説明

導光機能付き可動接点体

【課題】導光機能付き可動接点体において、可動接点から得られる感触が良好で、複数の可動接点を有する場合にも、得られる操作感触の差が生じ難い構成のものを提供することを目的とする。
【解決手段】複数の可動接点3を保持した絶縁フィルム製のベースシート21の下面に、可動接点収容孔25と、その周囲側方に一体となって設けられた拡大孔部26を備えたスペーサシート24が貼り合わせられると共に、ベースシート21の上面側には、粘着剤28を介して導光シート27が貼り合わせられ、さらに、各拡大孔部26の内部領域に対応する各ベースシート21箇所に通気孔22を設けた構造とし、押圧時に生じる可動接点3内での圧縮された空気を通気孔22を介してベースシート21上面と導光シート27下面との間の隙間内の空気溜り部に流出させるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器の操作部に用いられ、固定接点を備えた配線基板上に装着されてパネルスイッチを構成する導光機能付き可動接点体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、各種電子機器には、固定接点を備えた配線基板上に装着されてパネルスイッチを構成する導光機能付き可動接点体が多く採用されている。
【0003】
このような従来の導光機能付き可動接点体について、図5〜図6を用いて説明する。
【0004】
図5は従来の導光機能付き可動接点体の平面図、図6は同導光機能付き可動接点体の装着状態を示す断面図である。
【0005】
同図において、1は、上面視外形が略長方形に形成された可撓性を有する絶縁フィルム製のベースシートであり、その下面には粘着剤1Aが塗布されている。3(3A〜3C)は上方凸形のドーム形状に形成された弾性薄板金属製の可動接点であり、各可動接点3A〜3Cはそれぞれの上面を粘着剤1Aによって貼着されてベースシート1の所定位置に保持されている。
【0006】
4は外形がベースシート1と略同一形状に形成された絶縁フィルム製のスペーサシートで、その上面が粘着剤1Aを介してベースシート1に貼着されている。スペーサシート4には、可動接点3の配置位置毎に各可動接点3A〜3Cの外周よりもわずかに大きい可動接点収容孔5(5A〜5C)が個々に設けられており、各可動接点3A〜3Cは対応する可動接点収容孔5A〜5C内に収容状態で配されている。ここに、スペーサシート4において長手方向の一端側となる位置に形成された可動接点収容孔5Aには、周囲側方に一体に拡大孔部6Aが連設されている。中央側となる位置の可動接点収容孔5Bと他端側となる位置の可動接点収容孔5Cは、拡大孔部が設けられずに、二つの可動接点収容孔5Bと5Cとの間が繋がれるように所定の幅で切り欠かれた溝部6Bが設けられている。そして、スペーサシート4の下面には粘着剤4Aが塗布されている。
【0007】
さらに、外形がベースシート1と略同一形状に形成された導光シート7が、その外縁部下面に配された粘着剤8を介してベースシート1上に貼り合わせられている。この導光シート7は、可撓性を有した絶縁フィルム製の基材7Aと、各可動接点3の配設位置に対応する基材7Aの下面箇所に点在状態で設けられた複数の突起7Bとから構成されている。なお、突起7Bは、図示は省略するが内部に散乱体となる複数の微粒子を有したものとなっている。
【0008】
そして、上下に重なり合って配されているベースシート1、スペーサシート4、導光シート7において、可動接点3Aと3Bとの間の位置には、上面視略矩形状で上記三者を貫通するように形成された貫通孔9が設けられている。その貫通孔9は、スペーサシート4の可動接点収容孔5A、5Bおよび拡大孔部6Aや溝部6Bに連結することなく、独立して設けられている。なお、貫通孔9を構成する導光シート7の下面には、可動接点3Aと3Bに対向する周縁部位置に、粘着剤8が塗布されていて、ベースシート1上面と貼り合わされている。
【0009】
以上により従来の導光機能付き可動接点体が構成されている。
【0010】
上述した導光機能付き可動接点体は、図6に示すように、携帯電話を代表とする電子機器の配線基板10上に貼着されて使用される。配線基板10には可動接点3の外周部分に対応する外側固定接点11Aと、可動接点3の中央部分に対応する中央固定接点11Bが電気的に独立してそれぞれ配設されている。さらに、配線基板10には、LED12A、12Bが隣接状態で実装されている。LED12A、12Bは、互いの発光面が逆向きに位置し、配線基板10の上面に対してそれぞれ略並行に光を照射するように実装されている。
【0011】
そして、当該導光機能付き可動接点体は、スペーサシート4の粘着剤4Aによって配線基板10上に貼り合わせられている。その装着状態で、可動接点3(3A〜3C)の外周下端は、配線基板10の対応する外側固定接点11A上に当接状態に載せられ、可動接点3(3A〜3C)の中央部下面と対応する中央固定接点11Bとは所定間隔があいた対向状態となっており、所謂パネルスイッチに構成されたものとなっている。
【0012】
また、その装着状態で、LED12A、12Bは、導光機能付き可動接点体の貫通孔9内に収容状態になっている。LED12Aの発光面は、可動接点3A側に向いて貫通孔9を構成している側面に隣接している。LED12Bの発光面は、可動接点3B側に向いて貫通孔9を構成している側面に隣接している。
【0013】
上記パネルスイッチの上方位置には、操作ボタン14とパネルケース15とを備えた操作パネルが配されている。それぞれの操作ボタン14は、パネルケース15のボタン孔から操作部14Aを突出させて、下方に突出形成された略円柱状の押圧部14Bの下面が、可動接点3の中央部上に対応する導光シート7の上面位置に当接している。
【0014】
次にその動作について説明する。まず、配線基板10に実装されたLED12A、12Bが発光すると、隣接する貫通孔9の側面を構成している導光シート7の側端面つまり基材7Aの側端面からそれらの光が基材7A内に入射されて基材7A内を伝播していく。このとき、LED12Aからの光は、主に可動接点3A側に伝播し、LED12Bからの光は、主に可動接点3B、3C側に伝播していく。そして、導光シート7の基材7A内を伝播していく光が、複数の突起7B内の微粒子(図示しない)などで散乱反射されることによって、上方に配された各操作ボタン14が照光されるようになっている。
【0015】
次に、操作ボタン14の操作部14Aを押圧操作すると、導光シート7及びベースシート1を介して、押圧部14Bで下方の可動接点3の中央部が押圧される。その押圧力が所定の力を超えると、可動接点3のドーム状の中央部がクリック感を伴って弾性反転し、その中央部分が、下方の中央固定接点11Bに接触して、スイッチオンとなる。そして、その押圧力を解除すると、可動接点3は、クリック感を伴ってドーム状の中央部が上方に反転復帰して、その中央部が中央固定接点11Bと離れて、元のスイッチオフ状態に戻る。
【0016】
ここに、上記押圧時に可動接点3が弾性反転する際に、その反転動作に伴って可動接点3内の空気は圧縮状態になるが、その圧縮された空気を逃がすための空気溜り部として、可動接点3Aではスペーサシート4の拡大孔部6Aが機能し、可動接点3Bと3Cでは両者間を繋ぐ溝部6Bおよび他方の可動接点側を含めてそこが機能し、その圧縮された空気による操作感触の鈍化が抑えられるように構成されたものとなっていた。
【0017】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2003−77368号公報
【特許文献2】特開平10−289636号公報
【特許文献3】特開2010−192279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
上記従来の導光機能付き可動接点体は、LED12A、12Bを収容させるための貫通孔9を有する形状であったため、可動接点3Aの空気溜り部は拡大孔部6Aで構成し、可動接点3B、3Cの空気溜り部は、両者間を繋ぐ溝部6Bおよび他方の可動接点側を含む形状のもので構成されたものとなっていた。ここに、各可動接点3A〜3Cは、対応する空気溜り部を各々有していたため、その押圧操作時に圧縮された空気の影響が緩和されて良好な操作感触が得られるものであったが、空気溜り部の体積が異なっていたため、例えば可動接点3Aと3Bとの間で押圧時に得られる操作感触が異なって感じられることがあった。
【0020】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、可動接点から得られる操作感触が良好で、複数の可動接点を有する場合にも、得られる操作感触の差が生じ難い導光機能付き可動接点体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有する。
【0022】
本発明は、絶縁フィルム製のベースシートと、上方凸形のドーム形状で、そのドームの凸側上面が上記ベースシート下面の粘着剤で保持された弾性薄板金属製の可動接点と、上記ベースシートの下方に重ねて配され、上記可動接点を収容する可動接点収容孔を有したスペーサシートと、上記ベースシート上に外縁部が貼り合わせられて配された可撓性を有した導光シートと、を備えた導光機能付き可動接点体であって、上記可動接点への押圧操作をしたときに、上記可動接点内の空気が、上記ベースシートと上記導光シートとの間の隙間内に流出可能となるように、上記ベースシートの所定箇所に貫通する通気孔を設けたことを特徴とする導光機能付き可動接点体としたものである。
【0023】
これであれば、押圧操作によって生じる可動接点内での圧縮された空気を、ベースシートに設けた通気孔を通じてベースシートと導光シートの間の隙間内に流出させ、そこが空気溜り部としてなる構成にでき、可動接点から得られる操作感触が良好で、複数の可動接点を有する場合にも、得られる操作感触の差が生じ難い構成のものに実現できるという作用を有する。
【発明の効果】
【0024】
以上のように本発明によれば、可動接点から得られる操作感触が良好で、複数の可動接点を有する場合にも、得られる操作感触の差が生じ難い導光機能付き可動接点体を提供することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施の形態による導光機能付き可動接点体の平面図
【図2】同要部である導光シート下面に形成された粘着剤の形成状態を示す図
【図3】同導光機能付き可動接点体の装着状態を示す断面図
【図4】同動作状態を示す断面図
【図5】従来の導光機能付き可動接点体の平面図
【図6】同導光機能付き可動接点体の装着状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図4を用いて説明する。なお、従来の技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0027】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態による導光機能付き可動接点体の平面図、図2は同要部である導光シート下面に形成された粘着剤の形成状態を示す図、図3は同導光機能付き可動接点体の装着状態を示す断面図、図4は同動作状態を示す断面図である。
【0028】
同図において、21は上面視略長方形で可撓性を有した絶縁フィルム製(例えばPETフィルム製)のベースシートで、その下面には粘着剤21Aが塗布形成されている。三つの可動接点3(3A〜3C)は、その上面がそれぞれ粘着剤21Aによって保持されている。なお、可動接点3(3A〜3C)の配置位置は従来と同様であるため詳細説明は省略する。
【0029】
24は外形がベースシート21と略同一形状に形成された絶縁フィルム製(例えばPETフィルム製)のスペーサシートであり、粘着剤21Aを介してベースシート21の下面側に貼着されている。そのスペーサシート24の下面には、粘着剤24Aが塗布形成されている。
【0030】
ここに、スペーサシート24においては、それぞれの可動接点3に対応する位置に、各可動接点3の外周よりもわずかに大きい可動接点収容孔25が各々独立状態で設けられており、さらに各可動接点収容孔25には、周囲側方に一体に拡大孔部26が連設されている。個々の可動接点収容孔25および拡大孔部26は、三つとも同じ形状で、特に拡大孔部26は、上面視で可動接点収容孔25からの突出した面積が図5に示した従来の可動接点付きシートの拡大孔部6Aの突出した面積よりも小さいものに設定されている。
【0031】
そして、各拡大孔部26は、可動接点収容孔25の内側面の一部分から外方に所定の幅寸法で延出され、可動接点収容孔25から離れる方向の先端の端面は、スペーサシート24の外周側端部よりもそれぞれ内側に位置されていると共に、その先端は円弧状に構成されており、この先端側の内部領域に対応するベースシート21箇所には、通気孔22がそれぞれ上下に貫通して設けられている。なお、通気孔22の周囲近傍を取り囲むように粘着剤21Aが形成されていても特に支障はない。また、通気孔22の形状としても特に限定はされないが、円形のものとすれば、加工などが容易になるため好ましい。
【0032】
そして、ベースシート21上には、導光シート27が重ねて配され、その外縁部下面の全周が、粘着剤28を介してベースシート21上に貼り合わせられている。なお、この導光シート27は、上面視で、ベースシート21と略同一形状であり、その構成は、従来同様に、絶縁フィルム製の基材27Aと、可動接点3の配設位置に対応した基材27Aの下面箇所に点在状態で設けられた複数の突起27Bとからなり、突起27B内に散乱体となる複数の微粒子(図示しない)を有したものとなっている。
【0033】
さらに、上下に重なり合って配されているベースシート21、スペーサシート24、導光シート27において、可動接点3Aと3Bとの間の位置には、上面視略矩形状で上記三者を貫通するように形成された貫通孔29が設けられている。その貫通孔29の位置や形状は従来のものと同じであるが、当該構成のものでは、図2に示したように、貫通孔29の周縁部位置に対応する導光シート27の下面位置も、全周に亘って所定の幅で粘着剤28を介してベースシート21上面に貼着させている点が従来のものと異なる。
【0034】
当該実施の形態による導光機能付き可動接点体は、以上のように構成されており、図3に示すように、電子機器の配線基板10上に従来同様に貼着されて使用される。
【0035】
配線基板10上には、各可動接点3(3A〜3C)の外周部分に対応する外側固定接点11Aと、各可動接点3(3A〜3C)の中央部分に対応する中央固定接点11Bが電気的に独立状態に配されていることや、発光面が互いに反対方向に向けられて隣接状態でLED12A、12Bが実装されていることは従来と同じである。
【0036】
そして、導光機能付可動接点体の装着状態などにおいても、スペーサシート24の粘着剤24Aで配線基板10上に貼り合わせて装着されていること、その装着状態で、外側固定接点11A上に対応する可動接点3の外周下端が載せられて当接し、中央固定接点11Bと可動接点3の中央部下面が上下に所定間隔をあけて対向してパネルスイッチに構成されていること、また、その装着状態で、貫通孔29内にLED12A、12Bが収容状態になっていることも従来と同じである。さらに、そのパネルスイッチの上方には、操作ボタン14とパネルケース15とを備えた操作パネルが従来同様に配されていることも同じである。
【0037】
次に、その動作などについて説明をするが、LED12A、12Bからの光が導光シート27内を伝播していき各操作ボタン14の照光がなされることについては従来同様であるため説明を省略し、以下には、操作ボタン14を押圧したときの動作について詳細説明をする。
【0038】
操作ボタン14の操作部14Aを押圧すると、導光シート27及びベースシート21を介して、押圧部14Bで対応する下方の可動接点3の中央部が押圧される。その押圧力が所定の力を超えると、可動接点3のドーム状の中央部がクリック感を伴って弾性反転し、図4に示すように、その中央部分が、下方の中央固定接点11Bに接触し、スイッチオンとなる。
【0039】
そして、押圧を解除するとクリック感を伴って可動接点3のドーム状の中央部分が上方に反転復帰して、外側固定接点11Aと中央固定接点11B間が電気的に絶縁状態のスイッチオフに戻る。
【0040】
上記の押圧時に、圧縮された可動接点3内の空気は、図4の実線矢印に示すように、可動接点3の外周下端より拡大孔部26内の空間に移動して、通気孔22を通ってベースシート21上面と導光シート27下面との間の隙間内に流出する。なお、流出した空気によって導光シート27は僅かに盛り上がることもあるため、導光シート27への光の入射位置となる貫通孔29の周縁部箇所は少なくとも粘着剤28を介してベースシート21上面に保持させておくと好ましい。
【0041】
このように、当該構成では、ベースシート21上面と導光シート27下面との間の隙間内の全ての体積分が、上記の圧縮された空気を逃がすための空気溜り部として機能し、その体積は従来の拡大孔部6Aや溝部6Bなどによるものと比べて非常に大きく確保されたものになるため、可動接点3の反転時に従来品よりも良好なクリック感触が得られるものに実現できる。
【0042】
また、可動接点3A〜3Cのいずれが操作されても、各々で生じる圧縮された空気は、同じ形状の拡大孔部26内の空間に移動し通気孔22を通ってベースシート21上面と導光シート27下面との間の隙間内に流出するようになるため、個々の可動接点3A〜3Cへの操作状態は良好で、しかも、それら間での操作感触の差も少なくほぼ均一な感触が得られるものにできる。
【0043】
さらに、当該構成であれば、通気孔22を設ける範囲を得るために拡大孔部26を設けており、空気溜り部としては、ベースシート21上面と導光シート27下面との間の隙間内で構成しているため、拡大孔部26の面積を小さくすることもでき、スペーサシート内で空気溜り部を構成していた従来品よりも、スペーサシート24の貼り付け面積が向上して、装着状態にも優れるものにもなる。また、拡大孔部26が小さい形状にできるため、ベースシート21の粘着剤21Aのスペーサシート24への粘着面積も増加し、可動接点3が繰り返して操作されるなどされても、圧縮された空気は通気孔22を通じて出入りするため、粘着剤21A、24Aのそれぞれの貼着箇所の剥がれなどの発生が防止されるようになるという追加の効果も期待できる。
【0044】
ここに、当該導光機能付き可動接点体では、ベースシート21上面と導光シート27下面との間の隙間が外部と隔離された密閉状態になるように、外形外縁箇所および貫通孔29の周囲部分を粘着剤28で粘着させている。これであれば、配線基板10への装着状態で、可動接点3を外部から密封状態に配することができ、スイッチ接点部への外部からの塵埃などの侵入防止が図られたものに構成することができる。なお、ベースシート21上面と導光シート27下面との間の隙間が外部と隔離された密閉状態にされていても、上記密閉された空間は可動接点3の内部空間に対して非常に大きい空気溜り部となるため、可動接点3の押圧時での影響は殆ど生じることはなく、上述した各々の作用効果が得られる。なお、ベースシート21上面と導光シート27下面との間の隙間は必ずしも密閉状態にされていなくてもよい。
【0045】
以上のように、当該実施の形態のものは、可動接点3への押圧時に生じる圧縮空気を、ベースシート21上面と導光シート27下面との間の隙間内を用いて、そこを空気溜り部として逃がせるようにしたもののため、良好な操作感触が得られると共に、複数の可動接点3A〜3C間での操作感触の差が生じ難い導光機能付き可動接点体として提供することができる。
【0046】
なお、以上には、可動接点3毎に拡大孔部26と通気孔22を設けた構造のものを説明したが、複数の可動接点3の可動接点収容孔25同士の間を従来のもののように溝部で繋いだ構成として、その溝部の内部領域内に応じたベースシート21箇所に通気孔22を設けた構造としてもよい。
【0047】
さらには、可動接点収容孔の外形を可動接点3に相似形で大きく形成して、その周縁部分を拡大孔部に活用して、そこに応じたベースシート21箇所に通気孔22を設けてもよい。または、可動接点収容孔25自身の周縁部内側の範囲内に応じたベースシート21箇所に通気孔22を可動接点3に重ならないように設けた構造などとしてもよい。それらの構成であれば、スペーサシートへの加工が簡単でスペーサシート形状も簡素なもので済む。なお、通気孔22が可動接点3に重なる場合であっても、通気孔22が周囲の粘着剤21Aや可動接点3で塞がれることがないようにされていればよい。
【0048】
また、以上には、拡大孔部26を、可動接点収容孔25から一つのみを突出形成し、そこに応じたベースシート21箇所に通気孔22を一つ設けた構造を説明したが、複数の小さい通気孔を設けてその大きさによって防塵性等を向上させるようにされていてもよい。さらに、拡大孔部26の形状や数量は上述したものに限定されることはない。例えば、一つの可動接点収容孔25に複数の拡大孔部26を延設し、各々に応じたベースシート21箇所に通気孔をそれぞれ設けたりしてもよい。
【0049】
なお、以上に説明した構成思想が組み合わせて構成されていてもよい。
【0050】
さらには、配線基板10への装着状態についても、スペーサシート24の下面に形成された粘着剤24Aで貼着する構成以外に、その粘着剤24Aがなくされて配線基板10に両面テープで貼り付けられる、または上記粘着剤が配線基板10上に形成されるなどの構成とされていてもよい。
【0051】
そして、以上では、複数の可動接点3A〜3Cを有する導光機能付き可動接点体について説明したが、本発明による思想は、可動接点3が1個のみまたは2個の少ない場合などのものであっても有用なものとなる。すなわち、例えば、可動接点3が1個の場合の従来の導光機能付き可動接点体においては、貼り付け面積が小さいため十分な拡大孔部の面積を確保できず、空気溜り部が小さい体積のものになる場合もあるが、本発明による思想のものであれば、ベースシート上面と導光シート下面との間の隙間内を空気溜り部とするため、従来品の空気溜り部の体積よりも大きく確保されたものに容易に構成することができ、このためにクリック感触の鈍化が抑えられて良好なクリック感触が得られるものとして容易に実現できる。
【0052】
また、可動接点3の形状は、特に限定されることはなく、上面視で円形や小判状、楕円状、長尺状、脚部付きのリング形状などの様々なものであってもよく、可動接点収容孔や拡大孔部の形状は、その可動接点の形状に応じて適宜設定されていればよい。
【0053】
さらに、導光シート27についても、上述構成のものに限定されることはなく、基材27A内で導光されて伝播する光を散乱反射する突起27Bが、基材27Aの上面側に設けられたものであったり、突起27Bの代わりに基材表面に凹凸加工が施されているものなどであってもよい。
【0054】
また、以上にはスペーサシート24を有する構成のもので説明したが、スペーサシート24を有していない構成の導光機能付き可動接点体に対しても本発明による思想を適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明による導光機能付き可動接点体は、可動接点から得られる操作感触が良好で、複数の可動接点を有する場合にも、得られる操作感触の差が生じ難いものとして提供できるという有利な効果を有し、各種電子機器の操作部用等に有用である。
【符号の説明】
【0056】
3、3A〜3C 可動接点
10 配線基板
11A 外側固定接点
11B 中央固定接点
12A、12B LED
14 操作ボタン
14A 操作部
14B 押圧部
15 パネルケース
21 ベースシート
21A、24A、28 粘着剤
22 通気孔
24 スペーサシート
25 可動接点収容孔
26 拡大孔部
27 導光シート
27A 基材
27B 突起
29 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁フィルム製のベースシートと、
上方凸形のドーム形状で、そのドームの凸側上面が上記ベースシート下面の粘着剤で保持された弾性薄板金属製の可動接点と、
上記ベースシートの下方に重ねて配され、上記可動接点を収容する可動接点収容孔を有したスペーサシートと、
上記ベースシート上に外縁部が貼り合わせられて配された導光シートと、を備えた導光機能付き可動接点体であって、
上記可動接点への押圧操作をしたときに、上記可動接点内の空気が、上記ベースシートと上記導光シートとの間の隙間内に流出可能となるように、上記ベースシートの所定箇所に貫通する通気孔を設けたことを特徴とする導光機能付き可動接点体。
【請求項2】
スペーサシートは、
可動接点収容孔の周囲側方位置に連設された拡大孔部を有し、
上記拡大孔部の範囲内に応じたベースシート箇所に貫通する通気孔を設けた、請求項1記載の導光機能付き可動接点体。
【請求項3】
スペーサシートには、可動接点収容孔同士を繋ぐ溝部が設けられ、上記溝部の範囲内に応じたベースシート箇所に貫通する通気孔を設けた、請求項1記載の導光機能付き可動接点体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−101802(P2013−101802A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244228(P2011−244228)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】