説明

導光板の製造方法、導光板、これを備えた面光源装置および透過型画像表示装置

【課題】ドットパターンをインクジェット法により印刷する場合において、ドットパターンの印刷の不均一を抑制することが可能となる導光板の製造方法、およびこの製造方法によって得ることのできる導光板、これを備えた面光源装置および透過型画像表示装置を提供する。
【解決手段】導光板の製造方法は、剥離工程と、水洗処理工程と、印刷工程とを備えている。剥離工程は、マスキングフィルムMFが表面に貼合された透光性樹脂板35から当該マスキングフィルムMFを剥離する。水洗処理工程は、マスキングフィルムMFを剥離した透光性樹脂板35の表面32上を水洗処理する。印刷工程は、水洗処理された透光性樹脂板35の表面32上にインクを滴下することによって、ドットパターン37を印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板の製造方法、導光板、これを備えた面光源装置および透過型画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等の透過型画像表示装置は、一般に、バックライトとしての面光源装置を有している。エッジライト型面光源装置は、導光板及びその端面に光を供給する光源とから構成される。導光板の端面から入射した光が、導光板の背面側に設けられた反射ドット等の反射手段によって反射し、導光板の出射面から画像表示用の面状の光が供給される。
【0003】
導光板の反射ドット(配光パターン)を形成する方法として、インクジェット法が検討されている(特許文献1)。インクジェット法によれば、設計された所望のパターンを構成する反射ドットを簡易に形成できることが期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−240294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、導光板の樹脂板の表面上にインクジェット法により反射ドットを形成すると、反射ドットの印刷の均一性が低いという問題があった。例えば、反射ドットが所定の位置に印刷されなかったり、反射ドットの形状が円状でなかったり、隣接する反射ドット同士が接触したりするなど、必ずしも設計通りのドットパターンで反射ドットが形成されないことがあった。このようなドットパターンを有する導光板は、外観品位が低いだけでなく、均一性の高い面状の光を出射することができない。印刷の不均一(印刷ムラ)は、反射ドットの位置が部分的に異なる場合や、反射ドットの形状が部分的に異なる場合に発生する。また、反射ドット同士が接触する場合には、その接触の程度が部分ごとに差異を有する場合においても発生する。
【0006】
本願発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、ドットパターンをインクジェット法により形成する場合において、ドットパターンの印刷の不均一を抑制することが可能な導光板の製造方法、この製造方法によって得ることができる導光板、これを備えた面光源装置および透過型画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、反射ドットの印刷の不均一は、導光板のための樹脂板における保護フィルムの糊残りが原因であることを見出した。導光板のための樹脂板の表面には、搬送等における傷の発生、ほこりや汚れの付着等を回避するために、接着層を有する保護フィルムが貼合されている。導光板の製造工程では、樹脂板から保護フォルムを剥離した後に、反射ドットを形成するドットパターンを印刷するが、樹脂板の表面には保護フィルムの接着層の糊残りが発生する。この保護フィルムの糊残りに起因するドットパターンの印刷の不均一は、近年の大画面かつ高解像度の液晶ディスプレイのための導光板において高精細な反射ドットを形成する際に問題となる。
【0008】
そこで、本発明の導光板の製造方法は、保護フィルムが表面に貼合された樹脂板から当該保護フィルムを剥離する剥離工程と、保護フィルムを剥離した樹脂板の表面上を水洗処理する水洗処理工程と、水洗処理された樹脂板の表面上にインクを滴下することによって、ドットパターンを印刷する印刷工程と、を備えている。
【0009】
この発明によれば、インクジェット法によってドットパターンを印刷する前に、樹脂板の表面を水洗処理しておくことにより、ドットパターンの印刷の不均一の原因と考えられる保護フィルムの糊残りを除去することができる。この結果、設計通りのドットパターンを印刷することが可能となり、ドットパターンをインクジェット法により形成する場合において、ドットパターンの印刷の不均一を抑制することが可能となる。
【0010】
また、本発明に係る導光板の製造方法では、インクが紫外線硬化インクであってもよい。
【0011】
本発明に係る導光板は、上記導光板の製造方法によって得ることができる。この導光板は、ドットパターンをインクジェット法により形成する場合において、ドットパターンの印刷の不均一が抑制されるので、外観品位が高くなると共に、均一性の高い面状の光を出射することが可能である。
【0012】
本発明に係る面光源装置は、上記の導光板と、この導光板の端面に光を供給する光源と、備える構成とすることができる。また、本発明に係る透過型画像表示装置は、上記面光源装置と、面光源装置の導光板と対向配置された透過型画像表示部と、備えた構成とすることができる。
【0013】
この面光源装置および透過型画像表示装置によれば、均一性の高い面状の光を出射することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ドットパターンをインクジェット法により印刷する場合において、ドットパターンの印刷の不均一を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る透過型画像表示装置の一実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明に係る面光源装置の一実施形態の構成を模式的に示す背面図である。
【図3】導光板の製造方法の一実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、同一または相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
(透過型画像表示装置)
透過型画像表示装置1は、透過型画像表示部10と、図1において透過型画像表示部10の背面側に配置された面光源装置20とを備えている。以下の説明では、図1に示すように、面光源装置20と透過型画像表示部10の配列方向をZ方向(板厚方向)と称し、Z方向に直交する2方向であって互いに直交する2方向をX方向およびY方向と称す。
【0018】
透過型画像表示部10としては、例えば液晶セル11の両面に偏光板12,12が配置された液晶表示パネルが挙げられる。この場合、透過型画像表示装置1は液晶表示装置(又は液晶テレビ)である。液晶セル11,偏光板12,12は、従来の液晶表示装置等の透過型画像表示装置1に内蔵されているものを用いることができる。液晶セル11としてはTFT型、STN型等の公知の液晶セルが例示される。
【0019】
(面光源装置)
図2は、本発明に係る面光源装置の一実施形態の構成を模式的に示す背面図である。面光源装置20は、図1および図2に示すように、導光板30と、導光板30における透光性樹脂板35の側面(端面)33と対向して配置されたLED光源22とを備えたエッジライト型面光源装置である。なお、導光板30における透光性樹脂板35の正面側において、導光板30と透過型画像表示部10との間に、各種フィルム41が配置されている構成でもよい。各種フィルム41としては、拡散フィルム、プリズムフィルム、輝度向上フィルムなどが挙げられる。
【0020】
(光源)
LED光源22は、面光源装置20の点状光源として機能するものであり、図2に示すように、導光板30における透光性樹脂板35のY軸方向に延在する側面33,33と対向して配置されている。複数のLED光源22は、側面33の長手方向(Y軸方向)に沿って、離散的に配置されている。LED光源22の配置間隔は、通常5mm〜20mmである。点状光源は、導光板30における透光性樹脂板35の4辺と対向するように配置、X軸方向に対向する2辺、Y軸方向に対向する2辺に配置、1辺のみに配置されている構成でもよい。また、点状光源は、LED光源に限らずその他の点状光源でもよい。さらに、光源は、点状光源に限定されず、線状光源(CCFL:冷陰極管)が配置されている構成でもよい。
【0021】
LED光源22は、白色LEDでもよく、一つの箇所に複数のLEDを配置して一つの光源単位を構成してもよい。例えば、一つの光源単位として、赤色、緑色、青色の異なる三色のLEDが、近接され並べられて配置されていてもよい。そして、複数のLEDを有する光源単位が、上述した配置方向に従い離散的に配置される。このような場合には、異なるLED同士は可能な限り近づけられて配置されていることが好ましい。
【0022】
LED光源22としては、様々な出光分布を有するものが使用可能であるが、LED光源の法線方向の光度が最大であり、光度分布の半値幅が40度以上80以下である出光分布を有するものが、好適である。また、LED光源のタイプとしては、具体的に、ランバーシアン型、砲弾型、サイドエミッション型などが挙げられる。
【0023】
(導光板)
導光板30は、透光性樹脂板35と、透光性樹脂板35の背面32に所定のドットパターン37に配置される複数の反射ドット36とを有する。図2に示すように、透光性樹脂板35は、長方形を成し、平面視形状のサイズは目的とする透過型画像表示部10の画面サイズに適合するように選択される。透光性樹脂板35の平面視形状は、長方形に限らず、正方形としてもよいが、以下では、特に断らない限り、長方形として説明する。
【0024】
透光性樹脂板35は、光を透過させる透光性樹脂から形成され板状を成している。透光性樹脂としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル樹脂、ポリスチレンシート又はポリカーボネート系樹脂を用いることができる。なお、透光性樹脂板35は、シート状でもよく、フィルム状でもよい。透光性樹脂板35の厚みTは、1.0mm以上4.5mm以下であることが好ましい。
【0025】
透光性樹脂板35は、Z軸方向(厚み方向)に対向する一対の表面31,32、X軸方向に対向する一対の側面33,33、およびY軸方向に対向する一対の側面34,34を備えている。表面31,32は、側面33,34と交差する方向に形成されている。
【0026】
Z軸方向に対向する一対の表面のうち一方の表面31は、面状の光を出射可能な出射面として機能する。出射面としての表面31は、透過型画像表示部10側に配置され、他方の表面(背面32)は、透過型画像表示部10とは反対側に配置される。また、背面32と対面する位置には、導光板30内の光を表面31である出射面側へ反射させる反射シート42が配置されている。透光性樹脂板35の反射ドット36が形成される表面(背面32)とは反対側の表面31は、本実施形態のように平坦面であってもよいが、凹凸形状を有していてもよい。
【0027】
(反射加工)
また、図2および図3に示すように、透光性樹脂板35の背面32には、光を乱反射させる反射加工として所定のドットパターン37に配置される反射ドット36が形成されている。本実施形態の導光板30では、当該ドットパターン37がインクジェット法により印刷されている。ドットパターン37の印刷には、光を拡散させる拡散粒子を有するインクが使用されている。ドットパターン37を構成する各反射ドット36の径は、図2に示すように、光源側から離間するにつれて大きくなるように形成されていてもよい。
本実施形態のように、エッジライト型の面光源装置では、光源22、すなわち透光性樹脂板35の側面33に近い領域ほど光が強く、側面33から遠ざかる領域ほど光が弱くなる。そのため、透光性樹脂板35の出射面31から出射される光の輝度が略均一になるように、側面33からの距離に応じて、反射ドット36の径を大きくする。
【0028】
(導光板の製造装置)
次に、上記面光源装置20および透過型画像表示装置1に含まれている導光板30の製造方法について説明する。図3は、導光板の製造装置の一実施形態を示す模式図である。図3に示す導光板の製造装置100は、搬送手段50と、剥離装置60と、洗浄装置70と、インクジェットヘッド80と、UVランプ90と、検査装置95とを備えている。搬送手段50と、剥離装置(剥離部)60と、洗浄装置(水洗処理部)70と、インクジェットヘッド(印刷部)80と、UVランプ90と、検査装置95とは、透光性樹脂板(樹脂板)35の移動方向Aにおいて上流側からこの順に配置される。
【0029】
搬送手段50は、方向Aに沿って連続的又は間欠的に原板となる透光性樹脂板35を搬送する。本実施形態における搬送手段50としては、テーブルシャトル、ベルトコンベア、コロ、又はエア浮上移送等が例示される。
【0030】
剥離装置60は、片面又は両面にマスキングフィルム(保護フィルム)MFが貼合された透光性樹脂板35(図3では下面のみに貼付された例を図示している)からマスキングフィルムMFを剥離して、反射ドット36が形成される透光性樹脂板35の表面32を露出させる(剥離工程)。
【0031】
洗浄装置70は、透光性樹脂板35を搬送しながら、剥離装置60によって露出された透光性樹脂板35の表面32を水洗処理する(水洗処理工程)。洗浄装置70は、第1処理部71と、第2処理部72と、第3処理部73とを有しており、この順番で、透光性樹脂板35の表面32を水洗処理する。透光性樹脂板35の搬送速度として1〜400mm/secが例示される。
【0032】
第1処理部71は、マスキングフィルムMFが貼合されていた透光性樹脂板35の表面32に対して、純水シャワーの打撃力により、表面32の汚れ(糊、塵埃等)を剥離させる第1水洗処理工程を担う部分である。第1処理工程における純水シャワーの圧力として0.1〜0.3MPa、水量として5.0〜20L/min、処理時間として1〜600secを例示することができ、例えば、純水シャワーの圧力を0.25MPa、水量を20L/min、処理時間を15secとすることができる。
【0033】
第2処理部72は、第1処理部71による処理の後、透光性樹脂板35の表面32に対して、純水とCDA(Clean Dry Air)とによる2流体シャワーの打撃力により、表面32の汚れ(糊、塵埃等)を剥離させる第2水洗処理工程を担う部分である。第2処理工程における2流体シャワーの圧力として0.1〜0.2MPa、エアー量として200〜1000L/min、水量として5.0〜20L/min、処理時間として0.6〜600secを例示することができ、例えば、圧力を0.16MPa、エアー量を500L/min、水量を14L/min、処理時間を3secとすることができる。
【0034】
第3処理部73は、第2処理部72による処理の後、透光性樹脂板35の表面32に対してガス噴出口から吐き出される気体流を吹きつけ、第1及び第2水洗処理工程における水分を除去する(エアーナイフ)第3水洗処理工程を担う部分である。第3処理工程におけるエアーナイフのエアー量として100〜1000L/minを例示することができ、例えば、エアー量を750L/minとすることができる。
【0035】
インクジェットヘッド80は、搬送手段50により搬送される透光性樹脂板35の背面側である表面32にインクを滴下して所望のドットパターン37を印刷する(印刷工程)。インクジェットヘッド80は、透光性樹脂板35の反射ドット36が形成される領域の幅方向(搬送方向Aに対して垂直な方向)全体にわたって、透光性樹脂板35の表面32に対向して配置された複数のノズル(図示せず)を有している。インクジェットヘッド80は、この構成により、透光性樹脂板35の幅方向全体にわたり同時に印刷することができる。
【0036】
反射ドット36を形成するためにインクジェットにおいて用いられるインクジェットのインクは、光を拡散させるための拡散粒子と、印刷後の硬化処理にて硬化し透光性樹脂板35に対して密着性を有する樹脂とを含有するインクが好適に用いられるが、拡散粒子を含まず、硬化後の樹脂によるプリズム効果によって光を拡散させるものであってもよい。
【0037】
拡散粒子としては、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ等が例示されるが、これに限定されるものではない。拡散粒子は、特定の波長の光を選択的に吸収することのないよう、無色あるいは白色であることが好ましい。
【0038】
樹脂成分としては、各種の水溶性樹脂、溶剤系樹脂およびエマルジョン型の樹脂の他、紫外線硬化樹脂などを用いることができる。これらの中でも、環境対策の容易さなどの観点から、水溶性樹脂および紫外線硬化樹脂が好ましい。ここでは、紫外線硬化樹脂を用いた場合について、硬化手段としてUVランプ90による紫外線照射を例として説明するが、樹脂成分として水溶性樹脂、溶剤系樹脂およびエマルジョン型樹脂を用いた場合においては、硬化手段として熱による乾燥が採用される。
【0039】
インクジェットヘッド80による印刷は、透光性樹脂板35を一定の速度で連続的に移動させながら行うことができる。また、透光性樹脂板35を停止させた状態で印刷することと、透光性樹脂板35を次の印刷位置まで移動させてから停止することとを繰り返して印刷することもできる。このようにして印刷された透光性樹脂板35は、搬送方向下流側に搬送されていく。
【0040】
UVランプ90は、搬送手段50により上流側から搬送されてくるドットパターン37が印刷された透光性樹脂板35に対して照射領域91において紫外線を照射する。透光性樹脂板35上のインクは、UVランプ90により紫外線が照射されることによって硬化する。これにより、硬化したインクからなる反射ドット36が形成される。
【0041】
検査装置95は、形成された反射ドット36の状態を検査する。導光板30は、以上のような工程を経て形成される。また、導光板30は、必要により所望のサイズに裁断される。本実施形態のように、インクジェットヘッドの下流側に設けられた検査装置95により導光板30が連続的に検査される必要は必ずしもなく、別途準備された検査装置によりオフラインで導光板を検査することもできる。
【0042】
本実施形態に係る導光板の製造方法では、透光性樹脂板35の表面32、特に背面となる表面32にマスキングフィルムMFが貼合されていることにより、背面32における傷及び汚れの発生が防止される。背面32に傷があったり、汚れが付着していたりすると、インクの濡れ拡がり方が不均一となり、このことが反射ドット36の均一性が低下する原因となり得る。ただし、マスキングフィルムMFを透光性樹脂板35から剥離した際に、マスキングフィルムMFの糊が背面32上にわずかに残る場合がある。残った糊に起因して、ドットパターン37が印刷された際に当該ドットパターン37にスジ状の欠陥が生じたり、印刷ムラが生じたりすることがある。本実施形態では、背面32を水洗処理しているので、糊の影響が低減され、背面32にマスキングフィルムMFが貼合されていた場合であっても、反射ドット36形成用のドットパターン37を高い均一性で印刷することができる。
【0043】
また、この実施形態により製造された導光板30は、ドットパターンをインクジェット法により形成する場合に印刷ムラが抑制されるので、均一性の高い面状の光を出射することが可能となる。また、この導光板30を備える面光源装置20、透過型画像表示装置1は、均一性の高い面状の光を出射することが可能となる。
【実施例】
【0044】
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0045】
(実施例1)
マスキングフィルムが両面に貼合されたPMMA板(長さ370mm、幅320mm、厚み4mm)を準備した。次に、片方のマスキングフィルムを剥離した。このとき、露出したPMMA板の表面の主成分組成がEVA(エチレン・酢酸ビニル共重合体)であることがIR分析(赤外分光分析)により分かった。
【0046】
次に、ドットパターンを印刷する前処理として、露出したPMMA板の表面に対して、以下の表1に示す水洗処理(1)〜(3)をこの順番に行った。
【表1】

【0047】
次に、水洗処理が成されたPMMA板の表面に対して、インクジェットヘッド(印字幅50mm)を用いて、体積が40pL、粘度が8.3mPa・sの紫外線硬化樹脂のインクを、走査速度200mm/secで150dpiの解像度で印刷した。
【0048】
次に、印刷されたドットパターンに対して、PMMA板の表面にインクが着弾してから2秒後に、UVランプを用いてUV積算光量0.5J/cmの紫外線を照射して反射ドットを形成させた。以上の本発明の導光板の製造手順により、反射ドット36を有する導光板30を得た。
【0049】
(実施例2)
水洗処理における(1)〜(3)の各処理を表1に示す実施例2の内容とした以外は、上記実施例1と同様の製造手順により、反射ドット36を有する導光板30を得た。
(実施例3)
水洗処理における(1)〜(3)の各処理を表1に示す実施例3の内容とした以外は、上記実施例1と同様の製造手順により、反射ドット36を有する導光板30を得た。
(実施例4)
水洗処理における搬送速度及び水洗処理における(1)〜(3)の各処理を表1に示す実施例4の内容とした以外は、上記実施例1と同様の製造手順により、反射ドット36を有する導光板30を得た。
【0050】
(比較例1)
露出したPMMA板の表面に対して、ドットパターンを印刷する前処理を何もしなかった以外は、上記実施例1と同様、本発明の導光板の製造手順により、反射ドット36を有する導光板30を得た。
【0051】
本評価では、上記実施例1〜4、比較例1について、反射ドットが形成された導光板の表面を目視にて観察を行った。その評価結果を表2に示す。表2では、反射ドットの印刷の不均一が確認されなかった場合に「○」を、確認された場合に「×」を示す。なお、水洗処理の内容については、表1に示すとおりである。
【0052】
この評価結果によれば、ドットパターンを印刷する前処理として、PMMA板における保護フィルムを剥離した印刷面を所定の条件で水洗処理することによって、ドットパターンの印刷の不均一を抑制できることが確認できた。
【表2】

【0053】
以上、本発明に係る実施形態および実施例について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0054】
上記実施形態においては、剥離工程と水洗処理工程と印刷工程とが一連のラインで製造される導光板の製造装置を例に挙げて説明したがこれに限定されるものではなく、それぞれの工程は、それぞれ別に用意された装置で行われてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…透過型画像表示装置、10…透過型画像表示部、11…液晶セル、12…偏光板、20…面光源装置、22…光源、30…導光板、35…透光性樹脂板(樹脂板)、36…反射ドット、37…ドットパターン、50…搬送手段、60…剥離装置、70…洗浄装置、71…第1処理部、72…第2処理部、73…第3処理部、80…インクジェットヘッド、90…UVランプ、91…照射領域、95…検査装置、100…導光板の製造装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護フィルムが表面に貼合された樹脂板から当該保護フィルムを剥離する剥離工程と、
前記保護フィルムを剥離した樹脂板の表面上を水洗処理する水洗処理工程と、
前記水洗処理された樹脂板の表面上にインクを滴下することによって、ドットパターンを印刷する印刷工程と、
を備える、導光板の製造方法。
【請求項2】
前記インクが紫外線硬化インクである、請求項1に記載の導光板の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の導光板の製造方法によって得ることのできる導光板。
【請求項4】
請求項3に記載の導光板と、
前記導光板の端面に光を供給する光源と、
を備える面光源装置。
【請求項5】
請求項4に記載の面光源装置と、
前記面光源装置の導光板と対向配置された透過型画像表示部と、
を備える透過型画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−160374(P2012−160374A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19992(P2011−19992)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(000107907)セーレン株式会社 (462)
【Fターム(参考)】