説明

導光板、面光源装置、及び透過型画像表示装置

【課題】設計の自由度を確保しつつ、光の直進性を向上させることができる導光板、面光源装置、及び透過型画像表示装置を提供する。
【解決手段】透過型画像表示装置1では、導光板11の側面11cに凸プリズム部21が形成されている。さらに、透過型画像表示装置1では、導光板11の前面11aに、側面11cから反対面11dにかけて延在する複数の凸部41が配列されている。この凸プリズム部21及び凸部41により、導光板11内での光の直進性が高められる。また、透過型画像表示装置1では、光源10を導光板11の側面11cから離間させることで、光源10からの光を凸プリズム部21で屈折させて導光板11に入射させている。これにより、凸プリズム部21のアスペクト比を抑えることが可能となり、設計の自由度も確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板、面光源装置、及び透過型画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の分野に関連する技術として、例えば特許文献1に記載の液晶表示装置がある。この液晶表示装置は、液晶パネルと、液晶パネルの背面に配置された導光板と、導光板の側方において導光板の側面から離間して配置された光源と、光源を駆動・制御するドライバ及び処理回路とを備えている。導光板の側面には、光源に対応する凸部、或いは光源の位置を焦点とするレンチキュラーレンズが設けられている。そして、光源から導光板に入射した光を凸部で全反射させることによって導光板内での光の直進性を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−199927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
導光板内での光の直進性が確保されると、エリア制御による動的コントラスト向上が図られる。また、画像表示(液晶セル動作)の走査タイミングと光源のオンオフとを連動させることで、多倍速駆動パネルを使用する場合と同様の効果を実現でき、動画画質の向上が図られる。しかしながら、上述した従来の液晶表示装置では、導光板内を伝播する光の直進性を十分に確保するためには、凸部或いはレンチキュラーレンズの深さを深くする必要があった。そのため、透過型画像表示装置のフレーム部を大きくしなければならず、デザインの自由度や導光板の設計の自由度が制限されてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、設計の自由度を確保しつつ、光の直進性を向上させることができる導光板、面光源装置、及び透過型画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決のため、本発明に係る導光板は、透光性材料からなり、背面に所定のパターンで設けられた光拡散部を有し、側面に入射した光を光拡散部で拡散させ、前面から出射させる導光板であって、側面には、所定の間隔で凸レンズ部又は凸プリズム部が形成され、前面には、側面からその反対面にかけて延在する複数の凸部が配列されていることを特徴としている。
【0007】
この導光板では、導光板の側面に凸レンズ部又は凸プリズム部が形成されていることにより、導光板の側面が平坦面である場合に比べて光源からの光が導光板内で搾られ、光の直進性を高めることができる。さらに、この導光板では、導光板の前面に、側面からその反対面にかけて延在する複数の凸部が配列されている。この凸部により、導光板内で拡散しようとする光の一部が戻され、光の直進性が一層高められる。また、この導光板では、光源からの光を凸レンズ部又は凸プリズム部から屈折させて入射させることにより、凸レンズ又は凸プリズム部のアスペクト比を抑えることが可能となり、設計の自由度も確保できる。
【0008】
また、本発明に係る面光源装置は、透光性材料からなり、背面に所定のパターンで設けられた光拡散部を有する導光板と、導光板の側面に沿って所定の間隔で複数配置された光源と、を備え、側面に入射した光源からの光を光拡散部で拡散させ、前面から出射させる面光源装置であって、側面には、光源の配置位置に対応する凸レンズ部又は凸プリズム部が形成され、前面には、側面からその反対面にかけて延在する複数の凸部が配列され、光源は、凸レンズ又は凸プリズム部の頂点に対して所定の間隔をもって配置されていることを特徴としている。
【0009】
この面光源装置では、導光板の側面に凸レンズ部又は凸プリズム部が形成されていることにより、導光板の側面が平坦面である場合に比べて光源からの光が導光板内で搾られ、光の直進性を高めることができる。さらに、この面光源装置では、導光板の前面に、側面からその反対面にかけて延在する複数の凸部が配列されている。この凸部により、導光板内で拡散しようとする光の一部が戻され、光の直進性が一層高められる。また、この面光源装置では、光源からの光を凸レンズ部又は凸プリズム部の表面から屈折させて入射させることにより、凸レンズ又は凸プリズム部のアスペクト比を抑えることが可能となり、設計の自由度も確保できる。
【0010】
また、本発明に係る透過型画像表示装置は、上記面光源装置と、面光源装置における導光板の前面に対向するように配置された液晶表示部と、を備えていることを特徴としている。
【0011】
この透過型画像表示装置では、導光板の側面に凸レンズ部又は凸プリズム部が形成されていることにより、導光板の側面が平坦面である場合に比べて光源からの光が導光板内で搾られ、光の直進性を高めることができる。さらに、この透過型画像表示装置では、導光板の前面に、側面からその反対面にかけて延在する複数の凸部が配列されている。この凸部により、導光板内で拡散しようとする光の一部が戻され、光の直進性が一層高められる。また、この透過型画像表示装置では、光源からの光を凸レンズ部又は凸プリズム部の表面から屈折させて入射させることにより、凸レンズ又は凸プリズム部のアスペクト比を抑えることが可能となり、設計の自由度も確保できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、設計の自由度を確保しつつ、光の直進性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る透過型画像表示装置の一実施形態を示す図である。
【図2】面光源装置を導光板の前面側から見た平面図である。
【図3】図2に示した面光源装置の要部拡大図である。
【図4】導光板の側面近傍を示す要部拡大斜視図である。
【図5】比較例に係る面光源装置の要部拡大図である。
【図6】変形例に係る面光源装置の要部拡大図である。
【図7】本発明の効果確認試験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る導光板、面光源装置、及び透過型画像表示装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る透過型画像表示装置の一実施形態を示す図である。図1では、各構成要素を分離した状態で示している。同図に示すように、透過型画像表示装置1は、液晶表示部2と、面光源装置3とによって構成されている。この透過型画像表示装置1は、例えば携帯電話機、液晶テレビ、パーソナルコンピュータといったや各種の電子機器の表示装置として使用されるものである。
【0016】
液晶表示部2は、例えば液晶セルの両面に直線偏光板が配置されたパネルであり、面光源装置3から出射する面状の光で照明されることによって画像を表示する部分である。
【0017】
面光源装置3は、光源10と、導光板11と、導光板11の前面11a側に配置された光学フィルム12とによって構成されている。また、導光板11の背面11b側には、反射部14が配置されていてもよい。光源10は、例えば点光源LEDである。光源10は、導光板11の縁部に沿って所定の間隔で複数配置され、導光板11に向けて光を出射するようになっている。
【0018】
導光板11は、例えば屈折率が約1.46〜1.62の透光性材料によって厚さ3mm程度の矩形に形成されている。透光性材料としては、透光性樹脂材料、透光性ガラス材料などが挙げられる。成形性の面から、透光性樹脂材料を用いることが好ましい。
【0019】
透光性樹脂材料としては、アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、MS樹脂(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂)、ポリスチレン樹脂、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂)などが例示される。この透光性樹脂材料の中では、透明性、着色性の観点からアクリル樹脂を用いることが好ましい。透光性樹脂材料は、通常、添加剤として光拡散剤を添加することなく用いられるが、本発明の主旨を逸脱しない僅かな量であれば、光拡散剤を添加して用いてもよい。
【0020】
光拡散剤として、通常は、導光板11を主に構成する上述の透光性材料とは屈折率が異なる粉末を透光性材料中に分散させて用いる。かかる光拡散剤としては、例えばスチレン樹脂粒子、メタクリル樹脂粒子などの有機粒子、炭酸カリウム粒子、シリカ粒子等の無機粒子が用いられる。これらの粒子径は、通常0.8μm〜50μmである。
【0021】
上記構成の導光板11は、単独の透光性材料で構成された単層の板状体であってもよいし、互いに異なる透光性材料で構成された層が積層された多層構造の板状体であってもよい。なお、後述する光拡散部15及び凸部41の材料が導光板11と同じである場合には、導光板11を単独の透光性材料で構成された板状体とすることができる。
【0022】
導光板11の背面11bには、光を拡散させる複数の光拡散部15が形成されている。光拡散部15が拡散ドットである場合、例えばインクジェット印刷によるマイクロレンズドット又は白色ドット、レーザ印刷による透明ドット、射出成型による透明ドット、スクリーン印刷による白色又は透明ドット、フォトポリマー法付形による白色ドット又は透明ドット、又は押出付形によるマイクロレンズドットである。また、光拡散部15としては、射出成型、フォトポリマー法付形、又は押出付形によるレンチキュラーレンズ等もあり得る。光拡散部15の被覆パターンは、例えば光源10からの距離に応じて密度が増加するようなパターンが採用される。
【0023】
このような導光板11の構成により、光源10から出射した光は、側面11cから導光板11内に入射し、導光板11内を全反射しながら伝搬する。この際、導光板11内を全反射する光は、光拡散部15によって拡散され、導光板11の前面11aを出射面として面状に出射する。導光板11内を伝搬する光の一部が背面11bから外側に出射した場合には、反射部14で反射されて再び導光板11内に入射するようになっている。
【0024】
光学フィルム12は、例えば拡散フィルム、プリズムフィルム、輝度向上フィルムなどの各種フィルムである。光学フィルム12は、導光板11と液晶表示部2との間に適宜配置される。また、反射部14は、導光板11から反射部14側に出射した光を導光板11に再度入射させるための部材である。この反射部14は、図1に示すように、シート状であってもよい。また、反射部14は、導光板11を収容する面光源装置3の筐体の底面に鏡面加工を施すことによって形成されていてもよい。
【0025】
続いて、上述した面光源装置3の構成について更に詳細に説明する。図2は、面光源装置3を導光板11の前面11a側から見た平面図である。同図に示すように、面光源装置3では、導光板11の側面11cに、光源10の配置位置に対応する複数の凸プリズム部21が形成されている。
【0026】
凸プリズム部21は、種々の形状を採用できるが、プリズム高さが過剰になると透過型画像表示装置1のフレーム部分が大きくなりすぎるという問題が生じる。このことを考慮し、図3に示すように、凸プリズム部21の最大高さをha、最大幅をwaとすれば、例えばhaが10mm以下、ha/wa(アスペクト比)=0.3以下であることが好ましい。また、凸プリズム部21の裾と凸プリズム部21の頂点同士を結ぶラインLとの間の角度θは、35°以下であることが好ましい。
【0027】
このような凸プリズム部21に対し、光源10は、凸プリズム部21の頂点に対応するように配置されている。また、光源10は、光の出射点が凸プリズム部21の頂点同士を結ぶラインL上から僅かに離間した状態で配置されている。離間距離としては、0.1mm〜1.0mmが例示される。
【0028】
また、面光源装置3では、図2及び図4に示すように、導光板11の前面11aに、側面11cからその反対面11dにかけて延在する複数の凸部41が配列されている。凸部41は、例えば断面半円状をなしており、凸部41の幅は、凸プリズム部21の幅に比べて十分に小さい幅となっている。
【0029】
以上説明したように、透過型画像表示装置1では、導光板11の側面11cに凸プリズム部21が形成されている。これにより、図5に示すように、導光板11の側面11cが平坦面である場合に比べて、図3に示すように、光源10からの光が導光板11内で搾られ、光の直進性を高めることができる。さらに、この透過型画像表示装置1では、導光板11の前面11aに、側面11cからその反対面11dにかけて延在する複数の凸部41が配列されている。この凸部41により、導光板11内で拡散しようとする光の一部が戻され、光の直進性が一層高められる。
【0030】
また、この透過型画像表示装置1では、導光板11に、光源10からの光を凸プリズム部21の表面で屈折させて入射させている。これにより、従来のように、光源から導光板に入射した光を凸部内で全反射させて直進させる場合に比べて、凸プリズム部21のアスペクト比を抑えることが可能となり、設計の自由度も確保できる。
【0031】
なお、図5に示す比較例の場合では、導光板11の屈折率を1.49とすれば、光源10から導光板11に入射する光は、臨界角(=約42°)の範囲で拡散する。これに対し、図3に示す実施例の場合では、光源10から導光板11に入射する光は、臨界角の範囲以下に狭まることとなる。光の直進性が高まると、エリア制御による動的コントラストの向上や、或いは、画像表示(液晶セル動作)の走査タイミングと光源のオン・オフとを連動させることで、多倍速駆動パネルを使用する場合と同様の効果を実現でき、動画画質の向上が図られる。
【0032】
本発明は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上述した実施形態では、導光板11の側面11cに凸プリズム部21を形成しているが、尖り方を表すパラメータkaを変え、図6に示すように、導光板11の側面11cに丸みのある凸レンズ部31を形成してもよい。この場合も、凸レンズ部31の最大高さをha、最大幅をwaとすれば、例えばhaが10mm以下、ha/wa(アスペクト比)=0.3以下であることが好ましい。
【0033】
また、上記実施形態では、導光板11の前面11aに延在する複数の凸部41が断面半円状をなしているが、この凸部41は、断面凸プリズム状であってもよく、丸みのある凸レンズ状であってもよい。この凸部41の輪郭線Fは、下記式(1)で表される円錐曲線で近似的に表すことができる。式(1)中において、凸部41の最大高さをha、最大幅をwa、凸部41の尖り方を表すパラメータをka(−1≦ka<1:ka=1のときはプリズム形状、ka=0のときは放物線状、ka=−1のときは半楕円状)、凸部41の底辺上の位置をx(−0.5wa≦x≦0.5wa)としたとき、ka=−0.6程度が例示される。
【数1】

【0034】
また、図7は、本発明の効果確認試験結果を示す図である。この効果確認試験は、幅が400mm(x方向)、長さが200mm(y方向)、厚さ4mmの側面を有する導光板において、側面側の中央に配置した一つの光源からの光の照度分布を前記側面の反対側の側面に配置した受光器によって取得する計算モデルを用い、側面の凸プリズム部及び前面の凸部を設けた場合と設けない場合とで光の直進性を比較したものである。
【0035】
この試験において、導光板の前面上に配列される複数の凸部の輪郭線は、前述の式(1)において、ka=−0.6、ha=150μm、wa=500μmとしたもので表され、各凸部は、隣り合う凸部同士が接するように並列配置されている。また、導光板の側面に設けられる凸プリズム部は、頂角140°、底部長さ10mmであり、各凸プリズム部は、隣り合う凸プリズム部同士が接するように配置されている。凸プリズム部に対向配置される光源と凸プリズム部の先端との距離は0.2mmとし、光源の配光分布は±60°とした。
【0036】
また、十分大きな導光板を想定して、前面及び背面に直交する側面のうち、光入射面となる側面以外の全ての側面には、完全吸収境界条件を設けた。さらに、受光器は、2mm間隔で配列されているものとし、導光板の光入射面となる側面の反対面から0.01mm内側の仮想面上で光を観測するものとした。この結果、図7に示すように、比較例では、半値幅で±165mm程度の範囲に光が拡散していたのに対し、実施例では、半値幅±17mm程度の範囲に光が収まっていることが確認された。
【符号の説明】
【0037】
1…透過型画像表示装置、2…液晶表示部、3…面光源装置、10…光源、11…導光板、11b…背面、11c…側面、11d…反対面、15…光拡散部、21…凸プリズム部、31…凸レンズ部、41…凸部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性材料からなり、背面に所定のパターンで設けられた光拡散部を有し、側面に入射した光を前記光拡散部で拡散させ、前面から出射させる導光板であって、
前記側面には、所定の間隔で凸レンズ部又は凸プリズム部が形成され、
前記前面には、前記側面からその反対面にかけて延在する複数の凸部が配列されていることを特徴とする導光板。
【請求項2】
透光性材料からなり、背面に所定のパターンで設けられた光拡散部を有する導光板と、前記導光板の側面に沿って所定の間隔で複数配置された光源と、を備え、前記側面に入射した前記光源からの光を前記光拡散部で拡散させ、前面から出射させる面光源装置であって、
前記側面には、前記光源の配置位置に対応する凸レンズ部又は凸プリズム部が形成され、
前記前面には、前記側面からその反対面にかけて延在する複数の凸部が配列され、
前記光源は、前記凸レンズ又は前記凸プリズム部の頂点に対して所定の間隔をもって配置されていることを特徴とする面光源装置。
【請求項3】
請求項2記載の面光源装置と、
前記面光源装置における前記導光板の前記前面に対向するように配置された液晶表示部と、を備えていることを特徴とする透過型画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−105573(P2013−105573A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247498(P2011−247498)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】