説明

導線の接続構造

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばケーブルリールなどに用いられるフラットケーブル等からなる複数本の導体を備えてなる導線と、リード線等からなる複数本の導体を備えてなる導線の接続構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の少なくとも2つの導線の接続構造は、例えば実開昭64ー21988号公報に示されている車両のステアリング機械用信号装置(ケーブルリール)に開示されている。図8〜図10は、従来の車両のステアリング機械用信号装置における導線の接続構造を示す概略図である。この従来の車両のステアリング機械用信号装置は、図8に示す固定体B1と、この固定体B1に対して回動自在に装着された可動体B2と、これら固定体B1と、可動体B2が形成する収納空間内に渦巻き状に収納される導線、即ちフラットケーブルB3から成っている。前記フラットケーブルB3と外部導出用のリード線B7との接続構造は図10に示すように、フラットケーブルB3の絶縁被覆部B3bの端部から、所定の間隔を持って薄板で金属製の複数の導体B3aが露出している。そして、この露出した複数の導体B3aの自由端を複数の介在端子一端B4aに重ねてスポット溶接等により接続している。また、この介在端子B4は、プレス加工等で打ち抜いた略L字状の金属板を、インサート成形で絶縁被覆した保持体B5により、前記複数の介在端子B4をそれぞれ所定の間隔をもって一体化して取り扱いしやすくしている。そして、このような構造の介在端子B4の他端B4bを所定長さ延長し、この介在端子B4の他端B4bにリード線B7の絶縁被覆部B7bから露出した導体B7aの自由端を重ね合わせてスポット溶接等で接続している。そして、図9に示すように、それぞれの導体と介在端子B4の接続部および、この接続部以外の導体部分を絶縁性確保のために、成形金型内で位置決めして、樹脂成形加工により、前記フラットケーブルB3と、介在端子B4と、リード線B7のそれぞれの接続部分を覆うインジェクションモールド部B6を形成する。そして、このインジェクションモールド部B6を前記車両のステアリング装置の固定体B1に埋設して取り付けている。
【0003】このように構成された従来の導線の接続構造においては、フラットケーブルB3、介在端子B4、リード線B7を接続するのに、フラットケーブル導体B3aは薄く変形しやすい。また前記導体B3aは、図10R>0に示すようなフラットケーブルB3の複数の導体B3aの自由端の先端を、複数の介在端子B4の自由端の先端である一端B4aに、それぞれ自由端の先端同志を重ね合わせるものであるため、互いにズレのないように重ね合わせることは大変難しかった。そのために、前記導体B3aの複数の重ね合わせ部分を一度にスポット溶接することが大変困難であった。即ち、フラットケーブルB3の導体B3aの自由端の先端を介在端子B4の自由端の先端である一端B4aに、位置ズレを調整しながら1本づつ重ねてスポット溶接して接続していた。更に、介在端子B4の他の自由端の先端である他端B4bとリード線B7の複数の導体B7aの自由端の先端も同様の作業によりスポット溶接等で接続していた。
【0004】また、図10に示すようにリード線B7の導体B7aの先端を、寸法Aの距離を設けて介在端子B4の他端B4bに寸法Bで重ねて、スポット溶接等で接続している。このとき、寸法Aを設ける理由は、介在端子B4の他端B4bに、リード線B7の導体B7aを重ね合わせるときに、図9に示すように、リード線B7の絶縁被覆部B7bで覆われている複数の導体B7a間のピッチと、前記複数の介在端子B4の他端B4b間のピッチとが異なるので、寸法Aの部分でリード線B7のそれぞれの導体B7aを、介在端子B4の他端B4bのピッチに合わせて調整するためである。また、保持体B5と寸法Bの接続部分との間には寸法Cの距離が設けられている。この寸法Cは、複数の介在端子B4を保持体B5にインサート成形するときに、成形金型の精度上の問題で介在端子B4の表面に成形樹脂のバリ等が流れ出ることがある。このように介在端子B4の表面に成形樹脂のバリが流れていると、介在端子B4とリード線B7の導体B7aとの溶接強度が不安定になる。そのために、前記成形樹脂のバリ等が流れ出す寸法より、やや大きめの寸法でC寸法を設定している。
【0005】また、前記保持体B5の一方側には、介在端子B4の一端B4aが略L字状の金属板に寸法Gを設けて形成されている。そして、前記介在端子B4の一端B4aの先端は寸法Fの接続部分で、フラットケーブルB3の導体B3aを重ねて接続されている。また、フラットケーブルB3の絶縁被覆部B3bの端部と前記寸法Fの接続部分との間には寸法Eが設けられている。この寸法Eは前記リード線B7側に設けられた寸法Aと同じ理由で設けられていた。このように従来の接続構造においては、リード線B7からフラットケーブルB3までの距離が、上記したそれぞれの寸法A〜Gの総和になっているので、フラットケーブルB3から、リード線B7までの接続寸法が大きくなっていた。
【0006】また、上述したように、前記それぞれの導体は所定のピッチで接続されているが、お互いの絶縁性確保のため、あるいは感電等の事故の発生防止のために、前記それぞれの導体を合成樹脂等の絶縁物質で包み込む構造を取る必要がある。そのために図9に示すXとYの範囲をインジェクションモールド部B6で包み込んでいた。即ち、図10に示す寸法B・Fのお互いの接続部分をスポット溶接等によって接続した後に、成形金型内に前記接続されたそれぞれの導体を位置決めして、成形加工し、図9のようなインジェクションモールド部B6を形成していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したような従来の導線の接続構造では、フラットケーブルB3の導体B3aの自由端を介在端子B4の一端B4aに重ね合わせて位置ズレを調整しながら、1本づつスポット溶接を行っていたので、スポット溶接の作業に時間が掛かって大変作業効率が悪いという問題があった。
【0008】また、フラットケーブルB3の導体B3aと介在端子B4の一端B4aを1本づつ重ねて、お互いの位置ズレを調整しながらスポット溶接を行っても、手作業による重ね合わせでは完全にズレをなくすることは大変困難である。このような位置ズレが発生した接続部分では、お互いの重ね合わせた部分の接触面積がバラツき、その影響でスポット溶接強度にバラツキが発生して、溶接強度が安定しない問題があった。そのために、前記溶接強度が弱い場合にはインジェクションモールド部B6の成形加工時等に樹脂圧力等によってフラットケーブル導線B3aと介在端子一端B4aの溶接が剥離する問題があった。
【0009】また、図10に示すように、従来の導線の接続構造では、フラットケーブルB3からリード線B7までの距離が、寸法A〜Gの総和になり、接続寸法が長くなって大型になるので、このような導線の接続構造だと、小型のケーブルリールには用いることができない問題があった。本発明は、上記従来の課題を解決する導線の接続構造を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するための第1手段として、複数の導体の一端部が露出されるよ絶縁物質で覆った絶縁被覆部を有する2つの導線と、複数の介在端子を絶縁物質で一体化した保持体と、この保持体の一側辺および他側辺のそれぞれの辺から露出する前記介在端子に設けられた複数の接続部と、上記2つの導線の一部および保持体を載置するケースとを備え、上記介在端子はその一部が保持体に埋設され、この介在端子の一部が埋設された部分の保持体の上面に、上記2つの導線のうちの一方の導線の絶縁被覆部を位置させて上記一方の導線の複数の導体の一端部と保持体の一側辺の複数の接続部とをそれぞれ接続するとともに、前記介在端子が埋設された部分の保持体の下面に上記2つの導線のうちの他方の導線の絶縁被覆部を位置させて他方の導線の複数の導体の一端部と保持体の他側辺の複数の接続部とをそれぞれ接続してなり、上記ケースには、他方の導線の複数の導体の一端部とこれら一端部に接続される保持体の複数の接続部とに臨むように開口穴が形成されてなる構成とした。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図1ないし図5を参照して説明する。本発明の導線の接続構造は、複数の介在端子2をインサート成型して一体化した保持体1と、複数の導体4aと該導体4a一端部が露出されるように被覆してなる絶縁被覆部4bとを備えるフラットケーブル等からなる導線4と、複数の導体5aと該導体5aの一端部が露出されるように被覆する絶縁被覆部5bとを備えるリード線等からなる導線5と、これらの導線4、5および介在端子2を接続した状態で蓋閉する下ケース3と上ケース6とから構成されている。そして、その構造は、フラットケーブル等からなる導線4を下ケース3の内部に載置し、その上に保持体1を重ね、該保持体1の上にリード線等からなる導線5とを重ねて、複数の介在端子2に、前記フラットケーブル等からなる導線4と、リード線等からなる導線5を電気的に接続し、この接続部分を上ケース6で包み込む構成になっている。このように構成された導線の接続構造において、前記保持体1は硬質の絶縁性樹脂、例えばABS樹脂などで形成され、外形が略正方形で4つの側辺1a・1b・1c・1dで形成されている。そして、この保持体1には、後述する複数の介在端子2がインサート成形により一部が埋設されて取り付けられている。そして、前記介在端子2の一部が埋設された前記保持体1の上面側にはその中央部付近から、前記側辺1aまでそれぞれ平行に延びる隔壁1fが設けられている。そして、該隔壁1fに仕切られて嵌合溝1eが形成されている。また、この嵌合溝1eの幅は、後述するリード線等からなる導線5の絶縁被覆部5bが自由に動ける広さになっているが、嵌合溝1eに接する入り口1kの幅は、前記リード線等からなる導線5の絶縁被覆部5bの幅より狭くしている。即ち、リード線等からなる導線5は絶縁被覆部5bの弾性を利用して前記入り口1kに圧入されて取り付けられる。また、側辺1aには段部1gが設けられている。また、側辺1c側に形成されている隔壁1fの下部を側辺1a側の面から外部に突出した凸部1hが形成され、また、保持体1の側辺1b側の上方両端には、2箇所の係合凹部1jが形成されている。そして、保持体1は前記段部1g、凸部1h、凹部1jが後述する下ケース3の一部にそれぞれ凹凸係合して、下ケース3に位置決めされて固定される。
【0012】また、前記保持体1には、インサート成型により一部が埋設されて一体化され、金属製で略L字状の複数の介在端子2を有し、この介在端子2の隣り合う隙間部分に所定の間隔が形成されて保持体1に取り付けられている。そして、図1および図2において複数の介在端子2の一端側の接続部2aは、保持体1の一端側である側辺1aから外部に露出し、この露出部分を前記保持体1の一端側である側辺1aに密着させて、所定間隔をもって垂直で隔壁1fの高さまで上方に延びている。また、側辺1aと直交する方向の側辺1cから外部に露出する複数の介在端子2の他端側の接続部2bの自由端が所定間隔をもって水平方向に延びて形成されている。
【0013】また、下ケース3は硬質な絶縁性樹脂で例えばABS樹脂等で形成されている。そして、図1および図3に示すように、下ケース3の中央には、内部を防塵等の目的から蓋閉する平らな底板3aが設けられている。そして、底板3aの周囲には、後述するフラットケーブル等からなる導線4を下ケース3の内部に誘導するケーブル誘導部3bと、後述するリード線等からなる導線5を下ケース3の内部に誘導するリード線誘導部3cと、フラットケーブル等からなる導線4の絶縁被覆部4bから露出した複数の導体4aの一端部を載置するケーブル保持部3hとが張り出して形成されている。また、下ケース3の外周には前記リード線誘導部3cとケーブル誘導部3bとケーブル保持部3hとを外周で繋ぐ2つの枠体3eと、前記リード線誘導部3cに相対向する側に横壁3dが設けている。また、前記底板3aのケーブル保持部3h側の表面には、後述するフラットケーブル等からなる導線4の複数の導体4aを絶縁被覆する絶縁被覆部4bの端部4fを突き当てて位置決めして、フラットケーブル等からなる導線4の長手方向の動きを規制する5つの小突起3fが設けられている。そして、この5つの小突起3fと前記ケーブル保持部3hの間には、開口穴3gがフラットケーブル等からなる導線4の幅と同程度の幅で設けられている。また、前記ケーブル保持部3hには複数の溝3wが設けられ、この互いに隣り合う複数の溝3wの間には、絶縁部材が形成されている。即ち、フラットケーブル等からなる導線4の複数の導体4aの自由端、および介在端子2の他端2bの互いに隣り合う隙間部分に絶縁部材を介在させて、互いに隣り合う複数の導体4aの一端部、および介在端子2の接続部2bとが、接触してショートするのを防ぐようになっている。そして、この溝3wと前記小突起3fにはフラットケーブル等からなる導線4の複数の導体4aの一端部と、前記複数の介在端子2の接続部2bとが、前記開口穴3gをまたいで重ね合わせて位置決めされて載置されている。
【0014】また、下ケース3の横壁3dの内側には、垂直で上方に延びる複数の仕切り壁3jが、横壁3dと一体で設けられている。この複数の仕切り壁3jに挟まれた間隙3iには、前記複数の介在端子2の接続部2aを位置決めしてガイドするようになっている。また、前記横壁3dのケーブル誘導部3b側の内部に凸部3kが、また、前記横壁3dのケーブル保持部3h側の内部に凹部3Lが設けられている。そして、前記凸部3kの下側に前記保持体1の段部1gを挿入させ、また、凹部3Lには前記保持体1の凸部1hを挿入し、更に、リード線誘導部3cと底板3aのつなぎ部分には、左右に枠体3eが形成され、この左右の枠体3eの内面には凸部3nが設けられ、この凸部3nを前記保持体1の係合凹部1jに挿入させて、保持体1を下ケース3に位置決めして取り付けている。
【0015】また、前記横壁3dの外側には係合部3mが設けられて、後述する上ケース6とスナップ係合して、下ケース3と上ケース6を一体化するようになっている。更に、ケーブル保持部3h側の枠体3eの上面にはスナップ脚3pが設けられて、後述する上ケース6の切り欠き部6pにスナップ係合するようになっている。また、ケーブル誘導部3bの底面に細長の凹溝3Qが形成されて後述するフラットケーブル等からなる導線4の抜け止めに使われている。また、前記ケーブル誘導部3bの両側面の外側に、凹部3rが形成されている。また、リード線誘導部3cは、両側に前記枠体3eにつながっている側壁3sと、横壁3uから成っており、この横壁3uには後述するリード線等からなる導線5を保持する半円状の開口部3tと、この横壁3uの両側表面には円柱状の突起3vが設けられている。
【0016】次に、フラットケーブル等からなる導線4は、絶縁被覆部4bと、この絶縁被覆部4bの端部4fからは薄板で金属製の複数の導体4aが露出している。この露出の長さは感電事故等を防ぐために、前記下ケース3のケーブル保持部3hの外側面から出っ張らない長さに形成されている。また、フラットケーブル等とからなる導線4の絶縁被覆部4bの裏面には、係止部材4eが両面接着剤4dにより接着されて備えられている。この係止部材4eは、鋭角で下方に折れ曲がったストッパー部4cが設けられている。このストッパー部4cは前記下ケース3のケーブル誘導部3bの底面に設けられた凹溝3Qに係合して、フラットケーブル等からなる導線4が下ケース3の外部に引っ張られても抜けないように抜け止めになっている。次に、リード線等からなる導線5には、絶縁被覆部5bから露出してなる複数の導体5aが形成され、この導体5aの一端部には略袋状のコネクタ端子5cがカシメ付けられて、更に、電気的に安定した導通を得るために半田付け等で接続されている。
【0017】次に、上ケース6は硬質な絶縁性樹脂で例えばABS樹脂等の材料で形成されて図1および図4に示すように、前記保持体1の嵌合溝1eを蓋閉し、隔壁1fの上面を押さえつける平坦な天上面6aと、この天井面6aには前記リード線等からなる導線5の複数の絶縁被覆部5bの内側の4本を押さえ付ける4つの凸状の押圧突起6fと、前記リード線等からなる導線5の両サイドの2本の絶縁被覆部5bを押さえ付ける押圧部6eが形成されている。また、ケーブル押圧部6bが下ケース3のケーブル誘導部3bと所定の隙間をもってフラットケーブル等からなる導線4を押さえ付けるように形成されている。また、リード線等からなる導線5を上下のケース3、6の内部に誘導するリード線誘導部6cと、このリード線誘導部6cには、両側に側壁6sと、この側壁6sにつながってリード誘導部6cを蓋閉する横壁6uと、この横壁6uにはリード線等からなる導線5を保持する半円状の開口部6tと、更に、横壁6uの表面には2つの孔6vが設けられている。また、複数の介在端子2の接続部2bを絶縁性確保のために仕切り壁6gで仕切って、下ケース3に挟み込む介在端子保持部6hと、横壁6dが形成されている。
【0018】また、前記ケーブル押圧部6bにはフラットケーブル等からなる導線4の幅方向を位置決めする枠体6jを有し、この枠体6jには、先端が鈎状に形成した2つのスナップ部6rが設けられている。このスナップ部6rは下ケース3の凹部3rにスナップ係合するようになっている。また、介在端子保持部6hを形成する壁6kの横壁6d側の表面には、下ケース3の係合部3mにスナップ係合する鈎状のスナップ脚6mと、リード線誘導部側6c側の壁6kの表面には、下ケース3のスナップ脚3pが係合する係合部6pとを備えている。
【0019】以上のような構成の、導線の接続構造に関して組立手順について説明すると、まず、図1に示すように、フラットケーブル等からなる導線4の絶縁被覆部4bの裏面に両面テープ4dで接着した係止部材4eを鋭角に折り曲げたストッパ4cを、下ケース3の凹溝3Qに引っかける。次に絶縁被覆部4bの端部4fを小突起3fに突き当て、前記絶縁被覆部4bを前記凹溝3Qと小突起3fの間に載置する。このとき、フラットケーブル等からなる導線4の複数の導体4aの一端部即ち自由端の先端は開口穴3gをまたぎ、ケーブル保持部3hに載置され、且つ、溝3wに位置決めされる。更に、前記導体4aの一端部の根元は前記小突起3fに位置決めされている。また、前記フラットケーブル等からなる導体4の導体4aの自由端の先端はケーブル保持部3hから出っ張らない長さに設定して感電等の事故が発生しないように絶縁性を確保している。即ち、フラットケーブル等からなる導線4は、下ケース3の外部から引っ張り力が加わっても、前記ストッパ4cの働きにより下ケース3から抜け出すことはない。また、逆にフラットケーブル等からなる導線4を下ケース3の内部に押し込む力が加わっても、フラットケーブル等からなる導線4の絶縁被覆部4bの端部4fが下ケース3の小突起3fに突き当たるので、フラットケーブル4が下ケース3の内部に押し込まれることはない。
【0020】このように、下ケース3に位置決めされたフラットケーブル等からなる導線4の絶縁被覆部4b上に、保持体1を載置する。このとき、一部が保持体1にインサート成型により埋設された介在端子2の接続部2aは、保持体1の一端側である側辺1aから露出して垂直で上方に延びると共に、下ケース3の絶縁部材から成る仕切り壁3jにガイドされて間隙3iに係合される。即ち、介在端子2の互いに隣り合う隙間部分に絶縁部材である仕切壁3jを介在させたので、複数の介在端子2の接続部2aはリード線等からなる導線5の複数の導体5aに取り付けられた略袋状のコネクタ端子5cを差し込む時に、複数の介在端子2の接続部2aが座屈して折れ曲がったりして、隣り合う介在端子2同志がショートするのを防ぐことができる。また、下ケース3の開口穴3gをまたいで、ケーブル保持部3hの溝3wに保持されているフラットケーブル等からなる導線4の複数の導体4aの一端部である自由端の上に、複数の介在端子2の接続部2bの自由端を重ねて、溝3wに位置決めされる。 それにより、フラットケーブル等からなる導線4の複数の導体4aの一端部と複数の介在端子2の接続部2bはお互いに位置ズレすることなく重ね合わされる。そして、保持体1を下ケース3に固定するには、保持体1の段部1gを下ケース3の凸部3kの下側に挿入し、また、保持体1の凸部1hを下ケース3の凹部3Lに挿入し、更に、保持体1の係合凹部1jに下ケース3のリード線誘導部3c側の2つの凸部3nを挿入することにより、保持体1が下ケース3に位置決めされて固定される。このときフラットケーブル等からなる導線4の複数の導体4aの一端部と、複数の介在端子2の他端2bは、開口穴3gをまたいで、ケーブル保持部3hに載置され、前記開口穴3gにおいて、前記複数の導線4導体4aの一端部と前記導体2の接続部2bを同時に、且つ、互いに位置ズレがない状態でスポット溶接することができる。
【0021】そして次に、垂直で上方に延びた複数の介在端子2の接続部2aの先端に、リード線等からなる導線5の導体5aに取り付けられた略袋状のコネクタ端子5cを被せて、複数の介在端子2の接続部2aとコネクタ端子5cを半田付け等で接続することにより電気的に導通する。このとき、リード線等から成る導線5の絶縁被覆部5bは、保持体1を挟んで、フラットケーブル等から成る導線4と交差して重ね合わせて取り付けられている。即ち、介在端子2の一部が埋設された部分の保持体1の上面に、2つの導線4、5の内の一方の導線5の絶縁被覆部5bを位置させて、上記一方の導線5の複数の導体5aの一端部と保持体1の一側辺1aの複数の接続部2aとをそれぞれ接続するとともに保持体1の下面に上記2つの導線4,5の内の他方の導線4の絶縁被覆部4bを位置させて他方の導線4の導体4a一端部と保持体1の他側辺1cの複数の接続部2bとをそれぞれ接続した状態で、2つの導線4、5を介在端子2に接続している。そして、2つの導線4、5の一方の絶縁被覆部5bを、介在端子2の一部を埋設した部分の保持体1の上面の嵌合溝1eの入り口1kに位置させ、圧入して取り付けている。このことにより、リード線等からなる導線5は外部からの衝撃や振動の影響を排除できる。た、リード線等からなる導線5は、絶縁被覆部5bから露出する導体5aを延長させて保持体1の嵌合溝1eでガイドされるので、隣り合う導体5a同志が接触してショートすることはない。なお、リード線等からなる導線5のケース外部への引き出しは下ケース3の開口部3tから外に引き出される。このように、フラットケーブル等からなる導線4の上に、保持体1にインサート成型等により一部が埋設された介在端子2を重ねて、更にその上にリード線等からなる導線5の絶縁被覆部5bを交差して重ねて、それぞれの導体4a、5aを接続しているので、前記2つの導線4、5は、介在端子2のスペースの範囲内で接続可能となり、全体として小型の導線の接続構造を提供することができる。そして、前記下ケース3と上ケース6の固定は、下ケース3のリード線誘導部3cの横壁3uに設けられた円柱状の突起3vを、上ケース6の孔6vに圧入し、同時に上ケース6の2つのスナップ脚6rと1つのスナップ脚6mを下ケース3の2つの凹部3rと1つの係合部3mとにスナップ係合する。また、下ケース3のスナップ脚3pと上ケース6の係合部6pをスナップ係合して、上下のケース3、6が一体化して固定されて、本発明の導線の接続構造の組立は完了する。
【0022】また、本発明の他の実施の形態として、図5R>5に示すように、略4角形の保持体1は、インサート成型等により一部が埋設されて複数の介在端子2が一体化されて取り付けられ、この保持体1の一端側である側辺1aから露出する前記介在端子2に接続部2aが設けられている。また、保持体の一端側である側辺1aと対向する他端側である側辺1bからは、介在端子2の他方の接続部2bが露出している。また、リード線等からなる導線5は複数の導体5aを下ケース3の内部に位置決めして載置している。そして、リード線等の導線5の絶縁被覆部5bの上に、保持体1を重ね、リード線等からなる導線5の複数の導体5aと、介在端子2の接続部2bをスポット溶接等で接続している。更に、前記保持体1の下面に2つの導線4、5の内の一方であるフラットケーブル等からなる導線4の絶縁被覆部4bを位置させて、介在端子2の接続部2aと、導線4の複数の導体4aをスポット溶接等で接続すると、保持体1の一端側である側辺1aと対向する保持体1の他端側である側辺1bに導線4の絶縁被覆部が導出される。前記介在端子2に2つの導線4、5を接続した状態の保持体1を下ケース3に載置している。そして、前記それぞれの導線4、5の上から、上ケース6を重ねて蓋閉して、フラットケーブル等からなる導線4またはリード線等からなる導線5を上下のケース3・6から平行状態で、それぞれ相反する方向に導出する構造でもよい。
【0023】また、本発明の他の実施の形態として、図6R>6に示すように、保持体1は上下の2面が絶縁部1bから表出して、その他の4側面を絶縁部1bで覆った複数の介在端子2を有している。そして、フラットケーブル等からなる導線4の絶縁被覆部を保持体1の一方の面上に位置させた状態で、複数の導体4aを介在端子2に位置合わせし、保持体1の下面には絶縁被覆部5bから露出する導体5aを位置させて、絶縁被覆部5bが保持体1の他方の面上に位置しないようにしたものでも良い。即ち、保持体1の面上に2つの導線4、5の絶縁被覆部4b、5bの一方を位置させた状態で、2つの導線4、5を介在端子2に接続させても良い。また、図示は省略するが、保持体には表面が露出した平板状の複数の介在端子を有し、この介在端子の一方の面上に、それぞれ2つの導線の導体を接続し、前記2つの導線を同方向に導出するようにしたものでも良い。
【0024】そして、本発明の導線の接続構造の1実施例をケーブルリールに使用した例を説明すると、図7に示す固定体91と、この固定体91に対して回動自在に装着された可動体92と、これら固定体91と可動体92が形成する収納空間内に渦巻き状に収納される導線、即ちフラットケーブル93と、このフラットケーブル93の両端に、本発明の導線の接続構造からなる接続コネクタ95・96が接続されて、外部のリード線94・95と接続されている。
【0025】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載するような効果を奏する。まず、介在端子は一部が前記保持体に埋設され、この介在端子の一部が埋設された部分の前記保持体の上面に、2つの導線の絶縁被覆部のうちの一方の導線の絶縁被覆部を位置させて、上記2つの導線のうちの一方の導線の複数の導体の一端部と保持体の一側辺の複数の接続部とをそれぞれ接続するとともに上記介在端子の一端部が埋設された部分の保持体の下面に上記2つの導線のうちの他方の絶縁被覆部を位置させて他方の導線の複数の導体の一端部と保持体の他側辺部の複数の接続部とをそれぞれ接続させた状態で、2つの導線を介在端子に接続したのでフラットケーブルおよびリード線等からなる2つの導線を介在端子のスペースの範囲で接続可能となり全体として、小型の導線の接続構造を提供することができる。故に、このような導線の接続構造を使った装置の小型化が可能になる。また、2つの導線の内、一方の導線の絶縁被覆部が介在端子の一部が埋設された部分の絶縁性の保持体の上面に位置しているので、それぞれの導線の導体の接続部以外では互いの導体同志が接触してショートしたりすることがなく絶縁性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導線の接続構造の分解斜視図。
【図2】本発明の保持体等からなる導線と介在端子等からなる導体を説明する平面図。
【図3】本発明の導線の接続構造の下ケースの平面図。
【図4】本発明の導線の接続構造の上ケースの背面図。
【図5】本発明の導線の接続構造の他の実施例を示す分解斜視図。
【図6】本発明の導線の接続構造の他の実施例を示す分解斜視図。
【図7】本発明の導線の接続構造の1実施例を使ったケーブルリール装置の分解斜視図。
【図8】従来の導線の接続構造を用いた車両ステアリング機械用信号装置を示す平面図。
【図9】従来の導線の接続構造を用いた車両ステアリング機械用信号装置の要部断面図。
【図10】従来の導線の接続構造の要部側面図。
【符号の説明】
B1 固定体
B2 可動体
B3 フラットケーブル
B3a 導体
B4 従来の介在端子
B4a 一端
B4b 他端
B5 従来の保持体
B6 インジェクションモールド部
B7 従来のリード線
1 保持体
2 介在端子
2a 接続部
2b 接続部
3 下ケース
3g 開口穴
4 フラットケーブル等からなる導線
4a 導体
5 リード線等からなる導線
5a リード線等からなる導線の複数の導体
6 上ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】複数の導体の一端部が露出されるよう絶縁物質で覆った絶縁被覆部を有する2つの導線と、複数の介在端子を絶縁物質で一体化した保持体と、この保持体の一側辺および他側辺のそれぞれの辺から露出する前記介在端子に設けられた複数の接続部と、前記2つの導線の一部および保持体を載置するケースとを備え、前記介在端子はその一部が前記保持体に埋設され、この介在端子の一部が埋設された部分の前記保持体の上面に、前記2つの導線のうちの一方の導線の絶縁被覆部を位置させて前記一方の導線の複数の導体の一端部と前記保持体の一側辺の複数の接続部とをそれぞれ接続するとともに、前記介在端子の一部が埋設された保持体の下面に前記2つの導線のうちの他方の導線の絶縁被覆部を位置させて前記他方の導線の複数の導体の一端部と前記保持体の他側辺の複数の接続部とをそれぞれ接続してなり、前記ケースには、前記一方の導線の複数の導体の一端部とこれら一端部に接続される前記保持体の複数の接続部とに臨むように開口穴が形成された状態で、前記2つの導線を前記介在端子に接続したことを特徴とする導線の接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図10】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【特許番号】特許第3119295号(P3119295)
【登録日】平成12年10月13日(2000.10.13)
【発行日】平成12年12月18日(2000.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−180085
【分割の表示】特願平3−238688の分割
【出願日】平成3年8月26日(1991.8.26)
【公開番号】特開平8−335468
【公開日】平成8年12月17日(1996.12.17)
【審査請求日】平成8年6月19日(1996.6.19)
【審判番号】平11−17169
【審判請求日】平成11年10月22日(1999.10.22)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【合議体】
【参考文献】
【文献】特開 平2−197207(JP,A)
【文献】特開 昭57−27575(JP,A)
【文献】特開 昭53−867(JP,A)
【文献】実開 昭61−30972(JP,U)
【文献】実開 平3−53761(JP,U)