説明

導電パターン形成基板の製造方法

【課題】導電パターンの位置を所望の位置からずらすことなく、三次元形状を有する導電パターン形成基板を製造できる方法を提供する。
【解決手段】絶縁基板11と、絶縁基板11の上に設けられ、基体内に金属からなる網状部材が配置される導電部Cおよび基体内の網状部材が除去されることにより形成された空隙が配置される絶縁部Iを有する導電膜12とを備えた三次元形状を有する導電パターン形成基板10を製造する方法であって、絶縁基板11の上に、基体内に網状部材が配置される基礎膜aが少なくとも形成された成形用基板18を得る工程と、成形用基板18を三次元成形し、三次元形状基板20とする工程と、三次元形状基板20における基礎膜aにレーザ光Lを照射することによって空隙を形成し、導電膜12とする工程と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量式やメンブレン式の入力装置(タッチセンサ)等の電極シート等として用いられる導電パターン形成基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家電製品、携帯電話、パソコン、自動車等の入力装置としては、従来の機械式のボタン、スイッチ等に代わって、使用者の指等の入力体による接近操作または接触操作(摺動操作を含む。)を検出し、該操作に基づく情報を電子機器等に入力する静電容量式やメンブレン式の入力装置、いわゆるタッチセンサが注目されている。タッチセンサにおける電極シートとしては、絶縁基板の表面に導電パターンを形成した導電パターン形成基板が用いられている。
【0003】
ところで、タッチセンサにおいては、タッチセンサが設置される箇所の形状にタッチセンサを隙間なく追随させたり、タッチセンサに従来のボタンやスイッチと同様な立体的な意匠性を持たせたりするために、タッチセンサを二次元形状(平面)ではなく、三次元形状にすることが求められることがある。よって、このような場合、タッチセンサに用いられる導電パターン形成基板を、三次元形状に成形する必要がある。
【0004】
三次元形状の導電パターン形成基板の製造方法としては、印刷等によって導電パターンが形成された二次元形状(平面)の導電パターン形成基板、または該導電パターン形成基板と加飾層とを積層したものを三次元成形(真空成形や圧空成形)する方法が提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
【0005】
しかし、この方法には、下記の問題がある。
真空成形や圧空成形によって二次元形状(平面)の基板を三次元形状に成形する際には、成形後に得られる三次元形状の導電パターン形成基板における導電パターンの位置がタッチパネルにおける所定の位置となるように、型に対する基板の位置を正確に調整する必要がある。しかし、真空成形や圧空成形においては、型に対する基板の位置を正確に調整することが困難であるため、成形後に得られる三次元形状の導電パターン形成基板においては、導電パターンの位置がタッチパネルにおける所定の位置からずれてしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−244776号公報
【特許文献2】特開2010−267607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、導電パターンの位置を所望の位置からずらすことなく、三次元形状を有する導電パターン形成基板を製造できる方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の導電パターン形成基板の製造方法は、絶縁基板と、前記絶縁基板の上に設けられ、絶縁性を有する基体内に導電性を有する金属からなる網状部材が配置される導電部および前記基体内の前記網状部材が除去されることにより形成された空隙が配置される絶縁部を有する導電膜と、を備えた三次元形状を有する導電パターン形成基板を製造する方法であって、前記絶縁基板の上に、前記基体内に前記網状部材が配置される基礎膜が少なくとも形成された成形用基板を得る工程と、前記成形用基板を三次元成形し、三次元形状基板とする工程と、前記三次元形状基板における前記基礎膜にレーザ光を照射することによって前記空隙を形成し、前記導電膜とする工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の導電パターン形成基板の製造方法によれば、導電パターンの位置を所望の位置からずらすことなく、三次元形状を有する導電パターン形成基板を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明における導電パターン形成基板の一例を示す断面図である。
【図2】本発明における導電パターン形成基板の導電膜の導電部およびレーザ加工前の基礎膜の状態を説明する拡大写真である。
【図3】本発明における導電パターン形成基板の導電膜の絶縁部を説明する拡大写真である。
【図4】本発明の導電パターン形成基板の製造方法の一例を説明する断面図である。
【図5】本発明の導電パターン形成基板の製造方法に用いられる製造装置およびレーザ光の照射方法の一例を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<導電パターン形成基板>
図1は、本発明の製造方法によって得られる導電パターン形成基板の一例を示す断面図である。導電パターン形成基板10は、絶縁基板11の上に、導電部Cおよび絶縁部Iを有する導電膜12が形成されたドーム部と、配線ライン(図示略)が形成された配線接続部と、少なくともドーム部の導電膜12の表面を被覆する加飾層14と、少なくとも加飾層14の表面を被覆する保護膜16と、を備えている。
【0012】
(絶縁基材)
絶縁基板11としては、三次元成形によって成形可能のものが用いられる。また、絶縁基板11としては、絶縁性を有するとともに、表面に導電膜12を形成でき、かつ後述するレーザ加工に対して所定の照射条件において外観変化の生じにくいものを用いることが好ましい。具体的には、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)を代表とするポリエステル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)等の絶縁性材料が挙げられる。絶縁基板11は透明であってもよく、着色されていてもよい。
【0013】
(導電部)
図2に示すように、導電膜12の導電部Cは、絶縁性を有する基体2内に導電性を有する金属からなる網状部材3を備えている。すなわち、導電膜12の導電部Cは、基体2内に、厚さ方向に垂直な面方向に沿うように展開された無機物のネットワーク部材である網状部材3が保持されて形成されている。
【0014】
基体2を構成する絶縁体としては、熱可塑性樹脂(ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、フッ化ビニリデン)、熱、紫外線、電子線、放射線等で硬化する硬化性樹脂(不飽和ポリエステル樹脂、メラミンアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル変性シリケート等のシリコーン樹脂)の硬化物が挙げられ、硬化前の液状の状態において網状部材3の金属極細繊維4間に充填(含浸)できる点から、硬化性樹脂の硬化物が好ましい。
また、絶縁基板11と基体2とは、互いに同一材料または同一系統の樹脂材料からなるものを用いることが好ましい。詳しくは、例えば絶縁基板11がPETフィルムの場合、基体2にはポリエステル系樹脂を用いることが好ましい。
【0015】
網状部材3は、基体2内に分散されて互いに電気的に連結された複数の金属極細繊維4からなる。
詳しくは、これら金属極細繊維4同士は、絶縁基板11の表面(導電膜12が形成される面)の面方向に沿って互いに異なる向きに不規則に延在しているとともに、その少なくとも一部以上が互いに重なり合う(接触し合う)程度に密集して配置されており、このような配置によって互いに電気的に連結(接続)されている。
【0016】
これにより、網状部材3は、絶縁基板11の表面において、導電性の2次元ネットワークを構成しており、導電膜12の基体2内において網状部材3が配置された領域は、導電部Cとされている。また、網状部材3の金属極細繊維4は、その大部分が導電膜12の表面(絶縁基板11とは反対側を向く表面)下に配設されるが、基体2内に埋設される部分と、該基体2の表面から突出される部分とを有している。
【0017】
金属極細繊維4としては、具体的には、銅、白金、金、銀、ニッケル等からなる金属ナノワイヤや金属ナノチューブが挙げられる。本実施形態においては、金属極細繊維4として、銀を主成分とする金属ナノワイヤ(銀ナノワイヤ)が用いられている。金属極細繊維4は、例えばその直径が0.3〜100nm程度、長さが1μm〜100μm程度に形成されている。
【0018】
なお、網状部材3として、上述した金属極細繊維4以外の極細繊維、すなわちシリコンナノワイヤやシリコンナノチューブ、金属酸化物ナノチューブ、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラファイトフィブリル等の繊維状部材およびその金属被覆部材が用いられるとともに、これらが分散・連結されて構成されていても構わない。
【0019】
(絶縁部)
導電膜12の基体2内において、網状部材3の少なくとも一部が除去されることによって絶縁部Iが形成されている。すなわち、図3に示すように、基体2には、網状部材3の金属極細繊維4が除去されることによって空隙5が複数形成されており、これら空隙5が密集するように配置された領域が、絶縁部Iとされている。
【0020】
空隙5は、基体2の表面(絶縁基板11とは反対側を向く表面)の面方向に沿って互いに異なる向きに不規則に延在または点在する長穴状(長丸穴状)または穴状(丸穴状)をそれぞれなしており、前記表面に開口する部分を有して形成されている。詳しくは、空隙5は、除去された金属極細繊維4の配置されていた位置に対応するように配置されているとともに、該金属極細繊維4の直径と略同等の直径(内径)を有し、該金属極細繊維4の長さ以下に形成されている。
【0021】
より詳しくは、1つの金属極細繊維4が完全に蒸発・除去されるか、少なくとも一部が蒸発・除去されることにより、該金属極細繊維4をその延在する方向に分割するようにして、複数の空隙5が互いに間隔をあけて形成されている。すなわち、金属極細繊維4の相当位置に対応して、互いに離間する複数の空隙5が、全体として線状をなすように延在または点在して形成されている。なお、1つの金属極細繊維4の相当位置に対応して、空隙5が線状をなすように1つだけ形成されていてもよい。
【0022】
絶縁部Iにおいては、これら空隙5が形成されることによって、導体である金属極細繊維4が除去されているとともに、前記導電性の2次元ネットワークである網状部材3が除去されて(消失して)いる。
このように、絶縁部Iにおいては、基体2から金属極細繊維4が除去されていることから、該基体2(導電膜12)における導電部Cと絶縁部Iとでは、互いに化学的組成が異なっている。それにも関わらず、金属極細繊維4に相当位置に対応する空隙5が存在するため、光学的な特性が互いに大きく異ならず、絶縁性と視認不可性の2つの条件を満たすことが可能となる。
【0023】
(配線ライン)
配線ライン(図示略)は、導電膜12の導電部Cと、入力信号を検出するインターフェース回路等の検出手段(図示略)等とを電気的に接続するものである。
配線ラインの材料としては、銀、銅等の導電性金属材料が挙げられる。
【0024】
(加飾層)
加飾層14は、フィルム基材の表面に加飾用の模様、文字、図形、記号等が公知の印刷法によって形成されたものである。
フィルム基材としては、PET、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、アクリル樹脂等が挙げられる。フィルム基材は透明であってもよく、着色されていてもよい。
【0025】
(保護膜)
保護膜16は、透明な材料からなり、加飾層14や配線接続部(図示略)の表面を保護するものである。
保護膜16としては、透明な粘着材と透明なフィルム基材とからなるもの;紫外線、熱、電子線、放射線等により硬化する性質の硬化性樹脂の硬化物からなる膜;SiOからなる膜;射出成形等で作られた板状や三次元形状を有する成形品;その他、公知のハードコート層等が挙げられる。
フィルム基材としては、PET、PEN、ポリカーボネート、アクリル樹脂等が挙げられる。
【0026】
(他の実施形態)
なお、本発明における導電パターン形成基板は、図示例の導電パターン形成基板10に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、導電パターン形成基板10を透明タッチパネルに用いる場合、加飾層14を設けなくてもよい。
また、加飾層14を省略し、絶縁基板11に印刷を施してもよく、絶縁基板11にラミネート、転写等によって加飾層を設けてもよい。
【0027】
また、網状部材3は、基体2内に分散されて互いに電気的に連結された複数の金属極細繊維4からなることとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、網状部材3は、例えば、導電性を有する金属膜をエッチング等により格子状に形成してなるワイヤグリッドであってもよい。
【0028】
また、導電パターン形成基板10には、粘着、反射防止、ハードコート、ドットスペーサ等の機能層を任意で付加してもよい。なお、後述するレーザ加工においてYAGレーザやYVOレーザの基本波等の波長が1000nm近辺のレーザを用い、かつ機能層としてアクリル系高分子を用いる場合、外観特性の観点から、レーザ照射後に機能層を設けることが好ましい。
【0029】
(用途)
導電パターン形成基板10の用途としては、三次元成形品の表面に設けられる静電容量センサ(自動車のハンドル等に付随する静電容量入力装置等)等における電極シートが挙げられる。
【0030】
導電パターン形成基板10を静電容量センサに用いる場合、この静電容量センサは、導電パターン形成基板10(電極シート)と、導電パターン形成基板10の導電部Cに配線ライン(図示略)を介して電気的に接続された検出手段と、を備えて構成される。検出手段は、導電部Cに所定の周期で検出信号としての所定の電圧を印加しつつ、保護膜16の表面に対して入力体による接近操作または接触操作が行われた際の入力体と導電部Cとの間の静電容量の変化を、検出信号の波形の変化として検出する検出回路を有するものである。
【0031】
また、加飾層14を設けず、かつ絶縁基板11が透明である場合には、導電膜12が透明であるため、導電パターン形成基板10全体も透明となる。このような場合の導電パターン形成基板10の用途としては、例えば、透明アンテナ、透明電磁波シールド、静電容量式またはメンブレン式の透明タッチパネル等の透明入力装置のような、透明部分に導電パターンを形成する物品が挙げられる。なお、本実施形態における「透明」とは、50%以上の光線透過率を有するものを指す。
【0032】
導電パターン形成基板10をメンブレン式のタッチパネルに用いる場合、このタッチパネルは、導電パターン形成基板10(電極シート)が厚さ方向に積層するように一対設けられた入力部材と、導電パターン形成基板10の導電膜12の導電部Cに配線ライン(図示略)を介して電気的に接続され、入力信号を検出するインターフェース回路等の検出手段と、を備えて構成される。
【0033】
<導電パターン形成基板の製造方法>
次に、本発明の導電パターン形成基板の製造方法について、図4および図5を用いて説明する。
【0034】
導電パターン形成基板10の製造方法は、絶縁基板11の上に、基体2内に網状部材3が配置される基礎膜aが少なくとも形成された成形用基板18を得る工程と、成形用基板18を三次元成形し、三次元形状基板20とする工程と、三次元形状基板20における基礎膜aにレーザ光Lを照射することによって空隙5を形成し、導電膜12とする工程と、を有する方法である。
【0035】
導電パターン形成基板10は、具体的には、例えば下記の工程(a)〜工程(h)を順に経て製造される。
(a)絶縁基板11の上に基礎膜aを形成し、成形用基板18を得る工程。
(b)ドーム部に対応する領域の基礎膜aの上にレジスト膜(図示略)を形成する工程。
(c)配線接続部(図示略)の基礎膜aをエッチングによって除去した後、レジスト膜(図示略)を除去する工程。
(d)配線接続部(図示略)の絶縁基板11の上に、基礎膜a(導電膜12の導電部C)に電気的に接続する配線ライン(図示略)を形成する工程。
(e)成形用基板18を三次元成形し、ドーム部を形成することによって三次元形状基板20とする工程。
(f)ドーム部の基礎膜aにレーザ光Lを照射することによって空隙5を形成し、導電膜12とする工程。
(g)少なくとも導電膜12の上に、加飾層14を設ける工程。
(h)少なくとも加飾層14の上に、保護膜16を設ける工程。
【0036】
(工程(a))
図4に示されるように、まず、絶縁基板11上のドーム部に対応する領域および配線接続部(図示略)に、基体2内に網状部材3が配置される基礎膜aを形成する。基礎膜aは、上述した図2に示される導電膜12の導電部Cと同一の構成を有する導電性コーティング膜である。例えば、絶縁基板11上に金属極細繊維4を含むインク(液体)を塗布する過程を経て、該絶縁基板11上に金属極細繊維4が分散配置されることにより網状部材3が形成される。そして、絶縁基板11上に分散配置された金属極細繊維4同士の間に、液状の硬化性樹脂を充填した後、硬化させることで基体2が形成されているとともに、網状部材3は基体2内に固定配置される。
【0037】
(工程(b)〜工程(c))
次いで、フォトリソグラフィによるプロセスを用いて、絶縁基板11上の基礎膜aのうち、配線接続部(図示略)に対応する部位を除去する。
詳しくは、まず、基礎膜a上のドーム部に対応する領域にレジスト膜50を形成する。
次いで、基礎膜aのうち配線接続部(図示略)に対応する部位をエッチングにより除去した後、レジスト膜50を除去する。なお、エッチングとしては、ウェットエッチングおよびドライエッチングのいずれを用いても構わない。
【0038】
(工程(d))
配線接続部(図示略)の絶縁基板11上に、基礎膜a(導電膜12の導電部C)に電気的に接続する配線ライン(図示略)を形成する。詳しくは、配線ラインは、配線接続部(図示略)における絶縁基板11上、および基礎膜aの一部(周縁端部)に、銀や銅からなるペースト状の導電性金属材料を印刷する、または銀や銅からなる導電性金属材料を蒸着することによって形成されている。
【0039】
(工程(e))
次いで、図4に示されるように、成形用基板18のドーム部に対応する領域を三次元成形し、ドーム部を形成することによって三次元形状基板20とする。
三次元成形法としては、成形用基板18を加熱し、軟らかい状態にした後、型に押し付ける、いわゆる熱成形法が挙げられる。熱成形法としては、真空成形法、圧空成形法等が挙げられる。
【0040】
(工程(f))
次いで、図4に示されるように、三次元形状基板20のドーム部の基礎膜aにレーザ光Lを照射することによって、空隙5を形成するとともに絶縁部Iを形成して、絶縁部Iと、絶縁部I以外の部位である導電部Cと、を備えた導電膜12とする。なお、絶縁基板11が透明な場合は、絶縁基板11の側から絶縁基板11越しに基礎膜aにレーザ光Lを照射しても構わない。
【0041】
詳しくは、これら空隙5は、網状部材3の金属極細繊維4が配置される領域にレーザ光として短パルスのパルス状レーザであるレーザ光Lを照射して、該金属極細繊維4を蒸発・除去することにより形成されている。
金属極細繊維4からなる2次元ネットワークである網状部材3に短パルスのパルス状レーザであるレーザ光Lを照射することによって、網状部材3の少数箇所を破壊するだけで効率よく絶縁化が可能であり、レーザ光Lの照射によって金属極細繊維4の相当位置に対応して互いに離間する複数の空隙5が存在する絶縁部Iを形成することが可能となる。
【0042】
なお、前記短パルスとは、パルス幅が300n秒以下に設定されることを指し、好ましくはパルス幅は70n秒以下に設定される。
このパルス状レーザとしては、例えばYAGレーザまたはYVOレーザを用いることができる。YAGレーザまたはYVOレーザを用いる場合、パルス幅が5〜300n秒程度の、加工機として一般に広く使用されているものが利用可能である。
【0043】
ここで、レーザ光Lを照射する製造装置40およびレーザ光Lの照射方法について、図5を参照して詳述する。
本実施形態では、ドーム部の基礎膜aに、短パルスのパルス状レーザであるレーザ光Lを所定のパターンで照射する方法を用いている。
【0044】
図5に示されるように、本実施形態の導電パターン形成基板10の製造に用いられる製造装置40は、レーザ光Lを発生させるレーザ光発生手段41と、レーザ光Lを集光する集光手段である凸レンズ等の集光レンズ42と、上面に基礎膜aが形成された三次元形状基板20を載置するステージ43と、を備えている。
そして、レーザ光発生手段41から集光レンズ42を介して基礎膜aにレーザ光Lを照射して、該基礎膜aに絶縁部Iを形成するとともに導電パターンを形成する。
【0045】
この製造装置40におけるレーザ光発生手段41としては、波長2μm未満でパルス幅が200n秒未満のレーザ光(可視光または赤外線のレーザ光)を発生させるものが用いられる。レーザ光Lのパルス幅が1〜200n秒のものを用いた場合、装置入手が容易であるとともに設備費用を低減でき、好ましい。
【0046】
集光レンズ42の焦点Fは、基礎膜aから離れた位置に設定されている。詳しくは、集光レンズ42は、基礎膜aと集光レンズ42との間にレーザ光Lの焦点Fが位置するように配置される。すなわち、本実施形態の導電パターン形成基板10の製造方法では、集光レンズ42(レーザ光L)の焦点Fを、加工する基礎膜aと集光レンズ42との間に配置している。
【0047】
集光レンズ42としては、低い開口数(NA<0.1)のものが好ましい。すなわち、集光レンズ42の開口数がNA<0.1とされることにより、レーザ光Lの照射条件設定が容易となり、特にレーザ光Lの焦点Fが基礎膜aと集光レンズ42との間に位置することによる、該焦点Fにおける空気のプラズマ化に伴うエネルギ損失とレーザ光Lの拡散を防止することができる。
【0048】
さらに、基礎膜aが、例えば金属極細繊維4からなる網状部材3の繊維(素線)間に樹脂からなる基体2を充填(含浸)して形成されているとともに、樹脂フィルムからなる絶縁基板11上に設けられている場合、上述の設定によって、基礎膜aの基体2内に埋設された金属極細繊維4を基体2から確実に除去することができる。したがって、所望の絶縁部Iの形状に対応して空隙5が確実に形成されることになり、例えば直線パターンのコーナ部等、従来では大きなRに設定しなければ絶縁化できなかったパターンであっても、小さなR設定で(またはRを付与せずに)絶縁化処理が確実かつ容易に実現できる。
【0049】
また、ステージ43は、水平方向に2次元的に移動可能に構成されている。ステージ43は、少なくとも上面側が透明な部材または光線吸収性を有する部材で構成されていることが好ましい。
ステージ43は、絶縁基板11が透明でレーザ光Lの出力が1Wを超える場合、ナイロン系もしくはフッ素系の樹脂材料、またはシリコーンゴム系の高分子材料を用いることが好ましい。
【0050】
このような構成とされた製造装置40を用いて、基礎膜aにレーザ光Lを照射する方法は、下記のとおりである。
まず、ステージ43の上面に、三次元形状基板20を、基礎膜aが絶縁基板11の上側に配置されるように載置する。
【0051】
次いで、レーザ光発生手段41よりレーザ光Lを出射させ、レーザ光Lを集光レンズ42により集光する。その集光したレーザ光Lの、焦点Fを過ぎてスポット径が広がった部分を基礎膜aに照射する。その際、ステージ43を、レーザ光Lの照射が所定のパターンになるように移動させる。
【0052】
基礎膜aに照射するレーザ光Lのエネルギ密度および単位面積あたりの照射エネルギは、レーザのパルス幅により異なる。
例えば、パルス幅が1〜100n秒のレーザ(YAGレーザまたはYVOレーザ)では、エネルギ密度1×1011〜7×1013W/m、単位面積あたりの照射エネルギは1×10〜1×10J/mが好ましく、1×10〜3×10J/mがより好ましい。
エネルギ密度・照射エネルギが前記数値範囲よりも小さな値に設定された場合、絶縁部Iの絶縁が不十分になるおそれがある。また、前記数値範囲よりも大きな値に設定された場合、加工痕が目立つようになり、透明タッチパネルや透明電磁波シールド等の用途では不適当となるおそれがある。
【0053】
また、これらの値は、加工エリアにおけるレーザビームの出力値を、加工エリアの集光スポット面積で除することにより定義されており、簡便には、出力はレーザ発振機からの出力値に光学系の損失係数を掛けることで求められる。
また、スポット径面積Sは、下記式により定義される。
S=S×D/FL
:レンズで集光されるレーザのビーム面積
FL:レンズの焦点距離
D:基礎膜aの表面(上面)と焦点との距離
【0054】
なお、前記焦点Fは、レンズ等の集光手段42で、収差が十分に小さい場合を例に説明したが、例えば、焦点距離の短い球面レンズや、保護ガラス等の収差が大きくなる要素が存在する場合には、前記焦点Fは、集光点のエネルギ密度が最も高くなる位置と定義される。
【0055】
ここで、距離Dは、焦点距離FLの0.2%〜3%の範囲内に設定される。好ましくは、距離Dは、焦点距離FLの0.5%〜2%の範囲内に設定される。さらに望ましくは、距離Dは、焦点距離FLの0.7%〜1.5%の範囲内に設定される。距離Dが前記数値範囲に設定されることにより、絶縁部Iにおける金属極細繊維4の除去(空隙5の形成)が確実に行えるとともに電気的に高い信頼性を有する絶縁パターン(導電パターン)を形成でき、かつ、絶縁基板11の損傷に起因する加工痕を確実に防止できる。
【0056】
また、精度の高い導電パターンを形成する点では、基礎膜a上にスポットの位置を移動させながらパルス状のレーザ光Lを断続的に複数回照射することで、隣り合うスポット位置同士に重複する部分を形成することが好ましい。具体的には、断続的に3〜500回照射することが好ましく、20〜200回照射することがより好ましい。3回以上の照射であれば、より確実に絶縁化でき、500回以下であれば、レーザ光Lが照射された基体2部分の溶解または蒸発による除去を防止できる。
【0057】
このように、基礎膜aにレーザ光Lを照射することにより、基体2内の網状部材3の少なくとも一部が除去されてなる絶縁部Iを形成して、絶縁部Iと、基体2内に網状部材3が配置されてなる導電部Cと、を備えた導電パターンとする。すなわち、基礎膜aにパターニングが施され、導電部Cと絶縁部Iとからなる導電パターンを備えた導電膜12が形成されるのである。
【0058】
(工程(g))
次いで、図4に示されるように、少なくとも導電膜12上に、加飾層14を設ける。
加飾層14は、例えば、フィルム基材の表面に加飾用の模様、文字、図形、記号等が公知の印刷法によって形成された加飾用フィルムを、真空圧着等の公知の方法によって、導電膜12上にラミネートすることによって設けられる。
【0059】
(工程(h))
次いで、図4に示されるように、少なくとも加飾層14上に保護膜16を設ける。保護膜16は、配線接続部(図示略)の配線ライン(図示略)を覆うように配線接続部(図示略)の絶縁基板11上の全体にも設けることが好ましい。
フィルム基材からなる保護膜16は、例えば、導電膜12上に、透明な粘着材を介して透明なフィルム基材をラミネートして設けることができる。
硬化性樹脂の硬化物からなる保護膜16は、例えば、導電膜12上に、液状の硬化性樹脂を塗工し、硬化して形成できる。
SiOからなる保護膜16は、例えば、導電膜12上に、SiOをスパッタリングして形成できる。
【0060】
(作用効果)
以上説明したように、本実施形態に係る導電パターン形成基板10の製造方法によれば、まず製造の初期段階で、絶縁基板11上の全体(ドーム部に対応する領域および配線接続部)に基礎膜aを形成している。そして、この絶縁基板11上において、配線接続部(図示略)については、フォトリソプロセスを用いて基礎膜aを広範囲かつ迅速に除去するので、作業性がよい。
【0061】
一方、絶縁基板11上において、ドーム部については、レーザ光Lを照射することにより導電パターンを形成して、導電膜12としている。詳しくは、導電膜12の基体2において、導電性を有する網状部材3の配置領域が導電部Cとされ、網状部材3が除去されて形成された空隙5の配置領域が絶縁部Iとされている。すなわち、導電部Cにおいては、金属からなる網状部材3により導通が確保されており、絶縁部Iにおいては、網状部材3が除去されて形成された空隙5により電気的な絶縁状態が確実に得られるようになっている。
【0062】
つまり、従来の金属ナノワイヤ等を用いた導電膜では、基体2内に分散されて互いに電気的に連結された金属ナノワイヤ等からなる網状部材3が、導電部Cのみならず絶縁部Iにも残っていた(絶縁部Iに、分断された状態の網状部材3を積極的に残留させて、パターンが視認されにくいようにしていた)ことから、該絶縁部Iにおいて確実に絶縁を行うことは難しかった。
一方、本実施形態の構成によれば、絶縁部Iの網状部材3(金属極細繊維4)が空隙5に置き換わるように除去されていて、絶縁部Iと導電部Cとでは互いに化学的組成が異なっている。これにより、絶縁部Iが確実に絶縁されることから、導電膜12における電気的特性(性能)が安定するとともに、製品(入力装置)としての信頼性が高められている。
【0063】
さらに、絶縁部Iにおいては、網状部材3が除去されて該網状部材3(金属極細繊維4)に相当(対応)する形状の空隙5が形成されている。すなわち、このような空隙5が形成されていることによって、導電部Cと絶縁部Iとは、互いに色調や透明性が近似することになり、肉眼等によっては互いに判別(視認)されなくなっている。よって、絶縁部Iの幅を大きく形成しても導電パターンが視認されるようなことがない。
【0064】
また、網状部材3は、基体2内に分散されて互いに電気的に連結された金属極細繊維4からなるので、この網状部材3は、市販の金属ナノワイヤや金属ナノチューブ等の金属極細繊維4を用いて比較的容易に形成できる。
【0065】
さらに、本実施形態のように、金属極細繊維4に銀を主成分としたものを用いた場合、該金属極細繊維4を比較的容易に入手して網状部材3として用いることができる。また、絶縁部Iの網状部材3(金属極細繊維4)をレーザ加工により除去する際に、市販の一般的なレーザ加工機で対応可能である。また、銀を主成分とする金属極細繊維4は、光線透過率が高く、かつ、表面抵抗率が低い無色透明の導電パターンを形成できることから、より好ましい。
【0066】
具体的に、この導電パターン形成基板10の製造方法によれば、レーザ光Lとして、例えばYAGレーザやYVOレーザ等の一般的なパルス状レーザを用いて、精緻な導電パターンを有するとともに外観に優れた導電パターン形成基板10を容易に製造できる。
【0067】
また、基礎膜aのレーザ加工においては、集光レンズ42(レーザ光L)の焦点Fを、基礎膜aから離れた位置に設けて、詳しくは、焦点Fを基礎膜aと集光レンズ42との間に設けてレーザ光Lを照射するので、絶縁基板11に当たるレーザ光Lのスポット径は、基礎膜aに当たるレーザ光Lのスポット径より大きくなる。これにより、基礎膜aにおいてはレーザ光Lのエネルギ密度を確保して絶縁部Iを確実に形成しつつ、絶縁基板11においてはレーザ光Lのエネルギ密度を低減させて、該絶縁基板11の損傷を防止できる。
【0068】
また、レーザ光Lを基礎膜a上に照射した照射スポットが、点状ではなく面状に形成されるため、基礎膜aを加工しつつも絶縁基板11に影響を与えないような照射エネルギ密度の制御が、従来の方法に比較して容易となる。さらに、基礎膜aに対して線幅の太い絶縁パターンを一括して描画することが可能になり、いわゆる塗りつぶし加工が容易になるとともに、前記絶縁パターンの幅を大きく取ることができることから、絶縁部Iの絶縁性が向上する。
【0069】
また、レーザ光Lを、基礎膜a上にスポットの位置を移動させながら断続的に複数回照射するとともに、隣り合うスポットの位置同士を重複させて絶縁部Iを形成するので、高精度で電気的特性に優れ、外観の良い導電パターンを備えた導電膜12および導電パターン形成基板10が得られる。
【0070】
また、基礎膜aの基体2と絶縁基板11とが、互いに同一材料または同一系統の樹脂材料からなる場合には、下記の効果を奏する。すなわち、基礎膜aの基体2におけるレーザ光Lの吸光度と、絶縁基板11におけるレーザ光Lの吸光度とが互いに略同一となることから、基礎膜aにおけるレーザ光Lのエネルギ密度を十分に確保しつつも、絶縁基板11におけるレーザ光Lのエネルギ密度を低減でき、上述した効果が確実に得られることになる。また、絶縁基板11上に基礎膜a(導電膜12)が強固に接着しやすくなる。
【0071】
また、網状部材3が、絶縁基板11上に金属極細繊維4を含むインク(液体)を塗布する過程を経て、該絶縁基板11上に金属極細繊維4が分散配置されることによって形成されている。また、このように絶縁基板11上に分散配置された金属極細繊維4同士の間に、液状の基体2(液状部材)を充填した後硬化させることによって、網状部材3は基体2内に保持されるので、下記の効果を奏する。すなわち、絶縁基板11上の基礎膜a内に、網状部材3を容易に設けることができるとともに、該網状部材3を構成する金属極細繊維4同士が電気的に確実に連結されて、導電部Cの電気的特性が安定する。また、網状部材3が基体2により安定して保持されるので、上述の電気的特性が長寿命化する。
【0072】
また、配線ライン(図示略)が、導電性金属材料を印刷または蒸着し形成されているので、該配線ライン(図示略)が導電膜12の導電部Cと外部回路とを低抵抗に確実に接続して、電気的な信頼性が確保されている。また、配線ライン(図示略)が目視で確認できるので、製造時の異常等について容易かつ早期に発見できる。
【0073】
また、少なくとも導電膜12上に、保護膜16が設けられているので、該導電膜12が外気、水分に接触するようなことがなく、この接触によるマイグレーションや劣化を確実に防止できる。本実施形態のように、保護膜16を絶縁基板11上の全域に設けた場合には、導電膜12のみならず配線ライン(図示略)のマイグレーションや劣化をも防止できより好ましい。
【0074】
そして、絶縁基板11上に基礎膜aを形成した成形用基板18を三次元成形した後に、基礎膜aにレーザ光Lを照射することによって空隙5を形成し、導電膜12としているので、絶縁部Iに対応する位置に正確にレーザ光Lを照射することができる。そのため、導電パターンの位置が所望の位置からずれることがない。
【0075】
このように、本実施形態の導電パターン形成基板10の製造方によれば、配線接続部の形成に手間がかからず製造が容易であり、ドーム部においては導電パターンが視認されにくく外観に優れた高品位な導電膜12を形成できるとともに、該導電膜12の絶縁部Iの絶縁性が十分に確保され、電気的な信頼性が向上し、しかも導電パターンの位置が所望の位置からずれることがないのである。
【0076】
(他の実施形態)
なお、本発明の導電パターン形成基板の製造方法は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
【0077】
例えば、加飾層14を設けない場合、三次元成形(工程(e))の前に基礎膜aの表面に透明な保護膜16を設けてもよい。この場合、レーザ加工(工程(f))においては、保護膜16の側から保護膜16越しに、基礎膜aにレーザ光Lを照射してもよく、絶縁基板11が透明な場合は、絶縁基板11の側から絶縁基板11越しに基礎膜aにレーザ光Lを照射してもよい。
【0078】
また、上述の実施形態では、レーザ加工(工程(f))において、レーザ光Lの焦点Fを基礎膜aと集光レンズ42との間に配置することとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、レーザ光Lの照射によって、基体2内の網状部材3が除去されることによって空隙5が形成されればよいことから、この条件を満たすものであれば、例えば焦点Fを基礎膜a上に配置しても構わない。
【0079】
また、上述の実施形態では、YAGレーザまたはYVOレーザを用いて基礎膜aにレーザ光Lを照射することとしたが、レーザ加工装置の種類は上述のものに限定されない。すなわち、レーザ光Lの照射によって前記空隙5を形成できるものであればよいことから、YAGレーザおよびYVOレーザ以外の周知のレーザ加工装置を用いても構わない。
【0080】
また、上述の実施形態では、XYステージ等の移動式ステージ43に基礎膜aを有する絶縁基板11を載せてパターニングを行うこととしたが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、基礎膜aを有する絶縁基板11を固定状態とし、集光系部材を相対的に移動させる方法、ガルバノミラー等を用いてレーザ光Lを走査しスキャンする方法、または前記したもの同士を組み合わせてパターニングを行うことが可能である。
【0081】
その他、本発明の上述の実施形態等で説明した構成要素を、適宜組み合わせても構わない。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の構成要素を周知の構成要素に置き換えることも可能である。
【実施例】
【0082】
以下、実施例を示す。なお、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0083】
〔実施例1〕
厚さ75μmのPETフィルム(東レ社製、ルミラーS10 #75)に、Cambrios社のOhm(商品名)インク(線径50nm程度、長さ15μm程度の銀繊維を含む混合液)を塗布し、乾燥した後、紫外線硬化性のポリエステル樹脂インクを上塗りして、乾燥・紫外線処理を施した。これにより、PETフィルム上に銀繊維からなる導電性の2次元ネットワークを有する基礎膜aを形成し、成形用基板18を得た。
【0084】
成形用基板18を、真空成形装置を用いて図4に示すようなドーム状に三次元成形し、三次元形状基板20を得た。
レーザ光照射装置として、ガルバノミラーを備えたYVO基本波のレーザ加工機(キーエンス社製、MD−V9920)を用意した。
三次元形状基板20を厚さ5mmのポリアセタール製ステージの上に載置し、下記照射条件でレーザ光Lを照射して、絶縁パターンを設けた。
焦点から三次元形状基板20までの距離:0mm
出力:30%
移動速度:600mm/秒
発振周波数:100kHz
【0085】
これにより、絶縁部Iが視認不能な導電パターン形成基板を得た。導電パターンは所望の位置に形成されていた。隣接する導電部C同士の電気抵抗は10Ω以上であり、絶縁部Iの絶縁性が十分に確保されていた。
【符号の説明】
【0086】
2 基体
3 網状部材
4 金属極細繊維
5 空隙
10 導電パターン形成基板
11 絶縁基板
12 導電膜
18 成形用基板
20 三次元形状基板
a 基礎膜
C 導電部
I 絶縁部
L レーザ光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、
前記絶縁基板の上に設けられ、絶縁性を有する基体内に導電性を有する金属からなる網状部材が配置される導電部および前記基体内の前記網状部材が除去されることにより形成された空隙が配置される絶縁部を有する導電膜と、
を備えた三次元形状を有する導電パターン形成基板を製造する方法であって、
前記絶縁基板の上に、前記基体内に前記網状部材が配置される基礎膜が少なくとも形成された成形用基板を得る工程と、
前記成形用基板を三次元成形し、三次元形状基板とする工程と、
前記三次元形状基板における前記基礎膜にレーザ光を照射することによって前記空隙を形成し、前記導電膜とする工程と、
を有する、導電パターン形成基板の製造方法。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−164552(P2012−164552A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24829(P2011−24829)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】