説明

導電ペースト及び太陽電池用導電性粒子分散ペースト

【課題】焼結性が高く、シリコン半導体基板との密着性に優れる電極を形成することが可能な導電ペースト、及び、太陽電池の裏面アルミ電極を形成する際に好適に使用可能な太陽電池用導電性粒子分散ペーストを提供する。
【解決手段】(メタ)アクリル樹脂と、導電微粒子と、有機溶剤とを含有する導電ペーストであって、前記(メタ)アクリル樹脂は、エステル置換基の炭素数が1〜6のアクリルモノマーとエステル置換基に水酸基又はポリエチレンオキサイドを有するアクリルモノマーとから得られるものであり、前記エステル置換基に水酸基又はポリエチレンオキサイドを有するアクリルモノマーの組成比が5重量%以上40重量%未満であり、かつ、重量平均分子量が5000〜40000であり、前記(メタ)アクリル樹脂の含有量が、1〜10重量%である導電ペースト。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼結性が高く、シリコン半導体基板との密着性に優れる電極を形成することが可能な導電ペースト、及び、太陽電池の裏面アルミ電極を形成する際に好適に使用可能な太陽電池用導電性粒子分散ペーストに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、導電性粉末、セラミック粉末等の無機微粒子をバインダー樹脂に分散させた無機微粒子分散ペーストが、様々な形状の焼結体を得るために用いられている。特に、無機微粒子として蛍光体をバインダー樹脂に分散させた蛍光体ペーストや、低融点ガラスを分散させたガラスペーストは、プラズマディスプレイパネル等に用いられ、近年需要が高まりつつある。
また、無機微粒子としてチタン酸バリウムやアルミナをバインダー樹脂に分散させたセラミックペーストは、グリーンシートに成形され、積層型の電子部品、例えば、積層セラミックコンデンサに用いられている。
更に、太陽電池パネルの裏面電極にも、導電ペーストが用いられており、例えば、アルミニウム粉を分散させたペーストをスクリーン印刷等によって塗布し、乾燥した後、焼成することにより形成されている。
【0003】
一方、太陽電池パネルを構成する太陽電池セルについては、コストダウンの要求が高まっており、その方法として、シリコン半導体基板を薄くすることが検討されている。
しかしながら、シリコン半導体基板を薄くした場合、シリコンとアルミニウムとは熱膨張係数が大きく異なるため、熱膨張係数の差に起因して内部応力が発生することで、導電ペーストで形成された裏面電極が凹状になるようにシリコン半導体基板が変形し、反り又は割れが発生するという問題があった。
【0004】
このような課題を解決するため、特許文献1には、半導体基板の裏面全体にアルミニウム含有ペーストを薄く塗布し、その上から厚みを厚くしたい部分にアルミニウム含有ペーストを再度塗布した後、焼成することにより、半導体基板の裏面に2種以上の層からなる裏面電極層を形成する方法が開示されている。
また、特許文献2には、半導体基板の裏面に形成する裏面電極の形状を格子状とする方法が開示されている。
特許文献3には、アルミニウム含有ペーストとして、アルミニウム粉末、ガラスフリット、有機質ビヒクル及びアルミニウム含有有機化合物を用いる方法が開示されており、特許文献4には、熱膨張率がアルミニウムよりも小さく、かつ、溶融温度、軟化温度及び分解温度のいずれかがアルミニウムの融点よりも高い無機化合物、アルミニウム粉末及び有機質ビヒクルを含むペースト組成物を用いる方法が開示されている。
更に、特許文献5には、従来のペースト組成物に有機化合物粒子及び炭素粒子のうち少なくとも1種を添加して、焼成時のアルミニウム電極の収縮を抑止することにより、シリコン半導体基板の反りを低減する方法が開示されている。
【0005】
しかしながら、これらの方法で用いられているアルミニウム含有ペーストは、バインダー樹脂として、エチルセルロースを用いている。エチルセルロースは熱分解性が悪いという性質を有するため、短時間の焼成プロセスでは有機物質が残りやすく、緻密な膜を作製しにくいことから、ペーストを厚く塗布する必要があり、その結果、シリコン半導体基板の反りを防ぐことができないという問題点があった。また、緻密な膜が得られないことによって、電気抵抗も高くなってしまうという問題点もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−217435号公報
【特許文献2】特開2002−141533号公報
【特許文献3】特開2000−90734号公報
【特許文献4】特開2003−223813号公報
【特許文献5】特開2004−134775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、焼結性が高く、シリコン半導体基板との密着性に優れる電極を形成することが可能な導電ペースト、及び、太陽電池の裏面アルミ電極を形成する際に好適に使用可能な太陽電池用導電性粒子分散ペーストに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(メタ)アクリル樹脂と、導電微粒子と、有機溶剤とを含有する導電ペーストであって、前記(メタ)アクリル樹脂は、エステル置換基の炭素数が1〜6のアクリルモノマーとエステル置換基に水酸基又はポリエチレンオキサイドを有するアクリルモノマーとから得られるものであり、前記エステル置換基に水酸基又はポリエチレンオキサイドを有するアクリルモノマーの組成比が5重量%以上40重量%未満であり、かつ、重量平均分子量が5000〜40000であり、前記(メタ)アクリル樹脂の含有量が、1〜10重量%未満である導電ペーストである。
以下に本発明を詳述する。
【0009】
太陽電池セルの製造工程において、アルミニウム粉末等を含有するペーストを焼成した後のシリコン半導体基板に反りが生じる原因としては、焼成によってアルミニウム粉末の粒子同士が融着し、体積収縮することが挙げられる。
このような課題に対しては、ペースト中のアルミニウム粉末の組成比を高めることで反り量を小さくすることが考えられるが、この場合、ペースト粘度が高くなるため、粘度をこれまでと同じレベルにするには、バインダー樹脂を少なくする必要があった。その結果、アルミニウム粉末の分散性が悪化して貯蔵安定性や塗工性が低下したり、塗布乾燥後のシリコン半導体基板への密着性が悪化したりする等の問題が発生していた。
【0010】
本発明者らは、鋭意検討した結果、所定の構造を有する(メタ)アクリル樹脂と、無機微粒子と、有機溶剤とを含有する導電ペーストを用いることで、スクリーン印刷性や導電ペーストの貯蔵安定性を確保しつつ、シリコン半導体基板への密着性と、反りの防止を両立させることが可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
以下に本発明について説明する。
【0011】
本発明の導電ペーストは、(メタ)アクリル樹脂を含有する。
上記(メタ)アクリル樹脂は、エステル置換基の炭素数が1〜6のアクリルモノマーとエステル置換基に水酸基又はポリエチレンオキサイドを有するアクリルモノマーとから得られるものである。
【0012】
上記エステル置換基の炭素数が1〜6のアクリルモノマーを用いることで、焼結時に残渣の少ない(メタ)アクリル樹脂とすることができる。
上記エステル置換基の炭素数が1〜6のアクリルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種からなるアクリルモノマーが好ましい。
これらのなかでは、ガラス転移温度(Tg)が高く、少ない樹脂の量で高い粘度が得られることから、メチル(メタ)アクリレートが好ましい。
ここで、例えば(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0013】
上記(メタ)アクリル樹脂中の上記エステル置換基の炭素数が1〜6のアクリルモノマーに由来するセグメントの含有量は好ましくは30重量%以上、95重量%未満であることが好ましい。上記極性基を有するモノマーに由来するセグメントの含有量が30重量%未満であると、バインダー樹脂の焼結性が悪くなることがある。95重量%以上であると、シリコン半導体基板との密着性が悪くなることがある。
より好ましくは、40重量%以上、90重量%以下である。上記範囲内とすることで、焼結性及びシリコン半導体基板との密着性に優れたバインダー樹脂とすることができる。
【0014】
上記(メタ)アクリル樹脂は、エステル置換基に水酸基又はポリエチレンオキサイドを有するアクリルモノマーに由来するセグメントを有する。これにより、シリコン半導体基板との密着性を確保することができる。
なお、メタクリル酸等のようにカルボキシル基(酸性基)を有するものや、アミノメタクリレート等のようにアミノ基(塩基性基)を有するアクリルモノマーは、上記エステル置換基に水酸基又はポリエチレンオキサイドを有するアクリルモノマーには含まれない。これらのアクリルモノマーに由来するセグメントを有する場合、シリコン半導体基板との密着性は改善されるが、バインダーの焼結性を悪化させるため、好ましくない。
【0015】
上記エステル置換基に水酸基を有するアクリルモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、3−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート等が挙げられる。
【0016】
上記エステル置換基にポリエチレンオキサイドを有するアクリルモノマーとしては、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、エトキシジエチレングリコールメタクリレート等が挙げられる。
また、ポリエチレンオキサイドやメトキシポリエチレングリコール等をグラフトしたものを用いてもよい。具体的には例えば、メトキシポリオキシエチレングラフトメタクリレート、エトキシポリオキシエチレングラフトメタクリレート等が挙げられる。
【0017】
上記エステル置換基にポリエチレンオキサイドを有するアクリルモノマーにおけるポリエチレンオキシドの繰り返し数は、2以上100未満であることが好ましい。繰り返し数が2未満であると、シリコン半導体基板との密着性が不充分となることがあり、100以上であると、溶媒への溶解性が悪化し、重合できなくなる可能性がある。より好ましくは、9以上30未満である。上記範囲内とすることで、バインダー樹脂の焼結性とシリコン半導体基板との密着性が良好となり、導電ペーストの塗布乾燥膜の強度が高くことから、ベルト炉でのダメージを抑えることができる。
【0018】
上記(メタ)アクリル樹脂において、上記エステル置換基に水酸基又はポリエチレンオキサイドを有するアクリルモノマーに由来するセグメントの含有量は5重量%以上、40重量%未満である。
上記エステル置換基に水酸基又はポリエチレンオキサイドを有するアクリルモノマーに由来するセグメントの含有量が5重量%未満であると、シリコン半導体基板との密着性が不充分となるため、例えば、焼結中にベルト炉に擦れて電極が剥げたりする可能性がある。40重量%以上であると、スクリーン印刷版の透過性が悪くなり、塗布量が不充分となることがある。より好ましくは15〜30重量%である。この範囲内であればシリコン半導体基板との密着性が更に向上する。
【0019】
上記(メタ)アクリル樹脂は、分子末端に親水性官能基を有することが好ましい。上記親水性官能基は特に限定されないが、酸性基、窒素含有基であることが好ましい。
特に、上記酸性基としては、カルボキシル基が好ましく、上記窒素含有基としては、ニトリル基、アミノ基、アミド基及びアミジン基が好ましい。
なお、上記(メタ)アクリル樹脂が、分子末端に親水性官能基を有することは、例えば、13C−NMRにより確認することができる。
【0020】
一般に、アクリルモノマーのエステル置換基にカルボキシル基、アミノ基、アミド基等の相互作用性の高い官能基を導入した(メタ)アクリル樹脂を用いた場合には、導電ペーストの焼成工程において、(メタ)アクリル樹脂の解重合が阻害されて熱分解終了温度が高くなり、熱分解性が極めて悪化する。
これに対して、分子末端に親水性官能基を有する(メタ)アクリル樹脂を用いた場合には、(メタ)アクリル樹脂の解重合が阻害されず、熱分解終了温度にはほとんど影響しない。
【0021】
本発明では、上記(メタ)アクリル樹脂が、分子末端に酸性基と窒素含有基とを両方有するものであることが好ましい。
例えば、導電微粒子としてアルミニウム粉末を使用する場合、上記アルミニウム粉末は、表面が酸化され、酸化アルミニウムになっている場合が多いが、この酸化アルミニウムは窒素含有基との相互作用性が高い。一方で、酸化されていない金属アルミニウムは酸性基との相互作用性が高い。
従って、上記(メタ)アクリル樹脂が、分子末端に酸性基と窒素含有基とを両方有することで、(メタ)アクリル樹脂の一方の分子末端がアルミニウム粉末の表面に吸着し、他方は有機溶剤側へ伸びた形態となり、アルミニウム粉末の再凝集を防ぐことで、分散安定性を向上させることができる。これにより、アルミニウム粉末の酸化状況は一様ではない場合でも、確実に分散安定性を改善することができる。
なお、上述のように、上記(メタ)アクリル樹脂が、分子末端に酸性基と窒素含有基とを両方有する場合のほか、分子末端に酸性基を有する(メタ)アクリル樹脂と、分子末端に窒素含有基を有する(メタ)アクリル樹脂とを混合して用いる場合でも同様の効果を発現することができる。
【0022】
上記(メタ)アクリル樹脂のポリスチレン換算による重量平均分子量の下限は5000、上限は40000である。上記重量平均分子量が5000未満であると、導電ペーストは、充分な粘度が得られず、導電微粒子が沈降し、40000を超えると、導電ペーストのスクリーン版透過性が悪くなり高速印刷でカスレが生じる。上記重量平均分子量の好ましい上限は3万であり、より好ましい上限は2.5万である。特に、上記(メタ)アクリル樹脂のポリスチレン換算による重量平均分子量が1.5万〜2.5万であると、充分な粘度が確保でき、かつ、高速スクリーン印刷性がより良い導電ペーストが得られるため好ましい。
なお、ポリスチレン換算による重量平均分子量は、カラムとして、例えば、カラムLF−804(昭和電工社製)を用いてGPC測定を行うことで得ることができる。
【0023】
上記(メタ)アクリル樹脂は、350〜400℃程度の低温で分解するものであることが好ましい。低温で分解することにより、高温まで温度を上昇させて焼結したときの焼結性をより優れたものとすることができる。
【0024】
本発明の導電ペーストにおける上記(メタ)アクリル樹脂の含有量は下限が1重量%、上限が10重量%である。上記(メタ)アクリル樹脂の含有量が1重量%未満であると、得られる導電ペーストは、充分な粘度が得られず、導電ペーストの貯蔵安定性が悪くなり、導電微粒子の沈降や溶液の分離等が発生することがある。含有量が10重量%を超えると、得られる導電ペーストは、焼結時に残渣が残りやすく形成される電極の抵抗値が悪くなる。
上記(メタ)アクリル樹脂の含有量の好ましい下限は1.2重量%、好ましい上限は5重量%である。
【0025】
上記(メタ)アクリル樹脂を作製する方法としては特に限定されず、例えば、カルボキシル基、アミノ基、アミド基等の親水性官能基を有する重合開始剤のもとで、上記エステル置換基の炭素数が1〜6のアクリルモノマーとエステル置換基に水酸基又はポリエチレンオキサイドを有するアクリルモノマーとをフリーラジカル重合法、リビングラジカル重合法、イニファーター重合法、アニオン重合法、リビングアニオン重合法等の従来公知の方法で共重合する方法や、親水性官能基を有する連鎖移動剤のもとで、上記エステル置換基の炭素数が1〜6のアクリルモノマーとエステル置換基に水酸基又はポリエチレンオキサイドを有するアクリルモノマーとをフリーラジカル重合法、リビングラジカル重合法、イニファーター重合法、アニオン重合法、リビングアニオン重合法等の従来公知の方法で共重合する方法等が挙げられる。これらの方法は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
上記(メタ)アクリル樹脂を作製する方法においては、重合開始剤としてカルボキシル基、アミノ基、アミド基等の親水性官能基を有する、アゾ系重合開始剤を用いることにより、より多くの分子末端に親水性官能基を導入することができる。
上記アゾ系重合開始剤としては特に限定されないが、カルボキシル基等の酸性基と窒素含有基を有するアゾ系重合開始剤が好ましく、具体的には例えば、2,2’−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン)テトラハイドレート又は4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)等を好ましく用いることができる。
上記重合開始剤を用いて、(メタ)アクリル樹脂を作製した場合、全ての分子末端に親水性官能基が導入されるわけではないが、必ずしも全ての樹脂分子の末端に導入されなくても、充分な分散安定性効果を発揮することができる。
【0027】
本発明の導電ペーストは、有機溶剤を含有する。
上記有機溶剤としては、沸点が200℃以上300℃未満の有機溶剤を用いることが好ましい。
上記沸点が200℃以上300℃未満の有機溶剤は特に限定されないが、例えば、テルピネオール、テキサノール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、プロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ベンジルグリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールドデシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールドデシルエーテルアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノオレエート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノオレエートアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノラウレート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジアセタート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノステアレート、トリエチレングリコールモノベンジルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセタート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコール、テトラエチレングリコールドデシルエーテル、テトラエチレングリコールモノオクチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、ペンタエチレングリコールドデシルエーテル、ヘプタエチレングリコールドデシルエーテル、ヘキサエチレングリコールドデシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等が挙げられる。
中でもテルピネオール、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテルは上記(メタ)アクリル樹脂との相溶性も優れており、粘度も高いため、好ましく用いることができる
【0028】
本発明の導電ペーストにおける上記有機溶剤の含有量は特に限定されないが、好ましい下限は10重量%、好ましい上限は80重量%である。上記有機溶剤の含有量が10重量%未満であると、得られる導電ペーストの粘度、粘着力が高くなりすぎてスクリーン印刷性が悪くなることがある。上記有機溶剤の含有量が80重量%を超えると、得られる導電ペーストは、充分な粘度が得られず、スクリーン印刷性が悪くなることがある。
【0029】
本発明の導電ペーストでは、スクリーン印刷におけるレオロジー特性を改善するために、各種添加剤を用いることが好ましい。上記添加剤としては、例えば、セルロース樹脂、ひまし油、脂肪酸アミド、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリα−メチルスチレン樹脂、架橋メタアクリル粒子、ポリアルキレンオキサイド樹脂及びロジン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂等が挙げられる。
【0030】
上記セルロース樹脂としては特に限定されないが、少量の添加でも粘度を高めることが可能であることから、STD20、STD45等が好適に用いられる。チキソ性を強くしたい場合は、STD45やSTD100が好ましく、チキソ性を抑えたいときはSTD20やSTD10が好ましい。
【0031】
上記ポリα−メチルスチレンは、分解性が高いことから、添加によって導電ペーストの焼結性を更に高めることができる。非常に極性の低い樹脂であるので、テルピネオールや水酸基を2個もつジオール系溶剤に添加するとチキソ性が発現する。
ひまし油も同様に比較的高極性の有機溶剤に相性が悪いが、極少量の添加でチキソ性を得られる為に好適に用いることが出来る。ひまし油にポリエチレンオキシド等で界面活性剤のように変性した物については、変性量は少ない物が好ましい。ポリオキシエチレンを多く付加した物は、有機溶剤との馴染みが良くなり、チキソ性が発現しにくい。
【0032】
上記添加剤の添加量は特に限定されないが、好ましい下限は0.1重量%、好ましい上限は1重量%である。
【0033】
本発明の導電ペーストは、導電微粒子を含有する。
上記導電微粒子としては、例えば、ニッケル、パラジウム、白金、金、銀、アルミニウム、タングステンやこれらの合金等からなる粉末等が挙げられる。これらの導電微粒子は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも、太陽電池用の裏面電極用として使用した場合に、優れた導電性を発揮することからアルミニウム粉末が好ましい。アルミニウム粉末のほかに、銀や銅などの導電性に優れる金属を添加してもよい。
また、カルボキシル基、アミノ基、アミド基等の親水性官能基との吸着特性が良好で酸化されやすい銅や鉄等の金属も好適に用いることができる。
【0034】
本発明の導電ペーストにおける上記導電微粒子の含有量は特に限定されないが、好ましい下限は20重量%、好ましい上限は90重量%である。
上記導電微粒子の含有量が20重量%未満であると、得られる導電ペーストは、充分な粘度が得られず、スクリーン印刷性が悪くなることがあり、上記導電微粒子の含有量が90重量%を超えると、得られる導電ペーストは、粘度が高くなりすぎてスクリーン印刷性が悪くなることがある。
【0035】
本発明の導電ペーストには、BSF層を形成させる目的でガラス粉末を添加してもよい。
上記ガラス粉末は特に限定されず、例えば、酸化ビスマスガラス、ケイ酸塩ガラス、鉛ガラス、亜鉛ガラス、ボロンガラス等のガラス粉末や、CaO−Al−SiO系、MgO−Al−SiO系、LiO−Al−SiO系等の各種ケイ素酸化物のガラス粉末等が挙げられる。
また、上記ガラス粉末として、PbO−B−SiO混合物、BaO−ZnO−B−SiO混合物、ZnO−Bi−B−SiO混合物、Bi−B−BaO−CuO混合物、Bi−ZnO−B−Al−SrO混合物、ZnO−Bi−B混合物、Bi−SiO混合物、P−NaO−CaO−BaO−Al−B混合物、P−SnO混合物、P−SnO−B混合物、P−SnO−SiO混合物、CuO−P−RO混合物、SiO−B−ZnO−NaO−LiO−NaF−V混合物、P−ZnO−SnO−RO−RO混合物、B−SiO−ZnO混合物、B−SiO−Al−ZrO混合物、SiO−B−ZnO−RO−RO混合物、SiO−B−Al−RO−RO混合物、SrO−ZnO−P混合物、SrO−ZnO−P混合物、BaO−ZnO−B−SiO混合物等のガラス粉末も用いることができる。なお、Rは、Zn、Ba、Ca、Mg、Sr、Sn、Ni、Fe及びMnからなる群より選択される元素である。
特に、PbO−B−SiO混合物のガラス粉末や、鉛を含有しないBaO−ZnO−B−SiO混合物又はZnO−Bi−B−SiO混合物等の無鉛ガラス粉末が好ましい。
【0036】
上記ガラス粉末の含有量は5重量%以下であることが好ましい。上記ガラス粉末の含有量が5重量%を超えると、ガラスの偏析を生じる恐れがある。上記ガラス粉末としては、環境に悪影響を与えない非鉛のガラスを用いることが最も好ましいが、鉛含有ガラスを用いてもよい。
上記ガラス粉末の粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、20μm以下であることが好ましい。
【0037】
本発明の導電ペーストを作製する方法は特に限定されず、従来公知の攪拌方法が挙げられ、具体的には、例えば、上記(メタ)アクリル樹脂、有機溶剤、導電微粒子及び必要に応じて添加される他の成分を3本ロール等で攪拌する方法等が挙げられる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、焼結性が高く、シリコン半導体基板との密着性に優れる電極を形成することが可能な導電ペースト、及び、太陽電池の裏面アルミ電極を形成する際に好適に使用可能な太陽電池用導電性粒子分散ペーストを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0040】
(重合例1)
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラプルフラスコに、メチルメタクリレート(MMA)40重量部、イソブチルメタクリレート(iBMA)40重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)20重量部、有機溶剤として酢酸エチル40重量部を混合し、モノマー混合液を得た。
【0041】
得られたモノマー混合液を、窒素ガスを用いて20分間バブリングすることにより溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し攪拌しながら湯槽が沸騰するまで昇温した。
重合開始剤として2,2’−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン)テトラハイドレート(和光純薬工業社製;VA057)を加えた。また、重合中に重合開始剤を数回添加し、合計でモノマー100重量部に対して3重量部の重合開始剤を添加した。
【0042】
重合開始から3時間後、反応液を室温まで冷却し重合を終了させた。MMA、iBMA、HEMA共重合体の酢酸エチル溶液を得た。得られた重合体について、カラムとしてカラムLF−804(昭和電工社製)を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析を行ったところ、ポリスチレン換算による重量平均分子量は1万であった。
【0043】
(重合例2)
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴及び窒素ガス導入口を備えた2Lセパラプルフラスコに、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)40重量部、メチルメタクリレート(MMA)30重量部、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)30重量部、有機溶剤として酢酸エチル40重量部とを混合し、モノマー混合液を得た。
得られたモノマー混合液を、窒素ガスを用いて20分間バブリングすることにより溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し攪拌しながら湯浴が沸騰するまで昇温した。次いで、重合開始剤として4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)(大塚化学社製、「ACVA」)を加えた。また、重合中に重合開始剤を数回添加した。重合開始剤は(メタ)アクリレートモノマー100重量部に対して全部で1.8重量部添加した。
【0044】
重合開始から3時間後、室温まで冷却し重合を終了させた。これにより、(メタ)アクリル樹脂(Poly(CHMA/MMA/HPMA))の酢酸エチル溶液を得た。
得られた樹脂について、カラムとしてSHOKO社製カラムLF−804を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析を行ったところ、ポリスチレン換算による重量平均分子量は30000であった
【0045】
(重合例3)
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラプルフラスコに、イソブチルメタクリレートとメチルメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート(GLM)の混合液(iBMA/MMA/GLM=50/45/5)100重量部、有機溶剤として酢酸エチル40重量部を用いた以外は重合例2と同様にして(メタ)アクリル樹脂(Poly(iBMA/MMA/GLM))の酢酸エチル溶液を得た。
得られた樹脂について、カラムとしてSHOKO社製カラムLF−804を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析を行ったところ、ポリスチレン換算による重量平均分子量は40000であった
【0046】
(重合例4)
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラプルフラスコに、イソブチルメタクリレート40重量部、シクロヘキシルメタクリレート50重量部、メトキシポリオキシエチレングラフトメタクリレートPEOMA(PEO繰り返し数30)10重量部、連鎖移動剤としてチオグリコール酸モノエタノールアミン1.2重量部、有機溶剤として酢酸エチル240重量部を混合し、モノマー混合液を得た。
【0047】
得られたモノマー混合液を、窒素ガスを用いて20分間バブリングすることにより溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し攪拌しながら湯槽が沸騰するまで昇温した。重合開始剤として有機化酸化物重合触媒(パーロイル355、日油社製)を0.1重量部添加し、さらに重合中に重合開始剤を数回添加し、合計でモノマー100重量部に対して合計1.5重量部の重合開始剤を添加した。
【0048】
重合開始から7時間後、反応液を室温まで冷却し重合を終了させた。これにより、樹脂末端に窒素官能基を有する(メタ)アクリル樹脂の酢酸エチル溶液を得た。
ポリスチレン換算による重量平均分子量は4万であった。
【0049】
(重合例5)
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラプルフラスコに、イソブチルメタクリレートとメチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)の混合液(iBMA/MMA/HPMA=40/40/20)100重量部、連鎖移動剤としてメルカプトコハク酸2重量部、有機溶剤として酢酸エチル100重量部用いた以外は、重合例3と同様にして分子末端にカルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂(Poly(iBMA/MMA/HPMA))の酢酸エチル溶液を得た。
得られた重合体について、カラムとしてカラムLF−804(昭和電工社製)を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析を行ったところ、ポリスチレン換算による重量平均分子量は5千であった。
【0050】
(重合例6)
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラプルフラスコに、2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)98重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)2重量部の混合液、連鎖移動剤としてドデシルメルカプタン0.2重量部、有機溶剤として酢酸エチル40重量部を用いた以外は重合例4と同様にしてPoly(EHMA/HEMA)の酢酸エチル溶液を得た。ポリスチレン換算による重量平均分子量は6万であった。
【0051】
(重合例7)
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラプルフラスコに、メチルメタクリレート(MMA)50重量部、イソブチルメタクリレート(iBMA)50重量部の混合液、連鎖移動剤としてドデシルメルカプタン0.4重量部、有機溶剤として酢酸エチル40重量部を用いた以外は重合例4と同様にしてPoly(iBMA/MMA)の酢酸エチル溶液を得た。ポリスチレン換算による重量平均分子量は4万であった。
【0052】
(重合例8)
重合例5において2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)の替わりにメトキシジエチレングリコールメタクリレート(MDEGMA)、連鎖移動剤の添加量を2.5重量部にしたこと以外は重合例5と同じ要領で分子末端にカルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂(Poly(iBMA/MMA/MDEGMA))の酢酸エチル溶液を得た。
得られた重合体について、カラムとしてカラムLF−804(昭和電工社製)を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析を行ったところ、ポリスチレン換算による重量平均分子量は4千であった。
【0053】
(重合例9)
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラプルフラスコに、2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)2重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)98重量部の混合液、連鎖移動剤としてチオグリコール酸モノエタノールアミン1.0重量部、有機溶剤として酢酸エチル40重量部を用いた以外は重合例4と同様にしてPoly(EHMA/HEMA)の酢酸エチル溶液を得た。ポリスチレン換算による重量平均分子量は3万であった。
【0054】
(実施例1)
重合例1で得られた(メタ)アクリル樹脂の酢酸エチル溶液に、テルピネオールを加え、減圧処理を行うことで溶媒置換を行った。樹脂固形分を乾燥重量法により評価し、表1に記載された組成比になるよう添加剤としてエチルセルロース(STD45)、粒子径5μmのアルミニウム粉末、粒子径2μmの低融点ガラス微粒子(旭ガラス社製、ASF1370)を配合し、ビヒクル組成物を得た。
アルミニウム粉末が潰れないよう注意しながら3本ロールミルにて処理を行い、導電ペーストを調製した。
【0055】
(実施例2)
重合例2で得られた(メタ)アクリル樹脂の酢酸エチル溶液に、テルピネオールを加え、減圧処理を行うことで溶媒置換を行った。樹脂固形分を乾燥重量法により評価し、表1に記載された組成比になるよう添加剤としてひまし油(楠本化成社製、ディスパロン308)、粒子径5μmのアルミニウム粉末、粒子径2μmの低融点ガラス微粒子を配合し、ビヒクル組成物を得た。
アルミニウム粉末が潰れないよう注意しながら3本ロールミルにて処理を行い、導電ペーストを調製した。
【0056】
(実施例3)
重合例3で得られた(メタ)アクリル樹脂の酢酸エチル溶液に、エチレングリコールモノフェニルエーテルを加え、減圧処理を行うことで溶媒置換を行った。樹脂固形分を乾燥重量法により評価し、表1に記載された組成比になるよう添加剤として脂肪酸アミド(ステアリルアミド)、粒子径5μmのアルミニウム粉末、粒子径2μmの低融点ガラス微粒子を配合し、ビヒクル組成物を得た。
アルミニウム粉末が潰れないよう注意しながら3本ロールミルにて処理を行い、導電ペーストを調製した。
【0057】
(実施例4)
重合例4で得られた(メタ)アクリル樹脂ならびに重合例5で得られた(メタ)アクリル樹脂の酢酸エチル溶液に、それぞれエチレングリコールモノフェニルエーテルを加え、減圧処理を行うことで溶媒置換を行った。樹脂固形分を乾燥重量法により評価し、表1に記載された組成比になるよう添加剤として架橋PMMA粒子、粒子径5μmのアルミニウム粉末、粒子径2μmの低融点ガラス微粒子を配合し、ビヒクル組成物を得た。
アルミニウム粉末が潰れないよう注意しながら3本ロールミルにて処理を行い、導電ペーストを調製した。
【0058】
(実施例5)
重合例2で得られた(メタ)アクリル樹脂の酢酸エチル溶液に、テルピネオールを加え、減圧処理を行うことで溶媒置換を行った。樹脂固形分を乾燥重量法により評価し、表1に記載された組成比になるよう、粒子径5μmのアルミニウム粉末、粒子径2μmの低融点ガラス微粒子を配合し、ビヒクル組成物を得た。
アルミニウム粉末が潰れないよう注意しながら3本ロールミルにて処理を行い、導電ペーストを調製した。
【0059】
(比較例1〜4)
重合例6〜9で得られた(メタ)アクリル樹脂の酢酸エチル溶液に、テルピネオールを加え、減圧処理を行うことで溶媒置換を行った。樹脂固形分を乾燥重量法により評価し、表1に記載された組成比になるよう、粒子径5μmのアルミニウム粉末、粒子径2μmの低融点ガラス微粒子を配合し、ビヒクル組成物を得た。
アルミニウム粉末が潰れないよう注意しながら3本ロールミルにて処理を行い、導電ペーストを調製した。
【0060】
【表1】

【0061】
<評価>
実施例及び比較例で得られたビヒクル組成物及び導電ペーストについて以下の評価を行った。結果を表2に示した。
【0062】
(1)焼結性
得られたビヒクル組成物について、熱重量測定装置(商品名:simultaneousSDT2960、TAインスツルメンツ社製)を用いて、エアーフローのもと昇温速度200℃/minで23℃から800℃まで加熱を行うことで、熱分解挙動を測定し、以下の基準で評価した。
2分以内に樹脂が分解したものを「○」、樹脂の分解に2分以上要したもの、又は、樹脂が完全に分解せず焼結残渣が残ったものを「×」とした。
【0063】
(2)粘度評価
得られた導電ペーストをB型粘度計(DVII+Pro、BROOK FILED社製)を用いて、温度25℃、回転数10rpmの条件下における、導電ペーストの粘度η(cps)を測定した。
【0064】
(3)貯蔵安定性
得られた導電ペーストを1週間室温で養生し、導電ペーストの状態を確認し、以下の基準で評価した。
変化の見られなかった場合を「○」、ペーストのゲル化やアルミニウム粉末の沈降が見られた場合を「×」とした。
【0065】
(4)スクリーン印刷性(レベリング性、連続印刷性)
得られた導電ペーストを、スクリーン印刷機(マイクロテック社製「MT−320TV」)、スクリーン製版(東京プロセスサービス社製「ST200」乳剤15μ、印刷像80mm×80mmベタ、スクリーン枠:320mm×320mm、印刷ガラス基板(ソーダーガラス:150mm×150mm、厚み:1.5mm)を用いて、温度23℃、湿度50%の環境下にて印刷を行った。
印刷後、ガラス板を120℃×10分の条件下で送風オーブンにて溶媒を乾燥した。印刷像を顕微鏡観察行い、マスクの編み目パターンに沿って印刷されない部分がレベリングせずにボイドとして残っているかを観察を行い、スクリーン印刷性を以下の基準で評価した。
ボイド又はカスレが見られなかった場合を「○」、ボイド又はカスレが見られた場合を「×」とした。
【0066】
(5)乾燥膜強度
「(4)スクリーン印刷性」と同様の印刷条件で、スクリーン印刷にてシリコンウエハ(厚み:300μm)に導電ペーストを印刷した。得られた基板を150℃で10分乾燥した後、鉛筆硬度計(安田精機製作所製、型式553−M)を用いて膜強度を測定した。測定結果に基づき、以下の基準で評価した。
硬度が2B以上である場合を「○」、2B未満である場合を「×」とした。
【0067】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明によれば、焼結性が高く、シリコン半導体基板との密着性に優れる電極を形成することが可能な導電ペースト、及び、太陽電池の裏面アルミ電極を形成する際に好適に使用可能な太陽電池用導電性粒子分散ペーストを提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル樹脂と、導電微粒子と、有機溶剤とを含有する導電ペーストであって、
前記(メタ)アクリル樹脂は、エステル置換基の炭素数が1〜6のアクリルモノマーとエステル置換基に水酸基又はポリエチレンオキサイドを有するアクリルモノマーとから得られるものであり、
前記エステル置換基に水酸基又はポリエチレンオキサイドを有するアクリルモノマーの組成比が5重量%以上40重量%未満であり、かつ、
重量平均分子量が5000〜40000であり、
前記(メタ)アクリル樹脂の含有量が、1〜10重量%である
ことを特徴とする導電ペースト。
【請求項2】
エステル置換基に水酸基又はポリエチレンオキサイドを有するアクリルモノマーは、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート及びグリセロールメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の導電ペースト。
【請求項3】
エステル置換基に水酸基又はポリエチレンオキサイドを有するアクリルモノマーは、ポリエチレンオキサイドの繰り返し数が2以上100未満であることを特徴とする請求項1記載の導電ペースト。
【請求項4】
(メタ)アクリル樹脂は、分子末端に親水性官能基を有することを特徴とする請求項1記載の導電ペースト。
【請求項5】
親水性官能基はカルボキシル基、ニトリル基、アミノ基、アミド基及びアミジン基からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項4記載の導電ペースト。
【請求項6】
(メタ)アクリル樹脂は、酸性基を有する(メタ)アクリル樹脂と、窒素含有基を有する(メタ)アクリル樹脂とを用いてなるものであることを特徴とする請求項4又は5記載の導電ペースト。
【請求項7】
(メタ)アクリル樹脂は、アゾ系重合開始剤を用いて重合したものであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の導電ペースト。
【請求項8】
アゾ系重合開始剤は、2,2’−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン)テトラハイドレート又は4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)であることを特徴とする請求項7記載の導電ペースト。
【請求項9】
更に、ひまし油、脂肪酸アミド、セルロース樹脂及びアクリル架橋粒子からなる群より選択される少なくとも1種のチキソ性付与剤を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の導電ペースト。
【請求項10】
導電微粒子は、アルミニウム粉末であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の導電ペースト。
【請求項11】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の導電ペーストを用いてなることを特徴とする太陽電池用導電性粒子分散ペースト。

【公開番号】特開2013−58403(P2013−58403A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196415(P2011−196415)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】