説明

導電体パターン検査装置、導電体パターン検査方法及び導電体パターンが形成される基板の位置合わせ装置

【課題】透明基板に形成される透明導電体のパターン形状を容易かつ正確に検査することができる導電体パターン検査装置及び導電体パターン検査方法を提供する。また、重ね合わされる複数の透明導電体の相対的位置精度を高めることができる基板の位置合わせ装置を提供する。
【解決手段】透明基板表面に形成される透明導電体のパターン形状を検査する導電体パターン検査装置であって、前記透明基板及び前記透明導電体から放射される赤外線の放射量分布を撮像してパターン形状画像として取得する画像取得手段を備える導電体パターン検査装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電体パターン検査装置、導電体パターン検査方法及び導電体パターンが形成される基板の位置合わせ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行端末(キャッシュディスペンサー)、券売機、パソコン、OA機器、電子手帳、PDA、携帯電話等の表示装置にタッチパネルが使用されている。このタッチパネルは画面表示を邪魔せずに、どこをタッチしたかを検出するセンサであり、代表的なものとして静電容量式のタッチパネルが知られている。静電容量式タッチパネルは、人間の指先と電極との間での静電容量の変化を捉えて指先の位置を検出するタッチパネルであり、図12(a)(b)に示すような透明基板11,21の一方面に所定のパターン形状を有する導電体(電極)12,22が形成された2つの面状体1,2を貼り合わせることにより構成されている。導電体12,22は、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウム等の透明導電材料により形成されている。導電体12,22のパターン形状は、複数の菱形状電極部12a,22aが直線状に連結された構造であり、一方の透明基板11に形成される菱形状電極部12aの連結方向と、他方の透明基板21に形成される菱形状電極部22aの連結方向とが、互いに直交し、且つ、面状体1,2を貼り合わせた際に図13の要部拡大平面図に示すように平面視において上下の菱形状電極部12a,22aが重なり合わないようにギャップ部(クリアランス部)Zを設けるように構成されるものである。
【0003】
ここで、透明基板11,21上に形成される導電体12,22のパターン形状の一部に欠けやピンホール等のパターン不良が発生した場合、タッチパネルの検出位置誤差が大きくなり、タッチパネルのセンシング精度が悪化する場合がある。このような事態を避けるために、タッチパネル製造時には、特許文献1に開示されるような検査装置により導電体パターンにおける欠陥の有無が検査されている。
【0004】
特許文献1に開示される検査装置は、図14に示すように、導電体101が形成される基板102上に赤外線領域の波長の光を照射する光源110と、導電体101により反射される光を検出するCCDカメラ111とを備えており、導電体101に対する光の透過量や反射量等の変化を測定することにより、ピンホール等の欠陥を検出するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−273997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の検査装置の場合、得られる検査結果が図15に示すような導電体の膜厚のムラを等高線表示としたデータであったり、図16に示すような光の透過量や反射量の数値に関するデータであり、導電体パターンに生じている欠陥の形状や大きさを正確に把握することが困難であるという問題があった。
【0007】
また、上述の所定のパターン形状を有する透明導電体が形成された2つの面状体を重ね合わせてタッチパネルを作成する場合、タッチパネルの検出位置誤差を抑えるためには、各面状体に形成される導電体の重ね合わせ時の相対的位置精度を高める必要があるが、2つの面状体を重ね合わせて作成したタッチパネルの各導電体の相対位置を上述の検査装置を用いて検査する場合、得られる検査結果が図15や図16に示すようなデータでは、各導電体の相対位置が適切な位置関係であるか否かを正確に判別することが困難であった。
【0008】
また、上述の所定のパターン形状を有する透明導電体が形成された2つの面状体を重ね合わせてタッチパネルを形成する際、上下の菱形状電極部が平面視において互いに重なり合わないように上下の菱形状電極部間に所定間隔のギャップを設けて各面状体を貼り合わせる必要があるが、各面状体における透明導電体が形成されている領域と形成されていない領域との光の反射率差が小さい場合、透明導電体が形成されている領域と形成されていない領域との境界を正確に捕えることが難しく、上下の菱形状電極部間に設けられるギャップ(クリアランス部)を所定間隔となるように制御して各面状体の位置合わせを行うことが困難であるという問題があった。更に、各面状体を貼り合わせ後に、上下の菱形状電極部間に設けられるギャップが所定間隔であるか否かを従来の検査装置を用いて確認しようとする場合、得られる検査結果が図15や図16に示すようなデータであり、ギャップが所定間隔で形成されているか否かを正確に判別することが困難であった。特に、近年、タッチパネルの小型化や高精度化が求められており、上下の菱形状電極部間に設けられるギャップを極力狭くすることが要求されているが、狭く形成されたギャップを従来の検査装置を用いて精度よく検出することは到底困難であり、形成したタッチパネルが良品であるか否かの判別を行うことが難しいという問題があった。
【0009】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、透明基板に形成される透明導電体のパターン形状を容易かつ正確に検査することができる導電体パターン検査装置及び導電体パターン検査方法を提供することを目的とする。また、重ね合わされる複数の透明導電体の相対的位置精度を高めることができる基板の位置合わせ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記目的は、透明基板表面に形成される透明導電体のパターン形状を検査する導電体パターン検査装置であって、前記透明基板及び前記透明導電体から放射される赤外線の放射量分布を撮像してパターン形状画像として取得する画像取得手段を備える導電体パターン検査装置により達成される。また、この導電体パターン検査装置において、前記画像取得手段は、熱画像装置であることが好ましい。
【0011】
このような構成を備える導電体パターン検査装置は、透明基板から放射される赤外線の放射量と、透明導電体から放射される赤外線の放射量との差異を検出し、放射量分布に関する画像として透明導電体のパターン形状を撮像することが可能となる。従って、透明基板上のパターニングされた透明導電体そのものを可視化することが可能となり、透明導電体のパターン形状を容易かつ正確に検査することができると共に、透明導電体に生じた欠けやピンホール等の欠陥部分の大きさや形状等を正確に検出することが可能となる。
【0012】
また、所定のパターン形状を有する透明導電体が形成された2つの透明基板を重ね合わせてタッチパネルを作成した場合において、互いに重ね合わされた状態での透明導電体そのものを可視化することができるため、各透明導電体が適切な位置関係で重ね合わされているか否かを容易に判別することが可能となる。
【0013】
また、前記透明基板及び前記透明導電体からの赤外線放射を促進させるための赤外光源を更に備えていることが好ましい。このような赤外光源を更に備えることにより、透明基板及び透明導電体から放射される赤外線量を増大させることが可能となり、透明基板上の透明導電体のパターン形状をより正確に検査することが可能となる。特に、所定のパターン形状を有する透明導電体が一方面に形成された透明基板を複数貼り合わせた場合、貼り合わされた構造体のうち、画像取得手段が配置される側とは反対側に配置される透明基板及び当該透明基板上の透明導電体から放射される赤外線は、重ね合わされる透明基板によって遮られてしまい、画像取得手段が検出しにくくなるおそれがあるが、上記赤外光源を備えることにより、各透明基板及び各透明導電体から放射される赤外線を画像取得手段が確実に検出することが可能となる。その結果、重ね合わされた各透明導電体の相対位置が適切であるか否かを容易に検査することが可能となる。
【0014】
また、本発明の上記目的は、透明基板表面に形成される透明導電体のパターン形状を検査する導電体パターン検査方法であって、前記透明基板及び前記透明導電体から放射される赤外線の放射量分布を撮像する撮像ステップと、撮像した前記放射量分布から前記透明導電体の形成領域を判断して前記透明導電体のパターン形状の検査を行う検査ステップとを備える導電体パターン検査方法により達成される。
【0015】
また、本発明の上記目的は、所定のパターン形状を有する透明導電体が一方面に形成された透明基板の位置合わせ装置であって、前記透明基板を保持する保持手段と、前記透明基板及び前記透明導電体から放射される赤外線の放射量分布の少なくとも一部を撮像してパターン形状画像として取得する画像取得手段とを備えており、前記保持手段は、前記各パターン形状画像における前記透明導電体の輪郭線情報に基づいて前記透明基板の保持姿勢を修正可能に構成される位置合わせ装置により達成される。また、この位置合わせ装置において、 前記各パターン形状画像における前記透明導電体の輪郭線情報に基づいて前記透明基板の位置に関する補正量情報を算出する位置補正量算出手段を更に備えるように構成し、前記保持手段が、前記補正量情報に基づいて、前記透明基板の保持姿勢を修正可能に構成してもよい。
【0016】
このような位置合わせ装置によれば、実際に貼り合わせられる各透明基板上に形成される各透明導電体の位置に基づいて、両者の位置合わせを行うことが可能となるため、透明導電体の重ね合わせ時の相対的位置精度を高めることが可能となる。また、例えば、複数の菱形状電極部が直線状に連結された構造のパターン形状を有する透明導電体が形成された2つの透明基板を、一方の透明基板に形成される菱形状電極部の連結方向と、他方の透明基板に形成される菱形状電極部の連結方向とが、互いに直交し、且つ、平面視において上下の菱形状電極部が重なり合わないように重ね合わせてタッチパネルを作成する場合、本位置合わせ装置によれば、上下の菱形状電極部間に形成されるギャップ(クリアランス部)を狭くすることができ、タッチパネルの高精度化を図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、透明基板に形成される透明導電体のパターン形状を容易かつ正確に検査することができる導電体パターン検査装置及び導電体パターン検査方法を提供することを目的とする。また、重ね合わされる複数の透明導電体の相対的位置精度を高めることができる基板の位置合わせ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係る導電体パターン検査装置の検査対象であるタッチパネルの断面を示す概略構成断面図である。
【図2】本実施形態に係る導電体パターン検査装置の概略構成図である。
【図3】図2に示す導電体パターン検査装置により取得した透明導電体のパターン形状画像の一例である。
【図4】図2に示す導電体パターン検査装置の変形例を示す概略構成図である。
【図5】図2に示す導電体パターン検査装置により取得した透明導電体のパターン形状画像の一例である。
【図6】本実施形態に係る基板の位置合わせ装置を備える基板の貼合装置の概略構成図である。
【図7】図6に示す貼合装置の作動を説明するための説明図である。
【図8】図6に示す貼合装置の作動を説明するための説明図である。
【図9】図6に示す貼合装置の作動を説明するための説明図である。
【図10】図6に示す貼合装置の作動を説明するための説明図である。
【図11】図6に示す位置合わせ装置の変形例を示す概略構成図である。
【図12】タッチパネルの構成を説明するための説明図である。
【図13】タッチパネルを示す概略構成拡大平面図である。
【図14】従来の導電体パターン検査装置に関する概略構成図である。
【図15】図14に示す検査装置により得られる検査データの一例を示す説明図である。
【図16】図14に示す検査装置により得られる検査データのその他の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実態形態について添付図面を参照して説明する。尚、各図面は、構成の理解を容易にするため、実寸比ではなく部分的に拡大又は縮小されている。
【0020】
先ず、本実施形態における導電体パターン検査装置5の検査対象であるタッチパネル100及びタッチパネル100を構成する透明面状体1,2について説明する。図1は、タッチパネル100の断面を示す概略構成断面図である。タッチパネル100は、静電容量式のタッチパネル100であり、第1透明面状体1と第2透明面状体2とを備えている。第1透明面状体1は、一方面側にパターニングされた透明導電体12を有する透明基板11を備えており、第2透明面状体2は、一方面側にパターニングされた透明導電体22が形成された透明基板21を備えている。第1透明面状体1と第2透明面状体2とは、透明導電体12及び透明基板21の他方面側(透明導電体22が形成されていない面側)が互いに離間して対向するようにして、粘着層3を介して貼着されている。なお、このような構成のタッチパネル100は、例えば、銀行端末(キャッシュディスペンサー)、券売機、パソコン、OA機器、電子手帳、PDA、携帯電話等の表示装置に取り付けられて使用される。タッチパネル100の取り付けに際しては、第1透明面状体1の透明基板11の他方面側(透明導電体12が形成されていない面側)が露出面(タッチ面)となるように、透明な粘着層(図示せず)を介して表示装置に取り付けられる。また、第1透明面状体1と第2透明面状体2とは、それぞれの透明導電体12,22が互いに離間して対向するように粘着層3を介して貼着してもよい。
【0021】
透明基板11,21は、透明性が高い材料からなることが好ましく、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)などを挙げることができる。また、透明導電体12,22の材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウム、アンチモン添加酸化錫、フッ素添加酸化錫等の透明導電材料を例示することができる。また、透明導電体12,22は、背景技術の欄で説明した図12及び図13に示すように、複数の菱形状導電部が直線状に連結された構成とし、各透明導電体12,22における菱形状導電部の連結方向が互いに直交し、且つ、平面視において上下の菱形状導電部が重なり合わないように配置されている。
【0022】
透明導電体12,22は、印刷法やスパッタリング法等を用いて透明基板11,21上に形成されるため、所定のパターン形状を有する透明導電体12,22の一部分に欠けやピンホール等の欠陥が生じる場合がある。こうした欠陥が存在する透明面状体1,2を備えるタッチパネル100は、検出位置誤差が大きくなる可能性があるので不良品として扱われる。
【0023】
次に、本実施形態における導電体パターン検査装置5について説明する。図2は、本実施形態に係る導電体パターン検査装置5の概略構成図である。この検査装置5は、透明基板表面に形成される透明導電体のパターン形状を検査する検査装置であり、図2に示すように検査台51、画像取得手段52及び欠陥検出手段53を備えている。検査台51は、平板状の載置部51a及び当該載置部51aを支える支持部51bを備えている。検査対象である上記第1透明面状体1(第2透明面状体2)或いはタッチパネル100は、載置部51aに載置される。第1透明面状体1(第2透明面状体2)を載置部51aに載置する場合、透明導電体12(22)が形成されていない透明基板11(21)の他方面側が載置部51aの上面に接触するように載置することが好ましい。
【0024】
画像取得手段52は、透明基板11(21)及び透明導電体12(22)から放射される赤外線の放射量分布を撮像して、透明導電体12(22)全体或いは一部分のパターン形状を画像として取得する装置であり、撮像部52a及び画像処理部52bを備えている。撮像部52aは、検査台51の上方に配置されている。このような画像取得手段52としては赤外線サーモグラフィ装置等の熱画像装置を例示することができる。赤外線サーモグラフィ装置は、透明基板11(21)及び透明導電体12(22)から放射される赤外線を、撮像部52aが備える赤外線撮像素子を介して取り込むと共に、画像処理部52bにおいて取り込んだ赤外線をその放射量に応じた電気信号に変換し、放射量分布を透明導電体12(22)のパターン形状の画像として取得する。ここで、赤外線サーモグラフィ装置の赤外線撮像素子に、透明基板11(21)及び透明導電体12(22)から放射される赤外線のみを通過させるようなフィルタを設けてもよい。このようなフィルタを設けることによって、透明基板11(21)及び透明導電体12(22)以外から放射される測定の妨げとなり得る赤外線を除去することができ、より正確な放射量分布を検出することができる。特に、波長が8μm〜14μmである赤外線を通過させるフィルタを設けることが好ましい。
【0025】
欠陥検出手段53は、画像取得手段52が取得した透明導電体12(22)のパターン形状画像(放射量分布)から透明導電体の形成領域を判断して透明導電体のパターン形状の欠陥を検出する手段であり、例えば、モニター等の表示装置を例示することができる。欠陥検出手段53として表示装置を採用した場合には、表示装置に表示されるパターン形状画像を目視により確認し、透明導電体のパターン形状の一部に欠けやピンホール等のパターン不良の有無を判断する。また、欠陥検出手段53としては、表示装置の他に、予め取得される透明導電体のパターン形状に関する良品のマスター画像と、画像取得手段52が取得したパターン形状画像とを比較することにより自動的に欠けやピンホール等のパターン不良を検出する欠陥自動検出装置を採用してもよい。具体的には、例えば、画像取得手段52が取得したパターン形状画像及び予め取得されているマスター画像をそれぞれ二値化(黒と白に変換)して二値化画像を取得し、これら両二値化画像同士を差分することにより欠けやピンホール等を自動的に検出してもよい。
【0026】
このような構成を備える導電体パターン検査装置5は、透明基板11(21)から放射される赤外線の放射量と、透明導電体12(22)から放射される赤外線の放射量との差異を検出し、放射量分布に関する画像として透明導電体12(22)のパターン形状を撮像することが可能となる。図3に撮像したパターン形状画像の一例を示す。このように、透明基板11(22)上のパターニングされた透明導電体12(22)そのものを可視化することが可能となり、透明導電体12(22)のパターン形状を容易かつ正確に検査することができる。また、透明導電体12(22)に生じた欠けやピンホール等の欠陥部分の大きさや形状等を正確に検出することが可能となる。なお、図3に示すパターン形状画像は、株式会社アピステ社製 赤外線サーモグラフィFSV−1200−L16により取得した。また、標準レンズ16mmに接写リング2mmリングを取り付けて撮影を行った。
【0027】
また、所定のパターン形状を有する透明導電体12,22を備える第1透明面状体1及び第2透明面状体2を重ね合わせてタッチパネル100を作成した場合において、互いに重ね合わされた状態での透明導電体12,22そのものを可視化することができるため、各透明導電体12,22が適切な位置関係で重ね合わされているか否かを容易に判別することが可能となる。
【0028】
ここで、第1透明面状体1及び第2透明面状体2を貼り合わせた積層体(タッチパネル100)について、重ね合わされた各透明導電体12,22の位置を検査する場合には、図4に示すように、透明基板11,21及び透明導電体12,22に対して赤外線を照射する赤外光源54を更に備えるように構成することが好ましい。赤外光源54は、透明基板11,21及び透明導電体12,22からの赤外線放射を促進させることを目的として設けられる。赤外光源54としては、タングステンランプや赤外線ハロゲンランプ等の赤外領域光を照射する光源を例示することができる。特に、波長が8μm〜14μmである赤外線を通過させるフィルタを設けた光源が好ましい。なお、図4に示すように赤外光源54を配置する場合には、検査台51の載置部51aに光源54からの光(赤外線)が通る孔を設けることが好ましい。
【0029】
ここで、赤外光源54は、積層体(タッチパネル100)に対して撮像部52a側となるように配置することもできるが、図4に示すように、積層体(タッチパネル100)を挟んだ撮像部52aの反対側に配置することが好ましい。重ね合わされた各透明導電体12,22の位置関係を検査する場合、撮像部52aが配置される側とは反対側に配置される透明基板及び透明導電体(第2透明面状体2が有する透明基板21及び透明導電体22)から放射される赤外線が、撮像部52aが配置される側の透明基板及び透明導電体(第1透明面状体1が有する透明基板11及び透明導電体12)によって遮られてしまうおそれがある。このような場合、画像取得手段52が、感度良く第2透明面状体2における透明導電体22のパターン形状の画像を取得することが困難となるが、図4に示すように赤外光源54を配置すると、第2透明面状体2が有する透明基板21及び透明導電体22から放射される赤外線量を効率よく増大させることが可能となり、互いに重なり合った状態の各透明導電体12,22を確実に撮像することができ、各透明導電体12,22の相対位置が適切であるか否かを容易に確認することが可能となる。互いに重なり合った状態の各透明導電体12,22に関する取得画像を図5に示す。図5から、第1透明面状体1及び第2透明面状体2にそれぞれ形成される各透明導電体12,22やその重なり部分、そして透明導電体12,22が形成されていない領域(クリアランス部)が明確に識別されていることがわかる。なお、図5に示す画像は、株式会社アピステ社製 赤外線サーモグラフィFSV−1200−L16により取得した。また、標準レンズ16mmに接写リング8mmリングを取り付けて撮影を行った。赤外光源54としては、HELIOWORKS社製 赤外光源EF−8533(ウィンド材:亜鉛セレナイド)を用いた。
【0030】
次に、導電体パターンが形成される透明基板11,21の位置合わせ装置7について図6を用いて説明する。なお、図6に示す位置合わせ装置7は、所定のパターン形状を有する透明導電体12,22が形成される透明基板11,21をそれぞれ備える第1透明面状体1及び第2透明面状体2を貼り合わせる機能をも兼ね備えている。位置合わせ装置7は、第1透明面状体1を保持する第1保持手段71、第2透明面状体2を保持する第2保持手段72、第1保持手段71により保持される第1透明面状体1における透明導電体12のパターン画像を取得する第1画像取得手段521、第2保持手段72により保持される第2透明面状体2における透明導電体22のパターン画像を取得する第2画像取得手段522及び位置補正量算出手段8とを備えている。
【0031】
第1保持手段71は、その下面を保持面として第1透明面状体1を吸引固定するものである。この第1保持手段71は、搬送装置73に設置されており、当該搬送装置73の作用により水平方向・上下方向に自在に移動可能となるように、更には、第1保持手段71の保持面に垂直な軸線まわりに回転移動可能となるように構成されている。また、搬送装置73は、第1保持手段71の移動量(水平方向移動量、上下方向移動量、第1保持手段71の保持面に垂直な軸線まわりに回転移動量)を制御する制御部(図示せず)を備えている。
【0032】
第2保持手段72は、その上面を保持面として第2透明面状体2を吸引固定するものである。第2保持手段72は、上向きに開口する箱構造の真空チャンバー72aと、真空チャンバー72aの開口面に張設される通気可能なシルクスクリーン72bとを備えている。このシルクスクリーン72bが、第2透明面状体2を保持する保持面となる。また、この第2保持手段72は、透明面状体1,2同士を貼り合わせる機能も兼ね備えており、真空チャンバー72aの内部には、シルクスクリーン72bを介して第2透明面状体2を、第1貼合台71に支持される第1透明面状体1に押し付ける押圧手段であるローラー72cが配置されている。第2透明面状体2の載置領域を除くシルクスクリーン72bのスクリーン面は、図示していない遮蔽シートで通気不能に封止している。ローラー72cは、真空チャンバー72aの内部に設けたローラー軸受72dで回転自在に支持してある。また、ローラー軸受72dとローラー支持台72eとの間に設けたエアーシリンダー72fで、シルクスクリーン72bの下方の待機位置と、第2透明面状体2を第1透明面状体1に押し付ける上方の押圧位置との間で昇降自在となるように構成されている。また、ローラー支持台72eは、駆動構造で往復駆動されて真空チャンバー72aの左端と右端との間を往復移動できるように構成されている。
【0033】
第1画像取得手段521は、上述の導電体パターン検査装置5が備える画像取得手段52と同一の構成を備えており、第1保持手段71に保持される第1透明面状体1が備える透明基板11及び透明導電体12から放射される赤外線の放射量分布の少なくとも一部を撮像してパターン形状画像として取得する赤外線サーモグラフィ装置等の熱画像装置である。この第1画像取得手段521は、所定間隔をあけて第2保持手段72に隣接して配置されている。
【0034】
第2画像取得手段522は、第1画像取得手段521と同様に赤外線サーモグラフィ装置等の熱画像装置であり、第2保持手段72の上方に配置されている。この第2画像取得手段522は、第2保持手段72が保持する第2透明面状体2が備える透明基板21及び透明導電体22から放射される赤外線の放射量分布の少なくとも一部を撮像可能に構成されている。なお、第2画像取得手段522が有する撮像部522aは、図6の左右方向に移動可能となるように搬送装置72に設置されている。
【0035】
位置補正量算出手段8は、第1画像取得手段521及び第2画像取得手段522がそれぞれ取得した第1透明面状体1及び第2透明面状体2の各パターン形状画像を取得し、各パターン形状画像における透明導電体12,22の輪郭線情報に基づいて第1保持手段71が保持する第1透明面状体1(透明基板11)の位置に関する補正量情報を算出する機能を備えている。具体的には、第1透明面状体1及び第2透明面状体2の各パターン形状画像を重ね合わせることにより、透明導電体12,22の輪郭線同士の間隔や輪郭線同士の傾きが最適な状態となる第1透明面状体1及び第2透明面状体2の相対位置を算出し、この最適な重ね合わせ位置とするための第1透明面状体1及び第2透明面状体2の相対移動量(水平方向移動量や、第1保持手段71の保持面に垂直な軸線まわりの回転角度量)を補正量情報として算出する。算出された補正量情報は、第1保持手段71が設置される搬送装置73の制御部に送信され、当該制御部の作用により、搬送装置73が第1保持手段71の保持姿勢を修正し、第1透明面状体1を第2透明面状体2との最適な重ね合わせ位置まで搬送する。なお、このような位置補正量算出手段8としては、種々の演算が可能なコンピューターを例示することができる。
【0036】
このような構成の位置合わせ装置7の作動について図7〜図10を用いて説明する。まず、第1画像取得手段521が有する撮像部521aの上方位置まで第1保持手段71を移動させて、第1保持手段71の保持面の所定位置に第1透明面状体1を吸引固定させる。なお、第1保持手段71の保持面に吸引固定される第1透明面状体1には、粘着フィルム等の粘着層3が予め貼着されている。また、第2保持手段72のシルクスクリーン72b上の所定位置に第2透明面状体2を載置すると共に、真空チャンバー72a内を減圧し第2透明面状体2を第2保持手段72に固定させる(図7)。
【0037】
次に、搬送装置73を駆動して、第2保持手段72に固定される第2透明面状体2の上方位置まで第2画像取得手段522の撮像部522aを移動させる。そして、第1画像取得手段521及び第2画像取得手段522により、第1透明面状体1及び第2透明面状体2がそれぞれ備える透明基板11,21及び透明導電体12,22から放射される赤外線の放射量分布を撮像する(図8)。その後、撮像した各透明導電体12,22のパターン形状画像に基づいて、位置補正量算出手段8が、第1透明面状体1及び第2透明面状体2の最適な重ね合わせ位置に関する補正量情報を算出する。具体的には、撮像した第1透明面状体1及び第2透明面状体2のパターン形状画像における各透明導電体12,22の輪郭線情報に基づいて、最適な各透明導電体12,22の重ね合わせ位置となる第1保持手段71の水平移動量や、第1保持手段71の保持面に垂直な軸線まわりでの回転角度量を算出する。そして、第2画像取得手段522の撮像部522aを移動させつつ、算出した重ね合わせ位置に第1透明面状体1が配置されるように、第1保持手段71を第2保持手段72の上方に移動させる(図9)。ここで、各透明基板11,21の重ね合わせ位置を決定するために用いられる各透明導電体12,22のパターン形状画像としては、各透明導電体12,22全体のパターン形状画像であっても、或いは、各透明導電体12,22の所定の一部分に関するパターン形状画像であってもよい。また、透明導電体12,22のパターンに、いわゆる見当合わせ用の複数の見当マーク(例えば◎マークや十字マーク)を含めるように構成し、当該複数の見当マークを第1画像取得手段521及び第2画像取得手段522により撮像し、見当マークの輪郭線情報から見当マークの中心を算出して、第1透明面状体1における複数の見当マークと、第2透明面状体2の複数の見当マークとが互いに重なり合う位置を算出してもよい。その他、クリアランス部の幅が所定幅になるように複数箇所で合わせてもよい。
【0038】
その後、第1保持手段71を下方に移動させる(図10)。この時、粘着層3と第2透明面状体2との隙間が例えば、0.1mm〜3mm程度となるように、第1保持手段71を下方移動する。第1保持手段71の移動が完了した後、ローラー72cを押圧始端の下方位置まで移動させ、さらにローラー72cをエアーシリンダー72fで上方の押圧位置へ上方移動させて、第2透明面状体2をシルクスクリーン72bごと貼合対象である第1透明面状体1に向けて押し付けつつ、ローラー支持台72eを駆動してローラーを押圧終端に向けて一定速度で移動させることにより、第1透明面状体1と第2透明面状体2とを貼り合わせることができる。
【0039】
このような位置合わせ装置7によれば、実際に位置合わせされる各透明基板11,21上に形成される各透明導電体12,22の位置に基づいて、両者の位置決めを行うことが可能となるため、透明導電体12,22の重ね合わせ時の相対的位置精度を高めることが可能となる。したがって、例えば、図12及び図13に示すような複数の菱形状電極部12a,22bが直線状に連結された構造のパターン形状を有する透明導電体12,22が形成された2つの透明基板11,21を、一方の透明基板11に形成される菱形状電極部12aの連結方向と、他方の透明基板21に形成される菱形状電極部22bの連結方向とが、互いに直交し、且つ、平面視において上下の菱形状電極部12a,22bが重なり合わないように重ね合わせてタッチパネル100を作成する場合、本位置合わせ装置7によれば、上下の菱形状電極部12a,22b間に形成されるクリアランス部(透明導電体が形成されていない領域)の面積を小さくして、タッチパネル100の高精度化を図ることが可能となる。
【0040】
なお、図6に示す位置合わせ装置7は、複数の画像取得手段521,522を備える構成であるが、例えば、図11に示すように、単一の画像取得手段523を備え、第1保持手段71及び第2保持手段72のそれぞれに固定される第1透明面状体1及び第2透明面状体2の各透明導電体12,22のパターン形状を撮像するように構成してもよい。図11に示す構成においては、第1透明面状体1を固定する第1保持手段71を、第2透明面状体2を固定する第2保持手段72の上方に配置した後、第1保持手段71と第2保持手段72との間にハーフミラー75を挿入し、当該ハーフミラー75を介して、第1透明面状体1及び第2透明面状体2における各透明導電体12,22全体或いは一部分のパターン形状の画像を撮像部523aが撮像できるように構成されている。
【0041】
また、図6に示す位置合わせ装置7は、各パターン形状画像における透明導電体12,22の輪郭線情報に基づいて第1保持手段71が保持する第1透明面状体1(透明基板11)の位置に関する補正量情報を自動的に算出する位置補正量算出手段8を備え、当該位置補正量算出手段8が算出した補正量情報に基づいて、第1保持手段71による第1透明面状体1(透明基板11)の保持姿勢を修正するように構成されているが、位置補正量算出手段8を備える代わりに、モニター等の表示装置を設ける構成とし、作業者が表示装置に表示される各パターン形状画像における各透明導電体12,22の輪郭線情報を目視により確認しつつ、第1保持手段71が保持する第1透明面状体1(透明基板11)の保持姿勢を修正するように構成してもよい。具体的には、第1透明面状体1及び第2透明面状体2の各パターン形状画像を表示装置の表示画面上で重ね合わせることにより、透明導電体12,22の輪郭線同士の間隔や輪郭線同士の傾きが最適な状態となる第1透明面状体1及び第2透明面状体2の相対位置を導きだし、この最適な重ね合わせ位置となるように、第1保持手段71が保持する第1透明面状体1(透明基板11)の保持姿勢を修正する。
【0042】
また、互いに貼り合わされる第1透明面状体1及び第2透明面状体2は、透明基板11,21上に形成される透明導電体12,22の他に、例えば銀を主成分とする微粒子を含む導電インクにより印刷形成される外部回路接続用の引き廻し配線を備えているが、この引き廻し配線を透明基板11,21上に印刷する際にも、上記位置合わせ装置7を利用すると位置精度の高い引き廻し配線を形成することができる。つまり、引き廻し配線を透明基板11,21上に印刷する前段階において、第1透明面状体1(第2透明面状体2)における透明導電体12,22のパターン形状画像を取得し、印刷に使用されるスクリーン印刷版の設置位置に対する第1透明面状体1の最適な重ね合わせ位置を算出し、当該位置に第1透明面状体1を配置することにより、透明導電体12,22に対して位置精度の高い引き廻し配線を形成することができる。
【符号の説明】
【0043】
5 導電体パターン検査装置
51 検査台
52 画像取得手段
52a 撮像部
52b 画像処理部
53 欠陥検出手段
54 赤外光源
7 位置合わせ装置
71 第1保持手段
72 第2保持手段
73 搬送装置
8 位置補正量算出手段
521 第1画像取得手段
522 第2画像取得手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板表面に形成される透明導電体のパターン形状を検査する導電体パターン検査装置であって、
前記透明基板及び前記透明導電体から放射される赤外線の放射量分布を撮像してパターン形状画像として取得する画像取得手段を備える導電体パターン検査装置。
【請求項2】
前記画像取得手段は、熱画像装置である請求項1に記載の導電体パターン検査装置。
【請求項3】
前記透明基板及び前記透明導電体からの赤外線放射を促進させるための赤外光源を更に備えている請求項1又は2に記載の導電体パターン検査装置。
【請求項4】
透明基板表面に形成される透明導電体のパターン形状を検査する導電体パターン検査方法であって、
前記透明基板及び前記透明導電体から放射される赤外線の放射量分布を撮像する撮像ステップと、
撮像した前記放射量分布から前記透明導電体の形成領域を判断して前記透明導電体のパターン形状の欠陥を検出する欠陥検出ステップとを備える導電体パターン検査方法。
【請求項5】
所定のパターン形状を有する透明導電体が一方面に形成された透明基板の位置合わせ装置であって、
前記透明基板を保持する保持手段と、
前記透明基板及び前記透明導電体から放射される赤外線の放射量分布の少なくとも一部を撮像してパターン形状画像として取得する画像取得手段とを備えており、
前記保持手段は、前記各パターン形状画像における前記透明導電体の輪郭線情報に基づいて前記透明基板の保持姿勢を修正可能に構成される位置合わせ装置。
【請求項6】
前記各パターン形状画像における前記透明導電体の輪郭線情報に基づいて前記透明基板の位置に関する補正量情報を算出する位置補正量算出手段を更に備えており、
前記保持手段は、前記補正量情報に基づいて、前記透明基板の保持姿勢を修正可能に構成される請求項5に記載の位置合わせ装置。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−76616(P2013−76616A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216146(P2011−216146)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】