説明

封込建物の損傷の危険性を確認するための方法およびシステム

本発明は、封込建物、特に製品を保管するか又は貯蔵するためのコンクリートで作られる封込建物についての損傷の危険性を確認する方法であって、前記方法が、建物及び/又は製品に関するデータから、前記建物に貯蔵すべき製品を充填する段階において建物の計画された理論的挙動を決定する段階と、前記建物に前記製品を充填する段階において建物の実際の挙動を決定する段階と、理論的挙動と実際の挙動を比較することにより損傷の危険性を決定する段階とを含む、前記方法に関する。又、本発明の方法は、前記封込建物を空にする段階に応用することができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、コンクリート性の封込(confinement)又は貯蔵構造物についての損傷(defaillance)の危険性を確認する方法に関する。また、本発明は、この方法を実行するためのシステムに関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、例えば、低レベル及び中レベルの放射性廃棄物若しくは液化ガスを貯蔵又は中間貯蔵するために備えられたコンクリート性の封込構造物の封じ込め機能(fonctions de confinement)の損傷の危険性を確認する方法及びシステムに関する。
【0003】
低レベル及び中レベルの放射性廃棄物又は液化ガスの貯蔵構造物等の封込構造物に関するオペレータの主要な懸念は、一方では、短期間及び長期間の構成部材(composant)の損傷を回避することによる構造物の機械的挙動の、もう一方では、最高数百年となる可能性がある長い期間にわたっての構成部材の悪化(deterioration)を回避することによる封込挙動の、低下(degradation)の危険性を制御することである。
【0004】
既往の構造物の監視システムによって、
− 封込構造物に関するデータに応じて実行される評価計算によって得られる予想された理論変形、及び
− 機能性封じ込め段階(phase fonctionnelle de confinement)において観測される封込構造物の変形
を評価することができる。こうした変形は、適切なセンサーを含む測定装置によって、貯蔵段階において測定される。
【0005】
構造物の実際の貯蔵段階、すなわち、構造物が貯蔵すべき有限体積の製品を貯蔵する段階は、構造物の機能性貯蔵段階(phase fonctionnelle de stockage)によって表される。この段階は封込構造物の主要な機能に匹敵し、この段階は製品の貯蔵であり、そしてこの段階は数百年間続くと予想することができる。
【0006】
従って、機能性貯蔵段階に関して、貯蔵すべき製品を構造物に充填する段階及び構造物を空にするか又は部分的に空にする排出段階を定義することが可能となる。充填段階は、この構造物により貯蔵することを意図している製品を封込構造物が受け入れる段階に匹敵し、そして排出段階は、製品を貯蔵した構造物が少なくとも部分的に空となっている段階に匹敵する。もちろん、充填段階は、機能性貯蔵段階の前に行われ、そして排出段階は、機能性段階の後に行われる。特に液化ガス貯蔵構造物の場合には、封込構造物の寿命中において、いくつかの充填段階を存在させることができる。
【0007】
本発明の目的は、既往の方法及びシステムよりも効率的であり包括的である、封込構造物についての損傷の危険性を確認する方法及びシステムを提供することである。
【0008】
製品を貯蔵することを意図する封込構造物、特にコンクリートで殆ど作られている封込構造物についての損傷の危険性を確認する方法(前記方法は、下記の段階:
− 前記構造物に貯蔵すべき前記製品を充填する段階において、前記構造物についての予想された理論的挙動を、前記構造物及び/又は前記製品に関するデータに応じて決定するステージ、
− 前記構造物に前記製品を充填する前記段階において、前記構造物の実際の挙動を決定するステージ、及び
− 前記理論的挙動と実際の挙動とを比較することによって、前記構造物についての損傷の危険性の決定を比較するステージを含む)
を介して、本発明によってこの目的を達成することが可能となる。
【0009】
現在の方法及びシステムと異なり、本発明による方法によって、構造物に貯蔵すべき製品を充填する段階において、この構造物の理論的挙動と実際の挙動とを比較することにより、封込構造物(特に、コンクリート性の封込構造物)についての損傷の危険性を確認することが可能となる。実際、こうした構造物は、コンクリート性の「ラフト基礎(radier)/シェル(voile)/上蓋(dalle de fermeture)」組立て品を一般に含み、それらの充填段階(それらの応力の状態が、進行的に発展する段階)において、特に影響を受けやすくなる可能性がある。
【0010】
この状態は、前記構造物のライフサイクルにおいて、最も過酷であることを証明することができる。
【0011】
封込構造物の充填段階に本質的に基づく本発明の方法によって、短期間及び長期間において封込機能を保護するために、貯蔵構造物の充填段階に関する決定を助けるための表示器を備えそして監視することができる。充填段階の構造物の挙動を測定することによって、本発明による方法によって、
− 可能性のある損傷を予想し、構造物の挙動に結びつく危険性を監視し、その結果、短期間で損傷の危険性を管理するための封込構造物の操作を制御すること、
− 今後の構造物のための設計基準をバックアップすること、
− 充填段階における構造物の挙動をグラフ化し、その結果、長期間において損傷の危険性を管理するために構造物の寿命全体にわたって調べることのできる総合的な書類を提供することが可能となる。
従って、本発明による方法によって、プログレッシブローディング(chargement progressif)で構成部材の挙動を監視することにより、短期間及び長期間における充填段階の危険性及び衝撃を制御することが可能となる。
【0012】
有利には、構造物の理論的挙動の決定は、閉形式解像度又は有限要素モデリング等のシミュレーション手段によって作られる、前記理論的挙動のシミュレーション少なくとも1つを含むことができる。シミュレーションは、構造物、寸法、構成部材及び材料に関するデータ、貯蔵すべき製品に関するデータ、並びに構造物に製品を充填する方法に関するデータを考慮する。構造物の理論的挙動は、構造物に貯蔵すべき製品を充填する段階において予想される構造物の挙動に匹敵する。
【0013】
構造物の実際の挙動の決定は、前記構造物に貯蔵すべき製品を充填している間に構造物上で実施される前記の実際の挙動の測定少なくとも1つを含むことができる。構造物の実際の挙動は、構造物に貯蔵すべき製品を充填している際の構造物の挙動に匹敵する。
【0014】
有利には、構造物の理論的挙動及び/又は実際の挙動の決定は、充填段階における前記構造物の構成部材少なくとも1つの変形少なくとも1つを決定することを含むことができる。理論的挙動を決定するために、変形が、例えば、類似の構造物の充填段階において類似の構造物上で見つけられた変形に関するデータ又は構造物に関するデータに基づくシミュレーションによって決定される。信頼性工学的なアプローチによって、材料の強度等の入力パラメータに関する不確実性を考慮することができる。実際の挙動を決定するために、変形が、充填段階において構造物上で実施される測定によって決定される。
【0015】
問題の変形は、構造物の構成部材少なくとも1つの弾性変形少なくとも1つを含むことができる。この場合、充填段階における構造物の実際の挙動を決定するステージは、前記構造物上に適切に配置されるセンサーによってこの弾性変形を測定することを含むことができる。
【0016】
また、問題の変形は、前記構造物についての構成部材少なくとも1つのマイクロ分解(micro degradation)による変形を含む可能性がある。この場合において、構造物の実際の挙動を決定するステージは、マイクロ分解による変形の音響測定少なくとも1つを含むことができる。こうした測定は、当業者において周知である。
【0017】
マイクロ分解は、材料の内部の部分か、又は外部から視認できる部分のいずれかにおいて、封込構造物の構成部材のレベルにおいて起こる可能性がある、マイクロ亀裂(micro fissure)又はマイクロ損傷(micro fracture)を意味する。
【0018】
有利には、本発明による方法は、決定される損傷の危険性に応じて、前記構造物を保護するための解決策を提案するステージを更に含むことができる。保護するための解決策において、
− 特定の場所で構造物を補強すること
− 損傷の危険性に応じて決定されるレベルにおいて、構造物の充填を止めること
− 特定の場所において構造物の監視を増やすこと、又は、
− 操作を部分的に又は完全に止めること
を挙げることができる。
封込構造物に関するデータは、
− 類似構造物の充填段階に関する実験データ、
− テスト又はシミュレーションデータ、
− 構造物の組成に関するデータ、
− 構造物の各々の構成部材に関するデータ
を含むことができる。
更に、本発明による方法は、充填段階における構造物についての実際の挙動に関する情報をデータベース中に保存することを含むことができる。類似の封込構造物の損傷の危険性を決定する際に、充填段階における類似の封込構造物の理論的挙動を決定するために、このデータをその後使用することができる。
【0019】
特定の利用方法において、放射性廃棄物の封込構造物又は液化ガス貯蔵構造物についての損傷の危険性を確認するために、本発明による方法を実行することができる。こうした封込構造物は、多くの場合、「ラフト基礎/シェル/上蓋」組立て品の形状をしたコンクリート構造物である。
【0020】
有利には、本発明による方法は、封込構造物の少なくとも一つのクリティカルゾーン(zone critique)を決定することを含むことができる。このようなゾーンの決定は、構造物の損傷モード少なくとも1つの決定からなる危険性の分析によって、構造物の組立て書類及び設計の分析によって、封込構造物に関するデータに応じての構造物の有限要素モデリングによって、及び/又は類似の若しくは同一の構造物についての実験に関するデータ(すなわち、過去の実験中に使用した類似の若しくは同一の封込構造物について得られたデータ)を考慮することによって、実施することができる。クリティカルゾーンを決定することによって、封込構造物の研究をクリティカルゾーンに集中し制限することが可能となる。従って、充填段階における構造物についての理論的挙動及び実際の挙動の決定は、構造物の1以上の予め決定したクリティカルゾーンのために実施することができ、これによって、実際の挙動を決定するために実施される測定及び理論的挙動を決定するために実施される計算が減少する。
【0021】
用語「クリティカルゾーン」は、構造物の他のゾーンよりもより大きな損傷の可能性を示す封込構造物のゾーン、及び/又は安全性、環境若しくは作業ロスの観点からより深刻な結果となることがある構造物のゾーンの損傷を意味する。
【0022】
もちろん、本発明による方法を、前記構造物の複数の充填段階における封込構造物の損傷の危険性を確認するために実行することができる。
【0023】
また、本発明による方法は、封じ込め構造物の排出段階における封込構造物の損傷の危険性を決定することを含むこともできる。この場合において、封込構造物の排出段階のために、封込構造物の理論的挙動及び実際の挙動を計算することがある。また、封込構造物の排出段階のために、構造物のクリティカルゾーンを計算することもある。次に、封込構造物の充填段階のために上で述べた本発明による方法の種々のステージ及び操作を、実質的に類似する方法で、封込構造物の排出段階に応用することがある。理論的挙動の計算において考慮されるデータ及び特徴は、排出段階に関係することがあり、そして、実際の挙動を決定するための実際の変形を排出段階において測定することがある。
【0024】
用途を限定しない実施例の場合において、本発明による方法を、液化天然ガス(LNG)貯蔵タンク等の、中程度の期間に使用される封込構造物に応用することができる。タンカーによる供給と消費者への段階的な分配との間でLNGの貯蔵を調整することが可能となるバッファタンクとして、LNGタンクを使用する。従って、多くの場合、充填段階と排出段階とを交替する必要性としないで、それらを充填するか又は空にする。本発明による方法によって、充填段階及び排出段階に関するこの構造物の監視を実施することにより、このような封込構造物についての損傷の危険性を決定することが可能となる。
【0025】
本発明の別の観点によれば、封込構造物(特に、コンクリートで殆ど作られ、製品を貯蔵することを意図する封込構造物)についての損傷の危険性を確認するためのシステムを提供し、前記システムは、
− 前記構造物に貯蔵すべき前記製品を充填する段階において、前記構造物の予想された理論的挙動を、前記構造物及び/又は前記製品に関するデータに応じて決定する手段、
− 前記構造物に前記製品を充填する段階において、前記構造物の実際の挙動を決定する手段、及び
− 前記の理論的挙動と前記の実際の挙動との比較により、前記構造物の損傷の危険性を決定する計算手段を含む。
【0026】
構造物についての実際の挙動を決定する手段は、前記構造物の構成部材少なくとも1つの弾性変形を測定するために備えられるセンサーを含む。こうしたセンサーは、コンクリート性の構造物の構成部材のコンクリート中に鋳造(コンクリートを補強する場合には、補強材上に支持し載置されている)するか、又は構造物の寿命を通して保全を保証するために構造物の構成部材の外部表面上に接触可能にすることができる。例えば、センサーについてのこの選択は、センサー中に有機物があるかないかによって決まることがある。特定の実施態様において、こうしたセンサーは、光ファイバー、クリープメーター又はクリノメータータイプのセンサーを含むことができる。
【0027】
また、構造物の実際の挙動を決定する手段は、前記構造物の少なくとも1つの構成部材のマイクロ分解による変形を測定するために備えられるセンサーを含むこともできる。特定の実施態様において、こうした手段は、例えば、構造物の構成部材のマイクロ分解による変形を決定するために適切に配置される、音響センサーを含むことができる。実際、ある一定のレベルより上において、マイクロ分解は、音響センサーによって測定することができる音響信号を発生することが可能となる。いくつかの音響センサーを使用することによって、例えば、三角測量により、マイクロ分解の場所を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の他の利点及び特徴は、決して限定的ではない実施態様の詳細な説明及び以下の添付した図面を確認することにより明らかとなるであろう。
【図1】図1は、封込構造物を表した図である。
【図2】図2は、本発明の方法による、封込構造物の損傷の危険性を決定する原理を示すフローチャートである。
【図3】図3は、この構造物の充填段階における封込構造物の変形を表している。
【図4】図4は、本発明の方法によって封込構造物の損傷の危険性を決定するシステムをダイヤグラムで表した図である。
【図5】図5は、損傷の危険性の決定をクリティカルゾーンに限定した場合における、図2のフローチャートを表している。
【図6】図6は、液化天然ガス(LNG)貯蔵タンクを表した図である。
【0029】
図1は、低レベル又は中レベルの放射性廃棄物用の封込構造物10を表している。封込構造物10は、ラフト基礎11及びシェル12を含む鉄筋コンクリートで作られる平行六面体のタンクの形状である。
【0030】
この放射性廃棄物貯蔵構造物10は、補強材上で支えられている取り付けによって構成部材のコンクリート内、特にシェル12のコンクリート内に鋳造されるか、又は充填が完了した際に取り出すことを目的としてシェル12の外部表面上に載置されるセンサー13を備え付けている。この選択は、センサー内の有機物の有無によって決まる。本実施例では、センサー13は、タンク10の充填におけるシェルの変形を測定するために備えられた光ファイバー又はインクリノメータータイプのセンサー、並びにマイクロ分解、マイクロ亀裂又はマイクロ損傷による変形を測定するために備えられた音響センサーから構成される。タンク10を、図1に示した矢印14の方向で充填する。
【0031】
図2は、本発明の方法によって封込構造物10の損傷の危険性を決定するための原理を示すフローチャートである。タンク10に関する入力データ、貯蔵すべき製品に関する入力データ並びにタンク10を充填する方法及び設計基準に関するデータに応じて、タンク10の理論的挙動を予測ツール21によって解析的にモデル化し、充填段階におけるこの挙動に関する指標を提供することが可能となる。タンク10についての予想された理論変形Dthに関する指標は、こうした指標の1つである。こうした指標は、損傷の危険性を解析し決定するためのモジュール22に伝えられる。
【0032】
このタンクは、いくつかのステージにおいて、密度が変動する不均一な放射性流体を充填する。充填段階において、監視ユニット23は、タンク10上に配置されたセンサー13によって測定された実際の変形Dmonを提供する。こうした変形Dmonは、一方では、タンク10に類似する別の封込構造物の理論変形のモデル化中にその後使用するために記録され、もう一方では、損傷の危険性を解析し決定するためにモジュール22に送られる。
【0033】
次に、ユニット22は、予測ツール21によって計算された理論変形とモジュール23によって充填段階の監視中に測定された変形Dmonとの比較により、タンク10の損傷の危険性を決定する。こうした危険性に応じて、ユニット24は、決定した損傷の危険性に応じて、タンク10を保護するための解決策を提案する。
【0034】
充填段階の全体にわたって、図3の矢印31で示された中心軸上において、タンク10のシェル12に被った変形についての我々の実施例に、我々は興味を持っている。図3は、正規の設計基準による、このタンク10のシェル12の変形のモデル化を表している。予測ツール21により実施されるこのモデル化によって、配置された充填高さについて各々のシェル12について予想することができる理論変形Dthを得ることが可能となる。図3に表された軸32との関連で、シェル12の理論変形を決定する。時間tにおいて、充填高さhとなるように設定する。モデル化の結果により予め決定されるシェル12の非常に特有な状態の変形は、この高さhに匹敵する。シェル12の全ての高さに応じて、hの関連する数について、いくつかのモデルを作り出す。従って、時間tでは、軸zに沿ったシェル12の全ての理論的変位Dth(hi,z)が得られる。下記の表は、充填高さに応じて、タンク10のシェル12について予想される理論変形Dth(hi,z)を提供する。
【表1】

【0035】
解析的なシミュレーションによって予測ツール21により得られるこうした理論変形Dth(hi,z)は、損傷の危険性を解析し決定するためのモジュール22に供給される。
【0036】
さらに、配置された充填高さhに匹敵する各々の時間tにおいて、センサー13からのデータのエントリーを、監視モジュール23に入力し、監視モジュール23により保存する。従って、シェル12の中心軸31に沿った実際の変位Dmon(hi,z)が得られる。こうした変形Dmon(hi,z)は、損傷の危険性を解析及び決定するためのモジュール22に供給される。
【0037】
従って、損傷の危険性を解析し決定するためのモジュール22は、
− 解析的なシミュレーションによって予測ツール21により得られる理論変形Dth(hi,z)と、
− センサー13によって監視モジュール23により得られる実際の変形Dmon(hi,z)とを受信する。
各々の時間tにおいて、理論的なDth(hi,z)変形と実際のDmon(hi,z)変形とを比較する。従って、シェルについての理論変形状態を、実際の変形状態と比較する。具体的には、各々の縦座標zについて、Dth(hi,z)とDmon(hi,z)とを比較する。
【0038】
モジュール22により計算されるシェル12についての損傷の危険性は、Dth(hi,z)とDmon(hi,z)との相違に直接関連している。実施例として、3つのレベルの相違に関連している3つのレベルの危険性、及び各々のレベルの危険性において推奨される保護するための解決策を定義することが可能となる。
【表2】

【0039】
従って、図4に示すように、オペレータ41は、このアプローチを使用して、封込構造物10の充填の危険性の制御及び充填段階における構造物の挙動に関連する構造物の損傷についての危険性の制御を可能にする決定を助けるための指標を有する。充填段階における構造物の理論的挙動をシミュレーションによって決定するために備えられる計算手段42、充填段階における構造物10の実際の挙動を決定するために備えられる監視手段、及び損傷の危険性を決定するために備えられる計算手段43、並びに検出される危険性の各々のレベルについて保護するための解決策を提案する手段を、オペレータは所有していることになる。
【0040】
図5は、封込構造物の損傷危険性の決定が予め決定したクリティカルゾーンに集中している、図2のフローチャートを表している。示すように、予想された変形は、クリティカルゾーンのためだけに、予測ツール21によって計算され、実際の変形は、センサー13を使用することによりモジュール23を監視することによってクリティカルゾーンのレベルにおいて測定される。
【0041】
構造物のクリティカルゾーンの決定は、構造物の種々の構成部材についての危険性を分析することによって実施される。この危険性の分析は、構造物の最も臨界的な損傷モードを決定し正確に指摘する。この分析は、構造物の設計書類についての検討(例えば、設計内に備えられている安全限界についての検討)、及び/又は初期の欠陥、仕損じ作業、構造物の設計に対する組み立てのずれを明らかにすることがある構造物の組み立て書類についての検討、及び/又は類似するか若しくは同一の構造物に関する実験についてのデータ(すなわち、過去の実験中に使用された類似するか若しくは同一の封込構造物に関して得られたデータ)を考慮することにより、及び/又は構造物の有限要素モデリングにより、基づいていることがある。
【0042】
クリティカルゾーンの決定は、構造物の理論的挙動について決定する際と同時か、又は予め実施することができる。
【0043】
本発明による方法は、任意のコンクリート性の封込構造物(特に、液化天然ガス(LNG)貯蔵タンク)に応用することができる。図6は、全体が保全されているLNG貯蔵タンク60を表した図である。このようなタンク60は、コンクリート性の封込構造物61及びLNGを保有する内部容器62で構成されている。コンクリート性の封込構造物61は、
− 内部容器が破裂した場合に環境へ液体LNGが排出されること、及び
− 大気中にLNG蒸気が漏れること
を避ける働きを有する。
【0044】
このような封込構造物61は、「バッファー(buffer)」構造物であり、すなわち、タンカーによる供給と消費者への段階的な分配との間でLNGの貯蔵を調整することが可能となる。その操作寿命は、一般的に、数十年(約40〜60年)である。
【0045】
タンク60の内部容器62は、供給のリズム及び分配の要求に応じて、不規則な充填段階及び部分的に空にする段階又は排出段階にさらされる。内部容器の充填に応じて、外部筐体の種々の構成部材に対する付加が、(自立構造物の場合にはラフト基礎を介して間接的に、膜(直線)構造物の場合にはシェル及びラフト基礎上に直接的に)変化する。
【0046】
本発明による方法によって、各々のタンクの充填段階(場合により、各々のタンクの排出段階)中において、構造物を監視することにより、このようなLNGタンクについての損傷の危険性を決定することが可能となる。
【0047】
もちろん、本発明は今まで記載してきた実施例に限定されず、そして本発明の範囲を超えないでこうした実施例を数多く調整することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の貯蔵又は中間貯蔵を意図する封込構造物(10)、特にコンクリートで殆ど作られる封込構造物の損傷の危険性を確認する方法であって、前記方法が、
− 前記構造物(10)に貯蔵すべき前記製品を充填する段階において、前記構造物(10)の予想された理論的挙動を、前記構造物(10)及び/又は前記製品に関するデータに応じて決定するステージ、
− 前記構造物(10)に前記製品を充填する前記段階において、前記構造物(10)の実際の挙動を決定するステージ、及び
− 前記理論的挙動と実際の挙動とを比較することにより、前記構造物(10)の損傷の危険性を決定するステージを含む、前記方法。
【請求項2】
構造物についての設計及び/又は組立て書類の検討によって、及び/又は類似若しくは同一の構造物についての実験に関するデータの検討によって、構造物のクリティカルゾーン少なくとも1つを決定することを含むことを特徴とする、請求項1に記載方法。
【請求項3】
充填段階における構造物(10)の理論的挙動及び実際の挙動の決定を、構造物の1以上の予め決定されたクリティカルゾーンのために実施することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
構造物(10)の理論的挙動の決定が、シミュレーション手段(21)において実施される前記理論的挙動のシミュレーション少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
構造物(10)の実際の挙動の決定が、前記構造物(10)に貯蔵すべき製品を充填している間に前記構造物(10)上で実施される、前記実際の挙動の測定少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
構造物(10)の理論的挙動及び/又は実際の挙動の決定が、充填段階における前記構造物(10)の構成部材(12)少なくとも1つの変形(Dth,Dmon)少なくとも1つの決定を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
変形が、構造物(10)の構成部材(12)少なくとも1つの弾性変形少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項6に記載方法。
【請求項8】
構造物(10)の実際の挙動を決定するステージが、前記構造物(10)上に適切に配置されているセンサー(13)によって弾性変形を測定することを含むことを特徴とする、請求項7に記載方法。
【請求項9】
変形が、前記構造物(10)の構成部材(12)少なくとも1つのマイクロ分解による変形を含むことを特徴とする、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
構造物(10)の実際の挙動を決定するステージが、マイクロ分解による変形についての音響測定少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項9に記載方法。
【請求項11】
決定した損傷の危険性に応じて、前記構造物(10)を保護するための解決策を提案するステージを更に含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記構造物(10)に関するデータが、類似の構造物の充填段階に関する実験データを含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
充填段階における構造物(10)の実際の挙動に関する情報を、データベース中に保存することを含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
封込構造物の複数の充填段階において、前記構造物の損傷の危険性を決定するために実行することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
放射性廃棄物の封込構造物(10)についての損傷の危険性を確認するために実行することを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
全体が保全されている液化天然ガス(LNG)貯蔵タンク(60)についての損傷の危険性を確認するために実行することを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
封込構造物の排出段階において損傷の危険性を決定することを更に含み、種々の操作及びステージが前記排出段階で繰り返されることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
製品を貯蔵することを意図する封込構造物、特にコンクリートで殆ど作られる封込構造物(10)の損傷の危険性を確認するシステムであって、前記システムが、
− 前記構造物(10)に貯蔵すべき前記製品を充填する段階において、前記構造物(10)の理論的挙動を、前記構造物(10)及び/又は前記製品に関するデータに応じて決定する手段(21)、
− 前記構造物(10)に前記製品を充填する前記段階において、前記構造物(10)の実際の挙動を決定する手段(23)、及び
− 前記理論的挙動と前記実際の挙動との比較により、前記構造物(10)の損傷の危険性を決定する計算手段(22)を含む、前記システム。
【請求項19】
構造物(10)の実際の挙動を決定する手段(23)が、前記構造物(10)の構成部材(12)少なくとも1つの弾性変形を測定するために備えられるセンサー(13)を含むことを特徴とする、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
弾性変形を測定するために備えられるセンサー(13)が、光ファイバー又はクリノメータータイプのセンサーを含むことを特徴とする、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
構造物(10)の実際の挙動を決定する手段(23)が、前記構造物(10)の構成部材(12)少なくとも1つのマイクロ分解による変形を測定するために備えられるセンサー(13)を含むことを特徴とする、請求項18〜20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
マイクロ分解による変形を測定するために備えられるセンサー(13)が、音響センサーを含むことを特徴とする、請求項21に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−518356(P2010−518356A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542175(P2009−542175)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【国際出願番号】PCT/FR2007/052617
【国際公開番号】WO2008/084177
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(509176064)
【氏名又は名称原語表記】OXAND
【Fターム(参考)】