説明

導電シートの製造方法及びタッチパネルの製造方法

【課題】導電シートの製造工程の簡略化を図ることができると共に、タッチパネル等の電極を容易に形成することができ、しかも、タッチパネル等の薄型化(低背化)を図ることができる導電シートの製造方法を提供する。
【解決手段】透明支持体102の一方の主面に形成された第1感光層104aに対し、透明支持体102に向かって第1光106aを照射して第1感光層104aを露光する第1露光処理と、透明支持体102の他方の主面に形成された第2感光層104bに対し、透明支持体102に向かって第2光106bを照射して第2感光層104bを露光する第2露光処理とが行われ、且つ、第1感光層104aに照射された第1光106aが第2感光層104bに実質的に到達せず、第2感光層104bに照射された第2光106bが第1感光層104aに実質的に到達しないように制御して行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電シートの製造方法及びタッチパネルの製造方法に関し、例えば投影型静電容量方式のタッチパネルに用いて好適な導電シートの製造方法及びタッチパネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高精細な導電パターンを支持体の両面に形成する方法として、例えば特許文献1記載の方法がある。
この特許文献1には、透明支持体上の一方の面(A面)に感光性ハロゲン化銀乳剤層を有し、他方の面(B面)に感光性ハロゲン化銀乳剤層を有する感光材料について前記A面側のみから画像露光した後現像処理することにより前記透明支持体の両面同位置に画像を形成する方法が開示されている。
また、従来において、静電容量方式のタッチパネルは、人間の指先と導電膜との間での静電容量の変化を捉えて指先の位置を検出する位置入力装置であるが、この静電容量方式のタッチパネルとしては、表面型と投影型とがある。表面型は、構造が簡便ではあるが、同時に2点以上の接触(マルチタッチ)を検知することができない。一方、投影型は、例えば液晶表示装置の画素構成のように、多数の電極がマトリクス状に配列して構成され、より具体的には、垂直方向に並ぶ複数の電極が直列に接続された複数の第1電極群が水平方向に配列され、水平方向に並ぶ複数の電極が直列に接続された複数の第2電極群が垂直方向に配列されて構成され、複数の第1電極群及び複数の第2電極群で容量変化を順次検出していくことで、マルチタッチが検出できる構成となっている。
【0003】
この投影型静電容量方式のタッチパネルの先行技術として例えば特許文献2記載の静電容量型入力装置が挙げられる。この静電容量型入力装置は、上部電極基板側における共通電極c1とX検出電極x1及びX検出電極x2との間のスペースS1,S2内に、ダミー電極D1として透明な電極線d1を配置し、下部電極基板側の隣り合うY検出電極ynの間のスペースS3内に、ダミー電極D2として透明な電極線d2を配置することで、共通電極c1、X検出電極xb及びY検出電極ynを有する部分と、ダミー電極D1,D2のみが配置された部分とのコントラストの差を小さくして、外部から透明タッチパネルを覗いたときに、内部に配線されている透明電極を見え難くするようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−158108号公報
【特許文献2】特開2008−129708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した特許文献1記載の方法では、透明支持体の両面同位置にそれぞれ同じパターンを形成する場合には好適であるが、特許文献2記載の投影型静電容量方式のタッチパネルのように、それぞれ異なる導電パターンを形成するには不適である。
その理由は、透明支持体のA面とB面にそれぞれ異なったパターンの露光を行った場合、A面に対する露光パターンがB面にも形成され、同じくB面に対する露光パターンがA面にも形成されてしまい、結果的にA面及びB面には同じパターンが形成されることになるからである。
【0006】
一方、特許文献2記載のタッチパネルにおいて、例えば図3に示す下層電極基板の端子パターンを見ると、端子パターンを一まとめにした部分から最も遠いy1に対応する端子パターンの長さが他の端子パターンよりも長く、端子パターンを一まとめにした部分から最も近いy16に対応する端子パターンの長さが他の端子パターンよりも短くなっている。そのため、y1及びその周辺の電極のRC時定数が大きくなり、その結果、検出電圧波形がなまり、駆動時間(スキャン時間)内での位置検出が困難になるという問題がある。これは、タッチパネルのサイズが大きくなるほど顕著になり、タッチパネルの画面サイズ(縦×横のサイズで、厚みを含まず)の大型化には限界がある。
【0007】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、透明支持体を有する感光材料への露光処理によって、感光材料の両面に同一パターンや異なったパターンを任意に形成することができ、導電シートの製造工程の簡略化を図ることができると共に、タッチパネル等の電極を容易に形成することができ、しかも、タッチパネル等の薄型化(低背化)を図ることができる導電シートの製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、上述した導電シートの製造方法を使用して、タッチパネルの薄型化を図ると共に、導電シートに形成される電極の時定数を低減することができ、タッチパネルの画面サイズの大型化を図ることができるタッチパネルの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1] 第1の本発明に係る導電シートの製造方法は、透明支持体と、該透明支持体の一方の主面に形成された第1感光層と、前記透明支持体の他方の主面に形成された第2感光層とを有する感光材料を露光し、現像処理して導電シートを製造する導電シートの製造方法において、前記感光材料の露光処理は、前記第1感光層に対し、前記透明支持体に向かって光を照射して前記第1感光層を露光する第1露光処理と、前記第2感光層に対し、前記透明支持体に向かって光を照射して前記第2感光層を露光する第2露光処理とが行われ、且つ、前記第1感光層に照射された光が前記第2感光層に実質的に到達せず、前記第2感光層に照射された光が前記第1感光層に実質的に到達しないように制御して行われることを特徴とする。
[2] 第1の本発明において、前記第1感光層に対する前記第1露光処理と、前記第2感光層に対する前記第2露光処理を同時に行うことを特徴とする。
[3] 第1の本発明において、前記第1感光層での像形成が、前記第2感光層の少なくとも感度により制御され、前記第2感光層での像形成が、前記第1感光層の少なくとも感度により制御されることを特徴とする。
[4] 第1の本発明において、前記第1感光層は、該第1感光層に照射される光の波長域に、光吸収感度を有する材料を有し、前記第2感光層は、該第2感光層に照射される光の波長域に、光吸収感度を有する材料を有することを特徴とする。
[5] 第1の本発明において、前記第1感光層は、第1感光性ハロゲン化銀乳剤層を有し、前記第2感光層は、第2感光性ハロゲン化銀乳剤層を有し、前記第1感光層での像形成が、前記第2感光性ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも塗布銀量により制御され、前記第2感光層での像形成が、前記第1感光性ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも塗布銀量により制御されることを特徴とする。
[6] 第1の本発明において、前記第1感光層は、第1感光性ハロゲン化銀乳剤層を有し、前記第2感光層は、第2感光性ハロゲン化銀乳剤層を有し、前記第1感光層での像形成が、少なくとも前記第2感光性ハロゲン化銀乳剤層に含まれる色素の吸光度により制御され、前記第2感光層での像形成が、少なくとも前記第1感光性ハロゲン化銀乳剤層に含まれる色素の吸光度により制御されることを特徴とする。
[7] 第1の本発明において、前記第1感光層は、第1感光性ハロゲン化銀乳剤層を有し、前記第2感光層は、第2感光性ハロゲン化銀乳剤層を有し、前記第1感光層での像形成が、少なくとも前記第2感光性ハロゲン化銀乳剤層の塗布銀量及び前記第2感光性ハロゲン化銀乳剤層に含まれる色素の吸光度により制御され、前記第2感光層での像形成が、少なくとも前記第1感光性ハロゲン化銀乳剤層の塗布銀量及び前記第1感光性ハロゲン化銀乳剤層に含まれる色素の吸光度により制御されることを特徴とする。
[8] 第1の本発明において、アンチハレーション層を有しない構成であって、前記第1感光性ハロゲン化銀乳剤層及び前記第2感光性ハロゲン化銀乳剤層の塗布銀量が、5g/m2以上、30g/m2以下であることを特徴とする。
[9] 第1の本発明において、前記第1感光層は、第1感光性ハロゲン化銀乳剤層と、該第1感光性ハロゲン化銀乳剤層と前記透明支持体間に形成された第1アンチハレーション層とを有し、前記第2感光層は、第2感光性ハロゲン化銀乳剤層と、該第2感光性ハロゲン化銀乳剤層と前記透明支持体間に形成された第2アンチハレーション層とを有し、前記第1感光層での像形成が、少なくとも前記第1及び第2アンチハレーション層に含まれる色素の吸光度により制御され、前記第2感光層での像形成が、少なくとも前記第1及び第2アンチハレーション層に含まれる色素の吸光度により制御されることを特徴とする。
[10] 第1の本発明において、前記第1感光層は、第1感光性ハロゲン化銀乳剤層と、該第1感光性ハロゲン化銀乳剤層と前記透明支持体間に形成された第1アンチハレーション層とを有し、前記第2感光層は、第2感光性ハロゲン化銀乳剤層と、該第2感光性ハロゲン化銀乳剤層と前記透明支持体間に形成された第2アンチハレーション層とを有し、前記第1感光層での像形成が、少なくとも前記第2感光性ハロゲン化銀乳剤層の塗布銀量及び前記第1及び第2アンチハレーション層に含まれる色素の吸光度により制御され、前記第2感光層での像形成が、少なくとも前記第1感光性ハロゲン化銀乳剤層の塗布銀量及び前記第1及び第2アンチハレーション層に含まれる色素の吸光度により制御されることを特徴とする。
[11] 第1の本発明において、前記第1感光性ハロゲン化銀乳剤層及び前記第2感光性ハロゲン化銀乳剤層の塗布銀量が、3g/m2以上、30g/m2以下であることを特徴とする。
[12] 第1の本発明において、前記第1感光性ハロゲン化銀乳剤層及び前記第2感光性ハロゲン化銀乳剤層の塗布銀量が15g/m2未満であり、前記第1アンチハレーション層及び第2アンチハレーション層への色素の塗布量が50〜250mg/m2であることを特徴とする。
[13] 第1の本発明において、前記第1アンチハレーション層及び第2アンチハレーション層への色素の塗布量が70〜200mg/m2であることを特徴とする。
[14] 第1の本発明において、前記色素の吸光度が、0.1(無単位)以上、1.5(無単位)以下であることを特徴とする。
[15] 第2の本発明に係るタッチパネルの製造方法において、透明支持体と、前記透明支持体の一方の主面に形成された第1導電パターンと、前記透明支持体の他方の主面に形成された第2導電パターンとを有する導電シートを用いたタッチパネルの製造方法において、前記透明支持体の一方の主面に形成された第1感光層と、前記透明支持体の他方の主面に形成された第2感光層とを有する感光材料を露光する露光工程と、露光後の感光材料を現像処理して、前記第1感光層を前記第1導電パターンとし、前記第2感光層を前記第2導電パターンとする現像処理工程とを有し、前記露光工程は、前記第1感光層に対し、前記透明支持体に向かって光を照射して前記第1感光層を露光する第1露光処理と、前記第2感光層に対し、前記透明支持体に向かって光を照射して前記第2感光層を露光する第2露光処理とが行われ、且つ、前記第1感光層に照射された光が前記第2感光層に実質的に到達せず、前記第2感光層に照射された光が前記第1感光層に実質的に到達しないように制御して行われることを特徴とする。
[16] 第2の本発明において、前記第1導電パターンは、第1方向に配列された多数の第1導電パターンとこれら第1導電パターンにつながる多数の第1端子配線パターンとを有し、前記第2導電パターンは、前記第1方向と直交する第2方向に配列された多数の第2導電パターンとこれら第2導電パターンにつながる多数の第2端子配線パターンとを有し、多数の前記第1導電パターンと多数の前記第2導電パターンとが互い違いに重なっている部分がセンサ部を構成し、多数の第1端子配線パターンの部分が第1端子配線部を構成し、多数の第2端子配線パターンの部分が導電シートの第2端子配線部を構成することを特徴とする。
[17] 第2の本発明において、さらに、前記第1端子配線部及び前記第2端子配線部を前記センサ部の裏面側に折り曲げる工程とを有することを特徴とする。
[18] 第2の本発明において、前記第1端子配線部は、多数の前記第1端子配線パターンが外部に導出される部分の辺の長さが、多数の前記第1端子配線パターンが多数の前記第1導電パターンと結合される部分の辺の長さよりも短く、且つ、多数の前記第1導電パターンの配列方向中央から最も離間した両側の第1導電パターンに対応する第1端子配線パターンの長さがほぼ同じであり、前記第2端子配線部は、多数の前記第2端子配線パターンが外部に導出される部分の辺の長さが、多数の前記第2端子配線パターンが多数の前記第2導電パターンと結合される部分の辺の長さよりも短く、且つ、多数の前記第2導電パターンの配列方向中央から最も離間した両側の第2導電パターンに対応する第2端子配線パターンの長さがほぼ同じであることを特徴とする。
[19] 第2の本発明において、前記第1導電パターンは、2以上の導電性の第1大格子と、隣接する前記第1大格子間を電気的に接続する第1接続部とが形成され、前記第2導電パターンは、2以上の導電性の第2大格子と、隣接する前記第2大格子間を電気的に接続する第2接続部とが形成され、前記第1大格子及び前記第2大格子は、それぞれ2以上の小格子が組み合わされて構成され、前記第1導電パターン及び前記第2導電パターンの線幅が1〜20μmであり、前記小格子の一辺の長さが50〜500μmであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明に係る導電シートの製造方法によれば、透明支持体を有する感光材料への露光処理によって、感光材料の両面(表裏)に同一パターンや異なったパターンを任意に、且つ、表裏に対して位置精度よく形成することができ、タッチパネル等の電極を容易に形成することができると共に、タッチパネル等の薄型化(低背化)を図ることができる。
また、本発明に係るタッチパネルの製造方法によれば、上述した導電シートの製造方法を使用して、タッチパネルの薄型化を図ると共に、導電シートに形成される電極の時定数を低減することができ、タッチパネルの画面サイズの大型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態に係る導電シートの製造方法を示すフローチャートである。
【図2】図2Aは作製された感光材料を一部省略して示す断面図であり、図2Bは感光材料に対する両面同時露光を示す説明図であり、図2Cは露光後の感光材料を現像処理して導電シートとした状態を一部省略して示す断面図である。
【図3】第1感光層に照射された光が第2感光層に到達せず、第2感光層に照射された光が第1感光層に到達しないように制御して第1露光処理及び第2露光処理を行っている状態を示す説明図である。
【図4】第1感光層に照射された光が第2感光層に到達し、第2感光層に照射された光が第1感光層に到達した場合の作用を示す説明図である。
【図5】第1感光層に照射された光が第2感光層に到達し、第2感光層に照射された光が第1感光層に到達した場合の導電パターンの乱れを示す説明図である。
【図6】図6Aは第1感光層を第1感光性ハロゲン化銀乳剤層にて構成し、第2感光層を第2感光性ハロゲン化銀乳剤層にて構成した場合の感光材料を一部省略して示す断面図であり、図6Bは第1感光層が第1感光性ハロゲン化銀乳剤層と第1アンチハレーション層とを有し、第2感光層が第2感光性ハロゲン化銀乳剤層と第2アンチハレーション層とを有する感光材料を一部省略して示す断面図である。
【図7】本実施の形態に係る導電シートの製造方法にて作製された導電シートを一部省略して示す断面図である。
【図8】タッチパネルとして使用される導電シートを示す斜視図である。
【図9】図8に示す導電シートを一部省略して示す断面図である。
【図10】図8に示す導電シートのセンサ部において、透明支持体の一方の主面に形成される導電パターンの一例を一部省略して示す斜視図である。
【図11】図10に示す導電パターンを一部省略して示す平面図である。
【図12】図8に示す導電シートのセンサ部において、透明支持体の他方の主面に形成される導電パターンの一例を一部省略して示す斜視図である。
【図13】図12に示す導電パターンを一部省略して示す平面図である。
【図14】図8に示す導電シートのセンサ部を上面から見た例を一部省略して示す平面図である。
【図15】本実施の形態に係るタッチパネルの製造方法を示すフローチャートである。
【図16】図16Aは長尺の感光材料を両面同時露光及び現像処理して長尺の導電シートとした状態を一部省略して示す説明図であり、図16Bは長尺の導電シートを打ち抜いて、複数の導電シートとした状態を一部省略して示す説明図である。
【図17】図17Aは液晶表示パネルの表示画面に導電シートを設置した例を示す説明図であり、図17Bは導電シートの第1端子配線部及び第2端子配線部を折り曲げた状態を一部省略して示す説明図である。
【図18】導電シートの第1端子配線部及び第2端子配線部を折り曲げた状態を一部省略して示す斜視図である。
【図19】図19A及び図19Bは第1実施例及び第2実施例で使用される第1フォトマスク及び第2フォトマスクの露光パターンを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る導電シートの製造方法及びタッチパネルの製造方法の実施の形態例を図1〜図19Bを参照しながら説明する。なお、本明細書において数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
【0012】
本実施の形態に係る導電シートの製造方法について図1〜図7を参照しながら説明する。
先ず、図1のステップS1において、長尺の感光材料100を作製する。感光材料100は、図2Aに示すように、透明支持体102と、該透明支持体102の一方の主面に形成された第1感光層104aと、透明支持体102の他方の主面に形成された第2感光層104bとを有する。
【0013】
図1のステップS2において、感光材料100を露光する。この露光処理では、図2Bに示すように、第1感光層104aに対し、透明支持体102に向かって光を照射して第1感光層104aを第1露光パターンに沿って露光する第1露光処理と、第2感光層104bに対し、透明支持体102に向かって光を照射して第2感光層104bを第2露光パターンに沿って露光する第2露光処理とが行われる(両面同時露光)。図2Bの例では、長尺の感光材料100を一方向に搬送しながら、第1感光層104aに第1光106a(平行光)を第1フォトマスク108aを介して照射すると共に、第2感光層104bに第2光106b(平行光)を第2フォトマスク108bを介して照射する。第1光106aは、第1光源110aから出射された光を途中の第1コリメータレンズ112aにて平行光に変換されることにより得られ、第2光106bは、第2光源110bから出射された光を途中の第2コリメータレンズ112bにて平行光に変換されることにより得られる。図2Bの例では、2つの光源(第1光源110a及び第2光源110b)を使用した場合を示しているが、1つの光源から出射した光を光学系を介して分割して、第1光106a及び第2光106bとして第1感光層104a及び第2感光層104bに照射してもよい。
【0014】
そして、図1のステップS3において、露光後の感光材料100を現像処理することで、図2Cに示すように、導電シート114が作製される。導電シート114は、透明支持体102と、該透明支持体102の一方の主面に形成された第1露光パターンに沿った第1導電層116aと、透明支持体102の他方の主面に形成された第2露光パターンに沿った第2導電層116bとを有する。なお、第1感光層104a及び第2感光層104bの露光時間及び現像時間は、第1光源110a及び第2光源110bの種類や現像液の種類等で様々に変化するため、好ましい数値範囲は一概に決定することができないが、現像率が100%となる露光時間及び現像時間に調整されている。また、第1導電層116a及び第2導電層116bに、さらに物理現像及び/又はめっき処理を施すことによって第1導電層116a及び第2導電層116bに導電性金属を担持させるようにしてもよい。
【0015】
そして、本実施の形態に係る製造方法のうち、第1露光処理は、図3に示すように、第1感光層104a上に第1フォトマスク108aを例えば密着配置し、該第1フォトマスク108aに対向して配置された第1光源110aから第1フォトマスク108aに向かって第1光106aを照射することで、第1感光層104aを露光する。第1フォトマスク108aは、透明なソーダガラスで形成されたガラス基板と、該ガラス基板上に形成されたマスクパターン(第1露光パターン118a)とで構成されている。従って、この第1露光処理によって、第1感光層104aのうち、第1フォトマスク108aに形成された第1露光パターン118aに沿った部分が露光される。第1感光層104aと第1フォトマスク108aとの間に2〜10μm程度の隙間を設けてもよい。
【0016】
同様に、第2露光処理は、第2感光層104b上に第2フォトマスク108bを例えば密着配置し、該第2フォトマスク108bに対向して配置された第2光源110bから第2フォトマスク108bに向かって第2光106bを照射することで、第2感光層104bを露光する。第2フォトマスク108bは、第1フォトマスク108aと同様に、透明なソーダガラスで形成されたガラス基板と、該ガラス基板上に形成されたマスクパターン(第2露光パターン118b)とで構成されている。従って、この第2露光処理によって、第2感光層104bのうち、第2フォトマスク108bに形成された第2露光パターン118bに沿った部分が露光される。この場合、第2感光層104bと第2フォトマスク108bとの間に2〜10μm程度の隙間を設けてもよい。
第1露光処理及び第2露光処理は、第1光源110aからの第1光106aの出射タイミングと、第2光源110bからの第2光106bの出射タイミングを同時にしてもよいし、異ならせてもよい。同時であれば、1度の露光処理で、第1感光層104a及び第2感光層104bを同時に露光することができ、処理時間の短縮化を図ることができる。
【0017】
そして、本実施の形態においては、図3に示すように、第1感光層104aに照射された第1光源110aからの第1光106aが第2感光層104bに実質的に到達せず、第2感光層104bに照射された第2光源110bからの第2光106bが第1感光層104aに実質的に到達しないように制御して行われる。ここで、「実質的に到達しない」とは、光が到達しない場合や、光は到達しているが、現像で結像しない光量である場合を示す。従って、「光が到達する」とは、現像で結像する程度の光量の光が到達することを示す。
第1感光層104aに照射された第1光源110aからの第1光106aが第2感光層104bに到達し、第2感光層104bに照射された第2光源110bからの第2光106bが第1感光層104aに到達した場合は、以下のような問題が生じる。
【0018】
すなわち、図4に示すように、第1感光層104aに到達した第1光源110aからの第1光106aは、第1感光層104a中のハロゲン化銀粒子にて散乱し、散乱光として透明支持体102を透過し、その一部が第2感光層104bにまで達する。そうすると、第2感光層104bと透明支持体102との境界部分が広い範囲にわたって露光され、潜像120が形成される。そのため、第2感光層104bでは、第2光源110bからの第2光106bによる露光と第1光源110aからの第1光106aによる露光が行われてしまい、その後の現像処理にて導電シートとした場合に、図5に示すように、第2露光パターン118bによる第2導電層116bに加えて、該第2導電層116b間に第1光源110aからの第1光106aによる薄い導電層122が形成されてしまい、所望のパターン(第2露光パターン118bに沿ったパターン)を得ることができない。
【0019】
これは、第1感光層104aにおいても同様であり、図4に示すように、第2感光層104bに到達した第2光源110bからの第2光106bは、第2感光層104b中のハロゲン化銀粒子にて散乱し、散乱光として透明支持体102を透過し、その一部が第1感光層104aにまで達する。そうすると、第1感光層104aと透明支持体102との境界部分が広い範囲にわたって露光され、潜像120が形成される。そのため、第1感光層104aでは、第1光源110aからの第1光106aによる露光と第2光源110bからの第2光106bによる露光が行われてしまい、その後の現像処理を経ると、図5に示すように、第1露光パターン118aによる第1導電層116aに加えて、該第1導電層116a間に第2光源110bからの第2光106bによる薄い導電層122が形成されてしまい、所望のパターン(第1露光パターン118aに沿ったパターン)を得ることができない。
【0020】
この導電シートを例えばタッチパネル用の導電シートとして使用した場合、液晶表示パネルの表示画面から表示される画像が薄い導電層122によって遮られてしまい、タッチパネルとして機能しなくなるおそれがある。
そこで、本実施の形態では、第1感光層104aに照射された第1光源110aからの第1光106aが第2感光層104bに実質的に到達せず、第2感光層104bに照射された第2光源110bからの第2光106bが第1感光層104aに実質的に到達しないように制御する。
【0021】
ここで、第1感光層104aに照射された第1光106aが第2感光層104bに実質的に到達せず、第2感光層104bに照射された第2光106bが第1感光層104aに実質的に到達しないように制御する方法を説明する。
先ず、第1感光層104aでの像形成を、第2感光層104bの少なくとも感度により制御し、第2感光層104bでの像形成を、第1感光層104aの少なくとも感度により制御する。
この場合、例えば第1感光層104aに、第1光106aの波長域に、光吸収感度を有する材料を設け、第2感光層104bに、第2光106bの波長域に、光吸収感度を有する材料を設けるようにしてもよい。
【0022】
特に、図6Aに示すように、第1感光層104aが第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124aにて構成され、第2感光層104bが第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bにて構成されている場合は、以下の(1−a)〜(1−c)に示す方法が挙げられる。
(1−a) 第1感光層104aでの像形成に影響する第2光106bの照射エネルギー吸収量を、第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bの少なくとも塗布銀量により制御し、第2感光層104bでの像形成に影響する第1光106aの照射エネルギー吸収量を、第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124aの少なくとも塗布銀量により制御する。
(1−b) 第1感光層104aでの第2光106bの照射エネルギー吸収量を、少なくとも第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bに含まれる色素の吸光度により制御し、第2感光層104bでの第1光106aの照射エネルギー吸収量を、少なくとも第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124aに含まれる色素の吸光度により制御する。
(1−c) 第1感光層104aでの第2光106bの照射エネルギー吸収量を、少なくとも第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bの塗布銀量及び第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bに含まれる色素の吸光度により制御し、第2感光層104bでの第1光106aの照射エネルギー吸収量を、少なくとも第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124aの塗布銀量及び第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124aに含まれる色素の吸光度により制御する。
【0023】
また、図6Bに示すように、第1感光層104aが、第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124aと、該第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124aと透明支持体102間に形成された第1アンチハレーション層126aとを有し、第2感光層104bが、第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bと、該第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bと透明支持体102間に形成された第2アンチハレーション層126bとを有する場合は、以下の(2−a)及び(2−b)に示す方法が挙げられる。
(2−a) 第1感光層104aでの像形成に影響する第2光106bの照射エネルギー吸収量を、少なくとも第1アンチハレーション層126a及び第2アンチハレーション層126bに含まれる色素の吸光度により制御し、第2感光層104aでの像形成に影響する第1光106aの照射エネルギー吸収量を、少なくとも第1アンチハレーション層126a及び第2アンチハレーション層126bに含まれる色素の吸光度により制御する。
(2−b) 第1感光層104aでの第2光106bの照射エネルギー吸収量を、少なくとも第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bの塗布銀量、並びに第1アンチハレーション層126a及び第2アンチハレーション層126bに含まれる色素の吸光度により制御し、第2感光層104bでの第1光106aの照射エネルギー吸収量を、少なくとも第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124aの塗布銀量、並びに第1アンチハレーション層126a及び第2アンチハレーション層126bに含まれる色素の吸光度により制御する。
【0024】
そして、第1アンチハレーション層126a及び第2アンチハレーション層126bを有しない場合(上述した(1−a)〜(1−c)参照)、第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124a及び第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bの塗布銀量は、銀に換算して5g/m2以上、30g/m2以下であることが好ましく、さらに好ましくは7g/m2以上、20g/m2以下、より好ましくは10g/m2以上、20g/m2以下である。
第1アンチハレーション層126a及び第2アンチハレーション層126bを有する場合(上述した(2−a)〜(2−b)参照)、第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124a及び第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bの塗布銀量は、銀に換算して3g/m2以上、30g/m2以下であることが好ましく、より好ましくは3g/m2以上、20g/m2以下、さらに好ましくは3g/m2以上、15g/m2以下、さらに好ましくは3g/m2以上、9g/m2以下である。この場合、前記塗布銀量が、銀で換算して15g/m2未満であれば、第1アンチハレーション層126a及び第2アンチハレーション層126bへの色素や光吸収染料の塗布量は50〜250mg/m2であることが好ましく、70〜200mg/m2であることがさらに好ましい。
また、上述した(1−b)、(1−c)、(2−a)及び(2−b)において、色素の吸光度は、0.1(無単位)以上、1.5(無単位)以下であることが好ましく、さらに好ましくは、0.2(無単位)以上、1.0(無単位)以下である。なお、色素や光吸収染料は、その後の現像処理にて除去される。また、単位時間当たりの露光量は、第1光源110a及び第2光源110bにそれぞれ設置された減光フィルタ(NDフィルタ)の濃度で制御され、適正な露光条件を得る。
【0025】
このように制御することによって、図3に示すように、第1感光層104aに到達した第1光源110aからの第1光106aは、第2感光層104bまで達しなくなり、同様に、第2感光層104bに到達した第2光源110bからの第2光106bは、第1感光層104aまで達しなくなり、その結果、その後の現像処理にて導電シート114とした場合に、図7に示すように、透明支持体102の一方の主面には第1露光パターン118aによる第1導電層116aのみが形成され、透明支持体102の他方の主面には第2露光パターン118bによる第2導電層116bのみが形成されることとなり、所望のパターンを得ることができる。
このように、1つの透明支持体102への露光処理によって、透明支持体102の両面(表裏)に同一パターンや異なったパターンを任意に、且つ、表裏に対して位置精度よく形成することができ、これにより、例えばタッチパネル等の電極を容易に形成することができると共に、タッチパネル等の薄型化(低背化)を図ることができる。
【0026】
次に、本実施の形態に係る導電シートの製造方法を使用した本実施の形態に係るタッチパネルの製造方法について図8〜図18を参照しながら説明する。先ず、本実施の形態に係るタッチパネルの製造方法にて作製されるタッチパネルの構成について図8〜図14を参照しながら説明する。
最初に、タッチパネルとして使用される導電シート10の構成について説明すると、この導電シート10は、図8及び図9に示すように、1つの透明支持体102に第1導電層116aと第2導電層116bによるセンサ部150と第1端子配線部152aと第2端子配線部152bとが一括露光、現像にて形成されている。図8においてセンサ部150の導電パターンは細かすぎるため、図示を省略し、図10以降に示した。また、第1端子配線部152a及び第2端子配線部152bの導電パターンも一部の図示を省略してある。
【0027】
センサ部150について図10〜図14を参照しながら説明する。センサ部150は、図10に示すように、透明支持体102の一方の主面102a(例えば上面)に、2以上の導電性の第1大格子16Aが形成されている。各第1大格子16Aは、それぞれ2以上の小格子18(図11参照)が組み合わされて構成され、各第1大格子16Aの辺の周囲に、第1大格子16Aと非接続とされた第1ダミーパターン20A(第1非接続パターン)が形成されている。また、隣接する第1大格子16A間には、これら第1大格子16Aを電気的に接続する第1接続部22Aが形成されている。第1接続部22Aは、小格子18のn倍(nは1より大きい実数)のピッチを有する1以上の中格子24(24a〜24d)が配置されて構成されている。小格子18は、ここでは一番小さい正方形状とされている。
【0028】
第1大格子16Aの一辺の長さは、3〜10mmであることが好ましく、4〜6mmであることがより好ましい。一辺の長さが、上記下限値未満であると、導電シート10を例えばタッチパネルに利用した場合に、検出時の第1大格子16Aの静電容量が減るため、検出不良になる可能性が高くなる。他方、上記上限値を超えると、位置検出精度が低下する虞がある。同様の観点から、第1大格子16Aを構成する小格子18の一辺の長さは50〜500μmであることが好ましく、150〜300μmであることがさらに好ましい。小格子18が上記範囲である場合には、さらに透明性も良好に保つことが可能であり、表示装置の前面にとりつけた際に、違和感なく表示を視認することができる。
さらに、2以上の第1大格子16Aが第1接続部22Aを介してx方向(第1方向)に配列されて1つの第1導電パターン26Aが構成され、2以上の第1導電パターン26Aがx方向と直交するy方向(第2方向)に配列され、隣接する第1導電パターン26A間は電気的に絶縁された第1絶縁部28Aが配されている。
【0029】
一方、図12に示すように、透明支持体102の他方の主面102b(裏面)には、2以上の導電性の第2大格子16Bが形成され、各第2大格子16Bは、それぞれ2以上の小格子18(図13参照)が組み合わされて構成され、各第2大格子16Bの辺の周囲に、第2大格子16Bと非接続とされた第2ダミーパターン20B(第2非接続パターン)が形成されている。また、隣接する第2大格子16B間には、これら第2大格子16Bを電気的に接続する第2接続部22Bが形成されている。第2接続部22Bは、小格子18のn倍(nは1より大きい実数)のピッチを有する1以上の中格子24(24e〜24h)が配置されて構成されている。第2大格子16Bの一辺の長さについても、上述した第1大格子16Aと同様に、3〜10mmであることが好ましく、4〜6mmであることがより好ましい。
【0030】
さらに、2以上の第2大格子16Bが第2接続部22Bを介してy方向(第2方向)に配列されて1つの第2導電パターン26Bが構成され、2以上の第2導電パターン26Bがx方向(第1方向)に配列され、隣接する第2導電パターン26B間は電気的に絶縁された第2絶縁部28Bが配されている。
ここで、透明支持体102の一方の主面102aに形成される第1導電層116a及び透明支持体102の他方の主面12bに形成される第2導電層116bのうち、センサ部150の導電パターンの一具体例を説明する。
【0031】
すなわち、透明支持体102の一方の主面102aに形成されるセンサ部150のパターンは、図11に示すように、第1大格子16Aの4つの辺部、すなわち、隣接する第1大格子16Aと接続していない一方の頂点30aに隣接する第1辺部32a及び第2辺部32b、並びに隣接する第1大格子16Aと接続していない他方の頂点30bに隣接する第3辺部32c及び第4辺部32dは、それぞれ直線形状を有する。換言すれば、第1辺部32aの直線形状と第2辺部32bの直線形状との境界部分が第1大格子16Aの一方の頂点30aを構成し、第3辺部32cの直線部分と第4辺部32dの直線部分との境界部分が第1大格子16Aの他方の頂点30bを構成している。
【0032】
第1接続部22Aは、4つ分の小格子18を含む大きさを有する中格子24が4つ(第1中格子24a〜第4中格子24d)、ジグザグ状に配列された形状を有する。すなわち、第1中格子24aは、第2辺部32bと第4辺部32dとの境界部分に存在し、1つの小格子18とL字状の空間が形成された形状を有する。第2中格子24bは、第1中格子24aの1つ辺に隣接し、正方形状の空間が形成された形状、すなわち、4つ分の小格子18をマトリクス状に配列し、中央の十字を取り外したような形状を有する。第3中格子24cは、第1中格子24aの1つの頂点に隣接すると共に、第2中格子24bの1つの辺に隣接して配され、第2中格子24bと同様の形状を有する。第4中格子24dは、第3辺部32cと第1辺部32aとの境界部分に存在し、第2中格子24bの1つの頂点に隣接すると共に、第3中格子24cの1つの辺に隣接して配され、第1中格子24aと同様に、1つの小格子18とL字状の空間が形成された形状を有する。そして、小格子18の配列ピッチをPとしたとき、中格子24の配列ピッチは2Pの関係を有している。
【0033】
また、第1大格子16Aの4つの辺部(第1辺部32a〜第4辺部32d)の周辺には、それぞれ上述した第1ダミーパターン20Aが形成されており、各第1ダミーパターン20Aは、それぞれ小格子18の一部を除去した形状が2以上、対応する辺部(直線形状)に沿って配列された形状を有する。図3の例では、小格子18の1つの辺を除去した形状(略U字状であって、2つの屈曲部を有し、且つ、1つの開口を有する形状:便宜的に略U字形状と記す)が、開口の部分を、第1大格子16Aの対応する辺部に対して反対方向に向けて、10個配列され、その配列ピッチが、第1大格子16Aの小格子18の配列ピッチPの2倍とされた例を示している。また、例えば第1辺部32aの直線形状から第1ダミーパターン20Aの略U字形状までの最短距離は、小格子18の内周側の1つの辺の長さとほぼ同一とされている。これは、第2辺部32b〜第4辺部32dにおいても同様である。
【0034】
また、第1絶縁部28Aには、第1大格子16Aと非接続とされた第1絶縁パターン34Aが形成されている。この第1絶縁パターン34Aは、2以上の小格子18が配列された第1集合パターン部36aと、小格子18が存在しない3つの空白部38(38a〜38c)とを有する。
具体的には、第1集合パターン部36aは、複数の小格子18による4つの直線部分(2つの長い直線部分と2つの短い直線部分)が組み合わされて構成されている。各直線部分は、複数の小格子18がそれぞれ頂点を結ぶように配列されて構成されている。3つの空白部38は、第1絶縁部28Aを間に挟んで隣接する2つの第1大格子16A及び第2大格子16Bに注目したとき、第1集合パターン部36aにて囲まれた小格子18の存在しない第1空白部38aと、一方の第1大格子16Aにおける他方の頂点30a付近の小格子18が存在しない第2空白部38bと、他方の第1大格子16Aにおける一方の頂点30a付近の小格子18が存在しない第3空白部38cとで構成される。
【0035】
4つの直線部分のうち、2つの長い直線部分は、それぞれ例えば7つの小格子18がそれぞれ頂点を結ぶように配列されて構成され、一方の長い直線部分の一端に位置する小格子18は、一方の第1大格子16Aの第3辺部32cに沿って配列された第1ダミーパターン20Aに対して、一方の第1大格子16Aの他方の頂部30b側に同一ピッチで隣接した位置に配され、他端に位置する小格子18は、他方の第1大格子16Aの第1辺部32aに沿って配列された第1ダミーパターン20Aに対して、他方の第1大格子16Aの一方の頂部30a側に同一ピッチで隣接した位置に配されている。同様に、他方の長い直線部分の一端に位置する小格子18は、一方の第1大格子16Aの第4辺部32dに沿って配列された第1ダミーパターン20Aに対して、一方の第1大格子16Aの他方の頂部30b側に同一ピッチで隣接した位置に配され、他端に位置する小格子18は、他方の第1大格子16Aの第2辺部32bに沿って配列された第1ダミーパターン20Aに対して、他方の第1大格子16Aの一方の頂部30a側に同一ピッチで隣接した位置に配されている。
【0036】
2つの短い直線部分のうち、一方の短い直線部分は、一方の長い直線部分における一端から2番目の小格子18と、他方の長い直線部分における一端から2番目の小格子18とを結ぶ2つの小格子18にて構成されている。同様に、他方の短い直線部分は、一方の長い直線部分における他端から2番目の小格子18と、他方の長い直線部分における他端から2番目の小格子18とを結ぶ2つの小格子18にて構成されている。
そして、小格子18の配列ピッチをPとし、隣接する第1導電パターン26A間の最短距離、すなわち、一方の第1大格子16Aの他方の頂点30bと他方の第1大格子16Aの一方の頂点30aとの間の距離を、第1絶縁部28Aの幅と定義したとき、第1絶縁部28Aの幅はmP(mは1以上の整数)であり、且つ、第1絶縁パターン34Aのうち、第1絶縁部28Aの幅の方向の部分の最大長さ、すなわち、一方の短い直線部分のうち、一方の第1大格子16Aの他方の頂点30bと対向する部分と、他方の短い直線部分のうち、他方の第1大格子16Aの一方の頂点30aと対向する部分との間の距離はmP以下である。
【0037】
上述のように構成された導電パターンは、図10に示すように、各第1導電パターン26Aの一方の端部側に存在する第1大格子16Aの開放端は、第1接続部22Aが存在しない形状となっている。各第1導電パターン26Aの他方の端部側に存在する第1大格子16Aの端部は、第1結線部40aを介して第1端子配線部152aの対応する第1端子配線パターン42aに電気的に接続されている。
一方、透明支持体102の他方の主面102bに形成されるセンサ部150のパターンの第2大格子16Bは、図13に示すように、上述した第1大格子16Aと異なり、略八角形の形状を有し、4つの短辺44(第1短辺44a〜第4短辺44d)と4つの長辺46(第1長辺46a〜第4長辺46d)とを有する。第2接続部22Bは、y方向に隣接する一方の第2大格子16Bの第1短辺44aと他方の第2大格子16Bの第2短辺44bとの間に形成され、第2絶縁部28Bは、x方向に隣接する一方の第2大格子16Bの第3短辺44cと他方の第2大格子16Bの第4短辺44dとの間に配されている。
【0038】
第2大格子16Bの4つの長辺、すなわち、一方の第2絶縁部28Bと対向する第3短辺44cに隣接する第1長辺46a及び第2長辺46b、並びに他方の第2絶縁部28Bと対向する第4短辺44dに隣接する第3長辺46c及び第4長辺46dは、それぞれ直線形状を有する。
第2接続部22Bは、4つ分の小格子18を含む大きさを有する中格子24が4つ(第5中格子24e〜第8中格子24h)、ジグザグ状に配列された形状を有する。すなわち、第5中格子24eは、第1短辺44aに存在し、1つの小格子18とL字状の空間が形成された形状を有する。第6中格子24fは、第5中格子24eの1つ辺に隣接し、正方形状の空間が形成された形状、すなわち、4つ分の小格子18をマトリクス状に配列し、中央の十字を取り外したような形状を有する。第7中格子24gは、第5中格子24eの1つの頂点に隣接すると共に、第6中格子24fの1つの辺に隣接して配され、第6中格子24fと同様の形状を有する。第8中格子24hは、第2短辺44bに存在し、第6中格子24fの1つの頂点に隣接すると共に、第7中格子24gの1つの辺に隣接して配され、第5中格子24eと同様に、1つの小格子18とL字状の空間が形成された形状を有する。そして、小格子18の配列ピッチをPとしたとき、中格子24の配列ピッチは2Pの関係を有している。
【0039】
また、第2大格子16Bの4つの長辺46(第1長辺46a〜第4長辺46d)の周辺には、それぞれ上述した第2ダミーパターン20Bが形成されており、各第2ダミーパターン20Bは、それぞれ小格子18の一部を除去した形状が2以上、対応する辺部(直線形状)に沿って配列された形状を有する。図4の例では、小格子18の1つの辺を除去した形状(略U字形状)が、開口の部分を、第2大格子16Bの対応する長辺に対して反対方向に向けて、10個配列され、その配列ピッチが、第2大格子16Bの小格子18の配列ピッチPの2倍とされた例を示している。また、例えば第1長辺46aの直線形状から第2ダミーパターン20Bの略U字形状までの最短距離は、小格子18の内周側の1つの辺の長さとほぼ同一とされている。これは、第2長辺46b〜第4長辺46dにおいても同様である。
【0040】
また、第2絶縁部28Bには、第2大格子16Bと非接続とされた第2絶縁パターン34Bが形成されている。この第2絶縁パターン34Bは、2以上の小格子18が配列された第2集合パターン部36bと、それぞれ2つの略U字形状で構成された第1屈曲パターン部48a及び第2屈曲パターン部48bと、小格子18が存在しない1つの空白部(第4空白部38d)とを有する。
具体的には、第2集合パターン部36bは、図11に示した第1導電パターン26Aにおける第1絶縁パターン34Aの第1空白部38aに収まる数(例えば6つ)の小格子18がそれぞれ頂点を結ぶようにマトリクス状に配列されて構成されている。
第1屈曲パターン部48aは、第2絶縁パターン34Bの一方の端部(一方の第2大格子16Bにおける第4短辺44dと第3長辺46cとの境界と、他方の第2大格子16Bにおける第3短辺44cと第1長辺46aとの境界との間)に形成された2つの略U字形状にて構成され、これら2つの略U字形状は一端で連結され、且つ、該一端での各辺のなす角がほぼ90°とされている。
【0041】
同様に、第2屈曲パターン部48bは、第2絶縁パターン34Bの他方の端部(一方の第2大格子16Bにおける第4短辺44dと第4長辺46dとの境界と、他方の第2大格子16Bにおける第3短辺44cと第2長辺46bとの境界との間)に形成された2つの略U字形状にて構成され、これら2つの略U字形状は一端で連結され、且つ、該一端での各辺のなす角がほぼ90°とされている。
第4空白部38dは、図11に示す第1絶縁パターン34Aの第1集合パターン部36aを構成する4つの直線部分が収まる形状の空白領域(小格子18が存在しない領域)にて構成されている。
そして、小格子18の配列ピッチをPとし、隣接する第2導電パターン26B間の最短距離、すなわち、一方の第2大格子16Bの第4短辺44dと他方の第2大格子16Bの第3短辺44cとの間の距離を、第2絶縁部28Bの幅と定義したとき、第2絶縁部28Bの幅はnP(nは1以上の整数)であり、且つ、第2絶縁パターン34Bのうち、第2絶縁部28Bの幅の方向の部分の最大長さ、すなわち、第2集合パターン部36bのうち、一方の第2大格子16Bの第4短辺44dと対向する部分と、他方の第2大格子16Bの第3短辺44cと対向する部分との間の距離は、nP以下、好ましくはnP未満である。
【0042】
上述のように構成された導電パターンは、図12に示すように、各第2導電パターン26Bの一方の端部側に存在する第2大格子16Bの開放端は、第2接続部22Bが存在しない形状となっている。各第2導電パターン26Bの他方の端部側に存在する第2大格子16Bの端部は、第2結線部40bを介して第2端子配線部152bの対応する第2端子配線パターン42bに電気的に接続されている。
そして、センサ部150における透明支持体102の一方の主面102aに形成された第1導電層116aのパターンと、他方の主面102bに形成されたダ2導電層116bのパターンとの位置関係をみると、図14に示すように、第1導電パターン26Aの第1接続部22Aと第2導電パターン26Bの第2接続部22Bとが透明支持体102を間に挟んで対向し、第1導電パターン26Aの第1絶縁部28Aと第2導電パターン26Bの第2絶縁部28Bとが透明支持体102を間に挟んで対向した形態となる。なお、第1導電パターン26Aと第2導電パターン26Bの各線幅は同じであるが、図14では、第1導電パターン26Aと第2導電パターン26Bの位置がわかるように、第1導電パターン26Aの線幅を太く、第2導電パターン26Bの線幅を細くして誇張して図示してある。
【0043】
センサ部150を上面から見たとき、第1大格子16Aの隙間を埋めるように、第2大格子16Bが配列された形態となる。つまり、大格子が敷き詰められた形態となる。このとき、第1大格子16Aと第2大格子16Bとの間に、第1ダミーパターン20Aと第2ダミーパターン20Bとが対向することによる組合せパターンが形成される。第1大格子16Aの例えば第1辺部32aと該第1辺部32aと対向する第2大格子16Bの第2長辺46bとの最短距離を透明支持体102の一方の主面102aに投影した距離を、組合せパターンの幅と定義したとき、該組合せパターンの幅は、小格子18の辺の長さの1倍以上の長さを有する。図14の例では、組合せパターンの幅は、小格子18の辺の長さの2倍の長さを有する。これは、第1大格子16Aの第2辺部32b〜第4辺部32dと、第2大格子16Bの第2長辺46b〜第4長辺46dとの関係も同様である。
【0044】
従って、第1大格子16Aの第1ダミーパターン20Aにおける複数の略U字形状の各開口が第2大格子16Bの長辺の各直線形状にて接続されたような形状になると共に、複数の略U字形状の各底部間が第2大格子16Bの第2ダミーパターン20Bにおける複数の略U字形状の各底部にて接続されたような形状になり、同様に、第2大格子16Bの第2ダミーパターン20Bにおける複数の略U字形状の各開口が第1大格子16Aの長辺の各直線形状にて接続されたような形状になると共に、複数の略U字形状の各底部間が第1大格子16Aの第1ダミーパターン20Aにおける複数の略U字形状の各底部にて接続されたような形状になって、結果的に複数の小格子18が配列された形態となり、第1大格子16Aと第2大格子16Bとの境界をほとんど見分けることができない状態となる。
【0045】
ここで、例えば第1ダミーパターン20A及び第2ダミーパターン20Bを形成しなかった場合は、組合せパターンの幅に相当する空白領域が形成され、これにより、第1大格子16Aの境界、第2大格子16Bの境界が目立ってしまい、視認性が劣化するという問題が生じる。これを避けるために、第1大格子16Aの各辺部に第2大格子16Bの長辺を重ねて、空白領域をなくすことも考えられるが、重ね合わせの位置精度の僅かなズレにより、直線形状同士の重なり部分の幅が大きくなり(線太り)、これにより、第1大格子16Aと第2大格子16Bとの境界が目立ってしまい、視認性が劣化するという問題が生じる。
【0046】
これに対して、本実施の形態では、上述したように、第1ダミーパターン20Aと第2ダミーパターン20Bとの重なりにより、第1大格子16Aと第2大格子16Bとの境界が目立たなくなり、視認性が向上する。
また、第1接続部22Aと第2接続部22Bとが対向した部分を上面から見たとき、第2接続部22Bの第5中格子24eと第7中格子24gとの交点が第1大格子16Aの第2中格子24bのほぼ中心に位置し、第2接続部22Bの第6中格子24fと第8中格子24hとの交点が第1大格子16Aの第3中格子24cのほぼ中心に位置することとなり、これら第1中格子24a〜第8中格子24hの組み合わせによって、複数の小格子18が形成された形態となる。すなわち、第1接続部22Aと第2接続部22Bとが対向した部分に、第1接続部22Aと第2接続部22Bの組み合わせによって、複数の小格子18が配列された形態となり、周りの第1大格子16Aを構成する小格子18や第2大格子16Bを構成する小格子18と見分けがつかなくなり、視認性が向上する。
【0047】
また、第1絶縁部28Aの第1絶縁パターン34Aと第2絶縁部28Bの第2絶縁パターン34Bとが対向した部分を上面から見たとき、第1絶縁パターン34Aの第1集合パターン部36aと第2絶縁パターン34Bの第4空白部38dとが対向すると共に、第1絶縁パターン34Aの第1空白部38aと第2絶縁パターン34Bの第2集合パターン部36bとが対向する。また、第1絶縁パターン34Aの第2空白部38bと第2絶縁パターン34Bの第1屈曲パターン部48aとが対向すると共に、第1絶縁パターン34Aの第3空白部38cと第2絶縁パターン34Bの第2屈曲パターン部48bとが対向することとなり、このとき、第1屈曲パターン部48aの各開口が第1大格子16Aの第3辺部32cと第4辺部32dの各直線形状(他方の頂点30b近傍の各直線形状)で接続されたような形状となり、第2屈曲パターン部48bの各開口が第1大格子16Aの第1辺部32aと第2辺部32bの各直線形状(一方の頂点30a近傍の各直線形状)で接続されたような形状となる。これにより、第1絶縁パターン34Aと第2絶縁パターン34Bとの組み合わせによって、複数の小格子18が形成された形態となる。その結果、周りの第1大格子16Aを構成する小格子18や第2大格子16Bを構成する小格子18と見分けがつかなくなり、視認性が向上する。
【0048】
そして、この導電シート10をタッチパネルとして構成する場合は、導電パターンが形成されたセンサ部150、第1端子配線部152a及び第2端子配線部152b上に保護層を形成し、センサ部150の多数の第1導電パターン26Aから第1端子配線部152aに導出された第1端子配線パターン42aと、センサ部150の多数の第2導電パターン26Bから第2端子配線部152bに導出された第2端子配線パターン42bとを、コネクタを介して例えば位置演算を行うIC回路に接続する。
指先を保護層上に接触させることで、指先に対向する第1導電パターン26Aと第2導電パターン26Bからの信号がIC回路に伝達される。IC回路では、供給された信号に基づいて指先の位置を演算する。従って、同時に2つの指先を接触させても、各指先の位置を検出することが可能となる。
【0049】
上述の導電シート10では、小格子18の形状を正方形状としたが、その他、多角形状としてもよい。また、一辺の形状を直線状のほか、湾曲形状でもよいし、円弧状にしてもよい。円弧状とする場合は、例えば対向する2辺については、外方に凸の円弧状とし、他の対向する2辺については、内方に凸の円弧状としてもよい。また、各辺の形状を、外方に凸の円弧と内方に凸の円弧が連続した波線形状としてもよい。もちろん、各辺の形状を、サイン曲線にしてもよい。
上述した導電シート10においては、第1接続部22A及び第2接続部22Bを構成する中格子24の配列ピッチを小格子18の配列ピッチPの2倍に設定したが、その他、1.5倍、3倍等、中格子の数に応じて任意に設定することができる。中格子24の配列ピッチは、その間隔が狭すぎたり、大きすぎたりすると、第1大格子16Aや第2大格子16Bの配置が難しくなり、見栄えが悪くなることがあることから、小格子18の配列ピッチPの1〜10倍が好ましく、1〜5倍がより好ましい。
また、小格子18のサイズ(1辺の長さや対角線の長さ等)や、第1大格子16Aを構成する小格子18の個数、第2大格子16Bを構成する小格子18の個数も、適用されるタッチパネルのサイズや分解能(配線数)に応じて適宜設定することができる。
【0050】
次に、上述した本実施の形態に係るタッチパネルの製造方法について図2A〜図3、図8、図10、図12、図15〜図18を参照しながら説明する。
先ず、図15のステップS101において、長尺の感光材料100を作製する。感光材料100は、図2Aに示すように、長尺の透明支持体102と、該透明支持体102の一方の主面に形成された第1感光層104aと、透明支持体102の他方の主面に形成された第2感光層104bとを有する。
ステップS102において、感光材料100を露光する。この露光処理では、図2B及び図3に示すように、長尺の感光材料100の一方の主面に第1フォトマスク108aを配置すると共に、感光材料100の他方の主面に第2フォトマスク108bを配置し、さらに、感光材料100を一方向に搬送しながら、第1感光層104aに対し、第1光源110aから透明支持体102に向かって第1光106aを照射して第1感光層104aを露光する(第1露光処理)と同時に、第2感光層104bに対し、第2光源110bから透明支持体102に向かって第2光106bを照射して第2感光層104bを露光する(第2露光処理)。
【0051】
この第1露光処理及び第2露光処理によって、第1感光層104aのうち、第1フォトマスク108aに形成された第1露光パターン118aに沿った部分が露光され、第2感光層104bのうち、第2フォトマスク108bに形成された第2露光パターン118bに沿った部分が露光される。このとき、上述と同様に、第1光源110aからの第1光106aが第2感光層104bに到達せず、第2光源110bからの第2光106bが第1感光層104aに到達しないように制御して行われる。
ステップS103において、露光後の感光材料100を現像処理することで、図2Cに示すように、長尺の導電シート114が作製される。すなわち、現像処理によって、透明支持体102の一方の主面102aに第1露光パターン118aに沿った第1導電層116aのパターンが形成され、透明支持体102bの他方の主面102bに第2露光パターン118bに沿った第2導電層116bのパターンが形成される。
【0052】
第1導電層116aのパターンは、図10及び図16Aに示すように、多数の第1導電パターン26Aとこれら第1導電パターン26Aにつながる多数の第1端子配線パターン42aとを1組とするパターン(図8において、透明支持体102の一方の主面102aに形成されたパターンであって、1つのタッチパネルを構成する第1パターン)が一方向に複数組配列されたパターンを有し、第2導電層116bのパターンは、図12及び図16Aに示すように、多数の第2導電パターン26Bとこれら第2導電パターン26Bにつながる多数の第2端子配線パターン42bとを1組とするパターン(図8において、透明支持体102の一方の主面102aに形成されたパターンであって、1つのタッチパネルを構成する第2パターン)が一方向に複数組配列されたパターンを有する。図16Aにおいて、1つのタッチパネルを構成する第1パターンと第2パターンとで構成される外形形状(図8参照)を二点鎖線にて示し、この二点鎖線で示す部分が後に図8の導電シート10になる。
【0053】
その後、ステップS104において、長尺の導電シート114を打ち抜き加工して、図16Bに示すように、センサ部150と第1端子配線部152aと第2端子配線部152bとを有する複数の導電シート10を得る。すなわち、導電シート10のうち、多数の第1導電パターン26Aと多数の第2導電パターン26Bとが互い違いに重なっている部分がセンサ部150を構成し、多数の第1端子配線パターン42a(図10参照)が形成された部分が第1端子配線部152aを構成し、多数の第2端子配線パターン42b(図12参照)が形成された部分が第2端子配線部152bを構成する。
【0054】
そして、図8に示すように、第1端子配線部152aは、多数の第1端子配線パターン42aが外部に導出される部分(第1導出部分160a)の辺の長さL1aが、多数の第1端子配線パターン42aが多数の第1導電パターン26Aと結合される部分(第1結合部分162a)の辺の長さL1bよりも短く、且つ、多数の第1導電パターン26Aの配列方向中央から最も離間した両側の第1導電パターン26Aに対応する第1端子配線パターン42aの長さがほぼ同じになっている。同様に、第2端子配線部152bは、多数の第2端子配線パターン42bが外部に導出される部分(第2導出部分160b)の辺の長さL2aが、多数の第2端子配線パターン42bが多数の第2導電パターン26Bと結合される部分(第2結合部分162b)の辺の長さL2bよりも短く、且つ、多数の第2導電パターン26Bの配列方向中央から最も離間した両側の第2導電パターン26Bに対応する第2端子配線パターン42bの長さがほぼ同じになっている。
例えば図8の例では、第1端子配線部152aの多数の第1端子配線パターン42aは、第1結合部分162aから第1方向(x方向)に導出され、第2方向(y方向)の中央部分を除く両側部分のパターンが互いに近づく方向(収束する方向)に曲げられ、さらに、第1方向に曲げられ、中央部分を含む全てのパターンが第2方向に曲げられて第1導出部分160aに導かれている。
【0055】
一方、第2端子配線部152bの多数の第2端子配線パターン42bは、第2結合部分162bから第2方向に導出され、第1方向の中央部分を除く両側部分のパターンが互いに近づく方向(収束する方向)に曲げられ、中央部分を含む全てのパターンが第2導出部分160bに導かれている。
その後、ステップS105において、例えば図8及び図17Aに示すように、液晶表示パネル170上に導電シート10を設置する。このとき、液晶表示パネル170の表示面にセンサ部150が対向するように導電シート10を設置する。
その後、ステップS106において、図17B及び図18に示すように、導電シート10のうち、第1端子配線部152aと第2端子配線部152bをセンサ部150の裏面側、すなわち、液晶表示パネル170の裏面側に折り曲げる。
そして、これら第1導出部分160aと第2導出部分160bをそれぞれ対応するコネクタ172a、172bに挿入することによって、例えば位置演算を行うIC回路に電気的に接続されることとなる。この段階で、1つのタッチパネルが完成する。
【0056】
このように、本実施の形態に係るタッチパネルの製造方法は、上述した図1〜図7に示す導電シート114の製造方法を使用するようにしたので、図15におけるステップS102の露光処理時間を大幅に短縮することができる。
また、1つの透明支持体102の一方の主面102aにセンサ部150を構成する多数の第1導電パターン26Aと第1端子配線部152aを構成する多数の第1端子配線パターン42aを形成し、透明支持体102の他方の主面102bにセンサ部150を構成する多数の第2導電パターン26Bと第2端子配線部152bを構成する多数の第2端子配線パターン42aを形成するようにしたので、タッチパネルの薄型化(低背化)を図ることができる。
【0057】
しかも、多数の第1導電パターン26Aの配列方向中央から最も離間した両側の第1導電パターン26Aに対応する第1端子配線パターン42aの長さがほぼ同じになっていることから、第1端子配線パターン42aの各線幅が同じであれば、第1導電パターン26Aの配列方向中央から離間するにつれてCR時定数が大きくなるが、特許文献2のように、多数の第1導電パターン26Aの配列方向一端部のパターンを最も短く、他端部のパターンを最も長くするような形態と比して、全体のパターンの長さを短くすることができ、特に、配列方向中央から最も離間した両側の第1導電パターン26Aの長さを、上述の従来における最も長いパターンと比して1/2の長さにすることができる。これは、多数の第2導電パターン26Bについても同様である。その結果、多数の第1導電パターン26AのCR時定数を大幅に低減することができ、これにより、応答速度を速めることができ、駆動時間(スキャン時間)内での位置検出も容易になる。これは、タッチパネルの画面サイズ(縦×横のサイズで、厚みを含まず)の大型化を促進できることにつながる。
【0058】
さらに、本実施の形態では、CR時定数をより低減するために、第1導電パターン26Aの配列方向中央から最も離間した両側の第1端子配線パターン42aの線幅を最も広くし、順次、配列方向中央に近づくにつれて、第1端子配線パターン42aの線幅を徐々に狭くするようにしてもよい。この場合、第1端子配線パターン42a全体のCR時定数をさらに低減することができると共に、線幅の種類として、最大で、第1端子配線パターン42aの全本数の1/2で済み、線幅の設計も容易になる。これは、第2端子配線パターン42bについても同様である。
また、第1端子配線部152a及び第2端子配線部152bをセンサ部150の裏側に折り曲げるようにしたので、周辺回路をコンパクトに納めることができ、液晶表示パネル170を含めた装置構成の小型化を図ることができる。
【0059】
次に、ハロゲン化銀写真感光材料を用いた本実施の形態に係る導電シートの製造方法のその他の好ましい態様を以下に示す。
本実施の形態に係る導電シートの製造方法は、感光材料と現像処理の形態によって、次の3通りの形態が含まれる。
(1) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を化学現像又は熱現像して導電パターンを該感光材料100上に形成させる態様。
(2) 物理現像核をハロゲン化銀乳剤層中に含む感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を溶解物理現像して導電パターンを該感光材料100上に形成させる態様。
(3) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料と、物理現像核を含む非感光性層を有する受像シートを重ね合わせて拡散転写現像して導電パターンを非感光性受像シート上に形成させる態様。
【0060】
上記(1)の態様は、一体型黒白現像タイプであり、感光材料上に光透過性導電膜等の透光性導電性膜が形成される。得られる現像銀は化学現像銀又は熱現像銀であり、高比表面のフィラメントである点で後続するめっき又は物理現像過程で活性が高い。
上記(2)の態様は、露光部では、物理現像核近縁のハロゲン化銀粒子が溶解されて現像核上に沈積することによって感光材料上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。これも一体型黒白現像タイプである。現像作用が、物理現像核上への析出であるので高活性であるが、現像銀は比表面の小さい球形である。
上記(3)の態様は、未露光部においてハロゲン化銀粒子が溶解されて拡散して受像シート上の現像核上に沈積することによって受像シート上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。いわゆるセパレートタイプであって、受像シートを感光材料から剥離して用いる態様である。
【0061】
いずれの態様もネガ型現像処理及び反転現像処理のいずれの現像を選択することもできる(拡散転写方式の場合は、感光材料としてオートポジ型感光材料を用いることによってネガ型現像処理が可能となる)。
ここでいう化学現像、熱現像、溶解物理現像、拡散転写現像は、当業界で通常用いられている用語どおりの意味であり、写真化学の一般教科書、例えば菊地真一著「写真化学」(共立出版社、1955年刊行)、C.E.K.Mees編「The Theory of Photographic Processes, 4th ed.」(Mcmillan社、1977年刊行)に解説されている。本件は液処理に係る発明であるが、その他の現像方式として熱現像方式を適用する技術も参考にすることができる。例えば、特開2004−184693号、同2004−334077号、同2005−010752号の各公報、特願2004−244080号、同2004−085655号の各明細書に記載された技術を適用することができる。
【0062】
ここで、本実施の形態に係る導電シートの各層の構成について、以下に詳細に説明する。
[透明支持体102]
透明支持体102としては、プラスチックフイルム、プラスチック板、ガラス板等を挙げることができる。
上記プラスチックフイルム及びプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVA等のポリオレフィン類;ビニル系樹脂;その他、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)等を用いることができる。
透明支持体102としては、PET(融点:258℃)、PEN(融点:269℃)、PE(融点:135℃)、PP(融点:163℃)、ポリスチレン(融点:230℃)、ポリ塩化ビニル(融点:180℃)、ポリ塩化ビニリデン(融点:212℃)やTAC(融点:290℃)等の融点が約290℃以下であるプラスチックフイルム、又はプラスチック板が好ましく、特に、光透過性や加工性等の観点から、PETが好ましい。タッチパネル用の導電シート10は透明性が要求されるため、透明支持体102の透明度は高いことが好ましい。
【0063】
[感光性ハロゲン化銀乳剤層]
第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124a及び第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124b(以下、感光性ハロゲン化銀乳剤層124と記す)は、銀塩とバインダーの他、溶媒や染料等の添加剤を含有する。
本実施の形態に用いられる銀塩としては、ハロゲン化銀等の無機銀塩及び酢酸銀等の有機銀塩が挙げられる。本実施の形態においては、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀を用いた。
感光性ハロゲン化銀乳剤層124の塗布銀量(銀塩の塗布量)は、アンチハレーション層がない場合は、銀に換算して7〜30g/m2が好ましく、10〜20g/m2がより好ましい。アンチハレーション層がある場合は、銀に換算して3〜30g/m2が好ましく、3〜20g/m2がより好ましく、3〜15g/m2がさらに好ましく、3〜9g/m2がさらに好ましい。この塗布銀量を上記範囲とすることで、感光材料に対する露光処理において、第1感光層104aに照射された第1光106aが第2感光層104bに到達せず、第2感光層104bに照射された第2光106bが第1感光層104aに到達しないように制御することができる。
本実施の形態に用いられるバインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。
本実施の形態の感光性ハロゲン化銀乳剤層124中に含有されるバインダーの含有量は、特に限定されず、分散性と密着性を発揮し得る範囲で適宜決定することができる。感光性ハロゲン化銀乳剤層124中のバインダーの含有量は、銀/バインダー体積比で1/4以上が好ましく、1/2以上がより好ましい。銀/バインダー体積比は、100/1以下が好ましく、50/1以下がより好ましい。また、銀/バインダー体積比は1/1〜4/1であることがさらに好ましい。1/1〜3/1であることが最も好ましい。感光性ハロゲン化銀乳剤層124中の銀/バインダー体積比をこの範囲にすることで、塗布銀量を調整した場合でも電気抵抗値のばらつきを抑制し、均一な表面抵抗を有するタッチパネル用の導電シート10を得ることができる。なお、銀/バインダー体積比は、原料のハロゲン化銀量/バインダー量(重量比)を銀量/バインダー量(重量比)に変換し、さらに、銀量/バインダー量(重量比)を銀量/バインダー量(体積比)に変換することで求めることができる。
【0064】
<色素:光吸収染料>
感光性ハロゲン化銀乳剤層又はアンチハレーション層に添加される光吸収染料(色素)としては、下記一般式(A)で表される化合物を使用することができる。
一般式(A)
Q1−X−Q2
[Q1、Q2は、ヘテロ環、−C(CN)2−、−C(CN)CO−Y、−C(CO−Y)SO2−Y、置換基として水酸基、アルコキシ基、スルホン酸基、アルキルスルホン酸基、アルコキシスルホン酸基、−N(アルキル)アルキルスルホン酸、−N(アルキル)2、を有するベンゼン環、又は置換基を有しないベンゼン環を表す。Yは、水酸基、−NHPh、−Phを表す。Phは置換基を有していてもよい。Xは、2価の連結基−CO−、−NH−、3価の連結基−C=、−N=、−CH=、又はこれらを組み合わせた連結基を表す。連結基同士は、結合して5又は6員環を形成してもよい。]
具体的には、特開平2−294638号公報の第11頁左上欄第6行〜右下欄の下から第4行に示される一般式(D−a)〜(D−d)で表される化合物を使用することができ、より具体的には、例えば同公報の第12頁及び第13頁に示されるD−1〜D23で表される化合物を使用することができる。この場合、D−1〜D23で表される化合物のうち、一部の化合物は、媒染剤を用いて、また一部の化合物は固体分散染料として、感光性ハロゲン化銀乳剤層又はアンチハレーション層に固定することができる。その他、特開2007−199703号公報の請求項1の一般式(I)で表される染料の固体微粒子分散物を使用することができる。一般式(I)で表される染料は特開2007−199703号公報の0024〜0071欄に開示されており、それと同様に好適な染料を使用することができる。
【0065】
すなわち、下記一般式(I)で表される化合物が上記好適な染料である。
一般式(I)
D−(X)y
一般式(I)中、Dは発色団を有する化合物残基を表し、Xは解離性水素原子又は解離性水素原子を有する基を表し、yは1〜7の整数を表す。ここで、yが2〜7のとき、複数のXは同一でも異なってもよい。
一般式(I)で表される化合物(染料)は、分子構造中に解離性水素等を有する点に特徴がある。Dにおける発色団を有する化合物残基は、多くの周知である色素の中から選ぶことができる。これらの化合物としては、オキソノール色素、メロシアニン色素、シアニン色素、アリーリデン色素、アゾメチン色素、トリフェニルメタン色素、アゾ色素、アントラキノン色素、インドアニリン色素を挙げることができる。
Xは、Dに直接もしくは2価の連結基を介して結合した解離性水素又は解離性水素を有する基を表す。XとDとの間の2価の連結基は、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロ環残基、−CO−、−SOn−(n=0,1,2)、−NR’−(R’は水素原子、アルキル基、アリール基を表す)、−O−、及びこれらの連結基を組み合わせた2価の基であり、さらに、それらはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホンアミド基等の置換基を有していてもよい。好ましい例として−(CH2n'−(n’=1,2,3)、−CH2CH(CH3)CH2−、1,2−フェニレン、5−カルボキシ−1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、6−メトキシ−1,3−フェニレン、−CONHC64−等を挙げることができる。
Xで表される解離性水素又は解離性水素を有する基は、一般式(I)で表される染料がハロゲン化銀写真感光材料中に添加された状態では、非解離であって、一般式(I)の染料を実質的に水不溶性にする特性を有し、該感光材料が現像処理される工程では、解離して一般式(I)の化合物を実質的に水可溶性にする特性を有する。Xで表される解離性水素を有する基の例としては、カルボン酸基、スルホンアミド基、スルファモイル基、スルホニルカルバモイル基、アシルスルファモイル基、フェノール性水酸基などを有する基を挙げることができる。Xで表される解離性水素はオキソノール色素のエノール基の水素等を挙げることができる。
yの好ましい範囲は、1〜5、特に好ましい範囲は、1〜3である。
一般式(I)で表される化合物のうち好ましいものは、Xにおける解離性水素を有する基がカルボン酸基を有する基であるものであり、特にカルボキシル基で置換されたアリール基を有する化合物が好ましい。
【0066】
また、一般式(I)で表される化合物のうち、より好ましいものは下記一般式(II)又は一般式(III)で表される化合物である。
一般式(II)
1=L1−(L2=L3m1−Q
一般式(II)中、A1は酸性核を表し、Qはアリール基又は複素環基を表し、L1、L2、L3は各々メチン基を表し、m1は0、1又は2を表す。但し、一般式(II)の化合物は分子内に水溶性基としてカルボン酸基、スルホンアミド基、スルファモイル基、スルホニルカルバモイル基、アシルスルファモイル基、フェノール性水酸基及びオキソノール色素のエノール基からなる群の中より選ばれる基を1〜7個有する。
【0067】
一般式(III)
1=L1−(L2=L3n1−A2
一般式(III)中、A1及びA2は酸性核を表し、L1、L2、L3は各々メチン基を表し、n1は0、1、2又は3を表す。但し、一般式(III)の化合物は分子内に水溶性基としてカルボン酸基、スルホンアミド基、スルファモイル基、スルホニルカルバモイル基、アシルスルファモイル基、フェノール性水酸基及びオキソノール色素のエノール基からなる群の中より選ばれる基を1〜7個有する。
【0068】
以下、一般式(II)及び(III)について詳細に説明する。
A1及びA2で表される酸性核は、環状のケトメチレン化合物又は電子吸引性基によって挟まれたメチレン基を有する化合物から誘導されるものが好ましい。環状のケトメチレン化合物の例としては、2−ピラゾリン−5−オン、ロダニン、ヒダントイン、チオヒダントイン、2,4−オキサゾリジンジオン、イソオキサゾロン、バルビツール酸、チオバルビツール酸、インダンジオン、ジオキソピラゾロピリジン、ヒドロキシピリドン、ピラゾリジンジオン、2,5−ジヒドロフランを挙げることができる。これらは置換基を有していてもよい。
電子吸引性基によって挟まれたメチレン基を有する化合物は、Z1CH22と表すことができる。ここにZ1及びZ2はそれぞれ−CN、−SO2R11、−COR11、−COOR12、−CONHR12、−SO2NHR12又は−C〔=C(CN)2〕R11を表す。R11は、アルキル基、アリール基、又は複素環基を表し、R12は水素原子又はR11で表される基を表し、そして、これらはそれぞれ置換基を有していてもよい。
Qで表されるアリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基を挙げることができる。これらはそれぞれ置換基を有していてもよい。Qで表される複素環基の例としては、ピロール、インドール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、インドリジン、キノリン、カルバゾール、フェノチアジン、フェノキサジン、インドリン、チアゾール、ピリジン、ピリダジン、チアジアジン、ピラン、チオピラン、オキソジアゾール、ベンゾキノリン、チアジアゾール、ピロロチアゾール、ピロロピリダジン、テトラゾール、オキサゾール、クマリン、及びクマロンを挙げることができる。これらはそれぞれ置換基を有していてもよい。
1、L2及びL3で表されるメチン基は、置換基を有していてもよく、その置換基同士が連結して5又は6員環(例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン)を形成していてもよい。
上述した各基が有していてもよい置換基は、一般式(I)〜(III)の化合物をpH5〜pH7の水に実質的に溶解させるような置換基でなければ特に制限はない。例えば、以下の置換基を挙げることができる。
カルボン酸基、炭素数1〜10のスルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、n−オクタンスルホンアミド)、炭素数0〜10の無置換又はアルキルもしくはアリール置換スルファモイル基(例えば、無置換のスルファモイル、メチルスルファモイル、フェニルスルファモイル、ナフチルスルファモイル、ブチルスルファモイル)、炭素数2〜10のスルホニルカルバモイル基(例えば、メタンスルホニルカルバモイル、プロパンスルホニルカルバモイル、ベンゼンスルホニルカルバモイル)、炭素数1〜l0のアシルスルファモイル基(例えば、アセチルスルファモイル、プロピオニルスルファモイル、ピバロイルスルファモイル、ベンゾイルスルファモイル)、炭素数1〜8の鎖状又は環状のアルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシエチル、ベンジル、フェネチル、4−カルボキシベンジル、2−ジエチルアミノエチル)、炭素数2〜8のアルケニル基(例えば、ビニル、アリル)、炭素数1〜8のアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br)、炭素数0〜10のアミノ基(例えば、無置換のアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、カルボキシエチルアミノ)、炭素数2〜10のエステル基(例えば、メトキシカルボニル)、炭素数1〜10のアミド基(例えば、アセチルアミノ、ベンズアミド)、炭素数1〜10のカルバモイル基(例えば、無置換のカルバモイル、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル)、炭素数6〜10のアリール基(例えば、フェニル、ナフチル、ヒドロキシフェニル、4−カルボキシフェニル、3−カルボキシフェニル、3,5−ジカルボキシフェニル、4−メタンスルホンアミドフェニル、4−ブタンスルホンアミドフェニル)、炭素数6〜10のアリーロキシ基(例えば、フェノキシ、4−カルボキシフェノキシ、3−メチルフェノキシ、ナフトキシ)、炭素数1〜8のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、オクチルチオ)、炭素数6〜10のアリールチオ基(例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ)、炭素数1〜10のアシル基(例えば、アセチル、ベンゾイル、プロパノイル)、炭素数1〜10のスルホニル基(例えば、メタンスルホニル、ベンゼンスルホニル)、炭素数1〜10のウレイド基(例えば、ウレイド、メチルウレイド)、炭素数2〜10のウレタン基(例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ)、シアノ基、水酸基、ニトロ基、複素環基(例えば、5−カルボキシベンゾオキサゾール環、ピリジン環、スルホラン環、ピロール環、ピロリジン環、モルホリン環、ピペラジン環、ピリミジン環、フラン環)。
【0069】
<溶媒>
感光性ハロゲン化銀乳剤層124の形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
本実施の形態の感光性ハロゲン化銀乳剤層124に用いられる溶媒の含有量は、感光性ハロゲン化銀乳剤層124に含まれる銀塩、バインダー等の合計の質量に対して30〜90質量%の範囲であり、50〜80質量%の範囲であることが好ましい。
【0070】
<その他の添加剤>
本実施の形態に用いられる各種添加剤に関しては、特に制限は無く、公知のものを好ましく用いることができる。
[その他の層構成]
感光性ハロゲン化銀乳剤層124の上に図示しない保護層を設けてもよい。本実施の形態において「保護層」とは、ゼラチンや高分子ポリマーといったバインダーからなる層を意味し、擦り傷防止や力学特性を改良する効果を発現するために感光性を有する感光性ハロゲン化銀乳剤層124上に形成される。その厚みは0.5μm以下が好ましい。保護層の塗布方法及び形成方法は特に限定されず、公知の塗布方法及び形成方法を適宜選択することができる。また、感光性ハロゲン化銀乳剤層124よりも下に、例えばアンチハレーション層126を設けることもできる。
【0071】
次に、導電シート10の作製方法の各工程について説明する。
[露光]
上述したように、透明支持体102上に設けられた感光性ハロゲン化銀乳剤層124を有する感光材料100への両面同時露光を行う。露光は、電磁波を用いて行うことができる。電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線等の光、X線等の放射線等が挙げられる。さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。より好ましくは、感光材料100への両面同時露光する方法であるが、感光材料の両面にフォトマスクを配置し、平行光を用いて両面同時に露光する。
【0072】
[現像処理]
本実施の形態では、感光性ハロゲン化銀乳剤層124を露光した後、さらに現像処理が行われる。現像処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。現像液については特に限定はしないが、PQ現像液、MQ現像液、MAA現像液等を用いることもでき、市販品では、例えば、富士フイルム社処方のCN−16、CR−56、CP45X、FD−3、パピトール、KODAK社処方のC−41、E−6、RA−4、D−19、D−72等の現像液、又はそのキットに含まれる現像液を用いることができる。また、リス現像液を用いることもできる。
本発明における現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。本発明における定着処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
上記定着工程における定着温度は、約20℃〜約50℃が好ましく、さらに好ましくは25〜45℃である。また、定着時間は5秒〜1分が好ましく、さらに好ましくは7秒〜50秒である。定着液の補充量は、感光材料の処理量に対して600ml/m2以下が好ましく、500ml/m2以下がさらに好ましく、300ml/m2以下が特に好ましい。
現像、定着処理を施した感光材料は、水洗処理や安定化処理を施されるのが好ましい。上記水洗処理又は安定化処理においては、水洗水量は通常感光材料1m2当り、20リットル以下で行われ、3リットル以下の補充量(0も含む、すなわちため水水洗)で行うこともできる。
現像処理後の露光部に含まれる金属銀の質量は、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。露光部に含まれる銀の質量が露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上であれば、高い導電性を得ることができるため好ましい。
本実施の形態における現像処理後の階調は、特に限定されるものではないが、4.0を超えることが好ましい。現像処理後の階調が4.0を超えると、光透過性部の透光性を高く保ったまま、導電性金属部の導電性を高めることができる。階調を4.0以上にする手段としては、例えば、前述のロジウムイオン、イリジウムイオンのドープが挙げられる。
以上の工程を経て導電シート10は得られるが、得られた導電シート10の表面抵抗は0.1〜100オーム/sq.の範囲にあることが好まい。下限値は、1オーム/sq.以上、3オーム/sq.以上、5オーム/sq.以上、10オーム/sq.であることが好ましい。上限値は、70オーム/sq.以下、50オーム/sq.以下であることが好ましい。このような範囲に表面抵抗を調整することで、面積が10cm×10cm以上の大型のタッチパネルでも位置検出を行うことができる。また、現像処理後の導電シート10に対しては、さらにカレンダー処理を行ってもよく、カレンダー処理により所望の表面抵抗に調整することができる。
【0073】
[物理現像及びめっき処理]
本実施の形態では、両面同時露光及び現像処理により形成された導電パターンの導電性を向上させる目的で、導電パターンに導電性金属粒子を担持させるための物理現像及び/又はめっき処理を行ってもよい。本発明では物理現像又はめっき処理のいずれか一方のみで導電性金属粒子を金属性銀部に担持させてもよく、物理現像とめっき処理とを組み合わせて導電性金属粒子を導電パターンに担持させてもよい。なお、導電パターンに物理現像及び/又はめっき処理を施したものを含めて「導電性金属部」と称する。
本実施の形態における「物理現像」とは、金属や金属化合物の核上に、銀イオン等の金属イオンを還元剤で還元して金属粒子を析出させることをいう。この物理現象は、インスタントB&Wフイルム、インスタントスライドフイルムや、印刷版製造等に利用されており、本発明ではその技術を用いることができる。また、物理現像は、露光後の現像処理と同時に行っても、現像処理後に別途行ってもよい。
本実施の形態において、めっき処理は、無電解めっき(化学還元めっきや置換めっき)を用いることができる。本実施の形態における無電解めっきは、公知の無電解めっき技術を用いることができ、例えば、プリント配線板等で用いられている無電解めっき技術を用いることができ、無電解めっきは無電解銅めっきであることが好ましい。
【0074】
[酸化処理]
本実施の形態では、現像処理後の導電パターン、並びに、物理現像及び/又はめっき処理によって形成された導電性金属部には、酸化処理を施すことが好ましい。酸化処理を行うことにより、例えば、光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、該金属を除去し、光透過性部の透過性をほぼ100%にすることができる。
【0075】
[導電性金属部]
本実施の形態の導電パターンの線幅は、1μm以上20μm以下がよいが、1μm以上15μm以下が好ましい。さらに好ましくは5μm以上10μm以下、最も好ましくは5μm以上9μm以下である。線幅が上記下限値未満の場合には、導電性が不十分となるためタッチパネルに使用した場合に、検出感度が不十分となる。他方、上記上限値を越えると導電性金属部に起因するモアレが顕著になったり、タッチパネルに使用した際に視認性が悪くなったりする。なお、上記範囲にあることで、導電性金属部のモアレが改善され、視認性が特によくなる。線間隔(ここでは小格子18の互いに対向する辺の間隔)は30μm以上500μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは50μm以上400μm以下、最も好ましくは100μm以上350μm以下である。また、導電性金属部は、アース接続等の目的においては、線幅は200μmより広い部分を有していてもよい。
本実施の形態における導電パターンは、可視光透過率の点から開口率(透過率)は85%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが最も好ましい。開口率とは、第1大格子16A、第1接続部22A、第1絶縁部28Aの第1絶縁パターン34A、第2大格子16B、第2接続部22B、第2絶縁部28Bにおける第2絶縁パターン34B、小格子18等の導電部を除いた透光性部分が全体に占める割合であり、例えば、線幅15μm、ピッチ300μmの正方形の格子状の開口率は、90%である。
【0076】
[光透過性部]
本実施の形態における「光透過性部」とは、導電シート10のうち導電パターン以外の透光性を有する部分を意味する。光透過性部における透過率は、前述のとおり、透明支持体102の光吸収及び反射の寄与を除いた380〜780nmの波長領域における透過率の最小値で示される透過率が90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上であり、さらにより好ましくは98%以上であり、最も好ましくは99%以上である。
露光方法に関しては、ガラスマスクを介した方法やレーザー描画によるパターン露光方式が好ましい。
【0077】
[導電シート10]
本実施の形態に係る導電シート10における透明支持体102の厚さは、5〜350μmであることが好ましく、30〜150μmであることがさらに好ましい。5〜350μmの範囲であれば所望の可視光の透過率が得られ、且つ、取り扱いも容易である。
透明支持体102上に設けられる導電パターンの厚さは、透明支持体102上に塗布される感光性ハロゲン化銀乳剤層124の塗布厚みに応じて適宜決定することができる。導電パターンの厚さは、0.001mm〜0.2mmから選択可能であるが、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、0.01〜9μmであることがさらに好ましく、0.05〜5μmであることが最も好ましい。また、導電パターンは1層でもよく、2層以上の重層構成であってもよい。2層以上の重層構成である場合、異なる波長に感光できるように、異なる感色性を付与することができる。これにより、露光波長を変えて露光すると、各層において異なるパターンを形成することができる。
導電パターンの厚さは、タッチパネルの用途としては、薄いほど表示パネルの視野角が広がるため好ましく、視認性の向上の点でも薄膜化が要求される。このような観点から、導電パターンに担持された導電性金属からなる層の厚さは、9μm未満であることが好ましく、0.1μm以上5μm未満であることがより好ましく、0.1μm以上3μm未満であることがさらに好ましい。
本実施の形態では、上述した感光性ハロゲン化銀乳剤層124の塗布厚みをコントロールすることにより所望の厚さの導電パターンを形成し、さらに物理現像及び/又はめっき処理により導電性金属粒子からなる層の厚みを自在にコントロールできるため、5μm未満、好ましくは3μm未満の厚みを有する導電シート10であっても容易に形成することができる。
なお、本実施の形態に係る導電シート10の製造方法では、めっき等の工程は必ずしも行う必要はない。本実施の形態に係る導電シート10の製造方法では銀塩乳剤層の塗布銀量、銀/バインダー体積比を調整することで所望の表面抵抗を得ることができるからである。なお、必要に応じてカレンダー処理等を行ってもよい。
【0078】
(現像処理後の硬膜処理)
感光性ハロゲン化銀乳剤層124に対して現像処理を行った後に、硬膜剤に浸漬して硬膜処理を行うことが好ましい。硬膜剤としては、例えば、グルタルアルデヒド、アジポアルデヒド、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン等のジアルデヒド類及びほう酸等の特開平2−141279号公報に記載のものを挙げることができる。
導電シート10には、反射防止層やハードコート層などの機能層を付与してもよい。
【0079】
なお、本発明は、下記表1及び表2に記載の公開公報及び国際公開パンフレットの技術と適宜組合わせて使用することができる。「特開」、「号公報」、「号パンフレット」等の表記は省略する。
【0080】
【表1】

【0081】
【表2】

【実施例】
【0082】
以下に、本発明の実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[第1実施例]
実施例1〜7、比較例1、2について、透明支持体102の一方の主面に形成される第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124a及び透明支持体102の他方の主面に形成される第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bの塗布銀量を変えて、両面同時露光の状態を評価した。なお、アンチハレーション層は設けていない。
【0083】
<実施例1>
(ハロゲン化銀感光材料)
水媒体中のAg150gに対してゼラチン10.0gを含む、球相当径平均0.1μmの沃臭塩化銀粒子(I=0.2モル%、Br=40モル%)を含有する乳剤を調製した。
また、この乳剤中にはK3Rh2Br9及びK2IrCl6を濃度が10-7(モル/モル銀)になるように添加し、臭化銀粒子にRhイオンとIrイオンをドープした。この乳剤にNa2PdCl4を添加し、さらに塩化金酸とチオ硫酸ナトリウムを用いて金硫黄増感を行った後、ゼラチン硬膜剤と共に、銀の塗布量(塗布銀量)を銀で換算して7g/m2となるように透明支持体102(ここでは、共にポリエチレンテレフタレート(PET))の両面に塗布した。この際、Ag/ゼラチン体積比は2/1とした。
幅30cmのPET支持体に25cmの幅で20m分塗布を行ない、塗布の中央部24cmを残すように両端を3cmずつ切り落としてロール状のハロゲン化銀感光材料を得た。
【0084】
(露光)
両面同時露光にて使用される第1フォトマスク108a及び第2フォトマスク108bの第1露光パターン118a及び第2露光パターン118bは、図19A及び図19Bに示すように、第1方向(x方向)に延びるスリット180の幅wが10μmの多数の直線状のパターンを第2方向(y方向)にピッチPr=100μmで配列したパターンとした。さらに、第1露光パターン118aと第2露光パターン118bとでは、スリット180がPr/2だけずらした位置に形成されている。従って、両面同時露光によって第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124a及び第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bに形成されるパターンは、Pr/2だけずれることになる。露光は、上記第1露光パターン118a及び第2露光パターン118bを有する第1フォトマスク108a及び第2フォトマスク108bを介して高圧水銀ランプを光源とした平行光を用いて露光した。減光フィルタ(NDフィルタ)として、濃度が1.2の減光フィルタを用いた。
【0085】
(現像処理)
・現像液1L処方
ハイドロキノン 20 g
亜硫酸ナトリウム 50 g
炭酸カリウム 40 g
エチレンジアミン・四酢酸 2 g
臭化カリウム 3 g
ポリエチレングリコール2000 1 g
水酸化カリウム 4 g
pH 10.3に調整
・定着液1L処方
チオ硫酸アンモニウム液(75%) 300 ml
亜硫酸アンモニウム・1水塩 25 g
1,3−ジアミノプロパン・四酢酸 8 g
酢酸 5 g
アンモニア水(27%) 1 g
pH 6.2に調整
上記処理剤を用いて露光済み感材を、富士フイルム社製自動現像機 FG−710PTSを用いて処理条件:現像35℃ 30秒、定着34℃ 23秒、水洗 流水(5L/分)の20秒処理で行った。この現像処理によって、透明支持体の両面に多数の導電パターンが形成された導電シートを得た。導電パターンの配列ピッチは100μm、厚みは2μm、線幅は10μmであった。これをサンプル1とした。
同様に、図19A及び図19Bに示す第1露光パターン118a及び第2露光パターン118bとして、ピッチPr=200μmの露光パターンを用いて、両面同時露光及び現像処理を行って、透明支持体の両面に多数の導電パターン(配列ピッチ=200μm、厚み=2μm、線幅=10μm)が形成された導電シートを得た。これをサンプル2とした。
同様に、図19A及び図19Bに示す第1露光パターン118a及び第2露光パターン118bとして、ピッチPr=300μmの露光パターンを用いて、両面同時露光及び現像処理を行って、透明支持体の両面に多数の導電パターン(配列ピッチ=300μm、厚み=2μm、線幅=10μm)が形成された導電シートを得た。これをサンプル3とした。
【0086】
<実施例2>
第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124a及び第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bの塗布銀量を銀で換算して7.8g/m2となるようにしたこと以外は、上述の実施例1と同様にして、サンプル1〜3を作製した。
<実施例3>
第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124a及び第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bの塗布銀量を銀で換算して9.0g/m2となるようにしたこと以外は、上述の実施例1と同様にして、サンプル1〜3を作製した。
<実施例4>
第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124a及び第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bの塗布銀量を銀で換算して10.0g/m2となるようにしたこと以外は、上述の実施例1と同様にして、サンプル1〜3を作製した。
<実施例5>
第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124a及び第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bの塗布銀量を銀で換算して15.0g/m2となるようにしたこと以外は、上述の実施例1と同様にして、サンプル1〜3を作製した。
<実施例6>
第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124a及び第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bの塗布銀量を銀で換算して20.0g/m2となるようにしたこと以外は、上述の実施例1と同様にして、サンプル1〜3を作製した。
<実施例7>
第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124a及び第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bの塗布銀量を銀で換算して30.0g/m2となるようにしたこと以外は、上述の実施例1と同様にして、サンプル1〜3を作製した。
<比較例1>
第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124a及び第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bの塗布銀量を銀で換算して2.0g/m2となるようにしたこと以外は、上述の実施例1と同様にして、サンプル1〜3を作製した。
<比較例2>
第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124a及び第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bの塗布銀量を銀で換算して31.0g/m2となるようにしたこと以外は、上述の実施例1と同様にして、サンプル1〜3を作製した。
【0087】
<評価>
両面同時露光において、第2光源110bからの第2光106bが散乱光となって一方の主面側の第1感光層104aに到達すると、図4に示すように、第1感光層104aと透明支持体102との境界部分が広い範囲にわたって露光され、潜像120が形成される。その結果、図5に示すように、第1導電層116a間に第2光源110bからの第2光106bによる薄い導電層122が形成されることになる。この場合、隣接する第1導電層116a間の距離が実質的に狭くなり、隣接する第1導電層116a間の絶縁抵抗値が低下することとなる。
そこで、基準となるサンプルを作製し、この基準サンプルの隣接する導電パターン間の絶縁抵抗値を測定し、この絶縁測定値からどれだけ低下しているかをみることで、両面同時露光の状態を評価することができる。
【0088】
(評価用基準サンプルの作製)
実施例1と同様のハロゲン化銀感光材料を調製した後、透明支持体102の一方の主面のみに感光性ハロゲン化銀乳剤層124を形成し、第1フォトマスク108aを介して片面露光を行い、さらに現像処理を行って、透明支持体102の一方の主面のみに多数の導電パターン(配列ピッチ=100μm)が形成された評価用基準サンプル1を作製し、同様にして、評価用基準サンプル2(配列ピッチ=200μm)及び評価用基準サンプル3(配列ピッチ=300μm)を作製した。
その後、評価用基準サンプル1について、隣接する導電パターン間の絶縁抵抗を測定するポイントを10箇所選択し、これら10箇所の絶縁抵抗を絶縁抵抗測定器を用いて測定し、その平均値を評価用基準サンプル1の絶縁抵抗値とした。評価用基準サンプル2及び3についても評価用基準サンプル1と同様にして、評価用基準サンプル2及び3の各絶縁抵抗値を求めた。
【0089】
(評価方法)
実施例1のサンプル1について、隣接する導電パターン間の絶縁抵抗を測定するポイントを10箇所選択し、これら10箇所の絶縁抵抗を絶縁抵抗測定器を用いて測定し、その平均値を、実施例1のサンプル1の絶縁抵抗値とした。同様にして、実施例1のサンプル2及び3の絶縁抵抗値を求め、さらに、実施例2〜7並びに比較例1、2の各サンプル1〜3の各絶縁抵抗値を求めた。
そして、以下のように評価した。
(a) サンプル1〜3の各絶縁抵抗値が、対応する評価用基準サンプル1〜3の絶縁抵抗値の1%未満の低下であれば、評価「◎」。
(b) サンプル1〜3の各絶縁抵抗値が、対応する評価用基準サンプル1〜3の絶縁抵抗値の2%以上3%未満の低下であれば、評価「○」。
(c) サンプル1〜3のいずれかが、対応する評価用基準サンプルの絶縁抵抗値の3%以上の低下であれば、評価「△」。例えば、サンプル2及び3の各絶縁抵抗値が、対応する評価用基準サンプル2及び3の絶縁抵抗値の3%未満の低下であるが、サンプル1の絶縁抵抗値が、対応する評価用基準サンプル1の絶縁抵抗値の3%以上の低下である場合等が該当する。
(d) サンプル1〜3の各絶縁抵抗値が、対応する評価用基準サンプル1〜3の絶縁抵抗値の3%以上の低下であれば、評価「×」。
【0090】
(評価結果)
下記表3に示すように、実施例1〜7はいずれも、対応する評価用基準サンプルの絶縁抵抗値の3%未満の低下であり、特に、実施例4〜6は、対応する評価用基準サンプルの絶縁抵抗値の1%未満の低下であった。これは、導電パターンにほとんど薄い導電層122が形成されていないことを示しており、両面同時露光の状態が良好であることがわかる。
一方、比較例1は、対応する評価用基準サンプルの絶縁抵抗値の3%以上の低下であり、導電パターンに、絶縁抵抗値を3%以上低下させる薄い導電層が形成されていることがわかる。つまり、両面同時露光の状態が悪くなっている。
比較例2は、各サンプル1〜3のうち、配列ピッチが100μm及び200μmのサンプル1及び2が、対応する評価用基準サンプルの絶縁抵抗値の3%以上の低下であった。これは、両面同時露光の再現性が悪く、安定に両面同時露光ができないことを示している。
【0091】
【表3】

【0092】
[第2実施例]
実施例11〜20について、透明支持体102の一方の主面に形成される第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124a及び透明支持体102の他方の主面に形成される第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bに含まれる色素の吸光度(光吸収染料の添加量)を変えて、両面同時露光の状態を評価した。
<実施例11>
上述した実施例1に示すハロゲン化銀感光材料において、塗布銀量を銀で換算して7g/m2となるようにし、さらに以下の光吸収染料を添加して、感光性ハロゲン化銀乳剤層に含まれる色素の吸光度を0.1(無単位)にしたこと以外は、上述した実施例1と同様にしてサンプル1〜3を作製した。
(光吸収染料の組成あるいは種類)
特開2007−199703号公報の請求項1の一般式(I)で表される染料の固体微粒子分散物を使用した。
<実施例12>
光吸収染料を添加して、感光性ハロゲン化銀乳剤層に含まれる色素の吸光度を0.2(無単位)にしたこと以外は、上述した実施例11と同様にしてサンプル1〜3を作製した。
<実施例13>
光吸収染料を添加して、感光性ハロゲン化銀乳剤層に含まれる色素の吸光度を0.8(無単位)にしたこと以外は、上述した実施例11と同様にしてサンプル1〜3を作製した。
<実施例14>
光吸収染料を添加して、感光性ハロゲン化銀乳剤層に含まれる色素の吸光度を1.4(無単位)にしたこと以外は、上述した実施例11と同様にしてサンプル1〜3を作製した。
<実施例15>
光吸収染料を添加して、感光性ハロゲン化銀乳剤層に含まれる色素の吸光度を1.5(無単位)にしたこと以外は、上述した実施例11と同様にしてサンプル1〜3を作製した。
<実施例16〜20>
実施例16〜20は、塗布銀量を銀で換算して5g/m2となるようにした点以外は、上述した実施例11〜15と同様にしてそれぞれサンプル1〜3を作製した。
【0093】
<評価>
上述した第1実施例と同様の方法で評価を行った。
(評価結果)
下記表4に示すように、実施例11〜20はいずれも、対応する評価用基準サンプルの絶縁抵抗値の3%未満の低下であり、特に、実施例13及び18は、対応する評価用基準サンプルの絶縁抵抗値の1%未満の低下であった。これは、導電パターンにほとんど薄い導電層122が形成されていないことを示しており、両面同時露光の状態が良好であることがわかる。
【0094】
【表4】

【0095】
[第3実施例]
第1感光層104aが、第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124aと、該第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124aと透明支持体102間に形成された第1アンチハレーション層126aとを有し、第2感光層104bが、第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bと、該第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bと透明支持体102間に形成された第2アンチハレーション層126bとを有する実施例21〜29について、第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124a及び第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bの塗布銀量並びに第1アンチハレーション層126a及び第2アンチハレーション層126bに含まれる色素の吸光度(光吸収染料の添加量)を変えて、両面同時露光の状態を評価した。
光吸収染料として、下記固体分散染料A及び水溶性染料Bを使用した。
【0096】
(固体分散染料A)
【化1】

【0097】
(水溶性染料B)
【化2】

【0098】
<実施例21>
上述した実施例1において、第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124aと透明支持体102間に第1アンチハレーション層126aを形成し、第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bと透明支持体102間に第2アンチハレーション層126bを形成し、さらに、第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124a及び第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bの塗布銀量を銀で換算して5g/m2となるようにし、また、第1アンチハレーション層126a及び第2アンチハレーション層126bへの固体分散染料Aの塗布量を100mg/m2として、染料の吸光度を0.75としたこと以外は、上述した実施例1と同様にしてサンプル1〜3を作製した。なお、染料の吸光度は、アンチハレーション層のみを塗布したサンプルを別途製作し、ハロゲン化銀の感光波長である420nmの吸光度を求めた。
<実施例22>
第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124a及び第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bの塗布銀量を銀で換算して6g/m2となるようにしたこと以外は、上述した実施例21と同様にしてサンプル1〜3を作製した。
<実施例23>
第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124a及び第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bの塗布銀量を銀で換算して8g/m2となるようにしたこと以外は、上述した実施例21と同様にしてサンプル1〜3を作製した。
<実施例24>
第1アンチハレーション層126a及び第2アンチハレーション層126bへの固体分散染料Aの塗布量を70mg/m2として、染料の吸光度を0.52としたこと以外は、上述した実施例21と同様にしてサンプル1〜3を作製した。
<実施例25>
第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124a及び第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bの塗布銀量を銀で換算して6g/m2となるようにしたこと以外は、上述した実施例24と同様にしてサンプル1〜3を作製した。
<実施例26>
第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124a及び第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bの塗布銀量を銀で換算して8g/m2となるようにしたこと以外は、上述した実施例24と同様にしてサンプル1〜3を作製した。
<実施例27>
第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124a及び第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bの塗布銀量を銀で換算して15g/m2となるようにし、さらに、第1アンチハレーション層126a及び第2アンチハレーション層126bへの固体分散染料Aの塗布量を0mg/m2として、染料の吸光度を0としたこと以外は、上述した実施例21と同様にしてサンプル1〜3を作製した。
<実施例28>
第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124a及び第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bの塗布銀量を銀で換算して6g/m2となるようにし、さらに、第1アンチハレーション層126a及び第2アンチハレーション層126bへの固体分散染料Aの塗布量を100mg/m2とし、水溶性染料Bの塗布量を50mg/m2として、染料の吸光度を0.9としたこと以外は、上述した実施例21と同様にしてサンプル1〜3を作製した。
<実施例29>
水溶性染料Bの塗布量を100mg/m2として、染料の吸光度を1.0としたこと以外は、上述した実施例28と同様にしてサンプル1〜3を作製した。
<実施例30>
第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124a及び第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bの塗布銀量を銀で換算して15g/m2となるようにしたこと以外は、上述した実施例29と同様にしてサンプル1〜3を作製した。
<実施例31>
第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124a及び第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bの塗布銀量を銀で換算して3g/m2となるようにしたこと以外は、上述した実施例29と同様にしてサンプル1〜3を作製した。
<実施例32>
第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124a及び第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bの塗布銀量を銀で換算して8g/m2となるようにしたこと以外は、上述した第1実施例における実施例1と同様にしてサンプル1〜3を作製した。
<比較例21>
第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124a及び第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bの塗布銀量を銀で換算して5g/m2となるようにしたこと以外は、上述した第1実施例における実施例1と同様にしてサンプル1〜3を作製した。
<比較例22>
第1感光性ハロゲン化銀乳剤層124a及び第2感光性ハロゲン化銀乳剤層124bの塗布銀量を銀で換算して6g/m2となるようにしたこと以外は、上述した第1実施例における実施例1と同様にしてサンプル1〜3を作製した。
<評価>
上述した第1実施例と同様の方法で評価を行った。
(評価結果)
下記表5に示すように、実施例21〜32はいずれも、対応する評価用基準サンプルの絶縁抵抗値の3%未満の低下であり、特に、実施例23、26〜30は、対応する評価用基準サンプルの絶縁抵抗値の1%未満の低下であった。これは、導電パターンにほとんど薄い導電層122が形成されていないことを示しており、両面同時露光の状態が良好であることがわかる。
【0099】
【表5】

【0100】
なお、本発明に係る導電シートの製造方法及びタッチパネルの製造方法は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0101】
10…導電シート 26A…第1導電パターン
26B…第2導電パターン 42a…第1端子配線パターン
42b…第2端子配線パターン 100…感光材料
102…透明支持体 104a…第1感光層
104b…第2感光層 106a…第1光
106b…第2光 108a…第1フォトマスク
108b…第2フォトマスク 110a…第1光源
110b…第2光源 114…導電シート
116a…第1導電層 116b…第2導電層
118a…第1露光パターン 118b…第2露光パターン
124a…第1感光性ハロゲン化銀乳剤層
124b…第2感光性ハロゲン化銀乳剤層
126a…第1アンチハレーション層 126b…第2アンチハレーション層
150…センサ部 152a…第1端子配線部
152b…第2端子配線部 160a…第1導出部分
160b…第2導出部分 162a…第1結合部分
162b…第2結合部分 170…液晶表示パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明支持体と、該透明支持体の一方の主面に形成された第1感光層と、前記透明支持体の他方の主面に形成された第2感光層とを有する感光材料を露光し、現像処理して導電シートを製造する導電シートの製造方法において、
前記感光材料の露光処理は、
前記第1感光層に対し、前記透明支持体に向かって光を照射して前記第1感光層を露光する第1露光処理と、前記第2感光層に対し、前記透明支持体に向かって光を照射して前記第2感光層を露光する第2露光処理とが行われ、且つ、
前記第1感光層に照射された光が前記第2感光層に実質的に到達せず、前記第2感光層に照射された光が前記第1感光層に実質的に到達しないように制御して行われることを特徴とする導電シートの製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の導電シートの製造方法において、
前記第1感光層に対する前記第1露光処理と、前記第2感光層に対する前記第2露光処理を同時に行うことを特徴とする導電シートの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の導電シートの製造方法において、
前記第1感光層での像形成が、前記第2感光層の少なくとも感度により制御され、
前記第2感光層での像形成が、前記第1感光層の少なくとも感度により制御されることを特徴とする導電シートの製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の導電シートの製造方法において、
前記第1感光層は、該第1感光層に照射される光の波長域に、光吸収感度を有する材料を有し、
前記第2感光層は、該第2感光層に照射される光の波長域に、光吸収感度を有する材料を有することを特徴とする導電シートの製造方法。
【請求項5】
請求項3又は4記載の導電シートの製造方法において、
前記第1感光層は、第1感光性ハロゲン化銀乳剤層を有し、
前記第2感光層は、第2感光性ハロゲン化銀乳剤層を有し、
前記第1感光層での像形成が、前記第2感光性ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも塗布銀量により制御され、
前記第2感光層での像形成が、前記第1感光性ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも塗布銀量により制御されることを特徴とする導電シートの製造方法。
【請求項6】
請求項3又は4記載の導電シートの製造方法において、
前記第1感光層は、第1感光性ハロゲン化銀乳剤層を有し、
前記第2感光層は、第2感光性ハロゲン化銀乳剤層を有し、
前記第1感光層での像形成が、少なくとも前記第2感光性ハロゲン化銀乳剤層に含まれる色素の吸光度により制御され、
前記第2感光層での像形成が、少なくとも前記第1感光性ハロゲン化銀乳剤層に含まれる色素の吸光度により制御されることを特徴とする導電シートの製造方法。
【請求項7】
請求項3又は4記載の導電シートの製造方法において、
前記第1感光層は、第1感光性ハロゲン化銀乳剤層を有し、
前記第2感光層は、第2感光性ハロゲン化銀乳剤層を有し、
前記第1感光層での像形成が、少なくとも前記第2感光性ハロゲン化銀乳剤層の塗布銀量及び前記第2感光性ハロゲン化銀乳剤層に含まれる色素の吸光度により制御され、
前記第2感光層での像形成が、少なくとも前記第1感光性ハロゲン化銀乳剤層の塗布銀量及び前記第1感光性ハロゲン化銀乳剤層に含まれる色素の吸光度により制御されることを特徴とする導電シートの製造方法。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1項に記載の導電シートの製造方法において、
アンチハレーション層を有しない構成であって、前記第1感光性ハロゲン化銀乳剤層及び前記第2感光性ハロゲン化銀乳剤層の塗布銀量が、5g/m2以上、30g/m2以下であることを特徴とする導電シートの製造方法。
【請求項9】
請求項3又は4記載の導電シートの製造方法において、
前記第1感光層は、第1感光性ハロゲン化銀乳剤層と、該第1感光性ハロゲン化銀乳剤層と前記透明支持体間に形成された第1アンチハレーション層とを有し、
前記第2感光層は、第2感光性ハロゲン化銀乳剤層と、該第2感光性ハロゲン化銀乳剤層と前記透明支持体間に形成された第2アンチハレーション層とを有し、
前記第1感光層での像形成が、少なくとも前記第1及び第2アンチハレーション層に含まれる色素の吸光度により制御され、
前記第2感光層での像形成が、少なくとも前記第1及び第2アンチハレーション層に含まれる色素の吸光度により制御されることを特徴とする導電シートの製造方法。
【請求項10】
請求項3又は4記載の導電シートの製造方法において、
前記第1感光層は、第1感光性ハロゲン化銀乳剤層と、該第1感光性ハロゲン化銀乳剤層と前記透明支持体間に形成された第1アンチハレーション層とを有し、
前記第2感光層は、第2感光性ハロゲン化銀乳剤層と、該第2感光性ハロゲン化銀乳剤層と前記透明支持体間に形成された第2アンチハレーション層とを有し、
前記第1感光層での像形成が、少なくとも前記第2感光性ハロゲン化銀乳剤層の塗布銀量及び前記第1及び第2アンチハレーション層に含まれる色素の吸光度により制御され、
前記第2感光層での像形成が、少なくとも前記第1感光性ハロゲン化銀乳剤層の塗布銀量及び前記第1及び第2アンチハレーション層に含まれる色素の吸光度により制御されることを特徴とする導電シートの製造方法。
【請求項11】
請求項9又は10記載の導電シートの製造方法において、
前記第1感光性ハロゲン化銀乳剤層及び前記第2感光性ハロゲン化銀乳剤層の塗布銀量が、3g/m2以上、30g/m2以下であることを特徴とする導電シートの製造方法。
【請求項12】
請求項9記載の導電シートの製造方法において、
前記第1感光性ハロゲン化銀乳剤層及び前記第2感光性ハロゲン化銀乳剤層の塗布銀量が15g/m2未満であり、
前記第1アンチハレーション層及び第2アンチハレーション層への色素の塗布量が50〜250mg/m2であることを特徴とする導電シートの製造方法。
【請求項13】
請求項12記載の導電シートの製造方法において、
前記第1アンチハレーション層及び第2アンチハレーション層への色素の塗布量が70〜200mg/m2であることを特徴とする導電シートの製造方法。
【請求項14】
請求項6〜13のいずれか1項に記載の導電シートの製造方法において、
前記色素の吸光度が、0.1(無単位)以上、1.5(無単位)以下であることを特徴とする導電シートの製造方法。
【請求項15】
透明支持体と、前記透明支持体の一方の主面に形成された第1導電パターンと、前記透明支持体の他方の主面に形成された第2導電パターンとを有する導電シートを用いたタッチパネルの製造方法において、
前記透明支持体の一方の主面に形成された第1感光層と、前記透明支持体の他方の主面に形成された第2感光層とを有する感光材料を露光する露光工程と、
露光後の感光材料を現像処理して、前記第1感光層を前記第1導電パターンとし、前記第2感光層を前記第2導電パターンとする現像処理工程とを有し、
前記露光工程は、
前記第1感光層に対し、前記透明支持体に向かって光を照射して前記第1感光層を露光する第1露光処理と、前記第2感光層に対し、前記透明支持体に向かって光を照射して前記第2感光層を露光する第2露光処理とが行われ、且つ、
前記第1感光層に照射された光が前記第2感光層に実質的に到達せず、前記第2感光層に照射された光が前記第1感光層に実質的に到達しないように制御して行われることを特徴とするタッチパネルの製造方法。
【請求項16】
請求項15記載のタッチパネルの製造方法において、
前記第1導電パターンは、第1方向に配列された多数の第1導電パターンとこれら第1導電パターンにつながる多数の第1端子配線パターンとを有し、
前記第2導電パターンは、前記第1方向と直交する第2方向に配列された多数の第2導電パターンとこれら第2導電パターンにつながる多数の第2端子配線パターンとを有し、
多数の前記第1導電パターンと多数の前記第2導電パターンとが互い違いに重なっている部分がセンサ部を構成し、多数の第1端子配線パターンの部分が第1端子配線部を構成し、多数の第2端子配線パターンの部分が導電シートの第2端子配線部を構成することを特徴とするタッチパネルの製造方法。
【請求項17】
請求項16記載のタッチパネルの製造方法において、
さらに、
前記第1端子配線部及び前記第2端子配線部を前記センサ部の裏面側に折り曲げる工程とを有することを特徴とするタッチパネルの製造方法。
【請求項18】
請求項17記載のタッチパネルの製造方法において、
前記第1端子配線部は、多数の前記第1端子配線パターンが外部に導出される部分の辺の長さが、多数の前記第1端子配線パターンが多数の前記第1導電パターンと結合される部分の辺の長さよりも短く、且つ、多数の前記第1導電パターンの配列方向中央から最も離間した両側の第1導電パターンに対応する第1端子配線パターンの長さがほぼ同じであり、
前記第2端子配線部は、多数の前記第2端子配線パターンが外部に導出される部分の辺の長さが、多数の前記第2端子配線パターンが多数の前記第2導電パターンと結合される部分の辺の長さよりも短く、且つ、多数の前記第2導電パターンの配列方向中央から最も離間した両側の第2導電パターンに対応する第2端子配線パターンの長さがほぼ同じであることを特徴とするタッチパネルの製造方法。
【請求項19】
請求項15〜18のいずれか1項に記載のタッチパネルの製造方法において、
前記第1導電パターンは、2以上の導電性の第1大格子と、隣接する前記第1大格子間を電気的に接続する第1接続部とが形成され、
前記第2導電パターンは、2以上の導電性の第2大格子と、隣接する前記第2大格子間を電気的に接続する第2接続部とが形成され、
前記第1大格子及び前記第2大格子は、それぞれ2以上の小格子が組み合わされて構成され、
前記第1導電パターン及び前記第2導電パターンの線幅が1〜20μmであり、
前記小格子の一辺の長さが50〜500μmであることを特徴とするタッチパネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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