説明

封着材料層付きガラス基板の製造方法

【課題】本発明の技術的課題は、低出力のレーザーでレーザー封着が可能な封着材料層付きガラス基板の製造方法を創案することにより、有機ELデバイス等の長期信頼性を高めることである。
【解決手段】本発明の封着材料層付きガラス基板の製造方法は、ガラス基板を用意する工程と、第一の封着材料ペーストを前記ガラス基板上に塗布した後、第一の封着材料膜を形成する工程と、第二の封着材料ペーストを前記第一の封着材料膜上に塗布した後、第二の封着材料膜を形成する工程と、得られた積層膜を焼成して、前記ガラス基板上に封着材料層を形成する工程とを有すると共に、前記第一の封着材料ペーストが第一のガラス粉末を含み、且つ前記第二の封着材料ペーストが第二のガラス粉末を含み、前記第二のガラス粉末の軟化点が、前記第一のガラス粉末の軟化点より低いことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封着材料層付きガラス基板の製造方法に関し、具体的にはレーザーによる封着処理(以下、レーザー封着)に用いる封着材料層付きガラス基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フラットディスプレイパネルとして、有機ELディスプレイが注目されている。有機ELディスプレイは、直流電圧で駆動できるため駆動回路を簡略化できると共に、液晶ディスプレイのように視野角依存性がなく、また自己発光のため明るく、更には応答速度が速い等の利点がある。現在、有機ELディスプレイは、主に携帯電話等の小型携帯機器に利用されているが、今後は超薄型テレビへの応用が期待されている。なお、有機ELディスプレイは、液晶ディスプレイと同様にして、薄膜トランジスタ(TFT)等のアクティブ素子を各画素に配置して、駆動させる方式が主流である。
【0003】
有機ELディスプレイは、2枚のガラス基板、金属等の陰電極、有機発光層、ITO等の陽電極、接着材料等で構成される。従来、接着材料として、低温硬化性を有するエポキシ樹脂、或いは紫外線硬化樹脂等の有機樹脂系接着材料が使用されてきた。しかし、有機樹脂系接着材料では、気体の侵入を完全に遮断できない。このため、有機樹脂系接着材料を用いると、有機ELディスプレイ内部の気密性を保持することができず、これに起因して、耐水性が低い有機発光層が劣化し易くなって、有機ELディスプレイの表示特性が経時的に劣化するという不具合が生じていた。また、有機樹脂系接着材料は、ガラス基板同士を低温で接着できる利点を有するものの、耐水性が低いため、有機ELディスプレイを長期に亘って使用した場合に、ディスプレイの信頼性が低下し易くなる。
【0004】
一方、ガラス粉末を含む封着材料は、有機樹脂系接着材料に比べて、耐水性に優れると共に、有機ELディスプレイ内部の気密性の確保に適している。
【0005】
しかし、ガラス粉末は、一般的に、軟化点が300℃以上であるため、有機ELディスプレイへの適用が困難であった。具体的に説明すると、上記の封着材料でガラス基板同士を封着する場合、電気炉に有機ELディスプレイ全体を投入して、ガラス粉末の軟化点以上の温度で焼成し、ガラス粉末を軟化流動させる必要があった。しかし、有機ELディスプレイに用いられるアクティブ素子は、120〜130℃程度の耐熱性しか有していないため、この方法でガラス基板同士を封着すると、アクティブ素子が熱により損傷して、有機ELディスプレイの表示特性が劣化してしまう。また、有機発光材料も耐熱性が乏しいため、この方法でガラス基板同士を封着すると、有機発光材料が熱により損傷して、有機ELディスプレイの表示特性が劣化してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6416375号明細書
【特許文献2】特開2006−315902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような事情に鑑み、近年、有機ELディスプレイを封着する方法として、レーザー封着が検討されている。レーザー封着によれば、封着すべき部分のみを局所加熱できるため、アクティブ素子等の熱劣化を防止した上で、ガラス基板同士を封着することができる。
【0008】
特許文献1、2には、フィールドエミッションディスプレイのガラス基板同士をレーザー封着することが記載されている。しかし、特許文献1、2には封着材料層(焼成膜)について具体的な記載がなく、どのような封着材料層がレーザー封着に好適であるのか不明であった。なお、レーザーの出力を上げると、封着材料層の構成を適正化しなくても、レーザー封着が可能になるが、この場合、アクティブ素子等が加熱されて、有機ELディスプレイの表示特性が劣化する虞がある。
【0009】
そこで、本発明は、低出力のレーザーでレーザー封着が可能な封着材料層付きガラス基板の製造方法を創案することにより、有機ELデバイス等の長期信頼性を高めることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、鋭意検討の結果、複数の封着材料ペーストから積層膜を作製した後、焼成して封着材料層を形成すると共に、この積層膜の最外層に含まれるガラス粉末の軟化点を低温化することにより、上記技術的課題を解決し得ることを見出し、本発明として、提案するものである。すなわち、本発明の封着材料層付きガラス基板の製造方法は、ガラス基板を用意する工程と、第一の封着材料ペーストを前記ガラス基板上に塗布した後、第一の封着材料膜を形成する工程と、第二の封着材料ペーストを前記第一の封着材料膜上に塗布した後、第二の封着材料膜を形成する工程と、得られた積層膜を焼成して、前記ガラス基板上に封着材料層を形成する工程とを有すると共に、前記第一の封着材料ペーストが第一のガラス粉末を含み、且つ前記第二の封着材料ペーストが第二のガラス粉末を含み、前記第二のガラス粉末の軟化点が、前記第一のガラス粉末の軟化点より低いことを特徴とする。ここで、「第二の封着材料膜」は、通常、単一の層を構成し、封着材料膜の最外層となる。但し、材料構成が同一であれば、複数の層であってもよい。なお、「第一の封着材料膜」は、第二の封着材料膜以外の封着材料膜を指し、通常、封着材料膜の最外層以外の層を指すが、単一の層に限定されるものではなく、複数の層である場合を含み、その場合、材料構成が異なっていてもよい。「第一の封着材料膜」と「第二の封着材料膜」は、ビークル中の溶剤を揮発させた乾燥膜のみならず、ビークル中の溶剤が残存するウェット膜を含む。「軟化点」とは、マクロ型示差熱分析(DTA)装置で測定した値を指し、DTAは室温から測定を開始し、昇温速度は10℃/分とする。例えば、SnO含有ガラス粉末を用いる場合、窒素雰囲気下で測定すればよく、Bi含有ガラス粉末を用いる場合、大気雰囲気下で測定すればよい。そして、マクロ型DTA装置で測定した軟化点は、図1に示す第四屈曲点の温度(Ts)を指す。なお、ガラス粉末として、種々のガラス粉末が使用可能であるが、後述の通り、SnO含有ガラス粉末又はBi含有ガラス粉末が好ましい。
【0011】
本発明者等は、封着材料層と被封着物(例えば、素子が形成されているガラス基板)の密着性を高めると、低出力のレーザーでレーザー封着し得ることに着目し、そのためには、封着材料層の表面平滑性を高めることが重要であることを見出した。
【0012】
そこで、本発明者等は、第二の封着材料膜中のガラス粉末の軟化点を第一の封着材料膜中のガラス粉末の軟化点より低温化すると、積層膜を焼成して、封着材料層を形成した場合に、封着材料層の表面平滑性が顕著に向上することを見出した。
【0013】
従って、本発明に係る封着材料層付きガラス基板は、低出力のレーザーでレーザー封着が可能である。また、有機ELデバイス内部の気密性を適正に確保できるため、有機発光層を劣化させるHOやO等が有機ELデバイス内部に侵入する事態を防止することができる。結果として、有機ELデバイスの長期信頼性を高めることができる。なお、本発明では、第二の封着材料膜により、封着材料層の表面平滑性が確保される。結果として、第一の封着材料膜中のガラス粉末に対して、過度の低融点化が不要になり、封着材料層全体として見た場合、封着材料層の熱的安定性を高めることができる。
【0014】
次に、図2を用いて、本発明の封着材料層付きガラス基板1の製造方法を説明する。図2は、本発明の封着材料層付きガラス基板1の製造方法の一例を説明するための断面概略図である。図2(a)は、第一の封着材料ペーストをガラス基板11上に塗布した後、第一の封着材料膜12を形成した状態を示す断面概略図である。ガラス基板11には、素子が形成されていない。また、ガラス基板11の外周縁に沿って、第一の封着材料ペーストが額縁状に塗布されている。図2(b)は、第二の封着材料ペーストを第一の封着材料膜12上に塗布した後、第二の封着材料膜13を形成した状態を示す断面概略図である。第一の封着材料膜12に沿って、第二の封着材料ペーストが額縁状に塗布されている。また、第一の封着材料ペーストと第二の封着材料ペーストの塗布幅は略同一となっている。そして、第二の封着材料膜13中のガラス粉末の軟化点は、第一の封着材料膜12中のガラス粉末の軟化点より低くなっている。図2(c)は、得られた積層膜を焼成して、ガラス基板11上に封着材料層14を形成した状態を示す断面概略図である。封着材料層14は、ガラス基板11に強固に接着されている。そして、封着材料層14の表面は、平滑になっている。図2(d)は、封着材料層付きガラス基板1に封着材料層が形成されていないガラス基板15を接触配置した後、レーザー封着して、電子デバイスを作製した状態を示す断面概略図である。ガラス基板11側から封着材料層14に沿って、レーザーが照射されている。そして、ガラス基板1とガラス基板15は、気密封着されている。なお、ガラス基板15には、素子が形成されている。
【0015】
第二に、本発明の封着材料層付きガラス基板の製造方法は、(前記第二のガラス粉末の密度−前記第一のガラス粉末の密度)の値が0.01〜0.50g/cmであることが好ましい。
【0016】
第三に、本発明の封着材料層付きガラス基板の製造方法は、(前記第二のガラス粉末の熱膨張係数−前記第一のガラス粉末の熱膨張係数)の値が0.5×10−7〜10×10−7/℃であることが好ましい。ここで、「熱膨張係数」は、押棒式熱膨張係数測定(TMA)装置により測定した値である。例えば、SnO含有ガラス粉末の場合、30〜250℃の温度範囲で測定すればよく、Bi含有ガラス粉末の場合、30〜300℃の温度範囲で測定すればよい。なお、測定試料として、例えば、焼結体を所定形状に加工したものを使用することができる。
【0017】
第四に、本発明の封着材料層付きガラス基板の製造方法は、前記第一のガラス粉末と前記第二のガラス粉末がSnO含有ガラス粉末であることが好ましい。このようにすれば、ガラス粉末の軟化点が低下するため、封着材料の軟化点も低下する。その結果、短時間でレーザー封着が完了すると共に、レーザー封着の際に封着強度を高めることができる。ここで、「SnO含有ガラス粉末」は、ガラス組成として、SnOを20モル%以上含むガラス粉末を指す。
【0018】
第五に、本発明の封着材料層付きガラス基板の製造方法は、前記SnO含有ガラス粉末が、下記酸化物換算のガラス組成として、モル%で、SnO 35〜70%、P 10〜30%を含有することが好ましい。このようにすれば、ガラスの低融点特性を維持した上で、ガラスの耐水性を高め易くなる。ここで、「下記酸化物換算」とは、例えば、酸化スズの場合、四価の酸化スズ(SnO)であっても、二価の酸化スズ(SnO)に換算して、「SnO」として表記することを意味する。同様にして、酸化鉄の場合、二価の酸化鉄(FeO)であっても、三価の酸化鉄(Fe)に換算して、「Fe」として表記することを意味する。
【0019】
第六に、本発明の封着材料層付きガラス基板の製造方法は、前記第一のガラス粉末と前記第二のガラス粉末がBi含有ガラス粉末であることが好ましい。このようにすれば、ガラス粉末の軟化点が低下し、封着材料の軟化点も低下する。その結果、短時間でレーザー封着が完了すると共に、レーザー封着の際に封着強度を高めることができる。ここで、「Bi含有ガラス粉末」は、ガラス組成として、Biを20モル%以上含むガラス粉末を指す。
【0020】
第七に、本発明の封着材料層付きガラス基板の製造方法は、前記Bi含有ガラス粉末が、下記酸化物換算のガラス組成として、モル%で、Bi 20〜60%、B 10〜35%、ZnO 5〜40%、CuO+Fe 5〜30%を含有することが好ましい。このようにすれば、ガラス粉末の軟化点が低下するため、封着材料の軟化点も低下する。そして、レーザー封着の際に、照射されたレーザー光のエネルギーを直接吸収して、効率良く熱に変換し得ると共に、封着材料とガラス基板の反応を促進することができる。その結果、短時間でレーザー封着が完了すると共に、レーザー封着の際に封着強度を高めることができる。
【0021】
第八に、本発明の封着材料層付きガラス基板の製造方法は、前記第一の封着材料ペーストと前記第二の封着材料ペーストが、更に耐火性フィラーを含むことが好ましい。このようにすれば、封着材料層の機械的強度が向上し易くなると共に、封着材料層の熱膨張係数が低下し易くなる。
【0022】
第九に、本発明の封着材料層付きガラス基板の製造方法は、前記第一の封着材料ペーストと前記第二の封着材料ペーストが、更に顔料を含むことが好ましい。このようにすれば、封着材料層がレーザー光を吸収し易くなる。
【0023】
第十に、本発明の封着材料層付きガラス基板の製造方法は、前記顔料がカーボンであることが好ましい。カーボンは、発色性に優れており、レーザー光の吸収性が良好である。また、カーボンは、レーザー封着の際に、SnO含有ガラス粉末が変質する事態を防止する効果、つまりレーザー封着の際にガラス組成中のSnOがSnOに酸化する事態を防止する効果も有する。なお、カーボンとして、種々の材料が使用可能であり、特に非晶質カーボン又はグラファイトが好適である。
【0024】
第十一に、本発明の封着材料層付きガラス基板の製造方法は、前記封着材料層の表面粗さRaが0.6μm以下であることが好ましい。ここで、「表面粗さRa」は、JIS B0601:2001に準拠した方法で測定した値を指す。
【0025】
第十二に、本発明の封着材料層付きガラス基板の製造方法は、前記封着材料層の表面粗さRMSが1.0μm以下であることが好ましい。ここで、「表面粗さRMS」は、JIS B0601:2001に準拠した方法で測定した値を指す。
【0026】
第十三に、本発明の電子デバイスの製造方法は、封着材料層付きガラス基板と、封着材料層が形成されていないガラス基板とを封着して、電子デバイスを製造する方法において、前記封着材料層付きガラス基板を上記の方法により製造すると共に、前記封着材料層にレーザー光を照射して、前記封着材料層付きガラス基板と、前記封着材料層が形成されていないガラス基板とを封着することを特徴とする。なお、上記の通り、レーザー封着によれば、封着すべき部分のみを局所加熱できるため、アクティブ素子等の熱劣化を防止した上で、ガラス基板同士を封着することができる。
【0027】
レーザー封着には、種々のレーザーを使用することができる。特に、半導体レーザー、YAGレーザー、COレーザー、エキシマレーザー、赤外レーザー等は、取扱いが容易な点で好ましい。
【0028】
第十四に、本発明の電子デバイスの製造方法は、前記電子デバイスが有機ELデバイスであることが好ましい。ここで、「有機ELデバイス」には、有機ELディスプレイ、有機EL照明等が含まれる。
【0029】
第十五に、本発明の封着材料層付きガラス基板は、上記の封着材料層付きガラス基板の製造方法により作製されたことを特徴とする。
【0030】
第十六に、本発明の封着材料層付きガラス基板は、封着材料ペーストをガラス基板に塗布した後に焼成してなる封着材料層付きガラス基板において、前記封着材料層中の被封着物との接触領域が、前記封着材料層中の前記ガラス基板との接触領域より軟化し易いことを特徴とする。
【0031】
第十七に、本発明の封着材料は、少なくともガラス粉末を含む封着材料であって、ガラス粉末の軟化点が400℃以下であり、封着材料層の形成に用いることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】マクロ型DTA装置で測定したときの軟化点Tsを示す模式図である。
【図2】本発明の封着材料層付きガラス基板1の製造方法の一例を説明するための断面概略図である。(a)第一の封着材料ペーストをガラス基板11上に塗布した後、第一の封着材料膜12を形成した状態を示す断面概略図である。(b)第二の封着材料ペーストを第一の封着材料膜12上に塗布した後、第二の封着材料膜13を形成した状態を示す断面概略図である。(c)得られた積層膜を焼成して、ガラス基板11上に封着材料層14を形成した状態を示す断面概略図である。(d)得られた封着材料層付きガラス基板1にガラス基板15を接触配置した後、レーザー封着して、電子デバイスを作製した状態を示す断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の封着材料層付きガラス基板の製造方法において、第一の封着材料ペーストは、第一のガラス粉末を含み、必要に応じて、ビークル、耐火性フィラー、顔料を含む。また、第二の封着材料ペーストは、第二のガラス粉末を含み、必要に応じて、ビークル、耐火性フィラー、顔料を含む。これらの成分の好適な構成は下記の通りである。なお、ビークルは、通常、樹脂バインダーと溶剤を含む。
【0034】
本発明の封着材料層付きガラス基板の製造方法において、第二のガラス粉末の軟化点は、第一のガラス粉末の軟化点より低いことを特徴とし、第二のガラス粉末の軟化点は、第一のガラス粉末の軟化点より5〜50℃低いことが好ましく、第二のガラス粉末の軟化点は、第一のガラス粉末の軟化点より10〜30℃低いことがより好ましい。第二のガラス粉末の軟化点が、第一のガラス粉末の軟化点と同等、又は高いと、封着材料層の表面平滑性が損なわれて、封着材料層と被封着物を均一に密着させることが困難になり、レーザー封着性が低下し易くなる。なお、第二のガラス粉末の軟化点が、第一のガラス粉末の軟化点に比べて低過ぎると、第一の封着材料ペーストと第二の封着材料ペーストの挙動が相違して、逆に封着材料層の表面平滑性が低下する虞がある。
【0035】
本発明の封着材料層付きガラス基板の製造方法において、第二のガラス粉末の軟化点は440℃以下、425℃以下、410℃以下、400℃以下、390℃以下、特に350〜380℃が好ましい。このようにすれば、封着材料層の表面平滑性が向上し易くなる。なお、第二のガラス粉末の軟化点が低過ぎると、焼成時にガラスが失透し易くなり、この場合、逆に封着材料層の表面平滑性が低下する虞がある。また、第一のガラス粉末の軟化点は450℃以下、435℃以下、410℃以下、400℃以下、特に360〜390℃が好ましい。このようにすれば、レーザー封着性を高め易くなる。なお、第一のガラス粉末の軟化点が低過ぎると、焼成時にガラスが失透し易くなり、レーザー封着の際に、封着材料層が軟化流動し難くなる。
【0036】
本発明の封着材料層付きガラス基板の製造方法において、(第二のガラス粉末の密度−第一のガラス粉末の密度)の値が0.01〜0.50g/cm、特に0.05〜0.40g/cmが好ましい。このようにすれば、第一の封着材料膜と第二の封着材料膜の親和性が高くなるため、封着材料層の機械的強度が向上し易くなる。
【0037】
本発明の封着材料層付きガラス基板の製造方法において、(第二のガラス粉末の熱膨張係数−第一のガラス粉末の熱膨張係数)の値が0.5×10−7〜10×10−7/℃、特に1×10−7〜7×10−7/℃であることが好ましい。このようにすれば、第二のガラス粉末の軟化点を低下させた上で、封着材料層に不当な応力が残存する事態を防止し易くなる。
【0038】
本発明に係る封着材料ペースト(第一の封着材料ペーストと第二の封着材料ペースト)において、ガラス粉末の平均粒径D50は0.5〜3.0μm、特に1.0〜2.5μmが好ましい。ガラス粉末の平均粒径D50が小さ過ぎると、焼成時にガラスが失透し易くなり、封着材料の軟化流動が阻害される虞がある。また粉砕、分級の際に、ガラス粉末が凝集し易くなり、封着材料ペーストの混練後に凝集物として残存し、スクリーン印刷の際にスクリーンメッシュの目詰まり原因になる虞がある。一方、ガラス粉末の平均粒径D50が大き過ぎると、スクリーン印刷の際に封着材料膜(ウェット膜)の凹凸が大きくなり過ぎて、封着材料層の表面平滑性が低下し易くなると共に、焼成時に封着材料が軟化流動し難くなるため、焼成温度を上昇させる必要があり、この場合、被封着物の熱的損傷が大きくなり易く、コスト高の一因になり得る。「平均粒径D50」は、レーザー回折法で測定した値を指し、レーザー回折法により測定した際の体積基準の累積粒度分布曲線において、その積算量が粒子の小さい方から累積して50%である粒径を表す。
【0039】
本発明に係る封着材料ペースト(第一の封着材料ペーストと第二の封着材料ペースト)において、ガラス粉末の90%粒径D90は7.0μm以下、特に5.0μm以下が好ましい。このようにすれば、両ガラス基板間のギャップを狭小化し易くなり、この場合、レーザー封着に要する時間が短縮されると共に、ガラス基板と封着材料の熱膨張係数に差があっても、ガラス基板や封着部分にクラック等が発生し難くなる。ここで、「90%粒径D90」は、レーザー回折法で測定した値を指し、レーザー回折法により測定した際の体積基準の累積粒度分布曲線において、その積算量が粒子の小さい方から累積して90%である粒径を表す。
【0040】
本発明に係る封着材料ペースト(第一の封着材料ペーストと第二の封着材料ペースト)において、ガラス粉末の最大粒径D99は15μm以下、特に10μm以下が好ましい。このようにすれば、両ガラス基板間のギャップを狭小化し易くなり、この場合、レーザー封着に要する時間が短縮されると共に、ガラス基板と封着材料の熱膨張係数に差があっても、ガラス基板や封着部分にクラック等が発生し難くなる。ここで、「最大粒径D99」は、レーザー回折法で測定した値を指し、レーザー回折法により測定した際の体積基準の累積粒度分布曲線において、その積算量が粒子の小さい方から累積して99%である粒径を表す。
【0041】
本発明に係るガラス粉末(第一のガラス粉末と第二のガラス粉末)は、SnO含有ガラス粉末が好ましく、SnO含有ガラス粉末は、ガラス組成として、下記酸化物換算のモル表示%で、SnO 35〜70%、P 10〜30%を含有することが好ましい。上記のようにガラス組成範囲を限定した理由を以下に示す。なお、ガラス組成範囲の説明において、%表示は、特に断りがある場合を除き、モル%を指す。
【0042】
SnOは、ガラスを低融点化する成分である。その含有量は35〜70%、40〜70%、特に50〜68%が好ましい。なお、SnOの含有量が50%以上であれば、レーザー封着の際に、ガラスが軟化流動し易くなる。SnOの含有量が35%より少ないと、ガラスの粘性が高くなり過ぎて、所望のレーザー出力でレーザー封着し難くなる。一方、SnOの含有量が70%より多いと、ガラス化が困難になる。
【0043】
は、ガラス形成酸化物であり、熱安定性を高める成分である。その含有量は10〜30%、15〜27%、特に15〜25%が好ましい。Pの含有量が10%より少ないと、熱的安定性が低下し易くなる。一方、Pの含有量が30%より多いと、耐候性が低下し、有機ELデバイス等の長期信頼性を確保し難くなる。
【0044】
上記成分以外にも以下の成分を添加することができる。
【0045】
ZnOは、中間酸化物であり、ガラスを安定化させる成分である。その含有量は0〜30%、1〜20%、特に1〜15%が好ましい。ZnOの含有量が30%より多いと、熱的安定性が低下し易くなる。
【0046】
は、ガラス形成酸化物であり、ガラスを安定化させる成分である。また、Bは、耐候性を高める成分である。その含有量は0〜25%、1〜20%、特に2〜15%が好ましい。Bの含有量が20%より多いと、ガラスの粘性が高くなり過ぎて、所望のレーザー出力でレーザー封着し難くなる。
【0047】
Alは、中間酸化物であり、ガラスを安定化させる成分である。また、Alは、熱膨張係数を低下させる成分である。その含有量は0〜10%、0.1〜10%、特に0.5〜5%が好ましい。Alの含有量が10%より多いと、ガラス粉末の軟化点が不当に上昇して、所望のレーザー出力でレーザー封着し難くなる。
【0048】
SiOは、ガラス形成酸化物であり、ガラスを安定化させる成分である。その含有量は0〜15%、特に0〜5%が好ましい。SiOの含有量が15%より多いと、ガラス粉末の軟化点が不当に上昇して、所望のレーザー出力でレーザー封着し難くなる。
【0049】
Inは、熱的安定性を高める成分であり、その含有量は0〜5%が好ましい。Inの含有量が5%より多いと、バッチコストが高騰する。
【0050】
Taは、熱的安定性を高める成分であり、その含有量は0〜5%が好ましい。Taの含有量が5%より多いと、ガラス粉末の軟化点が不当に上昇して、所望のレーザー出力でレーザー封着し難くなる。
【0051】
Laは、熱的安定性を高める成分であり、また耐候性を高める成分である。その含有量は0〜15%、0〜10%、特に0〜5%が好ましい。Laの含有量が15%より多いと、バッチコストが高騰する。
【0052】
MoOは、熱的安定性を高める成分であり、その含有量は0〜5%が好ましい。MoOの含有量が5%より多いと、ガラス粉末の軟化点が不当に上昇して、所望のレーザー出力でレーザー封着し難くなる。
【0053】
WOは、熱的安定性を高める成分であり、その含有量は0〜5%が好ましい。WOの含有量が5%より多いと、ガラス粉末の軟化点が不当に上昇して、所望のレーザー出力でレーザー封着し難くなる。
【0054】
LiOは、ガラスを低融点化する成分であり、その含有量は0〜5%が好ましい。LiOの含有量が5%より多いと、熱的安定性が低下し易くなる。
【0055】
NaOは、ガラスを低融点化する成分であり、その含有量は0〜10%、特に0〜5%が好ましい。NaOの含有量が10%より多いと、熱的安定性が低下し易くなる。
【0056】
Oは、ガラスを低融点化する成分であり、その含有量は0〜5%が好ましい。KOの含有量が5%より多いと、熱的安定性が低下し易くなる。
【0057】
MgOは、熱的安定性を高める成分であり、その含有量は0〜15%が好ましい。MgOの含有量が15%より多いと、ガラス粉末の軟化点が不当に上昇して、所望のレーザー出力でレーザー封着し難くなる。
【0058】
BaOは、熱的安定性を高める成分であり、その含有量は0〜10%が好ましい。BaOの含有量が10%より多いと、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆にガラスが失透し易くなる。
【0059】
は、ガラスを低融点化する成分であり、その含有量は0〜5%が好ましい。Fの含有量が5%より多いと、熱的安定性が低下し易くなる。
【0060】
熱的安定性と低融点特性を考慮すれば、In、Ta、La、MoO、WO、LiO、NaO、KO、MgO、BaO、Fの合量は10%以下、特に5%以下が好ましい。
【0061】
上記成分以外にも他の成分(CaO、SrO等)を例えば10%まで添加することができる。
【0062】
SnO含有ガラス粉末の場合、ガラス組成中に実質的に遷移金属酸化物を含まないことが好ましい。このようにすれば、熱的安定性を高め易くなる。ここで、「実質的に遷移金属酸化物を含有しない」とは、ガラス組成中の遷移金属酸化物の含有量が3000ppm(質量)未満、好ましくは1000ppm(質量)未満の場合を指す。
【0063】
本発明に係るガラス粉末(第一のガラス粉末と第二のガラス粉末)は、Bi−B系ガラス粉末も好ましく、Bi−B系ガラス粉末は、ガラス組成として、下記酸化物換算のモル表示%で、Bi 20〜60%、B 10〜35%、ZnO 5〜40%、CuO+Fe 5〜30%を含有することが好ましい。上記のようにガラス組成範囲を限定した理由を以下に示す。なお、以下のガラス組成範囲の説明において、%表示は、特に断りがある場合を除き、モル%を指す。
【0064】
Biは、軟化点を下げるための主要成分であり、その含有量は20〜60%、好ましくは25〜55%、より好ましくは30〜55%である。Biの含有量が20%より少ないと、軟化点が高くなり過ぎて、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。一方、Biの含有量が60%より多いと、ガラスが熱的に不安定になり、溶融時又はレーザー封着時にガラスが失透し易くなる。
【0065】
は、ビスマス系ガラスのガラスネットワークを形成する成分であり、その含有量は10〜35%、好ましくは15〜30%、より好ましくは15〜28%である。Bの含有量が10%より少ないと、ガラスが熱的に不安定になり、溶融時又はレーザー封着時にガラスが失透し易くなる。一方、Bの含有量が35%より多いと、軟化点が高くなり過ぎて、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。
【0066】
ZnOは、溶融時又はレーザー封着時の失透を抑制すると共に、熱膨張係数を低下させる成分であり、その含有量は5〜40%、好ましくは5〜35%、より好ましくは5〜33%である。ZnOの含有量が5%より少ないと、上記効果を得難くなる。一方、ZnOの含有量が40%より多いと、ガラス組成内の成分バランスが損なわれて、逆にガラスが失透し易くなる。
【0067】
CuO+Feは、光吸収特性を有する成分であり、所定の発光中心波長を有するレーザー光を照射すると、レーザー光を吸収して、ガラスを軟化させ易くする成分である。また、CuO+Feは、溶融時又はレーザー封着時の失透を抑制する成分である。CuO+Feの含有量は5〜30%、好ましくは7〜25%、より好ましくは10〜20%である。CuO+Feの含有量が5%より少ないと、光吸収特性が乏しくなり、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。一方、CuO+Feの含有量が30%より多いと、ガラス組成内の成分バランスが損なわれて、逆にガラスが失透し易くなる。
【0068】
CuOは、光吸収特性を有する成分であり、所定の発光中心波長を有するレーザー光を照射すると、レーザー光を吸収して、ガラスを軟化させ易くする成分であると共に、溶融時又はレーザー封着時の失透を抑制する成分である。CuOの含有量は、好ましくは0〜25%、5〜25%、10〜25%、特に10〜20%である。CuOの含有量が25%より多いと、ガラス組成内の成分バランスが損なわれて、逆にガラスが失透し易くなる。なお、CuOの含有量を5%以上に規制すれば、光吸収特性が向上して、レーザー封着時にガラスが軟化し易くなる。
【0069】
Feは、光吸収特性を有する成分であり、所定の発光中心波長を有するレーザー光を照射すると、レーザー光を吸収して、ガラスを軟化させ易くする成分であると共に、溶融時又はレーザー封着時の失透を抑制する成分である。Feの含有量は、好ましくは0〜10%、0.1〜10%、0.2〜10%、特に0.5〜10%である。Feの含有量が10%より多いと、ガラス組成内の成分バランスが損なわれて、逆にガラスが失透し易くなる。なお、Feの含有量を0.1%以上に規制すれば、光吸収特性が向上して、レーザー封着時にガラスが軟化し易くなる。
【0070】
ガラス中に含まれるFeイオンは、Fe2+又はFe3+の状態で存在する。本発明において、ガラス中のFeイオンは、Fe2+又はFe3+の何れかに限定されるものではなく、何れであっても構わない。よって、本発明では、Fe2+の場合でも、Feに換算した上で取り扱うこととする。特に、照射光として赤外レーザーを使用する場合、Fe2+が赤外域に吸収ピークを有するため、Fe2+の割合は大きい方が好ましく、例えば、ガラス中のFe2+/Fe3+の割合を0.03以上(望ましくは0.08以上)に規制することが好ましい。
【0071】
上記成分以外にも、例えば、以下の成分を添加してもよい。
【0072】
SiOは、耐水性を高める成分である。SiOの含有量は、好ましくは0〜10%、特に0〜3%である。SiOの含有量が10%より多いと、軟化点が高くなり過ぎて、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。
【0073】
Alは、耐水性を高める成分である。Alの含有量は、好ましくは0〜5%、特に0〜2%である。Alの含有量が5%より多いと、軟化点が高くなり過ぎて、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。
【0074】
MgO+CaO+SrO+BaO(MgO、CaO、SrO及びBaOの合量)は、溶融時又はレーザー封着時の失透を抑制する成分であり、MgO+CaO+SrO+BaOの含有量は、好ましくは0〜20%、特に0〜15%である。MgO+CaO+SrO+BaOの含有量が20%より多いと、軟化点が高くなり過ぎて、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。
【0075】
MgO、CaO及びSrOは、溶融時又はレーザー封着時の失透を抑制する成分である。各成分の含有量は、好ましくは0〜5%、特に0〜2%である。各成分の含有量が5%より多いと、軟化点が高くなり過ぎて、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。
【0076】
BaOは、溶融時又はレーザー封着時の失透を抑制する成分である。BaOの含有量は、好ましくは0〜15%、特に0〜10%である。BaOの含有量が15%より多いと、軟化点が高くなり過ぎて、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。
【0077】
CeO及びSbは、溶融時又はレーザー封着時の失透を抑制する成分である。各成分の含有量は、好ましくは0〜5%、0〜2%、特に0〜1%である。各成分の含有量が5%より多いと、ガラス組成内の成分バランスが損なわれて、逆にガラスが失透し易くなる。なお、熱的安定性を高める観点から、Sbの微量添加が好ましく、具体的にはSbを0.05%以上添加することが好ましい。
【0078】
WOは、溶融時又はレーザー封着時の失透を抑制する成分である。WOの含有量は、好ましくは0〜10%、特に0〜2%である。WOの含有量が10%より多いと、ガラス組成内の成分バランスが損なわれて、逆にガラスが失透し易くなる。
【0079】
In+Ga(InとGaの合量)は、溶融時又はレーザー封着時の失透を抑制する成分である。In+Gaの含有量は、好ましくは0〜5%、特に0〜3%である。In+Gaの含有量が5%より多いと、バッチコストが高騰する。なお、Inの含有量は0〜1%がより好ましく、Gaの含有量は0〜0.5%がより好ましい。
【0080】
Li、Na、K及びCsの酸化物は、軟化点を低下させる成分であるが、溶融時に失透を助長する作用を有するため、合量で1%未満に規制することが好ましい。
【0081】
は、溶融時の失透を抑制する成分である。しかし、Pの含有量が1%より多いと、溶融時にガラスが分相し易くなる。
【0082】
La、Y及びGdは、溶融時の分相を抑制する成分であるが、これらの合量が3%より多いと、軟化点が高くなり過ぎて、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。
【0083】
NiO、V、CoO、MoO、TiO及びMnOは、光吸収特性を有する成分であり、所定の発光中心波長を有するレーザー光を照射すると、レーザー光を吸収して、ガラスを軟化させ易くする成分である。各成分の含有量は、好ましくは0〜7%、特に0〜3%である。各成分の含有量が7%より多いと、レーザー封着時にガラスが失透し易くなる。
【0084】
PbOは、軟化点を低下させる成分であるが、環境的影響が懸念される成分である。よって、PbOの含有量は、好ましくは0.1%未満である。
【0085】
上記以外の成分であっても、ガラス特性を損なわない範囲で、例えば5%まで添加してもよい。
【0086】
本発明に係るガラス粉末(第一のガラス粉末と第二のガラス粉末)は、環境的観点から、ガラス組成中に実質的にPbOを含有しないことが好ましい。ここで、「実質的にPbOを含有しない」とは、ガラス組成中のPbOの含有量が1000ppm(質量)未満の場合を指す。
【0087】
本発明に係る封着材料ペースト(第一の封着材料ペーストと第二の封着材料ペースト)は、更に耐火性フィラーを含むことが好ましい。このようにすれば、封着材料層の機械的強度が向上し易くなると共に、封着材料層の熱膨張係数が低下し易くなる。
【0088】
耐火性フィラーの平均粒径D50は0.5〜2.0μm、特に0.5〜1.8μmが好ましい。耐火性フィラーの平均粒径D50が小さ過ぎると、焼成時に耐火性フィラーがガラス中に溶け込み易くなり、封着材料の軟化流動が阻害される虞がある。また粉砕、分級の際に、耐火性フィラーが凝集し易くなり、封着材料ペーストの混練後に凝集物として残存し、スクリーン印刷の際に、スクリーンメッシュの目詰まり原因になる虞がある。一方、耐火性フィラーの平均粒径D50が大き過ぎると、スクリーン印刷の際に積層膜(特に、第二の封着材料膜)の凹凸が大きくなり過ぎて、封着材料層の表面平滑性が低下し易くなる。
【0089】
耐火性フィラーとして、ジルコン、ジルコニア、酸化錫、石英、β−スポジュメン、コーディエライト、ムライト、石英ガラス、β−ユークリプタイト、β−石英、リン酸ジルコニウム、リン酸タングステン酸ジルコニウム、タングステン酸ジルコニウム、NbZr(PO等の[AB(MO]の基本構造をもつ化合物、
A:Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cu、Ni、Mn等
B:Zr、Ti、Sn、Nb、Al、Sc、Y等
M:P、Si、W、Mo等
若しくはこれらの固溶体が使用可能である。
【0090】
本発明に係る封着材料ペースト(第一の封着材料ペーストと第二の封着材料ペースト)は、更に顔料を含むことが好ましい。このようにすれば、封着材料層がレーザー光を吸収し易くなる。
【0091】
顔料は、無機顔料が好ましく、カーボン、Co、CuO、Cr、Fe、MnO、SnO、Ti2n−1(nは整数)、スピネル系複合酸化物から選ばれる一種又は二種以上がより好ましく、特にカーボンが好ましい。これらの顔料は、発色性に優れており、レーザーの吸収性が良好である。カーボンとして、非晶質カーボン又はグライファイトが好ましい。これらのカーボンは、一次粒子の平均粒径D50を1〜100nmに加工し易い性質を有している。なお、ガラス粉末として、Bi含有ガラス粉末を用いる場合、顔料は、適合性の観点から、Cu、Cr、Fe、Mnの一種又は二種以上を含む酸化物系顔料が好ましい。
【0092】
顔料の一次粒子の平均粒径D50は1〜100nm、3〜70nm、5〜60nm、特に10〜50nmが好ましい。顔料の一次粒子の平均粒径D50が小さ過ぎると、顔料同士が凝集し易くなるため、顔料が均一に分散し難くなって、レーザー封着の際に封着材料層が局所的に軟化流動しない虞がある。一方、顔料の一次粒子の平均粒径D50が大き過ぎても、顔料が均一に分散し難くなり、レーザー封着の際に封着材料が局所的に軟化流動しない虞がある。
【0093】
封着材料中の顔料の含有量は0.05〜1質量%、特に0.1〜0.5質量%が好ましい。顔料の含有量が少な過ぎると、レーザーの光を熱エネルギーに変換し難くなる。一方、顔料の含有量が多過ぎると、レーザー封着の際に封着材料層が軟化流動し難くなり、また封着強度を高めることが困難になる。
【0094】
顔料は、環境的観点から、実質的にCr系酸化物を含有しないことが好ましい。ここで、「実質的にCr系酸化物を含有しない」とは、顔料中のCr系酸化物の含有量が1000ppm(質量)未満の場合を指す。
【0095】
本発明に係る封着材料において、軟化点は460℃以下、450℃以下、420℃以下、特に400℃以下が好ましい。軟化点が高過ぎると、レーザー封着性が低下し易くなる。軟化点の下限は特に限定されないが、ガラス粉末、特にガラス粉末の熱的安定性を考慮すれば、軟化点は350℃以上が好ましい。
【0096】
本発明に係る封着材料と、ビークルとを混練して、封着材料ペーストに加工することが好ましい。このようにすれば、塗布作業性等を高めることができる。
【0097】
樹脂バインダーは、脂肪族ポリオレフィン系カーボネート、特にポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネートが好ましい。これらの樹脂バインダーは、脱バインダー又はレーザー封着の際に、ガラス粉末、特にSnO含有ガラス粉末を変質させ難い特徴を有する。
【0098】
溶剤は、N,N’−ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、ジメチルスルホキサイド、炭酸ジメチル、プロピレンカーボネート、ブチロラクトン、カプロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、フェニルジグリコール(PhDG)、フタル酸ジブチル(DBP)、ベンジルグリコール(BzG)、ベンジルジグリコール(BzDG)、フェニルグリコール(PhG)から選ばれる一種又は二種以上が好ましい。これらの溶剤は、脱バインダー又はレーザー封着の際に、ガラス粉末、特にSnO含有ガラス粉末を変質させ難い特徴を有する。特に、これらの溶剤の内、プロピレンカーボネート、フェニルジグリコール(PhDG)、フタル酸ジブチル(DBP)、ベンジルグリコール(BzG)、ベンジルジグリコール(BzDG)、フェニルグリコール(PhG)から選ばれる一種又は二種以上が好ましい。これらの溶剤は、沸点が240℃以上である。このため、これらの溶剤を使用すると、スクリーン印刷等の塗布作業の際に、溶剤の揮発を抑制し易くなり、結果として、封着材料ペーストを長期的に安定して使用することが可能になる。更に、フェニルジグリコール(PhDG)、フタル酸ジブチル(DBP)、ベンジルグリコール(BzG)、ベンジルジグリコール(BzDG)、フェニルグリコール(PhG)は、顔料との親和性が高い。このため、これらの溶剤の添加量が少量でも、封着材料ペースト中で顔料が分離する事態を抑制することができる。
【0099】
上記の通り、プロピレンカーボネート、フェニルジグリコール(PhDG)、フタル酸ジブチル(DBP)、ベンジルグリコール(BzG)、ベンジルジグリコール(BzDG)、フェニルグリコール(PhG)は、溶剤の揮発を抑制して、封着材料ペーストの長期安定性を高める効果を有する。
【0100】
本発明に係る封着材料膜(第一の封着材料膜と第二の封着材料膜)は、不活性雰囲気における脱バインダー処理に供されることが好ましく、特にN雰囲気における脱バインダー処理に供されることが好ましい。このようにすれば、脱バインダーの際にガラス粉末、特にSnO含有ガラス粉末が変質する事態を防止し易くなる。
【0101】
本発明の封着材料層付きガラス基板の製造方法において、被封着物の外周縁に沿って、封着材料層を形成することが好ましく、被封着物がガラス基板の場合、ガラス基板の外周縁に沿って、封着材料層を額縁状に形成することが好ましい。このようにすれば、素子を収容し得る領域が大きくなる。
【0102】
本発明の封着材料層付きガラス基板の製造方法において、封着材料層の表面粗さRaは0.6μm以下、0.5μm以下、特に0.4μm以下であることが好ましい。このようにすれば、封着材料層と被封着物の密着性が向上するため、レーザー封着性が向上すると共に、レーザー封着後に強固な封着強度を確保し易くなる。
【0103】
本発明の封着材料層付きガラス基板の製造方法において、封着材料層の表面粗さRMSは1.0μm以下、0.8μm以下、特に0.7μm以下であることが好ましい。このようにすれば、封着材料層と被封着物の密着性が向上するため、レーザー封着性が向上すると共に、レーザー封着後に強固な封着強度を確保し易くなる。
【0104】
本発明の電子デバイスの製造方法は、封着材料層付きガラス基板と、封着材料層が形成されていないガラス基板とを封着して、電子デバイスを製造する方法において、前記封着材料層付きガラス基板を上記の方法により製造すると共に、前記封着材料層にレーザー光を照射して、前記封着材料層付きガラス基板と、前記封着材料層が形成されていないガラス基板とを封着することを特徴とする。このようにすれば、電子デバイス素子の熱劣化が防止されると共に、電子デバイスの長期安定性が向上する。
【0105】
本発明の電子デバイスの製造方法において、不活性雰囲気でレーザー封着することが好ましく、特にN雰囲気でレーザー封着することが好ましい。このようにすれば、レーザー封着の際に、ガラス粉末、特にSnO含有ガラス粉末が変質する事態を防止し易くなる。
【0106】
本発明の封着材料層付きガラス基板は、封着材料ペーストをガラス基板に塗布した後に焼成してなる封着材料層付きガラス基板において、前記封着材料層中の被封着物との接触領域が、前記封着材料層中の前記ガラス基板との接触領域より軟化し易いことを特徴とする。本発明の封着材料層付きガラス基板の技術的特徴(好適な材料構成、好適な特性)は、本発明の封着材料層付きガラス基板の技術的特徴と重複する。ここでは、便宜上、その重複部分の説明を省略する。
【0107】
本発明の封着材料は、少なくともガラス粉末を含む封着材料であって、ガラス粉末の軟化点が400℃以下であり、封着材料層の形成に用いることを特徴とする。本発明の封着材料の技術的特徴(好適な材料構成、好適な特性)は、本発明の封着材料層付きガラス基板の技術的特徴と重複する。ここでは、便宜上、その重複部分の説明を省略する。なお、本発明の封着材料は、特に第二の封着材料膜の形成に好適である。
【0108】
本発明の封着材料において、封着材料層の表面粗さRaは0.6μm以下、0.5μm以下、特に0.4μm以下であることが好ましい。このようにすれば、封着材料層と被封着物の密着性が向上するため、レーザー封着性が向上すると共に、レーザー封着後に強固な封着強度を確保し易くなる。
【0109】
本発明の封着材料において、封着材料層の表面粗さRMSは1.0μm以下、0.8μm以下、特に0.7μm以下であることが好ましい。このようにすれば、封着材料層と被封着物の密着性が向上するため、レーザー封着性が向上すると共に、レーザー封着後に強固な封着強度を確保し易くなる。
【実施例】
【0110】
実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。但し、以下の実施例は単なる例示である。本発明は、以下の実施例に何ら限定されない。
【0111】
表1、2は、各ガラス粉末(試料A〜F)のガラス組成と特性を示している。
【0112】
【表1】

【0113】
【表2】

【0114】
次のようにして各SnO含有ガラス粉末を調製した。まず表中のガラス組成になるように、原料を調合した後、この調合原料をアルミナ坩堝に入れて、窒素雰囲気下において、900℃で1〜2時間溶融した。次に、得られた溶融ガラスを水冷ローラーによりフィルム状に成形した。続いて、ボールミルによりガラスフィルムを粉砕した後、分級し、各SnO含有ガラス粉末を得た。
【0115】
次のようにして各Bi含有ガラス粉末を調製した。まず表中のガラス組成になるように、原料を調合した後、この調合原料をアルミナ坩堝に入れて、窒素雰囲気下において、1000℃で1〜2時間溶融した。次に、得られた溶融ガラスを水冷ローラーによりフィルム状に成形した。続いて、ボールミルによりガラスフィルムを粉砕した後、分級し、各Bi含有ガラス粉末を得た。
【0116】
密度は、バルク状に成形したガラスをアルキメデス法で測定した値である。
【0117】
粒度分布は、レーザー回折式粒度分布計で測定した値である。
【0118】
軟化点は、マクロ型DTA装置で測定した値である。測定は、SnO含有ガラス粉末を用いる場合、窒素雰囲気下で行い、Bi含有ガラス粉末を用いる場合、大気雰囲気下で行った。なお、昇温速度を10℃/分とし、室温から測定を開始した。
【0119】
熱膨張係数は、押棒式TMA装置で測定した値を指す。なお、測定試料として、バルク状に成形したガラスを所定形状に加工したものを用いた。また、SnO含有ガラス粉末を用いる場合、測定温度範囲を30〜250℃とし、Bi含有ガラス粉末を用いる場合、測定温度範囲を30〜300℃とした。
【0120】
表3、4は、本発明の実施例(試料No.1、2、4、5)と比較例(試料No.3、6)を示している。
【0121】
【表3】

【0122】
【表4】

【0123】
まず各SnO含有ガラス粉末に対して、耐火性フィラー、顔料を添加、混合して、表3に係る各封着材料を作製した。混合割合は、SnO含有ガラス粉末:耐火性フィラー(体積%)=60:40であり、SnO含有ガラス粉末+耐火性フィラー:顔料(質量%)=99.75:0.25である。
【0124】
表3に係る耐火性フィラーとして、リン酸ジルコニウム粉末を用いた。リン酸ジルコニウムの密度は3.80g/cmであり、粒度は、平均粒径D50:1.6μm、90%粒径D90:3.3μm、最大粒径D99:5.1μmであった。顔料として、ケッチェンブラック(グラファイト)を用いた。顔料の一次粒子の平均粒径D50は20nmであった。なお、耐火性フィラー、顔料の粒度は、レーザー回折式粒度分布計で測定した値である。
【0125】
Bi含有ガラス粉末に対して、耐火性フィラーを添加、混合して、表4に係る各封着材料を作製した。混合割合は、ガラス粉末:耐火性フィラー(体積%)=70:30である。
【0126】
表4に係る耐火性フィラーとして、コーディエライト粉末を用いた。コーディエライトの密度は2.63g/cmであり、粒度は、平均粒径D50:1.0μm、90%粒径D90:2.1μm、最大粒径D99:2.9μmであった。なお、耐火性フィラーの粒度は、レーザー回折式粒度分布計で測定した値である。
【0127】
各封着材料に対して、熱膨張係数を測定した。
【0128】
熱膨張係数は、押棒式TMA装置を用いて、30〜300℃の温度範囲で測定した値である。なお、測定試料として、各封着材料を緻密に焼結させたものを使用した。
【0129】
次のようにして、各封着材料ペーストを作製した。まず粘度が約70Pa・s(25℃、Shear rate:4)になるように、封着材料とビークルを混練した後、更に三本ロールミルで均一になるまで混錬し、ペースト化した。ビークルは、有機バインダーと溶剤で構成されたものを使用した。有機バインダーとして、分子量129000のポリエチレンカーボネート(以下、PEC)、溶剤成分として、プロピレンカーボネート(以下、PC)とフェニルジグリコール(以下、PhDG)を用いた。なお、PC/PhDGの混合比率を質量比で90/10に調整した。また、PEC/(PC+PhDG)の混合比率を質量比で25/75に調整した。
【0130】
なお、各封着材料ペーストにおいて、ガラス粉末以外の条件は同一になっている。
【0131】
続いて、縦40mm×横50mm×厚み0.5mmのガラス基板(日本電気硝子株式会社製OA−10G)の周縁部に、表中の第一の封着材料ペーストをスクリーン印刷機で塗布した後、大気雰囲気下にて、85℃で10分間乾燥して、第一の封着材料膜(乾燥膜)を作製した。次に、表中の第一の封着材料膜上に第二の封着材料ペーストを塗布した後、大気雰囲気下にて、85℃で10分間乾燥して、第二の封着材料膜(乾燥膜)を作製した。SnO含有ガラス粉末を用いる場合、得られた積層膜を窒素雰囲気下において480℃で10分間焼成して、ビークル中の有機バインダーを焼却すると共に、ガラス基板上に封着材料層を形成した。Bi含有ガラス粉末を用いる場合、得られた積層膜を大気雰囲気下において480℃で10分間焼成して、ビークル中の有機バインダーを焼却すると共に、ガラス基板上に封着材料層を形成した。表3、4に封着材料層の表面粗さを示す。なお、一層目の封着材料層の平均厚みが8.0μm、二層目の封着材料層の平均厚みが12.0μmになるように印刷条件を調整した。
【0132】
封着材料層の表面粗さRa、RMSは、JIS B0601:2001に準拠した方法で測定した値である。
【0133】
続いて、封着材料層上に、縦50mm×横50mm×厚み0.5mmのガラス基板(日本電気硝子株式会社製OA−10G)を窒素雰囲気下で配置した後、封着材料層が形成されたガラス基板側から封着材料層に沿って、表3、4に記載の条件にて、波長808nmのレーザーを照射することにより、封着材料層を軟化流動させて、ガラス基板同士を気密封着した。なお、レーザーの照射速度を20m/sとし、レーザー照射時の封着材料層の温度を放射温度計で測定した。
【0134】
レーザー封着性は、高温高湿高圧試験:HAST試験(Highly Accelerated Temperature and Humidity Stress test)後の封着部分における剥離の有無を観察することで評価した。なお、HAST試験の条件は、121℃、湿度100%、2atm、24時間である。
【0135】
表3、4から明らかなように、試料No.1、2、4、5は、HAST試験後に封着部分が剥離しておらず、気密性を維持していた。また、試料No.1、2、4、5は、封着材料層の表面粗さRaがそれぞれ0.4μm、0.3μm、、0.15μm、0.1μm、表面粗さRMSがそれぞれ0.8μm、0.7μm、0.3μm、0.2μmであり、封着材料層の表面平滑性が良好であった。その結果、レーザー封着に必要なレーザー出力が低下したため、レーザー照射時の封着材料層の温度が550℃以下であった。なお、レーザー照射時の封着材料層の温度が高過ぎると、金属電極が熱劣化して、電気抵抗が上昇し易くなる。
【0136】
一方、試料No.3、6は、HAST試験後に封着部分に剥離が認められた。この事実は、封着材料層の表面平滑性が乏しいため、レーザー出力を上昇させても、十分な封着強度を確保できなかったことに起因している。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明の封着材料層付きガラス基板の製造方法は、有機ELディスプレイ、有機EL照明装置等の有機ELデバイス以外にも、色素増感型太陽電池等の太陽電池のレーザー封着、リチウムイオン二次電池のレーザー封着、MEMSパッケージのレーザー封着等に用いる封着材料層付きガラス基板の製造方法として好適である。
【符号の説明】
【0138】
1 封着材料層付きガラス基板
11 ガラス基板
12 第一の封着材料膜
13 第二の封着材料膜
14 封着材料層
15 ガラス基板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板を用意する工程と、
第一の封着材料ペーストを前記ガラス基板上に塗布した後、第一の封着材料膜を形成する工程と、
第二の封着材料ペーストを前記第一の封着材料膜上に塗布した後、第二の封着材料膜を形成する工程と、
得られた積層膜を焼成して、前記ガラス基板上に封着材料層を形成する工程とを有すると共に、
前記第一の封着材料ペーストが第一のガラス粉末を含み、且つ前記第二の封着材料ペーストが第二のガラス粉末を含み、
前記第二のガラス粉末の軟化点が、前記第一のガラス粉末の軟化点より低いことを特徴とする封着材料層付きガラス基板の製造方法。
【請求項2】
(前記第二のガラス粉末の密度−前記第一のガラス粉末の密度)の値が0.01〜0.50g/cmであることを特徴とする請求項1に記載の封着材料層付きガラス基板の製造方法。
【請求項3】
(前記第二のガラス粉末の熱膨張係数−前記第一のガラス粉末の熱膨張係数)の値が0.5×10−7〜10×10−7/℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載の封着材料層付きガラス基板の製造方法。
【請求項4】
前記第一のガラス粉末と前記第二のガラス粉末がSnO含有ガラス粉末であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の封着材料層付きガラス基板の製造方法。
【請求項5】
前記SnO含有ガラス粉末が、下記酸化物換算のガラス組成として、モル%で、SnO 35〜70%、P 10〜30%を含有することを特徴とする請求項4に記載の封着材料層付きガラス基板の製造方法。
【請求項6】
前記第一のガラス粉末と前記第二のガラス粉末がBi含有ガラス粉末であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の封着材料層付きガラス基板の製造方法。
【請求項7】
前記Bi含有ガラス粉末が、下記酸化物換算のガラス組成として、モル%で、Bi 20〜60%、B 10〜35%、ZnO 5〜40%、CuO+Fe 5〜30%を含有することを特徴とする請求項6に記載の封着材料層付きガラス基板。
【請求項8】
前記第一の封着材料ペーストと前記第二の封着材料ペーストが、更に耐火性フィラーを含むことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の封着材料層付きガラス基板の製造方法。
【請求項9】
前記第一の封着材料ペーストと前記第二の封着材料ペーストが、更に顔料を含むことを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の封着材料層付きガラス基板の製造方法。
【請求項10】
前記顔料がカーボンであることを特徴とする請求項9に記載の封着材料層付きガラス基板の製造方法。
【請求項11】
前記封着材料層の表面粗さRaが0.6μm以下であることを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の封着材料層付きガラス基板の製造方法。
【請求項12】
前記封着材料層の表面粗さRMSが1.0μm以下であることを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載の封着材料層付きガラス基板の製造方法。
【請求項13】
封着材料層付きガラス基板と、封着材料層が形成されていないガラス基板とを封着して、電子デバイスを製造する方法において、
前記封着材料層付きガラス基板を請求項1〜12の何れか一項に記載の方法により製造すると共に、前記封着材料層にレーザー光を照射して、前記封着材料層付きガラス基板と、前記封着材料層が形成されていないガラス基板とを封着することを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【請求項14】
前記電子デバイスが有機ELデバイスであることを特徴とする請求項13に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項15】
請求項1〜12の何れか一項に記載の封着材料層付きガラス基板の製造方法により作製されたことを特徴とする封着材料層付きガラス基板。
【請求項16】
封着材料ペーストをガラス基板に塗布した後に焼成してなる封着材料層付きガラス基板において、
前記封着材料層中の被封着物との接触領域が、前記封着材料層中の前記ガラス基板との接触領域より軟化し易いことを特徴とする封着材料層付きガラス基板。
【請求項17】
少なくともガラス粉末を含む封着材料であって、
ガラス粉末の軟化点が400℃以下であり、封着材料層の形成に用いることを特徴とする封着材料。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−49614(P2013−49614A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−151059(P2012−151059)
【出願日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】