説明

導光体

【課題】光の入射角をより広く許容でき、確実に所望の位置へと導光できる導光体を提供する。
【解決手段】導光モジュール1は、半円形状の板状の本体部20を備える。本体部20には、直径部に沿って赤外線が入射する入射面20Aを形成する。入射面20Aに対向する直径部には、入射面20Aの法線方向に対し傾斜して設けられ、入射面20Aから入射した赤外線を反射する入射反射面20Bを形成する。本体部20には、入射反射面20Bで反射した赤外線を出射部21A(22A)に導く円弧状の導光路212,213,214,215(222,223,224,225)を形成する。出射部21A(22A)は、長手方向が半円形状の中心線Lに沿って形成され、導光路212,213,214,215(222,223,224,225)により導かれた赤外線を、本体部20の背面側へ反射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射した光、特に赤外線信号を、全反射しながら導光し、入射位置とは異なる位置から出射する導光体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一般家庭においても、臨場感のある音響を再生するために、テレビ又はプレーヤ等のAV(Audio Visual)機器にスピーカが接続されることが多くなっている。このようなスピーカとして、これまでに、テレビスタンド前方に設置して使用するバースピーカと呼ばれるものが提案されている。バースピーカはバー状の一つの筐体に複数のスピーカが配列されて構成されている。しかしながら、テレビの下部にはリモートコントローラ(以下、リモコンという)から出力される赤外線信号を受光する受光部が設けられていることが多く、バースピーカを設置した場合、受光部がバースピーカにより隠れてしまい、テレビがリモコンからの赤外線信号を受光できなくなるといった問題があった。
【0003】
そこで、バースピーカの前方から照射された赤外線信号を屈折させて、バースピーカの背面側に回り込ませ、テレビの受光部が赤外線信号を受光できるようにすることが提案されている。例えば、特許文献1に記載のように、光を屈折させるアクリル樹脂等を用いることが考えられている。特許文献1では、液晶表示装置において、筐体をアクリル樹脂等から構成し、その筐体内部で、光源から出射された光を複数回屈折させて、光学表示部へと効率的に導光している。この特許文献1のように、アクリル樹脂等からなる導光部材を利用して、例えばバースピーカの筐体の上面から背面にかけて導光部材を設置することで、バースピーカ前方から照射される赤外線信号を屈折させて、バースピーカの背面側に位置するテレビの受光部へ導光することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−361664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この場合において、ユーザは常に同じ位置からリモコンを操作するとは限らないため、導光部材への赤外線信号の入射角がより広く許容されることが望まれる。また、テレビの受光部は全てのテレビにおいて同じ位置に設けられているわけではない。特に、テレビの幅方向に対する位置の変更は、設置する導光部材を幅方向へずらすことで容易に対応することができるが、高さ方向の位置の変更は容易に行えず、それに容易に対応できるようにすることが望まれる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、光の入射角をより広く許容でき、確実に所望の位置へと導光できる導光体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、入射面から入射された光を、導光路を通過させて出射面から出射させる導光体において、前記入射面は、第1方向に長い形状であり、記出射面は、前記第1方向に直交する第2方向に長い形状であり、前記導光路は、前記入射面から入射された光を前記出射面へ導くことを特徴とする。
【0008】
この構成では、第1方向に広い入射面から入射した光が、入射面の面方向に沿って第1方向に直交する第2方向に広い出射面へと導かれ、その出射面から出射される。これにより、例えば、第1方向をテレビの幅方向とし、第2方向を高さ方向とした場合、導光体をテレビ受光部に対し幅方向に一致する位置に設置すれば、受光部の高さに関係なく、テレビ操作用の赤外線信号を受光部に対して出射することができる。また、この場合、入射面が幅方向(第1方向)に広いため、幅方向に広い範囲から光の入射を許容することができる。
【0009】
本発明に係る導光体は、前記入射面に対向して設けられ、前記入射面から入射した光を前記導光路側へ反射する反射面をさらに備え、前記導光路は、前記反射面により反射された光を前記出射面へ導くことを特徴とする。
【0010】
この構成では、例えば、入射面の法線方向(水平方向)に沿って入射した光を、傾斜面によって光を鉛直方向へ反射させることができるため、導光体が法線方向に大きくならないようにできる。
【0011】
本発明に係る導光体において、前記出射面は、前記反射面側となる前記入射面の法線方向へ光を出射することを特徴とする。
【0012】
この構成では、入射面に入射される光の進行方向と略同じ方向へ光を出射させることができる。これにより、上述のように、テレビ前方にバースピーカを設置した場合であっても、テレビ前方で操作したリモコンを、テレビ受光部へ導くことができる。
【0013】
本発明に係る導光体は、前記入射面および前記出射面を接続する導光部材をさらに備え、前記導光部材にスリットを複数形成し、前記スリットの間を前記導光路としていることを特徴とする。
【0014】
この構成では、スリットを設けて導光路を形成することで、導光路の幅を調整することが可能となる。導光路の幅を調整することで、入射された光を導光路で全反射させることができ、入射した光を無駄なく確実に出射面へと導くことができる。
【0015】
本発明に係る導光体において、前記導光部材は、中心角度が略90度の扇状であって、前記入射面および前記反射面は、前記導光部材の半径部に形成されており、前記スリットは、扇状の中点を中心として円弧状に形成されていることを特徴とする。
【0016】
この構成では、円弧状のスリットが扇状の導光部材の中心としているため、スリットの大きさ(半径)が調整しやすく、これにより、導光路の幅も調整しやすくできる。
【0017】
本発明に係る導光体において、前記導光路は、前記スリットの円弧の半径によって決定された幅を有している
この構成では、導光路の幅がスリットにより調整されている。円弧状の導光路で入射した光が全反射するには導光路の幅が影響する。このため、導光体の大きさに合わせてスリットの円弧の半径を決定し、その半径から円弧状導光路の幅を決定することで、導光体自体を大きくすることなく、最適な導光部を形成することができる。
【0018】
本発明に係る導光体は、前記導光部材の中点近傍に設けられ、前記反射面で反射した光を前記出射面へ導く直線状導光路をさらに備えることを特徴とする。
【0019】
この構成では、導光部材の中点近傍に直線状導光路を設けている。これにより、円弧状導光路を形成できない領域にも、導光路を形成することで、出射面全体に対して赤外線を導くことができるため、出射面全体から赤外線を外部へ出射することで、より確実に、出射先、例えば受光部に対して出射することができる。
【0020】
本発明に係る導光体は、前記入射面および前記反射面が形成された前記導光部材を二つ備えており、二つの前記導光部材それぞれの前記反射面が対向し、かつ、対向する前記反射面間に沿った直線を中心に二つの前記導光部材が左右対称となるよう一体形成されていることを特徴とする。
【0021】
この構成では、入射面を幅方向により広くすることができるため、幅方向により広い範囲から光の入射を許容することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、光の入射角をより広く許容でき、確実に所望の位置へと導光することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態に係る導光モジュールの設置状態を示す図
【図2】(A)は導光モジュールの上面図、(B)は正面図、(C)は下面図、(D)は側面図
【図3】導光モジュールの下方からの斜視図
【図4】赤外線が全反射する導光路の幅の決定方法を説明するための模式図
【図5】導光路に対する赤外線の入射角度を模式的に示す図
【図6】導光モジュールにおける赤外線の導光の軌跡を模式的に示す図
【図7】他の形状の導光路を有する導光モジュールを示す図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る導光体の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。
【0025】
図1は本実施形態に係る導光モジュールの設置状態を示す図である。本実施形態では、テレビ100の前方、より具体的には、テレビ100のテレビスタンド前方であって、テレビ100の表示画面101と高さ方向において被らないようにバースピーカ200が設置される。図1(A)はバースピーカ200をテレビ100の前方に設置した状態の斜視図であり、図1(B)は側面視図である。
【0026】
テレビ100は、操作信号としての赤外線信号(以下、赤外線という)を受光する受光部102を備えている。受光部102が受光する赤外線はテレビ100用のリモコン300から送信される。受光部102は表示画面101の下方に設けられている。本実施形態では、受光部102が設けられたパネルに対向するようにバースピーカ200が設けられている。このため、受光部102は、バースピーカ200により遮られ、リモコン300からの赤外線を直接受光することができない。
【0027】
バースピーカ200は一方向に長い直方体形状の筐体201を有している。バースピーカ200は、筐体201の長手方向がテレビ100の幅方向と一致し、かつ、筐体201の一面(以下、この面を背面という)がテレビ100側となるようにテレビ100の前方に設置されている。バースピーカ200は、複数のスピーカ202,203,204,205,206を備えている。スピーカ202〜206は、筐体201の背面に平行な面(以下、前面という)の長手方向に沿って設けられている。バースピーカ200は、図示しない配線によりテレビ100と接続され、テレビ100から音声信号を受信し、スピーカ202〜206により前方へ放音する。
【0028】
バースピーカ200には、導光モジュール1が設置されている。導光モジュール1は、図1(A)に示すように、幅方向において、テレビ100の受光部102と一致する位置で、バースピーカ200の筐体201の上面および背面に沿って設置されている。導光モジュール1は、リモコン300が操作され、図1(B)の点線矢印で示すように、バースピーカ200前方から照射された赤外線が入射されると、内部で全反射を繰り返し、筐体201の背面の法線方向(図1(B)の実線矢印)へ出射するよう構成されている。
【0029】
導光モジュール1から出射された赤外線は、テレビ100の受光部102により受光される。このように、テレビ100は、バースピーカ200により受光部102が遮られていても、導光モジュール1を介して、赤外線を受光することができる。
【0030】
なお、本実施形態に係る導光モジュール1は、入射角度が0度〜約(±)60度の範囲で入射されたリモコン300からの赤外線を、筐体201の背面の法線方向へ出射するよう構成されているものとする。より具体的には、導光モジュール1の真正面に位置するリモコン300からの赤外線の入射角度を0度とした場合、導光モジュール1は、その位置を中心に水平方向に左右それぞれ60度に移動されたリモコン301又はリモコン302からの赤外線をも筐体201の背面の法線方向へ出射する。これにより、ユーザは導光モジュール1を中心として広範囲にわたる位置からのリモコン操作が可能となる。
【0031】
以下、導光モジュール1の具体的構成について詳述する。図2(A)は導光モジュール1の上面図、図2(B)は正面図、図2(C)は下面図、図2(D)は側面図である。図3は導光モジュール1の下方からの斜視図である。
【0032】
導光モジュール1は、例えばアクリル樹脂から形成されており、載置部10および本体部20を備えている。載置部10は、側面視が略台形の板状であって、本体部20の一面に略垂直に設けられている。導光モジュール1をバースピーカ200に設置する際は、載置部10をバースピーカ200の筐体201の上面に載置する。
【0033】
本体部20は、約4mmの厚みを有する板状の導光部材であって、正面視が略半円形となっている。載置部10は、本体部20の一面における直径側端部から所定距離(例えば、約4mm)離れた部分に略垂直に設けられている。従って、載置部10をバースピーカ200の筐体201の上面に載置すると、本体部20は、半円形の直径をなす部分(以下、直径部という)が上方、円弧状の縁部分(以下、円弧部という)が下方となる状態で、筐体201の背面と略平行となって配置される(図1(B)参照)。
【0034】
以下では、筐体201の背面と対向する本体部20の面、すなわち、載置部10が設けられている面を前面(正面)とし、その反対面を後面(背面)とする。導光モジュール1がバースピーカ200に設置された場合、本体部20の背面は、テレビ100の受光部102側となる。
【0035】
また、図2(B)に示すように、本体部20の前面における直径部と載置部10との間の部分に入射面20Aが形成される。入射面20Aは、リモコン300からの赤外線を入射する面であり、導光モジュール1の幅方向を長手方向とする長方形状となっている。
【0036】
また、本体部20は、図2(D)に示すように、直径部の背面側が略45度にカットされて形成された傾斜面(以下、入射反射面という)20Bを有している。この入射反射面20Bは、入射面20Aと対向配置するように形成されている。後に詳述するが、入射面20Aから入射された赤外線は、入射反射面20Bにより全反射して、本体部20の内部である入射反射面20Bの下方、すなわち円弧部へ向かうようになっている。
【0037】
本体部20は、図2(B)に示すように、中心角が略90度の扇形状の導光板21,22を有し、導光板21,22が一体形成されて半円形を構成している。導光板21,22は、半円形の中心線Lに沿って形成された出射部21A,22Aを有している。この出射部21A,22Aは、中心線Lに沿った方向を長手方向とする長方形状であって、略45度にカットされて形成された傾斜面を有している。入射面20Aから入射され、入射反射面20Bで反射された赤外線は、導光板21,22内で全反射し、出射部21A,22Aまで導かれる。そして、赤外線は、45度をなす出射部21A,22Aの傾斜面により反射して、本体部20の背面側から出射されるようになる(図1(B)の点線矢印参照)。
【0038】
出射部21A,22Aは、傾斜面が頂部を構成するように、長辺が密着していてもよいし、僅かな間隔が設けられていてもよい。図2(B)では間隔が設けられた構成を示している。また、入射面20Aの長手方向における中央部の下方であって、出射部21A,22Aの長手方向の端部(の載置部10側)には、略45度に傾斜した傾斜面23が設けられている。入射面20Aの長手方向における中央部から赤外線が入射された場合、入射反射面20Bで鉛直下方向に反射した赤外線は、45度に傾斜した傾斜面23により、導光モジュール1の背面側へ出射されるようになっている。
【0039】
以下に導光板21,22において、入射された赤外線を出射部21A,22Aに導く導光路について具体的に説明するが、導光板21,22は、半円形状の本体部20の中心線を中心に左右対称となる同形状であるため、導光板21についてのみ説明する。導光板22については、対応する符号を括弧書きで記載するものとする。なお、以下の説明で、中心部(交差部)とは本体部20の半円形の中心点を言う。
【0040】
導光板21(22)の中心部近傍には、本体部20の直径に対して略45度に傾く導光路211(221)を形成する孔21B(22B)が設けられている。導光路211(221)の端部は、出射部21A(22A)の長手方向に平行となるよう形成されている。
【0041】
なお、導光路211(222)を形成する孔21B(22B)において、導光路211(222)の端部に対向する部分は、出射部21A(22A)の長手方向に対し所定角度で傾斜した面となっている。後に詳述するが、導光路211(222)の端部から出射された赤外線は、この孔21B(22B)の傾斜面で屈折し、幅方向から斜め上方向に向かうようになる。
【0042】
また、導光板21(22)には、中心部から円弧側端部に向かって順に、中心部を中心とした円弧状のスリット21C,21D,21E(22C,22D,22E)が形成されている。孔21B(22B)およびスリット21C,21D,21E(22C,22D,22E)が形成されることによって、その間に赤外線を導光する円弧状の導光路212,213,214,215(222,223,224,225)が形成される。
【0043】
各円弧状のスリット21C,21D,21E(22C,22D,22E)により形成される各導光路212,213,214,215(222,223,224,225)はR形状であるため、各導光路212,213,214,215(222,223,224,225)の半径が小さいと、導光路212,213,214,215(222,223,224,225)の境界面に対する赤外線の入射角度が垂直に近くなり、入射された赤外線がR部分で透過して全反射しない場合がある。この場合、赤外線は出射部21Aまで導かれなくなる。そこで、各導光路212,213,214,215(222,223,224,225)は、内部で赤外線が全反射するように所定の幅をもって形成される必要がある。
【0044】
図4は、赤外線が全反射する導光路215の幅の決定方法を説明するための模式図である。なお、図4では、導光路215の幅の決定方法について説明しているが、他の導光路212,213,214(222,223,224)についても同様である。また、図4では、円弧状の導光路215の径Rとし、導光路215の幅tとする。径Rは、本体部20の中心点から導光路215の幅の中央を通過する円弧(図中の一点鎖線)までの距離とする。
【0045】
導光路215は、入射面20Aから入射され、入射反射面20Bで反射した赤外線を出射部21Aまで導光する。しかしながら、上述のように、導光路215はR形状となっているため、赤外線がR部分で透過して全反射しないことで、出射部21Aまで赤外線が導光されなくなる。これを回避するために、径Rを大きくすれば、赤外線は導光路215で全反射するようになるが、一方で、導光モジュール1の大きさが大きくなる。そこで、導光路215の幅tを小さくすることで、導光路215内で赤外線が全反射するようになる。
【0046】
この径Rおよび幅tは、導光路215に対する赤外線の入射角度を考慮して決定される。図5は、導光路215に対する赤外線の入射角度を模式的に示す図である。図5に示す直線の一点鎖線は、導光モジュール1の幅方向、すなわち、入射面20Aの長手方向に沿った、導光路215の入口部(赤外線の入射口)を示している。
【0047】
導光モジュール1の入射面20Aに対して入射角度が0度で赤外線が入射された場合、赤外線は、入射反射面20Bにより鉛直下方向に反射する。この場合、図中の点線矢印Xで示すように、赤外線は、導光路215の入口部に対しても入射角度が0度で、導光路215に入射される。
【0048】
一方、導光モジュール1の入射面20Aに対して斜め方向から赤外線が入射された場合、赤外線は、入射反射面20Bにより鉛直下方向でなく斜め下方向に反射する。この場合、図中の点線矢印Yで示すように、赤外線は、導光路215の入口部に対しても斜め方向から導光路215に入射される。
【0049】
径Rおよび幅tは、図中の点線矢印X,Yの何れであっても、導光路215で全反射するよう決定される。本実施形態では、0度から約(±)60度の範囲の入射角度(図1(A)に示すリモコン301,302からの赤外線の入射角度)で入射した赤外線が、導光路215で全反射するように径Rおよび幅tを決定しており、これを充足する関係をR=t×5としている。すなわち、導光モジュール1の大きさを決定すれば径Rが決まるため、その径Rに応じて各導光路212〜215(222〜225)の幅tが決定する。そして、決定した幅tの各導光路212〜215(222〜225)が形成されるように各スリット21C,21D,21E(22C,22D,22E)を形成すればよい。
【0050】
このように、斜め方向から赤外線が各導光路212〜215(222〜225)に入射されても、全反射して出射部21A(22A)へ導かれるようにすることで、ユーザは、導光モジュール1の真正面でリモコン300を操作する必要がなく、導光モジュール1の真正面からずれた位置からでもリモコン300を介してテレビ100を操作することが可能となる。
【0051】
なお、導光モジュール1の大きさを考慮する必要がない場合には、スリット21C,21D,21E(22C,22D,22E)を設けず、本体部20の扇形状部分全体を導光路としてもよい。
【0052】
以下に、上述のように構成された導光モジュール1における赤外線の導光について詳述する。以下の説明においても導光板21についてのみ説明し、導光板22については、対応する符号を括弧書きで記載するものとする。
【0053】
図6は、導光モジュール1における赤外線の導光の軌跡を模式的に示す図である。図6(A)は、入射面20Aおよび入射反射面20B間における赤外線の軌跡を側面視した場合を示している。図6(B)は、導光路211,212,213,214,215(221,222,223,224,225)における赤外線の軌跡を正面視した場合を示している。図6(C)は、出射部21A(22A)における赤外線の軌跡を下方から視た場合を示している。
【0054】
入射面20Aから入射された赤外線は、図6(A)に示すように、入射反射面20Bにおいて、本体部20の下方へ反射する。このとき、リモコン300が導光モジュール1の真正面で操作された場合、入射面20Aに対する赤外線の入射角度は0度となり、入射された赤外線は、入射反射面20Bにおいて鉛直下方向へ反射する。一方、リモコン300が導光モジュール1の斜め方向で操作された場合、入射面20Aに対して斜め方向から赤外線が入射される。この場合、赤外線は、入射反射面20Bにおいて鉛直下方向ではなく斜め下方向へ反射する。
【0055】
入射反射面20Bにより反射した赤外線は、図6(B)に示すように、各導光路211,212,213,214,215(221,222,223,224,225)で全反射を繰り返し、出射部21A(22A)へと進む。
【0056】
このとき、入射面20Aの長手方向の中央付近から入射された赤外線は、導光路211,212(221,222)等により、出射部21A(22A)の上部に導かれる。そして、図6(C)に示すように、出射部21A(22A)に入射された赤外線は、約45度をなす出射部21A(22A)において本体部20の背面側へ反射して出射される。
【0057】
また、導光路211(221)の端部から出射された一部の赤外線は、上述した孔21B(22B)の傾斜面で屈折し、幅方向に対し斜め上方向にも向かうようになり、出射部21A(22A)の上部から本体部20の背面側へ出射されるようになる。導光板21(22)の中心部近傍には、円弧状のスリットを形成する十分なスペースが確保できない場合がある。このため、入射面20Aの長手方向の中央部近傍から赤外線が入射された場合、出射部21A(22A)の上部から赤外線が出射されなくなる。この場合、赤外線が出射されない部分に対向する位置に、テレビ100の受光部102が位置していると、受光部102は赤外線を受光できなくなる。このため、導光路211(221)を形成することで、斯かる問題を回避できる。
【0058】
入射面20Aの長手方向の端部付近から入射された赤外線は、導光路213,214,215(223,224,225)等により、出射部21A(22A)の中央部から下部に導かれる。そして、出射部21A(22A)に入射された赤外線は、約45度をなす出射部21A(22A)において本体部20の背面側へ反射して出射される。また、入射面20Aの長手方向の中央部から入射された赤外線は、傾斜面23により、本体部20の背面側へ出射される。
【0059】
このように、導光モジュール1は、幅方向に長い入射面20Aから入射した赤外線を、他か方向に長い出射部21A(22A)から出射することができる。このため、受光部102の高さがテレビ100の種類によって異なっていても、高さ方向に長い出射部21A(22A)から赤外線を出射することで、導光モジュール1は、確実に赤外線を受光部102へ出射することができる。
【0060】
また、各導光路211,212,213,214,215(221,222,223,224,225)では、赤外線が様々な角度で反射し、あらゆる方向へ進行するため、赤外線は、スリット21C,21D,21E(22C,22D,22E)と出射部21A(22A)との間にも回り込み、そこから出射部21A(22A)を介して出射される。このため、出射部21A(22A)全体から赤外線が出射されるため、導光モジュール1は、確実に赤外線を受光部102へ出射することができる。
【0061】
また、図5で説明したように、各導光路211,212,213,214,215(221,222,223,224,225)は、斜め方向から赤外線が入射されても全反射するよう形成されている。このため、導光モジュール1は、入射面20Aに対して斜め方向から赤外線が入射された場合であって、赤外線を確実に出射部21A(22A)へ導いている。すなわち、導光モジュール1は、ユーザが導光モジュール1に対して真正面だけでなく、斜め方向からリモコン300を操作しても、赤外線をテレビ100側へ出射することができる。
【0062】
以上、本実施形態に係る導光モジュール1について説明したが、導光モジュール1の具体的構成などは、適宜設計変更可能であり、上述の実施形態に記載された作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、上述の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0063】
例えば、導光モジュール1は、半円形状を形成するよう、導光板21,22が一体形成されて構成されているものとしたが、導光板21または導光板22のみから構成されていてもよい。また、導光板21,22の径Rおよび各導光路212,213,214,215(222,223,224,225)の幅tの関係であるR=t×5は、入射面20Aに対する赤外線の入射角度に応じて適宜変更可能である。
【0064】
また、導光路212,213,214,215は円弧状としているがこれに限定されない。図7は、他の形状の導光路を有する導光モジュール1を示す図である。なお図7では、図2における導光板22側のみ示しているが、導光板21側も同様の構成とする。
【0065】
図7(A)に示すように、導光モジュール1の入射面20Aからの赤外線を出射部22Aへ導く導光板25は直線状であってもよい。すなわち、入射面20A、出射部22Aおよび導光板25は、導光モジュール1を正面視した場合に、三角形状となっている。この導光板25には、入射面20Aおよび出射部22Aの長手方向に傾斜したスリット251A,252A,253Aが形成され、各スリット251A,252A,253Aの間を導光路251,252,253としている。
【0066】
また、図7(B)に示すように、導光モジュール1の入射面20Aからの赤外線を出射部22Aへ導く導光板26は円弧状であってもよい。この場合、導光板26は、入射面20Aおよび出射部22A側に膨らんだ円弧状を有している。この導光板26に、スリット261A,262Aが形成され、各スリット261A,262Aの間を導光路261,262としている。
【0067】
さらに、図7(C)に示すように、導光モジュール1の入射面20Aからの赤外線を出射部22Aへ導く導光板27は多角形状であってもよい。図7(C)では、入射面20A、出射部22Aおよび導光板25は、導光モジュール1を正面視した場合に、五角形状となっている。この導光板27には、入射面20Aおよび出射部22Aの長手方向に沿った部分と、入射面20Aおよび出射部22Aに対し傾斜する部分を有するスリット271A,272A,273A,274A,275Aが形成され、各スリット271A,272A,273A,274A,275Aの間を導光路271,272,273,274,275としている。
【0068】
また、図7(D)に示すように、導光路上の一部が他の部材からなっていてもよい。導光モジュール1の入射面20Aからの赤外線を出射部22Aへ導く導光部28は、導光路端部281A,282A,283Aと、導光路端部281B,282B,283Bと、導光路端部同士を接続し、一部が導光部28とは異なる素材からなる導光路291,292,293を有している。導光路291は、導光路端部281A,281Bを接続する。導光路292は、導光路端部282A,282Bを接続する。導光路293は、導光路端部283A,283Bを接続する。なお、この時の導光路291,292,293は、導光する性質を備えたものであればなんでもよい。
【0069】
このように、入射面21Aかの赤外線を出射部22Aへ導光させる導光板の構成等は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0070】
1−導光モジュール(導光体)
20−本体部
20A−入射面
20B−入射反射面
21,22−導光板
23−傾斜面
21A,22A−出射部(出射面)
21B,21C,21D,21E−スリット
22B,22C,22D,22E−スリット
211−導光路(直線状導光路)
212,213,214,215−導光路(円弧状導光路)
221−導光路(直線状導光路)
222,223,224,225−導光路(円弧状導光路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射面から入射された光を、導光路を通過させて出射面から出射させる導光体において、
前記入射面は、第1方向に長い形状であり、
前記出射面は、前記第1方向に直交する第2方向に長い形状であり、
前記導光路は、
前記入射面から入射された光を前記出射面へ導く、導光体。
【請求項2】
前記入射面に対向して設けられ、前記入射面から入射した光を前記導光路側へ反射する反射面をさらに備え、
前記導光路は、
前記反射面により反射された光を前記出射面へ導く、請求項1に記載の導光体。
【請求項3】
前記出射面は、
前記反射面側となる前記入射面の法線方向へ光を出射する、
請求項2に記載の導光体。
【請求項4】
前記入射面および前記出射面を接続する導光部材をさらに備え、
前記導光部材にスリットを複数形成し、前記スリットの間を前記導光路としている、請求項1から3の何れか一つに記載の導光体。
【請求項5】
前記導光部材は、中心角度が略90度の扇状であって、
前記入射面および前記反射面は、前記導光部材の半径部に形成されており、
前記スリットは、
扇状の中点を中心として円弧状に形成されている、
請求項4に記載の導光体。
【請求項6】
前記導光路は、前記スリットの円弧の半径によって決定された幅を有している、ことを特徴とする請求項5に記載の導光体。
【請求項7】
前記導光部材の中点近傍に設けられ、前記反射面で反射した光を前記出射面へ導く直線状導光路、
をさらに備える請求項6に記載の導光体。
【請求項8】
前記入射面および前記反射面が形成された前記導光部材を二つ備えており、
二つの前記導光部材それぞれの前記反射面が対向し、かつ、対向する前記反射面間に沿った直線を中心に二つの前記導光部材が左右対称となるよう一体形成されている、
請求項5から7の何れか一つに記載の導光体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−242684(P2012−242684A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114024(P2011−114024)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】