説明

導電性ゴムローラ及びその製造方法

【課題】電子写真式画像形成装置に好適な導電性ゴムローラ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明では、中空円筒状のウレタンスポンジを所定の長さに切断し、その内周に金属のシャフトを挿入してウレタンゴムローラを製造する(ステップ1,2)。次に、ウレタンスポンジに導電性の液状シリコンを含浸し、円筒状の金型に装着し、高速回転させる(ステップ3,4)。高速回転させることにより液状シリコンが外周側に材料移動し、金型の内周面とウレタンスポンジの外周面との間に液状シリコンの膜が形成される。その後、加硫処理を行い、ウレタンスポンジの外周面に導電性シリコン皮膜を形成する(ステップ5)。ウレタンスポンジの外周面には平滑な導電性シリコン皮膜が形成されるので、ウレタンゴムローラは、表面が平滑でシリコンゴムローラに匹敵する耐熱性を有する導電性ゴムローラに変換される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ゴムローラ、特に現像ローラや転写ローラとして有用な導電性ゴムローラ及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタにおいては、現像ローラ、転写ローラ、帯電ローラ等の各種導電性ゴムローラが使用されている。従来、導電性ゴムローラを製造する場合、シリコンゴムやウレタンゴム等の弾性ゴム材料中にカーボンブラックを含浸させて所望の導電率の導電性ゴムローラが製造されている。例えば、現像ローラを製造する場合、ウレタンゴムをベースポリマとし、カーボンブラックを混合して液状原料を生成し、液状原料を金型内に注入し、熱的に硬化させることにより製造されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−301872号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ジャンピング現像方式において、現像ローラと感光ドラムとの間隔は約10μm程度に規制されており、現像器や感光ドラムを構成する各種部品の公差は厳格に規定されている。このため、部品の製造の歩留りが低く、部品精度の公差を広い範囲に設定できる現像方式の開発が強く要請されている。この要請に対応する方法として、現像ローラのゴム硬度を低くして、現像ローラと感光体とのの間の接触を許す現像方式が検討されている。しかしながら、従来のウレタンゴムにカーボンブラックを混合した液体材料を金型に注入して硬化させる方法では、ゴム硬度を低くするには限界があり、十分に対応できないのが実情である。
【0004】
さらに、複写機やプリンタにおいては、現像ローラ以外の各種の導電性ゴムローラが使用されており、それらの用途に適合した導電性ゴムローラの開発の要請も強いものである。例えば、熱的な径変化をできるだけ小さくすることが必要な導電性ゴムローラや、不活性が要求される用途の導電性ローラの開発も課題となっている。さらに、潤滑性が要求されるローラや、優れた駆動力の伝達性を必要とする導電性ゴムローラ、或いは耐熱性を必要とする導電性ゴムローラの開発も要請されている。
さらに、最外周にローラの用途に応じた特性の表面層を形成する必要がある。この場合、架橋反応や焼成処理等の高温処理で表面層を形成する場合がある。この場合、ウレタンゴムの耐熱温度を超える温度で処理しようとすると、熱劣化の問題が発生する。
【0005】
本発明の目的は、複写機やプリンタ等の電子写真式画像形成装置に好適な導電性ゴムローラ及びその製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、表面層を高温で処理形成する場合でも、熱劣化が生ずることなく表面層が形成できる導電性ゴムローラの製造方法を提供することにある。
さらに、本発明の別の目的は、低硬度な現像ローラ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による導電性ゴムローラは、金属のシャフトと、シャフトの外周に設けた導電性の弾性ゴム層と、弾性ゴム層上に形成され、加硫成型された導電性のシリコン被膜とを有し、
前記導電性の弾性ゴム層は、ウレタンゴムスポンジと、ウレタンゴムスポンジの隔壁の表面上に形成され、加硫された導電性のシリコン被膜とを含み、ゴム層全体として導電性ゴム層として形成されていることを特徴とする。
【0007】
ウレタンスポンジゴムは、多数の空孔が連通する連泡性のゴム材料であり、低硬度ゴム材料である。そこで、本発明では、ウレタンスポンジゴムをベース基材として利用する。しかし、ウレタンスポンジを弾性ゴム層として用いた場合、ウレタンスポンジの外周面には多数の凹凸が存在し、金属のシャフトの外周にウレタンスポンジ層を形成して導電性ゴムローラを形成した場合、ローラの外周面に無数の凹凸が形成され、表面の平滑性に難点がある。よって、ウレタンスポンジローラの外周面に表面層を形成したりフッ素樹脂チューブを装着しても、下地のウレタンゴムの凹凸がそのまま現れてしまい、外周面に無数の凹凸のあるローラとなってしまう。また、最外周に各種表面層を形成する場合、焼成処理や架橋反応処理を160℃程度の温度で行う場合がある。このような場合、ウレタンゴムの耐熱限界を超えるため、熱劣化の問題が生じてしまい、所望の材質の表面層が形成できない場合がある。
【0008】
上述した欠点を解消するため、本発明では、ウレタンスポンジの外周面に導電性のシリコンの皮膜を形成する。導電性シリコン皮膜を形成するに際し、ウレタンゴムローラを作成し、当該ウレタンゴムローラのウレタンスポンジの内部まで導電性の液状シリコンを含浸させ、その状態で円筒状の金型内に配置する。そして、ウレタンゴムローラと金型とを一緒にして高速回転させる。金型と共にウレタンゴムローラが高速回転することにより遠心力が作用し、スポンジの内部に含浸された液状シリコンは外周側に材料移動し、ウレタンスポンジの外周面の凹部は導電性液状シリコンによりほぼ均一に充填され、金型の内周面とウレタンゴムの表面との間に導電性液状シリコンの薄い膜が形成される。しかも、遠心力が作用しても、導電性の液状シリコンはウレタンスポンジの隔壁(壁部)の表面上にも被膜としても形成され、ウレタンゴムの隔壁を被覆するように形成される。そして、この状態で加硫成型処理を行う。加硫成型処理を行えば、ウレタンスポンジの外周面の凹部内に導電性シリコンが充填され、金型の内周面に対応した平滑なシリコンゴム被膜が形成される。しかも、外周面の導電性シリコン被膜は、ウレタンスポンジの隔壁表面上に形成された導電性のシリコン被膜を介して最内周側の金属シャフトと電気的に導通する。この結果、ウレタンスポンジの外周面は平滑な導電性の外周面に変換される。尚、金型を高速回転させることにより、ウレタンスポンジの外周面の凹部内に存在していた空気は、液状シリコンの材料移動によりウレタンスポンジの側面から外部に放出されるので、シリコン皮膜に気泡の痕跡が形成される不具合は発生しない。
【0009】
さらに重要なこととして、ウレタンスポンジの内部特に外周面付近は、液状シリコンが充填された状態で加硫処理されるため、ウレタンスポンジのゴムの隔壁はシリコンで被覆された状態となり、シリコンの耐熱性にほぼ匹敵する耐熱性が得られることである。この結果、ウレタンゴムの比較的低い耐熱性はシリコンの耐熱性まで改善され、熱劣化の問題も解消する。よって、表面層を形成する際、架橋反応等の高温処理を行うことが可能になり、所望の材質の表面層を形成することが可能になる。
【0010】
本発明において用いられる導電性の液状シリコンは、比較的低い温度で加硫できるRTV型の液状シリコン又は110〜180℃程度の温度で加硫するLTV型の液状シリコンを用いることができる。また、液状シリコンの粘度として、ウレタンスポンジの内部まで侵入でき、且つウレタンスポンジの隔壁表面に保持される程度の粘度、例えば10000〜50000cs程度の比較的高粘度の液状シリコンが用いられる。弾性ゴム層の導電率は、液状シリコンに混合するカーボンブラックの配合比率を制御することにより所望の導電率の導電性ゴムローラが実現される。
【0011】
本発明による導電性ゴムローラにおいては、表面層の導電性シリコン被膜と最内周側の金属シャフトとの間には、ウレタンスポンジの隔壁の表面上に加硫された導電性シリコンゴムが形成されるので、表面層と金属シャフトとの間に電気的な導通が得られ、金属シャフトを電気的絶縁性の軸受を介してバイアス源に接続することにより、所望の電位にバイアスすることができる。
【0012】
本発明による導電性ゴムローラは、金属のシャフトと、シャフトの外周に設けた導電性の弾性ゴム層と、弾性ゴム層上に形成され、加硫成型された導電性のシリコン被膜と、導電性シリコン被膜上に形成した導電性の表面樹脂層とを有し、
前記導電性の弾性ゴム層は、ウレタンゴムスポンジと、ウレタンゴムスポンジの隔壁の表面上に形成され、加硫された導電性シリコン被膜とを含み、ゴム層全体として導電性ゴム層として形成され、
前記表面樹脂層は、導電性フッ素樹脂、導電性フッ素系樹脂、導電性ナイロン樹脂、又は導電性アクリル樹脂から選択した導電性樹脂材料で構成したことを特徴とする。
【0013】
本発明では、表面が平滑なシリコン被膜の外周面について下地処理を行った後、種々の特性を有する表面層を形成して、ローラの用途に対応した表面特性を有する導電性ゴムローラに変換することが可能である。例えば、シリコン被膜の外周面について導電性のフッ素ラテックス処理(FLC処理)を行えば、優れた潤滑性を有する導電性ゴムローラが実現され、現像ローラとして利用することができる。
【0014】
本発明による導電性ゴムローラの製造方法は、金属とシャフトと、その外周に形成した導電性の弾性ゴム層とを有する導電性ゴムローラを製造するに当たり、
中空円筒状の連泡性のウレタンスポンジゴムのチューブを所定の寸法に切断する工程と、
ウレタンスポンジゴムのチューブの内周に金属のシャフトを挿入してウレタンゴムローラを製造する工程と、
ウレタンスポンジゴムの外周面側からウレタンスポンジの内部に導電性の液状シリコンを含浸させる工程と、
導電性の液状シリコンが含浸されたウレタンゴムローラを円筒状の金型内に装着する工程と、
前記ウレタンゴムローラをローラ軸線の周りで回転させて、含浸された導電性の液状シリコンを外周面側に材料移動させる工程と、
前記ウレタンゴムローラを前記金型内に装着した状態で加硫成型処理を行い、前記ウレタンゴムローラを、外周面に導電性のシリコン被膜が形成され、平滑な外周面を有する導電性ゴムローラに変換することを特徴とする。
【0015】
本発明による導電性ゴムローラの製造方法の好適実施例は、加硫成型処理を行った後、前記導電性シリコン被膜上に導電性樹脂をコーティングし、又は導電性チューブを装着する工程を具えることを特徴とする。導電性樹脂層として、導電性フッ素樹脂層、導電性フッ素系樹脂層、導電性アクリル樹脂層、又は導電性ナイロン樹脂層を形成することができる。導電性樹脂層を形成することにより、使用するローラの用途に適した特性を有する表面層が形成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、連泡性のウレタンスポンジ内に導電性液状シリコンを含浸させ、円筒状の金型内で加硫成型処理を行っているので、ウレタンスポンジの表面は、平滑な導電性表面に変換される。この結果、種々の用途に適合した導電性ゴムローラが実現される。さらに、ウレタンゴムローラは、導電性のシリコンゴムローラに変換されるので、高温処理で表面層を形成することも可能になる。さらに、耐熱性を有する導電性ゴムローラが実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は本発明による導電性ゴムローラを具える画像形成装置の一例を示す図である。感光ドラム1上に帯電ローラ2が配置され、感光ドラム1は所定の表面電位に帯電される。感光ドラム1は、矢印方向に回転し、画像光により露光されて静電潜像が形成され、この静電潜像は、現像装置3により現像される。現像装置3は、現像ローラ4を有し、静電潜像の電気的極性とは反対極性に帯電したトナーが感光ドラムに供給され、静電潜像にトナーが付着してトナー像が形成される。このトナー像は、同期して搬送される記録紙5側に転写され、トナー像を保持する記録紙は定着装置を経て外部に排出される。一方、感光ドラムは、イレーサランプにより除電され、クリーニング装置6により残留トナーが除去され、クリーンな状態に維持され1サイクルが終了する。本発明による導電性ゴムローラは、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、導電性駆動ローラ等の所望の導電率が必要な導電性ゴムローラに適用することが可能である。
【0018】
図2は本発明による導電性ゴムローラの一例を示す線図的断面図であり、図2Aはローラの全体を示す線図的断面図、図2Bは導電性ゴムローラの表面領域の構造形態を拡大して示す線図的断面図である。本発明による導電性ゴムローラは、金属のシャフト10を有し、シャフトの外周を導電性ゴム層11で被覆する。導電性ゴム層11の外周面には薄い導電性のシリコン被膜12を形成する。後述するように、本発明によるゴムローラは、ウレタンスポンジに導電性の液状シリコンを含浸させ、その後液状シリコンを加硫成型して導電性のシリコン被膜12を形成する。シリコン被膜12はウレタンスポンジの外周面だけでなく、ウレタンスポンジの内部の金属のシャフト10までつながった導電性被膜である。導電性のシリコン被膜12の外周面に、使用する導電性ローラの用途や目的に応じて、最適な導電性の表面層13をコーティングする。導電性の表面層の材料として、導電性のフッ素樹脂、導電性のフッ素系樹脂、導電性のナイロン樹脂、導電性のアクリル系樹脂を用いることができる。例えば、フッ素系樹脂として、フッ素含有オレフィン樹脂とアクリル系樹脂とを配合した樹脂組成物が用いられる。
【0019】
ウレタンスポンジに液状シリコンを含浸させた状態で加硫成型処理を行うことにより、液状シリコンはウレタンスポンジの内部に存在するだけでなく、ウレタンスポンジの外周面に存在する凹部内にも充填され、この状態で導電性シリコンゴム被膜に変成される。この際、シリコン皮膜の外周面は金型の表面精度に対応した平滑な被膜12が形成される。従って、シリコン被膜を形成することにより、ウレタンスポンジの凹凸ある表面は、平滑な導電性のローラ表面に変換される。
【0020】
さらに、ウレタンスポンジの内部に含浸された液状シリコンは、ウレタンスポンジの隔壁表面を被覆した状態で加硫されるので、ウレタンスポンジの隔壁(ゴムの構造体)は、薄いシリコンゴムで被覆された二重構造体に変成され、シリコンの耐熱性を有する連泡性のシリコンゴムとほぼ等価な弾性ゴム層に変換される。この結果、比較的耐熱性の低いウレタンスポンジ層は、シリコンの耐熱性にほぼ匹敵する耐熱性を有する弾性ゴム層11となる。この結果、表面層13が比較的高い温度条件下で形成される場合であっても、良好に形成することが可能になる。
【0021】
図3は本発明によるゴムローラの製造方法の工程を示すフローチャートである。初めに、中空円筒状のウレタンスポンジチューブを用意し、当該チューブを所定のローラ長に切断する(ステップ1)。或いは、ウレタンスポンジの原反から矩形の中空状のウレタンスポンジを切り出し、所定のローラ長に切断する。その後、外径研磨加工を行うことも可能である。
【0022】
次に、金属のシャフトを用意し、その外周面に接着剤を塗布する。接着剤が塗布されたシャフトを所定長のウレタンスポンジの内周に挿入してウレタンゴムローラを製造する(ステップ2)。この際、必要に応じて外径研磨加工を行う。ウレタンスポンジは、低硬度の弾性ゴムであるが、表面に無数の孔が存在するため、そのままでは、現像ローラや帯電ローラ等に使用することはできない。
【0023】
次に、ウレタンゴムローラのウレタンスポンジ層内に導電性の液状シリコンを含浸させる(ステップ3)。ウレタンスポンジは多数の空孔を有し、各空孔が相互に連通する連泡性ゴム材料であるから、ウレタンスポンジの外周面側から金属のシャフトの表面まで液状シリコンを含浸させることが可能である。液状シリコンを含浸させる方法として、例えばディピング法を用いることができ、或いは塗布ローラを用いてウレタンゴムローラの外周面側から液状シリコンを塗布することにより含浸させることも可能である。尚、導電性の液状シリコンとして各種の導電性液状シリコンを用いることができ、室温で加硫するRTV型の液状シリコンや110〜180℃で加硫するLTV型の液状シリコンを用いることができる。また、導電性の液状シリコンは、通常の液状シリコン中にカーボンブラックを混合することにより得られ、その導電率は、カーボンブラックの配合比率を制御することにより所望の導電率の導電性液状シリコンを得ることができる。
【0024】
次に、円筒状の金型を用意し、金型内に導電性液状シリコンが含浸されたウレタンゴムローラを装着する。続いて、当該金型をウレタンゴムローラと一体的に高速回転させる(ステップ4)。金型を高速回転することにより遠心力が作用し、ウレタンスポンジ内に含浸された液状シリコンが外周面側に材料移動する。そして、ウレタンスポンジの外周面の凹部内に液状シリコンが充填され、金型の内周面とウレタンスポンジ表面との間に薄い液状シリコンの膜が形成される。この際、気泡が形成されても、液状シリコンの材料移動によりウレタンスポンジの側面を介して外部に排出される。また、ウレタンスポンジの内部において、ウレタンスポンジの隔壁表面に導電性液状シリコンが薄い膜状に残存し、隔壁の表面は液状シリコン膜が形成された状態となる。
【0025】
次に、加硫成型処理を行い、液状シリコンをシリコンゴムに変成する(ステップ5)。加硫成型処理により、ウレタンスポンジの表面と金型の内周面との間に形成された液状シリコン膜は、薄い導電性のシリコン被膜に変成され、ウレタンゴムローラは、平滑なローラ表面を有する導電性ゴムローラに変換される。同時に、ウレタンスポンジの内部の隔壁表面に存在する液状シリコン膜も加硫されてシリコンゴム被膜となる。よって、ウレタンスポンジのほぼ全体が導電性シリコン被膜により被覆された導電性ゴムローラに変成される。この結果、低硬度の導電性ゴムローラが完成する。
【0026】
最後に、導電性の表面層をコーティングする(ステップ6)。導電性の表面層を形成する導電性材料として、導電性のフッ素樹脂、導電性のフッ素系樹脂、導電性のアクリル樹脂、導電性のナイロン樹脂を用いることができる。特に、フッ素樹脂及びフッ素系の樹脂は、高い潤滑性を有するので、現像ローラの表面層として好適である。或いは、導電性材料をコーティングする代わりに、フッ素樹脂チューブ等のチューブをかぶせることも可能である。
【0027】
本発明は上述した実施例だけに限定されず種々の変形や変更が可能である。本発明による導電性ゴムローラは、定着装置用の加圧ローラとして利用することも可能である。すなわち、導電性の液状シリコンを比較的大量に含浸させることにより、シリコンゴムが主体のゴムローラに変換され、シリコンゴムは優れた耐熱性を有するので、ヒートロール定着装置等の各種定着装置の加圧ローラとして利用することもできる。特に、導電性の加圧ローラとして実現されるので、加圧ローラに摩擦帯電が生じても、帯電電荷は直ちに逃散するので、良好な通紙性能が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明による加圧ローラを用いたヒートロール定着装置の構成を示す線図的断面図である。
【図2】本発明による加圧ローラの一例を示す線図的断面図である。
【図3】本発明によるゴムローラの製造方法の一連の工程を示すフロートチャートである。
【符号の説明】
【0029】
10 シャフト
11 導電性の弾性ゴム層
12 シリコン被膜
13 表面層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属のシャフトと、シャフトの外周に設けた導電性の弾性ゴム層と、弾性ゴム層上に形成され、加硫成型された導電性のシリコン被膜とを有し、
前記導電性の弾性ゴム層は、ウレタンゴムスポンジと、ウレタンゴムスポンジの隔壁の表面上に形成され、加硫された導電性のシリコン被膜とを含み、ゴム層全体として導電性ゴム層として形成されていることを特徴とする導電ゴム性ローラ。
【請求項2】
金属のシャフトと、シャフトの外周に設けた導電性の弾性ゴム層と、弾性ゴム層上に形成され、加硫成型された導電性のシリコン被膜と、導電性シリコン被膜上に形成した導電性の表面樹脂層とを有し、
前記導電性の弾性ゴム層は、ウレタンゴムスポンジと、ウレタンゴムスポンジの隔壁の表面上に形成され、加硫された導電性シリコン被膜とを含み、ゴム層全体として導電性ゴム層として形成され、
前記表面樹脂層は、導電性フッ素樹脂、導電性フッ素系樹脂、導電性ナイロン樹脂、又は導電性アクリル樹脂から選択した導電性樹脂材料で構成したことを特徴とする導電ゴム性ローラ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の導電性ゴムローラにおいて、当該導電性ゴムローラは、感光ドラム上に形成された静電潜像を現像するための現像ローラ、感光ドラム上に形成されたトナー像を記録紙上に転写するための転写ローラ、感光ドラム表面を所定の電位に帯電する帯電ローラ、定着装置用の加圧ローラ、又は導電性の駆動ローラとして用いられることを特徴とする導電性ゴムローラ。
【請求項4】
金属とシャフトと、その外周に形成した導電性の弾性ゴム層とを有する導電性ゴムローラを製造するに当たり、
中空状の連泡性のウレタンスポンジゴムのチューブを所定の寸法に切断する工程と、
ウレタンスポンジゴムのチューブの内周に金属のシャフトを挿入してウレタンスポンジゴムローラを製造する工程と、
ウレタンスポンジゴムの外周面側からウレタンスポンジゴムの内部に導電性の液状シリコンを含浸させる工程と、
導電性の液状シリコンが含浸されたウレタンスポンジゴムローラを円筒状の金型内に装着する工程と、
前記ウレタンスポンジゴムローラをローラ軸線の周りで回転させて、含浸された導電性の液状シリコンを外周面側に材料移動させる工程と、
前記ウレタンゴムローラを前記金型内に装着した状態で加硫成型処理を行い、前記ウレタンゴムローラを、外周面に加硫成型された導電性シリコン被膜が形成され、平滑な外周面を有する導電性ゴムローラに変換することを特徴とする導電性ゴムローラの製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の導電性ゴムローラの製造方法において、前記加硫成型処理を行った後、前記導電性シリコン被膜上に導電性樹脂をコーティングし、又は導電性チューブを装着する工程を具えることを特徴とする導電性ゴムローラの製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の導電性ゴムローラの製造方法において、前記導電性樹脂層として、導電性フッ素樹脂層、導電性フッ素系樹脂層、導電性アクリル系樹脂層、又は導電性ナイロン樹脂層を形成することを特徴とする導電性ゴムローラの製造方法。
【請求項7】
金属とシャフトと、その外周に形成した導電性の弾性ゴム層とを有し、感光体に形成された静電潜像を現像する現像ローラを製造するに当たり、
中空円筒状の連泡性のウレタンスポンジゴムのチューブを所定の寸法に切断する工程と、
ウレタンスポンジゴムのチューブの内周に金属のシャフトを挿入してウレタンゴムローラを製造する工程と、
ウレタンスポンジゴムの外周面側からウレタンスポンジの内部に導電性の液状シリコンを含浸させる工程と、
導電性の液状シリコンが含浸されたウレタンゴムローラを円筒状の金型内に装着する工程と、
前記ウレタンゴムローラをローラ軸線の周りで回転させて、含浸された導電性の液状シリコンを外周面側に材料移動させる工程と、
前記ウレタンゴムローラを前記金型内に装着した状態で加硫成型処理を行い、前記ウレタンゴムローラを、導電性のシリコン被膜が形成され、平滑な外周面を有する導電性ゴムローラに変換する工程と、
前記導電性シリコン被膜上に導電性のフッ素樹脂層を形成し、又は導電性フッ素樹脂チューブを装着する工程とを具えることを特徴とする現像ローラの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−157136(P2009−157136A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−335633(P2007−335633)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(591221167)ミツマ技研株式会社 (17)
【Fターム(参考)】