説明

導光板、光拡散板および照明用モジュール

【課題】 広い面の全体で均一の光取り出し効率を向上させ、小型化、薄型化を図る。
【解決手段】 照明用モジュール(10)は、帯状の基板(20)と、その基板(20)に固定したサイドビュー型光源(30)と、そのサイドビュー型光源(30)の照射面に入射端面(41)が接するように固定され、その入射端面(41)から入射した光を第一平面(43)に設けた第一プリズム(44)で反射し、その反対側の第二平面(45)に設けた第二プリズム(46)で光を拡散して出射する面発光タイプの導光板(40)と、その導光板(40)の第二平面(45)に位置させて前記導光板(40)の光を第三平面(53)に入射してからその反対側の第四平面(55)に設けた第四プリズム(56)で前記光を拡散して出射する光拡散板(50)と、前記導光板(40)の第一平面(43)に位置させた反射シート(12)を備え、かつ前記の各部材を支持するための支持フレーム(11)と、で構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板、光拡散板、並びに前記導光板、光拡散板を用いた照明用モジュールに関する。特に、家具に組み込まれる薄型照明装置、携帯電話機やパーソナルコンピュータなどの情報端末における出力画面のバックライト、などに用いられる導光板、光拡散板、並びに前記導光板、光拡散板を用いた照明用モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機やパーソナルコンピュータなどの情報端末には液晶ディスプレイなどの表示装置が広く用いられている。上記の液晶ディスプレイの液晶パネルに光を照射するバックライトの照明用モジュールが使用されている。
近年、携帯電話機やパーソナルコンピュータ等は、よりいっそうの小型化、薄型化が求められているために、バックライトにおいても小型化、薄型化が要求されている。たとえば薄くて狭い空間でも照明が可能な領域でサイドビュー型LED(発光ダイオード)や、そのLEDを活かす構造を備えたバックライトが提供されている。
【0003】
従来の照明用モジュール60を、図9に模式的に図示する。ここで示しているように、金属フレーム61(実際には箱型形状)の内部に反射シート62を載置し、この反射シート62の上面に位置して導光板70を配置する。この導光板70は、金属フレーム61の図示しない基板上に配置したサイドビュー型のLED63からの光を入射端面71から入射し、この入射した光を導光板70の下面に設けたプリズムでその反対側の上面に出射する面発光タイプである。
【0004】
さらに、上記の導光板70の上面に位置させて光拡散シート80を配置する。この光拡散シート80は前記導光板70からの光をその下面から入射し、この入射した光を乱反射させて拡散させ、広い面全体を均一な明るさにする。
【0005】
また、上記の光拡散シート80の上面に位置させてBEF(輝度上昇フィルム)シート81を配置する。そのBEFシート81は、透明性にすぐれたポリエステルの表面に、独自のランダムプリズムパターンをアクリル樹脂で精密成形した光学フィルムであり、上記の光拡散シート80の上面から出射した光の正面輝度のレベルを向上するものである。
なお、上記のBEFシート81の上面は遮光シート付きの透明プレートなどのトップカバー64で覆い、金属フレーム61の上に装着する。
【0006】
さて、特許文献1では、図9の導光板のように、その上面に位置して、様々な角度に向けて光を方向転換するプリズム構造を有する光方向転換性フィルムを配置している。その光方向転換性フィルムは、選択された頂角と、選択された第一の底角と、選択された第二の底角を有する複数のプリズム構造を含み、選択された屈折率値を有する材料を含み、各選択が、60度の極角において改善された輝度を提供するのに十分である。あるいは、上記の光方向転換性フィルムの上面に位置して光拡散フィルムを配置している。これにより、LED光源での高められた光混合を提供する。
【0007】
【特許文献1】特開2008−112717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
消費電力が小さいLEDは、蛍光灯や白熱電灯の代替品として期待され、益々普及している。
ところで、従来の図9の照明用モジュール60においては、LED63を光源とする場合は、LED63が強い光を放出するので、光源付近に生じる白斑の問題点を解決するためにBEFシート81を用いている。このBEFシート81のレベルを上回るような正面輝度を必要とする高出力のLED63が使用されると対応できないという問題点があった。
この問題は、人や商品をディスプレイするような照明装置においては改善したい課題の一つであった。また、他の照明装置でも、光を均一に取り出せるLED照明が求められている。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、広い面全体での均一な光であって、しかも光取り出し効率が高く、組み立て作業性にも優れた照明用モジュールやそれに用いるデバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、 光源(30)からの光を入射する入射端面(41)と、その入射端面(41)から入射した前記光をほぼ直角方向に反射する第一プリズム(44)を設けた第一平面(43)と、 前記第一プリズム(44)で反射した光を拡散して出射する第二プリズム(46)を設けた第二平面(45)と、を形成している面発光タイプの導光板に係る。
前記第一平面(43)の第一プリズム(44)は、プリズム角度をθとし、プリズム高さをHとしたとき、
−0.1<H×tanθ≦0
である。
また、前記第二平面(45)の第二プリズム(46)は、プリズム角度をθとし、プリズム高さをHとしたとき、
−0.07<H×tanθ<0.2
である。
【0011】
(作用)
請求項1記載の発明では、以下のような作用をなす。
LED(30)からの光が入射端面(41)から入射し、その入射した光は第一平面(43)に設けた第一プリズム(44)でほぼ直角に反射し、この反射した光が反対側の第二平面(45)に設けた第二プリズム(46)で拡散して出射することになる。
第一プリズム(44)および第二プリズム(46)が各条件に基づくことにより、導光板の照射面で均一の光取り出し効率を向上させることができる。 従来であれば、50%を超えることが困難であった光取り出し効率を、65%以上とすることができた。
「H×tanθ」について、−0.1を下回ったり、0を上回ったりすると、光の均一性が失われ、金型製造の手間が増大してしまう。同様に、 「H×tanθ2」について、−0.07を下回ったり、0.2を上回ったりすると光の均一性が失われ、また金型製造の手間が増大してしまう。金型製造の手間が増大する理由は、メッキ層を厚くしなければならないこと、厚くしたメッキ層への加工の手間が増えることによる。
【0012】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の導光板を限定したものである。
すなわち、前記入射端面(41)の厚さをtとし、前記入射端面(41)の反対側の反入射端面(42)の厚さをtとしたとき、
0.3mm<t<1.0mm、
かつ、0.3mm<t<1.0mm
かつ、t>t
であることを特徴とする。
【0013】
(作用)
上記の条件により、従来の導光板に比べて、導光板(40)の薄型化を達成できる。
「t」について、−0.3mmを下回ったり、1.0mmを上回ったりすると、光の取り出し効率が低下する。同様に、 「t」について、−0.3mmを下回ったり、1.0mmを上回ったりすると、 光の取り出し効率が低下する。
すなわち、0.3mm以下では光源からの光線が導光板に入りにくいため、光量が損失され、効率が下がる。また成形が困難である。1.0mm以上では導光板が厚いのでプリズムに光線が当たりにくくなり、光の取り出し効率が下がる。また薄型化に反することとなる。
また、「t>tとする」という条件により、LED光源からの光が入射しやすく、第一平面(43)が光に対して斜面になるため、第二平面(45)への反射をさせやすくなる。
【0014】
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、 光源からの光を入射端面から入射した前記光を第一平面に設けた第一プリズムでその反対側の第二平面に出射する面発光タイプの導光板の前記第二平面に位置させて、その第二平面から出射される光を入射してから拡散して出射する光拡散板に係る。
前記導光板の第二平面に位置させて前記導光板の光を入射する第三平面と、その第三平面から入射した光をその反対側に拡散して出射する第四プリズムを設けた第四平面と、を有している光拡散板であって
前記第四平面の第四プリズムは、プリズム角度をθとし、プリズム高さをHとしたとき、
−0.07<H×tanθ<0.07
である。
そして、前記第三平面の前記導光板の光を拡散して入射する第三プリズムは、プリズム角度をθとし、プリズム高さをHとしたとき、
−0.07<H×tanθ<0.07
であるように形成する。
【0015】
(作用)
請求項3記載の発明では、以下のような作用をなす。
前記導光板(40)からの光を第三平面(53)から入射し、この入射した光を内部の拡散材で乱反射させ、さらに反対側の第四平面(55)に設けた第四プリズム(56)で拡散されて出射することになる。
上記の第三プリズム(54)および第四プリズム(56)の条件に基づくことにより、光拡散板の光拡散効率を向上させることができるので、照射面で、これまでよりも均一な明るさとすることに寄与する。
その結果、従来の光拡散シートとBEFシートとの組合せの場合と比較して、照明面での均一な明るさを維持または向上させるになる。しかも、従来の2つの部材が1つの部材になるので簡単な構造となり、組み立て作業性を向上させることができる。
【0016】
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の光拡散板を限定したものである。
すなわち、 前記光源の側に位置する光源側端面の厚さをtとし、前記光源側端面の反対側の反光源側端面の厚さをtとしたとき、
0.3mm<t<1.0mmで、
かつ、0.3mm<t<1.0mmで、
かつ、t=t
であるとする。
【0017】
(作用)
上記の条件により、取り出し効率を向上することができる。
=tとしたのは、厚みが違うと拡散板を通過する距離が場所によって変化するため、また拡散剤の影響が均一にならないため、均一な光を取り出しにくくなるからである。
【0018】
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、請求項3または請求項4に記載の光拡散板を限定したものである。
すなわち、前記光拡散板(50)の内部に光を拡散するための拡散材を添加し、その拡散材の粒径は0.5μm〜5.0μmの大きさであり、前記拡散材の添加率は0.3%〜3.0%であることを特徴とする。
添加剤としては、アクリル系の添加剤を用いることが一般的である。
【0019】
(作用)
上記の条件に基づく拡散材を添加することにより、光拡散板の光拡散効率を向上させることができるので、照明面における広い面の全体でより一層の均一な明るさとすることに寄与する。
【0020】
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、 帯状の基板(20)と、 その基板(20)に固定したサイドビュー型光源(30)と、 そのサイドビュー型光源(30)の照射面に入射端面(41)が接するように固定され、その入射端面(41)から入射した光を第一平面(43)に設けた第一プリズム(44)で反射し、その反対側の第二平面(45)に設けた第二プリズム(46)で光を拡散して出射する面発光タイプの導光板(40)と、 その導光板(40)の第二平面(45)に位置させて前記導光板(40)の光を第三平面(53)に入射してからその反対側の第四平面(55)に設けた第四プリズム(56)で前記光を拡散して出射する光拡散板(50)と、 前記導光板(40)の第一平面(43)に位置させた反射シート(12)を備え、かつ前記の各部材を支持するための支持フレーム(11)と、で構成されていることを特徴とする照明用モジュールに係る。
【0021】
(用語説明)
「サイドビュー型光源」とは、例えばサイドビュー型のLEDがあり、LEDを固定する基板の平面方向に発光するLEDである。LEDのサイズにもよるが、厚さは0.2〜1.0mm程度にて形成することができる。
「反射シート」とは、出射する面以外から光が漏れるのを防ぎ、導光板に戻すことで実質的な発光効率を高める機能をなす。たとえば、熱可塑性樹脂成形フィルムに銀やアルミニウム合金などを蒸着したものが一般的である。厚さは、50μm〜200μm程度である。
「支持フレーム」とは、一般的には樹脂製とし、軽量化に寄与する。
【0022】
(作用)
基板(20)、サイドビュー型光源(30)、導光板(40)、光拡散板(50)、および反射シート(12)を支持フレーム(11)にて支持するという構造を採用することにより、極めて薄い構成とすることができた。特に、従来の光拡散シートとBEFシートの2つの部材が光拡散板(50)の1つの部材になっても、拡散効率を向上させることができ、広い面の全体でより一層の均一な明るさになる。しかも、小型化、薄型化およびと軽量化を図り、簡単な構造となる。
【0023】
(請求項7)
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の照明用モジュールを限定したものである。
前記導光板(40)の第一平面(43)の第一プリズム(44)は、プリズム角度をθとし、プリズム高さをHとしたとき、
−0.1<H×tanθ≦0 であるとともに、
前記導光板(40)の第二平面(45)の第二プリズム(46)は、プリズム角度をθとし、プリズム高さをHとしたとき、
−0.07<H×tanθ<0.2 であることを特徴とする。
【0024】
(作用)
第一プリズム(44)と第二プリズム(46)の各条件に基づくことにより、導光板(40)の広い面の全体で均一の光取り出し効率を向上させることができる。
【0025】
(請求項8)
請求項8に記載の発明は、請求項6または請求項7に記載の照明用モジュールを限定したものである。
すなわち、前記導光板(40)の入射端面(41)の厚さをtとし、前記入射端面(41)の反対側の反入射端面(42)の厚さをtとしたとき、
0.3mm<t<1.0mmで、
かつ、0.3mm<t<1.0mmで、
かつ、t>tであることを特徴とする。
【0026】
(作用)
上記の条件により、導光板(40)の薄型化とともに、照明面において取り出される光の均一性を向上させることができる。
【0027】
(請求項9)
請求項9に記載の発明は、請求項6から請求項8に記載の照明用モジュールを限定したものである。
すなわち、前記光拡散板(50)の第四平面(55)の第四プリズム(56)は、プリズム角度をθとし、プリズム高さをHとしたとき、
−0.07<H×tanθ<0.07 であるとともに、
前記光拡散板(50)の第三平面の前記導光板(40)の光を拡散して入射する第三プリズム(54)は、プリズム角度をθとし、プリズム高さをHとしたとき、
−0.07<H×tanθ<0.07
としたことを特徴とする。
【0028】
(作用)
上記の第四プリズム(56)の条件に基づくことにより、光拡散板(50)の光拡散効率を向上させることができるので、照明面で均一で強い明るさの光を得ることに寄与する。
【0029】
(請求項10)
請求項10請求項6から請求項9に記載の照明用モジュールを限定したものである。
すなわち、 前記光拡散板(50)において光源の側に位置する光源側端面の厚さをtとし、前記光源側端面の反対側の反光源側端面の厚さをtとしたとき、
0.3mm<t<1.0mmで、
かつ、0.3mm<t<1.0mmで、
かつ、t=tである。
【0030】
(請求項11)
請求項11に記載の発明は、請求項6から請求項10に記載の照明用モジュールを限定したものである。
すなわち、前記光拡散板(50)の内部に光を拡散するための拡散材を添加し、その拡散材の粒径は0.5μm〜5.0μmの大きさであり、前記拡散材の添加率は0.3%〜3.0%であることを特徴とする。
【0031】
(作用)
上記の条件に基づく拡散材を添加することにより、光拡散板(50)の光拡散効率を向上させることができるので、広い面の全体でより一層の均一な明るさとすることに寄与する。
【発明の効果】
【0032】
請求項1から請求項2に記載の発明によれば、広い面全体での均一な光であって、しかも光取り出し効率が高い導光板を提供することができた。
請求項3から請求項5に記載の発明によれば、広い面全体での均一な光であって、しかも光取り出し効率が高く、組み立て作業性にも優れた光拡散板を提供することができた。
請求項6から請求項11に記載の発明によれば、広い面全体での均一な光であって、しかも光取り出し効率が高く、組み立て作業性にも優れた照明用モジュールを提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1を参照するに、この実施形態に係る照明用モジュール10は、模式的に図示されているように、例えば樹脂製からなる支持フレーム11(実際には箱型形状)の内部に反射シート12を載置する。支持フレーム11の内部には図示しない基板上にサイドビュー型光源としての例えばサイドビュー型のLED30が配置固定されている。
【0034】
また、導光板40が上記の反射シート12の上面に位置して配置され、前記サイドビュー型のLED30の照射面に入射端面41が接するように固定される。すなわち、図2(B)に示されているように、導光板40は、LED30からの光を入射する入射端面41と、その入射端面41から入射した前記光をほぼ直角方向に反射する第一プリズム44を設けた第一平面43(図1および図2において下面)と、前記第一プリズム44で反射した光を拡散して出射する第二プリズム46を設けた第二平面45(図1および図2において上面)と、を有している導光板である。
【0035】
なお、上記の第一平面43の第一プリズム44は、図2(C)に示されているように、プリズム角度をθとし、プリズム高さをHとしたとき、
−0.1<H×tanθ≦0
である。
例えば、θ=130°で、H=0.001mmのときは、
×tanθ=−0.009
となり、条件を満たす第一プリズム44となる。
【0036】
さらに、上記の第二平面45の第二プリズム46は、図2(A)に示されているように、プリズム角度をθとし、プリズム高さをHとしたとき、
−0.07<H×tanθ<0.2
である。
例えば、θ=100°で、H=0.02mmのときは、
×tanθ=−0.1134
となり、条件を満たす第二プリズム46となる。
【0037】
また、図2(B)に示されているように、上記の入射端面41の厚さをtとし、前記入射端面41の反対側の反入射端面42の厚さをtとしたとき、
0.3mm<t<1.0mmで、
かつ、0.3mm<t<1.0mmで、
かつ、t>tである。
【0038】
なお、上記の導光板40の樹脂材料としては、COP(シクロオレフィン樹脂)、PMMA(ポリメタクル酸メチル)、PC(ポリカーボネート)などが用いられる。
したがって、上記構成の導光板40の作用としては、LED30からの光が入射端面41から入射し、その入射した光は第一平面43に設けた第一プリズム44でほぼ直角に反射し、この反射した光が反対側の第二平面45に設けた第二プリズム46で拡散して出射することになる。上記の第一プリズム44と第二プリズム46の各条件に基づくことにより、導光板40だけの光取り出し効率は、70%以上となった。
【0039】
従来の導光板70に該当する比較例としては、上述した導光板40の符号で説明すると、入射端面41の厚さt=0.8mmで、反入射端面42の厚さt=0.5mmであり、第一平面43の第一プリズム44は、プリズム角度θ=120°で、プリズム高さH=0.0057mmである。
第二平面45の第二プリズム46は、プリズム角度θ=100°で、プリズム高さH=0.0251mmである。なお、導光板の樹脂材料は、PC(ポリカーボネート)である。
【0040】
以上のことから、本実施形態の導光板40は、第一プリズム44と第二プリズム46の上述した各条件に基づくことにより、照明面にて広い面の全体で均一の光取り出し効率を向上させることができる。しかも、薄型化およびと軽量化を図ることができる。
また、簡単な構造を採用できるので、組み立て作業性が改善され、耐熱性も改善される。
【0041】
再び図1を参照して説明する。光拡散板50が上記の導光板40の第二平面45に位置させて配置される。すなわち、光拡散板50は、図3(B)に示されているように、前記導光板40の第二平面45に位置させて前記導光板40の光を入射する第三平面53(図1および図3において下面)と、その第三平面53から入射した光をその反対側に拡散して出射する第四プリズム56を設けた第四平面55(図1および図3において上面)と、を有している。
【0042】
なお、上記の第四平面55の第四プリズム56は、図3(A)に示されているように、プリズム角度をθとし、プリズム高さをHとしたとき、
−0.07<H×tanθ<0.07
である。
例えば、θ=130°で、H=0.001mmのときは、
×tanθ=−0.00119
となり、条件を満たす第四プリズム56となる。
【0043】
また、図3(B)に示されているように、LED30の側に位置する光源側端面51の厚さをtとし、前記光源側端面51の反対側の反光源側端面52の厚さをtとしたとき、
0.3mm<t<1.0mmで、
かつ、0.3mm<t<1.0mmで、
かつ、t≧tである。
【0044】
上記の光拡散板50の樹脂材料としては、COP(シクロオレフィン樹脂)、PMMA(ポリメタクル酸メチル)、PC(ポリカーボネート)などが用いられる。
【0045】
また、上記の光拡散板50の内部には、光を拡散するための拡散材が添加されている。その拡散材の粒径は0.5μm〜5.0μmの大きさであり、前記拡散材の添加率は0.3%〜3.0%であることが望ましい。これにより、光拡散板50の光拡散効率を向上させることができるので、照明面での広い面の全体でより一層の均一な明るさとすることに寄与する。
例えば、光拡散板50がPCの樹脂材料をベースとしているときは、拡散材はPMMAとすることができる。
【0046】
したがって、上記構成の光拡散板50の作用としては、前記導光板40からの光を第三平面53から入射し、この入射した光を内部の拡散材で乱反射させ、さらに反対側の第四平面55に設けた第四プリズム56で拡散されて出射することになる。上記の第四プリズム56の条件に基づくことにより、光拡散効率を向上させることができるので、より一層の均一な明るさとすることに寄与する。
その結果、広い面の全体が従来の光拡散シートとBEFシートとの組合せの場合と比較して、広い面の全体でより一層の均一な明るさになる。
しかも、従来の2つの部材が1つの部材になるので簡単な構造を採用でき、組み立て作業性を改善するとともに、薄型化と軽量化に寄与する。
【0047】
光拡散板の比較例(従来の光拡散シートとは異なる)を製作した。この比較例は、上述した光拡散板50の符号で説明すると、光源側端面51の厚さt=0.5mmで、反光源側端面52の厚さt=0.5mmであり、第四平面55の第四プリズム56は、プリズム角度θ=90°で、プリズム高さH=0.015mmである。なお、光拡散板の樹脂材料は、PCをベースとし、拡散材はPMMAである。また、拡散材の粒径は3.0μmの大きさであり、前記拡散材の添加率は0.5%である。
【0048】
次に、本発明の他の実施形態の光拡散板57について説明する。前述した光拡散板50と同様の部材は同じ符号を付し、異なる点のみを説明する。
光拡散板57は、前述した光拡散板50と異なる点は、図4(B)に示されているように、第三平面53(図4において下面)に、導光板40の光を拡散して入射する第三プリズム54を設けていることである。その他は前述した光拡散板50と同様である。
【0049】
なお、上記の第三平面53の第三プリズム54は、図4(C)に示されているように、プリズム角度をθとし、プリズム高さをHとしたとき、
−0.07<H×tanθ<0.07
である。
【0050】
例えば、θ=130°で、H=0.001mmのときは、
×tanθ=−0.009
となり、条件を満たす第三プリズム54となる。上記の第三プリズム54の条件に基づくことにより、光拡散効率を向上させることができるので、広い面の全体でより一層の均一な明るさとすることに寄与する。
したがって、第三平面53に第三プリズム54を設けたことにより、前記導光板40からの光がより一層拡散して入射するので、光拡散板57から出射される光は広い面の全体でより一層の均一な明るさとなる。
【0051】
再び図1を参照して説明する。例えば透明プレートなどの保護カバー13が、上記の光拡散板50の第四平面55を覆うようにして、図示しない遮光シートを介して支持フレーム11の図示しない側壁の上面に装着される。光拡散板50または光拡散板57の第四平面55の第四プリズム56で拡散して出射した光は、保護カバー13を透過してから例えば携帯電話機やPC(パーソナルコンピュータ)などの電子機器の液晶ディスプレイの液晶パネルにバックライトとしての光を照射することになる。
次に、図1における本発明の実施形態で特に図3の光拡散板50を用いた照明用モジュール10の効果性について、図9における従来の照明用モジュール60と比較して説明する。
【0052】
本実施形態の照明用モジュール10は、光拡散板50が第四平面55に第四プリズム56を設けたことにより、その1枚で従来の照明用モジュール60における光拡散シート80とBEFシート81の機能を有することができ、光の指向性を制御する機能も付与することができた。これにより、導光板40と光拡散板50を組み合わせたときの全体の厚さは、
0.6mm<t+t<2.0mmで、
0.6mm<t+t<2.0mmである。
【0053】
以上のように、本発明の実施形態の照明用モジュール10は、基板(20)、サイドビュー型光源30、導光板40、光拡散板50、および反射シート12を支持フレーム11にて支持するという構造を採用することにより、極めて薄い構成とすることができた。特に、従来の光拡散シート80とBEFシート81の2つの部材が光拡散板50の1つの部材になっても拡散効率を向上させることができ、薄型化を図ることができるので軽量化にも寄与することになり、簡単な構造となる。ひいては、小型化にも寄与する。
【0054】
また、従来の照明用モジュール60における光取り出し効率は50%以下であったが、本発明の実施形態の照明用モジュール10における光取り出し効率は65%以上にすることができた。
【0055】
次に、前述した実施形態の照明用モジュール10に基づいた実施例について説明する。
図5を参照するに、照明用モジュール10は箱型形状の樹脂製からなる支持フレーム11の内部に収納され、支持フレーム11の上面に装着した保護カバー13で被蓋されることでコンパクトなバックライトとなる。
【0056】
図6、図7および図8を参照するに、支持フレーム11の底面には帯状の基板20と反射シート12が載置固定されている。帯状の基板20の両端には端子21が備えられており、複数のサイドビュー型のLED30が前記2つの端子21の間で基板20の長さ方向に所定の間隔で連続的に配置固定されている。
【0057】
なお、反射シート12は、出射する面以外から光が漏れるのを防ぎ、導光板に戻すことで実質的な発光効率を高める機能をなす。本実施形態では、熱可塑性樹脂成形フィルムにアルミニウムを蒸着したものを採用している。厚さは、80μm程度である。
基板20は、絶縁性のある樹脂にて成型した基材に、銅箔などの導電体にて回路パターンを配線して形成したものである。前記サイドビュー型のLED30は、その封止剤にはシリコンを用いている。
【0058】
複数の導光板40が反射シート12の上面に位置して並列するように配置され、各導光板40はそれぞれ対応する各サイドビュー型のLED30の照射面に入射端面41が接するように固定されている。なお、各導光板40は図2に示されているように入射端面41の厚さt1と反入射端面42の厚さt2が異なるので、各導光板40の第二平面45(図6において上面)が支持フレーム11の底面とほぼ平行になるように反入射端面42の側にリブ14を介して設置されている。このリブ14は支持フレーム11に予め固定しても、あるいは導光板40の寸法に合わせて取り替え可能に設けることができる。
【0059】
光拡散板50が上記の複数の導光板40の第二平面45に位置させて全体に亘って配置される。なお、本実施形態では、導光板40と光拡散板50との間に空気層を設けず、光拡散板50は導光板40の出射面(第二平面45)に接するように形成することで、極めて薄い照明用モジュールを形成している。
【0060】
透明プレートなどの保護カバー13は平板状に形成されており、平面で四角形の枠体15の中央の空間の部分に固定されている。支持フレーム11と接する部位には、導光板40による発光する機能が必要な面以外の部位にシルク印刷等の遮光シート16を施すことによって導光板40からの光漏れを防いでいる。このような構成を採用することにより、保護カバー13を薄型化でき、本実施形態に係る照明モジュールの薄型化に寄与している。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、照明装置の製造業、照明装置を組み込んだ家具やショーケースなどの製造業、照明装置を組み込む車載設備の製造業、電子デバイスの製造業などにおいて、利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本実施形態に係る照明用モジュールの模式的な構成説明図である。
【図2】本実施形態に係る導光板を示し、(A)は第二平面の第二プリズムの斜視図で、(B)は断面図で、(C)は第一平面の第一プリズムの斜視図である。
【図3】本実施形態に係る光拡散板を示し、(A)は第四平面の第四プリズムの斜視図で、(B)は断面図である。
【図4】他の実施形態に係る光拡散板を示し、(A)は第四平面の第四プリズムの斜視図で、(B)は断面図で、(C)は第三平面の第三プリズムの斜視図である。
【図5】本実施形態に係る照明用モジュールに基づいた実施例を示し、組み立てた状態の斜視図である。
【図6】図5の矢視VI−VI線の断面図で、照明用モジュールの各部材の構成組立図である。
【図7】図5の照明用モジュールを分解した斜視図である。
【図8】図7の導光板の上から視た平面図である。
【図9】従来の照明用モジュールの模式的な構成説明図である。
【符号の説明】
【0063】
10 照明用モジュール 11 支持フレーム
12 反射シート 13 保護カバー
14 リブ 15 枠体
16 遮光シート
20 基板 21 端子
30 サイドビュー型のLED(光源)
40 導光板 41 入射端面
42 反入射端面 43 第一平面
44 第一プリズム 45 第二平面
46 第二プリズム
50 光拡散板 51 光源側端面
52 反光源側端面 53 第三平面
54 第三プリズム 55 第四平面
56 第四プリズム 57 光拡散板
60 照明用モジュール(従来) 61 金属フレーム
62 反射シート 63 LED
64 トップカバー
70 導光板
80 光拡散シート 81 BEFシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を入射する入射端面と、その入射端面から入射した前記光をほぼ直角方向に反射する第一プリズムを設けた第一平面と、前記第一プリズムで反射した光を拡散して出射する第二プリズムを設けた第二平面と、を有している面発光タイプの導光板であって、
前記第一平面の第一プリズムは、プリズム角度をθとし、プリズム高さをHとしたとき、
−0.1<H×tanθ≦0
であるとともに、 前記第二平面の第二プリズムは、プリズム角度をθとし、プリズム高さをHとしたとき、
−0.07<H×tanθ<0.2
であるように形成した導光板。
【請求項2】
前記入射端面の厚さをtとし、前記入射端面の反対側の反入射端面の厚さをtとしたとき、
0.3mm<t<1.0mm、
かつ、0.3mm<t<1.0mm
かつ、t>t
である請求項1記載の導光板。
【請求項3】
光源からの光を入射端面から入射した前記光を第一平面に設けた第一プリズムでその反対側の第二平面に出射する面発光タイプの導光板の前記第二平面に位置させて、その第二平面から出射される光を入射してから拡散して出射する光拡散板であって、
前記導光板の第二平面に位置させて前記導光板の光を入射する第三平面と、その第三平面から入射した光をその反対側に拡散して出射する第四プリズムを設けた第四平面と、を有している光拡散板であって
前記第四平面の第四プリズムは、プリズム角度をθとし、プリズム高さをHとしたとき、
−0.07<H×tanθ<0.07
であるとともに、前記第三平面の前記導光板の光を拡散して入射する第三プリズムは、プリズム角度をθとし、プリズム高さをHとしたとき、
−0.07<H×tanθ<0.07
であるように形成した光拡散板。
【請求項4】
前記光源の側に位置する光源側端面の厚さをtとし、前記光源側端面の反対側の反光源側端面の厚さをtとしたとき、
0.3mm<t<1.0mmで、
かつ、0.3mm<t<1.0mmで、
かつ、t=t
である請求項3に記載の光拡散板。
【請求項5】
前記光拡散板の内部に光を拡散するための拡散材を添加し、
その拡散材の粒径は0.5μm〜5.0μmの大きさであり、
前記拡散材の添加率は0.3%〜3.0%である請求項3または請求項4に記載の光拡散板。
【請求項6】
帯状の基板と、
その基板に固定したサイドビュー型光源と、
そのサイドビュー型光源の照射面に入射端面が接するように固定され、その入射端面から入射した光を第一平面に設けた第一プリズムで反射し、その反対側の第二平面に設けた第二プリズムで光を拡散して出射する面発光タイプの導光板と、
その導光板の第二平面に位置させて前記導光板の光を第三平面に入射してからその反対側の第四平面に設けた第四プリズムで前記光を拡散して出射する光拡散板と、
前記導光板の第一平面に位置させた反射シートを備え、かつ前記の各部材を支持するための支持フレームと、で構成される照明用モジュール。
【請求項7】
前記導光板の第一平面の第一プリズムは、プリズム角度をθとし、プリズム高さをHとしたとき、
−0.1<H×tanθ≦0
であるとともに、
前記導光板の第二平面の第二プリズムは、プリズム角度をθとし、プリズム高さをHとしたとき、
−0.07<H×tanθ<0.2
であるように形成した請求項6の照明用モジュール。
【請求項8】
前記導光板の入射端面の厚さをtとし、前記入射端面の反対側の反入射端面の厚さをtとしたとき、
0.3mm<t<1.0mmで、
かつ、0.3mm<t<1.0mmで、
かつ、t>t
である請求項6または請求項7に記載の照明用モジュール。
【請求項9】
前記光拡散板の第四平面の第四プリズムは、プリズム角度をθとし、プリズム高さをHとしたとき、
−0.07<H×tanθ<0.07
であるとともに、
前記光拡散板の第三平面の前記導光板の光を拡散して入射する第三プリズムは、プリズム角度をθとし、プリズム高さをHとしたとき、
−0.07<H×tanθ<0.07
である請求項6から請求項8のいずれかに記載の照明用モジュール。
【請求項10】
前記光拡散板において光源の側に位置する光源側端面の厚さをtとし、前記光源側端面の反対側の反光源側端面の厚さをtとしたとき、
0.3mm<t<1.0mmで、
かつ、0.3mm<t<1.0mmで、
かつ、t=t
である請求項6から請求項9に記載の照明用モジュール。
【請求項11】
前記光拡散板の内部に光を拡散するための拡散材を添加し、その拡散材の粒径は0.5μm〜5.0μmの大きさであり、前記拡散材の添加率は0.3%〜3.0%である請求項6から請求項10に記載の照明用モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−86832(P2010−86832A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−255790(P2008−255790)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(392034746)吉川化成株式会社 (22)
【Fターム(参考)】