説明

射出成形装置及び射出成形方法

【課題】射出スリーブの充填率を上げ、成形品の品質向上を図る。
【解決手段】射出成形装置100は、固定盤1の固定金型2と可動盤3の可動金型4とを備え、先端部10aが固定金型2の分割面5bまで到達する射出スリーブ10を備える。分流子20は、可動金型4とは別体に取り付けられ、先端部10aと当接するように進退動する。可動金型4が、分割面5a,5b間に給湯空間29を形成するように近付けられ、分流子20が先端部10aと当接する。溶湯31は、給湯空間29側から注湯口28を介して射出スリーブ10内に注湯され、射出プランジャ12は、注湯量に併せて徐々に後退移動し、注湯終了時には後退限にプランジャチップ11が位置する。射出は、型閉において可動金型4が所定の位置に到達したときに開始される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ダイカストマシンなどの射出成形装置及び射出成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ダイカストマシンや射出成形機などの射出成形装置においては、溶湯への空気の巻き込みや酸化物の混入及び溶湯温度の低下などによる不良品の発生を抑え、成形品の品質向上を図るため、射出スリーブ内に注湯される溶湯のスリーブ充填率(射出スリーブ断面積に占める溶湯面積の割合)を高める工夫がなされてきた(例えば、下記特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−143060号公報
【特許文献2】特開2001−287007号公報
【特許文献3】特許第3522172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたものでは、射出スリーブにおけるプランジャチップの射出ストロークが長いため、射出スリーブ内の溶湯の温度低下や凝固層発生の抑制に対しては、根本的な解決策になっていないという問題がある。また、第1のプランジャチップと連動する第2のプランジャチップが金型を貫通して取り付けられているため、金型の交換が容易ではないという問題もある。
【0005】
また、上記特許文献2に開示されたものでは、成形品の形状によっては射出スリーブや固定プラテンを専用の形状にしなければならないため汎用性が低く、給湯口を設けるために固定プラテンを大きく切り欠いた形状とする必要があり、固定プラテンの剛性を確保できないという問題がある。
【0006】
更に、給湯口がプランジャチップの可動域にあるため、射出時に溶湯が溢れないようにしようとすると、スリーブ充填率を高めることができず、射出開始時にプランジャチップを低速で動かす必要があるという問題もある。
【0007】
また、上記特許文献3に開示されたものでは、溶湯を射出スリーブ内に上方から注湯するいわゆる竪型の射出鋳造機に適用されるものであるため、横型の射出成形装置には適用できないという問題がある。
【0008】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたもので、射出時間の短縮や、射出機構及び射出制御の簡素化を図ることができる射出成形装置及び射出成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る射出成形装置は、固定盤に設けられた固定型及び可動盤に設けられた可動型からなる金型手段と、前記固定盤及び固定型を貫通し、先端部が前記固定型と前記可動型との分割面まで到達すると共に、内部にプランジャチップが取り付けられた射出プランジャを備えた射出スリーブと、前記射出スリーブの先端部と当接するように進退動手段によって進退自在に設けられた分流子と、前記金型手段が所定位置まで型閉することにより形成される前記分割面側の給湯空間から、溶湯を前記射出スリーブ内に注湯可能な給湯手段とを備え、前記分流子は、前記射出スリーブの先端部と当接することにより前記溶湯を前記射出スリーブ内に注湯するための注湯口を形成し、前記プランジャチップは、前記給湯手段が注湯を開始するときは前記射出スリーブの先端部に配置され、且つ前記給湯手段による注湯が予め設定された鋳込み量となり終了するまで、注湯開始から注湯状況に応じて前記射出スリーブ内を後退限まで後退移動すると共に、前記金型手段の型閉において前記可動型が所定の位置に到達したときに前記射出スリーブ内の前進移動を開始することを特徴とする。
【0010】
本発明の一実施形態においては、前記プランジャチップが、前記鋳込み量に応じて前記射出スリーブ内に充填される前記溶湯のスリーブ充填率が所定の値となるように、前記後退限の位置を変更可能に取り付けられている。
【0011】
本発明の他の実施形態においては、前記分流子が、前記金型手段が型閉し型締力発生中は、前記可動型に支持される。
【0012】
本発明の更に他の実施形態においては、前記分流子が、前記金型手段が型開するときは、前記可動型と連動して移動する。
【0013】
本発明の更に他の実施形態においては、前記射出スリーブ内を洗浄する洗浄手段が更に備えられ、前記洗浄手段が、前記金型手段の前記分割面側から前記射出スリーブ内を洗浄する。
【0014】
本発明に係る射出成形方法は、固定盤に設けられた固定型及び可動盤に設けられた可動型からなる金型手段を所定位置まで型閉することにより、前記固定型と前記可動型との分割面側に給湯空間を形成する工程と、前記固定盤及び固定型を貫通し、先端部が前記分割面まで到達すると共に内部にプランジャチップが取り付けられた射出プランジャを備えた射出スリーブの前記先端部に、進退動手段によって前記先端部と当接するように進退自在に設けられると共に前記先端部と当接することにより溶湯を前記射出スリーブ内に注湯するための注湯口を形成する分流子を当接させる工程と、前記プランジャチップを前記先端部まで前進移動させる工程と、前記給湯空間から給湯手段によって前記注湯口を介して前記射出スリーブ内に注湯を開始すると共に、注湯が予め設定された鋳込み量となり終了するまで、注湯開始から注湯状況に応じて前記プランジャチップを前記射出スリーブ内の後退限まで後退移動させる工程と、前記可動型を前記所定位置から前記固定型に近付けて前記金型手段を型閉させる工程と、前記金型手段の型閉において前記可動型が所定の位置に到達したときに前記プランジャチップを前記後退限から前進移動させて溶湯を前記射出スリーブ内から射出する工程とを備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明の一実施形態においては、前記プランジャチップを前記後退限まで後退移動させる工程では、前記鋳込み量に応じて前記射出スリーブ内に充填される前記溶湯のスリーブ充填率が所定の値となるように前記後退限の位置を変更可能である。
【0016】
本発明の他の実施形態においては、前記プランジャチップを前記後退限まで後退移動させる工程では、前記射出スリーブ内に充填される前記溶湯のスリーブ充填率が充填中において所定の値を維持するように前記プランジャチップが後退移動される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、成形品の品質を向上させることができると共に、射出時間の短縮や、射出機構及び射出制御の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る射出成形装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】同射出成形装置の全体構成を示す他の断面図である。
【図3】同射出成形装置による射出成形工程を示すフローチャートである。
【図4】同射出成形装置を射出成形工程順に示す断面図である。
【図5】同射出成形装置を射出成形工程順に示す断面図である。
【図6】同射出成形装置における可動金型及び射出プランジャの移動速度と移動時間との関係を示す図である。
【図7】同射出成形装置の給湯手段のレイアウトを説明するための図である。
【図8】同射出成形装置の給湯手段のレイアウトを説明するための図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る射出成形装置の全体構成を示す断面図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る射出成形装置の全体構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照して、この発明の実施の形態に係る射出成形装置及び射出成形方法を詳細に説明する。
【0020】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る射出成形装置の全体構成を示す断面図である。図2は、射出成形装置の全体構成を示す他の断面図である。図1に示すように、射出成形装置100は、固定盤(固定プラテン)1に設けられた固定金型2と、可動盤3に設けられて固定金型2に対して接近及び離間する方向に前進後退移動(進退動)することにより、型閉及び型開される可動金型4とを備える。
【0021】
可動金型4の分割面5a側には、キャビティ6、ゲート部7及びランナ部8が形成されており、ランナ部8に続く部分には、分流子20を収容支持するための切欠からなる凹部9が形成されている。固定盤1及び固定金型2には、円筒状の射出スリーブ10を収容するためのスリーブ孔19が水平方向に貫通形成され、このスリーブ孔19内に、先端部10aが固定金型2の分割面5bまで到達するように射出スリーブ10が挿入配置されている。
【0022】
射出スリーブ10内には、先端にプランジャチップ11が取り付けられた射出プランジャ12が備えられており、この射出プランジャ12は、射出スリーブ10内をプランジャチップ11が先端部10aまで到達する前進限及び所定位置の後退限の間で水平方向に進退動可能に設けられている。
【0023】
なお、射出プランジャ12は、例えば図示しない射出シリンダのピストンロッドにカップリングを介して接続されている。一方、分流子20は、例えば可動盤3に設けられた油圧シリンダ21のピストンロッド22の先端に、可動金型4とは別体に取り付けられており、固定盤1側の射出スリーブ10の先端部10aと当接するように、水平方向に進退動可能に設けられている。
【0024】
このように構成された第1の実施形態に係る射出成形装置100は、溶湯の注湯時に、図2に示すように、可動金型4が、可動盤3と共に固定金型2の分割面5bと可動金型4の分割面5aとの間に、所定の隙間からなる給湯空間29を形成するように近付けられる。そして、分流子20は、射出スリーブ10の先端部10aと当接するように移動配置される。
【0025】
分流子20は、射出スリーブ10と当接することで、射出スリーブ10内に溶湯を注湯するための注湯口28を形成する。溶湯は、ラドル30などを用いて、給湯空間29側からこの注湯口28を介して射出スリーブ10内に注湯される。このとき、射出プランジャ12は、ラドル30による注湯量に合わせて射出スリーブ10内を徐々に後退移動し、注湯が終了するときには後退限にプランジャチップ11が位置するように移動する。
【0026】
従って、図示のように、この射出成形装置100は、射出スリーブ10内に溶湯をスリーブ充填率をほぼ100%近い状態で注湯することができる。これにより、射出時の空気の巻き込みや溶湯の酸化による様々な不具合を防止することができる。また、スリーブ充填率がほぼ100%に近い状態となるため、射出スリーブ10の長さを従来よりも短くすることができ、省スペース化を実現することができる。
【0027】
更に、射出スリーブ10の長さが短いので、注湯時や射出時の射出プランジャ12のストローク量を少なくすることができ、特に射出時間の短縮を図ることができる。また、分流子20が可動金型4とは別体に固定盤3に取り付けられているため、可動金型4を容易に交換することができ、汎用性を高めることができる。
【0028】
次に、第1の実施形態に係る射出成形装置100による射出成形方法について説明する。図3は、射出成形装置による射出成形工程を示すフローチャートである。図4及び図5は、射出成形装置を射出成形工程順に示す断面図である。図6は、射出成形装置における可動金型及び射出プランジャの移動速度と移動時間との関係を示す図である。
【0029】
まず、図4(a)に示すように、射出成形装置100を、可動金型4及び固定金型2が型開し、分流子20が可動金型4の凹部9内に収容されると共に、射出プランジャ12のプランジャチップ11が後退限に位置している状態にする。
【0030】
次に、図4(b)に示すように、可動金型4と分流子20を図中矢印で示すように、固定金型2との間に給湯空間29を形成する状態まで近付け(ステップS100)、図4(c)に示すように、分流子20を図中矢印で示すように前進移動させて、射出スリーブ10の先端部10aと当接させる(ステップS102)。
【0031】
そして、図4(d)に示すように、射出プランジャ12を図中矢印で示すように前進移動させて、プランジャチップ11が射出スリーブ10の先端部10aの前進限に位置している状態とする(ステップS104)。なお、このステップS104までの工程(動作)は、説明の便宜上それぞれに分けて説明したが、連動して同時に動作するように制御することが望ましい。
【0032】
プランジャチップ11を前進限まで移動させたら、図4(e)に示すように、溶湯31で満たされたラドル30を給湯空間29内に移動させ(ステップS106)、図4(f)に示すように、ラドル30を分流子20の注湯口28上で傾けて射出スリーブ10内への注湯を開始し、溶湯31が分流子20とプランジャチップ11とで構成される空間を満たしたら、これに併せて射出プランジャ12を図中矢印で示すように後退移動させ、プランジャチップ11を徐々に後退移動させる(ステップS108)。
【0033】
このとき、プランジャチップ11は、例えばラドル30の傾斜角度、溶湯31の注湯量、及び射出スリーブ10の容積などの情報に基づき、注湯がスリーブ充填率をほぼ100%に維持しながら、予め設定された鋳込み量となり終了する後退限までの距離を加味した後退移動速度で徐々に後退移動される。
【0034】
そして、図4(g)に示すように、徐々に後退移動されていたプランジャチップ11が射出スリーブ10内の後退限まで図中矢印で示すように後退移動されると同時に注湯を終了させ(ステップS110)、ラドル30を給湯空間29内から外部に移動させる。その後、図4(h)に示すように、可動金型4を図中矢印で示すように前進移動させて型閉を開始すると共に、例えば完全に型閉する直前に図中矢印で示すように射出プランジャ12を前進移動させてプランジャチップ11の前進移動を開始する(ステップS112)。
【0035】
すなわち、図6に示すように、射出成形装置100では、可動金型4が実線で示すような移動速度及び移動時間で前進移動して、型閉が完了する直前に、射出プランジャ12が点線で示すような移動速度及び移動時間で前進移動し、プランジャチップ11の前進移動が開始されて射出スリーブ10内の溶湯31の射出が開始される。
【0036】
このように、スリーブ充填率がほぼ100%の状態で、完全に型閉する直前に射出が開始されても、分流子20の注湯口28の近傍箇所や可動金型4のランナ部8には空間が存在するため、このような部分を射出プランジャ12の加速代とすることができ、溶湯31が溢れてしまうことはない。
【0037】
また、射出開始時にはスリーブ充填率がほぼ100%の状態であるため、溶湯31への空気などの混合を避けるために射出プランジャ12を低速で前進移動させる必要がなく、完全に型閉する直前での射出開始及び短い射出スリーブ長と相俟って、従来のものよりも射出時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0038】
なお、上記例では、プランジャチップ11の前進移動は、型閉が完了する直前に開始されたが、可動金型4が型閉において所定の位置に到達したときに開始されればよいので、型閉完了後に開始されてもよいし、可動金型4が型閉中で任意の位置にあるときに開始されてもよい。この場合、前進移動開始のトリガとして用いられる可動金型4の位置は、位置検出器を配置して直接検出したり、可動金型4が取り付けられた可動盤3を駆動する油圧シリンダなどの駆動装置の位置情報から間接的に検出したりすることで得るようにすればよい。
【0039】
射出を開始したら、図5(i)に示すように、射出プランジャ12を図中矢印で示すように加速させながら前進移動させ、溶湯31を分流子20を介してランナ部8及びゲート部7側へ押し出し、図5(j)に示すように、射出プランジャ12を図中矢印で示すように移動させてプランジャチップ11を一気に前進限まで前進移動させ、溶湯31をキャビティ6内に射出し、冷却などを行ってキュアリングする(ステップS114)。
【0040】
なお、このステップS114においては、分流子20は、可動金型4の凹部9にて支持されるため、射出に伴う増圧時(すなわち、型締力発生中)に油圧シリンダ21やピストンロッド22に負荷がかかることはなく、これらの耐久性を向上させることができる。
【0041】
キュアリングが完了したら、図5(k)に示すように、可動金型4を図中矢印で示すように後退移動させると共にこれに連動して分流子20を後退移動させて型開し、例えば図中矢印で示す方向に成形品32を取り出す(ステップS116)。最後に、図5(l)に示すように、スリーブスプレー39を固定金型2の分割面5b側に挿入し、射出スリーブ10内を先端部10a側から洗浄して(ステップS118)、射出成形工程を終了する。
【0042】
なお、ラドル30を備えた給湯手段の射出成形装置100におけるレイアウトは、例えば次のようになる。図7及び図8は、射出成形装置の給湯手段(給湯機構)のレイアウトを説明するための図である。図7に示すように、給湯手段は、ロボットアームの先端に取り付けられたラドル30を有する給湯装置33と、溶湯31が貯留されている炉37とを備える。
【0043】
そして、射出成形装置100のコントロールパネル38と装置本体101との間に、これら給湯装置33及び炉37が配置される。この場合、給湯時のラドル30の移動軌跡は、図中矢印曲線で示すようなものとなる。一方、図8に示すように、給湯装置33及び炉37を、図7で示した配置とは装置本体101の反対側となるように配置してもよい。
【0044】
このように、第1の実施形態に係る射出成形装置100は、分流子20が可動金型4と別体に備えられているため金型の交換が容易で汎用性が高い。また、給湯を給湯空間29から行いこれに併せて射出プランジャ12を後退させ、例えば完全に型閉する直前に射出を開始するため、固定盤1などを別途切り欠く必要が無く、剛性を損なうことなく射出ストロークを短くできて射出時間の短縮及び射出機構の簡素化を図ることができる。更に、給湯状況に合わせてスリーブ充填率がほぼ100%となるように射出プランジャ12を後退させるので、溶湯を酸化させることなくスリーブ充填率を高めつつ鋳込み量を自在に制御することができる。
【0045】
[第2の実施形態]
図9は、本発明の第2の実施形態に係る射出成形装置の全体構成を示す断面図である。図9に示すように、第2の実施形態に係る射出成形装置100Aは、分流子20の配置態様及び移動方向が、第1の実施形態に係る射出成形装置100と相違している。
【0046】
すなわち、分流子20は、図中矢印で示すように、固定金型2の分割面5bに沿った方向に進退動して射出スリーブの先端部10aと当接可能となるように、図示しない装置本体101に取り付けられた油圧シリンダ21のピストンロッド22の先端に取り付けられている。この第2の実施形態に係る射出成形装置100Aによっても、上記第1の実施形態に係る射出成形装置100と同様の作用効果を奏することができる。
【0047】
[第3の実施形態]
図10は、本発明の第3の実施形態に係る射出成形装置の全体構成を示す断面図である。図10に示すように、第3の実施形態に係る射出成形装置100Bは、分流子20の配置態様が、第1及び第2の実施形態に係る射出成形装置100,100Aと相違している。
【0048】
すなわち、分流子20は、図中矢印で示すように、第1の実施形態に係る射出成形装置100の分流子20と同様の方向に進退動し、射出スリーブ10の先端部10aと当接可能となるように配置されているが、ピストンロッド22を有する油圧シリンダ21が、固定盤1の前面における固定金型2の下方に取り付けられている点が相違している。この第3の実施形態に係る射出成形装置100Bによっても、上記第1及び第2の実施形態に係る射出成形装置100,100Aと同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 固定盤
2 固定金型
3 可動盤
4 可動金型
5a,5b 分割面
6 キャビティ
7 ゲート部
8 ランナ部
9 凹部
10 射出スリーブ
10a 先端部
11 プランジャチップ
12 射出プランジャ
19 スリーブ孔
20 分流子
21 油圧シリンダ
22 ピストンロッド
28 注湯口
29 給湯空間
30 ラドル
31 溶湯
32 成形品
33 給湯装置
37 炉
38 コントロールパネル
39 スリーブスプレー
100 射出成形装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定盤に設けられた固定型及び可動盤に設けられた可動型からなる金型手段と、
前記固定盤及び固定型を貫通し、先端部が前記固定型と前記可動型との分割面まで到達すると共に、内部にプランジャチップが取り付けられた射出プランジャを備えた射出スリーブと、
前記射出スリーブの先端部と当接するように進退動手段によって進退自在に設けられた分流子と、
前記金型手段が所定位置まで型閉することにより形成される前記分割面側の給湯空間から、溶湯を前記射出スリーブ内に注湯可能な給湯手段とを備え、
前記分流子は、前記射出スリーブの先端部と当接することにより前記溶湯を前記射出スリーブ内に注湯するための注湯口を形成し、
前記プランジャチップは、前記給湯手段が注湯を開始するときは前記射出スリーブの先端部に配置され、且つ前記給湯手段による注湯が予め設定された鋳込み量となり終了するまで、注湯開始から注湯状況に応じて前記射出スリーブ内を後退限まで後退移動すると共に、前記金型手段の型閉において前記可動型が所定の位置に到達したときに前記射出スリーブ内の前進移動を開始する
ことを特徴とする射出成形装置。
【請求項2】
前記プランジャチップは、前記鋳込み量に応じて前記射出スリーブ内に充填される前記溶湯のスリーブ充填率が所定の値となるように、前記後退限の位置を変更可能に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1記載の射出成形装置。
【請求項3】
前記分流子は、前記金型手段が型閉し型締力発生中は、前記可動型に支持される
ことを特徴とする請求項1又は2記載の射出成形装置。
【請求項4】
前記分流子は、前記金型手段が型開するときは、前記可動型と連動して移動する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の射出成形装置。
【請求項5】
前記射出スリーブ内を洗浄する洗浄手段を更に備え、
前記洗浄手段は、前記金型手段の前記分割面側から前記射出スリーブ内を洗浄する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の射出成形装置。
【請求項6】
固定盤に設けられた固定型及び可動盤に設けられた可動型からなる金型手段を所定位置まで型閉することにより、前記固定型と前記可動型との分割面側に給湯空間を形成する工程と、
前記固定盤及び固定型を貫通し、先端部が前記分割面まで到達すると共に内部にプランジャチップが取り付けられた射出プランジャを備えた射出スリーブの前記先端部に、進退動手段によって前記先端部と当接するように進退自在に設けられると共に前記先端部と当接することにより溶湯を前記射出スリーブ内に注湯するための注湯口を形成する分流子を当接させる工程と、
前記プランジャチップを前記先端部まで前進移動させる工程と、
前記給湯空間から給湯手段によって前記注湯口を介して前記射出スリーブ内に注湯を開始すると共に、注湯が予め設定された鋳込み量となり終了するまで、注湯開始から注湯状況に応じて前記プランジャチップを前記射出スリーブ内の後退限まで後退移動させる工程と、
前記可動型を前記所定位置から前記固定型に近付けて前記金型手段を型閉させる工程と、
前記金型手段の型閉において前記可動型が所定の位置に到達したときに前記プランジャチップを前記後退限から前進移動させて溶湯を前記射出スリーブ内から射出する工程とを備えた
ことを特徴とする射出成形方法。
【請求項7】
前記プランジャチップを前記後退限まで後退移動させる工程では、前記鋳込み量に応じて前記射出スリーブ内に充填される前記溶湯のスリーブ充填率が所定の値となるように前記後退限の位置を変更可能である
ことを特徴とする請求項6記載の射出成形方法。
【請求項8】
前記プランジャチップを前記後退限まで後退移動させる工程では、前記射出スリーブ内に充填される前記溶湯のスリーブ充填率が充填中において所定の値を維持するように前記プランジャチップが後退移動される
ことを特徴とする請求項6記載の射出成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−71156(P2013−71156A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212049(P2011−212049)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(300041192)宇部興産機械株式会社 (268)