説明

導電性コアを有する濃色および/または光学可変性の顔料

本発明は、フレーク状の透明または半透明の導電性コア、およびこのコアを取り囲む少なくとも1つの着色用誘電体層を有する、濃色および/または光学可変性顔料、その製造方法、および、その使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレーク状の透明または半透明の導電性コアおよびこのコアを取り囲む少なくとも1つの着色用誘電体層を有する、濃色および/または光学可変性の顔料、その製造方法、および、その使用に関する。
【背景技術】
【0002】
効果顔料は、着色剤または機能性顔料の工業的応用という点で近年益々重要な役割を果たしている。一般に、使用される顔料の所望の色または所望の技術的機能は、顔料の選択において決定的な役割を果たす。最近、顔料の機能性と色を互いに組み合わせる試みが頻繁に行われるようになったが、顔料の光学特性または機能特性の質の低下を甘受しなければならないことが多い。
【0003】
伝統的に、インク(特に印刷インク)、コーティング剤、プラスチック、セラミック材料などの工業的用途の着色は、真珠光沢顔料を用いて行うことが多い。真珠光沢顔料は、所望の色効果に加えて、特に、高光沢効果や、角度に応じて変化する微妙な揺らぎと弱い着色を生じさせることができる。この顔料は、その高い透明性により他の有機または無機の着色剤と特によく混ざるので、こうした混合物に基づいた多くの様々な工業的用途は一般的である。
【0004】
フレーク状のTiO2、BiOCl、塩基性炭酸鉛または実績のある金属酸化物/マイカ顔料を含むこうした古典的な真珠光沢顔料に加えて、Al23、SiO2または、ガラスフレークなどの基体上に単層または多層のコーティング層を有し、その色を本質的に干渉作用によって実現する多くの特殊効果顔料が、近年導入されている。
【0005】
高い色強度(彩度)および/または見る角度に応じて変化する色特性(カラーフロップ、光学可変性挙動)を有する顔料が、様々な潜在的用途に特に所望されている。こうした特性は、基体とその上に配置された層とが厳密な品質要求を満たすならば、前述の顔料タイプを用いて得ることができる。その品質要求とは、特に、塗布された層の平滑性および均一性に関して、コーティング層の低い気孔率、ならびにこれらの層の高い透明性であり、同時に個々の層の厚みが互いに完全に調和していることである。
【0006】
さらに、導電性があって、特に工業的用途で有用な機能性顔料が知られている。これらの顔料は、導電材料からなるか、または支持体材料上のコーティング層に導電材料を含むものである。ここでは、この支持体材料は様々な形を取ることができる。
【0007】
例えば、(SbSn)O2被覆マイカ、または単層もしくは多層の誘電体コーティング層と最上部に(SbSn)O2外層とを有するマイカなどの、透明フレーク状基体に基づく導電性顔料が知られている。顔料の導電性を達成するためには、顔料の表面に導電材料の層を配置させることが重要である。こうした顔料は、各種の塗布媒体中に導入されて、例えばプラスチック物品や床仕上げ材などに導電性コーティング層を形成することに寄与できる。また、こうした顔料は(例えば、Minatec(登録商標)31CMまたはMinatec(登録商標)30CMという商品名でメルクKGaA社から)市販されている。これらは、例えば、DE 38 42 330、DE 42 37 990、EP 139 557、EP 359 569およびEP 743 654などの特許に記載されている。
【0008】
しかし、ある分野の用途、例えば、銀行券、小切手、クレジットカード、パスポート、チケットなどのセキュリティ製品については、一定のセキュリティチェックを行うことを可能とするために、電磁場内へ導入することにより、または高周波の電磁場(例えばマイクロ波)による励起により、導電性顔料と類似した信号と反応可能な顔料もまた、いくつかの実施形態において必要となる。こうした顔料は、例えば、交流電場の磁力線の偏向を引き起こさなければならないが、それ自体は導電性であってはならない。何故ならば、それ相応に高い濃度の顔料に電場を印加した場合、顔料に導電性があるとセキュリティ製品に短絡が起こるからである。
【0009】
一方、上述の光学可変性顔料は、特にセキュリティ製品において、訓練されていない観察者が特定の支援なしで認識できるセキュリティ要素を発生させるために、近年頻繁に使用されている。したがって、例えば、一定の数またはパターン、とりわけ、ある観察角度で第1の色を示し、別の観察角度で第2の色を示す数またはパターンが印刷される。
【0010】
セキュリティ製品上の小スペース(例えば押印)に複数の種々の可視および不可視のセキュリティ機能を組み込むことを意図する場合、顔料濃度は急激に非常に高くなるので、印刷インクとして必要な粘度を保持することができない。あるいは、様々な顔料が互いに重なりあって、その効果を互いに妨げることになる。これら成分の相互の影響とは、色もセキュリティ機能も最適に設定することができないことを意味することが多い。したがって、できるだけ多くの所望の特性を同時に有する顔料が求められている。
【発明の概要】
【0011】
したがって、本発明の目的は、容易に見ることができて識別可能な魅力的な光学特性を有し、同時に、これを電磁場へ導入した場合または高周波の電磁場によって励起した場合、塗布媒体中で検知するのに十分に強い信号を発生させるまたは引き起こすことができ、顔料の使用濃度が比較的高いときに生じる塗布媒体中での短絡を形成することのない顔料を提供することであった。
【0012】
本発明の別の目的は、前記顔料の製造方法を提供することであった。
【0013】
本発明のさらなる目的は、この種の顔料の使用について示すことであった。
【0014】
本発明の目的は、フレーク状の透明または半透明の導電性コアと前記コアを取り囲む少なくとも1つの着色用誘電体層とを有する、濃色および/または光学可変性の顔料によって達成される。
【0015】
さらに、本発明の目的は、濃色および/または光学可変性顔料の製造方法であって、次のステップを含む方法によって達成される。
【0016】
a)任意選択で、フレーク状の透明または半透明の基体を、1つまたは複数の誘電体層でコーティングするステップと、
b)前記基体の両面またはすべての面を導電層でコーティングして、導電性コアを得るステップと、
c)前記導電性コアのすべての面を、少なくとも1つの着色用誘電体層でコーティングするステップ。
【0017】
さらに、本発明の目的は、塗料、コーティング剤、印刷インク、プラスチック、セキュリティ用途、フィルム、調合物、セラミック材料、ガラス、紙、レーザーマーキング用、高周波電磁放射線の遮蔽または減衰用、熱反射用、乾燥配合物、および顔料配合物への前記顔料の使用によって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の顔料は、フレーク状の透明または半透明の導電性コアと、このコアを取り囲む少なくとも1つの着色用誘電体層とを有する。
【0019】
本発明では、フレーク状とは、その頂部と底部に互いにほぼ平行な2つの面を有し、その長さおよび幅寸法が顔料の最大の寸法に相当するシート状の構造であると見なされる。フレークの厚みである前記表面間の間隔は、これとは対照的により小さな寸法を有している。
【0020】
本発明の顔料の長さおよび幅寸法は、1〜250μm、好ましくは2〜100μm、特に5〜60μmである。これらは、通常顔料の粒径と呼ばれる値でもある。この値はそれ自体重要なものではないが、顔料の粒度分布は狭いことが好ましい。顔料の厚みは、0.01〜5μm、好ましくは0.1〜2μmである。
【0021】
本発明では、導電性コアが可視光線を、実質的にすなわち少なくとも90%程度、透過する場合、この導電性コアは透明であると見なされる。導電性コアが少なくとも10%、しかし90%未満の可視光線を透過する場合、この導電性コアは半透明であると見なされる。
【0022】
層が電流を伝導しない場合、この層は誘電体と見なされる。
【0023】
本発明では、誘電体層が、干渉および/または固有の呈色を通して顔料の光学特性の決定に決定的に関係している場合、すなわちそれ自体が光学活性を有している場合、この誘電体層は着色用であると見なされる。このタイプの層は、(例えば、有色の金属化合物を含んで)有色のこともあり、無色のこともある。後者の場合、この無色の層は、干渉効果の形成によって顔料の呈色に独自に寄与することができる層厚みを有する。
【0024】
導電性コアは、透明または半透明のフレーク状基体およびこの基体のすべての面または両面に配置されたコーティング層を有する。このコーティング層は単層または多層の構造を有し、少なくともその外層は導電層である。
【0025】
フレーク状、透明および半透明という用語について先に使用された用語説明は、基体についても同様に適用される。基体それ自体は、導電性でも誘電性でもよく、または好ましくは誘電材料からなる。しかし、基体は金属材料からなるものではない。基体として使用するためには、合成または天然マイカ、タルクまたはカオリンなどの他のフィロケイ酸塩、ガラスフレーク、フレーク状SiO2、フレーク状Al23、フレーク状TiO2、および/または合成Fe23フレークからなる群から選択されるフレーク状材料が特に好適である。
【0026】
ここでは、マイカ、他のフィロケイ酸塩、ガラスフレーク、フレーク状SiO2およびフレーク状Al23が特に好ましい。これらのうち、マイカがさらに特に好ましい。
【0027】
基体上に配置されたコーティング層は単層または多層の構造を有する。コーティング層が単層構造を有する場合、この層は導電材料を含む層である。一方、コーティング層が多層構造の場合、これらの層の少なくとも外層は導電材料を含む層である。
【0028】
多層構造の場合、基体上に直接配置された第1層および任意選択の1つまたは複数の次の層は、誘電材料で構成させることができる。これらの層は、高屈折率材料と低屈折率材料の両方で構成させることができ、イオン交換を防ぎかつ/または顔料の色に影響を及ぼすために、基体から導電層を遮蔽する役割を果たすことができる。好適な材料を以下に示す。
【0029】
本発明の好ましい実施形態では、基体上に直接配置された第1層は、SiO2または酸化ケイ素水和物からなり、次の第2層は導電材料からなる。この第1層は、さらに任意選択で別の金属酸化物、例えば少量の酸化アルミニウムなどを含むこともできる。
【0030】
しかし、導電層が基体上に直接配置されて導電性コーティング層を形成している本発明の別の実施形態も好ましい。
【0031】
導電層およびこの導電層の下の基体上に直接配置されたいかなる層も、必ずしも基体を取り囲む必要はない。本発明の顔料を製造するには、この層またはこれらの層が、基体の両面に形成されていれば、すなわち基体の最大の表面に配置されていれば、十分である。しかし、少なくとも導電層が、特に好ましくは導電性コア中に配置されたすべての層が、基体をできるだけ完全に取り囲んでいる実施形態が好ましい。
【0032】
導電層の好適な材料は、特に、ドープした金属酸化物であり、導電層はこれを1種または複数種含んでいる。金属酸化物は、好ましくは、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、および/または酸化チタンであり、好ましくは、酸化スズ、酸化インジウム、および/または酸化亜鉛である。前記金属酸化物は、導電層内にドープされた形で存在する。このドーピングは、ガリウム、アルミニウム、インジウム、タリウム、ゲルマニウム、スズ、リン、ヒ素、アンチモン、セレン、テルル、モリブデン、タングステン、および/またはフッ素で行うことができる。上述のドーパントは、導電層内に単独で存在していてもよく、これらの組み合わせとして存在していてもよい。金属酸化物のドーピングには、アルミニウム、インジウム、テルル、フッ素、タングステン、スズ、および/またはアンチモンを使用することが好ましい。導電層内のドーパントの割合は0.1〜30重量%とすることができ、好ましくは2〜15重量%の範囲である。特に好ましい実施形態で使用される導電層は、アンチモンをドープした酸化スズ、アンチモンおよびテルルをドープした酸化スズ、タングステンをドープした酸化スズ、スズをドープした酸化インジウム、アルミニウムをドープした酸化亜鉛またはフッ素をドープした酸化スズであり、アンチモンをドープした酸化スズが特に好ましい。この好ましい組み合わせにおけるスズとアンチモンの比は4:1〜100:1とすることができ、この比は好ましくは8:1〜50:1である。アンチモン含有量が低いと導電率に悪影響を及ぼす。これに対して、アンチモン含有量が高いと、可視波長領域において顔料による吸収が上昇し、本発明の顔料の導電性コアの透明性が低下する。
【0033】
フレーク状基体を基準とする導電層の割合は、20〜120重量%とすることができ、好ましくは40〜75重量%である。
【0034】
透明または半透明の基体、およびこの基体上に配置され少なくともその表面に導電性の最外層を有するコーティング層が、本発明の顔料の導電性コアを形成する。
【0035】
本発明によれば、このコアは少なくとも1つの着色用誘電体層に取り囲まれている。
【0036】
コアを取り囲むこの層は、屈折率n≧1.8の材料を含む層であってもよく、屈折率n<1.8の材料を含む層であってもよい。この層は、前者の場合、高屈折率層であると見なされ、後者の場合、低屈折率層であると見なされる。
【0037】
顔料の呈色について同じように重要な別の誘電体層を、この第1層の上に配置させてもよい。
【0038】
したがって、それぞれの下にある層を取り囲み、屈折率n<1.8の材料と屈折率n≧1.8の材料とからなる別の層が交互に、屈折率n≧1.8の材料を含む第1層の上に配置されている実施形態が好ましい。これらの層の少なくとも1つ、好ましくはこれらの層の複数、特に好ましくはこれらの層の全てが、干渉および/または固有の色を通して顔料の呈色に寄与している。合計3層を有する実施形態が好ましい。
【0039】
それぞれの下にある層を取り囲み、屈折率n≧1.8の材料と屈折率n<1.8の材料とからなる別の層が交互に、屈折率n<1.8の材料を含む第1層の上に配置された実施形態も同様に好ましい。この実施形態においても、これらの層の少なくとも1つ、好ましくはこれらの層の複数、特に好ましくはこれらの層の全てが、干渉および/または固有の色を通して顔料の呈色に寄与している。ここでは、導電性コアの上に合計2層を有する実施形態、および合計4層を有する別の実施形態が好ましい。これは、それぞれの場合において、屈折率n≧1.8の材料を含む層が顔料の最外層を形成していることを意味する。
【0040】
この最後に述べた実施形態では、導電性コア上に直接配置されている低屈折率の第1層が顔料の色に著しく寄与すること、すなわちそれ自体が光学活性を有していることが絶対に必要であるということはない。導電性コアと、第1層の上に配置された更なる層とを分離して、顔料の焼成中にこれらの層の間でイオン交換が起こらないようにするために、ここでは、この第1層は絶縁体層としての役割を果たすこともある。このような場合、例えばSiO2を含む第1層の場合、この層が絶縁機能を得るには約10nmの層厚みがあれば十分である。しかし、この層の層厚みが10nmを超える場合、特に20nmを超える場合、さらに特に30nmを超える場合、この低屈折率の第1層は顔料の呈色にも独自に寄与する。これはこの層の干渉能から生じるものである。低屈折率の第1層が有色の場合、顔料の呈色における第1層の割合は、層厚みが非常に小さな場合でも同じ厚みの無色の層の割合よりもちろん大きい。
【0041】
低屈折率の第1層の層厚みが非常に小さく、この層が顔料の色に独自に寄与しない場合、すべての場合において少なくとも1つの別の高屈折率層が第1層の上に配置される。この場合、高屈折率層が顔料の色を決定するが、高屈折率層の上に別の層が配置されているときは、高屈折率層とその別の層とが顔料の色を決定する。
【0042】
本発明の顔料が濃色であるか光学可変性であるかは、導電性コア上に配置された層の数およびその層厚みに本質的に依存する。したがって、光学可変性(すなわち、見る角度に応じて変化する色相)を形成するこれらの層の能力は、層の数が増加すると共に上昇する。この目的のためには、2つの高屈折率層の間に配置された(例えばSiO2を含む)低屈折率層が、少なくとも30nm、好ましくは少なくとも50nm、特に少なくとも80nmという大きな層厚みを有すると特に有利である。もちろん、当業者によく知られているように、導電性コアの上に配置されたすべての誘電体層の層厚みが、これらの層の干渉効果および/または固有色を目標にした相互作用によって、一定の色を高めるかまたは抑えるように互いに調和していることが必要である。このようにして、光学可変性挙動のない濃色の顔料を多層構造で製造することもできる。
【0043】
屈折率n≧1.8の材料を含む層は、好ましくは、TiO2、酸化チタン水和物、チタン亜酸化物、Fe23、FeOOH、SnO2、ZnO、ZrO2、Ce23、CoO、Co34、V25、Cr23、および/またはこれらの混合相からなる層である。これらの材料は、無色であるか、または固有の吸収に起因した固有の色を有している。TiO2、酸化チタン水和物、Fe23、FeOOHおよびSnO2が特に好ましい。TiO2および酸化チタン水和物が特に好ましい。これらは酸化スズを予めコーティングすることにより特に高い屈折率を有するので、TiO2および/または酸化チタン水和物と共に酸化スズを含む混合相は、この場合、少量の酸化スズとTiO2および/または酸化チタン水和物からなる次の層から形成されているので、特に好ましい。
【0044】
屈折率n<1.8の材料を含む層は、好ましくは、SiO2、酸化ケイ素水和物、Al23、酸化アルミニウム水和物、これらの混合相またはMgF2からなる。これらの層はまた、これらの材料内に着色剤を組み込むことにより固有の色を呈することもできる。SiO2および/または酸化ケイ素水和物が特に好ましい。
【0045】
本発明の顔料は、塗布媒体中で導電層を形成することなく固有の導電率を有する。これは、十分な厚みの誘電体によって導電層が完全に覆われていることに帰せられる。したがって、塗布媒体中のパーコレーション閾値、すなわち、塗布媒体全体に延在し、隣接する導電性顔料によるクラスターまたはチャンネルが形成されて、つじつまのあった導電面が生成するような顔料分布が生じる確率は、塗布媒体中の本発明の顔料の濃度が比較的高い場合でも、ゼロに近い。
【0046】
したがって、本発明の顔料を塗布媒体中に導入した場合、比較的高い顔料濃度で、かつ電磁場によって顔料が励起されたときにおいても、塗布媒体中において短絡は生じない。一方、本発明の顔料の導電層の導電性は、層厚みが15nmでも、互いに孤立した、すなわち互いに直接接触していない導電性顔料が電磁場またはマイクロ波において同じような挙動を示すには十分である。
【0047】
一方、本発明の顔料は、濃色を呈し、かつ/または光学可変性挙動を示す。これにより、多種多様な塗布媒体にこの顔料を使用することが可能になる。固有の導電率に加えて、この種の光学的に興味ある顔料外観を達成することができるには、導電層が、その均質性、粒径、表面の平坦性などに関して、特定の品質要求を満たすことが特に重要である。これを達成するには、特に繊細に調整された製造方法が必要である。
【0048】
したがって、本発明は、濃色および/または光学可変性顔料の製造方法であって、次のステップを含む方法に関する。
【0049】
a)任意選択で、フレーク状の透明または半透明の基体を、1つまたは複数の誘電体層でコーティングするステップと、
b)前記基体の両面またはすべての面を導電層でコーティングして、導電性コアを得るステップと、
c)前記導電性コアのすべての面を、少なくとも1つの着色用誘電体層でコーティングするステップ。
【0050】
ステップa)および/またはステップb)における基体のコーティングを、基体の大きな表面だけをそれぞれ、例えばCVDまたはPVD法によるコーティング層で覆うように取り計らうことができる。あるいは、ベルトプロセスでコーティング層とともに基体を製造する場合もあろう。しかしながら、ステップa)、ステップb)、および/またはステップc)においてフレーク状基体のコーティングを、ゾルゲル法によってまたは無機出発物質からの湿式化学法によって行うことが好ましい。
【0051】
プロセスが単純であり、かつ出発物質の入手可能性が高いので、ステップa)、ステップb)、および/またはステップc)において基体のコーティングを、無機出発物質からの湿式化学法によって行うことが特に好ましい。
【0052】
しかし、この点でいくつかの特異性が、特にプロセスステップb)について認められるはずである。
【0053】
先に既に記載したように、特に導電層は、本発明の顔料が十分高い固有導電率を持つために、しかし同時に誘電体層を含む次の層構造のための優れた基礎を形成するために、いくつかの必要条件を満たさなければならない。これらの層は干渉可能でなければならない。
【0054】
導電性顔料の製造に頻繁に使用される材料は、アンチモンをドープした酸化スズである。しかし、このタイプの層を製造するための通常の湿式化学法は、その層の所望の導電性を達成することはできるが、こうした層の表面特性は、層の均質性および平滑性に関して、干渉可能な層の要求性能よりも、かなり劣ったものであることが分かった。特に、このタイプの層は、粗い粒状度、基体上での不均質な膜厚分布、および表面に付着する共沈粒子を有する。したがって、このタイプの層は、ヘーズが高く、焼成した後に灰色の固有の色を呈する。これらは、顔料の全体的な光学的印象を損なう。したがって、薄い層すなわち平均厚みが20nm未満の層は、粒状度が高く非常に不均質であるため、基体表面はもはや完全には被覆されていない可能性がある。
【0055】
徹底的な研究により、意外にも、通常,湿式化学法による析出によって塗布される導電層の粒状度を低下させ、かつ共沈物の形成を抑えると、顔料の着色特性を著しく改善できることが見出された。
【0056】
したがって、本発明においては、無機出発物質からの湿式化学法により、共沈物の形成を防ぎつつ、基体上へ析出物を堆積させることによって、導電層を形成する方法が好ましい。
【0057】
導電層をコーティングした後に顔料を分離し、この顔料を洗浄し任意選択でこれを乾燥し、次いで複合体を再分散した後、更なる層をコーティングすることにより、共沈物の影響は、ある程度まで打ち消すことができるが、この種のプロセスは経済的でなく、著しく複雑な装置を必要とする。
【0058】
ところが意外なことに、任意選択で事前にコーティングされた基体に対して、実質的に共沈を生じることなく、かつ一次粒子の粒径が十分大きくて、層の導電性を確実に十分高くできるような方法で、アンチモンをドープした酸化スズの薄い導電層を、単一プロセスステップの湿式化学法によって、うまくコーティングできた。
【0059】
この目的のためには、導電層のコーティング中、顔料懸濁液のpHを適当な方法で設定しなければならない。pH値は1.4〜2.5が特に好ましいことが分かった。pH値は1.6〜2.1の範囲がさらに特に好ましい。
【0060】
さらに、出発物質の濃度が特定の役割を果たす。コーティングされる基体の濃度および導電層のコーティングに使用される材料の濃度を、溶媒を基準として、2〜20重量%の範囲に設定することが特に有利であることが分かった。ここでは、基体の比表面積を1グラム当たり約3〜5m2として、5〜15重量%の範囲が特に好ましい。
【0061】
これにより、形成され析出物は共沈なしに実質上完全に顔料の基材表面に確実に堆積し、後に十分高い固有導電率を顔料にもたらす一次粒子の一次粒子径が得られる。
【0062】
同様に、高い撹拌速度も有利であることが分かった。このこともまた、基体上に形成された一次粒子の完全な堆積を支持するものである。
【0063】
例えば、Statistics for Experimenters, Whiley-Interscience, John Whiley and Sons, New York, 1978に記載のBox−Behnkenの方法による統計的実験計画によって、当業者は容易に、これらのパラメータを個々のケースにおいて微調整することができる。
【0064】
ステップc)において、導電性コアは、少なくとも1つの着色用誘電体層によって取り囲まれる。導電性コアに信頼できる被覆を確実に行うためには、プロセスステップc)を、ゾルゲル法または無機出発物質からの湿式化学法によって行うことができる。特に、前記湿式化学法でステップb)を行う場合、無機出発物質からの湿式化学法でプロセスステップc)の着色用誘電体層のコーティングも行うことが特に有利である。
【0065】
干渉顔料のコーティングに適切な、当業者によく知られているすべての湿式化学法がこの目的に適している。これらは、例えば、DE 14 67 468、DE 19 59 998、DE 20 09 566、DE 22 14 545、DE 22 15 191、DE 22 44 298、DE 23 13 331、DE 25 22 572、DE 31 37 808、DE 31 37 809、DE 31 51 355、DE 32 11 602およびDE 32 35 017の文書に記載されている。
【0066】
ステップc)において、一方が他方の上にある複数の誘電体層を含む層系を導電性コアに設ける方法であって、これらの層の各々が下にある層を取り囲んでおり、これらの層は、交互に屈折率n≧1.8の材料と屈折率n<1.8の材料とからなり、導電性コアを取り囲む第1層が、屈折率n≧1.8の材料からなるかまたは屈折率n<1.8の材料からなり、顔料の最外層が屈折率n≧1.8の材料からなる方法も同様に好ましい。
【0067】
ここでは、導電性コアを取り囲む(第1または唯一の)層が、TiO2および/または酸化チタン水和物からなることが好ましい。ここで、TiO2はアナターゼ型であってもルチル型であってもよい。後者が特に好ましい。
【0068】
しかし、導電性コアを取り囲む第1層が、SiO2および/または酸化ケイ素水和物からなる、本発明の別の実施形態も同様に好ましい。
【0069】
先に既に説明したように、導電性コアに塗布される層系の最外(光学活性、すなわち色を決める)層が高屈折率層(n≧1.8)であることが有利である。
【0070】
同様に既に述べたように、アンチモンをドープした酸化スズを含む導電層を塗布する方法が好ましい。
【0071】
本発明はまた、塗料、コーティング剤、印刷インク、プラスチック、セキュリティ用途、フィルム、調合物、セラミック材料、ガラス、紙、レーザーマーキング用、高周波電磁放射線の遮蔽または減衰用、熱反射用、乾燥配合物または顔料配合物への、上記の本発明の顔料の使用にも関する。
【0072】
その高い色強度および/またはその光学可変性色挙動により、本発明の顔料は、単にその色特性だけによっても、上述のタイプの塗布媒体を着色するための使用に非常に適している。ここでは、この顔料は通常の干渉顔料と同じ方法で使用される。導電層に使用される材料が、本発明において好ましいとされるアンチモンをドープした酸化スズである場合、この顔料は、さらに一定の隠蔽力を有しており、これは、実質的に完全に透明である通常の干渉顔料とは区別される。
【0073】
この顔料を表面コーティング剤およびインクに用いる場合、当業者に知られている全ての領域の用途、例えば、粉体塗料、自動車塗料、グラビア、オフセット、スクリーンまたはフレキソ印刷用の印刷インク、および屋外用途の表面コーティング剤が可能である。複数のバインダー、特に水溶性で溶媒含有タイプの、例えばアクリレート、メタクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ニトロセルロース、エチルセルロース、ポリアミド、ポリ酪酸ビニル、フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、デンプンまたはポリビニルアルコールに基づくバインダーが、印刷インクの調製に適している。表面コーティング剤は、水性コーティング剤であっても溶媒系コーティング剤であってもよく、コーティング剤の構成成分の選択は当業者の一般的知識により行われる。
【0074】
本発明の顔料は、プラスチックおよびフィルムに同様に有利に使用することができる。ここでは、適切なプラスチックはすべての一般的なプラスチック、例えば熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂である。本発明の顔料は、ここでは、通常の真珠光沢または干渉顔料と同じ条件で使用される。したがって、プラスチック中へ導入することの特性は、例えば、R.Glausch、M.Kieser、R.Maisch、G.Pfaff、J.Weitzel著、Perlglanzpigmente [Pearlescent Pigments]、Curt Vincentz Verlag、1996年、83頁以降に記載されている。
【0075】
本発明の顔料は、さらに、流動性顔料配合物および乾燥配合物の調製にも適している。これらの配合物は、本発明による1種または複数種の顔料を含み、任意選択でその他の顔料または着色剤(以下を参照)、バインダー、および任意選択で1種または複数種の添加剤を含む。乾燥配合物とは、水および/または溶媒もしくは混合溶媒を0〜8重量%、好ましくは2〜8重量%、特に3〜6重量%含む配合物を意味するとも解される。乾燥配合物は、真珠粒子、ペレット、顆粒、チップ、ソーセージまたはブリケットの形をしており、約0.2〜80mmの粒径を有することが好ましい。
【0076】
しかし、本発明の顔料は、電磁場またはマイクロ波などの影響に少なくとも時々さらされるすべての塗布媒体中で、互いに切り離された、すなわち互いに直接接触していない導電性顔料と同じような挙動を示すこともできる。
【0077】
これらには、例えば、高周波電磁場の減衰または反射、および電場における誘電体コーティング層の電流密度の特定の変化が含まれる。
【0078】
後者は、多くのセキュリティ用途、特に、普通は目に見えないセキュリティ特徴をチェックするために、電磁場の影響にしばしばさらされるセキュリティ製品に特に有利である。ここでは、本発明の顔料は、例えば交流電場の磁力線を偏向させる役割を果たすことができる。これにより電磁場の局所的な増幅(いわゆるホットスポット)が得られる。このホットスポットに助けられて、例えばエレクトロルミネッセンス物質を発光させることができる。
【0079】
先に既に記載したように、ここでは顔料は固有の導電率を有するが、しかし、顔料粉体それ自体は導電性ではないことが特に重要である。
【0080】
言うまでもないが、本発明の顔料は、必要に応じその他の有機着色剤および/または無機着色剤および/または導電材料との混合物として、多種多様な塗布媒体に使用することができる。ここでは、これらの混合比は、媒体中の顔料濃度が所望の光学特性および/または機能特性を達成するのに十分に高く、しかし必要とされる粘度に悪影響を及ぼさないよう十分に低い限り、どの観点からも限定されない。これらは、市販の添加剤、フィラーおよび/またはバインダー系と任意の比率で混合することができる。
【0081】
さらに言うまでもないが、それぞれの塗布媒体中での使用に際しその親和性がより高くなるように、本発明の顔料に、当業者によく知られているポストコーティングを行うことができる。ここでは、ポストコーティングは有機でも無機でもよい。所望により、両方のタイプのポストコーティングも使用される。この種のポストコーティングは、本発明の顔料の光学特性に影響せず、また同様に、この顔料の固有の電気特性を限定することもない。
【0082】
本発明の顔料は、高い色強度(彩度)および/または光学可変性色挙動を有し、したがって、こうした色特性を必要とする多くの塗布媒体に適している。しかし、同時に、この顔料は本質的に導電性であり、それゆえ、電磁場の影響にさらされた塗布媒体中において、検知できる信号を発生させるまたは引き起こすことができる。両特性は、本発明の顔料をセキュリティ用途で使用する場合に特に有利であることが分かる。この用途において、この顔料は、可視および不可視の両方のセキュリティ特徴を生成させる役割を果たすことができる。このうち後者は、セキュリティ製品を電磁場内へ導入することにより検知することができる。したがって、この顔料は、複数のセキュリティ特徴を生成させるセキュリティ用途において特に有利に使用することができる。
【実施例】
【0083】
例により本発明を以下に説明する。これらの例は、本発明を記述することを意図するものであるが、本発明を限定するものではない。
【0084】
例1(比較例):誘電体コーティング層を有しない導電性顔料の調製
平均粒径が25μm(d50、レーザー回折で測定)の粉砕・分級したマイカ100gを脱イオン水1900mlに懸濁し、この懸濁液を塩酸を使用してpH1.8に調節する。これを75℃で撹拌しながら、SnCl4水溶液(50重量%)132.9g、HCl(37重量%)42ml、およびSbCl3水溶液(35重量%)28.3gの混合物を計量つつ連続的に供給する。水酸化ナトリウム溶液を調節・計量しながら同時に添加することによりpHを一定に保つ。この溶液を全量添加した後、混合物を75℃でさらに30分間撹拌し、次いで撹拌しながら室温まで冷却し、反応混合液をpH3に調節する。得られた顔料を、吸引漏斗でろ過し、水洗し、140℃で乾燥し、750℃で30分間焼成して、淡灰色の顔料粉体145gを得る。コーティング層中のSn:Sb比は85:15であり、導電性コーティング層の層厚みは約25nmである。
【0085】
例2(本発明):導電性コアを有する金色の干渉顔料の調製
例1の顔料100gを水1500mlに懸濁させる。これを75℃、pH7.5で激しく撹拌しながら、ナトリウム水ガラス溶液362gを計量しながらゆっくり供給する。この溶液のSiO2含有量は約13重量%である。この混合物をさらに1時間撹拌し、目の細かい画分を分離するために一回沈殿させる。次いで、塩酸を用いてpHを1.8に調節し、75℃で撹拌しながら、SnCl4の塩酸溶液100ml(SnCl4 2.2重量%)を計量しながらゆっくり供給する。次に、顔料が金黄色の干渉色を示すまで、TiCl4溶液(TiO2として計算してTiCl4 13重量%)を計量しながら供給する。これを添加している間、pHは、水酸化ナトリウム溶液を添加することによりpH1.8に保持する。次いで、この混合物をさらに1時間撹拌し、懸濁液をpH5に調節する。
【0086】
得られた顔料は、ブフナー漏斗でろ過し、水洗し、ろ過ケーキを140℃で乾燥し、得られた顔料粉体を750℃で30分間焼成して、くすんだ黄色の顔料粉体145gを得る。
【0087】
導電率の試験:
顔料の比抵抗を測定するために、各場合において、顔料0.5gを、直径2cmのアクリルガラス管中で金属スタンプを用い10kgの重量をかけて金属電極に対して圧縮する。このように圧縮された顔料の電気抵抗Rを測定する。比抵抗ρは、圧縮した顔料の層厚みLから次式により得られる。
ρ=R・π・(d/2)2/L(Ω・cm)
この方法を用いて、以下の顔料の比抵抗を得る。
例1の顔料:ρ=65Ω・cm、
例2の顔料:ρ>100KΩ・cm。
【0088】
コーティングフィルムのマイクロ波吸収の試験:
各場合において、例1および例2からの顔料ならびにIriodin(登録商標)205ルチルブリリアントイエロー(導電層のない干渉顔料、メルク)の比較試料を、NCラッカー(混合溶媒中コロジオン6%およびブチルアクリレート−ビニルイソブチルエーテル共重合体6%)に分散する。PETフィルムにコーティング配合物を塗布する。別の比較例として、顔料が添加されていないコーティング剤をフィルムに塗布する。乾燥コーティング層中の顔料の濃度は20重量%であり、層厚みは各場合において、50μmである。
【0089】
例1の顔料を含むコーティングフィルムは灰白色で透明である。本発明による例2からの顔料を含むコーティングフィルムは、比較の顔料Iriodin(登録商標)205ルチルブリリアントイエローを含むフィルムと同じように、上から見た場合濃い金色の干渉色を示す。顔料が添加されていない比較フィルムは無色透明である。
【0090】
マイクロ波共振器測定ヘッドを接続したAgilent周波数分析器モデルE5072Cを用いて3.5ギガヘルツで試料を測定する。測定ヘッドには0.5mmの隙間があり、そこを通してコートフィルムを電場へ導入できる。それぞれ試料なしの状態および試料を導入した状態で、共鳴信号の周波数、強度および半値幅を測定する。マイクロ波信号の減衰および振動数シフトから、試料のパワー電導および分極率を決定する。NCラッカーを添加せずにIriodin(登録商標)205ルチルブリリアントイエロー(導電層なし)を添加した比較フィルムの場合マイクロ波信号はほとんど減衰しないが、例1および例2の顔料を含む試料の場合のロスは、それぞれ、20デシベルを超える。
【0091】
この実験からは、粉体導電率測定の方法を用いて導電性は見出されなかったが、これらの顔料の固有導電率は、着色用誘電体コーティング層を有しない例1の顔料の導電率と同等であることが分かる。この実験からはさらに、マイクロ波吸収が、金色の干渉顔料中の導電層の検出に適切な方法であり、したがって種々の試料の判別に適切な方法であることが分かる。さらに、この実験からは、本発明の顔料が、基本的に高周波の電磁放射線を減衰させるのに適していることも分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーク状の透明または半透明の導電性コアと、前記コアを取り囲む少なくとも1つの着色用誘電体層とを有する顔料。
【請求項2】
前記導電性コアが、透明または半透明のフレーク状基体と前記基体のすべての面または両面に配置されたコーティング層とを有し、前記コーティング層が単層または多層の構造を有し、少なくともその外層が導電層であることを特徴とする、請求項1に記載の顔料。
【請求項3】
前記コアを取り囲む層が、屈折率n≧1.8の材料を含む層であることを特徴とする、請求項1または2に記載の顔料。
【請求項4】
前記コアを取り囲む層が、屈折率n<1.8の材料を含む層であることを特徴とする、請求項1または2に記載の顔料。
【請求項5】
それぞれの下にある層を取り囲む着色層であって、屈折率n<1.8の材料からなる層と屈折率n≧1.8の材料からなる着色層が、交互に、請求項3の屈折率n≧1.8の材料を含む層の上に配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の顔料。
【請求項6】
それぞれの下にある層を取り囲む着色層であって、屈折率n≧1.8の材料からなる層と屈折率n<1.8の材料とからなる着色層が、交互に、請求項4の屈折率n<1.8の材料を含む層の上に配置されていることを特徴とする、請求項4に記載の顔料。
【請求項7】
屈折率n≧1.8の材料を含む層が、それぞれの場合において、前記顔料の最外層を形成していることを特徴とする、請求項5または6に記載の顔料。
【請求項8】
前記透明または半透明の基体が、合成または天然マイカ、他のフィロケイ酸塩、ガラスフレーク、フレーク状SiO2、フレーク状Al23、フレーク状TiO2、および/または合成Fe23フレークからなる群から選択されることを特徴とする、請求項2から7の一項または複数項に記載の顔料。
【請求項9】
前記導電層が1種または複数種のドープした金属酸化物を含むことを特徴とする、請求項1から8の一項または複数項に記載の顔料。
【請求項10】
前記導電層の前記金属酸化物が、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、および/または酸化チタンであることを特徴とする、請求項9に記載の顔料。
【請求項11】
金属酸化物を含む前記導電層が、ガリウム、アルミニウム、インジウム、タリウム、ゲルマニウム、スズ、リン、ヒ素、アンチモン、セレン、テルル、モリブデン、タングステン、および/またはフッ素でドープされていることを特徴とする、請求項9または10に記載の顔料。
【請求項12】
屈折率n≧1.8の材料を含む前記層が、TiO2、酸化チタン水和物、チタン亜酸化物、Fe23、FeOOH、SnO2、ZnO、ZrO2、Ce23、CoO、Co34、V25、Cr23、および/またはこれらの混合相からなることを特徴とする、請求項3および5から11の一項または複数項に記載の顔料。
【請求項13】
屈折率n<1.8の材料を含む前記層が、SiO2、酸化ケイ素水和物、Al23、酸化アルミニウム水和物、これらの混合相またはMgF2からなることを特徴とする、請求項4および5から12の一項または複数項に記載の顔料。
【請求項14】
固有の導電率を有することを特徴とする、請求項1から13の一項または複数項に記載の顔料。
【請求項15】
請求項1から14の一項または複数項に記載の濃色および/または光学可変性顔料の製造方法であって、次のステップを含む方法:
a)任意選択で、フレーク状の透明または半透明の基体を、1つまたは複数の誘電体層でコーティングするステップと、
b)前記基体の両面またはすべての面を導電層でコーティングして、導電性コアを得るステップと、
c)前記導電性コアのすべての面を、少なくとも1つの着色用誘電体層でコーティングするステップ。
【請求項16】
ステップa)、ステップb)、および/またはステップc)において前記フレーク状基体のコーティングを、ゾルゲル法によってまたは無機出発物質からの湿式化学法によって行うことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記導電層を、無機出発物質からの湿式化学法により、共沈物の形成を防ぎつつ前記基体上へ析出物を堆積させることによって形成することを特徴とする、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
ステップc)において、一方が他方の上にある複数の着色用誘電体層を含む層系が塗布され、これらの層の各々がその下にある層を取り囲んでおり、これらの層が交互に屈折率n≧1.8の材料と屈折率n<1.8の材料とからなり、前記導電性コアを取り囲む第1層が、屈折率n≧1.8の材料からなるかまたは屈折率n<1.8の材料からなり、前記顔料の最外層が屈折率n≧1.8の材料からなることを特徴とする、請求項15から17の一項または複数項に記載の方法。
【請求項19】
前記導電性コアを取り囲む層が、TiO2および/または酸化チタン水和物からなることを特徴とする、請求項15から18の一項または複数項に記載の方法。
【請求項20】
前記導電性コアを取り囲む層が、SiO2および/または酸化ケイ素水和物からなることを特徴とする、請求項15から18の一項または複数項に記載の方法。
【請求項21】
前記導電層がアンチモンをドープした酸化スズからなることを特徴とする、請求項15から20の一項または複数項に記載の方法。
【請求項22】
塗料、コーティング剤、印刷インク、プラスチック、セキュリティ用途、フィルム、調合物、セラミック材料、ガラス、紙、レーザーマーキング用、高周波電磁放射線の遮蔽または減衰用、熱反射用、乾燥配合物または顔料配合物への、請求項1から14の一項または複数項に記載の顔料の使用。
【請求項23】
前記顔料が、有機着色剤および/または無機着色剤および/または導電材料との混合物として使用されることを特徴とする、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
前記顔料が、電磁場の影響にさらされるセキュリティ製品に使用されることを特徴とする、請求項22または23に記載の使用。
【請求項25】
顔料粉体が導電性でないことを特徴とする、請求項1から14の一項または複数項に記載の顔料を含む顔料粉体。

【公表番号】特表2011−506700(P2011−506700A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538418(P2010−538418)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/010529
【国際公開番号】WO2009/077123
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】