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導電性インク組成物、及び導電性パターンの製造方法
説明

導電性インク組成物、及び導電性パターンの製造方法

【課題】 熱による収縮・変形の制約を受けずに、種々のポリマーフィルム基板、又は酸化インジウムスズなどのセラミックス被覆が施されたポリマーフィルム基板上に任意の導電性パターンの形成が可能であり、それら基板との密着性にも優れる導電性インク組成物、及び当該導電性インク組成物を基材上に塗布し、熱硬化して得られる導電性パターンを提供する。また、該導電性インク組成物を用いた導電性パターンの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、常圧下、沸点100度以下のアミン化合物を含む保護層で皮膜された平均粒径が1nm以上100nm以下の導電性微粒子(A)と、熱硬化性を有する化合物(b−1)、及び硬化剤(b−2)を含有するバインダー樹脂(B)と、溶剤(C)とを含み、前記バインダー樹脂(B)の含有量が導電性微粒子(A)100重量部に対して、5重量部以下であることを特徴とする導電性インク組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性インク組成物に関し、より詳しくは耐熱性の低いフィルム(例えば、PETフィルムなど)基板上に導電性パターンを形成する際に、低温加熱処理(150度以下の熱処理)のみで高い電気伝導性と基板との優れた密着性が得られ、単一パターンの大量生産に適した導電性インク組成物、および当該導電性インク組成物を基板上に塗布し、熱硬化させることによって得られる導電性パターンに関するものである。また、上記導電性インク組成物を用いた導電性パターンの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体産業に代わる次世代の産業基盤として、柔軟性が特に高い樹脂基板に印刷によって回路形成(パターニング)を行う技術である「プリンテッドエレクトロニクス
」が注目されている。この技術は、薄膜トランジスタ、抵抗、インダクター、コンデンサなどの基本的な回路部品から、電池、ディスプレイ、センサー、Radio Frequency IDentification(RFID)タグ、太陽電池などに至るまで応用が可能であり、これにより、エレクトロニクス製品などの製造工程が劇的に簡便・時間短縮化され、更なる省資源・省エネルギーも同時に達成できると期待されている。
【0003】
エテクロトニクス製品の中でも携帯情報端末の普及が著しいが、高機能化に伴い機器のサイズの巨大化により重量が増加する傾向にある。この為、市場からは携帯情報端末の軽量化が強く要望されている。また、軽量化および意匠性から携帯情報端末の薄厚化にともなって、ディスプレイやセンサーなどに用いられるガラスが落下時に破損するなど、耐久性面で課題となっている。これらを解決する手段として、携帯情報端末を構成する部品の見直しなどにより、耐衝撃性の高い材料の採用が進んでいるが、根本的な解決には至っていない。そこで、携帯情報端末を構成する材料のうち、従来のプリント基板やガラス基板を柔軟性に優れ、軽量なポリマーフィルムなどへの転換が進められている。
【0004】
携帯情報端末にポリマーフィルム基板を用いる為には、ポリマーフィルム表面上に電気配線を形成することが必要である。ポリマーフィルム表面上に形成される電気配線パターンは、高導電性と基板への密着性、並びに柔軟性に加え、精細な回路パターンを形成できることが要求される。
【0005】
一般に、ポリマーフィルム基板上に導電性回路パターンを形成する方法としてめっき・無電解めっき法、スパッタリングなどの蒸着法、及び導電性ペーストの塗布法といった方法が挙げられる。しかしながら、めっき・無電解めっき法は溶媒を大量に使用するため、廃液の処理コストが嵩む。また、スパッタリングなどの蒸着法は、大掛かりな装置が必要となるだけでなく、基板全面へ蒸着した後、エッチングにより不要部分の除去を要することから総じて、高コストとなってしまう。
【0006】
また、導電性ペーストを用いる場合、溶剤および樹脂を除去する為、通常、200度以上での熱処理が必要となる。そのため、ポリイミドのような耐熱性を有するポリマーフィルム基板への適用は可能であるが、安価で耐熱性の低い(耐熱温度150度以下)熱可塑性ポリマーフィルム(例えば、PETフィルム)への適用は困難である。さらに、導電性ペーストを用いた回路パターンの印刷方法としてインクジェット、ディスペンサ、スクリーンなどの各種印刷方法が挙げられるが、上記方法はオンデマンド生産には適しているが、単一パターンを大量に生産するには不適である。
【0007】
上記方法と比較して、簡便に任意の回路パターンを形成する方法として、グラビア印刷、若しくはグラビアオフセット印刷による導電性回路パターンを形成する方法が報告されている(特許文献1)。しかしながら、所望の導電性を得るため600度という高温での処理を要しており、上述した耐熱性の低いポリマーフィルムへの適用は不可能である。また、添加する溶剤などを最適化し、ナノサイズの微粒子を含有する導電性ペーストを用いることにより、150度程度の低温でも所望の導電性が得られることが報告されている(特許文献2)。しかしながら、低温処理により導電性を得ることを優先した為、バインダー樹脂を含んでおらず、基板との密着性については不十分である。
【0008】
一方、基板の材質に関しては、以前から用いられているプリント基板を軽量化する方法として、ビルドアップ工法を用いた多層基板が用いられている。しかしながら、これら方法は煩雑な工程が必要である。また、フレキシブルプリント基板は軽量かつ柔軟性に優れ、耐熱性にも優れているが、基板材料として、ポリイミドを用いているため、高コストとなる。さらに、安価なフィルム材料として、ポリアミドやポリエステルなどを例示することができるが、熱可塑性樹脂であるため耐熱性が低く、従来の高温処理を要する導電性ペーストを用いることが困難である。
【0009】
また、ディスプレイなどの透明性や意匠性が要求される部分については、ガラス表面上に直接導電性回路を形成させる場合がある。しかしながら、ガラスは耐熱性に優れるが、重量、柔軟性、耐衝撃性の点において課題が残る。上記の場合、ポリメチルメタクリレートのような透明プラスチック材料への代替需要があると見込まれるが、前述の通り耐熱性の点からガラスを代替するまでには至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−62523
【特許文献2】特開2010−37574
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
熱による収縮・変形の制約を受けずに、種々の耐熱性の低いポリマーフィルム基板、又は酸化インジウムスズなどのセラミックス被覆が施されたポリマーフィルム基板上に任意の導電性パターンの形成が可能であり、それら基板との密着性にも優れ、高い導電性を有する導電性インク組成物、及び当該導電性インク組成物を基材上に塗布し、熱硬化して得られる導電性パターンを提供する。また、該導電性インク組成物を用いた導電性パターンの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するために研究を重ねたところ、常圧下、沸点100度以下のアミン化合物を含む保護層で皮膜された平均粒径が1nm以上100nm以下の導電性微粒子(A)と、熱硬化性を有する化合物(b−1)、及び硬化剤(b−2)を含有するバインダー樹脂(B)と、溶剤(C)とを含み、前記バインダー樹脂(B)の含有量が導電性微粒子(A)100重量部に対して、5重量部以下であることを特徴とする導電性インク組成物が、耐熱性の低いポリマーフィルム基板上(例えば、PETフィルムなど)において、高い導電性及び密着性に優れること、また、導電性パターンの製造方法において、導電性微粒子(A)の焼結を、バインダー樹脂の硬化温度より10度以上低い温度で行なうことで、耐熱性の低いポリマーフィルム基板上において、微細なパターンを明瞭に形成できることを見出し、本発明を完成した。
本発明はこれらの知見に基づき完成されたものであり、以下に導電性インク組成物及びそれを用いた導電性パターン、並びに導電性パターンの製造方法を提供する。
【0013】
項1.常圧下、沸点100度以下のアミン化合物を含む保護層で皮膜された平均粒径が1nm以上100nm以下の導電性微粒子(A)と、
熱硬化性を有する化合物(b−1)、及び硬化剤(b−2)を含有するバインダー樹脂(B)と、
溶剤(C)とを含み、
前記導電性微粒子(A)100重量部に対するバインダー樹脂(B)の含有量が、5重量部以下であることを特徴とする導電性インク組成物。
項2.前記導電性微粒子(A)が、銀またはその合金である項1に記載の導電性インク組成物。
項3.前記熱硬化性を有する化合物(b‐1)が、エポキシ基を有する化合物である項1又は2に記載の導電性インク組成物。
項4.前記熱硬化性を有する化合物(b‐1)が、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、又はアルキルジフェノール型の骨格を有するエポキシ化合物から選択される1種である項1〜3に記載の導電性インク組成物。
項5.前記硬化剤(b−2)が、付加重合タイプの硬化剤(i)、又はイオン重合タイプの硬化剤(ii)である項1〜4に記載の導電性インク組成物。
項6.前記硬化剤(b−2)がイオン重合タイプの硬化剤(ii)であって、バインダー樹脂(B)における熱硬化性を有する化合物(b−1)/硬化剤(b−2)の重量比が100/0.1〜100/10の範囲である項1〜5に記載の導電性インク組成物。
項7.項1〜6のいずれかに記載の導電性インク組成物を基板上に塗布し、熱硬化させることによって得られる導電性パターン。
項8.常圧下、沸点100度以下のアミン化合物を含む保護層で皮膜された平均粒径が1nm以上100nm以下の導電性微粒子(A)と、
熱硬化性を有する化合物(b−1)、及び硬化剤(b−2)を含有するバインダー樹脂(B)と、
溶剤(C)とを含み、
前記導電性微粒子(A)100重量部に対するバインダー樹脂(B)の含有量が、5重量部以下であることを特徴とする導電性インク組成物を調製する工程と、基板に所定の領域上に前記導電性インク組成物を塗布する工程(塗布工程)と、前記基板上の導電性インク組成物を焼結反応に付し、導電性微粒子(A)を焼結させる工程(焼結工程)と、前記基板上の導電性インク組成物を硬化反応に付し、バインダー樹脂(B)を硬化させる工程(硬化工程)を含むことを特徴とする導電性パターンの製造方法。
項9.前記焼結工程の焼結温度が、硬化工程の硬化温度より10度以上低い温度で行なわれることを特徴とする項8に記載の導電性パターンの製造方法。
項10.前記焼結工程が、硬化工程よりも先に行なわれることを特徴とする項8又は9に記載の導電性パターンの製造方法。
項11.前記導電性微粒子(A)が、銀またはその合金である項8〜10に記載の導電性パターンの製造方法。
項12.前記熱硬化性を有する化合物(b‐1)が、エポキシ基を有する化合物である項8〜11に記載の導電性パターンの製造方法。
項13.前記熱硬化性を有する化合物(b−1)が、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、又はアルキルジフェノール型の骨格を有するエポキシ化合物から選択される1種である項8〜12に記載の導電性パターンの形成方法。
項14.前記硬化剤(b−2)が、付加重合タイプの硬化剤(i)、又はイオン重合タイプの硬化剤(ii)である項8〜13に記載の導電性パターンの製造方法。
項15.前記硬化剤(b−2)がイオン重合タイプの硬化剤(ii)であって、バインダー樹脂(B)における熱硬化性を有する化合物(b−1)/硬化剤(b−2)の重量比が100/0.1〜100/10の範囲である項8〜14に記載の導電性パターンの製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、導電性インク組成物において、常圧下、沸点100度以下のアミン化合物を含む保護層で皮膜された平均粒径が1nm以上100nm以下の導電性微粒子(A)と、熱硬化性を有する化合物(b−1)、及び硬化剤(b−2)を含有するバインダー樹脂(B)と、溶剤(C)とを含み、前記バインダー樹脂(B)の含有量が導電性微粒子(A)100重量部に対して、5重量部以下とすることにより、低温の加熱処理(150度以下の熱処理)のみ、具体的には、焼結工程の焼結温度を硬化工程の硬化温度より10度以上低い温度で実施することで、ポリマーフィルム基板(例えば、PETフィルムなど)との十分な密着性に優れ、高い導電性を有する組成物が得られる。また、導電性パターンの製造方法において、焼結工程を硬化工程より先に実施することで、高い導電性を有する微細なパターンを明瞭に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】Aはグラビアロール版で印刷したパターンの形状および寸法を示す。Bはパターンの一部を拡大したものを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
導電性インク組成物
本発明の導電性インク組成物は、平均粒径が1nm以上100nm以下の導電性微粒子(A)と、熱硬化性を有する化合物(b−1)、及び硬化剤(b−2)を含有するバインダー樹脂(B)と、溶剤(C)を含む組成物である。
【0017】
本発明の導電性インク組成物は、必須成分として、常圧下、沸点100度以下のアミン化合物を含む保護層で皮膜された平均粒径が1nm以上100nm以下の導電性微粒子(A)、熱硬化性を有する化合物(b−1)、及び硬化剤(b−2)を含有するバインダー樹脂(B)、溶剤(C)を含み、前記バインダー樹脂(B)の含有量が導電性微粒子(A)100重量部に対して、5重量部以下のものである。
【0018】
本発明の導電性インク組成物は、導電性微粒子(A)、熱硬化性を有する化合物(b−1)、及び硬化剤(b−2)を含有するバインダー樹脂(B)、溶剤(C)以外に、必要に応じて、粘度調整剤、導電助剤、チョーキング防止剤、酸化防止剤、pH調整剤、乾燥防止剤、密着付与剤、防腐剤、消泡剤、レベリング剤などの各種添加剤を本発明の効果に影響を与えない限り含有させてもよい。
【0019】
本発明の導電性インク組成物は、バインダー樹脂(B)の硬化温度に対して、導電性微粒子(A)の焼結温度を10度以上低い温度で処理することで、耐熱性の低いポリマーフィルム基板(例えば、PETフィルムなど)と高い密着性及び導電性が得られる。即ち、導電性インク組成物を加熱処理にする際、導電性微粒子(A)の焼結反応とバインダー樹脂(B)の硬化反応を異なる温度で行うことが好ましい。また、焼結反応に付した後、硬化反応に付すことが好ましい。
【0020】
本発明の導電性インク組成物は、耐熱性が150度以下のポリマーフィルム基板に好適に用いることができる。
【0021】
本発明の導電性インク組成物は、基板上に塗布し熱硬化させることで、導電性パターンが得られる。上記導電性パターンは、例えば、フレキシブル回路基板、タッチパネル用基板、表示装置用基板などに用いることができる。また、導電性インク組成物は、導電性の接着剤などに用いることも可能である。
【0022】
導電性微粒子(A)
本発明に用いる導電性微粒子(A)は、平均粒経が1nm以上100nm以下の導電性材料であれば、特に制限なく用いることができる。例えば、金、銀、銅、白金族金属などの貴金属、又はニッケル、アルミニウムなど導電性の高い単体の金属微粒子、又はこれらの合金の金属微粒子を例示することができる。
また、単体の導電性微粒子、又はこれらの合金の金属微粒子の2種類以上を組合せて用いてもよい。これらの金属微粒子のうち、導電性の点で金、銀、銅、白金族金属又はその合金の金属微粒子が好ましく、銀又はその合金の金属微粒子がより好ましい。また、導電性インク組成物中の導電性微粒子(A)の含有量は、特に制限されず、添加する他の成分に応じて適宜選択すればよい。中でも、導電性パターンにおける導電性、および導電性インク組成物中の分散性の点で、溶剤(C)100重量部に対して50重量部以上400重量部以下の範囲であることが好ましく、生産性の点で、100重量部以上250重量部以下の範囲であることがより好ましい。
【0023】
導電性微粒子(A)の形状は、目的とする導電性が得られるものであれば、特に限定されないが、例えば、球状、フレーク状、棒状、ワイヤー状などを例示することができる。また、導電性微粒子の平均粒径は1nm以上100nm以下の範囲であればよく、中でも150度以下の熱処理(焼結反応)で良好な導電性が得られる点で、1nm以上50nm以下の範囲が好ましく、1nm以上25nm以下の範囲がより好ましい。上記範囲の平均粒経の導電性微粒子(A)を用いることで、本発明の効果を十分に得ることができる。
【0024】
導電性微粒子(A)は、導電性インク中で分散される為に微粒子表面を保護層で皮膜されていること要する。保護層は、導電性微粒子(A)を導電性インク組成物中で均一分散させるためのものであり、基板上に塗布後、乾燥によって速やかに脱離・除去できるものであることが好ましい。
【0025】
本発明の導電性微粒子(A)の保護層に含まれる化合物として、アミノ基を有する化合物、カルボキシル基を有する化合物、又はチオール基を有する化合物などを例示することができ、簡便に導電性微粒子(A)表面から脱離が進行する点で、常圧下、沸点100度以下のアミン化合物が好ましい。常圧下、沸点100度以下のアミン化合物として、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、1,2−ジメチルプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、イソアミルアミン、tert−アミルアミン、3−ペンチルアミン、アリルアミンなどを例示することができる。
【0026】
導電性微粒子(A)の保護層に含まれる常圧下、沸点100度以下のアミン化合物の含有量は、導電性インク組成物の保存安定性の点で、保護層を構成する成分中の10重量%以上80重量%以下であることが好ましく、30重量%以上70重量%以下であることがより好ましい。また、本発明の導電性微粒子(A)の保護層には、通常、導電性微粒子(A)の保護層に用いられる化合物を本発明の効果に影響を与えない限り含有させてもよい。通常、保護層に用いられる化合物として、n−アミルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、2−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、n−ノニルアミン、n−アミノデカン、n−アミノウンデカン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、2−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−オレイルアミン、N−エチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジブチルアミノプロパン、N,N−ジイソブチル−1,3−ジアミノプロパン、N−ラウリルジアミノプロパンなどのアミン化合物を例示することができる。また、保護層にはカルボキシル基を有する化合物を含有させてもよく、具体的には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などを例示することができる。
【0027】
本発明に用いる導電性微粒子(A)は、市販品、又は製造したもののいずれを用いてもよい。導電性微粒子(A)の具体的な製造方法として、特開2006−118010、又は特開2009−270146に開示されている方法を例示することができる。上記記載の方法によって、製造された導電性微粒子(A)を用いることができる。
【0028】
バインダー樹脂(B)
本発明に用いるバインダー樹脂(B)は、熱硬化性を有する化合物(b−1)と硬化剤(b−2)を含有するものである。バインダー樹脂(B)としては、熱硬化性を有する樹脂、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂などを例示することができる。中でも取扱いの容易さ、耐熱性の低いポリマーフィルム基板との密着性の点で、エポキシ樹脂が好ましい。
【0029】
また、本発明の導電性インク組成物において、耐熱性の低いポリマーフィルム基板との高い密着性及び導電性を得るために、導電性インク組成物中におけるバインダー樹脂(B)の含有量は、導電性微粒子(A)を100重量部とした場合に対して、0.3重量部以上5重量部以下であることが好ましく、0.8重量部以上3.5重量部以下であることがより好ましい。なお、導電性インク組成物中のバインダー樹脂(B)の含有量が少なすぎるとポリマーフィルム基板との十分な密着性が得られず、バインター樹脂量が多すぎると導電性微粒子の焼結反応を阻害し、十分な導電性が得られない。
【0030】
熱硬化性を有する化合物(b−1)
本発明に用いるバインダー樹脂(B)中の熱硬化性を有する化合物(b−1)としては、ポリマーフィルム基板への密着性、とくにITOなどの低い表面張力を有する基板への密着の点で、高い密着性が得られるエポキシ基を有する化合物が好ましい。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ、ビスフェノールF型エポキシ、ビスフェノールAD型エポキシ、ビスフェノールS型エポキシなどのビスフェノール型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールFをはじめとする水添ビスフェノール型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ、クレゾールノボラック型エポキシなどのノボラック型エポキシ化合物、tert-ブチルジフェニルグリシジルエーテルやメチルジフェニルグリシジルエーテルなどのアルキルジフェノール型エポキシ化合物、トリグリシジル-p-アミノフェノールやトリグリシジルイソシアヌレートなどの多官能性グリシジルアミン、トリフェニルグリシジルエーテルメタンなどの多官能性グリシジルエーテル、脂環式エポキシ、エポキシアクリレート、オキセタン、ウレタン変性、シロキサン変性、イミド変性、ナフタレン変性、アクリル変性、ビニル変性などの各種変性物などのエポキシ基を有する化合物を例示することができる。中でも、溶媒との相溶性の点で、末端にグリシジル基を有した直鎖状の2官能骨格を有するエポキシ基を有する化合物が好ましく、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、又はアルキルジフェノール型の骨格を有するエポキシ化合物から選択される1種であることがより好ましい。
【0031】
硬化剤(b−2)
本発明に用いるバインダー樹脂(B)中の硬化剤(b−2)としては、使用される熱硬化性と有する化合物と相溶性を有する限り、通常、熱硬化性を有する化合物の硬化剤として、知られている硬化剤を適宜用いることができる。具体的には、例えば、フェノール類硬化剤、酸無水物類硬化剤、ジシアンジアミドなどの硬化剤、ジアミン類硬化剤、イミダゾール類硬化剤、三級アミン類硬化剤、ホスフィン類硬化剤類などを例示することができる。上記硬化剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上が組合せて用いてもよい。
【0032】
上記硬化剤(b−2)は、一般に、熱硬化性を有する化合物(b−1)と当量で反応する硬化剤である付加重合タイプの硬化剤(i)、例えば、フェノール類、酸無水物類、ジシアンジアミドまたはジアミンなどのアミン類の硬化剤と、熱硬化性を有する化合物(b−1)と少量で反応する硬化剤であるイオン重合タイプ(ii)、例えば、イミダゾール類、三級アミン類またはホスフィン類などの硬化剤に分類することができる。また、イオン重合タイプの硬化剤(ii)は、熱硬化性有する化合物(b−1)と付加重合する硬化剤(i)の硬化促進効果も併せ持つ。また、硬化速度の調整剤としてイミダゾールや有機ホスホニウム、DBU(ジアザビシクロウンデセン)などの硬化促進剤をさらに併用してもよい。なお、添加する硬化促進剤の量は、導電性微粒子(A)を100重量部対して0.01〜0.05重量部の範囲であればよい。
【0033】
付加重合タイプの硬化剤(i)としては、ジエチレントリアミンやジエチルアミノプロピルアミンなどの鎖状脂肪族ポリアミン、N-アミノエチルピベラジンやイソフオロンジアミンなどの環状脂肪族ポリアミン、キシレンジアミンなどの芳香族ポリアミン、 ポリアミド、メチルテトラヒドロ無水フタル酸やヘキサヒドロ無水フタル酸などの酸無水物類、ジシクロペンタジエンやトリフェニルアルキルなどのフェノール類、液状ポリメルカプタンやポリスルフィド樹脂などのチオール類、三フッ化ホウ素-アミン錯体やジシアンジアミドなどの硬化剤などを例示することができる。中でも、焼結反応の温度よりも10度以上高い温度で硬化反応の温度を制御可能となる点で、3-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸などの液状のものが好ましい。
【0034】
イオン重合タイプの硬化剤(ii)としては、カチオン重合タイプ、又はアニオン重合タイプを例示することができ、具体的には、アニオン重合タイプとして、ベンジルジメチルアミンや2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの二級または三級アミン、2-メチルイミダゾールや1-シアノエチル‐2-メチルイミダゾールなどのイミダゾール類を例示することができる。また、カチオン重合タイプとして、スルホニウムやヨードニウムなどのオニウム塩などを例示することができる。中でも、導電性インク組成物中において、導電性微粒子の保護層と相互作用の起こらないアニオン重合タイプの硬化剤が好ましく、硬化温度を焼結温度より10度以上高い温度で制御できる点で、イミダゾール類がより好ましい。
【0035】
本発明において、付加重合の硬化システムを用いる場合、硬化剤(b−2)としては、通常、室温(保管温度近傍)で硬化反応が起こらず、比較的速硬化性を示す付加重合タイプ(i)の酸無水物類が好適に用いられる。付加重合タイプ(i)の硬化剤を用いることで、バインダー樹脂(B)の硬化開始温度を制御することができる。また、付加重合タイプ(i)の硬化剤を用いる場合のバインダー樹脂(B)中の硬化剤(b−2)の添加量は、熱硬化性を有する化合物(b−1)に対して、0.9〜1.1当量の範囲が好ましく、0.95〜1.05当量の範囲であることがより好ましい。なお、硬化剤(b−2)の添加量が少なすぎると熱硬化性を有する化合物(b−1)の未反応の化合物が多く残存し、基板との密着性が損なわれる。また、添加量が多すぎると硬化剤(b−2)の未反応の硬化剤が多く残存し、基板との密着性が損なわれる。さらに、熱硬化性を有する化合物(b−1)と、イオン重合タイプの硬化剤(ii)を含む組成物中に少量の硬化促進剤を添加することで硬化開始温度をより簡便に制御することができる。
【0036】
本発明において、単独重合の硬化システムを用いる場合、硬化剤(b−2)として、イオン重合タイプの硬化剤(ii)のイミダゾール類が好適に用いられる。イオン重合タイプ(ii)の硬化剤を用いる場合のバインダー樹脂(B)中の熱硬化性を有する化合物(b−1)/硬化剤(b−2)の重量比は、100/0.1〜100/10の範囲であることが好ましく、100/1〜100/5の範囲であることがより好ましい。なお、硬化剤(b−2)の添加量が少なすぎると硬化開始温度が150度以上となってしまい耐熱性の低いポリマーフィルム基板への適用が困難となり、多すぎると室温で硬化反応が進行するため、導電性インク組成物の長期保管に適さない。
【0037】
溶媒(C)
本発明に用いられる溶媒(C)としては、導電性インク組成物に含まれる各成分を均一に分散させるものであれば、特に制限無く用いることができる。具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、エチレングリコールなどのアルコール類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカンなどの直鎖および分岐アルカン類をはじめ、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テルピネオール、ピネン、リモネン、メンタン、シメン、イソホロンなどといった溶媒を例示することができる。中でも導電性微粒子(A)の分散性の点から、ヘキサン、トルエンなどの非極性溶媒が好ましい。上記溶媒は、導電性インク組成物を用いる環境において液体であればよく、単一、または混合いずれの形態で用いることができる。導電性インク組成物中の溶媒(C)の含有量は、導電性微粒子(A)を100重量部として場合に対して、25〜200重量部の範囲であればよく、得られる導電性パターンの導電性の点から40〜100重量部の範囲であることが好ましい。
【0038】
その他の添加物
本発明の導電性インク組成物には、必要に応じて添加剤として、本発明の効果に影響を与えない範囲で、粘度調整剤、導電助剤、チョーキング防止剤、酸化防止剤、pH調整剤、乾燥防止剤、密着付与剤、防腐剤、消泡剤、レベリング剤などを添加してもよい。上記添加物のうち、粘度調整剤を用いることによって種々の印刷方法に対応することができ、または導電助剤を添加することでさらに高い導電性を得ることができる。
【0039】
粘度調整剤
本発明の導電性インク組成物は、低粘度(100mPa・s以下)であるが、オフセット印刷などの印刷方法に用いる場合、より高い粘度(数Pa・s〜数百Pa・s)が要求される。この場合、粘度を調整するために、粘度調整剤を添加してもよい。粘度調整剤として、種々の高分子化合物、カルボキシメチルセルロースなどの多糖類、パルミチン酸デキストリンなどの糖脂肪酸エステル、ステアリン酸アルミニウムなどの金属石鹸などを例示することができる。粘度調整剤の添加量は、溶媒(C)を100重量部とした場合、10重量部以下とすることが導電性の点から好ましい。
【0040】
導電助剤
本発明の導電性インク組成物には、導電性を補助するものとして、導電助剤を添加してもよい。導電助剤として、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブなどの導電性を有する炭素の同位体を例示することができる。導電助剤の添加量は、導電性微粒子(A)100重量部に対して、10重量部以下とすることが好ましい。上記数量以上を添加すると、導電性微粒子の焼結反応を阻害し、所望する導電性が得られない。
【0041】
導電性パターンの製造方法
本発明の導電性パターン製造方法として、
常圧下、沸点100度以下のアミン化合物を含む保護層で皮膜された平均粒径が1nm以上100nm以下の導電性微粒子(A)と、
熱硬化性を有する化合物(b−1)、及び硬化剤(b−2)を含有するバインダー樹脂(B)と、溶剤(C)とを含み、
前記導電性微粒子(A)100重量部に対するバインダー樹脂(B)の含有量が、5重量部以下であることを特徴とする導電性インク組成物を調製する工程と、基板に所定の領域上に前記導電性インク組成物を塗布する工程(塗布工程)と、前記基板上の導電性インク組成物を焼結反応に付し、導電性微粒子(A)を焼結させる工程(焼結工程)と、前記基板上の導電性インク組成物を硬化反応に付し、バインダー樹脂(B)を硬化させる工程(硬化工程)を含むことを特徴とする導電性パターンの製造方法を例示することができる。
【0042】
上記導電性インク組成物を調製する工程において、各成分の混合方法は、各成分が導電性インク組成物中で均一に分散・混合できる方法であれば、特に限定されない。具体的には、メカニカルスターラー、マグネティックスターラー、超音波分散機、遊星ミル、ボールミル、三本ロールなどを例示することができる。
【0043】
塗布工程においては、上記工程で調製した導電性インク組成物を、種々の印刷法によって、基板上に導電性の塗膜を印刷することができ、さらに、粘度調整剤などの添加剤によって、粘度調整することで、一般的な輪転印刷機、例えば、フレキソ印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷などを用いることで、特別な機材・技術を用いることなく任意の導電性パターンを基板上に形成することができる。
【0044】
塗布工程に用いる基板としては、輪転印刷機に適用可能なポリマーフィルム材料であれば特に制限なく用いることができる。本発明の導電性インク組成物を用いると耐熱性が150度以下の熱可塑性ポリマー材料からなるフィルムに適用することができ、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニリデンなどからなるポリマーフィルムを好適に用いることができる。
【0045】
焼結工程においては、上記工程で基板上に塗布した導電性インク組成物を焼結反応に付する。焼結反応の温度は導電性微粒子の保護層に用いる化合物の沸点に応じて適時選択すればよく、具体的には60〜110度の範囲である。焼結時間は5〜120分である。上記範囲で焼結反応を行なうことで十分な導電性が得られる。
【0046】
硬化工程においては、上記工程で焼結反応に付した導電性インク組成物を硬化反応に付する。硬化反応の温度は用いる熱硬化性を有する化合物と硬化剤の組合せに応じて適時選択すればよく、ポリマーフィルムの耐熱性温度以下のものを用いることができる。具体的には、70〜150度の範囲である。硬化時間は30〜120分である。上記範囲で硬化反応を行なうことで基板との十分な密着性が得られる。
【0047】
本発明の導電性パターンの製造方法において、所望する導電性及び基板(特に、耐熱性が150度以下の熱可塑性ポリマー材料からなるフィルム)との密着性を得るためには、硬化工程における硬化温度より、焼結工程における焼結温度を10度以上低い温度で行なうことが好ましい。これは、バインダー樹脂の硬化反応が開始する前に導電性微粒子の焼結ならびに結晶粒成長を十分に進行させるためである。また、硬化工程よりも先に焼結反応を行うことが好ましい。焼結反応が十分に進行しないまま硬化工程を開始した場合、導電性微粒子間にバインダー樹脂成分が多量に介在して導電性を著しく低下させる。
【0048】
本発明の導電性パターンの製造方法は、導電性インク組成物を各工程において、150度以上の温度で処理に付することなく、十分な導電性及び基板との密着性が得られる。そのため、耐熱性が低い(耐熱温度150度以下の熱可塑性ポリマーフィルム)基板材料、例えばポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどのポリマーフィルム基板への適用可能であり、加熱処理によるフィルム収縮の影響を排除することができる。従って、本発明の導電性パターンの製造方法は、印刷パターンの位置ずれの影響が大きい用途、例えば、フレキシブル回路基板、タッチパネル用基板、表示装置用基板などの導電パターンに適用することが可能である。
【実施例】
【0049】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0050】
(導電性インク組成物の調製方法)
導電性微粒子(A)、バインダー樹脂(B)として熱硬化性を有する化合物(b−1)と硬化剤(b−2)、および溶媒(C)を樹脂攪拌用容器に入れ、さらに必要に応じて硬化促進剤を加えた。これを遊星ミル(KEYENCE HM−500)にて均一になるまで混合(室温、10分間)することによって、各例の導電性インク組成物を得た。
【0051】
使用した成分
導電性微粒子(A):
・a‐1;銀微粒子(平均粒子径;15nm、スペクトリス ゼータサイザーナノにより測定)特開2006−118010に記載の方法で製造。[オレイルアミン(花王ケミカル製ファーミンO、沸点約350度)(保護層の成分中の45重量%)及びイソアミルアミン(東京化成工業(株)製、沸点96度)(保護層の成分中の55重量%)]
・a‐2;銀微粒子(平均粒子径;21nm、スペクトリス ゼータサイザーナノにより測定)特開2009−270146に記載の方法で製造。[オレイルアミン(保護層の成分中の30重量%)、n−ブチルアミン(和光純薬工業(株)製、沸点77度)(保護層の成分中の70重量%)]
・a‐3;イソアミルアミンをヘキシルアミン(和光純薬工業(株)製、沸点130度)(保護層の成分中の55重量%)とした以外はa‐1と同様。
バインダー樹脂(B):
熱硬化性を有する化合物(b−1)
・EXA−830CRP(DIC製、ビスF型エポキシ化合物)
・アデカレジンEP−4100HF(ADEKA製、ビスA型エポキシ化合物)
硬化剤(b−2):
・HN−2000(日立化成製、酸無水物類)
・1,2−ジメチルイミダゾール(日本合成化学製、イミダゾール類)
硬化促進剤:
・DBU(サンアプロ製、ジアザビシクロウンデセン)
溶媒(C):
・トルエン
・ヘキサン
【0052】
各例で使用した導電性インク組成物中の成分の種類と使用量は以下のとおりである。
実施例1
導電性微粒子(A);上述した(a−1) 7.7g
熱硬化性を有する化合物(b−1);EXA−830CRP 128mg
硬化剤(b−2);HN−2000 134mg
硬化促進剤;DBU 2.6mg
溶媒(C);トルエン 5mL
実施例2
導電性微粒子(A);上述した(a−2) 7.5g
熱硬化性を有する化合物(b−1);アデカレジンEP-4100HF 248mg
硬化剤(b−2);1,2−ジメチルイミダゾール 8mg
溶媒(C);ヘキサン 5mL
比較例1
導電性微粒子(A);上述した(a−3) 7.7g
熱硬化性を有する化合物(b−1);EXA−830CRP 128mg
硬化剤(b−2);HN−2000 134mg
硬化促進剤;DBU 2.6mg
溶媒(C);トルエン 5mL
比較例2
導電性微粒子(A);上述した(a−2) 7.5g
熱硬化性を有する化合物(b−1);添加せず
硬化剤(b−2);添加せず
溶媒(C);ヘキサン 5mL
比較例3
導電性微粒子(A);上述した(a−1) 7.7g
熱硬化性を有する化合物(b−1);EXA−830CRP 256mg
硬化剤(b−2);HN−2000 268mg
硬化促進剤;DBU 5.2mg
溶媒(C);トルエン 5mL
【0053】
以下に各組成物の配合量をまとめたものを表1として示す。導電性微粒子(A)を100重量部とした場合の重量で表記した。

【0054】
(導電性パターンの製造方法)
上述した各例の導電性インク組成物を用い、510mm×5000mmの表面易接着処理PETフィルム(帝人化成製 HPE−50)、及び100mm×100mmのITOスパッタリング処理PETフィルム(帝人化成製 HK188G−AB500H)に対し、グラビアロール版を用いて図1に示すパターンを塗布した。塗布後、加熱処理を行い焼結反応に付し、さらに加熱処理によって硬化反応させ、導電性パターンを得た。なお、各例の焼結条件及び硬化条件は、表2に示す。
【0055】
各組成物を用いて導電性パターンを印刷した結果、実施例1、2および比較例1では断線や短絡の無い、良好なパターンが得られた。しかし、比較例2では一部で短絡が、比較例3では一部で断線が見られた。これは組成物の粘度が影響しているものと考えられる。
【0056】
(評価サンプルの調整)
上述した各例の導電性インク組成物を100mm×100mmの表面易接着処理PETフィルム(帝人化成製 HPE−50)、及び100mm×100mmのITOスパッタリング処理PETフィルム(帝人化成製 HK188G−AB500H)の一方の面に、スピンコート法によって全面に導電性インク組成物の塗膜を形成し、加熱処理を行い焼結反応に付し、さらに加熱処理によって硬化反応させ、全面塗布した各塗膜フィルムを得た。各例の焼結条件・硬化条件は表2に示す条件でおこなった。得られたフィルムは、以下の物性評価において、比抵抗、及び基板との密着性試験に用いた。
【0057】
物性評価
上述した方法により得られた導電性パターン、及び塗膜フィルムについて以下の物性試験をおこなった。
【0058】
フィルムの収縮度
フィルム収縮は、図1のパターンを印刷したロールフィルムより切り出したフィルム基板(加熱前サイズ:60mm×100mm)の対角線が加熱処理前と比較してどの程度収縮したかを判定した。評価基準は以下のように定めた。結果を表2に示す。
○:0.5%未満
×:0.5%以上
【0059】
比抵抗(導電性)
比抵抗は四端子導電率計(三菱化学アナリテック製 ロレスターAX)により、100mm×100mmの塗膜の中央部で測定し、得られた値から判定した。評価基準は以下のように定めた。結果を表2に示す。
○:1×10−5Ω・cm未満
×:1×10−5Ω・cm以上
【0060】
基板との密着性
密着性は、基板が表面易接着処理PETフィルム(帝人化成製 HPE−50)のものを密着性1、ITOスパッタリング処理PETフィルム(帝人化成製 HK188G−AB500H)のものを密着性2とした。JIS K5600により試験し、テープ剥離後に残存したマス数から判定した。評価基準は以下のように定めた。結果を表2に示す。
○:23/25以上
×:22/25以下
【0061】
各例の焼結・硬化条件及び評価結果を表2に示す。

【0062】
表2に示すように、実施例1および2ではフィルム収縮が生じない条件で十分な比抵抗および密着性が得られた。一方、比較例1においては比抵抗が不十分であった。これは導電性微粒子(A)に100度以上の沸点のアミン化合物を用いたため、焼結反応が不十分であった為と考えられる。また、比較例2はバインダー樹脂(B)を用いなかったため、基板との密着性が得られなかった。比較例3はバインダー樹脂(B)が多量であったため、抵抗値を上昇させてしまった。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の導電性インク組成物は、導電性の接着剤、もしくは各種電気配線回路基板、特にフレキシブル基板回路、タッチパネルセンサー用フィルムセンサー、表示装置用基板の製造分野において、有効に利用することができる。また本発明の導電性パターンの製造方法において、高い導電性を有する微細なパターンを明瞭に形成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
常圧下、沸点100度以下のアミン化合物を含む保護層で皮膜された平均粒径が1nm以上100nm以下の導電性微粒子(A)と、
熱硬化性を有する化合物(b−1)、及び硬化剤(b−2)を含有するバインダー樹脂(B)と、
溶剤(C)とを含み、
前記導電性微粒子(A)100重量部に対するバインダー樹脂(B)の含有量が、5重量部以下であることを特徴とする導電性インク組成物。
【請求項2】
前記導電性微粒子(A)が、銀またはその合金である請求項1に記載の導電性インク組成物。
【請求項3】
前記熱硬化性を有する化合物(b‐1)が、エポキシ基を有する化合物である請求項1、又は2に記載の導電性インク組成物。
【請求項4】
前記熱硬化性を有する化合物(b‐1)が、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、又はアルキルジフェノール型の骨格を有するエポキシ化合物から選択される1種である請求項1〜3に記載の導電性インク組成物。
【請求項5】
前記硬化剤(b−2)が、付加重合タイプの硬化剤(i)、又はイオン重合タイプの硬化剤(ii)である請求項1〜4に記載の導電性インク組成物。
【請求項6】
前記硬化剤(b−2)がイオン重合タイプの硬化剤(ii)であって、バインダー樹脂(B)における熱硬化性を有する化合物(b−1)/硬化剤(b−2)の重量比が100/0.1〜100/10の範囲である請求項1〜5に記載の導電性インク組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の導電性インク組成物を基板上に塗布し、熱硬化させることによって得られる導電性パターン。
【請求項8】
常圧下、沸点100度以下のアミン化合物を含む保護層で皮膜された平均粒径が1nm以上100nm以下の導電性微粒子(A)と、
熱硬化性を有する化合物(b−1)、及び硬化剤(b−2)を含有するバインダー樹脂(B)と、
溶剤(C)とを含み、
前記導電性微粒子(A)100重量部に対するバインダー樹脂(B)の含有量が、5重量部以下であることを特徴とする導電性インク組成物を調製する工程と、基板に所定の領域上に前記導電性インク組成物を塗布する工程(塗布工程)と、前記基板上の導電性インク組成物を焼結反応に付し、導電性微粒子(A)を焼結させる工程(焼結工程)と、前記基板上の導電性インク組成物を硬化反応に付し、バインダー樹脂(B)を硬化させる工程(硬化工程)を含むことを特徴とする導電性パターンの製造方法。
【請求項9】
前記焼結工程の焼結温度が、硬化工程の硬化温度より10度以上低い温度で行なわれることを特徴とする請求項8に記載の導電性パターンの製造方法。
【請求項10】
前記焼結工程が、硬化工程よりも先に行なわれることを特徴とする請求項8又は9に記載の導電性パターンの製造方法。
【請求項11】
前記導電性微粒子(A)が、銀またはその合金である請求項8〜10に記載の導電性パターンの製造方法。
【請求項12】
前記熱硬化性を有する化合物(b‐1)が、エポキシ基を有する化合物である請求項8〜11に記載の導電性パターンの製造方法。
【請求項13】
前記熱硬化性を有する化合物(b−1)が、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、又はアルキルジフェノール型の骨格を有するエポキシ化合物から選択される1種である請求項8〜12に記載の導電性パターンの形成方法。
【請求項14】
前記硬化剤(b−2)が、付加重合タイプの硬化剤(i)、又はイオン重合タイプの硬化剤(ii)である請求項8〜13に記載の導電性パターンの製造方法。
【請求項15】
前記硬化剤(b−2)がイオン重合タイプの硬化剤(ii)であって、バインダー樹脂(B)における熱硬化性を有する化合物(b−1)/硬化剤(b−2)の重量比が100/0.1〜100/10の範囲である請求項8〜14に記載の導電性パターンの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−112807(P2013−112807A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263195(P2011−263195)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000108993)ダイソー株式会社 (229)
【Fターム(参考)】