説明

導電剤および帯電防止性樹脂組成物

【課題】 成形品の機械強度を損なうことなく、しかも従来にない高度な永久帯電防止性を該成形品に付与する導電剤、およびこれを含有してなる帯電防止性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 ポリアニリンおよびポリピロール化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の導電性化合物、およびポリエーテルブロックを有するブロックポリマーを含有してなる導電剤;並びに、該導電剤および該ブロックポリマー以外の熱可塑性樹脂を含有してなる帯電防止性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は導電性化合物およびブロックポリマーを含有してなる導電剤に関する。さらに詳細には導電性化合物の分散性、および導電回路形成性に優れる導電剤、並びに該導電剤と熱可塑性樹脂を含有してなる帯電防止性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、絶縁性の高い熱可塑性樹脂に帯電防止性を付与する方法として最も一般的なのは、熱可塑性樹脂に少量の界面活性剤を練り込む方法である。しかし、界面活性剤の添加により得られる樹脂組成物の成形品の帯電防止性は、成形品表面に低分子量の界面活性剤がブリードアウトすることで効果が発現するため、成形品の水洗や拭き取り等により帯電防止効果が失われ、永久的な帯電防止性を保持することは困難であった。一方、熱可塑性樹脂に永久帯電防止性を付与する方法としては、カーボンブラック等の導電性フィラーを練り込む方法があったものの、この方法で帯電防止効果を発現させるためには、一般的に多量の導電性フィラーの配合が必要であることから、該樹脂組成物は加工性に問題があり、得られる成形品は耐衝撃性等の機械強度に劣るという問題があった。
そこで、ポリエーテルエステルアミド(例えば、特許文献1参照)やポリエーテル/ポリオレフィンブロックポリマー(例えば、特許文献2参照)等の高分子型帯電防止剤を樹脂中に比較的少量練り込む方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−12755号公報
【特許文献2】特開2001−278985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記の高分子型帯電防止剤を練り込む方法においても、熱可塑性樹脂に十分な帯電防止性を付与するには、含有量が10重量%を超える量の添加が必要であり、やはり機械強度、耐熱性等の成形品物性が低下するという問題があった。また、用途によっては、より高度な永久帯電防止性を樹脂成形品に付与できる帯電防止剤が切望されていた。
本発明の目的は、成形品の機械強度を損なうことなく、しかも従来にない高度な永久帯電防止性を該成形品に付与する導電剤、およびこれを含有してなる帯電防止性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者はこれらの問題点を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達
した。すなわち本発明は、ポリアニリン化合物およびポリピロール化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の導電性化合物(A)、およびポリエーテルブロックを有するブロックポリマー(B)を含有してなる導電剤(X)である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の導電剤は、下記の効果を奏する。
(1)樹脂成形品に従来にない高度な永久帯電防止性を付与できる。
(2)該導電剤を含有してなる樹脂組成物は成形性に優れる。
(3)該樹脂組成物を成形してなる成形品は機械強度に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
[導電剤(X)]
本発明の導電剤(X)は、ポリアニリン化合物およびポリピロール化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の導電性化合物(A)、およびポリエーテルブロックを有するブロックポリマー(B)を含有してなる。
【0008】
[導電性化合物(A)]
本発明における導電性化合物(A)としては、ポリアニリン化合物(A1)およびポリピロール化合物(A2)からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0009】
ポリアニリン化合物(A1)としては、ポリアニリンの他にその誘導体、例えばポリ〔(ジ)アルキル[アルキル基は炭素数(以下Cと略記)1〜20]アニリン〕[ポリ(2−および3−メチルアニリン)、ポリ(2−および3−エチルアニリン)、ポリ(2−および3−n−プロピルアニリン)、ポリ(2−および3−ヘキシルアニリン)、ポリ(2−および3−オクタデシルアニリン)、ポリ(2,3−および2,5−ジメチルアニリン)等]、ポリ(ハロゲン化アニリン)[ポリ(2−および3−クロロアニリン)、ポリ(2−および3−ブロモアニリン)等]、ポリ[アルコキシ(C1〜6)アニリン][ポリ(2−および3−メトキシアニリン)、ポリ(2−および3−エトキシアニリン)、ポリ(2−および3−プロポキシアニリン)、ポリ(2−および3−ブトキシアニリン)等]等が挙げられる。
【0010】
ポリピロール化合物(A2)としては、ポリピロールの他にその誘導体、例えばポリ[アルキル(C1〜12)ピロール][ポリ(2−および3−オクチルピロール)、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(N−オクチルピロール)等]が挙げられる。
【0011】
これらの(A)のうち、導電性、および、後述のポリエーテルブロックを有するブロックポリマー(B)との混合性の観点から好ましいのは(A1)、さらに好ましいのはポリアニリン誘導体、とくに好ましいのはポリ(2−アルキルアニリン)、ポリ(2−アルコキシアニリン)である。
【0012】
(A)の数平均分子量[以下Mnと略記。測定はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法による。]は、導電性および分散性の観点から好ましくは2,000〜100,000、さらに好ましくは10,000〜50,000である。
【0013】
(A)のMnの測定条件は次のとおりである。
装 置:GPC[機種名「600controller」、Waters(株)製]
カラム :「JAIGEL−MH−A」[商品名、日本分析工業(株)製]、「JAI
GEL−H−P」 [商品名、日本分析工業(株)製、ガードカラム]
溶 媒:クロロホルム
基準物質:ポリスチレン
サンプル濃度:10mg/ml
カラム温度 :40℃
【0014】
本発明における(A)は、それぞれの繰り返し単位を構成するモノマーの電気的酸化重合(電解重合)や化学的酸化重合等、公知の重合方法で製造することができる。
【0015】
[ブロックポリマー(B)]
本発明におけるブロックポリマー(B)は、ポリエーテル(a)のブロックと、疎水性ポリマー(b)のブロックとが、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、ウレア結合およびイミド結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合を介して交互に結合した構造を有するものである。
【0016】
ポリエーテル(a)としては、ポリエーテルジオール(a1)、ポリエーテルジアミン(a2)、およびこれらの変性物(a3)が挙げられる。
【0017】
ポリエーテルジオール(a1)は、ジオール(a0)または二価フェノールのアルキレンオキサイド(以下AOと略記)付加物で、一般式:H−(OA1m−O−E1−O−(A1O)m'−Hで示されるものが挙げられる。
式中、E1はジオール(a0)または二価フェノールから水酸基を除いた残基、A1はC2〜12(好ましくは2〜4)のアルキレン基、mおよびm’はジオール(a0)または二価フェノールの水酸基1個当たりのAO付加モル数を表す。m個の(OA1)とm’個の(A1O)とは、同一でも異なっていてもよく、また、これらが2種以上のオキシアルキレン基で構成される場合の結合形式はブロックおよび/またはランダムのいずれでもよい。
m、m’はそれぞれ、通常1〜300、導電性の観点から好ましくは2〜250、さらに好ましくは10〜100の数である。また、mとm’とは、同一でも異なっていてもよい。
【0018】
ジオール(a0)としては、二価アルコール(例えばC2〜12の脂肪族、脂環含有および芳香環含有二価アルコール)、および三級アミノ基含有ジオールが挙げられる。
脂肪族二価アルコールとしては、例えばアルキレングリコール[エチレングリコール、プロピレングリコール(以下それぞれEG、PGと略記)]、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール(以下それぞれ1,4−BD、1,6−HD、NPGと略記)、1,12−ドデカンジオールが挙げられる。
脂環含有二価アルコールとしては、例えばシクロヘキサンジメタノール、また、芳香環含有二価アルコールとしては、例えばキシリレンジオールが挙げられる。
【0019】
三級アミノ基含有ジオールとしては、例えば、C1〜12の脂肪族または脂環含有一級モノアミン(メチルアミン、1,3−ジメチルブチルアミン、ヘキシルアミン、シクロプロピルアミン、シクロヘキシルアミン等)およびC6〜12の芳香環含有一級モノアミン(アニリン、ベンジルアミン等)の各ビスヒドロキシアルキル化物が挙げられる。
二価フェノールとしては、例えば単環二価フェノール(ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、ウルシオール等)、ビスフェノール(ビスフェノールA、−Fおよび−S、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタン等)、ビフェニル(ジヒドロキシビフェニル等)および縮合多環二価フェノール(ジヒドロキシナフタレン、ビナフトール等)が挙げられる。
上記ジオール(a0)または二価フェノールのうち反応性の観点から好ましいのは、脂肪族二価アルコールおよびビスフェノール、さらに好ましいのはEGおよびビスフェノールAである。
【0020】
ポリエーテルジオール(a1)は、ジオール(a0)または二価フェノールにAOを付加させることにより製造することができる。
【0021】
AOとしては、C2〜4のAO[エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−、1,4−、2,3−および1,3−ブチレンオキサイド(以下それぞれEO、PO、BOと略記)、およびこれらの2種以上の混合物]が用いられるが、必要により他のAOまたは置換AO(以下、これらも含めてAOと総称する。)、例えばC5〜12のα−オレフィンオキサイド、スチレンオキサイド、エピハロヒドリン(エピクロルヒドリン等)を少しの割合(例えば、全AOの重量に基づいて30%以下)で併用することもできる。
2種以上のAOを併用するときの結合形式はランダムおよび/またはブロックのいずれでもよい。
上記AOのうち導電性の観点から好ましいのは、EO単独およびEOと他のAOとの併用(ランダムおよび/またはブロック付加)である。
AOの付加モル数は、ジオール(a0)の水酸基1個当り、通常1〜300、好ましくは2〜250、さらに好ましくは10〜100である。
【0022】
(a0)または二価フェノールへのAOの付加は、公知方法、例えばアルカリ触媒の存在下、100〜200℃の温度で行なうことができる。
ポリエーテルジオール(a1)中のオキシアルキレン単位の含量(重量%)は、通常5〜99.8%、導電性および生産性の観点から好ましくは8〜99.6%、さらに好ましくは10〜98%である。
ポリオキシアルキレン鎖中のオキシエチレン単位の含量(重量%)は、通常5%以上、導電性の観点から好ましくは10%以上、さらに好ましくは50%以上、特に好ましくは60〜100%である。
【0023】
ポリエーテルジアミン(a2)は、両末端にアミノ基を有するポリエーテルで、一般式:RNH−A2−(OA1m−O−E1−O−(A1O)m'−A2−NHR[式中の記号E1、A1、mおよびm’は前記と同様であり、A2はC2〜12(好ましくは2〜4)のアルキレン基である。A1とA2とは同じでも異なっていてもよい。RはHまたはC1〜12の炭化水素基である。]で示されるものが挙げられる。
(a2)は、ポリエーテルジオール(a1)の水酸基を公知の方法によりアミノ基に変えることにより得ることができ、例えば、(a1)の水酸基をシアノアルキル化して得られる末端をさらに還元する方法、すなわち(a1)とアクリロニトリルとを反応させ、得られるシアノエチル化物を水素添加することにより製造することができる。
【0024】
前記変性物(a3)としては、例えば、ポリエーテルジオール(a1)またはポリエーテルジアミン(a2)のアミノカルボン酸変性物(末端アミノ基)、同イソシアネート変性物(末端イソシアネート基)および同エポキシ変性物(末端エポキシ基)が挙げられる。
アミノカルボン酸変性物は、(a1)または(a2)と、後述するアミノカルボン酸またはラクタムとを反応させることにより得られる。
イソシアネート変性物は、(a1)または(a2)と、後述のポリイソシアネートとを反応させるか、(a2)とホスゲンとを反応させることにより得られる。
エポキシ変性物は、(a1)または(a2)と、ジエポキシド(ジグリシジルエーテル、ジグリシジルエステル、脂環式ジエポキシド等:エポキシ当量85〜600)とを反応させるか、(a1)とエピハロヒドリン(エピクロルヒドリン等)とを縮合反応させることにより得られる。
【0025】
ポリエーテル(a)の体積固有抵抗値(Ω・cm)は、樹脂組成物の成形性および成形品の帯電防止性の観点から好ましくは1×107〜1×1011、さらに好ましくは1×107〜1×109である。該体積固有抵抗値は後述の表面固有抵抗値と同様にASTM D257に準拠した方法で、23℃、50%RHの雰囲気下で測定される。
【0026】
ポリエーテル(a)のMnは、導電剤の耐熱性および後述する疎水性ポリマー(b)との反応性の観点から好ましくは150〜20,000であり、さらに好ましくは300〜18,000、とくに好ましくは500〜15,000、最も好ましくは1,000〜8,000である。
【0027】
(a)のMnの測定条件は次のとおりであり、本発明における後述の(b)、(B)のMnも同じ条件で測定するものとする。
装 置 :高温GPC[機種名「Alliance GPCV 2000」、
Waters(株)製]
カラム :PLgel 10μL MIXED−B[ポリマーラボラトリーズ(株)製]
PLgel 10μL Guard[ポリマーラボラトリーズ(株)製、
ガードカラム]
溶 媒:オルトジクロロベンゼン
基準物質:ポリスチレン
サンプル濃度:3mg/ml
カラム温度 :135℃
【0028】
[疎水性ポリマー(b)]
本発明における疎水性ポリマー(b)には、ポリオレフィン(b1)、ポリアミド(b2)およびポリアミドイミド(b3)からなる群から選ばれる疎水性ポリマーが含まれる。ここにおいて疎水性ポリマーとは、1×1014〜1×1017Ωの体積固有抵抗値を有するポリマーを意味する。
【0029】
ポリオレフィン(b1)としては、カルボニル基(好ましくは、カルボキシル基、以下同じ。)をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(b11)、水酸基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(b12)、およびアミノ基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(b13)およびイソシアネート基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(b14)等が使用できる。
さらに、カルボニル基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(b15)、水酸基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(b16)、アミノ基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(b17)、およびイソシアネート基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(b18)等が使用できる。
これらのうち、変性のし易さからカルボニル基を有するポリオレフィン(b11)および(b15)が好ましい。
【0030】
カルボニル基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(b11)としては、両末端が変性可能なポリオレフィンを主成分(好ましくは含量50%以上、さらに好ましくは75%以上、とくに好ましくは80〜100%)とするポリオレフィン(b10)の両末端にカルボニル基を導入したものが用いられる。
(b12)としては、(b10)の両末端に水酸基を導入したもの;(b13)としては、(b10)の両末端にアミノ基を導入したもの;(b14)としては、(b10)の両末端にイソシアネート基を導入したものが、それぞれ用いられる。
【0031】
(b10)には、C2〜30(好ましくは2〜12、さらに好ましくは2〜10)のオレフィンの1種または2種以上の混合物の(共)重合(重合または共重合を意味する。以下同様。)によって得られるポリオレフィン(重合法)および減成されたポリオレフィン[高分子量ポリオレフィン(好ましくはMn50,000〜150,000)を機械的、熱的または化学的に減成してなるもの](減成法)が含まれる。
これらのうち、カルボニル基、水酸基、アミノ基またはイソシアネート基を導入する変性のし易さおよび入手のし易さの観点から好ましいのは、減成されたポリオレフィン、とくに熱減成されたポリオレフィンである。
熱減成されたポリオレフィンには、高分子量ポリオレフィンを不活性ガス(窒素ガス等)中で加熱する(通常300〜450℃で0.5〜10時間)ことにより熱減成されたもの(例えば特開平3−62804号公報記載のもの)が挙げられる。
該熱減成法に用いられる高分子量ポリオレフィンとしては、C2〜30(好ましくは2〜12、さらに好ましくは2〜10)のオレフィンの1種または2種以上の混合物の(共)重合体等が挙げられる。
C2〜30のオレフィンとしては、後述のポリオレフィン(重合法)製造に用いられるものと同じものが使用でき、これらのうち好ましいのはエチレン、プロピレンおよびC4〜12のα−オレフィン、さらに好ましいのはエチレン、プロピレンおよびC4〜10のα−オレフィン、とくに好ましいのはエチレンおよびプロピレンである。
【0032】
前記ポリオレフィン(重合法)の製造に用いられるC2〜30のオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、C4〜30(好ましくは4〜12、さらに好ましくは4〜10)のα−オレフィンおよびC4〜30(好ましくは4〜18、さらに好ましくは4〜8)のジエンが挙げられる。
α−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンおよび1−ドデセンが挙げられる。
ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエンおよび1,11−ドデカジエンが挙げられる。
これらのうち、帯電防止性樹脂組成物中へのブロックポリマー(B)の分散性の観点から好ましいのはエチレン、プロピレン、C4〜12のα−オレフィン、ブタジエンおよびイソプレン、さらに好ましいのはエチレン、プロピレン、C4〜10のα−オレフィンおよびブタジエン、とくに好ましいのはエチレン、プロピレンおよびブタジエンである。
【0033】
ポリオレフィン(b10)のMnは、耐水性および帯電防止性の観点から好ましくは800〜20,000、さらに好ましくは1,000〜10,000、特に好ましくは1,200〜6,000である。
【0034】
(b10)中の二重結合量は、帯電防止性の観点から好ましくは炭素数1,000個当たり1〜40個、さらに好ましくは2〜30個、とくに好ましくは4〜20個である。
(b10)の1分子当たりの二重結合の平均数は、帯電防止性の観点から好ましくは1.1〜5個、さらに好ましくは1.3〜3個、とくに好ましくは1.5〜2.5個、最も好ましくは1.8〜2.2個である。
熱減成法による低分子量ポリオレフィンでは、Mnが800〜6,000の範囲で、1分子当たりの平均末端二重結合量が1.5〜2個のものが容易に得られる[村田勝英、牧野忠彦、日本化学会誌、192頁(1975)]。
熱減成法による低分子量ポリオレフィンは、例えば特開平3−62804号公報記載の方法により得ることができる。
【0035】
これらの(b10)のうち、変性のしやすさの観点から好ましいのは、前記高分子量ポリオレフィンの熱減成法により得られる低分子量ポリオレフィン、さらに好ましいのはMnが1,200〜6,000のポリエチレンおよび/またはポリプロピレンである。
【0036】
前記カルボニル基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(b15)としては、片末端が変性可能なポリオレフィンを主成分(好ましくは含量50%以上、さらに好ましくは75%以上、とくに好ましくは80〜100%)とするポリオレフィン(b100)の片末端にカルボニル基を導入したものが用いられる。
前記(b16)としては、(b100)の片末端に水酸基を導入したもの;(b17)としては、(b100)の片末端にアミノ基を導入したもの;(b18)としては、(b100)の片末端にイソシアネート基を導入したものが、それぞれ用いられる。
【0037】
(b100)は、(b10)と同様にして得ることができ、(b100)のMnは、耐水性および帯電防止性の観点から好ましくは2,000〜50,000、好ましくは2,500〜30,000、特に好ましくは3,000〜20,000である。
【0038】
(b100)中の二重結合量は、帯電防止性およびブロックポリマー(B)の分子量制御の観点から好ましくは炭素数1,000個当たり0.3〜20個、さらに好ましくは0.5〜15個、特に好ましくは0.7〜10個である。
(b100)の1分子当たりの二重結合の平均数は、分子中の繰り返し構造のとりやすさ、帯電防止性およびブロックポリマー(B)の熱可塑性の観点から好ましくは0.5〜1.4個、さらに好ましくは0.6〜1.3個、とくに好ましくは0.7〜1.2個、最も好ましくは0.8〜1.1個である。
熱減成法による低分子量ポリオレフィンでは、Mnが6,000〜30,000の範囲で、1分子当たりの平均末端二重結合量が1〜1.5個のものが得られる。
【0039】
これらの(b100)のうち、変性のしやすさの観点から好ましいのは、前記高分子量ポリオレフィンの熱減成法により得られる低分子量ポリオレフィン、さらに好ましいのはMnが2,000〜20,000のポリエチレンおよび/またはポリプロピレンである。
【0040】
なお、前記(b10)および(b100)は、通常これらの混合物として得られるが、これらの混合物をそのまま使用してもよく、精製分離してから使用しても構わない。工業上等の観点から、混合物として使用するのが好ましい。
【0041】
以下、ポリオレフィン(b10)の両末端にカルボニル基、水酸基、アミノ基またはイソシアネート基を有する(b11)〜(b14)について説明するが、ポリオレフィン(b100)の片末端にこれらの基を有する(b15)〜(b18)については、(b10)を(b100)に置き換えて(b11)〜(b14)に準じ同様にして得ることができる。
【0042】
カルボニル基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(b11)としては、(b10)の末端をα,β不飽和カルボン酸(無水物)(α,β−不飽和カルボン酸、またはその無水物を意味する。以下、同様。)またはその低級(C1〜4)アルキルエステルで変性した構造を有するポリオレフィン(b11−1)、(b11−1)をラクタムまたはアミノカルボン酸で二次変性した構造を有するポリオレフィン(b11―2)、(b10)を酸化、またはヒドロホルミル化による変性をした構造を有するポリオレフィン(b11−3)、(b11―3)をラクタムまたはアミノカルボン酸で二次変性した構造を有するポリオレフィン(b11―4)およびこれらの2種以上の混合物等が使用できる。
【0043】
(b11−1)は、(b10)をα,β−不飽和カルボン酸(無水物)またはその低級(C1〜4)アルキルエステルにより変性することにより得ることができる。
変性に用いられるα,β−不飽和カルボン酸(無水物)としては、C3〜15の、モノカルボン酸、ジカルボン酸、およびこれらの無水物、例えば(メタ)アクリル酸(アクリル酸またはメタアクリル酸を意味する。以下同じ。)、これらのアルキル(C1〜4)エステルおよびこれらの無水物、例えば(メタ)アクリル酸(アクリル酸またはメタアクリル酸を意味する。以下同じ。)、フマル酸、マレイン酸(無水物)、イタコン酸(無水物)、シトラコン酸(無水物)、また、それらの低級(C1〜4)アルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジエチルが挙げられる。
これらのうち変性の容易さの観点から好ましいのは、ジカルボン酸(無水物)およびこれらの低級アルキルエステル、さらに好ましいのはマレイン酸(無水物)およびフマル酸、とくに好ましいのはマレイン酸(無水物)である。
【0044】
変性に用いるα,β−不飽和カルボン酸(無水物)の使用量は、ポリオレフィン(b10)の重量に基づき、好ましくは0.5〜40%、さらに好ましくは1〜30%、とくに好ましくは2〜20%である。α,β−不飽和カルボン酸(無水物)の使用量がこの範囲であると(a)、(b)が交互に結合する構造をさらにとりやすくなり、帯電防止性がさらに良好になる。
α,β−不飽和カルボン酸(無水物)による変性は、種々の方法で行うことができ、例えば、(b10)の末端二重結合に、溶液法または溶融法のいずれかの方法により、通常170〜230℃の温度で、α,β−不飽和カルボン酸(無水物)を熱的に付加(エン反応)させることにより行うことができる。
【0045】
(b11−2)は、(b11−1)をラクタムまたはアミノカルボン酸で二次変性することにより得られる。
二次変性に用いるラクタムとしては、C6〜12(好ましくは6〜8、さらに好ましくは6)のラクタム、例えばカプロラクタム、エナントラクタム、ラウロラクタムおよびウンデカノラクタムが挙げられる。
また、アミノカルボン酸としては、C2〜12(好ましくは4〜12、さらに好ましくは6〜12)のアミノカルボン酸、例えばアミノ酸(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン等)、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸および12−アミノドデカン酸が挙げられる。
【0046】
これらのうち、変性の容易さの観点から好ましいのはカプロラクタム、ラウロラクタム、グリシン、ロイシン、ω−アミノカプリル酸、11−アミノウンデカン酸および12−アミノドデカン酸、さらに好ましいのはカプロラクタム、ラウロラクタム、ω−アミノカプリル酸、11−アミノウンデカン酸および12−アミノドデカン酸、とくに好ましいのはカプロラクタムおよび12−アミノドデカン酸である。
二次変性に用いるラクタムまたはアミノカルボン酸の使用量は、ラクタムまたはアミノカルボン酸中のアミノ基と(b11−1)中のカルボキシル基との当量比で、好ましくは0.2〜6、さらに好ましくは0.3〜3である。該使用量がこの範囲であると(a)、(b)が交互に結合する構造をさらにとりやすくなり、帯電防止性がさらに良好になる。
【0047】
前記(b11−3)は、ポリオレフィン(b10)を酸素および/もしくはオゾンによる酸化(酸化法)、またはオキソ法のヒドロホルミル化によりカルボニル基を導入することにより得られる。
酸化法によるカルボニル基の導入は、公知の方法、例えば米国特許第3,692,877号明細書記載の方法で行うことができる。オキソ法のヒドロホルミル化によるカルボニル基の導入は、公知の方法、例えばMacromolecules、Vol.31、5、943頁記載の方法で行うことができる。
前記(b11−4)は、(b11−3)をラクタムまたはアミノカルボン酸で二次変性することにより得ることができる。
ラクタムおよびアミノカルボン酸およびこれらの好ましい範囲は、(b11−2)の製造で使用できるものと同じである。ラクタムおよびアミノカルボン酸の使用量も同じである。
【0048】
カルボニル基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(b11)のMnは、ブロックポリマー(B)の耐熱性および前記ポリエーテル(a)との反応性の観点から、好ましくは800〜25,000、さらに好ましくは1,000〜20,000、とくに好ましくは2,500〜10,000である。
また、(b11)の酸価(単位はmgKOH/g。以下においては数値のみを記載する。)は、(a)との反応性およびブロックポリマー(B)の熱可塑性の観点から好ましくは4〜280、さらに好ましくは4〜100、とくに好ましくは5〜50である。
【0049】
水酸基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(b12)としては、前記カルボニル基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(b11)をアルカノールアミンで変性してなる、末端にヒドロキシル基を有するポリオレフィンおよびこれらの2種以上の混合物が使用できる。
変性に使用できるアルカノールアミンとしては、C2〜10のアルカノールアミン、例えば2−アミノエタノール、3−アミノプロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、4−アミノブタノール、5−アミノペンタノール、6−アミノヘキサノールおよび3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサノールが挙げられる。
これらのうち、変性の容易さの観点から好ましいのは2−アミノエタノール、3−アミノプロパノール、4−アミノブタノール、5−アミノペンタノールおよび6−アミノヘキサノール、さらに好ましいのは2−アミノエタノールおよび4−アミノブタノール、とくに好ましいのは2−アミノエタノールである。
【0050】
変性に用いるアルカノールアミンの使用量は、アルカノールアミン中のアミノ基と(b11)中のカルボニル基との当量比で、好ましくは0.1〜1、さらに好ましくは0.3〜0.6である。アルカノールアミンの使用量がこの範囲であると(a)、(b)が交互に結合する構造をさらにとりやすくなり、帯電防止性がさらに良好になる。
(b12)のMnは、ブロックポリマー(B)の耐熱性および前記ポリエーテル(a)との反応性の観点から、好ましくは800〜25,000、さらに好ましくは1,000〜20,000、とくに好ましくは2,500〜10,000である。
また、(b12)の水酸基価(単位はmgKOH/g。以下においては数値のみを記載する。)は、(a)との反応性およびブロックポリマー(B)の熱可塑性の観点から、好ましくは4〜280、さらに好ましくは4〜100、とくに好ましくは5〜50である。
【0051】
前記アミノ基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(b13)としては、前記カルボニル基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(b11)をジアミン(Q1)で変性してなる、末端にアミノ基を有するポリオレフィンおよびこれらの2種以上の混合物が使用できる。
この変性に用いるジアミン(Q1)としては、C2〜12のジアミン、例えばエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミンおよびデカメチレンジアミンが挙げられる。
これらのうち、変性の容易さの観点から好ましいのはエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミンおよびオクタメチレンジアミン、さらに好ましいのはエチレンジアミンおよびヘキサメチレンジアミン、とくに好ましいのはエチレンジアミンである。
【0052】
変性における、ジアミン中のアミノ基と(b11)中のカルボニル基との反応当量比は、好ましくは0.1〜1、さらに好ましくは0.3〜0.6である。該当量比がこの範囲であると(a)、(b)が交互に結合する構造をさらにとりやすくなり、帯電防止性がさらに良好になる。
なお、実際の変性に当たってのジアミンの使用量は、ポリアミド(イミド)化を防止するため、ジアミン中のアミノ基と(b11)中のカルボニル基との当量比で好ましくは1〜500、さらに好ましくは5〜200のジアミンを使用し、未反応の過剰ジアミンを減圧下、通常120〜230℃で除去することが好ましい。
【0053】
(b13)のMnは、ブロックポリマー(B)の耐熱性および前記ポリエーテル(a)との反応性の観点から好ましくは800〜25,000、さらに好ましくは1,000〜20,000、とくに好ましくは2,500〜10,000である。
また、(b13)のアミン価(単位はmgKOH/g、以下、数値のみを記載する。)は、(a)との反応性およびブロックポリマー(B)の熱可塑性の観点から好ましくは4〜280、さらに好ましくは4〜100、とくに好ましくは5〜50である。
【0054】
イソシアネート基を両末端に有するポリオレフィン(b14)としては、前記水酸基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(b12)をポリ(2〜3またはそれ以上)イソシアネート(以下PIと略記)で変性してなる、末端にイソシアネート基を有するポリオレフィンおよびこれらの2種類以上の混合物が使用できる。PIとしては、C(但し該PIについてはNCO基中のCを除く、以下同様)6〜20の芳香族PI、C2〜18の脂肪族PI、C4〜15の脂環式PI、C8〜15の芳香脂肪族PI、これらのPIの変性体およびこれらの2種以上の混合物が含まれる。
【0055】
上記芳香族PIの具体例としては、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート(ジイソシアネートは以下DIと略記)、2,4−および/または2,6−トリレンDI(TDI)、粗製TDI、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンDI(MDI)、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンDI等が挙げられる。
【0056】
上記脂肪族PIの具体例としては、エチレンDI、テトラメチレンDI、ヘキサメチレンDI(HDI)、ドデカメチレンDI、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンDI、リジンDI、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等が挙げられる。
【0057】
上記脂環式PIの具体例としては、イソホロンDI(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−DI(水添MDI)、シクロヘキシレンDI、メチルシクロヘキシレンDI(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−および/または2,6−ノルボルナンDI等が挙げられる。
【0058】
上記芳香脂肪族PIの具体例としては、m−および/またはp−キシリレンDI(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が挙げられる。
【0059】
また、上記PIの変性体としては、ウレタン変性体、ウレア変性体、カルボジイミド変性体、ウレトジオン変性体等が挙げられる。
上記PIのうち、変性の容易さの観点から好ましいのはTDI、MDIおよびHDI、さらに好ましいのはHDIである。
【0060】
水酸基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(b12)とPIとの反応は通常のウレタン化反応と同様の方法で行うことができる。
イソシアネート変性ポリオレフィンを形成させる際の、PIと(b12)との当量比(NCO/OH比)は、反応性およびブロックポリマー(B)の熱可塑性の観点から好ましくは1.8/1〜3/1、さらに好ましくは2/1〜2.1/1である。
反応を促進するために必要によりポリウレタン製造において通常用いられる触媒を使用してもよい。該触媒としては、金属触媒、例えば錫触媒[ジブチルチンジラウレート、スタナスオクトエート等]、鉛触媒[2−エチルヘキサン酸鉛、オクテン酸鉛等]、その他の金属触媒[ナフテン酸金属塩(ナフテン酸コバルト等)、フェニル水銀プロピオン酸塩等];アミン触媒、例えばトリエチレンジアミン、ジアザビシクロアルケン化合物〔1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7[DBU(サンアプロ(株)製、登録商標)]等〕、ジアルキルアミノアルキルアミン[ジメチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノオクチルアミン等]、複素環式アミノアルキルアミン[2−(1−アジリジニル)エチルアミン、4−(1−ピペリジニル)−2−ヘキシルアミン等]の炭酸塩および有機酸塩(ギ酸塩等)、N−メチルおよび−エチルモルホリン、トリエチルアミン、ジエチル−およびジメチルエタノールアミンの炭酸塩および有機酸塩(ギ酸塩等);およびこれらの2種以上の併用系が挙げられる。
これらの触媒の使用量は、PIと(b12)の合計重量に基づいて、通常3%以下、好ましくは0.001〜2%である。
【0061】
(b14)のMnは、ブロックポリマー(B)の耐熱性および前記ポリエーテル(a)との反応性の観点から好ましくは800〜25,000、さらに好ましくは1,000〜20,000、とくに好ましくは2,500〜10,000である。
【0062】
(b14)のNCO%(重量%)は、反応性およびブロックポリマー(B)の熱可塑性の観点から好ましくは0.3〜10.0%、さらに好ましくは0.4〜8.4%である。
【0063】
前記ポリオレフィン(b1)のMnは、ブロックポリマー(B)の耐熱性および前記ポリエーテル(a)との反応性の観点から好ましくは800〜55,000、さらに好ましくは1,000〜35,000、とくに好ましくは1,200〜25,000である。
【0064】
前記疎水性ポリマー(b)のうち、ポリアミド(b2)としては、アミド形成性モノマーを開環重合または重縮合したものが挙げられる。
アミド形成モノマーとしては、ラクタム、アミノカルボン酸、およびジアミン/ジカルボン酸が挙げられる。
ラクタムとしては、前記例示したものと同じものが挙げられる。ラクタムの開環重合体としては、例えばナイロン4、−5、−6、−8および−12が挙げられる。
【0065】
アミノカルボン酸としては、前記例示したものと同じものが挙げられる。
アミノカルボン酸の自己重縮合体としては、例えばω−アミノエナント酸の重縮合によるナイロン7、ω−アミノウンデカン酸の重縮合によるナイロン11および12−アミノドデカン酸の重縮合によるナイロン12が挙げられる。
【0066】
ジアミンとしては、C2〜40、例えば脂肪族、脂環式および芳香(脂肪)族ジアミン、並びにこれらの混合物が挙げられる。
脂肪族ジアミンとしては、C2〜40、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,18−オクタデカンジアミンおよび1,20−エイコサンジアミン;
脂環式ジアミンとしては、C5〜40、例えば1,3−および1,4−シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノシクロヘキシルメタンおよび2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン;
芳香脂肪族ジアミンとしては、C7〜20、例えば(パラまたはメタ)キシリレンジアミン、ビス(アミノエチル)ベンゼン、ビス(アミノプロピル)ベンゼンおよびビス(アミノブチル)ベンゼン;
芳香族ジアミンとしては、C6〜40、例えばp−フェニレンジアミン、2,4−および2,6−トルイレンジアミンおよび2,2−ビス(4,4’−ジアミノフェニル)プロパンが挙げられる。
【0067】
ジカルボン酸には、C2〜40のジカルボン酸、例えば脂肪族、芳香環含有および脂環式ジカルボン酸、これらのジカルボン酸の誘導体〔例えば酸無水物、低級(C1〜4)アルキルエステルおよびジカルボン酸塩[アルカリ金属(例えばリチウム、ナトリウムおよびカリウム)塩]〕、並びにこれらの2種以上の混合物が含まれる。
【0068】
脂肪族ジカルボン酸としては、C2〜40(帯電防止性の観点から好ましくは4〜20、さらに好ましくは6〜12)のもの、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸が挙げられる。
芳香環含有ジカルボン酸としては、C8〜40(帯電防止性の観点から好ましくは8〜16、さらに好ましくは8〜14)のもの、例えばオルト−、イソ−およびテレフタル酸、2,6−および−2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、トリレンジカルボン酸、キシリレンジカルボン酸および5−スルホイソフタル酸アルカリ金属(前記に同じ)塩が挙げられる。
脂環式ジカルボン酸としては、C5〜40(帯電防止性の観点から好ましくは6〜18、さらに好ましくは8〜14)のもの、例えばシクロプロパンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、ジシクロヘキシル−4,4’−ジカルボン酸およびショウノウ酸が挙げられる。
【0069】
ジカルボン酸誘導体のうち酸無水物としては、上記ジカルボン酸の無水物、例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸および無水フタル酸;低級(C1〜4)アルキルエステルとしては上記ジカルボン酸の低級アルキルエステル、例えばアジピン酸ジメチルおよびオルト−、イソ−およびテレフタル酸ジメチルが挙げられる。
【0070】
これらのジカルボン酸のうち帯電防止性の観点から好ましいのは脂肪族および芳香環含有ジカルボン酸、さらに好ましいのはアジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸および5−スルホイソフタル酸ナトリウムである。
【0071】
ジアミンとジカルボン酸との重縮合体としては、ヘキサメチレンジアミンと、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸もしくはドデカン二酸との重縮合による、それぞれナイロン66、−610、−69もしくは−612、およびテトラメチレンジアミンもしくはメタキシリレンジアミンとアジピン酸との重縮合によるナイロン46もしくはMXD6が挙げられる。
また、共重合ナイロンとしては、ナイロン6/66(アジピン酸/ヘキサメチレンジアミンのナイロン塩とカプロラクタムの共重合体)およびナイロン6/12(12−アミノドデカン酸とカプロラクタムの共重合体)が挙げられる。
【0072】
上記アミド形成性モノマーのうち、帯電防止性の観点から好ましいのは、カプロラクタム、12−アミノドデカン酸、アジピン酸/メタキシリレンジアミンおよびアジピン酸/ヘキサメチレンジアミン、さらに好ましいのはカプロラクタムである。
【0073】
ポリアミド(b2)の製造法としては、上記ジアミン(C2〜40、好ましくは4〜20)または上記ジカルボン酸(C2〜40、好ましくは4〜20)の1種またはそれ以上を分子量調整剤として使用し、その存在下に上記アミド形成性モノマーを開環重合あるいは重縮合させる方法が挙げられる。
該分子量調整剤としてのC2〜40のジアミンとしては、前記例示したものが挙げられ、これらのうち他のアミド形成性モノマーとの反応性の観点から好ましいのは脂肪族ジアミン、さらに好ましいのはヘキサメチレンジアミンおよびデカメチレンジアミンである。
該分子量調整剤としてのC2〜40のジカルボン酸としては、前記例示したものが挙げられ、これらのうち他のアミド形成性モノマーとの反応性の観点から好ましいのは脂肪族ジカルボン酸および芳香環含有ジカルボン酸、さらに好ましいのはアジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸および5−スルホイソフタル酸ナトリウムである。
【0074】
該分子量調整剤の使用量は、アミド形成性モノマーと分子量調整剤合計の重量に基づいて、後述する成形品の帯電防止性および耐熱性の観点から好ましくは2〜80%、さらに好ましくは4〜75%である。
【0075】
ポリアミド(b2)のMnは、成形性および帯電防止性帯電防止剤の製造上の観点から好ましくは200〜5,000、さらに好ましくは400〜4,000、とくに好ましくは500〜3,000である。
【0076】
前記疎水性ポリマー(b)のうち、ポリアミドイミド(b3)には、上記アミド形成性モノマーおよび、該アミド形成性モノマーと少なくとも1個のイミド環を形成しうる3価または4価の芳香族ポリカルボン酸もしくはその無水物[以下、芳香族ポリカルボン酸(無水物)と略記。](以下においてアミドイミド形成性モノマーという場合がある。)からなる重合体、およびこれらの混合物が含まれる。前記ジアミン(b23)およびジカルボン酸(b24)は、重合時の分子量調整剤としても使用できる。
【0077】
上記芳香族ポリカルボン酸(無水物)としては、単環(C9〜12)および多環(C13〜20)カルボン酸、例えば3価[単環(トリメリット酸等)、多環(1,2,5−および2,6,7−ナフタレントリカルボン酸、3,3’,4−ビフェニルトリカルボン酸、ベンゾフェノン−3,3’,4−トリカルボン酸、ジフェニルスルホン−3,3’,4−トリカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4−トリカルボン酸等)、およびこれらの無水物]カルボン酸;および4価[単環(ピロメリット酸等)、多環(ビフェニル−2,2’,3,3’−テトラカルボン酸、ベンゾフェノン−2,2’,3,3’−テトラカルボン酸、ジフェニルスルホン−2,2’,3,3’−テトラカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,2’,3,3’−テトラカルボン酸等)、およびこれらの無水物]カルボン酸が挙げられる。
【0078】
ポリアミドイミド(b3)の製造法としては、ポリアミド(b2)の場合と同様に上記ジカルボン酸(C2〜40)または上記ジアミン(C2〜40)の1種またはそれ以上を分子量調整剤として使用し、その存在下に上記アミドイミド形成性モノマーを開環重合あるいは重縮合させる方法が挙げられる。該ジカルボン酸およびジアミンのうち好ましいの
は(b2)の場合と同様である。
上記分子量調整剤の使用量は、アミドイミド形成性モノマーと分子量調整剤合計の重量に基づいて、下限は後述する成形品の帯電防止性の観点から、上限は成形品の耐熱性の観点から、好ましくは2〜80%、さらに好ましくは4〜75%である。
【0079】
(b3)のMnは、成形性および帯電防止剤の製造上の観点から好ましくは200〜5,000、さらに好ましくは400〜4,000、とくに好ましくは500〜3,000である。
【0080】
本発明におけるブロックポリマー(B)は、前記ポリエーテル(a)のブロックと、疎水性ポリマー(b)のブロックとが、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、ウレア結合、およびイミド結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合を介して交互に結合した構造を有する。
該(B)の重量に基づく(a)のブロックの割合は、帯電防止性および後述する帯電防止性樹脂組成物の成形性の観点から好ましくは20〜80%、さらに好ましくは30〜70%である。
【0081】
(a)、(b)の各ブロック間の結合のうち、エステル結合、アミド結合およびイミド結合は、例えばポリエーテル(a)と疎水性ポリマー(b)との反応で形成され、エーテル結合は、例えばポリエーテルジオール(a1)にエピハロヒドリンを反応させた前記エポキシ変性物と、水酸基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(b12)との反応で形成され、ウレタン結合またはウレア結合は、例えばポリエーテルジオール(a1)またはポリエーテルジアミン(a2)とイソシアネート基を両末端に有するポリオレフィン(b14)との反応で形成される。
【0082】
ブロックポリマー(B)のMnは、後述する成形品の機械特性および帯電防止性の観点から好ましくは2,000〜1,000,000、さらに好ましくは5,000〜500,000、とくに好ましくは6,000〜100,000である。
【0083】
[導電剤(X)]
本発明の導電剤(X)は、前記導電性化合物(A)、およびポリエーテルブロックを有するブロックポリマー(B)を含有してなる。
(A)と(B)の重量比は、導電性および分散性の観点から好ましくは1/99〜50/50、さらに好ましくは10/90〜40/60である。
【0084】
[プロトン酸]
導電剤(X)には、必要により本発明の効果を阻害しない範囲で、さらに、有機スルホン酸、カルボン酸、フェノール化合物および無機酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のプロトン酸を含有させることができる。
【0085】
ここにおいてプロトン酸とは、前記導電性化合物(A)に対して、導電性を高めるドーパントとして働く酸である。
該プロトン酸としては、例えば、有機酸(有機スルホン酸、カルボン酸、フェノール化合物等)、および無機酸(塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、燐酸、ホウフッ化水素酸等)が挙げられる。
【0086】
有機酸のうち、有機スルホン酸としては、C1以上かつMn1,000以下の、例えば分子内に1個のスルホ基を有する1価有機スルホン酸[芳香族スルホン酸(ベンゼンスルホン酸、ペンタデシルベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルナフタレンスルホン酸等)、脂環式スルホン酸(カンファースルホン酸等)、脂肪族スルホン酸(アクリルアミド−t−ブチルスルホン酸等)等];および、分子内に2個以上のスルホ基を有する多価有機スルホン酸[芳香族多価スルホン酸(ベンゼンジスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、トルエンジスルホン酸、メチルナフタレンジスルホン酸、アントラセンジスルホン酸、アントラキノンジスルホン酸、フェナントレンジスルホン酸、フルオレノンジスルホン酸、カルバゾールジスルホン酸、ジフェニルメタンジスルホン酸、ターフェニルジスルホン酸、ターフェニルトリスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸−フォルマリン縮合物等)、脂肪族多価スルホン酸(エタンジスルホン酸、プロパンジスルホン酸等)]が挙げられる。
【0087】
カルボン酸には、C1以上かつMn1,000以下の、脂肪族、芳香族、芳香脂肪族または脂環式で、単または多塩基酸が含まれ、さらに水酸基を有する脂肪族オキシカルボン酸、芳香族オキシカルボン酸等、もしくはハロゲン、ニトロ基、シアノ基またはアミノ基等の置換基を有するものも含まれる。
該カルボン酸としては、脂肪族カルボン酸[酢酸、酪酸、乳酸、モノクロロ酢酸、モノフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロ酢酸、ペンタデカフルオロオクタン酸、蟻酸、シュウ酸、(メタ)アクリル酸等]、芳香族カルボン酸(安息香酸、o−、m−およびp−クロロ安息香酸、o−、m−およびp−ニトロ安息香酸、o−メトキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、サリチル酸、5−アミノサルチル酸等)等が挙げられる。
【0088】
フェノール化合物としては、C6〜20のキノン化合物、例えば、クロラニル酸、p−クロラニル、p−ベンゾキノン、p−キノンジオキシム、ジクロロジシアノキノン(DDQ)、p−ナフトキノン、アントラキノン、クロロアントラキノン、p−トルキノン等が挙げられる。
【0089】
また、前記有機酸はポリマー酸であってもよく、Mn1,000〜100,000の、例えばポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、スルホン化スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ(メタ)アリルスルホン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリハロゲン化アクリル酸、ポリイソプレンスルホン酸、N−スルホアルキル化ポリアニリン、核スルホン化ポリアニリン、ポリ(メタ)アクリル酸が挙げられる。
これらの有機酸のうち、導電性の観点から好ましいのは有機スルホン酸、さらに好ましいのはポリスチレンスルホン酸である。
【0090】
前記プロトン酸のpKaは、ドーピング性能の観点から好ましくは−6.0〜4.8、さらに好ましくは−3.0〜4.0である。
【0091】
プロトン酸の含有量は、導電性化合物(A)の重量に基づいて、導電性および後述する成形物の機械特性の観点から好ましくは1〜50%、さらに好ましくは5〜40%である。
【0092】
本発明の導電剤(X)に、前記プロトン酸を含有させる方法としては、次の3つが挙げられる。これらのうち、(A)、(B)との混合性の観点から好ましいのは(2)または(3)の方法である。
(1)導電性化合物(A)と予め混合しておき、その後ブロックポリマー(B)と混合する方法
(2)(B)と予め混合しておき、その後(A)と混合する方法
(3)(A)と(B)の混合時に同時に混合する方法
【0093】
[成形用帯電防止性樹脂組成物]
本発明の成形用帯電防止性樹脂組成物は、導電剤(X)、および前記ブロックポリマー(B)以外の熱可塑性樹脂(D)を含有してなる。
(X)と(D)の合計重量に基づく(X)の含有量は、後述する成形品の帯電防止性および機械特性の観点から好ましくは1〜30%、さらに好ましくは3〜20%である。
【0094】
熱可塑性樹脂(D)としては、例えばビニル樹脂[ポリオレフィン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂等]、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、生分解性樹脂およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらのうち、本発明の導電剤(X)の(D)への分散性及び成形品の機械特性の観点から好ましいのはポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂および変性ポリフェニレンエーテル樹脂である。
【0095】
[帯電防止性向上剤]
本発明の成形用帯電防止性樹脂組成物には、必要により本発明の効果を阻害しない範囲で、さらに、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の塩(C1)、第4級アンモニウム塩(C2)、界面活性剤(C3)、イオン性液体(C4)および相溶化剤(C5)からなる群から選ばれる少なくとも1種の帯電防止性向上剤(C)を含有させることができる。
【0096】
アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の塩(C1)としては、金属[アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)もしくはアルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム等)]の、有機酸(C1〜7のモノ−およびジ−カルボン酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸;C1〜7のスルホン酸、例えば、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸;チオシアン酸)の塩、および無機酸[ハロゲン化水素酸(塩酸、臭化水素酸等)、過塩素酸、硫酸、硝酸、リン酸等]の塩が挙げられる。
【0097】
第4級アンモニウム塩(C2)としては、アミジニウム(1−エチル−3−メチルイミダゾリウム等)、グアニジウム(2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム等)等の、有機酸(前記)および無機酸(前記)の塩が挙げられる。
【0098】
界面活性剤(C3)としては、非イオン性、アニオン性、カチオン性および両性の界面活性剤、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0099】
イオン性液体(C4)としては、上記(C1)〜(C3)を除く化合物で、室温以下の融点を有し、構成するカチオンまたはアニオンのうち少なくとも一つが有機物イオンで、初期電導度が1〜200ms/cm(好ましくは10〜200ms/cm)である常温溶融塩であって、例えばWO95/15572公報に記載の常温溶融塩が挙げられる。
【0100】
相溶化剤(C5)としては、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基およびポリオキシアルキレン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基(極性基)を有する変性ビニル重合体等:例えば、特開平3−258850号公報に記載の重合体、また、特開平6−345927号公報に記載のスルホン酸基を有する変性ビニル重合体、ポリオレフィン部分と芳香族ビニル重合体部分とを有するブロック重合体等が挙げられる。
【0101】
帯電防止性向上剤(C)の合計含有量は、熱可塑性樹脂(D)の重量に基づいて、通常5%以下、帯電防止性および樹脂表面に析出せず良好な外観の樹脂成形品を与える観点から好ましくは0.001〜3%、さらに好ましくは0.01〜2.5%である。
(C1)〜(C5)の各成分の熱可塑性樹脂(D)の重量に基づく含有量は、同様の観点から、好ましくは0.001〜3%、さらに好ましくは0.01〜2.5%である。
【0102】
本発明の成形用帯電防止性樹脂組成物に(C)を含有させる方法としては、後述する成形品の外観を損なわないために導電剤(X)中に予め分散させておくことが好ましく、ブロックポリマー(B)の製造時に(C)を含有させておく方法がさらに好ましい。(C)を(B)の製造時に含有させるタイミングは特に限定はなく、重合前、重合中および重合後のいずれでもよいが重合前の原料に含有させるのが好ましい。
【0103】
本発明の成形用帯電防止性樹脂組成物は、導電剤(X)、熱可塑性樹脂(D)、および必要により(C)を溶融混合することにより得られる。溶融混合する方法としては、一般的にはペレット状または粉体状の成分を適切な混合機、例えばヘンシェルミキサー等で混合した後、押出機で溶融混合してペレット化する方法が適用できる。
溶融混合時の各成分の添加順序には特に限定はないが、例えば、(1)導電剤(X)を溶融させてから、(D)、必要により(C)を一括して溶融混合する方法、(2)(X)を溶融させてから、(D)の一部を予め溶融混合して(X)の高濃度組成物(マスターバッチ樹脂組成物)を作成し、その後、残りの(D)並びに必要に応じて(C)を溶融混合する方法、が挙げられる。
【0104】
(1)の方法の成形用帯電防止性樹脂組成物における、(X)と(D)の合計重量に基づく(X)の含有量は帯電防止性および機械特性の観点から好ましくは1〜30%、さらに好ましくは3〜20%である。
(2)の方法のマスターバッチ樹脂組成物における、(X)と(D)の合計重量に基づく(X)の含有量は分散の効率性および取扱い性の観点から好ましくは40〜80%、さらに好ましくは50〜70%である。
これらのうち(2)の方法は、マスターバッチ法またはマスターペレット法と呼ばれる方法で、本発明の帯電防止剤(X)の(D)への効率的な分散の観点から好ましい方法である。
【0105】
[帯電防止性樹脂成形品]
本発明の帯電防止性樹脂成形品は、上記成形用帯電防止性樹脂組成物を成形して得られる。該成形方法としては、射出成形、圧縮成形、カレンダ成形、スラッシュ成形、回転成形、押出成形、ブロー成形、フィルム成形(キャスト法、テンター法、インフレーション法等)等が挙げられ、目的に応じて単層成形、多層成形あるいは発泡成形等の手段も取り入れた任意の方法で成形できる。
【0106】
本発明の成形品は、優れた機械物性および永久帯電防止性を有すると共に、良好な塗装性および印刷性を有し、成形品に塗装および/または印刷を施すことにより成形物品が得られる。
該成形品を塗装する方法としては、例えばエアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、静電スプレー塗装、浸漬塗装、ローラー塗装、刷毛塗り等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
塗料としては、例えば、ポリエステルメラミン樹脂塗料、エポキシメラミン樹脂塗料、アクリルメラミン樹脂塗料、アクリルウレタン樹脂塗料等のプラスチックの塗装に一般に用いられる塗料が挙げられる。
塗装膜厚(乾燥膜厚)は、目的に応じて適宜選択することができるが通常10〜50μmである。
【0107】
また、該成形品または成形品に塗装を施した上に印刷する方法としては、一般的にプラスチックの印刷に用いられている印刷法であればいずれも用いることができ、例えばグラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、パッド印刷、ドライオフセット印刷およびオフセット印刷等が挙げられる。
印刷インキとしてはプラスチックの印刷に通常用いられるもの、例えばグラビアインキ、フレキソインキ、スクリーンインキ、パッドインキ、ドライオフセットインキおよびオフセットインキが使用できる。
【実施例】
【0108】
以下実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部は重量部、%は重量%を表す。
【0109】
製造例1[ポリ(2−ヘキシルアニリン)(A−1)]
窒素気流下、クロロホルム300部中に無水塩化第二鉄24部を入れた後、2−ヘキシルアニリン3部を入れて25℃で120時間撹拌した。反応混合物をメタノール1,000部中に加えてよく撹拌した後、固形物を濾別して、メタノール、水、28重量%アンモニア水/メタノール混合溶液(重量比36/64)、および水の順で充分に洗浄し、減圧乾燥して、ポリ(2−ヘキシルアニリン)(A−1)2.7部を得た。(A−1)のMnは24,000であった。
【0110】
製造例2[ポリ(2−メトキシアニリン)(A−2)]
製造例1において、2−ヘキシルアニリン3部に代えて2−メトキシアニリン3部を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、ポリ(2−メトキシアニリン)(A−2)2.8部を得た。(A−2)のMnは22,000であった。
【0111】
製造例3[ポリ(3−ヘキシルピロール)(A−3)]
製造例1において、2−ヘキシルアニリン3部に代えて3−ヘキシルピロール3部を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、ポリ(3−ヘキシルピロール)(A−3)2.6部を得た。(A−3)のMnは22,000であった。
【0112】
製造例4[ポリ(2−メトキシピロール)(A−4)]
製造例1において、2−ヘキシルアニリン3部に代えて2−メトキシピロール3部を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、ポリ(2−メトキシピロール)(A−4)2.5部を得た。(A−4)のMnは20,000であった。
【0113】
製造例5[酸変性ポリオレフィン(b11−1)の製造]
ステンレス製のオートクレーブに、熱減成法〔ポリプロピレン[メルトフローレート(MFR)10g/10min(測定方法:JIS K7210に準拠、測定条件:230℃、2.16kgf)]を410±0.1℃、窒素通気下(80mL/分)、16分間で熱減成〕で得られた低分子量ポリプロピレン(Mn3,400、C1,000個当たりの二重結合数7.0、1分子当たりの二重結合の平均数1.8、両末端変性可能なポリオレフィンの含有量90%)90部、無水マレイン酸10部およびキシレン30部を仕込み、均一混合後、窒素ガス雰囲気下(密閉下)、撹拌しながら200℃で溶融させ10時間反応させた。その後、過剰の無水マレイン酸とキシレンを減圧下(1.3kPa以下)、200℃、3時間で留去して、酸変性ポリオレフィン(b11−1)95部を得た。(b11−1)の酸価は27.5、Mnは3,600であった。
【0114】
製造例6[二次変性した酸変性ポリオレフィン(b11−2)の製造]
ステンレス製のオートクレーブに、(b11−1)88部、12−アミノドデカン酸12部を仕込み、窒素ガス雰囲気下、撹拌しながら200℃で溶融し、3時間、減圧下(1.3kPa以下以下)で反応させ、二次変性した酸変性ポリオレフィン(b11−2)96部を得た。(b11−2)の酸価は24.8、Mnは、4,000であった。
【0115】
製造例7[水酸基を両末端に有する変性ポリオレフィン(b12−1)の製造]
製造例5において、低分子量ポリプロピレン90部および無水マレイン酸10部に代えて、熱減成法[エチレン/プロピレンランダム共重合体(エチレン含量2%、MFR10)を410±0.1℃、窒素通気下(80mL/分)、14分間で熱減成] で得られた低分子量エチレン/プロピレンランダム共重合体(Mn10,000、C1,000個当たりの二重結合数2.5、1分子当たりの二重結合の平均数1.8、両末端変性可能なポリオレフィンの含有量90%)94部および無水マレイン酸6部を用いたこと以外は製造例5と同様にして、酸変性ポリオレフィン(b11−3)98部を得た。(b11−3)の酸価は9.9、Mnは10,200であった。
次に、(b11−3)97部に対して、エタノールアミン5部を加え、窒素ガス雰囲気下、180℃で溶融し、2時間反応させた。その後、過剰のエタノールアミンを減圧下(1.3kPa以下)、180℃、2時間で留去して、水酸基を両末端に有する変性ポリオレフィン(b12−1)を得た。(b12−1)の水酸基価は9.9、アミン価は0.01、Mnは10,200であった。
【0116】
製造例8[アミノ基を両末端に有する変性ポリオレフィン(b13−1)の製造]
製造例5において、ステンレス製のオートクレーブに、低分子量ポリプロピレン90部および無水マレイン酸10部に代えて、熱減成法[エチレン/プロピレンランダム共重合体(エチレン含量3%、MFR7)を410±0.1℃、18分間で熱減成]で得られた低分子量ポリプロピレン(Mn1,500、C1,000個当たりの二重結合数17.8、1分子当たりの二重結合の平均数1.94、両末端変性可能なポリオレフィンの含有量98%)80部および無水マレイン酸20部を用いたこと以外は製造例5と同様にして、酸変性ポリオレフィン(b11−4)92部を得た。(b11−4)の酸価は64.0、Mnは1,700であった。
次に、酸変性ポリオレフィン(b11−4)90部に対して、ビス(2−アミノエチル)エーテル10部を加え、窒素ガス雰囲気下、撹拌しながら、200℃で溶融し、2時間反応させた。その後、過剰のビス(2−アミノエチル)エーテルを減圧下(1.3kPa以下)、200℃、2時間で留去して、アミノ基を両末端に有する変性ポリオレフィン(b13−1)を得た。(b13−1)のアミン価は64.0、Mnは1,700であった。
【0117】
製造例9[ブロックポリマー(B−1)の製造]
ステンレス製オートクレーブに、酸変性ポリオレフィン(b11−1)67.1部、α,ω−ジアミノポリエチレングリコール(ポリエチレングリコールは以下PEGと略記)(Mn2,000、体積固有抵抗値1×107Ω・cm)(a2−1)32.9部、酸化防止剤[商品名「イルガノックス1010」、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製。以下同じ。]0.3部および酢酸ジルコニル0.5部を仕込み、220℃、0.13kPa以下の減圧下で3時間重合させ粘稠なポリマーを得た。このポリマーをベルト上にストランド状で取り出し、ペレット化することによって(b11−1)のブロックと(a1−1)のブロックからなるブロックポリマー(B−1)(Mn50,000)を得た。
【0118】
製造例10[ブロックポリマー(B−2)の製造]
製造例9において、(b11−1)67.1部、(a2−1)32.9部に代えて、二次変性した酸変性ポリオレフィン(b11−2)60.1部、PEG(Mn3,000、体積固有抵抗値1×107Ω・cm)(a1−1)39.9部を用いたこと以外は、製造例9と同様にして、(b11−2)のブロックと(a2−1)(a1−1)のブロックからなるブロックポリマー(B−2)(Mn30,000)を得た。
【0119】
製造例11[ブロックポリマー(B−3)の製造]
製造例9において、(b11−1)67.1部、(a2−1)32.9部に代えて、水酸基を両末端に有する変性ポリオレフィン(b12−1)48.0部、PEG(Mn3,000、体積固有抵抗値1×107Ω・cm)(a1−1)39.9部を用い、さらにエピクロルヒドリン3.5部を加えたこと以外は、製造例9と同様にして、(b12−1)のブロックと(a1−1)のブロックからなるブロックポリマー(B−3)(Mn100,000)を得た。
【0120】
製造例12[ブロックポリマー(B−4)の製造]
製造例9において、(b11−1)67.1部、(a2−1)32.9部に代えて、水酸基を両末端に有する変性ポリオレフィン(b12−1)48.0部、PEG(Mn3,000、体積固有抵抗値1×107Ω・cm)(a1−1)39.9部を用い、さらにヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)6部を加えたこと以外は、製造例9と同様にして、(b12−1)のブロックと(a1−1)のブロックからなるブロックポリマー(B−4)(Mn100,000)を得た。
【0121】
製造例13[ブロックポリマー(B−5)の製造]
製造例9において、(b11−1)67.1部、(a2−1)32.9部に代えて、アミノ基を両末端に有する変性ポリオレフィン(b13−1)48.0部、α,ω−ジアミノPEG(a2−1)39.9部を用い、さらにヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)16部を加えたこと以外は、製造例9と同様にして、(b13−1)のブロックと(a2−1)のブロックからなるブロックポリマー(B−5)(Mn120,000)を得た。
【0122】
製造例14[ブロックポリマー(B−6)の製造]
製造例9において、(b11−1)67.1部、(a2−1)32.9部に代えて、二次変性した酸変性ポリオレフィン(b11−2)71.5部、ポリテトラメチレングリコール(Mn1,800、体積固有抵抗値1×1011Ω・cm)(a1−2)28.5部を用いたこと以外は、製造例9と同様にして、(b11−2)のブロックと(a1−2)のブロックからなるブロックポリマー(B−6)(Mn40,000)を得た。
【0123】
製造例15[ブロックポリマー(B−7)の製造]
製造例9において、(b11−1)67.1部、(a2−1)32.9部に代えて、二次変性した酸変性ポリオレフィン(b11−2)80部、PEG(Mn1,000、体積固有抵抗値1×107Ω・cm)(a1−3)20部を用いたこと以外は、製造例9と同様にして、(b11−2)のブロックと(a1−3)のブロックからなるブロックポリマー(B−7)(Mn20,000)を得た。
【0124】
製造例16[ブロックポリマー(B−8)の製造]
製造例9において、(b11−1)67.1部、(a2−1)32.9部に代えて、酸変性ポリオレフィン(b11−4)20部、α,ω−ジアミノPEG(Mn7,000、体積固有抵抗値1×109Ω・cm)(a2−2)82.3部を用いたこと以外は、製造例9と同様にして、(b11−4)のブロックと(a2−2)のブロックからなるブロックポリマー(B−8)(Mn26,000)を得た。
【0125】
製造例17[ブロックポリマー(B−9)の製造]
ステンレス製オートクレーブに、ε−カプロラクタム173部、テレフタル酸33.2部、酸化防止剤0.4部および水10部を仕込み、オートクレーブ内を窒素置換後、220℃で加圧(0.3〜0.4MPa、以下同じ。)密閉下、4時間加熱撹拌し、両末端にカルボキシル基を有する酸価111のポリアミド(b2−1)得た。(b2−1)のMnは1,000であった。
次に、(b2−1)199部に対して、ビスフェノールAのEO付加物(Mn4,000、体積固有抵抗値2×107Ω・cm)(a1−4)780部および酢酸ジルコニル0.6部を加え、240℃、0.13kPa以下の減圧下で6時間重合させて粘稠なブロックポリマー(B−9)を得た。(B−9)のMnは24,000であった。
【0126】
製造例18[ブロックポリマー(B−10)の製造]
ステンレス製オートクレーブに、12−アミノドデカン酸597部、トリメリット酸30部および酸化防止剤0.5部を仕込み、窒素ガスで置換した後、220℃の温度で加圧密閉下、4時間加熱撹拌し、両末端にカルボキシル基を有する酸価29のポリアミドイミド(b3−1)を得た。
次に、(b3−1)570部に対して、ビスフェノールAのEO付加物(Mn4,000、体積固有抵抗値2×107Ω・cm)(a1−4)584部、酸化防止剤0.4部および酢酸ジルコニル0.8部を加え、230℃、0.13kPa以下の減圧下で3時間重合させ、粘稠なブロックポリマー(B−10)を得た。(B−10)のMnは35,000であった。
【0127】
実施例1〜19、比較例1〜6
[導電剤の製造]
表1、2に示す配合組成(部)に従って、配合成分をヘンシェルミキサーで3分間ブレンドした後、ベント付き2軸押出機にて、100rpm、200℃、滞留時間5分の条件で溶融混練して、実施例1〜19、比較例1〜6の各導電剤を得た。
[帯電防止性樹脂組成物の製造]
表3、4に示す配合組成(部)に従って、配合成分をヘンシェルミキサーで3分間ブレンドした後、ベント付き2軸押出機にて、100rpm、200℃、滞留時間5分の条件で溶融混練して、実施例1−1〜19−1および2−2〜2−9、比較例1−1〜6−1の各帯電防止性樹脂組成物を得た。
また、実施例2−10〜2−12の各帯電防止性樹脂組成物については、予め導電剤(X−2)5部に対して、熱可塑性樹脂(D−1)を各々8.5部、5部、1.25部を配合し、ヘンシェルミキサーで3分間ブレンドした後、ベント付き2軸押出機にて、100rpm、200℃、滞留時間5分の条件で溶融混練することで高濃度組成物(マスターバッチ樹脂組成物)を作成した後、残りのD−1含む配合成分を、再び同様の条件で溶融混練して得た。
【0128】
得られた樹脂組成物を射出成形機[型番「PS40E5ASE」、日精樹脂工業(株)製]を用い、シリンダー温度220℃(D−1使用の場合)または230℃(D−2〜D−5使用の場合)、金型温度50℃で成形品を作成し、下記の性能試験によりこれらを評価した。結果を表2に示す。
【0129】
<性能試験>
(1)表面固有抵抗値(単位:Ω)
ASTM D257に準拠。試験片(100×100×2mm)について、超絶縁計[型番「DSM−8103」、東亜電波(株)製]により23℃、湿度50%RHの雰囲気下で測定した。
(2)水洗後の表面固有抵抗値(単位:Ω)
斜めに立てかけた試験片(100×100×2mm)を23℃、流量100ml/分のイオン交換水100mlの流水で水洗し、その後循風乾燥機(80℃)で3時間乾燥させた。この水洗・乾燥の操作を10回繰り返し、得られた試験片について、(1)と同様の条件で測定した。
(3)アイゾット衝撃強度(単位:J/m)
ASTM D256 Method A(ノッチ付き、3.2mm厚)に準拠。
【0130】
【表1】

【0131】
【表2】

【0132】
【表3】

【0133】
【表4】

表3、4中の配合成分の記号等の内容は以下のとおりである。
C−1:ドデシルベンゼンスルホン酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム
酸化防止剤:〔商品名「イルガノックス1010」、チバ・スペシャルティケミカルズ
(株)製、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン〕
D−1:耐衝撃性PS樹脂[商品名「HIPS 433」、PSジャパン(株)製]
D−2:ABS樹脂[商品名「セビアン 680SF」、ダイセルポリマー(株)製]
D−3:PP樹脂[商品名「PM771M」、サンアロマー(株)製]
D−4:変性PPE樹脂[商品名「ノリル V−095」、SABICイノベーティブプ
ラスチックスジャパン合同会社製]
D−5:PC/ABS樹脂[商品名「サイコロイ C6600」、SABICイノベーテ
ィブプラスチックスジャパン合同会社製]
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明の帯電防止剤は、熱可塑性樹脂成形品の機械強度を損なうことなく、該成形品に優れた永久帯電防止性を付与できることから、各種成形法[射出成形、圧縮成形、カレンダ成形、スラッシュ成形、回転成形、押出成形、ブロー成形、発泡成形およびフィルム成形(例えばキャスト法、テンター法およびインフレーション法)等]で成形されるハウジング製品[家電・OA機器、ゲーム機器および事務機器用等]、プラスチック容器材[クリーンルームで使用されるトレー(ICトレー等)、その他容器等]、各種緩衝材、被覆材(包材用フィルム、保護フィルム等)、床材用シート、人工芝、マット、テープ基材(半導体製造プロセス用等)、並びに各種成形品(自動車部品等)用材料として幅広く用いることができ、極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアニリン化合物およびポリピロール化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の導電性化合物(A)、およびポリエーテルブロックを有するブロックポリマー(B)を含有してなる導電剤(X)。
【請求項2】
(B)が、体積固有抵抗値1×107〜1×1011Ω・cmのポリエーテル(a)のブロックと、疎水性ポリマー(b)のブロックとが、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、ウレア結合およびイミド結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合を介して交互に結合した構造を有するブロックポリマーである請求項1記載の導電剤(X)。
【請求項3】
(B)の重量に基づく(a)のブロックの割合が、20〜80%である請求項1または2記載の導電剤(X)。
【請求項4】
(A)と(B)の重量比が1/99〜50/50である請求項1〜3のいずれか記載の導電剤(X)。
【請求項5】
さらに、有機スルホン酸、カルボン酸、フェノール化合物および無機酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のプロトン酸を含有させてなる請求項1〜4のいずれか記載の導電剤(X)。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか記載の導電剤(X)、および(B)以外の熱可塑性樹脂(D)を含有してなり、(X)と(D)の合計重量に基づく(X)の含有量が1〜30%である成形用帯電防止性樹脂組成物。
【請求項7】
さらに、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の塩、4級アンモニウム塩、界面活性剤、イオン性液体および相溶化剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の帯電防止性向上剤(C)を含有させてなる請求項6記載の成形用帯電防止性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか記載の導電剤(X)、および(B)以外の熱可塑性樹脂(D)を含有してなり、(X)と(D)の合計重量に基づく(X)の含有量が40〜80%である、請求項6または7記載の組成物用マスターバッチ帯電防止性樹脂組成物。
【請求項9】
請求項6または7記載の組成物を成形してなる成形品。
【請求項10】
請求項9記載の成形品に塗装および/または印刷を施してなる成形物品。

【公開番号】特開2012−212614(P2012−212614A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78411(P2011−78411)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】