説明

導尿路の中途に点滴筒を有する蓄尿用容器

【課題】 一般に病院や医院では重症患者の精密な分時尿量や総尿量の測定には、メスシリンダー様の精密尿量計器の付属した蓄尿バッグを用いて、看護師等が約1時間毎に精密計器内に溜まった尿量を目視で計測し、計測の終わった尿を手動で蓄尿バッグ本体部に移行、貯留する必要がある。
【解決手段】 本発明の蓄尿用容器は、その導尿路(チューブ)の中途に点滴筒を有することを特徴とし、排泄された尿を点滴筒内の点滴針を通過させることで滴下流を作り、日本国特開昭59−135063や実新開平6−50651などに記載される光電式センサーによる点滴監視装置等の機器を用いて、尿の滴下数を計測し、1滴当りの質量から容易に分時尿量や総尿量を自動計測・表示することを可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に病院や医院で使用されている蓄尿バッグの導尿路(チューブ)の中途に、分時尿量や総尿量を自動的に計測する目的で、点滴筒を組み入れた蓄尿用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
病院や医院において重症患者の尿の管理は、患者の循環機能や腎機能を始めとする全身状態を把握するために極めて重要なものである。従来用いられてきた一般的な蓄尿バッグは目盛りも大雑把で、精密な尿量を計測するには不向きであり、メスシリンダー様の精密尿量計器の付属した蓄尿バッグでは、約1時間毎に、計器内に貯留された尿量を測定し、測定を終えた尿を蓄尿バッグ本体部に移行・貯留する作業が必要となる。しかもこのような作業は24時間を通して人の手に委ねられている。人の手に依存しない完全自動化された尿量計測器も一部市販されているものの、その機器の高価さや再使用する部品によっては洗浄方法や再滅菌方法が複雑なことから一般に普及するに至っていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、臨床上極めて重要でありながら、従来24時間を通して人の手に委ねられてきた重症患者の尿量の測定のために、安価でかつ簡便な密閉式の単回使用蓄尿バッグを用いることで院内感染や汚染を防止しながら、尿の完全自動計測を可能にした蓄尿用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の目的を達成する本発明の蓄尿用容器は、その導尿路(チューブ)の中途に点滴筒を有することを特徴とする。点滴筒を有することで、排泄された尿を滴下させることが出来、その滴下数を測定することで自動的な尿量の計測が可能となった。
【0005】
日本国特開昭59−135063や実新開平6−50651などに記載される光電式の発光部と受光部の間を滴下体が通過し、光が遮断されることにより滴下数を計測する光電センサー式点滴監視装置等の機器を用いて、尿の滴下数を計測することが可能であり、前もって1滴当りの質量を把握しておけば排泄された尿量を容易に自動計測・表示することが出来る。
【発明の効果】
【0006】
本発明による導尿路(チューブ)の中途に点滴筒を有する蓄尿用容器は臨床上極めて重要な重症患者の分時尿量や総尿量を安価に、簡単に、かつ安全に自動計測することを可能した蓄尿用容器として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】 本発明の蓄尿用容器の全体図
【図2】 同蓄尿用容器を光電センサー式点滴監視装置にセットした設置概略図
【図3】 同蓄尿用容器がセットされた光電センサー式点滴監視装置の拡大図
【図4】 同蓄尿用容器の点滴筒の拡大図
【図5】 同蓄尿用容器の点滴筒に設けられた点滴針の内部断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は本発明の実施例である導尿路(チューブ)の中途に点滴筒を有する蓄尿用容器を示す全体図である。患者の膀胱内に挿入された導尿用カテーテルに、▲1▼接続コネクターが接続され、患者から排泄された尿は▲2▼導尿路(チューブ)を通って▲6▼蓄尿バッグ本体部に貯留される。その導尿路(チューブ)の中途に組み込まれた▲3▼点滴筒内の▲4▼点滴針を通過することで、尿は一時的に点滴流となる。
【0009】
図2は同蓄尿用容器の▲3▼点滴筒を、▲10▼点滴監視装置にセットした設置概略図である。患者から排泄された尿は▲2▼導尿路(チューブ)の中途に組み込まれた▲3▼点滴筒内の▲4▼点滴針を通過することで、一時的に点滴流となり、▲10▼点滴監視装置の▲11▼光電式センサーで感知することで滴下数を自動的に計測し、1滴当りの質量を把握しておけば容易に尿量を表示することが出来る。
【0010】
図3は▲3▼点滴筒がセットされた状態の▲10▼点滴監視装置の拡大図である。点滴▲11▼光電式センサーの拡大図である。
【0011】
図4は▲3▼点滴筒内部の▲4▼点滴針の縦断面拡大図である。同針の内部に▲12▼整流用スポンジ等を設置することで少尿の時でも、また多尿の時でも安定した点滴流を実現させることが出来る。
【0012】
患者から排泄された尿は▲6▼蓄尿バッグ本体部で貯留される。一般的には軟質ポリ塩化ビニル樹脂製の前面が透明のシートで、背面が白色のシートを張り合わせた物が多いが、蓄尿を目的とする容器であれば、材質の硬軟や貯尿部の形状に限定は無い。蓄尿バッグの上部には貯留された尿内の雑菌の逆行感染を防止する為の▲5▼逆行防止筒があり、またバッグ内部の排気のための▲9▼排気用フィルターが設置されている。蓄尿バッグの下部には貯留された尿の排出用に▲7▼クランプの付いた▲8▼排液チューブが設置されている。
【符合の説明】
【0013】
▲1▼接続コネクター
▲2▼導尿路(チューブ)
▲3▼点滴筒
▲4▼点滴針
▲5▼逆行防止筒
▲6▼蓄尿バッグ
▲7▼クランプ
▲8▼排液チューブ
▲9▼排気用フィルター
▲10▼点滴監視装置
▲11▼光電式センサー
▲12▼整流用スポンジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排泄された尿を蓄尿する為の容器であって、その導尿路の中途に、非接触的に尿量を計測する目的の為の点滴筒を有することを特徴とする蓄尿用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−207558(P2010−207558A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90497(P2009−90497)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(509093989)
【Fターム(参考)】