から他端まで連続する溝状に形成することが好ましい。この様に構成することで、蓄電装置用容器1の自立性が向上し、蓄電装置用容器1の剛性も高くなる。また、封止部材3,4近傍の筒状フィルム2に折れ皺が入らないので、外観も良好となる。また、蓄電装置用容器1を用いた蓄電装置の内圧が上昇したときの緩衝空間にもなる。
【0056】
なお、正極用の電極部材と負極用の電極部材の両方を有している封止部材を一端に用いる場合は、図6に示すように、封止部材3と同様に溝状の凹み59を筒状フィルム2との溶着面51に有する上述した電極部材を有しない閉鎖部材5を用いることができる。閉鎖部材5は、平面視、封止部材3の凹み39と同じ凹み59を有する限り、その形状は任意であるが、封止部材3と同じ外周形状を有することが好ましい。
筒状フィルム2の両端に封止部材3と閉鎖部材5を溶着する場合も、封止部材3,4の場合と同様に、筒状フィルム2の中間部にも凹部21(図1参照)を形成して、筒状フィルム2の凹部21が一端から他端まで連続する溝状に形成された構成とすることができる。
【0057】
以上、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
例えば、封止部材は、凹みを有しない図4に示すような形状のものであってもよい。この封止部材を筒状フィルム2に挿入する場合は、溶着時の皺の発生防止および気密な封止の観点から、筒状フィルム2を引き延すことが好ましい。
これにより、図5に示す容器が得られる。
【0058】
また、封止部材3,4の溝状の凹み39,49は、主溶着面との稜線に丸みを持たせた平面視、半円形の形状としたが、凹み39,49に対応した凸条の溶着部材で筒状フィルム2を凹み39,49により押圧力を加えて密着させることができれば、U字状やV字状など任意の形状とすることができる。
また、筒状フィルム2の両端に封止部材3,4を溶着するに際し、いずれか一方、または、両方の封止部材3,4の封止壁37,47を外側に向けて溶着してもよい。
【実施例】
【0059】
以下、図1〜3を参照して、実施例に基づいて、本発明を詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0060】
<筒状フィルム2>
15μmの二軸延伸6ナイロンフィルムの一面に12μmのアルミ箔からなる金属箔と60μmの無延伸PPフィルムからなるシーラント層を、ウレタン系接着剤を用いてドライラミネートして金属箔の積層フィルムを得た。この積層フィルムを60mm×130mmの長方形に切り出した。長方形に切断した積層フィルムのシーラント層を内側にして短辺の両端縁10mm同士を重ねて溶着し、合掌シール部(図示せず。)を形成して筒状フィルム2を作製した。合掌シール部は、未溶着の筒状フィルム2に重なるように折癖を付けた。
【0061】
<封止部材3,4>
幅25mm、長さ25mm、厚さ0.2mmのアルミ箔からなる正極の電極部材34とニッケルをメッキした銅箔からなる負極の電極部材44の長さ方向中央を、両端に電極部材34,44が2.5mmずつ露出するように幅30mm、長さ15mm、厚さ0.05mmの2枚の無水マレイン酸グラフト変性PPフィルムからなる絶縁フィルムで挟んだ。重ねられた2枚の絶縁フィルムの長さ方向の一端を幅5mmでそれぞれ溶着した。他端を幅10mmの自由端35b,45bとして残し、絶縁層35a,45aで全周が覆われた絶縁部35,45を電極部材34,44の中間に形成した。
以降の工程は、封止部材3,4とも同じなので、以下、両者を代表して封止部材3について説明する。
【0062】
補強層となる15μmの二軸延伸6−ナイロンフィルムの一面に12μmのアルミ箔からなる金属箔32bを、アルミ箔およびナイロンフィルムの上に、それぞれ溶着層32aおよび接着樹脂層32cとなる60μmの無延伸PPフィルムを、それぞれウレタン系接着剤を用いてドライラミネートで積層してインサート成型に用いる金属箔積層体32dを得た。
得られた金属箔積層体32dを、幅30mm、長さ50mmの長方形に切り出し、中央に幅0.2mm、長さ25mmのスリットからなる貫通孔33を設けた。
電極部材34を金属箔積層体32dの接着樹脂層32c側から貫通孔33に挿入し、絶縁部35を貫通孔33に位置させた。2枚の絶縁フィルムの自由端35bを金属箔積層体32dの接着樹脂層32cに重なるように折り曲げた。この状態で、2枚の絶縁フィルムの自由端35bを金属箔積層体32dの接着樹脂層32cに溶着して、電極部材34の絶縁部35と金属箔積層体32dの接着樹脂層32cとを固定した。
【0063】
電極部材34が固定された金属箔積層体32dを縦型のインサート射出成型機の可動側型板(コアプレート)内に金属箔積層体32dの接着樹脂層32cが固定側型板(キャビティプレート)側となるように装着した。金型内で型締め時に接する可動側型板と固定側型板により金属箔積層体32dに押圧力を加えて、接着樹脂層32cが内面となる凹部を予備的に絞り成型した。金型内にPPを射出して、金属箔積層体32dの接着樹脂層32cに接着された樹脂成型体36を成型した。また、樹脂成型体36に接着された金属箔積層体32dが接着されていない金属箔積層体32dの自由端を除去したときに平滑面となるように、樹脂成型体36に食い込むように成型した。
成型された樹脂成型体36に接着された金属箔積層体32dは、射出された溶融樹脂の圧力と可動側型板により押圧されて予定の形状に絞り成型されていた。
【0064】
樹脂成型体36を成型するに際し、樹脂成型体36は、電極部材34や稜線の丸み等を無視して直方体として仮定したとき、いずれも縦14mm×横40mm×高さ7mmで、12mm×40mmの封止壁37および封止壁37に連続した環状の側壁38からなる開口を有する箱形とした。電極部材34を樹脂成型体36に強固かつ気密に固定するために、電極部材34を囲む高さ40mmの樹脂壁37bを樹脂成型体36内に設けた。封止壁37、側壁38および電極部材34を囲む樹脂壁37bの肉厚は、全て1mmとした。封止壁37および側壁38の外周の稜線を半径2mmに丸めて面取りした。
なお、樹脂成型体36を箱形にした理由は、射出する樹脂の削減と蓄電装置用容器1の内部空間の減少防止のためであるが、射出成型の金型作製を容易にするために、箱の内部を樹脂で埋めるようにしてもよい。
【0065】
樹脂成型体36を成型するに際し、接着樹脂層32cを樹脂成型体36の側壁38外面に金属箔積層体32dの高さが2mmとなるような幅で接着した。封止部材3の一対の溝状の凹み39,39となる樹脂成型体36の一対の凹部は、直径3mmの半円として対向する幅の短い側壁外面にそれぞれ設け、外周面の縁の稜線を半径2mmに丸めて面取りした。
樹脂成型体36を成形した後、金属箔積層体32dの接着樹脂層32cに接着されていない金属箔積層体32eの自由端を、樹脂成型体36と金属箔積層体32dの境界が平滑面となるように切除した。これにより、樹脂成型体36の側壁38を構成する樹脂層38aを幅5mmで露出させ、図2に示す封止部材3を作製した。これと同様の手順で封止部材4を作製した。電極部材34,44の金属材料以外の封止部材3,4の材料、形状、寸法等は全て同じにした。
【0066】
<封止部材3,4の配置>
得られた封止部材3,4の樹脂成型体36,46が外側となるように金属箔成型体32,42同士を対向させて、電極部材34,44に正極材料、負極材料、セパレータなどが扁平形に巻かれた発電要素を接続した。筒状フィルム2の一端から、発電要素が接続された封止部材3を挿入し、他端に表出させて筒状フィルム2の両端内面に封止部材3,4を配置した。封止部材3,4の配置に際し、筒状フィルム2の両外側から、封止部材3,4のそれぞれ一対の凹み39,49を固定部材で挟み、筒状フィルム2が溶着面31に張り付く様に押し込んで固定した。また、筒状フィルム2のシール部が封止部材3,4の凹み39,49以外の側壁外面の中央に位置する様に、かつ封止部材3,4の側壁38,48の外面の金属箔成型体32,42が幅1mmで筒状フィルム2の金属箔と重なる様に配置した。
【0067】
<封止部材3の溶着>
封止部材3の樹脂成型体36の両方の側壁38,38の内面にそれぞれ幅35mm、厚さ18mmのステンレス板を受け部材として挿入して当接させ、筒状フィルム2の外側から幅10mmの板状の一対の溶着部材で筒状フィルム2と封止部材3の平面視、長辺の平坦部の溶着面31,31を挟み、加熱加圧して筒状フィルム2と封止部材3の長辺の平坦部の溶着面31,31を溶着した。
筒状フィルム2の外側から封止部材3の両方の溝状の凹み39,39の溶着面31に対応した幅10mmの平面視、半円弧状の一対の溶着部材で筒状フィルム2と封止部材3の凹み39,39を挟み、溶着部材を凹み39,39に押し込んで、筒状フィルム2を引き伸ばしつつ凹み39,39に密着させ、加熱加圧して筒状フィルム2と封止部材3の凹み39,39の溶着面31,31を溶着した。
封止部材3の凹み39,39とその稜線の面取りおよび隅部(側壁38の短辺と長辺との間)の稜線の面取りに対応した平面視、数字の3に似た形状の幅10mmの凹凸状の一対の溶着部材で筒状フィルム2の外側から封止部材3の平面視、短辺の溶着面31,31を挟み、加熱加圧して筒状フィルム2と封止部材3の短辺の凹凸部の溶着面31,31を溶着した。
なお、筒状フィルム2と封止部材3の長辺や短辺の溶着は、順次形成した溶着部との間に隙間ができないことが重要である。従って、溶着済の個所を2度溶着してもよい。また、確実に溶着するために、溶着部材をさらに細かく分割して用いることもできる。
【0068】
<封止部材4の溶着>
封止部材3と同様にして、筒状フィルム2と封止部材4の両方の平面視、長辺の平坦部の溶着面31,31を溶着した。
封止部材4の一方の凹み49と筒状フィルム2との隙間にノズルを挿し込み、封止部材3で封止された筒状フィルム2に電解液を注入した。
封止部材3と同様にして、筒状フィルム2を封止部材4の凹み49,49に溶着した。この時点で、筒状フィルム2の中間部にも凹部21が形成されていた。しかし、筒状フィルム2の厚みや剛性によっては、中間部の凹部21の形成が不十分となることがある。その様な場合は、両端に凹部21が形成されているので、凸条の押圧部材で押圧することで中間部の凹部21を完成させることができる。押圧部材は加熱の機能が不要である。凸条の押圧部材で押圧するに際しては、筒状フィルム2の両端を含む、長さ方向の全体を一度に押圧することが好ましい。
【0069】
この様にして、筒状フィルム2の中間部にも凹部21を形成して、筒状フィルム2の凹部21が一端から他端まで連続する溝状に形成されて発電要素および電解液が収納された図4に示す蓄電装置用容器1を作製した。
筒状フィルム2と封止部材3,4の接合部の筒状フィルム2には、皺や金属箔の裂け等は見られなかった。
また、露出した樹脂成型体36,46の側壁38,48を構成する樹脂層38a,48aを筒状フィルム2の内面と溶着することにより、高い溶着強度を確保することができた。
【符号の説明】
【0070】
A…露出した樹脂層の幅、B…側壁の全幅(立ち上り幅)、1…蓄電装置用容器、2…筒状フィルム、3…第1の封止部材、4…第2の封止部材、5…閉鎖部材、21…筒状フィルムの凹部、30,40…封止部材の封止面、31,41…封止部材の溶着面、32,42,52…金属箔成型体、32a,42a…金属箔積層体の溶着層、32b,42b…金属箔、32c,42c…金属箔積層体の接着樹脂層、32d,42d…金属箔積層体、32e,42e…切除される金属箔積層体、33,43…金属箔積層体の貫通孔、34,44…電極部材、35,45…電極部材の絶縁部、35a,45a…絶縁層、35b,45b…自由端、36,46,56…樹脂成型体、37,47,57…樹脂成型体の封止壁、37a,47a…気密固定部、37b,47b…樹脂壁、38,48,58…樹脂成型体の側壁、38a,48a…露出した樹脂層、39,49…封止部材の凹み、51…閉鎖部材の溶着面、59…閉鎖部材の凹み。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面が溶着性の筒状フィルムの端部内面に溶着されて前記端部を封止する封止部材であって、
外面に前記筒状フィルムの端部内面に溶着される溶着層と、中間に金属箔と、内面に接着樹脂層と、外面の溶着層から内面の接着樹脂層まで貫通する貫通孔とを備える金属箔積層体からなり、接着樹脂層が内面となるように絞り成型された金属箔成型体と、
該金属箔成型体の接着樹脂層に接着され、前記筒状フィルムの端部封止の主面となる封止部材の封止面を構成する封止壁と、前記金属箔成型体の接着樹脂層に少なくともその一部が接着され、前記封止壁に連続して前記金属箔成型体を補強する環状の側壁と、を備える樹脂成型体と、
絶縁層で全周が覆われた絶縁部を中間に備える板状または棒状の電極部材と、
を有し、
前記電極部材の前記絶縁部が前記金属箔成型体の前記貫通孔に挿入され、前記樹脂成型体により気密に固定されたことを特徴とする封止部材。
【請求項2】
前記金属箔成型体の接着樹脂層と前記樹脂成型体の側壁との接着部の端縁が前記側壁外面内に終端し、前記側壁に接着されない前記金属箔積層体が除去されて前記側壁を構成する樹脂層の一部が露出した請求項1に記載の封止部材。
【請求項3】
前記側壁および露出した樹脂層がともに一定の幅を有する平坦な環状に形成され、露出した樹脂層の幅の前記側壁の全幅に対する比率が50%以上である請求項2に記載の封止部材。
【請求項4】
絶縁層が前記電極部材の全周に溶着された絶縁フィルムである請求項1ないし3のいずれかに記載の封止部材。
【請求項5】
前記封止部材の溶着面に溝状の凹みが設けられた請求項1ないし4のいずれかに記載の封止部材。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の封止部材の製造方法であって、前記電極部材の前記絶縁部を前記金属箔積層体の前記貫通孔に挿入し、前記絶縁部と前記金属箔積層体の接着樹脂層とを固定して前記樹脂成型体を射出成型することを特徴とする封止部材の製造方法。
【請求項7】
絶縁層となる2枚の絶縁フィルムの間に前記電極部材の中間部を挟んで2枚の絶縁フィルムの一端側または中間における前記電極部材の全周を溶着し、絶縁層で覆われた前記電極部材の前記絶縁部を前記金属箔積層体の前記貫通孔に挿入し、未溶着の2枚の絶縁フィルムの自由端を前記接着樹脂層に溶着により固定して前記樹脂成型体を射出成型する請求項6に記載の封止部材の製造方法。
【請求項8】
インサート成型装置の金型内に前記金属箔積層体を配置し、前記金型内で型締め時に接する前記金型および射出される溶融樹脂の一方または両方により前記金属箔積層体に押圧力を加えて前記金属箔成型体を絞り成型するとともに、前記溶融樹脂で前記樹脂成型体を射出成型する請求項6または7に記載の封止部材の製造方法。
【請求項9】
請求項1ないし5のいずれかに記載の封止部材の前記側壁を、金属箔の積層フィルムからなり、内面が溶着性の筒状フィルムの一端または両端の内面に挿入し溶着して前記筒状フィルムの端部を封止したことを特徴とする蓄電装置用容器。
【請求項10】
前記側壁に接着された前記金属箔成型体の溶着層と前記側壁の露出した樹脂層との両者を前記筒状フィルムの内面に溶着した請求項9に記載の蓄電装置用容器。
【請求項11】
前記封止部材の溶着面に溝状の凹みを設け、前記筒状フィルムの一部を前記凹みに溶着して前記筒状フィルムに凹部を形成した請求項9または10に記載の蓄電装置用容器。
【請求項12】
溝状の凹みを溶着面に有する前記封止部材、または、溝状の凹みを前記筒状フィルムとの溶着部に有する金属箔の積層体からなる閉鎖部材を一端内面に溶着した前記筒状フィルムの他端内面に、前記筒状フィルムの一端側と他端側とで互いの凹みを対向させて溝状の凹みを溶着面に有する前記封止部材を溶着して各溝状の凹みの上で前記筒状フィルムに凹部を形成し、さらに前記筒状フィルムの中間部にも凹部を形成して、前記筒状フィルムの凹部が一端から他端まで連続する溝状に形成された請求項9ないし11のいずれかに記載の蓄電装置用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−97890(P2013−97890A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237071(P2011−237071)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000224101)藤森工業株式会社 (292)
【Fターム(参考)】