説明

射出成形機の制御装置

【課題】 電動モータの機械的な最終出力としての消費電力を得、信頼性の確保された正確な消費電力を検出する。
【解決手段】 電動モータ11に係わる消費電力Wmを含む作動中の消費電力Woを検出する消費電力検出手段2と、検出した消費電力Woから任意に指定した指定検出時間Tcの電力量Poを求める電力量演算手段3と、電力量Poを表示可能な情報表示手段4を備える射出成形機Mの制御装置1を構成するに際して、少なくとも、電動モータ11に係わる消費電力Wmを、電動モータ11の機械出力となる出力トルクTm及び回転速度Rmを用いた演算により求める消費電力検出手段2を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイに表示する作動中の消費電力を検出する際に用いて好適な射出成形機の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作動中の消費電力を検出する消費電力検出手段と、検出した消費電力に基づき当該消費電力に係わる表示を行う表示手段を備える装置としては、特許文献1で開示される機械の消費電力表示装置が知られており、同文献1には、駆動又は制御に関連する電力消費要素を備え、同一の動作を繰り返し実行する機械の消費電力表示装置であって、繰り返し動作1サイクルにおける消費電力を検出し、各サイクルにおける電力消費要素又は機械の消費電力を表示、印字、記録媒体に記憶、もしくは、通信回線へ出力する手段を備えた機械の消費電力表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3088403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来における機械の消費電力表示装置(制御装置)は、次のような問題点があった。
【0005】
第一に、繰り返し動作1サイクルにおける消費電力、特に、サーボモータに係わる消費電力は、サーボモータの巻線抵抗と1成形サイクル中にサーボモータからフィードバックされる平均駆動電流を用いて検出するため、サーボモータの巻線以外での消費電力が反映されないとともに、通常、固定値として設定される巻線抵抗の大きさが、周辺温度や経時劣化等により変化した場合には誤差が拡大し、信頼性の確保された正確な消費電力を検出できない。
【0006】
第二に、基本的には、消費電力の表示に留まるため、多種多様な情報量を確保する観点からは不十分である。したがって、機械の動作状況を十分に把握しにくいとともに、動作状況に対する判断、更には、これに伴う対応(対策)を的確に行うことができない虞れがある。また、二酸化炭素の排出量削減は、地球温暖化防止や資源節減の観点から重要な問題となっているが、実際の現場サイドでは、消費電力の抑制は機械の生産能力を低下させる不利な要因となるなど、消費電力の表示のみでは、二酸化炭素の排出量削減に対する十分な意識改革或いは効果を期待できない。しかも、消費電力を検出して表示するのみのため、消費電力の現状把握に留まり、未来における対策として、例えば、成形条件を変更する際に、どの程度の変更を行ったら目的を達成できるかなど、十分かつ適切な対応を行うことができない。
【0007】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した射出成形機の制御装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するため、電動モータ11に係わる消費電力Wmを含む作動中の消費電力Woを検出する消費電力検出手段2と、検出した消費電力Woから任意に指定した指定検出時間Tcの電力量Poを求める電力量演算手段3と、電力量Poを表示可能な情報表示手段5を備える射出成形機Mの制御装置1を構成するに際して、電動モータ11に係わる消費電力Wmを、電動モータ11の機械出力となる出力トルクTm及び回転速度Rmを用いた演算により求める消費電力検出手段2を備えてなることを特徴とする。
【0009】
この場合、発明の好適な態様により、出力トルクTmは、電動モータ11に流れる電流から求めることができるとともに、回転速度Rmは、電動モータ11に付設したロータリエンコーダ34により検出することができる。また、電動モータ11に係わる消費電力Wmは、Wm=(2π×Tm×Rm)×0.729/60(ただし、Tmは出力トルク〔Nm〕、Rmは回転速度〔rpm〕)の演算式により求めることができる。なお、作動中の消費電力Woには、電熱ヒータ12…に係わる消費電力Whを含ませることが望ましい。一方、制御装置1には、電力量演算手段3から得られた電力量Poから一又は二以上の所定の変換情報Ca…を求める変換情報演算手段4と、得られた一又は二以上の変換情報Ca…を電力量Poと一緒に表示可能な情報表示手段5を設けることができ、この変換情報Ca…には、二酸化炭素排出量に係わる情報Ca,電気料金に係わる情報Cb,未来の予測に係わる情報Cc,過去の情報に対する変動量に係わる情報Cd,の一又は二以上を含ませることができる。また、未来の予測に係わる情報Ccには、成形条件を変更した際に、当該成形条件の変更量に対する消費電力の変換データベースBに基づいて求めた情報を含ませることができる。
【発明の効果】
【0010】
このような構成を有する本発明に係る射出成形機Mの制御装置1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0011】
(1) 電動モータ11に係わる消費電力Wmを、電動モータ11の機械出力となる出力トルクTm及び回転速度Rmを用いた演算により求める消費電力検出手段2を備えるため、いわば電動モータ11の機械的な最終出力としての消費電力Wmを得ることが可能となり、信頼性の確保された正確な消費電力Wmを検出できる。
【0012】
(2) 好適な態様により、出力トルクTmを、電動モータ11に流れる電流から求めるとともに、回転速度Rmを、電動モータ11に付設したロータリエンコーダ34により検出すれば、別途の検出手段を追加することなく、既設の構成を利用して低コストに実施できる。
【0013】
(3) 好適な態様により、作動中の消費電力Woに、電熱ヒータ12…に係わる消費電力Whを含ませれば、射出成形機Mで発生する主要な消費電力分をカバーできるため、処理の簡易化を図りつつ良好なパフォーマンスを得ることができる。
【0014】
(4) 好適な態様により、制御装置1に、電力量演算手段3から得られた電力量Poから一又は二以上の所定の変換情報Ca…を求める変換情報演算手段4と、得られた一又は二以上の変換情報Ca…を電力量Poと一緒に表示可能な情報表示手段5を設ければ、電力量Poの表示に加え、各種変換情報Ca,Cb…の表示により、射出成形機Mの動作状況を十分に把握できるとともに、動作状況に対する判断,更には、これに伴う対応(対策)を的確に行うことができ、延いては、地球温暖化や資源節減に対して有効に寄与することができる。
【0015】
(5) 好適な態様により、変換情報に、二酸化炭素排出量に係わる情報Caを含ませれば、電力量Poの把握に加え、二酸化炭素排出量に係わる情報Caを把握できるため、現場サイドにおける二酸化炭素の排出量削減に係わる意識改革、更には同排出量の有効削減に寄与できる。
【0016】
(6) 好適な態様により、変換情報に、電気料金に係わる情報Cbを含ませれば、電力量Poの把握に加え、電気料金に係わる情報Cbを把握できるため、現場サイドにおけるコスト削減意識及びコスト削減効果をより高めることができる。特に、二酸化炭素排出量に係わる情報Caと組合わせれば、現場サイドにとっての身近な問題とさほど身近でない問題の双方の認識により、二酸化炭素の排出量削減に係わる意識及び有効削減をより高め得るという相乗効果を期待できる。
【0017】
(7) 好適な態様により、変換情報に、未来の予測に係わる情報Ccを含ませれば、現在における電力量Poの把握に加え、未来における電力量や二酸化炭素の排出量等を事前に把握できるため、例えば、成形条件を早い段階で変更できるなど、より早い段階での必要な対応策を施すことができる。
【0018】
(8) 好適な態様により、変換情報に、過去の情報に対する変動量に係わる情報Cdを含ませれば、現在における電力量Poの把握に加え、その変動量に係わる情報Cdも把握できるため、作動中における電力量Poの時間経過に伴う増減を容易かつ的確に把握できる。
【0019】
(9) 好適な態様により、未来の予測に係わる情報Ccに、成形条件を変更した際に、当該成形条件の変更量に対する消費電力の変換データベースBに基づいて求めた情報を含ませれば、成形条件を変更する際に、どの程度の変更を行ったら目的を達成できるかなど、早い段階でより適切な変更を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の最良の実施形態に係る射出成形機の制御装置の要部を抽出して示す機能ブロック図、
【図2】同射出成形機の全体構成図、
【図3】同制御装置に用いる専用表示画面を示すレイアウト図、
【図4】同制御装置の動作を説明するためのフローチャート、
【図5】同フローチャートにおける変換処理ステップを詳細に説明するためのフローチャート、
【図6】同専用表示画面における予測データの表示方法を説明するためのフローチャート、
【図7】同制御装置の変更例に係る成形条件を変更した際の予測に係わる情報の表示方法を説明するためのフローチャート、
【図8】同変更例に係る成形条件を変更した際の予測に係わる情報の表示方法に用いるデータベースの型締力対消費電力特性図、
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0022】
まず、本実施形態に係る制御装置1を備える射出成形機Mの構成について、図1〜図3を参照して説明する。
【0023】
図2は、射出成形機Mの全体構成を示し、射出装置Miと型締装置Mcを備える。射出装置Miは、加熱筒21を備え、この加熱筒21は、先端に射出ノズル22を、後部にホッパー23をそれぞれ有するとともに、加熱筒21及び射出ノズル22は、それぞれの外周面に装着した電熱ヒータ12…を備える。また、加熱筒21には、スクリュ24を装填するとともに、加熱筒21の後端には、スクリュ24を進退駆動する射出シリンダ25及び当該スクリュ24を回転駆動する計量モータ(オイルモータ)26を備える。他方、型締装置Mcは、金型27を支持する固定盤28及び可動盤29を備えるとともに、可動盤29を進退駆動することにより、金型27に対する型開閉及び型締を行う型締シリンダ30を備える。なお、その他のアクチュエータとしては、図示を省略したが、金型27における成形品の突き出し(エジェクタ)を行う突出しシリンダや射出装置Miを進退移動させて金型27に対するノズルタッチ又はその解除を行う射出装置移動シリンダ等を備えている。
【0024】
一方、31は油圧駆動部であり、油圧駆動源となる可変吐出型油圧ポンプを利用した油圧ポンプ32及び各種切換バルブを配した油圧パネル33を備える。油圧ポンプ32は、サーボモータを利用した電動モータ11を備える。油圧ポンプ32は、電動モータ11により回転駆動され、この電動モータ11の回転数は、当該電動モータ11に付設したロータリエンコーダ34により検出される。なお、35はオイルタンクを示す。
【0025】
また、1は制御装置であり、射出成形機Mの全体の制御を司るコンピュータ機能を有する成形機コントローラ41を備える。図1は、成形機コントローラ41における本実施形態に係る制御装置1の要部を抽出した機能ブロックを示す。成形機コントローラ41は、主要な制御を司る主制御系51を備え、この主制御系51は、内蔵するサーボ回路を介して上述した電動モータ(サーボモータ)11に接続する。これにより、電動モータ11の回転数を可変制御すれば、油圧ポンプ32の吐出流量及び吐出圧力を可変することができるため、上述した各シリンダ25,30…及び計量モータ26を駆動制御して成形サイクルにおける各動作工程の制御を行うことができる。さらに、主制御系51は、内蔵するヒータドライバを介して電熱ヒータ12…に接続する。これにより、加熱筒21及び射出ノズル22の温度が予め設定された目標温度となるように、主制御系51による電熱ヒータ12…に対するフィートバック制御が行われる。
【0026】
そして、主制御系51から電動モータ11への給電ラインLmには、電動モータ11の消費電力Wmを検出する電力検出部52を付設するとともに、電熱ヒータ12…に対する給電ラインLhには、電熱ヒータ12…の消費電力Whを検出する電力検出部53を付設する。この場合、電力検出部52及び電力検出部53は、電動モータ11に係わる消費電力Wm及び電熱ヒータ12…に係わる消費電力Whを検出できればよく、特に、その検出手法は問わない。したがって、電力計等を接続して直接検出してもよいし、検出した個々の物理量(電流,電圧等)から演算により求めてもよい。例えば、電動モータ11に係わる消費電力Wmの場合、Wxを機械出力〔W〕,ηaをモータ効率,ηbをサーボアンプ効率,ηcを力率,Tmを出力トルク〔Nm〕,Rmを回転速度〔rpm〕とすれば、消費電力Wmは、
【0027】
Wm=Wx/(ηa×ηb×ηc)
≒Wx/0.729
=(2π×Tm×Rm)×0.729/60
により求めることができるため、TmとRmを検出することにより、消費電力Wmを算出できる。この場合、Tmは電動モータ11に流れる電流から得られるとともに、Rmはロータリエンコーダ34から検出される回転数から得ることができる。本実施形態はこの検出手法を例示している。
【0028】
このように、消費電力を検出する対象として、電動モータ11に係わる消費電力Wm及び電熱ヒータ12…に係わる消費電力Whを用いれば、射出成形機Mで発生する主要な消費電力分をカバーできるため、処理の簡易化を図りつつ良好なパフォーマンスを得ることができる利点がある。
【0029】
一方、各電力検出部52,53の検出結果は、対応する電力量演算部54,55にそれぞれ付与されるとともに、各電力量演算部54,55の演算結果は、総電力量演算部56に付与される。また、総電力量演算部56の演算結果は、表示出力部58に付与されるとともに、さらに、総電力量演算部56の演算結果は、変換情報演算部57に付与され、この変換情報演算部57の演算結果は、表示出力部58に付与される。
【0030】
他方、表示出力部58には、ディスプレイ42を接続する。ディスプレイ42には、タッチパネル42pが付設されており、このタッチパネル42pにより入力(指定)された入力データは、主制御系51に付与される。特に、本実施形態に係る制御装置1では、任意に指定した指定検出時間Tcの電力量Poを求めるため、この指定検出時間Tcは、タッチパネル42pにより指定され、指定された指定検出時間Tcは、各電力量演算部54,55に付与される。図3は、ディスプレイ42に表示される後述する複数の変換情報Ca,Cb…及び電力量Poを表示する際の専用表示画面Vsであり、当該指定検出時間Tcは、この専用表示画面Vsから入力(指定)することができる。
【0031】
このような構成を備える成形機コントローラ41及びディスプレイ42(タッチパネル42p)は、本実施形態に係る主要部を構成する。特に、電力検出部52,53は、作動中の消費電力、即ち、電動モータ11に係わる消費電力及び電熱ヒータ12…に係わる消費電力を検出する消費電力検出手段2を構成するとともに、電力量演算部54,55及び総電力量演算部56は、消費電力検出手段2により検出した消費電力から任意に指定した指定検出時間Tcの電力量Poを求める電力量演算手段3を構成する。また、変換情報演算部57は、電力量演算手段3により得られた電力量Poから複数の所定の変換情報Ca,Cb…を求める変換情報演算手段4を構成するとともに、表示処理部58及びディスプレイ42は、得られた複数の変換情報Ca,Cb…を電力量Poと一緒に表示可能な情報表示手段5を構成する。
【0032】
さらに、成形機コントローラ41は、内蔵するシーケンスコントローラを介して油圧パネル33に接続するとともに、射出成形機Mの動作状態を検出する位置センサ,圧力センサ及び温度センサ等の各種センサを含むセンサ群43、及び電動モータ11に付設されたロータリエンコーダ34は、成形機コントローラ41の入力ポートに接続する。なお、41mは、成形機コントローラ41に内蔵した各種データベースの構築などに用いるメモリである。
【0033】
次に、本実施形態に係る制御装置1の動作について、図1〜図3を参照しつつ図4(図5及び図6)に示すフローチャートに従って説明する。
【0034】
まず、図3は、複数の変換情報Ca,Cb…及び電力量Poを表示する際の専用表示画面Vsを示す。この専用表示画面Vsは、電力情報画面キー61を選択することにより表示させることができる。専用表示画面Vsは、検出した消費電力から電力量Poを求めるための任意の指定検出時間Tcを指定する検出時間指定部62、この指定検出時間Tcの単位を選択する単位選択部63、現在データと予測データの表示を切換えるための表示切換部64、予測データを求める際の予測期間を設定する予測期間設定部65、予測期間の単位を選択する単位選択部66を備える。したがって、ユーザーは、予め、検出時間指定部62により任意の指定検出時間Tcを指定(入力)することができる。この際、単位選択部63により指定検出時間Tcの単位を選択する。例示は、60〔分〕を指定した場合を示している。これにより、60〔分〕毎の電力量Poが順次得られるため、これに基づいて変換処理等の必要な処理が行われる。さらに、表示切換部64により、60〔分〕毎の電力量Po等に係わる現在データと、この60〔分〕毎の現在データに基づく未来の予測データ(予測に係わる情報Cc)を切換えて表示することができる。この場合、表示切換部64は、現在キー64pと予測キー64fを有するため、各キー64p又は64fにより選択することができる。なお、例示は、1〔日〕経過後(1〔日〕分)を予測する場合を示している。
【0035】
また、専用表示画面Vsには、現在(又は予測)の電力量Poを表示する電力量表示部67、現在(又は予測)の二酸化炭素排出量に係わる情報Caを表示する二酸化炭素排出量表示部68、現在(又は予測)の電気料金に係わる情報Cbを表示する電気料金表示部69、前回に対する電力量Poの変動量に係わる情報Cdを表示する電力量変動量表示部70、前回に対する二酸化炭素排出量Caの変動量に係わる情報Cdを表示する二酸化炭素変動量表示部71、前回に対する電気料金Cbの変動量に係わる情報Cdを表示する電気料金変動量表示部72、電力量Po及び/又は変換情報Ca…を棒グラフにより時系列で表示する第一グラフ表示部73、電力量Po及び/又は変換情報Ca…の変動率をバー表示する第二グラフ表示部74等の各種表示部を備える。
【0036】
以下、専用表示画面Vsにおける具体的な表示方法について説明する。今、射出成形機Mは作動状態にあるものとする(ステップS1,S2)。射出成形機Mの作動中は、図1に示す電力検出部52,53により、電動モータ11に係わる消費電力Wm及び電熱ヒータ12…に係わる消費電力Whが検出される(ステップS3,S4)。なお、各消費電力Wm,Whのサンプリングは、制御周期(例えば、500〔μ秒〕)毎に行われる。また、電熱ヒータ12…は、加熱筒21及び射出ノズル22に複数のバンドヒータを装着して構成するため、電熱ヒータ12…に係わる消費電力Whは、これらの合計として検出される。一方、各電力検出部52,53により検出した各消費電力Wm,Whは、それぞれ対応する電力量演算部54,55に付与され、各電力量演算部54,55では、付与された消費電力Wm,Whに基づいて電力量の積算処理が行われる(ステップS5,S6)。
【0037】
一方、成形機コントローラ41は、時間を監視し、指定された指定検出時間Tc(60〔分〕)の経過により、各電力量演算部54,55の演算結果(積算結果)は、総電力量演算部56に付与される(ステップS7,S8)。総電力量演算部56では、各電力量演算部54,55から付与された積算結果、即ち、電動モータ11に係わる消費電力Wmの60〔分〕の電力量と電熱ヒータ12…に係わる消費電力Wmの60〔分〕の電力量を加算し、総和の電力量Poを求める(ステップS9)。そして、総電力量演算部56の演算結果は、変換情報演算部57に付与され、電力量Poから複数の各種変換情報Ca…への変換処理が行われる(ステップS10)。
【0038】
この変換処理方法について、図5を参照して説明する。変換処理では、電力量Poに基づく二酸化炭素排出量が演算され、二酸化炭素排出量に係わる情報Caが求められる(ステップS101)。この場合、予め電力量に対する二酸化炭素排出量の変換データベースを設定し、この変換データベースを用いて二酸化炭素排出量を求めることができる。なお、二酸化炭素排出量は、使用する電力の種類によっても異なるため、標準となる公知のデータベースを設定し、必要により係数を設定して求めることができる。例えば、太陽光発電等により一部の電力を賄う際には、賄う電力の割合に応じた係数を設定する。このように、変換情報として、二酸化炭素排出量に係わる情報Caを含ませれば、電力量Poの把握に加え、二酸化炭素排出量に係わる情報Caを把握できるため、現場サイドにおける二酸化炭素の排出量削減に係わる意識改革、更には同排出量の有効削減に寄与できる。
【0039】
また、電力量Poに基づく電気料金が演算され、電気料金に係わる情報Cbが求められる(ステップS102)。この場合も、予め電力会社等の料金設定に基づく料金データベースを設定し、この料金データベースに用いて電気料金を求めることができる。このように、変換情報として、電気料金に係わる情報Cbを含ませれば、電力量Poの把握に加え、電気料金に係わる情報Cbを把握できるため、現場サイドにおけるコスト削減意識及びコスト削減効果をより高めることができる。特に、二酸化炭素排出量に係わる情報Caと組合わせれば、現場サイドにとっての身近な問題とさほど身近でない問題の双方の認識により、二酸化炭素の排出量削減に係わる意識及び有効削減をより高め得るという相乗効果を期待できる。
【0040】
さらに、前回(60〔分〕前)に対する変動量が演算され、変動量に係わる情報Cdが求められる。電力量Poの変動量は、前回の電力量から今回の電力量を減算することにより求めることができる(ステップS103)。そして、得られた変動量は、更に、二酸化炭素排出量及び電気料金にそれぞれ変換される(ステップS104,S105)。この場合、二酸化炭素排出量及び電気料金については、前回の二酸化炭素排出量及び電気料金から今回の二酸化炭素排出量及び電気料金からそれぞれ減算して求めてもよい。このように、変換情報として、過去の情報に対する変動量に係わる情報Cdを含ませれば、現在における電力量Poの把握に加え、その変動量に係わる情報Cdも把握できるため、作動中における電力量Poの時間経過に伴う増減を容易かつ的確に把握できる。
【0041】
一方、成形機コントローラ41では、得られた電力量Po,二酸化炭素排出量に係わる情報Ca及び電気料金に係わる情報Cb、更には、これらの変動量に係わる情報Cdに対する管理処理が行われる(ステップS11)。管理処理としては、例えば、異常処理や登録処理を行うことができる。この場合、異常処理では、電力量Poやその変動量を監視し、絶対量や変動量(相対量)が異常に大きくなったり或いは小さくなった際に直ちにアラームによる報知を行うことができる。また、登録処理では、得られた各データをメモリ41mに登録してデータベースを構築することができる。
【0042】
さらに、得られた電力量Po及び/又は変換情報Ca…を専用表示画面Vsに表示する表示処理が行われる(ステップS12)。この場合、図3に示すように、電力量Poは電力量表示部67に、二酸化炭素排出量に係わる情報Caは二酸化炭素排出量表示部68に、電気料金に係わる情報Cbは電気料金表示部69に、それぞれ表示されるとともに、前回に対する電力量Poの変動量に係わる情報Cdは電力量変動量表示部70に、前回に対する二酸化炭素排出量Caの変動量に係わる情報Cdは二酸化炭素変動量表示部71に、前回に対する電気料金Cbの変動量に係わる情報Cdは電気料金変動量表示部72に、それぞれ表示される。また、電力量Po及び/又は変換情報Ca…は、第一グラフ表示部73により棒グラフで時系列表示されるとともに、電力量Po及び/又は変換情報Ca…の変動率は、第二グラフ表示部74によりバー表示される。
【0043】
ところで、以上の表示態様は現在データの表示であるが、表示切換部64により現在データの表示を予測データの表示に切換え、予測に係わる情報Ccを表示させることができる。この表示方法について、図6を参照して説明する。今、図3において、現在データが表示されているものとする(ステップS31)。この表示モードにおいて、ユーザーが予測データを知りたいときは、予測データの表示モードに任意に切換えることができる(ステップS32)。この場合、まず、予測期間を選択(指定)する(ステップS33)。図3は、1〔日〕が選択されている状態を示す。この予測期間の選択により、成形機コントローラ41では、選択された予測期間に基づいて予測データの演算が行われる(ステップS34)。例示の場合、予測する電力量は、電力量Po×24となる。また、他の情報Ca…に対しても同様に演算が行われる。したがって、予測キー64fを選択すれば、現時点から1〔日〕経過した時点における予測データが各表示部67〜72にそれぞれ表示される(ステップS35,S36)。なお、現在データの表示モードに戻す場合には、現在キー64pを選択(指定)すればよい。選択しない場合には、一定時間経過後に、自動で現在データの表示モードに復帰する。このように、変換情報として、未来の予測に係わる情報Ccを含ませれば、現在における電力量Poの把握に加え、未来における電力量や二酸化炭素の排出量等を事前に把握できるため、例えば、成形条件を早い段階で変更できるなど、より早い段階での必要な対応策を施すことができる。
【0044】
以上、一回の指定検出時間Tcについての表示処理について説明したが、射出成形機Mの作動状態が継続する場合には同様の表示処理が繰り返され、次の指定検出時間Tcに達したなら、表示は順次更新される(ステップS13)。
【0045】
このように、本実施形態に係る制御装置1によれば、任意に指定した指定検出時間Tcにおける電力量Poから所定の変換情報Ca,Cb…を求めるとともに、得られた変換情報Ca…を電力量Poと一緒に表示できるため、電力量Poの表示に加え、各種変換情報Ca,Cb…の表示により、射出成形機Mの動作状況を十分に把握できるとともに、動作状況に対する判断、更には、これに伴う対応(対策)を的確に行うことができ、延いては、地球温暖化防止や資源節減に対して有効に寄与することができる。
【0046】
次に、本実施形態に係る制御装置1における変更例について、図7及び図8を参照して説明する。
【0047】
図7及び図8に示す変更例は、未来の予測に係わる情報Ccとして、成形条件を変更した際に、当該成形条件の変更量に対する消費電力の変換データベースBに基づいて求めた情報を利用するものである。図8に変換データベースBの一例を示す。同図は型締力〔kN〕に対する消費電力〔kWh〕の変化特性を示し、この変化特性が変換データベースB(換算テーブル)として設定される。
【0048】
一方、変換処理は、図7に示す手順で行われる。今、変更前の成形条件で成形が行われているものとする(ステップS41)。この状態において、ユーザーが専用表示画面Vsを見ることにより、総合的な見地からもう少し消費電力を低下させたいと判断し、成形条件を変更する場合を想定する。この場合、例えば、型締力を400〔kN〕(100〔%〕)から320〔kN〕(80〔%〕)に変更すれば、図8に示す変換データベースBから対応する消費電力〔kWh〕が読出される(ステップS42,S43)。次いで、読出された消費電力に対して、必要な変換処理及び表示処理が行われる。例示の場合、型締力の変更により、消費電力が0.025〔kWh〕の削減効果が得られるため、読出された0.025〔kWh〕は、専用表示画面Vsの指定検出時間Tcに対応した電力量、更には二酸化炭素排出量及び電気料金に変換処理される。即ち、未来の予測に係わる情報Ccとして変換処理が行われる(ステップS44)。次いで、これらの変換処理された情報Cは、専用表示画面Vsにおける対応する電力量変動量表示部70等に表示される(ステップS45)。この変更例では、成形条件を変更する際に、どの程度の変更を行ったら目的を達成できるかなど、早い段階でより適切な変更を行うことができる利点がある。
【0049】
以上、最良の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0050】
例えば、作動中の消費電力Woとは、成形時(正規運転時)の消費電力のみならず、準備段階等の非成形時の消費電力も含む概念である。また、消費電力Woとして、電動モータ11に係わる消費電力Wm及び電熱ヒータ12…に係わる消費電力Whを用いたが、他の部品や機器等で発生する消費電力を加えても勿論よい。さらに、変換情報Ca…として、二酸化炭素排出量に係わる情報Ca、電気料金に係わる情報Cb、未来の予測に係わる情報Cc、過去の情報に対する変動量に係わる情報Cdを例示したが、他の変換情報を排除するものではない。一方、消費電力の変換データベースBにおける成形条件として型締力を挙げたが、射出圧力や加熱温度等の他の成形条件に係わる変換データベースも当該変換データベースBと同様に設定できる。また、指定検出時間Tcは時刻により設定してもよいし作動開始からN時間のように設定してもよい。さらに、得られたデータをメモリ41mに登録する場合を示したが、必要により印字出力したり通信回線に出力することもできる。なお、複数の電動モータを搭載する電動式射出成形機の場合には、各電動モータの消費電力を検出して処理する。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係る制御装置は、電動モータに係わる消費電力を検出する際に利用できるとともに、油圧式射出成形機及び電動式射出成形機を含む各種射出成形機に利用できるとともに、他の産業機械にも同様に利用できる。
【符号の説明】
【0052】
1:制御装置,2:消費電力検出手段,3:電力量演算手段,4:変換情報演算手段,5:情報表示手段,11:電動モータ,12:電熱ヒータ,34:ロータリエンコーダ,Wm:消費電力,Wh:消費電力,M:射出成形機,Po:電力量,Ca:変換情報(二酸化炭素排出量に係わる情報),Cb:変換情報(電気料金に係わる情報),Cc:変換情報(未来の予測に係わる情報),Cd:変換情報(過去の情報に対する変動量に係わる情報),B:変換データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータに係わる消費電力を含む作動中の消費電力を検出する消費電力検出手段と、検出した消費電力から任意に指定した指定検出時間の電力量を求める電力量演算手段と、前記電力量を表示可能な情報表示手段を備える射出成形機の制御装置において、前記電動モータに係わる消費電力を、前記電動モータの機械出力となる出力トルク及び回転速度を用いた演算により求める消費電力検出手段を備えることを特徴とする射出成形機の制御装置。
【請求項2】
前記出力トルクは、前記電動モータに流れる電流から求めることを特徴とする請求項1記載の射出成形機の制御装置。
【請求項3】
前記回転速度は、前記電動モータに付設したロータリエンコーダにより検出することを特徴とする請求項1記載の射出成形機の制御装置。
【請求項4】
前記電動モータに係わる消費電力Wmは、次の演算式により求めることを特徴とする請求項1,2又は3記載の射出成形機の制御装置。
Wm=(2π×Tm×Rm)×0.729/60
ただし、Tm:出力トルク〔Nm〕
Rm:回転速度〔rpm〕
【請求項5】
前記作動中の消費電力には、電熱ヒータに係わる消費電力を含むことを特徴とする請求項1記載の射出成形機の制御装置。
【請求項6】
前記電力量演算手段から得られた電力量から一又は二以上の所定の変換情報を求める変換情報演算手段と、得られた一又は二以上の変換情報を前記電力量と一緒に表示可能な情報表示手段を備えることを特徴とする請求項1記載の射出成形機の制御装置。
【請求項7】
前記変換情報には、二酸化炭素排出量に係わる情報,電気料金に係わる情報,未来の予測に係わる情報,過去の情報に対する変動量に係わる情報,の一又は二以上を含むことを特徴とする請求項6記載の射出成形機の制御装置。
【請求項8】
前記未来の予測に係わる情報には、成形条件を変更した際に、当該成形条件の変更量に対する消費電力の変換データベースに基づいて求めた情報を含むことを特徴とする請求項7記載の射出成形機の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−292155(P2009−292155A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217899(P2009−217899)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【分割の表示】特願2005−271924(P2005−271924)の分割
【原出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(000227054)日精樹脂工業株式会社 (293)
【Fターム(参考)】