説明

導光板およびそれを備える電子機器

【課題】
光の減衰が生じにくい導光板およびそれを備える電子機器を提供する。
【解決手段】
本発明は、操作板10と押圧式のスイッチ61との間に配置され、操作板10側およびスイッチ61側の少なくともいずれか一方の側に光拡散部54を備える導光板50であって、シート51と、当該シート51のスイッチ61側の面における操作部位の裏方向に配置されスイッチ61側に突出する1若しくは2以上のプランジャー52とを同一材料にて連続形成され、プランジャー52は、その先端に向かって断面を小さくする形状であって、プランジャー52の先端面52aの外周部R1およびシート51との境界部R2の少なくともいずれか一方を曲面にしている導光板50およびそれを備える電子機器1に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板およびそれを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機器、携帯情報端末(PDA)、オーディオ機器等の電子機器において、操作面の所定部分を、内部に組み込んだLED等の光源から照光して、暗所でも容易に操作できるようにした機器が多くなってきている。
【0003】
操作面の所定部分を照光する方法として、例えば、PETあるいは熱硬化性ウレタン製の導光板の表方向にキートップやキーシートを配置し、当該導光板の側面からLED等の光源からの光を導き、その光を導光板に形成された光拡散部にて拡散させてキートップの所定領域から出射する方法が知られている。このような照光式のキーユニットの場合、導光板は、各キートップからの押圧を、導光板を挟んで裏側に配置されるスイッチに伝える押圧伝達媒体としても機能させる必要がある。このため、通常、導光板のシート面における各キートップ裏方向に、導光板と別体にて、スイッチを押し込むためのプランジャーが配置される(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2010/058671A1
【特許文献2】特開2006−324240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来技術には、次のような問題がある。上記従来技術の場合、導光板を構成するシートにプランジャーを固着してプランジャー付きの導光板を構成しているため、固着面における光の反射が生じて操作面からプランジャーの部分が特に光って見え、その他の部位で光の減衰が生じるという問題が有る。加えて、プランジャーにエッジが存在すると、そのエッジが光り、光の減衰が生じるという問題も有る。すなわち、上記従来技術の場合、導光板に、光源からの光量を減らす要因が存在しているため、操作面の照光量が足りなくなり、あるいはそれを防止するために高輝度の光源若しくは多くの光源を電子機器に備える必要が生じ、その結果、操作面を効率良く照光することが難しくなる。
【0006】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであって、操作面を効率良く照光できる導光板およびそれを備える電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決するための本発明の一形態は、操作板と押圧式のスイッチとの間に配置され、操作板側およびスイッチ側の少なくともいずれか一方の側に光拡散部を備える導光板であって、シートと、シートのスイッチ側の面における操作部位の裏方向に配置されスイッチ側に突出する1若しくは2以上のプランジャーとを同一材料にて連続形成され、プランジャーを、その先端に向かって断面を小さくする形状とし、プランジャーの先端面の外周部およびシートとの境界部の少なくともいずれか一方を曲面にした導光板である。
【0008】
本発明の別の形態は、さらに、シートにおける光源側端面の一部若しくは全部をシートの光源側端面以外の部位より厚くした導光板である。
【0009】
本発明の別の形態は、さらに、プランジャーを、その先端面の直径に対するシート側の底面の直径の比率が4を超える形状とした導光板である。
【0010】
本発明の一形態は、上述のいずれか1つの導光板を備える電子機器である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、導光板内を通る光の減衰を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る電子機器の斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す電子機器に備えられるキーユニットの平面図である。
【図3】図3は、図2に示すキーユニットのA−A線断面図である。
【図4】図4は、図3に示す導光板およびその一部B,Cを拡大して示す断面図である。
【図5】図5は、図4に示す導光板の平面図である。
【図6】図6は、図4に示す導光板の変形例の一部を拡大して示す拡大断面図である。
【図7】図7は、図4に示す導光板の製造に使用するフィルムを複数備える易剥離シートの平面図である。
【図8】図8は、図7に示す易剥離シートを用いて、図4に示す導光板を成形する状況を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る導光板およびそれを備える電子機器の実施の形態について説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係る電子機器の斜視図である。図2は、図1に示す電子機器に備えられるキーユニットの平面図である。
【0015】
本発明の実施の形態に係る電子機器の一例である携帯電話機器1は、開閉可能な折りたたみ式の構成を有し、開いた面の片側にキーユニット2を備える。図2に示すように、キーユニット2は、その最表面に、平面視にて略長方形の平面を有する板状の操作板10を備える。操作板10は、その表側の面に、表側に突出する合計19個のキートップ20を連接状態で備える。また、操作板10は、平面視にて上方の左右略中央に、操作板10と別体にて、四角枠状の多方向キー30と、当該多方向キー30の内側に略四角形の中央キー31とを備える。多方向キー30および中央キー31は、その外周に沿って隙間32を有しており、それらを裏側に向かって押圧したときでも操作板10にその押圧動作を伝達しにくい構造を有する。操作板10は、キートップ20同士の周囲に、キートップ20の天面より窪む溝22を備えている。溝22の裏側残部の厚さは非常に薄いので、各キートップ20をその表側から押圧しても、隣接するキートップ20にその力を伝達しにくい。なお、図2以降の図において、キートップ20や溝22のように、同じ符号を付す箇所が多数存在する場合に、一部の構成要素にのみ符号を付している図もあるが、図の見やすさを考慮して符号を省略している。
【0016】
操作板10は、透光性に優れる樹脂、例えば、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、アクリル樹脂、紫外線硬化性樹脂(好ましくは、アクリルウレタン系の樹脂)から、好適に構成される。操作板10は、その裏側に、遮光印刷あるいは遮光塗料(この実施の形態では、代表して、「遮光印刷」)33(図3を参照)を備える。遮光印刷33は、操作板10と同様の透光性に優れる樹脂から好適に構成されるが、これに限定されず、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱硬化性ポリウレタンエラストマー等の透光性と柔軟性の両方に優れるエラストマーから構成されても良い。遮光印刷33の好適な厚さは、5〜50μmである。遮光印刷33は、各キートップ20の位置に、キートップ20の裏側から表側に向けて透光するための文字、絵、記号等の抜き文字状の表示部21を有する。表示部21は印刷されていない部分である。これに対して、遮光印刷33の表示部21以外の領域は、黒、銀等の遮光性のインク(顔料系、染料系のいずれでも良い)にて印刷されている。逆に、表示部21の部分を遮光性のインクにて印刷し、各キートップ20の領域内の表示部21以外の領域を非印刷領域とするような遮光性印刷を用いても良い。
【0017】
なお、操作板10は、キートップ20も含めて、アルミニウムあるいはステンレススチールにて形成しても良い。その場合、表示部21をキートップ20の表裏方向に貫通する貫通孔にて形成し、その貫通孔に透明な樹脂を埋設するのが好ましい。このような表示部21を構成すると、遮光印刷33を用いなくても、操作板10の裏側からの光は、表示部21の領域からのみ表方向に出射可能になる。
【0018】
多方向キー30および中央キー31は、操作板10と同様、透光性に優れる樹脂から構成しても良いが、この実施の形態では、多方向キー30および中央キー31自体から照光する必要が無くそれらの外周の隙間32から照光するので、金属から構成されている。金属には、例えば、アルミニウム、ステンレス等を用いることができる。多方向キー30および中央キー31を、操作板10と同様の樹脂にて形成する場合には、隙間32の部分を薄肉の溝にて操作板10と一体化しても良い。
【0019】
操作板10の裏方向に配置されるスイッチ基板(後述する)には、光源の一例であるLED40が配置されている。LED40は、導光板(後述する)の端面から導光板内に光を入射し、キートップ20の表示部21を照光するために用いられる。図2では、2個のLED40を表示しているが、1個あるいは3個以上のLED40を配置しても良い。さらには、LED40以外の光源を用いても良い。
【0020】
図3は、図2に示すキーユニットのA−A線断面図である。図4は、図3に示す導光板およびその一部B,Cを拡大して示す断面図である。図5は、図4に示す導光板の平面図である。
【0021】
図3に示すように、キーユニット2は、その表側から順に、操作板10、遮光印刷33、導光板50、スイッチ基板60の順に積層配置した構成を有する。導光板50は、透光性および柔軟性に共に優れた樹脂、好適には、熱硬化性ウレタン樹脂、熱硬化性シリコーン樹脂、紫外線硬化性樹脂あるいは電子線硬化性樹脂から構成される。紫外線硬化性樹脂若しくは電子線硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、あるいはこれらの2以上の複合樹脂を用いることができる。導光板50を熱硬化性ウレタン樹脂、紫外線硬化性樹脂あるいは電子線硬化性樹脂から構成することにより、より薄型に成形しやすく、また、PC樹脂と異なり、後述の光拡散部をレーザ加工にて形成しても、変色しにくい。また、導光板50は、単一の材料(一種類の材料であれば、ポリマーアロイでも良い)から構成されるのが好ましい。導光板50を単一材料から構成すると、導光板50の光散乱領域以外の箇所での光の反射が生じず、操作面側から、後述するプランジャーの部分が見え難くなる。さらに、プランジャーを別途取り付ける工数、成型コスト等を削減できる。なお、導光板50の材料としては、特に、熱硬化性ウレタンが好ましく、他の材料(例えば、PC系樹脂、アクリル系樹脂)と比較して、柔軟性に優れ、高輝度にて照光可能である。
【0022】
導光板50は、シート51のスイッチ側の面に複数のプランジャー52を有する。プランジャー52は、シート51のスイッチ側の面における操作部位の裏方向に配置され、スイッチ側に突出する。シート51とプランジャー52とは、同一材料にて連続形成されている。「連続形成」とは、シート51とプランジャー52との間に境界面の無い状態を意味する。プランジャー52は、その先端に向かって断面(プランジャー52の水平断面)を小さくする形状を有する。この実施の形態では、プランジャー52は、先端を切断した円錐形状を有するが、先端を切断した角錐形状、先端を丸く湾曲させた円錐若しくは角錐形状でも良い。プランジャー52は、その先端面52aの直径L1に対するシート51側の底面52bの直径L2の比率が1を超える形状であるが、より好ましくは当該比率が4を超える形状、さらに好ましくは当該比率が5以上の形状である。プランジャー52の側面において、LED40からの光が高輝度に反射するのを有効に防止できるからである。プランジャー52は、その先端面52aの外周部R1およびシート51との境界部R2を曲面とし、エッジを極力低減させた形状を有する。曲面状の外周部R1および境界部R2は、曲率20(mm−1)以下であって、好ましくは7(mm−1)以下である。外周部R1および境界部R2は、LED40からの光を高輝度に反射するのを防止する。プランジャー52の直径L1は、後述するドームスイッチあるいはキートップ20の平面視からの大きさに応じて適宜変更でき、好ましくは0.5〜3.5mm、より好ましくは、1.0〜3.0mmである。同様に、プランジャー52の直径L2は、L2/L1>1を前提として、好ましくは、2.0〜11.0mm、より好ましくは、6.0〜10mmである。プランジャー52の高さも、後述するドームスイッチの高さに応じて適宜変更できるが、好ましくは、0.1〜0.40mm(100〜400μm)の範囲、より好ましくは0.15〜0.30mm(150〜300μm)の範囲である。
【0023】
導光板50において、LED40と対向する側の端部53を除き、シート51の厚さは、好ましくは0.08〜0.25mm、より好ましくは0.10〜0.20mmである。シート51の端部53の光源側端面53aの全部は、シート51の光源側端面53a以外の部位より厚い。光源側端面53aの厚さWは、好ましくは、LED40の厚さと同一若しくはそれより大きい。例えば、LED40の厚さが0.20mmの場合、光源側端面53aの厚さWは、少なくとも0.20mm以上である。LED40からの光を確実に導光板50内に導き、漏光を防止するためである。なお、光源側端面53aの内、LED40と対向する部分のみを厚くしても良い。シート51の端部53は、スイッチ側にのみ徐々に厚くなる形状を有する。シート51からその厚さを大きくする境界部R3は、プランジャー52の外周部R1および境界部R2と同様に曲面であって、エッジを極力低減させた形状であるのが好ましい。境界部R3は、曲率100(mm−1)以下であって、好ましくは20(mm−1)以下である。端部53の付け根部分である境界部R3は、LED40からの光を高輝度に反射するのを防止する。
【0024】
図4および図5に示すように、導光板50は、その操作板10側の面に複数の光拡散部54を備える。光拡散部54は、好ましくは、各キートップ20の表示部の形状と同等かそれ以上の面積にて形成されている。光拡散部54は、導光板50の内方に窪む多数の凹部54aから成る。凹部54aは、導光板50の内部を透過する光を散乱して、キートップ20側に屈折させる機能を持つ。導光板50の光拡散部54以外の裏側の面および表側の面は、平均表面粗さ(Ra)にて1.5μm以下の鏡面とするのが好ましい。当該鏡面は、導光板50の成形時に使用する金型の内面を鏡面仕上げにし、あるいは導光板50の成形後の鏡面研磨により実現可能であるが、成形後の後工程のない前者の方法による方が好ましい。また、鏡面に成形されたプラスチックフィルム面を成形時に転写しても良い。凹部54aは、好ましくは、レーザ加工(例えば、炭酸ガスレーザを用いた加工)によって形成される。ただし、凹部54aは、成形時に、金型面に形成される凸部から転写して形成されても良い。凹部54aは、好ましくは、深さ0.03〜0.07mm(30〜70μm)、開口径0.1〜0.3mmで形成される。通常、LED40からの距離が長いほど、光量が少なくなる。そこで、複数の表示部21を均一に照光するため、LED40から遠いキートップ20の裏側ほど反射率を高める必要が有る。かかる必要から、凹部54aは、LED40からの距離が長くなるほど、高密度にあるいは深く形成するのが好ましい。光拡散部54は、操作板10側の面に形成されているので、操作板10と導光板50との貼り付きを防止できる。ただし、当該貼り付きの防止の必要性が無い場合あるいは別の手段にて貼り付きを防止できる場合には、光拡散部54を導光板50のスイッチ側の面に形成しても良い。さらには、光拡散部54を、導光板50の操作板10側およびスイッチ側の両側の面に形成しても良い。
【0025】
スイッチ基板60は、キートップ20の裏側の位置に、押圧式のスイッチの一例であるドームスイッチ61を備える。スイッチ基板60としては、好適には、ガラス繊維で編んだクロスにエポキシ樹脂を含浸させたガラスエポキシ製の基板である。ただし、スイッチ基板60として、ガラスコンポジット基板、アルミナ等から成るセラミックス基板若しくはポリイミド系樹脂等から成るフレキシブル基板を用いても良い。ドームスイッチ61は、キートップ20からの押圧を、導光板50のプランジャー52を介して受けることによって、ドームがつぶれ、その際にスイッチが入る構造を有する。ドームには、好適には、メタルドームを用いる。スイッチ基板60は、ドームスイッチ61を覆うように、ドーム被覆シート62を備える。
【0026】
図6は、図4に示す導光板の変形例の一部を拡大して示す拡大断面図である。
【0027】
図6に示す導光板の一部C’の拡大図に示すように、導光板50の端部53は、図4に示す形状に限定されず、操作板10側およびスイッチ側の両側に厚さを徐々に大きくする形状であっても良い。その結果、端部53の光源側端面53bの厚さW’を広くとることができるので、LED40の厚さが比較的大きくても、LED40の厚さ以上の光源側端面53aを形成しやすい。なお、端部53の形状を、操作板10側にのみ厚さを大きくする形状としても良い。
【0028】
図7は、図4に示す導光板の製造に使用するフィルムを複数備える易剥離シートの平面図である。
【0029】
導光板50を熱硬化性ウレタン樹脂あるいは熱硬化性シリコーン樹脂から成形する場合、その材料の特性上、導光板50の表面に粘りがあるため、成形用の金型との剥離が難しい。この結果、成形後に金型から導光板50を分離する際に、導光板50の一部が破損する可能性が有る。かかる状況に鑑みて、金型と成形体との間に、図7に示すフィルム71を介在させて成形を行うのが好ましい。フィルム71としては、例えば、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)を用いるのが好ましい。フィルム71は、一枚ずつ作製しても良いが、図7に示すように、1枚の易剥離シートから複数枚のフィルム71を切り取って使用しても良い。フィルム71は、導光板50のプランジャー52の位置に合わせて、プランジャー52のシート51との境界側の底面52bと同一若しくは当該底面52bより大きな孔72を有する。孔72は、例えば、打ち抜きによって形成可能である。
【0030】
図8は、図7に示す易剥離シートを用いて、図4に示す導光板を成形する状況を模式的に示す断面図である。
【0031】
導光板50を成形するための金型80は、プランジャー52を形成するための凹部83を備える第一金型81と、第一金型81と反対側から導光板50を押圧する第二金型82とを有する。上述のフィルム71は、第一金型81側に敷設される。また、フィルム71と同様の材料から成る別のフィルム91は、好適には、第二金型82側に敷設される。フィルム91は、フィルム71と異なり、プランジャー52を挿通可能な孔72を備えていない。導光板52は、フィルム71およびフィルム91との間に挟まれた状態にて、金型80を用いて加熱硬化して成形される。このため、金型80から導光板50を分離する際に、導光板50が破損しにくい。なお、プランジャー52の破損を特に防止するために、フィルム71のみを第一金型81側に敷設し、フィルム91を第二金型82側に敷設しなくても良い。
【0032】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の導光板およびそれを備える電子機器は、上述の実施の形態に限定されず、種々変更可能である。
【0033】
例えば、電子機器に、ドームスイッチ61以外の形態の押圧式のスイッチ、例えばタクトスイッチを用いても良い。操作板10は、キートップ20を連接した1枚のキーシートであるが、各キートップ20を分離して導光板50の上方に配置しても良い。導光板50の端部53は、LED40等の光源の位置および数に応じて設けることができ、例えば、導光板50の四辺すべての方向に光源を配置する場合には、導光板50の四辺すべてに端部53を形成しても良い。
【0034】
プランジャー52の側面は、一定の角度で傾斜する斜面とせずに、先端に向かって湾曲する曲面でも良い。また、プランジャー52の先端面52aの外周部R1およびシート51との境界部R2の内、いずれか一方のみを曲面にしても良い。さらには、シート51とその端部53との境界部R3は、必ずしも曲面でなくても良い。LED40の厚さが小さい場合には、端部53を形成しなくても良い。電子機器は、携帯電話機器1以外の機器、例えば、電話機能の無い通信端末、音楽再生装置、テレビ映像受信装置等でも良い。
【実施例】
【0035】
次に、本発明に係る導光板の実施例について説明する。
【0036】
(導光板の製造方法)
プランジャーおよびそれと連続形成されるシート(厚さ:0.125mm〜0.150mm)から成る導光板大判サイズ(縦250mm×横250mm)を形成可能な凹部を有する金型(表面にクロムメッキを施した金型)を用意して、各金型内に、易剥離用のフィルムを上下各金型側に敷設した状態にて、熱硬化性ウレタン樹脂(ペルノックス株式会社製、商品名:MU-636A/B)の未硬化材料を供給した。続いて、加温・加圧して導光板を成形した。5セットの金型は、それぞれ、プランジャーを形成するための凹部の形態を変えたものである。具体的には、プランジャーの先端面の直径L1=2mm、プランジャーとシートの境界側の底面の直径L2=4mmの金型A; 直径L1=2mm、直径L2=6mmの金型B; 直径L1=2mm、直径L2=8mmの金型C; 直径L1=2mm、直径L2=10mmの金型D; 直径L1=2mm、直径L2=12mmの金型Eの5種類の金型を用いた。上述の易剥離用のフィルムは、いずれの金型にも共通して、孔を、直径L2=12mmと同一若しくはそれより大きな径にて形成したものを用いた。金型A〜Dについては、プランジャーの先端面の外周部およびシートとの境界部を曲面(曲率R=2mm−1)にするように凹部の加工を施した。一方、金型Eについては、比較に用いる目的から、凹部において、上記曲面にするための加工を施さなかった。高さ0.20〜0.23mmのドームスイッチに対してクリック感が損なわれないように、金型A〜Eの凹部の深さを、いずれも0.18mmとした。各種導光板のプランジャーと反対側の面には、炭酸ガスレーザを用いたレーザ加工により、光拡散部を形成した。光拡散部を構成する凹部は、直径約0.1〜0.3mmの範囲とし、0.5〜1.0mmのピッチにて設けられた。
【0037】
(評価方法)
金型A〜Eを用いてそれぞれ製造した導光板は、プランジャー部分での高輝度発光の有無の評価に供した。評価に際して、前述のキーユニットと同様の構成を持つユニットを構成し、光源としてLEDを用いた。高輝度発光の有無の評価は、携帯電話の実機(導光板を用いた照光方式)を使用し、5種類の導光板サンプルをそれぞれ実機に搭載し、目視による次の基準にて実施した。プランジャーのエッジ部分が光って見えないものを優良レベル(「◎」)とし、優良レベルと比べてエッジ部分がわずかに見えるものの実用上問題の無いレベルを合格レベル(「○」)とし、エッジ部分が多少光っているが、面輝度に影響のないものを許容レベル(「△」)とし、エッジ部分が高輝度に光って見えるものを不合格レベル(「×」)とした。
【0038】
(評価結果)
表1に、金型A〜Eを用いて製造した各種導光板のプランジャーの形態と評価結果とを示す。
【0039】
【表1】

【0040】
プランジャー部分における輝度の有無については、プランジャーの先端面の外周部およびシートとの境界部を曲面形状としたサンプル1〜4には特異的な輝度が見られなかったが、比較に用いたサンプル5は、プランジャーの先端面の外周部およびシートとの境界部において異常な高輝度発光が認められた。また、サンプル1〜4において、L2/L1=5のサンプル4は、極めて均一な発光状態であり、次に良いL2/L1=4のサンプル3は、均一な発光状態であり、その次に良いL2/L1<4のサンプル1およびサンプル2は、比較的均一で異常に高輝度な部分が認められない状態であった。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、例えば、導光板を備える照光式の電子機器に利用できる。
【符号の説明】
【0042】
1 携帯電話機器(電子機器の一例)
10 操作板
50 導光板
51 シート
52 プランジャー
52a 先端面
52b 底面
53a,53b 光源側端面
54 光拡散部
61 ドームスイッチ(スイッチの一例)
R1 外周部
R2,R3 境界部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作板と押圧式のスイッチとの間に配置され、上記操作板側および上記スイッチ側の少なくともいずれか一方の側に光拡散部を備える導光板であって、
シートと、当該シートの上記スイッチ側の面における操作部位の裏方向に配置され上記スイッチ側に突出する1若しくは2以上のプランジャーとを同一材料にて連続形成され、
上記プランジャーは、その先端に向かって断面を小さくする形状であって、
上記プランジャーの先端面の外周部および上記シートとの境界部の少なくともいずれか一方を曲面にしていることを特徴とする導光板。
【請求項2】
前記シートにおける光源側端面の一部若しくは全部が前記シートの上記光源側端面以外の部位より厚いことを特徴とする請求項1に記載の導光板。
【請求項3】
前記プランジャーは、前記先端面の直径に対する前記シート側の底面の直径の比率が4を超える形状であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の導光板。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項記載の導光板を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−199064(P2012−199064A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62304(P2011−62304)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】