説明

導電性コーティング組成物

【課題】高い透明性を有し、強度に優れた導電性薄膜を与える、導電性コーティング組成物を提供すること。
【解決手段】ドーピングされたポリアニリン、ドーピングされたポリチオフェンなどの固有導電性高分子の有機溶媒分散液と、例えば、アルキルシリケートの加水分解物などの有機ケイ素化合物からなるバインダーと、を含むことを特徴とする導電性コーティング組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性コーティング組成物に関し、さらに詳述すると、固有導電性高分子の有機溶媒分散液およびバインダーを含む導電性コーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアニリン、ポリチオフェンおよびポリピロールなどの芳香族系の導電性高分子は、優れた安定性および導電率を有することから、その活用が期待されている。
しかし、これらの導電性高分子は何れの溶媒にも不溶であるという性質を有しており、成形性に劣ることから、従来、その応用分野は限られてきた。
【0003】
近年、導電性高分子を微粒子として水や芳香族溶媒をはじめとする有機溶媒に分散させることにより、成形性を向上させることが可能であることが報告されている(特許文献1,2参照)。
しかし、上記導電性高分子にドーパントが付加された固有導電性高分子の分散液は、一般的に水性コロイド分散液や、水と親水性溶媒との混合溶媒の分散液として使用されている。このため、コーティング剤等として使用する場合には、その溶媒組成が複雑になる等の問題点があり、未だ導電性高分子の応用分野は限られている。
【0004】
これらの問題点を解決する方法として、溶媒置換法により他の溶媒に置換する手法が開発されている(特許文献3,4参照)。
しかし、特許文献3の方法では、溶媒置換中に強撹拌が必要であるなどの理由から、製造方法が非常に煩雑なものであるという問題があった。
また、より簡便な手法としてイオン交換体を用いて脱イオン処理後に溶媒置換を行う方法が報告されているが、固有導電性高分子粒子表面に強固に吸着したカチオンを除去することができず、有機溶媒中における固有導電性高分子の分散安定性が乏しいため、水分含量を1質量%以下まで下げることは困難であった(特許文献4参照)。
【0005】
これらの問題点を解決する手法として、本出願人は、固有導電性高分子の水性コロイド分散液を通液法によって脱イオン処理した後、溶媒置換することにより、固有導電性高分子を有機溶媒へ分散させることが可能であることを見出している(特許文献5,6参照)。
【0006】
ところで、近年、透明性プラスチックの帯電防止や、プラスチック基板上に透明電極形成のために、固有導電性高分子薄膜が利用されはじめている。
このような用途においては、基材の透明性を損なわず、しかも高い強度が要求されるため、高透明性かつ高強度の固有導電性高分子薄膜が要求される。
【0007】
この点、本出願人は、固有導電性高分子の有機溶媒分散液と各種バインダーとの複合により、溶媒組成および製膜方法が簡便なコーティング組成物を得ることができ、かつ高透明性・高硬度の固有導電性高分子膜を得ることができることを報告している(特許文献7参照)が、それらの特性については、さらなる改良の余地がある。
【0008】
【特許文献1】特開平7−90060号公報
【特許文献2】特表平2−500918号公報
【特許文献3】特表2004−532292号公報
【特許文献4】特表2004−532298号公報
【特許文献5】国際公開第2006/087969号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2007/052852号パンフレット
【特許文献7】特開2007−324142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、高い透明性を有し、強度に優れた導電性薄膜を与える、導電性コーティング組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、固有導電性高分子の水分散液に、バインダーとして有機ケイ素化合物を配合することで、この導電性コーティング組成物から得られる薄膜が、従来の薄膜以上に高透明性かつ高強度となることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、
1. 固有導電性高分子の有機溶媒分散液と、有機ケイ素化合物からなるバインダーと、を含むことを特徴とする導電性コーティング組成物、
2. 前記有機ケイ素化合物が、アルキルシリケートの加水分解物を含む1の導電性コーティング組成物、
3. 前記有機溶媒分散液中に含まれる水が1質量%以下である1または2の導電性コーティング組成物、
4. 前記固有導電性高分子が、少なくともアニリン単位を含む1〜3のいずれかの導電性コーティング組成物、
5. 前記固有導電性高分子が、ポリアニリン、またはポリアニリンとポリチオフェンとの混合物もしくはそれらの共重合体である1〜4のいずれかの導電性コーティング組成物、
6. 基材と、この基材の表面に1〜5のいずれかの導電性コーティング組成物から作製される被膜と、を有する部材、
7. 前記基材が、プラスチック、ゴム、ガラス、金属、セラミックスまたは紙である6の部材
を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、溶媒組成が単純であるとともに、製膜の容易な導電性コーティング組成物を提供できる。
この導電性コーティング組成物から得られた導電性薄膜は、透明性および強度に優れており、基材の透明性を損なわずに導電性または帯電防止性の被膜を有する部材を作製することができる。
この薄膜は、透明電極材料や透明帯電防止剤、紫外線吸収剤、熱線吸収剤、電磁波吸収剤、センサ、電解コンデンサ用電解質、二次電池用電極など種々の用途に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係る導電性コーティング組成物は、固有導電性高分子の有機溶媒分散液と、バインダーとを含むものである。
ここで、固有導電性高分子とは、当業界において一般的にIntrinsically Conductive Polymers(ICPs)と呼ばれる高分子であり、ドーパントによるドーピングによって、ポリラジカルカチオニック塩またはポリラジカルアニオニック塩が形成された状態にある、それ自体導電性を発揮し得る高分子をいう。
【0014】
本発明で使用可能な固有導電性高分子としては特に限定はなく、例えば、アニリン、ピロール、チオフェン、アセチレン、またはこれらの誘導体のポリマーなど公知の各種高分子をドーパントによりドーピングしたものが挙げられる。なお、これらの高分子は、単独で用いることもでき、2種以上を混合して用いることもできるが、その一部に少なくともアニリン単位を含む高分子を用いることが好適である。また、ドーパントとしては、ポリスチレンスルホン酸やメタンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、しょうのうスルホン酸などのスルホン酸化合物、酢酸などのカルボン酸化合物、塩酸や臭化水素酸などのハロゲン化水素等が挙げられる。
【0015】
これらの固有導電性高分子のうち、特開平7−90060号公報および特表平2−500918号公報に記載された手法により製造することができ、また市販品として水性コロイド分散液を容易に入手可能なポリチオフェン(具体的にはポリ(3,4−エチレン)ジオキシチオフェン)、ポリアニリン、これらの混合物またはこれらの共重合体を用いることが好ましい。特に、非常に小さな分散粒子径を有する水性コロイド分散液として入手可能なポリアニリン、ポリアニリンとポリチオフェンとの混合物およびそれらの共重合体が最適である。
固有導電性高分子の有機溶媒分散液は、上述した特許文献5,6に記載の手法により、上記水性コロイド分散液の水溶媒を有機溶媒に置換して得ることができる。
固有導電性高分子の有機溶媒分散液としては、水分が1質量%以下のものを用いることが好ましく、特に、導電性コーティング組成物の保存安定性を考慮すると、ポリアニリン、またはポリアニリンとポリチオフェンとの混合物若しくはそれらの共重合体の有機溶媒分散液が最適である。
【0016】
本発明のコーティング組成物では、バインダーとして有機ケイ素化合物を用いる。
有機ケイ素化合物としては、例えば、以下の式(I)および/または式(II)で示されるケイ素化合物およびその加水分解物や、シリコーンワニス、シリコーンアルキッドワニス、シリコーンエポキシワニス、シリコーンアクリルワニス、シリコーンポリエステルワニス等の変性シリコーンワニス等が挙げられる。
(R1a(R3bSi(OR24-(a+b) (I)
(式中、R1およびR3は、互いに独立して、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基、ハロゲン基、グリシドキシ基、エポキシ基、アミノ基、フェニル基、メルカプト基、メタクリルオキシ基、またはシアノ基を示し、R2は、炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、アシル基、またはフェニル基を示し、aおよびbは、0または1である。)
{(OX)3-aSi(R4)}2Y (II)
(式中、R4は、炭素数1〜5の有機基を示し、Xは、炭素数1〜4のアルキル基またはアシル基を示し、Yは、炭素数2〜20の有機基を示し、aは0または1である。)
【0017】
式(I)で示される有機ケイ素化合物の具体例としては、メチルシリケート,エチルシリケート,n−プロピルシリケート,iso−プロピルシリケート,n−ブチルシリケート等のアルキルシリケート、テトラアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリアミロキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、メチルトリベンジルオキシシラン、メチルトリフェネチルオキシシラン、グルシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシトリエトキシシラン、β−グリシドキシトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシエチルエチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルフェニルメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルフェニルエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシランなどが挙げられる。
式(II)で示される有機ケイ素化合物の具体例としては、メチレンビスメチルジメトキシシラン、エチレンビスエチルジメトキシシラン、プロピレンビスエチルジエトキシシラン、ブチレンビスメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
【0018】
上記式(I)および式(II)で示される有機ケイ素化合物およびその加水分解物は、それぞれ単独で使用しても、両者を混合して用いてもよい。単独で使用する場合、併用する場合のどちらにおいても、式(I)および式(II)の化合物は2種以上組み合わせて用いることができる。
式(I)および式(II)で示される有機ケイ素化合物の加水分解は、有機ケイ素化合物中に、塩酸水溶液、硫酸水溶液または酢酸水溶液などの酸性水溶液を添加して撹拌することにより行われる。
【0019】
本発明のコーティング組成物では、バインダーとして、上述した有機ケイ素化合物を単独で用いることもできるが、得られる薄膜の硬度の調整等を目的として、その他のバインダーを添加することもできる。
その他のバインダーとしては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、メラミン樹脂、ゼラチンおよびその誘導体、セルロースおよびその誘導体、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、有機ケイ素化合物、ユリア樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ブチラール樹脂などが挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。
【0020】
アクリル樹脂としては、以下に示す(メタ)アクリルモノマーを、単独で、または2種以上混合して公知の手法によりラジカル重合して得られるものが挙げられる。なお、モノマーとして配合して、被膜形成時に重合させてもよい。
(メタ)アクリルモノマーの具体例としては、トリフルオロエチルアクリレート、トリフルオロメチルアクリレート、フェニルグリシジルアクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフリルアクリレート、アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2−エチル,2−ブチル−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキシル2,2−ビス〔4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタアクリロキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、3−フェノキシ−2−プロパノイルアクリレート、1,6−ビス(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−ヘキシルエーテル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス−(2−ヒドロキシエチル)−イソシアヌル酸エステル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、アクリロイルオキシエチル酸、アクリル酸ダイマー、ラウリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、イソボニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルグリシジルエーテルエポキシアクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ(ポリ)エチレングリコールアクリレート、ノニルフェノールエトキシ化アクリレート、アクリロイルオキシエチルフタル酸、トリブロモフェニルアクリレート、トリブロモフェノールエトキシ化(メタ)アクリレート、メチルメタクリレート、トリブロモフェニルメタクリレート、メタクリロイルオキシエチル酸、メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、メタクリロイルオキシエチルフタル酸、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチルアクリレート、N−メチロールアクリルアマイド、N−メトキシメチルアクリルアマイド、N−エトキシメチルアクリルアマイド、N−n−ブトキシメチルアクリルアマイド、t−ブチルアクリルアミドスルホン酸、ステアリル酸ビニル、N−メチルアクリルアミド、N−ジメチルアクリルアミド、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、グリシジルメタアクリレート、n−ブチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、メタクリル酸アリル、セチルメタクリレート、ペンタデシルメタアクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メタクロイルオキシエチル琥珀酸、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチル、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、グリコールジアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタアクリロイルフォスフェート、ビスフェノールAエチレングリコール付加物アクリレート、ビスフェノールFエチレングリコール付加物アクリレート、トリシクロデカンメタノールジアクリレート、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレートジアクリレート、2−ヒドロキシ−1アクリロキシ−3−メタクリロキシプロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレングリコール付加物トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレングリコール付加物トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレートトリアクリレート、変性ε−カプロラクトントリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、グリセリンプロピレングリコール付加物トリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールエチレングリコール付加物テトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(ペンタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、エポキトアクリレートなどが挙げられる。
【0021】
ポリエステル樹脂としては、ジカルボン酸成分とグリコール成分とを構成成分とする線状ポリエステルが挙げられる。
ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4−ジフェニルジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、フェニルインダンジカルボン酸、ダイマー酸等が挙げられ、これらは単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
グリコール成分の具体例としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ポリ(エチレンオキシ)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシ)グリコール、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物などが挙げられ、これらは単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0022】
ウレタン樹脂としては、ポリイソシアネートと活性水素含有化合物を重付加反応して得られるものが挙げられる。
ポリイソシアネートの具体例としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート(2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート)、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−および/または2,6−ノルボルナンジイソシアネート、m−および/またはp−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
また、ポリイソシアネートの変性物である、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDI)、ウレタン変性TDI、ビューレット変性HDI、イソシアヌレート変性HDI、イソシアヌレート変性IPDIなどのポリイソシアネートの変性物などを用いることもできる。
上記ポリイソシアネートおよびその変性物は、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0023】
活性水素含有化合物の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の2価アルコール;プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−もしくは2,3−ブタンジオール等の分岐鎖を有するジオール;1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、m−またはp−キシリレングリコール等の環状基を有するジオール;ビスフェノールA等の2価フェノール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール;蔗糖、メチルグルコシド等の糖類およびその誘導体;エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂鎖式ジアミン;4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシル、ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環式ジアミン;ジエチルトルエンジアミン等の芳香族ジアミン;キシリレンジアミン、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジアミン等の芳香脂肪族ジアミン;ピペリジン等の複素環ジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の多官能アミン;ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等の高分子ポリオール;コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサヒドロフタル酸等の脂肪族ポリカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラブロムフタル酸、テトラクロルフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族ポリカルボン酸;無水マレイン酸、無水フタル酸等のポリカルボン酸無水物;テレフタル酸ジメチル;γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトンモノマー、2個以上の活性水素原子を有する化合物アルキレンオキサイドが付加した構造のものなどが挙げられる。これらは単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0024】
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールAF型、フェノールノボラック型等の各種液状エポキシ樹脂およびその誘導体、多価アルコールとエピクロルヒドリンとから誘導される液状エポキシ樹脂およびその誘導体、グリシジルアミン型、ヒダントイン型、アミノフェノール型、アニリン型、トルイジン型等の各種グリシジル型液状エポキシ樹脂およびその誘導体などが挙げられる。これらは単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0025】
ポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸ビニルなどのビニルエステル系モノマーをラジカル重合して得られたポリビニルエステル系重合体をケン化することにより得られるものを用いることができる。
その具体例としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニルおよびバーサティック酸ビニル等のビニルエステル類のポリマーなどが挙げられ、これらは単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
また、ポリビニルエステル系重合体は、上記のビニルエステルモノマー類に共重合可能なコモノマーを共重合してなる共重合体でもよい。
コモノマーの具体例としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類:(メタ)アクリル酸およびその塩;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリルアミド、ヒドロキシアルキル、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体等のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩、N−メチロールメタクリルアミドおよびその誘導体等のメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸およびその塩またはそのエステル;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニル等が挙げられる
【0026】
メラミン樹脂としては、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、メチルブチル混合型メラミン樹脂等が挙げられ、これらは単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
ゼラチンおよびその誘導体としては、フタル化ゼラチン、コハク化ゼラチン、トリメリットゼラチン、ピロメリットゼラチン、エステル化ゼラチン、アミド化ゼラチン、ホルミル化ゼラチン等が挙げられ、これらは単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
セルロースおよびその誘導体としては、アセチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメチレート、硝酸セルロース等が挙げられ、これらは単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0027】
ジアリルフタレート樹脂としては、ジアリルフタレート 、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレートなどが挙げられる。
ブチラール樹脂としては、ポリビニルブチラールなどが挙げられる。
【0028】
本発明の導電性コーティング組成物において、固有導電性高分子の有機溶媒分散液に含まれる固有導電性高分子のコロイド粒子とバインダーの固形分との混合比は、特に限定されるものではないが、質量比で99.9:0.1〜0.1:99.9が好ましく、99:1〜1:99がより好ましい。
導電性コーティング組成物の調製法は、特に限定されるものではなく、固有導電性高分子の有機溶媒分散液とバインダーとを任意の手法により適宜混合すればよい。
【0029】
さらに、本発明においては、導電性コーティング組成物の分散性および保存安定性の向上を目的として、界面活性剤、酸、塩基等を、組成物中に、0.1〜10質量%程度の量で添加してもよい。
界面活性剤としては、特に限定されるものではなく、アニオン系、カチオン系、ノニオン系など広く使用することができ、公知の界面活性剤から適宜選択して用いればよい。
酸としては、例えば、塩酸、硝酸、オルトリン酸等の無機酸;シュウ酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸、ヒドロアクリル酸、α−オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸等の脂肪族オキシ酸;フェニルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸等のホスホン酸化合物などが挙げられる。
【0030】
塩基としては、例えば、アンモニア;アルカリ金属水酸化物;エチルアミン、ジエチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、ジイソブチルアミン、トリエチルアミン、ベンジルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ステアリルアミンなどのアルキルまたはアラルキルアミン類;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;グアニジン水酸化物、テトラメチルアンモニウム水酸化物、テトラエチルアンモニウム水酸化物等の第4級アンモニウム水酸化物;炭酸アンモニア、炭酸グアニジン等の有機塩基などが挙げられる。
【0031】
本発明の導電性コーティング組成物は、基材に塗布した後に硬化処理して薄膜とすることができる。
使用可能な基材としては、例えば、プラスチック、ゴム、ガラス、金属、セラミックス、紙など種々のものが使用できる。
コーティング組成物を塗布する方法は、例えば、バーコート法、リバース法、グラビア印刷法、マイクログラビア印刷法、ディッピング法、スピンコート法、スプレー法などの公知の手法から適宜選択すればよい。
硬化処理は、熱風乾燥または活性エネルギー線照射によって行うことができる。
熱風乾燥の場合は、70〜200℃の熱風中で行うことがよく、好ましくは90〜150℃である。
また、活性エネルギー線としては、紫外線や赤外線、遠赤外線、電子線などを用いることができる。
【0032】
本発明のコーティング組成物より形成される被膜の厚さは、用途に応じて適宜設定されるものであるため一概には規定できないが、0.05〜10μm程度が好ましく、0.1〜5μmがより好ましい。
上記被膜の表面抵抗値は、100〜1014Ω/□の範囲であり、きわめて良好な導電性能を示す。なお、表面抵抗値は、表面抵抗率測定装置(例えばハイレスターUP(三菱化学(株)製)、ローレスタIP(三菱化学(株)製))により測定が可能である。
【0033】
本発明の導電性被膜は、例えば、その上部に反射防止膜を積層することで反射防止機能を付与することができる。
反射防止膜は導電性被膜より低屈折率であることが好ましく、屈折率差は0.05以上とすることが好ましく、0.1〜0.5がより好ましく、0.15〜0.5が最適である。この屈折率差が0.05未満の値であると、反射防止被膜での相乗効果が得られず、却って反射防止効果が低下する場合があるためである。
【0034】
反射防止膜の厚みは特に制限されないが、50〜300nmが好ましい。厚みが50nm未満となると、下地である導電性被膜に対する密着性が低下する場合があり、一方、厚みが300nmを超えると、光干渉が生じて反射防止効果が低下する場合がある。より高い反射防止能を得るために反射防止膜を複数設ける場合には、その総厚みを50〜300nmとすればよい。
【0035】
反射防止膜を構成する材料は特に限定されないが、例えば、上述した式(I)または(II)で表される有機ケイ素化合物およびその加水分解物;フルオロオレフィン系ポリマー、含フッ素アクリル系ポリマー等のフッ素系樹脂;低屈折率を有する微粒子としてフッ化マグネシウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウムや、空隙を有する微粒子と有機または無機のバインダーとを混合して得られる低屈折率コーティング組成物等が挙げられる。
また、フッ化マグネシウムやシリカなどの無機化合物を、真空蒸着やスパッタ法等の方法で反射防止膜として成膜することもできる。
【0036】
さらに、本発明の導電性被膜に、反射防止膜として、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層させた多層反射防止膜を設けて反射防止機能を付与することもできる。
この場合、高屈折率層はチタン、タンタル、ジルコニウム、ニオブおよびイットリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化物の層とし、低屈折率層はシリカ、アルミナ、フッ化マグネシウム、フッ化リチウム、およびフッ化ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の層とすることが好ましい。
これら高屈折率層および低屈折率層は、真空蒸着やスパッタ法、イオンプレーティング法等の乾式めっき法で製膜することができる。
【実施例】
【0037】
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、実施例における各物性の測定法および測定条件は、以下のとおりである。
[1]Tt値
分光ヘイズメーターTC−H3DPK−MKII((有)東京電色製)を用いて測定した。
[2]ヘイズ値
分光ヘイズメーターTC−H3DPK−MKII((有)東京電色製)を用いて測定した。
[3]表面抵抗値
Loresta IP TCP−T250(三菱化学(株)製)を使用して測定した。
[4]鉛筆硬度
鉛筆硬度計(No.553−M FILM HARDNESS TESTER BY MEANS OF PENCILS、(株)安田精機製作所製)を使用してJIS−K5600−5−4記載の手法にて測定した。
[5]クロスカット試験
クロスカットガイド(CCI−1、コーテック(株)製)を使用してJIS−K5600記載の手法にて試験し、残存する格子目の数を確認した。
【0038】
[実施例1〜3]
ドーピングされたポリアニリンを含む固有導電性高分子のメタノール分散液NW−D102MT(日産化学工業(株)製、固形分濃度0.7質量%)に、エチルシリケート加水分解物NT−L6008(日産化学工業(株)製、固形分濃度10質量%)および濃度調整用のメタノールを表1の比率にて混合し、コーティング組成物を得た。得られたコーティング組成物の分散状態は良好であった。
これをPETフィルム(HK−31WF、東山フィルム(株)製)上にワイヤーバーコーター(#12、ウェット膜厚27.4μm)を用いて塗布した後、100℃にて10分間乾燥することにより導電性被膜を作製した。得られた導電性被膜のTt値、ヘイズ値、表面抵抗値、鉛筆硬度、クロスカット試験結果を表1に示す。
また、得られたコーティング組成物をガラス基板上に0.001インチ(25.4μm)のアプリケーターを用いて塗布した後、100℃にて10分間乾燥することにより導電性被膜を形成した。得られた導電性被膜のTt値、ヘイズ値、表面抵抗値、鉛筆硬度、クロスカット試験結果を表2に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
[実施例4〜6]
ドーピングされたポリアニリンを含む固有導電性高分子のメタノール変性アルコール分散液NW−F102ET(日産化学工業(株)製、固形分濃度0.9質量%)に、エチルシリケート加水分解物NT−L6008(日産化学工業(株)製、固形分濃度10質量%)、および濃度調整用のメタノール変性アルコールを表3の比率にて混合し、コーティング組成物を得た。得られたコーティング組成物の分散状態は良好であった。
この組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして2種類の方法にて導電性薄膜を作製した。ワイヤーバーコーターにて作製した導電性被膜のTt値、ヘイズ値、表面抵抗値、鉛筆硬度、クロスカット試験結果を表3に、アプリケーターを用いて作製した導電性被膜のTt値、ヘイズ値、表面抵抗値、鉛筆硬度、クロスカット試験結果を表4に示す。
【0042】
【表3】

【0043】
【表4】

【0044】
[実施例7,8]
ドーピングされたポリアニリンを含む固有導電性高分子の2−ブタノン分散液NW−F101MEK(日産化学工業(株)製、固形分濃度0.9質量%)に、エチルシリケート加水分解物NT−L6008(日産化学工業(株)製、固形分濃度10質量%)、および濃度調整用の2−ブタノンを表5の比率にて混合し、コーティング組成物を得た。得られたコーティング組成物の分散状態は良好であった。
この組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして2種類の方法にて導電性薄膜を作製した。ワイヤーバーコーターにて作製した導電性被膜のTt値、ヘイズ値、表面抵抗値、鉛筆硬度、クロスカット試験結果を表5に、アプリケーターを用いて作製した導電性被膜のTt値、ヘイズ値、表面抵抗値、鉛筆硬度、クロスカット試験結果を表6に示す。
【0045】
【表5】

【0046】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
固有導電性高分子の有機溶媒分散液と、有機ケイ素化合物からなるバインダーと、を含むことを特徴とする導電性コーティング組成物。
【請求項2】
前記有機ケイ素化合物が、アルキルシリケートの加水分解物を含む請求項1記載の導電性コーティング組成物。
【請求項3】
前記有機溶媒分散液中に含まれる水が1質量%以下である請求項1または2記載の導電性コーティング組成物。
【請求項4】
前記固有導電性高分子が、少なくともアニリン単位を含む請求項1〜3のいずれか1項記載の導電性コーティング組成物。
【請求項5】
前記固有導電性高分子が、ポリアニリン、またはポリアニリンとポリチオフェンとの混合物もしくはそれらの共重合体である請求項1〜4のいずれか1項記載の導電性コーティング組成物。
【請求項6】
基材と、この基材の表面に請求項1〜5のいずれか1項記載の導電性コーティング組成物から作製される被膜と、を有する部材。
【請求項7】
前記基材が、プラスチック、ゴム、ガラス、金属、セラミックスまたは紙である請求項6記載の部材。

【公開番号】特開2010−33881(P2010−33881A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−194652(P2008−194652)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】