説明

導波路型光保護素子及び導波路型光保護装置

【課題】 導波路型光保護素子及び導波路型光保護回路に関し、導波路自体の屈折率変化の光強度依存性を用いることなく、簡単且つ小型の構成で高感度な光保護機能を実現する。
【解決手段】 入力導波路と、相変化材料膜が積層された導波路と、出力導波路とを直列に接続し、前記相変化材料膜の一部が結晶相とし、残りをアモルファス相とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は導波路型光保護素子及び導波路型光保護装置に関するものであり、例えば、導波路型光回路用の導波路型光保護装置の感度を向上するための構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光通信シムテムの進展に伴って光通信ネットワークが大容量化され、それに対応して様々な機能を有する光デバイスが開発されている。特に、半導体光増幅器を利用する光ネットワークにおいて、光スイッチの切り替えや装置の瞬断等の動作において、半導体光増幅器への入力光信号平均パワーが非常に小さい状態が続いた後に、急激に光信号パワーが増大すると、光サージが発生し、後段に接続された受信回路は光サージによってダメージを被ることになる。
【0003】
したがって、大きな光サージが発生しないように回路設計等において工夫されてきたが、従来の光サージ抑制方法は、光通信装置の大型化或いは複雑化を招くとともに、高コストであるという問題がある。また、速度的に光サージを十分に抑圧できない場合もある。
【0004】
そこで、受光素子の前段に光リミッタ回路或いは光リミッタ素子を設けることによって、光サージによる受信回路の損傷をより少なくすることが提案されている。従来の光リミッタ回路としては、光非線形材料を光共振器内に挿入した非線形エタロン、或いは、非対称ファブリペロー共振器に可飽和吸収体を挿入した非線形素子を利用した光リミッタ回路等が提案されている。
【0005】
しかしながら、これらの素子は面型の構成であり、導波路で構成される各種光回路への集積が困難であるという課題があるため、マッハツェンダー干渉導波路を用いた光リミッタ回路が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
図5は、従来のマッハツェンダー型干渉導波路を用いた光リミッタ回路の概念的構成図であり、光入力導波路201、光入力導波路201に入力した光信号を分岐する光分岐導波路202、光分岐導波路202に並列に接続する第1アーム導波路203及び第2アーム導波路204、第1アーム導波路203及び第2アーム導波路204の出力端に接続される光結合導波路205、光結合波導波路205に接続されて光信号を出力する光出力導波路206からなる。
【0007】
このマッハツェンダー型干渉導波路は、InP基板上に、InP下部クラッド層、InGaAsPコア層及びInP上部クラッド層を順次成膜して、所定形状にエッチングすることによって構成する。ここで、第1アーム導波路203に不純物ドーピング等により吸収係数を高めて、第1アーム導波路203と第2アーム導波路204の吸収係数に差が生じるようにそれぞれの吸収係数を設定する。
【0008】
さらに、光分岐導波路202の分岐比と、第1アーム導波路203及び第2アーム導波路204の長さを調整して、光入力が弱い場合に第1アーム導波路203と第2アーム導波路204が光結合導波路205に結合する直前での光強度を等しく、且つ、同相にする。
【0009】
このように光回路を構成し、光入力パワーを増加させていくと、光吸収によって第1アーム導波路203の温度のみが局所的に上昇する。半導体は一般に熱光学係数が大きく10−4−1程度であるので、第1アーム導波路203が、1mm程度の長さであれば、10℃程度の温度上昇で光の位相がπ程度シフトする。
【0010】
マッハツェンダー型干渉導波路においては、光結合導波路205直前で第1アーム導波路203と第2アーム導波路204からの光の位相が同相でないと光出力導波路206への結合効率が低下する。そのため、入射パワーが低い領域では透過出力光の出射パワーは入射パワーに比例して増加するが、入射パワーが所定の強度を超えると出射パワーが相対的に抑制されるリミッタ型の光入出力特性を有するため光保護回路の機能を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−222796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、熱による吸収係数の増大効果は小さいので、高感度な光保護回路としては、不十分である。そこで、第1アーム導波路203を光非線形材料で構成することが考えられる。非線形材料は、光強度に応じて屈折率が変化するため、第1アーム導波路203と第2アーム導波路204の二本の導波路を伝搬した光が合波するときの位相差が光強度に依存し、結果として、透過率が光強度に依存する。
【0013】
そこで、光分岐導波路202の分岐比を適当な値に設定して導波路間初期位相差を調整すると非線形な入出力特性が得られる。図6は、光入出力特性図であり、あるレベル以上の高強度な光を入射すると、透過率が下がることによって光出力が減衰して光保護回路として機能する。
【0014】
しかしながら、この場合も、光非線形性が大きい材料が無いため、透過率が下がるのに必要な光強度が高く、高感度な光回路用の保護回路として不十分であるという問題がある。さらに、マッハツェンダー型干渉導波路は二本のアーム導波路の形成に際して高い精度が要求されると共に、平面的サイズが大きくなるという問題がある。
【0015】
したがって、本発明は、導波路自体の屈折率変化の光強度依存性を用いることなく、簡単且つ小型の構成で高感度な光保護機能を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するために、
(1)本発明は、導波路型光保護素子において、入力導波路と、相変化材料膜が積層された導波路と、出力導波路とが直列に接続され、前記相変化材料膜の一部が結晶相であり、残りがアモルファス相であることを特徴とする。
【0017】
このように、入力導波路と出力導波路との間に一部が結晶相となった相変化材料膜が積層された導波路を設けることにより、簡単且つ小型の構成で高感度な光保護機能を実現することができる。即ち、結晶相となった部分が相変化の核となるので、弱い光強度の光パルスを入力しても、アモルファス相から結晶相に変化し、それによって高感度な光保護機能が実現できる。
【0018】
(2)また、本発明は、上記(1)において、前記相変化材料膜の内の結晶相の割合を制御することによって、光保護閾値を制御することを特徴とする。結晶相となった部分が核となる相変化の閾値は、相変化材料膜の内の結晶相の割合に依存するので、相変化材料膜の内の結晶相の割合により光保護閾値を制御することが可能になる。
【0019】
(3)また、本発明は、上記(2)において、前記相変化材料膜の内の結晶相の割合が、体積比で、前記相変化材料膜全体の0.1%〜10.0%であることを特徴とする。0.1%未満であると、相変化が生ずるための光強度が高くなるので感度が低下し、一方、10.0%を超えると損失が大きく、誤動作が発生しやすくなる。
【0020】
(4)また、本発明は、上記(1)乃至(3)のいずれかにおいて、前記相変化材料膜の膜厚は、10nm〜100nmであることを特徴とする。10nm未満であると、相変化材料膜全体が結晶化しても信号光を実効的に完全に吸収するのに不十分であり、一方、100nmを超えるとそれ以上厚く設ける意味がなくなる。
【0021】
(5)また、本発明は、導波路型光保護回路装置において、入力導波路と、相変化材料膜が積層された導波路と、出力導波路とが直列に接続され、前記相変化材料膜の一部が結晶相であり、残りがアモルファス相である導波路型光保護素子と、前記相変化材料膜に該相変化材料膜の結晶状態を制御する光を照射する光照射手段を備えたことを特徴とする。
【0022】
このように、上述の導波路型光保護素子は、一旦、結晶相に相変化した場合には、継続使用する場合には、初期状態復帰させる必要があるので、相変化材料膜に該相変化材料膜の結晶状態を制御する光を照射する光照射手段を設ける必要がある。
【0023】
(6)また、本発明は、上記(5)において、前記光照射手段が、位置調整可能な光ファイバを備えていることを特徴とする。このように、光照射手段が、位置調整可能な光ファイバを備えることによって、微小領域へのスポット照射と広面積照射のための光学系を単一の光学系で構成することができる。
【発明の効果】
【0024】
開示の導波路型光保護素子及び導波路型光保護装置によれば、相変化材料を用いることによって、導波路自体の屈折率変化の光強度依存性を用いることなく、簡単且つ小型の構成で高感度な光保護機能を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態の導波路型光保護装置の概念的斜視図である。
【図2】本発明の実施例1の導波路型光保護素子の構成説明図である。
【図3】本発明の実施例1の導波路型光保護素子の光入出力特性図である。
【図4】本発明の実施例2の導波路型光保護装置の概念的構成図である。
【図5】従来のマッハツェンダー型干渉導波路を用いた光リミッタ回路の概念的構成図である。
【図6】光非線形材料を用いたマッハツェンダー型干渉導波路による光リミッタ回路の光入出力特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ここで、図1を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の実施の形態の導波路型光保護装置の概念的斜視図である。導波路型光保護装置は、基板11、下部クラッド層12、導波路13、上部クラッド層14、及び、導波路13の一部の頂面に設けられた相変化材料膜15とからなる。導波路13の一端側は入力導波路16となり、他端側は出力導波路18となり、相変化材料膜15が光吸収部17となる。
【0027】
この相変化材料膜15の光伝搬方向の長さは任意であるが、例えば、2μm〜15μmであり、大半はアモルファス相部15であり、表面側に設けられた結晶相部15は相変化材料膜15の体積の0.1%〜10.0%とする。この結晶相部15は単一のスポットでも良いし、複数個のスポットでも良く、結晶相部15が相変化の核となるので、弱い光強度の光パルスを入力しても、アモルファス相から結晶相に変化する。
【0028】
入力導波路16から信号光が入射すると、信号光の強度が小さな場合には、アモルファス相部15での吸収はほとんど生じないので、そのまま透過して、出力導波路18からそのまま出力する。
【0029】
一方、信号光の強度が閾値を超えると、光吸収部17の吸収係数の大きな結晶相部15を核として相変化を起こし全体が結晶相となる。結晶相は吸収係数が大きいので、導波路13の透過率が低下し、後段の出力導波路18への光を遮断し、光保護装置として機能する。この時、結晶相部15の形状及び体積により光保護装置が動作する閾値を調整することができる。
【0030】
相変化材料膜15が結晶相となった場合、初期状態に復帰させる必要があり、そのために、レーザ光照射光学系19によりパルスレーザ光を照射して、アモルファス相へ相変化させる。例えば、パルス幅が1ns〜100ns、例えば、20ns程度の高強度、例えば、100mW程度のパルスレーザ光を照射する。一方、相変化材料膜15の表面に相変化の核となる結晶相15を形成するためには、パルス幅が100ns〜500ns、例えば、500ns程度の低強度の、例えば、10mW程度のスポットパルスレーザ光を照射する。なお、照射するレーザ光の波長は、相変化材料の状態にかかわらず相変化材料が吸収できる波長であれば良いが、通常は、入手が容易なレーザの発光波長である650nmを用いる。
【0031】
また、この場合の導波路13としては、Si、SiGe、InP、GaAs、InGaAsP、InAlAs、InGaAs、GaN、GaNAs等の半導体単結晶が望ましい。材料の選択に際して、光信号の波長帯における吸収率の低い材料を選択する必要があり、例えば、1.3μm〜1.55μm帯においてはSi或いはInGaAsPが望ましい。
【0032】
また、基板構造としては、導波路を単結晶コア層とするためには、基板貼り合わせ技術或いはラテラルシーディング法によって形成したSOI(Sbmiconductor on Insulator)基板や、熱伝導率の高いサファイア基板を用いたSOS(Silicon on Sapphire)基板を用いることが望ましい。
【0033】
また、相変化材料膜15を構成する相変化材料としては、α−Si、α−Ge、α−GaSb、α−GaAs、α−Sb、GeSe等のテトラヘドラル系材料、Ge−Sb−Te系カルコゲナイド系材料、Sb−Te系カルコゲナイト材料、AsSe或いはAs等のカルコゲナイド材料、NiO、HfO、ZrO、或いは、ZnO等の遷移金属酸化物材料等の相変化型光ディスク等で実績のある材料が望ましい。特に、相変化に伴う光吸収率の変化の大きなGe−Sb−Te、Ge−Sb−Te、Ge−Sb−Te、Ge−Sb−Te等のGe−Sb−Te系カルコゲナイド系材料が望ましい。
【0034】
このように、本発明の実施の形態においては、一部を結晶化した相変化材料薄膜を有する導波路を利用しているので、簡単且つ小型な構成でしきい値パワーの低い光保護装置を構成することが可能になる。
【0035】
また、相変化材料薄膜部分の結晶相とアモルファス相との間の相変化や、結晶相部分の大きさ及び個数を制御できる光学系を設け、光保護装置を初期状態に復帰したり、光保護装置の動作しきい値を調整したりすることが可能となる。
【実施例1】
【0036】
以上を前提として、次に、図2及び図3を参照して本発明の実施例1の導波路型光保護素子を説明する。図2は本発明の実施例1の導波路型光保護素子の構成説明図であり、図2(a)は概略的透視平面図であり、また、図2(b)は図2(a)における一点鎖線の面に沿った概略的断面図である。
【0037】
図に示すようにSOI基板を用いて、シリコン基板21上に形成した厚さが、200nmのSiO膜を下部クラッド層22とし、その上に形成した単結晶シリコン層をストライプ状にエッチングして例えば、幅が400nmで高さが220nmの単結晶シリコンコア層23を形成する。
【0038】
この単結晶シリコンコア層23の一部の表面に、メタルマスクを用いたマスクスパッタリング法を用いて厚さが30nmで、光伝搬方向の長さが10μmのGe−Sb−Te組成のGST膜24を形成する。この時、GST膜24は全体がアモルファス相となる。
【0039】
次いで、全面に厚さが1.5μmのSiO膜を100℃の成膜温度で成膜させて上部クラッド層25とする。この時、上部クラッド層25の成膜温度が100℃であるので、GST膜24は全体がアモルファス相のままである。なお、上部クラッド層25の成膜温度を高めると結晶相となる。
【0040】
次いで、スポット径が1500nmで、波長が650nmで、10mW/μmの強度で500nsのパルス幅のパルスレーザ光を照射することによって、GST膜24の一部を結晶相に相転移させて結晶相部24とすることによって、本発明の実施例1の導波路型光保護素子20が完成する。なお、残りの部分はアモルファス相部24のままである。ここで、単結晶シリコンコア層23の一端側は入力導波路26となり、他端側は出力導波路28となり、GST膜24を設けた部分が光吸収部27となる。
【0041】
Ge−Sb−Te組成のGST膜24は、光通信に利用される1.3μm〜1.65μmの波長の光に対して、結晶相での吸収は大きく、アモルファス相での吸収は少なく、複素屈折率の虚数部kは、アモルファス相で0.1以下、結晶相で1.0程度である。例えば、波長1.5μmの入力光が弱い場合、GST膜24のほとんどがアモルファス相であるので透過率は高い。
【0042】
図3は、本発明の実施例1の導波路型光保護素子の光入出力特性図であり、一部結晶状態の直線と全結晶状態の直線の傾きの対比から明らかなように、傾きが大きいほど透過率が高くなる。
【0043】
したがって、入射パワーの増大ともに出射パワーも増大するが、光パワーがある閾値を超えると結晶相部24において光吸収による温度上昇が進行し、その周囲で結晶化温度を超えて、GST膜24の結晶化が進む。結晶化が進むにつれて、その周囲の温度が次々と結晶化温度を超えて全体が結晶化し、導波路の吸収が急激に増大して、傾きが小さい直線上の透過率を示す状態に変化する。
【0044】
これらの一部結晶状態から全結晶状態への相変化過程は1μs程度の時間で進展するので、後段の受光素子、光変調素子、光偏向素子、或いは、光増幅素子等の光素子への過大な光入力を阻止し、光保護素子として機能する。
【0045】
光保護素子を初期状態に復帰させるには、強いレーザ光を全結晶状態になったGST膜24に照射することによって、GST膜24全体をアモルファス化し、その後、弱いレーザ光をスポット状に照射することによって、GST膜24の表面の一部を結晶化させる。
【0046】
なお、GST膜24が全く結晶化していない場合、GST膜24における光吸収が少ないため、非常に強い入力光でなければ、結晶相に相変化しないので光保護素子として機能しない。また、結晶相部24の大きさ、個数を変えることによって、保護回路が動作する閾値を調整することができる。
【実施例2】
【0047】
次に、図4を参照して、本発明の実施例2の導波路型光保護装置を説明する。図4は、本発明の実施例2の導波路型光保護装置の概念的構成図であり、上記の実施例1の導波路型光保護素子20とパルスレーザ光を照射するレーザ光照射光学系30を組み合わせたものである。
【0048】
レーザ光照射光学系は、光ファイバ31、コリメートレンズ32、収束レンズ33とからなり、収束レンズ33はコリメートレンズ32の焦点距離より短いレンズを用いる。また、光ファイバ31は、円形コア、楕円コア、あるいは、複数のコアからなるファイバ、あるいは、フォトニック結晶ファイバ、ホーリーファイバなどが利用可能である。
【0049】
光ファイバ31の端面でのモードフィールド断面形状と、ファイバ端面位置を調整することによって、結晶相部24の近傍での集光スポット形状と個数を調整することが可能である。GST膜24の全体がアモルファス相の場合、光ファイバ31の位置を調整してGST膜24上でのスポットを小さく、波長650nm、10mW/μm程度の強度で500ns程度のパルス幅の弱い光パルスを照射することによって、その一部を結晶相に相転移させる。
【0050】
強い光信号の入射によりGST膜24の全体が結晶化した場合には、光ファイバ31の位置を調整して、GST膜24上でのスポットを大きくし、波長650nm、100mW/μm程度の強度で20ns程度のパルス幅の強い光パルスを照射することによって、アモルファス化し、その後、一部を結晶化させる。
【0051】
このように、本発明の実施例2においては、位置調整可能な光ファイバを備えたレーザ光照射光学系を有しているので、光ファイバの位置を調整することよって、アモルファス化と一部結晶化の切り替えが可能になる。
【0052】
また、一部結晶化の際のビームスポットサイズ、レーザ光強度、パルス幅等を調整することによって、結晶相部24の位置、サイズ、個数を任意に設定することができ、それによって、光保護素子の閾値を任意に設定することができる。
【0053】
以上の説明においては、上部クラッド層の成膜後もGST膜はアモルファス状態である場合を説明したが、上部クラッド層の成膜温度を高めてGST膜を結晶状態としても良いものである。この場合には、予め全体をアモルファス相に相転移させるため、強いレーザ光を全面に照射して全体をアモルファス相に相転移させる。また、アモルファス相と結晶相間の相転移は、GST膜の近傍にヒータを用意し、その一部だけ、あるいは全体を加熱できるようにしても同様の動作をさせることが出来ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0054】
11 基板
12 下部クラッド層
13 導波路
14 上部クラッド層
15 相変化材料膜
15 アモルファス相部
15 結晶相部
16 入力導波路
17 光吸収部
18 出力導波路
19 レーザ光照射光学系
20 導波路型光保護素子
21 シリコン基板
22 下部クラッド層
23 単結晶シリコンコア層
24 GST膜
25 上部クラッド層
24 アモルファス相部
24 結晶相部
26 入力導波路
27 光吸収部
28 出力導波路
30 レーザ光照射光学系
31 光ファイバ
32 コリメートレンズ
33 収束レンズ
201 光入力導波路
202 光分岐導波路
203 第1アーム導波路
204 第2アーム導波路
205 光結合導波路
206 光出力導波路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力導波路と、
相変化材料膜が積層された導波路と、
出力導波路と
が直列に接続され、
前記相変化材料膜の一部が結晶相であり、残りがアモルファス相であることを特徴とする導波路型光保護素子。
【請求項2】
前記相変化材料膜の内の結晶相の割合を制御することによって、光保護閾値を制御することを特徴とする請求項1に記載の導波路型光保護素子。
【請求項3】
前記相変化材料膜の内の結晶相の割合が、体積比で、前記相変化材料膜全体の0.1%〜10.0%であることを特徴とする請求項2に記載の導波路型光保護素子。
【請求項4】
前記相変化材料膜の膜厚は、10nm〜100nmであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の導波路型光保護素子。
【請求項5】
入力導波路と、
相変化材料膜が積層された導波路と、
出力導波路と
が直列に接続され、
前記相変化材料膜の一部が結晶相であり、残りがアモルファス相である導波路型光保護素子と、
前記相変化材料膜に該相変化材料膜の結晶状態を制御する光を照射する光照射手段を備えたことを特徴とする導波路型光保護装置。
【請求項6】
前記光照射手段が、位置調整可能な光ファイバを備えていることを特徴とする請求項5に記載の導波路型光保護装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−128302(P2012−128302A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281287(P2010−281287)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、総務省、「超低消費電力光ノード実現に向けた超小型高速相変化光スイッチの研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(899000079)学校法人慶應義塾 (742)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】