導入水型固型薬剤溶解器及びそれを用いた水の塩素処理方法

【目的】消毒槽の上流に設置して、塩素水を消毒槽中に注入して水を塩素処理することができる薬剤溶解器を提供する。
【構成】固型薬剤の投入口１、固型薬剤充填筒２、水量調節バルブ３、溶解水の流入口４、目皿板５、及び塩素水の流出口７を有することを特徴とする導入水型固型薬剤溶解器。
【効果】従来の溶解器では設置が困難な場合、流量調節ダンパーの操作が困難な場合、薬剤の補充作業が煩雑な場合であっても、簡便に設置・使用が可能となった。

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、固型薬剤溶解器及び各種の用水、排水中に存在する菌類の殺菌・消毒方法に係わり、さらに詳しくは、無機または有機の塩素化錠剤を定量的に溶解する導入水型固型薬剤溶解器、及びそれを用いることを特徴とする水の塩素処理方法に関する。
【０００２】
【従来技術】塩素処理は、飲料水をはじめ各種の用水・廃水の殺菌・消毒の目的で古くから用いられ、保健・環境衛生の改善に著しい貢献をしており、今日では水利用のすべての用途で不可欠なものである。この塩素処理は、例えば、次亜塩素酸カルシウム組成物等の無機塩素化剤、トリクロルイソシアヌール酸等の有機塩素化剤を用いられるのが一般的である。
【０００３】従来、この塩素処理を行うプロセスは、生活排水、産業排水、水泳プール循環水、浴場循環湯、飲料水などの流水路中に、図２に示すような流水路設置型の固型薬剤溶解装置のより、装置内の下部を水が流れる際に固型薬剤が徐々に溶解して、均一な塩素濃度とするタイプのいわゆる水路設置型の溶解器が使われていた。
【０００４】また、処理水の塩素濃度の調節は、設置水路に設けられた流量調節ダンパーによって行われていた。
【０００５】しかしながら、このタイプの溶解器は、流水路がビルの地下等にあったり、足場が悪く設置が困難な場合や、流量調節ダンパーの操作が困難な場合、設置及び薬剤の充填作業上の不都合を生じていた。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点を改良すべく、消毒槽の上流に設置して固型薬剤を充填し、溶解器中に導入した溶解水（水道水、又は流水））に溶解し塩素水として、消毒槽中に注入して消毒することによって、従来の溶解器の設置が困難な場合や、流量調節ダンパーの操作が困難な場合であっても使用可能な薬剤溶解器を提供することを目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、固型薬剤の投入口１、固型薬剤充填筒２、水量調節バルブ３、溶解水の流入口４、目皿板５及び塩素水の流出口７を有することを特徴とする導入水型固型薬剤溶解器を開発し、該溶解器を使用することにより、上述の問題点が解決されることを見いだし本発明を完成した。
【０００８】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明は、固型薬剤の投入口１、固型薬剤充填筒２、水量調節バルブ３、溶解水の流入口４、目皿板５及び塩素水の流出口７を有することを特徴とする導入水型固型薬剤溶解器、及び該溶解器を用いることを特徴とする水の塩素処理方法である。
【０００９】（固型薬剤溶解器）本発明の薬剤溶解器は、例えば、図１に示すものである。すなわち、流入口４から水道水または流水が導入され、容器内の水は目皿５の上に置かれた固型塩素化剤６と接触して（図中の太い矢印は水の流れを示す）、薬剤が溶解した塩素水となり、流出口７から流出し、消毒槽中の水中に注入される。塩素水が加えられた水は塩素処理水として放出されるものである。
【００１０】また、本発明の薬剤溶解器の流入口４には、流入水の水量の調節バルブ３が設けられている。このバルブを開閉調節することによって、溶解器中に流入する水の量が調節でき、水量が減少すれば濃度の高い塩素水が、水量が増加すれば低濃度の塩素水がえられることになるので、消毒槽に注入される塩素水の濃度コントロールが可能となる。
【００１１】さらに、本発明の容器には水量計を設置することもでき、溶解内へ導入される水の量が定量的に把握できる。
【００１２】（固型薬剤溶解器の使用例）この溶解器を用いた塩素処理の一態様を図３に示す。図３は、本発明の薬剤溶解器を用いた生活排水の放流前における塩素処理モデル図である。１５から流入した水は溶解器１３中で塩素水となり、消毒槽１６中に注入され、塩素処理が行われる。処理水はポンプ１７から放出されるものである。
【００１３】また、本発明の薬剤溶解器を使用する水の塩素処理プロセスは、上述した生活排水の塩素処理のほか、（１）井戸水中の除鉄・除マンガン、（２）工業用水の塩素処理、（３）冷暖房用循環水の殺菌処理、（４）上水道用水の滅菌処理、（５）降雨時の雨水用の滅菌処理、（６）食品産業加工用水の塩素処理等、広範囲にその応用が可能である。
【００１４】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の薬剤溶解器は、従来の薬剤溶解器に比して、以下の特徴を有する。
（１）従来の流水路設置型薬剤溶解器では、設置が困難であった足場の悪い流水路を有するものであっても、設置が容易な場所を選択して設置できるようになった。
（２）従来の流水路設置型薬剤溶解器を使用していた場合では、ビルの地下等に設置されるので、薬剤の補充充填作業が煩雑になっていた。しかし、本発明の溶解器は便利な場所を選択して設置出来るので、薬剤の補充充填作業が簡便、かつ効率化された。
（３）本発明の溶解器は、水量の調節バルブを設けることができ、該バルブの開閉のみで、簡便に塩素濃度の調節が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の固型薬剤溶解器の図である。
【図２】従来の流水路設置型の薬剤溶解器の図である。
【図３】本発明の薬剤溶解器を使用した塩素処理工程の一態様である。
【符号の説明】
１，８−蓋、２，９−薬剤充填筒、３−バルブ、４−溶解水入口、５−目皿板、６，１０−固型薬剤、７−塩素水出口、１１−流水入口、１２−塩素含有流水出口、１３−本発明の薬剤溶解器、１４−水量計、１５−溶解水入口、１６−消毒槽、１７−ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項１】固型薬剤の投入口１、固型薬剤充填筒２、水量調節バルブ３、溶解水の流入口４、目皿板５、及び塩素水の流出口７を有することを特徴とする導入水型固型薬剤溶解器。
【請求項２】請求項１記載の導入水型薬剤溶解器を用いることを特徴とする水の塩素処理方法。

【図１】