説明

導光板パターン用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物

【課題】導光板の製造時に、基材に別途の前処理工程を加えなくても卓越した付着力と光学特性を示し、かつ短い工程時間による生産性の向上を図ることができる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供する。
【解決手段】導光板の基材の表面にコーティング及び硬化され、パターンを形成する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物において、第1活性エネルギー線硬化型モノマー100重量部、活性エネルギー線硬化型オリゴマー65乃至400重量部、及び光重合開始剤1乃至50重量部を含み、前記第1活性エネルギー線硬化型モノマーに対する前記導光板の基材の溶解度は、30℃で0.1乃至70であることを特徴とする導光板パターン用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、その製造方法、それを含む導光板、バックライトユニット及びディスプレイ装置に関し、具体的に、本発明において提供する樹脂組成物の硬化により導光板に既存に比べて安価でパターンを形成し、薄膜型ディスプレイに適用するための活性エネルギー線硬化型樹脂組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、薄膜型ディスプレイは、他の薄膜型ディスプレイ装置に比べて薄くかつ軽く、低い駆動電圧及び消費電力を有するという長所があり、産業全般にわたって急速にその市場を広げている。
【0003】
このようなディスプレイは、画像を表示するパネルが自ら発光できない非発光性素子であるため、光を提供するための別途のアセンブリを必要とする。
【0004】
ライトアセンブリは、光を発生する1つ以上のランプ(例えば、CCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)のような線光源またはLED(Light Emitting Diode)のような点光源)、及び上記ランプから発生した光をガイドし、上記パネル方向に出射する導光板を含む。このとき、上記ランプから発生した光は、導光板の内部で全反射されてから導光板の下面に形成された反射パターンと下部に配置される反射板とにより散乱及び反射され、パネル方向に出射される。
【0005】
最近、薄膜型ディスプレイの広範囲な普及により、内蔵した部品の小型化と原価低減が絶えず求められている。このような傾向により、光源としてLEDの比重がますます大きくなっており、導光板もまた同じ傾向にある。
【0006】
導光板は、ランプから提供された光源を面光源に変換させるための光学パターンを片面または両面に備えている。このような光学パターンを導光板に成形するために、射出、反射型インクを用いたシルク印刷、紫外線硬化型樹脂または熱硬化型樹脂を利用した成形方法等が用いられてきた。
【0007】
これらの成形方法のうち、射出法は、複雑な構造物を成形するのに適合するが、成形時間と冷却時間が長いという短所があり、比較的工程が簡単な印刷法は、複雑な光学パターンを適用することができない。このような理由により、熱硬化型樹脂、または工程が比較的簡単でかつ硬化時間が短くてより好ましい活性エネルギー線硬化型樹脂を利用して導光板の光学パターンを成形する方法に関する多くの試みがあった。
【0008】
活性エネルギー線成形法は、活性エネルギー線硬化型樹脂がコーティングされた大面積の導光板にスタンパー(stamper)を密着させ、その間にある活性エネルギー線硬化型樹脂が隙間なく充填されるようにした後、これを活性エネルギー線で硬化させ、スタンパーを離型すると、スタンパーに刻まれている光学パターンの形状が導光板に転写される性質を利用したものである。
【0009】
ところが、従来、導光板として用いられるPMMA(polymethyl methacrylate)系のアクリル樹脂は、活性エネルギー線硬化型樹脂が付着し難く、硬化速度が遅いという問題点がある。従って、硬化の前後に追加的な工程が必要であり、さらには、寸法安定性が低下するという問題点もまた有しており、これに対する解決策が求められてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国公開特許第2011−0107027号公報(シム・ヒョンソプ、2011.09.30.公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記のような問題点を解決するために考え出されたものであって、導光板の製造時に、基材に別途の前処理工程を加えなくても卓越した付着力と光学特性を示し、かつ短い工程時間による生産性の向上を図ることができる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供することをその目的とする。
【0012】
また、本発明は、上記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を適用することによって、優れた輝度特性のために様々なパターンの適用が可能な導光板の製造方法を提供することをまた別の目的とする。
【0013】
また、本発明は、上記導光板を含むバックライトユニットを提供することをまた別の目的とする。
【0014】
また、本発明は、上記バックライトユニットを含むディスプレイ装置を提供することをまた別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
導光板の基材(substrate)の表面にコーティング及び硬化され、パターン(pattern)を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物において、本発明の導光板パターン用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物(ACTIVE ENERGY RAY―CURABLE RESIN COMPOSITION FOR FORMING PATTERN ON LIGHT GUIDING PLATE)は、上述したような目的を達成するために、第1活性エネルギー線硬化型モノマー100重量部、活性エネルギー線硬化型オリゴマー65乃至400重量部、及び光重合開始剤1乃至50重量部を含み、上記第1活性エネルギー線硬化型モノマーに対する上記導光板の基材の溶解度は、30℃で0.1乃至70であることを特徴とする。
【0016】
また、上記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、第1活性エネルギー線硬化型モノマー100重量部当り微粒子40乃至120重量部をさらに含むことができる。
【0017】
また、上記第1活性エネルギー線硬化型モノマーは、N,N−ジメチルアクリルアミド、ベンジルアクリレート、及びN−ビニル−2−ピロリドンからなる群より選ばれることができる。
【0018】
また、上記導光板パターン用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ベンジルメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、イソボニルアクリレート、イソボニルメタクリレート、N−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレートからなる群より選ばれる第2活性エネルギー線硬化型モノマーをさらに含むことができる。
【0019】
また、上記活性エネルギー線硬化型オリゴマーは、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、及びシリコンアクリレートオリゴマーからなる群より選ばれることができる。
【0020】
また、上記光重合開始剤は、ベンゼンエーテル、ベンジルケタール、α−ヒドロキシアルキルフェノン、アミノアルキルフェノン、ホスフィンオキシド、カンファーキノン(camphorquinone)、フッ化チタノセン(fluorinated titanocenes)、及びビイミダゾールからなる群より選ばれることができる。
【0021】
また、上記光重合開始剤は、2,4,6−トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド、1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、フェニルビス−2,4,6−トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド、及び(1−ヒドロキシシクロヘキシル)フェニル−メタノンからなる群より選ばれることができる。
【0022】
また、上記微粒子の平均粒径は、1乃至5000μmであることが好ましい。
【0023】
また、上記微粒子は、ポリメチルメタクリレートのようなアクリルビーズ(beads)、シリカビーズまたはアルミナ、チタニア、ジルコニアのような金属酸化物ビーズであるか、またはその混合物であり得る。
【0024】
また、上記基材は、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、及びポリメチルメタクリレートからなる群より選ばれることができる。
【0025】
また、上記導光板パターン用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、25℃における粘度が1乃至300cpsであることが好ましい。
【0026】
また、上記導光板パターン用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、屈折率が1.4乃至1.6であることが好ましい。
【0027】
一方、本発明の導光板は、上記導光板パターン用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が、導光板の基材(substrate)の表面にコーティング及び硬化されてパターン(pattern)を形成することを特徴とする。
【0028】
また、上記基材の厚さは、100乃至10000μm程度であり、好ましくは500乃至5000μmである。
【0029】
一方、本発明の導光板の製造方法は、基材の片面または両面に上記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物をコーティングするステップ、透明かつ柔軟な軟質のモールドで成形するステップ、及び活性エネルギー線で硬化させるステップを含む。
【0030】
一方、本発明のバックライトユニットは、上記導光板を含むことを特徴とする。
【0031】
一方、本発明のディスプレイ装置は、上記バックライトユニットを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を利用して生産された導光板は、既存の射出、シルク印刷及びレーザ方式と比較して、容易に様々なパターンを形成することができ、輝度の均一度、色変化や耐黄変性等の物理的、光学的特性が同等水準以上に優れているという長所がある。また、基材との付着力が卓越していて導光板に別途の前処理もせずにパターンを形成することができ、その結果、工程が簡単になるという長所も有している。さらには、硬化速度が速く、速い生産速度と少ない費用で原価低減を達成することができ、経済性もまた優れている。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の好ましい実施例について詳しく説明する。また、下記の説明においては、具体的な構成要素等のような多くの特定事項が説明されているが、これは、本発明のより全般的な理解を助けるために提供されたものであるだけで、このような特定事項がなくても本発明が実施され得ることは、この技術の分野における通常の知識を有する者にとっては自明であると言える。そして、本発明を説明するに当り、関連した公知の機能若しくは構成に関する具体的な説明が本発明の要旨を不必要に不明瞭にし得ると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。
【0034】
先ず、本明細書に用いられた用語のうち、一部について定義する。
【0035】
本明細書において活性エネルギー線とは、所定の樹脂を硬化させることができる程度のエネルギーを有する粒子線及び電磁気波を共に指し、紫外線、レーザ、マイクロウェーブ、電子線(electron beam)、X−線等を含む。
【0036】
また、活性エネルギー線硬化型樹脂とは、活性エネルギー線により硬化され得る樹脂であって、実際に、パターン(pattern)を発現する層の素材となる樹脂を指す。
【0037】
また、溶解度とは、ある温度で100gの溶媒に溶解し得る溶質のg数を指す。
【0038】
本発明による導光板パターン用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、第1活性エネルギー線硬化型モノマー100重量部、活性エネルギー線硬化型オリゴマー65乃至400重量部、及び光重合開始剤1乃至50重量部を含み、上記第1活性エネルギー線硬化型モノマーに対する上記導光板の基材の溶解度は、30℃で0.1乃至70であることが、本発明の主要な特徴である。
【0039】
先に背景技術の欄にて説明したように、導光板の製造において効率に優れた活性エネルギー線硬化方式を適用するためには、透明高分子基材に活性エネルギー線硬化型樹脂組成物をコーティング、硬化させなければならないが、上記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の上記基材に対する付着力が低いことが大きな問題点として指摘されてきた。
【0040】
これに対し本発明者は、上記導光板の基材に一定程度の侵食を引き起こして強い結合力により付着する活性エネルギー線硬化型モノマーに注目した。これは、逆に説明すると、上記導光板の基材が、上記活性エネルギー線硬化型モノマーに対し一定水準以上の溶解度を有するということを意味する。
【0041】
研究の結果、30℃で上記活性エネルギー線硬化型モノマーに対する上記導光板の基材の溶解度が0.1乃至70であり、このような活性エネルギー線硬化型モノマーが上記割合で本発明の導光板パターン用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に含まれる場合、基材に別途の前処理を適用しなくても優れた付着力を示すことを確認した。
【0042】
上記溶解度を示す活性エネルギー線硬化型モノマーとしては、N,N−ジメチルアクリルアミド、ベンジルアクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられる。本発明の導光板パターン用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、必須にこのような活性エネルギー線硬化型モノマーを単独または混合した形態で含み、本明細書においては、このような必須の活性エネルギー線硬化型モノマーを第1活性エネルギー線硬化型モノマーと称する。
【0043】
本発明の導光板パターン用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、導光板の物性の向上のために、上記第1活性エネルギー線硬化型モノマーに加え、他の活性エネルギー線硬化型モノマーをさらに含むことができる。
【0044】
このように追加される活性エネルギー線硬化型モノマーを第2活性エネルギー線硬化型モノマーと称し、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ベンジルメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、イソボニルアクリレート、イソボニルメタクリレート、N−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等をその例として挙げることができる。このような第2活性エネルギー線硬化型モノマーもまた、単独または混合した形態で本発明の樹脂組成物に含まれ得る。
【0045】
本発明の導光板パターン用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に含まれる上記活性エネルギー線硬化型オリゴマーは、活性エネルギー線により重合されるものであれば制限なく用いることができ、汎用のウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、及びシリコンアクリレートオリゴマーからなる群より選ぶことが好ましい。
【0046】
また、本発明の樹脂組成物に含まれる上記光重合開始剤は、活性エネルギー線により重合が開始されるものであれば制限なく用いることができ、特に、ベンゼンエーテル、ベンジルケタール、α−ヒドロキシアルキルフェノン、アミノアルキルフェノン、ホスフィンオキシド、カンファーキノン(camphorquinone)、フッ化チタノセン(fluorinated titanocenes)、及びビイミダゾールからなる群より選ばれることが好ましい。例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド、1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、フェニルビス−2,4,6−トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド、(1−ヒドロキシシクロヘキシル)フェニル−メタノン等が挙げられる。
【0047】
さらには、本発明の樹脂組成物は、平均粒径が1乃至5000μmの微粒子をさらに含むことによって、輝度をさらに向上させることができる。上記微粒子の平均粒径が上記範囲未満である場合、作業途中の損失(loss)が多く、上記範囲を超えると、輝度の増加効果が低くなる。上記微粒子は、ポリメチルメタクリレートのようなアクリルビーズ(beads)、シリカビーズまたはアルミナ、チタニア、ジルコニアのような金属酸化物ビーズであるか、またはその混合物であることが、経済性の側面や輝度向上の側面から好ましい。
【0048】
そして、上記微粒子の含量は、本発明を構成する第1活性エネルギー線硬化型モノマー100重量部当り40乃至120重量部であることが好ましいが、微粒子の含量が上記範囲未満であると、輝度の改善効果が十分でなく、粘度の低下によりパターンの発現時にドット(dot)間の滲みによる不良が発生する可能性がある。反対に、上記範囲を超えると、輝度の改善効果は十分であるが、粘度が高くなり過ぎ、作業性が顕著に劣る。
【0049】
上述した成分以外に、本発明の特徴を変化させない範囲内で当該分野において一般に用いられる熱安定剤等の各種添加剤を用いることができることはもちろんである。
【0050】
上述したような特定の成分の有機的な組み合わせからなる本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、25℃における粘度が1乃至300cpsであり、1.4乃至1.6の範囲の屈折率を有する。
【0051】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、特に、導光板の基材の片面または両面にコーティングされた後、透明かつ柔軟な軟質のスタンパーをモールドとして用い、活性エネルギー線で硬化させて様々な形状のパターンを具現した導光板を提供するのに有用に用いられることができ、高い付着力とともに優れた光学特性を示す。
【0052】
従って、本発明は、このような活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が含まれた導光板を提供することをまた別の目的とする。具体的に、基材の片面または両面に本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物をコーティング、硬化させて様々なパターンを備えた導光板を提供するものである。このとき、導光板は、既存の方式が表現できる全ての方式のパターンを具現する。
【0053】
また、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物がコーティング及び硬化されて導光板をなす基材としては、上記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物との付着性に優れた透明光学用高分子基材が好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、またはポリメチルメタクリレート等を挙げることができる。
【0054】
また、上記基材の厚さは、100乃至10000μm程度であり、好ましくは500乃至5000μmが用いられる。
【0055】
上記導光板を製造するのに用いられる活性エネルギー線は、本発明の樹脂組成物を硬化させることができるものであれば制限がなく、紫外線を例に挙げれば、照射量は100乃至1500mJ/cmであり、好ましくは300乃至1000mJ/cmであり、通常使用する水銀ランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ等が使用できる。
【0056】
上記のように製造された導光板は、前処理なしに直ちに活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を基材の表面に付着することができ、工程が単純でかつ速い硬化速度により生産性に優れている。また、製造された導光板は、バックライト光に露出する際に優れた輝度の均一度を示し、色変化と耐黄変性に優れている。
【0057】
本発明はまた、上記導光板を含むバックライトユニットを提供する。上記バックライトユニットは、特に制限されず、本技術分野において公知の構造を採用することができる。
【0058】
本発明はまた、上記バックライトユニットを含むディスプレイ装置を提供する。ディスプレイ装置もまた特に制限されず、本技術分野において公知の構造を採用することができる。
【0059】
また、本発明は、上記基材の片面または両面に上記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物をコーティングした後、透明かつ柔軟な軟質のスタンパー(例えば、出願人のRegi-Flex)をモールドとして用い、活性エネルギー線で硬化させて製造された様々な形状のパターンを備えた導光板の製造方法を提供する。このとき、真空成形法(韓国公開特許第2009−0109755号)を利用すれば、複雑な形態の光学パターンであっても、未成形部が発生するか、または起泡等の不良が発生することを防止することができる。また、導光板の大きさや厚さに関係なく均一な光学パターンの成形が可能である。
【実施例】
【0060】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0061】
試験例1:溶解度の調査
基材との付着性を向上させるために用いる活性エネルギー線硬化型モノマーは、基材に対する優れた侵食性が求められる。従って、代表的な活性エネルギー線硬化型モノマーに対し、基材の溶解度を評価した。具体的に、基材のうちの1つであるポリメチルメタクリレートを活性エネルギー線硬化型モノマーに浸漬した後、30℃に維持されたオーブンで溶解度を測定した。その結果を下記の表1に整理した。
【0062】
【表1】

【0063】
上記表1によると、本発明の第1活性エネルギー線硬化型モノマーであるN−ビニル−2−ピロリドン、ベンジルアクリレート、及びN,N−ジメチルアクリルアミド等に対し、基材のポリメチルメタクリレートの溶解度が高いものと評価され、これに基づいて本発明の樹脂組成物を下記の実施例のように設計した。
【0064】
実施例1:活性エネルギー線硬化型樹脂組成物(1)
N−ビニル−2−ピロリドン35g、N,N−ジメチルアクリルアミド10g、トリメチロールプロパントリアクリレート5g、ベンジルアクリレート5g、ウレタンアクリレートオリゴマー(日本合成(株)製)10g、ウレタンアクリレートオリゴマー(Miwon Speciality Chemical.Co.,Ltd.製、韓国)30g、光重合開始剤(日本チバガイギー(株)製)5gを混合、攪拌し、25℃で粘度が50cpsの活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を製造した。
【0065】
実施例2:活性エネルギー線硬化型樹脂組成物(2)
N−ビニル−2−ピロリドン30g、N,N−ジメチルアクリルアミド10g、ウレタンアクリレートオリゴマー(日本合成(株)製)20g、ウレタンアクリレートオリゴマー(Miwon Speciality Chemical.Co.,Ltd.製、韓国)35g、光重合開始剤(日本チバガイギー(株)製)5gを混合、攪拌し、25℃で粘度が100cpsの活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を製造した。
【0066】
比較例1:活性エネルギー線硬化型樹脂組成物(3)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート20g、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート10g、ウレタンアクリレートオリゴマー(日本合成(株)製)25g、ウレタンアクリレートオリゴマー(Miwon Speciality Chemical.Co.,Ltd.製、韓国)40g、光重合開始剤(日本チバガイギー(株)製)5gを混合、攪拌し、25℃で粘度が200cpsの活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を製造した。
【0067】
比較例2:活性エネルギー線硬化型樹脂組成物(4)
N−ビニル−2−ピロリドン5g、N,N−ジメチルアクリルアミド10g、ウレタンアクリレートオリゴマー(日本合成(株)製)30g、ウレタンアクリレートオリゴマー(Miwon Speciality Chemical.Co.,Ltd.製、韓国)50g、光重合開始剤(日本チバガイギー(株)製)5gを混合、攪拌し、25℃で粘度が250cpsの活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を製造した。
【0068】
試験例2:硬化性の評価
上記実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物をポリメチルメタクリレートフィルム上に滴下させた後、バーコーター(bar−coater)を用いてコーティングした。この後、100mJ/cmの光量のメタルハライドランプを照射し、硬化の程度を評価した。評価結果を下記の表2に示した。
【0069】
試験例3:色差及び透過率の評価
3000μm厚さのポリメチルメタクリレート導光板の基材に、上記実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を150目のシルク製板を用いて塗布した。この後、透明かつ柔軟な軟質のスタンパーモールドを用いて押圧した後、300mJ/cmの光量のメタルハライドランプを照射して樹脂層を硬化させた。この後、スペクトロフォトメーター(CM−3600d、コニカミノルタ(株)製)を用いて色差値(db)及び透過率(400nm)を測定した。このとき、バックライトユニットに取り付けて黄変の程度に関する肉眼検査も併せて行った。評価結果を下記の表2に示した。
【0070】
試験例4:混濁度の評価
シリコン材質の四角枠に上記実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を注いだ後、300mJ/cmの光量のメタルハライドランプを照射して硬化させた。上記硬化したバルク状態の硬化物を枠から分離した後、混濁の程度を肉眼で検査した。評価結果を下記の表2に示した。
【0071】
試験例5:付着力の評価
上記試験例3と同一の方法でコーティング硬化後、基材の塗布された面に1mm間隔で縦横にそれぞれ11本の直線を引いて100個の正方形を作った後、テープ(日東電工(株)製)を利用して3回の剥離テストを行った。100個の四角形3つについてテストし、平均値を下記の表2に次のように記録した。
付着力=n/100
n :全四角形のうち、剥離されない四角形の数
100:全四角形の個数
【0072】
【表2】

【0073】
上記表2から確認できるように、本発明の第1活性エネルギー線硬化型モノマーが含まれていないか、またはその含量が少ない比較例1及び2の場合、付着力が実施例1及び2に比べて顕著に足りないことが分かる。
【0074】
実施例3:活性エネルギー線硬化型樹脂組成物(5)
N−ビニル−2−ピロリドン35g、N,N−ジメチルアクリルアミド15g、トリメチロールプロパントリアクリレート10g、ベンジルアクリレート10g、ウレタンアクリレートオリゴマー(日本合成(株)製)10g、ウレタンアクリレートオリゴマー(Miwon Speciality Chemical.Co.,Ltd.製、韓国)15g、光重合開始剤(日本チバガイギー(株)製)5gを混合、攪拌し、25℃で粘度が10cpsの活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を製造し、ここに平均粒径10μmのシリカビーズ(ナノスペース(株)製、韓国)50gを添加して粘度を10,000cpsにした。
【0075】
実施例4:活性エネルギー線硬化型樹脂組成物(6)
N−ビニル−2−ピロリドン35g、N,N−ジメチルアクリルアミド15g、トリメチロールプロパントリアクリレート10g、ベンジルアクリレート10g、ウレタンアクリレートオリゴマー(日本合成(株)製)10g、ウレタンアクリレートオリゴマー(Miwon Speciality Chemical.Co.,Ltd.製、韓国)15g、光重合開始剤(日本チバガイギー(株)製)5gを混合、攪拌し、25℃で粘度が10cpsの活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を製造し、ここに平均粒径10μmのシリカビーズ(ナノスペース(株)製、韓国)33g、アルミナビーズ2g及びAerogel(登録商標)(キャボット(株)製、米国)1.6gを添加して粘度を5,000cpsにした。
【0076】
比較例3:活性エネルギー線硬化型樹脂組成物(7)
N−ビニル−2−ピロリドン35g、N,N−ジメチルアクリルアミド15g、トリメチロールプロパントリアクリレート10g、ベンジルアクリレート10g、ウレタンアクリレートオリゴマー(日本合成(株)製)10g、ウレタンアクリレートオリゴマー(Miwon Speciality Chemical.Co.,Ltd.製、韓国)15g、光重合開始剤(日本チバガイギー(株)製)5gを混合、攪拌し、25℃で粘度が10cpsの活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を製造し、ここに平均粒径10μmのシリカビーズ(ナノスペース(株)製、韓国)80gを添加して粘度を200,000cpsにした。
【0077】
比較例4:活性エネルギー線硬化型樹脂組成物(8)
N−ビニル−2−ピロリドン35g、N,N−ジメチルアクリルアミド15g、トリメチロールプロパントリアクリレート10g、ベンジルアクリレート10g、ウレタンアクリレートオリゴマー(日本合成(株)製)10g、ウレタンアクリレートオリゴマー(Miwon Speciality Chemical.Co.,Ltd.製、韓国)15g、光重合開始剤(日本チバガイギー(株)製)5gを混合、攪拌し、25℃で粘度が10cpsの活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を製造し、ここに平均粒径10μmのシリカビーズ(ナノスペース(株)製、韓国)20gを添加して粘度を1,500cpsにした。
【0078】
上記実施例3、実施例4、比較例3及び比較例4に対して肉眼で輝度を、そして試験例5のように付着力を観察し、その結果を表3に示した。
【0079】
【表3】

【0080】
上記表3から確認できるように、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が微粒子を含有する場合、活性エネルギー線硬化型オリゴマーの量を減らしても優れた輝度及び付着力を発現することが確認できた。特に、実施例4の場合、シリカとアルミナからなる異種の微粒子を用いることによって、実施例3に比べて少ない微粒子の量でも類似した輝度を発現することができた。従って、微粒子の量の調節を通じた粘度の調節もまた容易に達成することができる。
【0081】
但し、比較例3のように微粒子の量が多すぎると、輝度は十分であるが、粘度が高すぎて作業性が劣るという短所がある。反対に、比較例4のように微粒子の量が少なすぎると、輝度が不足し、低い粘度によるパターンの形成時におけるドット(dot)間の滲み現象により不良が発生するという短所がある。
【0082】
以上においては、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明は、上述した特定の実施例に限定されるものではなく、当該技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本願発明の要旨から外れることなく様々な変形の実施が可能であることはもちろんである。従って、本発明の範囲は、上記実施例に限定して解釈されてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等なもの等により定めなければならないものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導光板の基材(substrate)の表面にコーティング及び硬化され、パターン(pattern)を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物において、
第1活性エネルギー線硬化型モノマー100重量部、
活性エネルギー線硬化型オリゴマー65乃至400重量部、及び
光重合開始剤1乃至50重量部
を含み、前記第1活性エネルギー線硬化型モノマーに対する前記導光板の基材の溶解度は、30℃で0.1乃至70であることを特徴とする導光板パターン用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項2】
前記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、第1活性エネルギー線硬化型モノマー100重量部当り微粒子40乃至120重量部をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の導光板パターン用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項3】
前記第1活性エネルギー線硬化型モノマーは、N,N−ジメチルアクリルアミド、ベンジルアクリレート、及びN−ビニル−2−ピロリドンからなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1または2に記載の導光板パターン用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項4】
前記導光板パターン用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ベンジルメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、イソボニルアクリレート、イソボニルメタクリレート、N−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレートからなる群より選ばれる第2活性エネルギー線硬化型モノマーをさらに含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の導光板パターン用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項5】
前記活性エネルギー線硬化型オリゴマーは、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、及びシリコンアクリレートオリゴマーからなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1または2に記載の導光板パターン用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項6】
前記光重合開始剤は、ベンゼンエーテル、ベンジルケタール、α−ヒドロキシアルキルフェノン、アミノアルキルフェノン、ホスフィンオキシド、カンファーキノン(camphorquinone)、フッ化チタノセン(fluorinated titanocenes)、及びビイミダゾールからなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1または2に記載の導光板パターン用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項7】
前記微粒子の平均粒径は、1乃至5000μmであることを特徴とする、請求項1または2に記載の導光板パターン用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項8】
前記微粒子は、アクリルビーズ(beads)、シリカビーズ、金属酸化物ビーズ及びその混合物からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1または2に記載の導光板パターン用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項9】
前記基材は、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、及びポリメチルメタクリレートからなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1または2に記載の導光板パターン用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1または2に記載の前記導光板パターン用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が、導光板の基材(substrate)の表面にコーティング及び硬化されてパターン(pattern)を形成することを特徴とする導光板。
【請求項11】
請求項10に記載の前記導光板を含むことを特徴とするバックライトユニット。
【請求項12】
請求項11に記載の前記バックライトユニットを含むことを特徴とするディスプレイ装置。

【公開番号】特開2012−149227(P2012−149227A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252549(P2011−252549)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(511281235)ミヌタ テクノロジー (1)
【氏名又は名称原語表記】MINUTA TECHNOLOGY
【Fターム(参考)】