説明

導電性シリカ粒子、その製造方法およびその用途

【課題】本発明は、粒子径の単分散性が高く、優れた導電性を示すことが可能な導電性シリカ粒子を提供する。また、そのような導電性シリカ粒子の効率的な製造方法を提供する。さらに、該導電性シリカ粒子を含有する導電性被膜形成用組成物または導電性フィルムを提供する。
【解決手段】本発明の導電性シリカ粒子は、球状シリカ粒子表面に金属含有コロイド粒子が担持されてなり、画像解析法により測定される平均粒子径(D2)が0.5μm〜10μmの範囲にあり、粒子径変動係数(CV値)が5%以下の範囲にあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な導電性シリカ粒子とその製造方法に関する。また、本発明は、該導電性シリカ粒子を含有する導電性被膜形成用組成物および導電性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子回路基板などに適用される導電性シリカ粒子としては、金、銀、ニッケルなどの金属粒子を含有した導電性シリカ粒子が用いられることがあったが、形状が不均一であったり、バインダー樹脂に比べて比重が大きく導電性ペースト中で沈降したり均一に分散させることが困難であるため、接続の信頼性に欠けるという問題があった。
【0003】
上記問題点を解決するため、シリカ微粒子(例えば、特許文献1参照)あるいは樹脂微粒子(例えば、特許文献2参照)に金属メッキ層を設けた導電性微粒子が提案されている。同様に有機質または無機質の芯材に微細な金属含有コロイド粒子を被覆した導電性粉末が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
しかしながら、このような粒子には、以下の(1)〜(7)ような問題点があった。
(1)芯材が硬すぎるため電極を破損する。(2)圧縮変形しないために接触面積が小さく、接触抵抗を低減させることが困難である。(3)熱プレス時に電極に埋まる。(4)金属メッキ層と芯材との熱膨張係数が異なるために金属メッキ層と芯材とが剥離したり、間隙を生じることがある。(5)柔らかすぎて電極間距離を一定に保つことが困難な場合がある。(6)接続後圧力解放した際に経時的に反作用で導電性シリカ粒子と電極間に隙間が生じて断線することがある。(7)粒子表面が金属層であるために高密度の回路の形成や端子の接続には横導通を生じる。
【0005】
特許文献4には、シリカ表面上にケイ素系高分子化合物層、ニッケル層及び金層が順次形成されてなることを特徴とする導電性シリカに関する発明が開示されている。また、そのような導電性シリカの製造方法として、以下の(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とする製造方法が開示されている。
【0006】
(1)シリカ粉体を、還元性を有するケイ素系高分子化合物で処理し、シリカの表面に該ケイ素系高分子化合物の層を形成する第1工程、(2)第1工程で得られた粉体を標準酸化還元電位0.54V以上の金属からなる金属塩を含む溶液で処理し、上記シリカ表面のケイ素系高分子化合物層上に該金属コロイドを析出させる第2工程、(3)上記金属コロイドを触媒として無電解ニッケルメッキを行い、上記ケイ素系高分子化合物層表面に金属ニッケル層を形成する第3工程、(4)更に金メッキを行い、上記金属ニッケル層上に金層を形成する第4工程。
【0007】
特許文献5には、母体粒子全面に、化学結合により結着してなる実質上球状および/または球冠状の突起物をもつシリカ系粒子と、その表面に形成された導電性被覆層とを有することを特徴とする導電性シリカ系粒子に関する発明が開示されており、特に該導電性被覆層が無電解メッキ法により形成されたものであることが記載されている。また、担体表面に金属含有コロイド粒子を担持させる方法として、幾つかの方法が提案されている。
【0008】
担体物質上に金属を含むコロイド粒子が担持してなる触媒の製造方法として、代表的なもののひとつとして、多孔質の金属酸化物からなる担体にジニトロジアンミン白金や塩化白金酸、硝酸ロジウムといった金属塩溶液を含浸させ、還元雰囲気中で焼成する方法が知られている。また、前記多元系触媒についても、担持する複数の金属塩の溶液を調製し、
これに担体を混合して複数の金属イオンを担体上に吸着させた、そして乾燥、焼成してなる製造方法が知られている。
【0009】
特許文献6には、上記の製造方法も含めた担体物質上に金属を含むコロイド粒子を担持してなる触媒の製造方法において、金属酸化物などから成る微小な担体粒子の表面に、触媒活性をもつ微小な金属粒子を析出させる方法が開示されている。前記金属粒子を析出させる方法は、以下の(1)〜(3)の工程からなる。
【0010】
(1)前記担体を合成する少なくとも一つの原料の吸収バンドに合致する波長を含む光を、前記原料に照射し前記担体粒子を析出させる工程、(2)析出した前記担体粒子と触媒活性をもつ前記金属粒子を析出するための前記原料とに、同時に、前記原料の吸収バンドに合致する波長を含む光を照射し、前記金属粒子を前記担体粒子の表面に析出させる工程、(3)析出した前記金属粒子を選別補収する工程。
【0011】
特許文献7には、金属粒子及び/又は金属化合物粒子が該粒子を実質的に個々に且つ別々に保護する数平均分子量が3,000〜300,000の有機高分子化合物と共に固体担体に吸着担持されてなり、該高分子化合物及び該固体担体の少なくとも一方が、共有結合を形成して両者間に化学結合を作るべく作用し得る官能基を有さないことを特徴とする金属粒子及び/又は金属化合物粒子担持複合体が開示されている。また、それらの製造方法として、以下の(1)〜(5)からなる製造方法が開示されている。
【0012】
(1)金属粒子及び/又は金属化合物粒子を分散媒中に分散させてコロイド粒子を形成する。(2)保護コロイド粒子作用を持つ数平均分子量が3,000〜300,000の有機高分子化合物が該粒子に吸着して保護コロイド粒子として該粒子を実質的に個々に且つ別々に保護してなるコロイド粒子分散液を調製する。(3)該コロイド粒子分散液と固体担体とを接触させる。(4)該有機高分子化合物で保護された該粒子が該固体担体に吸着されてなる粒子担持複合体を形成する(ただし、該有機高分子化合物および該固体担体の少なくとも一方が、共有結合を形成して両者間に化学結合を作るべく作用し得る官能基を有さない。)。(5)得られた粒子担持複合体を該分散媒から単離する。
【0013】
特許文献8には、高分散金属コロイド粒子担持触媒の製造方法として、以下の(1)〜(3)からなる製造方法が開示されている。
(1)金属含有イオン及び該金属含有イオンの還元により生成する金属粒子が担持される担体を含む溶液中にプロパルギルアルコールを加える。(2)該金属含有イオンとプロパルギルアルコールとの反応物を該担体上に担持する。(3)該担体を、水素ガスを含有する還元性ガス中で熱処理して、該担体上の金属含有イオンとプロパルギルアルコールとの反応物を金属コロイド粒子に還元する。
【0014】
特許文献9には、以下の(1)または(2)の金属コロイド粒子を表面に付着させた金属コロイド粒子付着担体の製造方法が開示されている。
(1)担体となる固体物質の存在下、金属の化合物またはイオンを含有し、還元能を有する液体または還元物質を溶解した液体に、マイクロ波を照射させることを特徴とする製造方法。(2)金属の化合物またはイオンを含有し、還元能を有する液体または還元物質を溶解した液体に、マイクロ波を照射させた後に、担体となる固体物質を存在させることを特徴とする製造方法。
【0015】
特許文献10には、周期表第4周期から第6周期の2B族、3B族、4B族、5B族、6B族及び第4周期8族の少なくとも1種の第二元素と金とを含有する金属粒子が担体上に担持された金属粒子担持体が開示されている。また、その製造方法として金及びその化合物の少なくとも1種ならびに、第二元素及びその化合物の少なくとも1種を含む担体を
熱処理することを特徴とする製造方法が開示されている。
【0016】
特許文献11には、金属又は金属酸化物が窒化アルミニウムからなる担体に保持された金属触媒の製造方法として、以下の(1)〜(3)を含むことを特徴とする製造方法が開示されている。
【0017】
(1)窒化アルミニウム粒子を空気又は酸素存在下で焼成させ、当該窒化アルミニウム粒子の表面に酸化アルミニウム層を形成する。(2)酸化アルミニウム層が形成された窒化アルミニウム粒子を、金属イオン又は金属粒子を含む水溶液に含浸させた後、乾燥させることにより、窒化アルミニウム担体に金属触媒を保持させる。(3)得られた窒化アルミニウム担体を空気又は酸素存在下で焼成する。
【0018】
特許文献12には、以下の(1)〜(3)の工程を含む触媒の製造方法が開示されている。
(1)1種又は2種以上の遷移金属の金属塩を含む金属塩溶液を製造する工程、(2)前記金属塩溶液と、有機物と、1種又は2種以上の金属酸化物からなる多孔質担体とを、溶媒に分散させ、原子数10〜50000の1種又は2種以上の遷移金属イオンと、前記遷移金属イオンに結合する有機物とからなる複合錯体を形成しつつ、該複合錯体を該多孔質担体上に担持させる工程、(3)前記複合錯体が担持された担体を焼成する工程。
【0019】
これら従来の製造方法では、焼成工程またはメッキ工程など煩雑な工程を経る必要があった。
特許文献13には、以下の(1)および(2)の製造方法が開示されている。
【0020】
(1)PtイオンまたはAuイオンの存在下、平均粒子径1〜100nmの白金コロイドをゼオライトに担持させる白金コロイド担持ゼオライトの製造方法。(2)ゼオライトの懸濁液(ゼオライト固形分100重量部)に、PtイオンまたはAuイオンを金属元素換算で5〜90重量部加え、15〜40℃で混合し、そこに平均粒子径1〜100nmの白金コロイドを金属元素換算で10〜120重量部添加し、15〜40℃で混合する白金コロイド担持ゼオライトの製造方法。この白金コロイド担持ゼオライトは、燃料電池の電極触媒用の材料として用いられる。
【特許文献1】特開昭59−28185号公報
【特許文献2】特公平7−95165号公報
【特許文献3】特公平6−96771号公報
【特許文献4】特開2001−23435号公報
【特許文献5】特開2003−212534号公報
【特許文献6】特開昭61−268359号公報
【特許文献7】特開平5−293383号公報
【特許文献8】特開平6−31181号公報
【特許文献9】特開2003−13105号公報
【特許文献10】特開2003−53188号公報
【特許文献11】特開2003−144933号公報
【特許文献12】特開2005−270883号公報
【特許文献13】特開2007−90307号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
シリカ粒子表面に金属を担持する際、上記問題点の他に以下のような問題点があった。
シリカ粒子表面に金属を担持する方法として、無電解メッキ法が知られている。その中でも、プライマー層としてニッケル層を形成し、その上に無電解メッキ法で金属層を形成
する方法が多用されている。しかしながら、無電解メッキ法では、平均粒子径2μm以下のシリカ粒子の場合、シリカ粒子表面にプライマー層としてニッケル層が均一に担持されない傾向があるため、さらにその上に無電解メッキ法で担持される金属層にはムラが生じやすくなる。この結果、導電性の発現が不安定で、粒子径分布の不均一な金属担持シリカ粒子が生成することが多いという問題があった。
【0022】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、粒子径の単分散性が高く、優れた導電性を示すことが可能な導電性シリカ粒子を提供することを目的とする。また、そのような導電性シリカ粒子の効率的な製造方法を提供することを目的とする。
【0023】
さらに、該導電性シリカ粒子を含有する導電性被膜形成用組成物または導電性フィルムに関する製造する方法およびこの方法により得られた導電性被膜形成用組成物または導電性フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の導電性シリカ粒子は、球状シリカ粒子表面に金属含有コロイド粒子が担持されてなり、画像解析法により測定される平均粒子径(D2)が0.5μm〜10μmの範囲にあり、粒子径変動係数(CV値)が5%以下の範囲にあることを特徴とする。
【0025】
また、前記金属含有コロイド粒子の画像解析法により測定される平均粒子径が2〜200nmの範囲にあり、前記金属含有コロイド粒子が、前記球状シリカ粒子表面に単位面積(m2)当り5×104〜5×1011個存在することが好ましい。
【0026】
また、本発明の導電性シリカ粒子は、BET法により測定される比表面積(SA1(m2/g))と、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)から算出された比表面積
(SA2(m2/g))との比((SA1)/(SA2))が、1.0〜1.4の範囲に
あることが好ましい。
【0027】
また、本発明の導電性シリカ粒子は、前記金属含有コロイド粒子を5〜90質量%含有していることが好ましい。
さらに、前記金属含有コロイド粒子を構成する金属が、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、AuおよびPtからなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0028】
また、本発明の導電性シリカ粒子は、体積抵抗値が1×10-6〜2×103Ω・cmの
範囲にあり、10%圧縮弾性率が200〜400N/mm2 の範囲にあることが好ましい。
【0029】
本発明の導電性シリカ粒子の製造方法は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、PbおよびBiからなる群より選ばれる1種以上の金属のイオンの存在下、下記条件(I
)および(II)を満たす球状シリカ粒子表面に下記条件(III)を満たす金属含有コロイ
ド粒子を担持する工程(A)を含むことを特徴とする。
(I)球状シリカ粒子の画像解析法により測定される平均粒子径が0.5μm〜10μm
の範囲にある。
(II)球状シリカ粒子の粒子径変動係数(CV値)が5%以下の範囲にある。
(III)金属含有コロイド粒子の画像解析法により測定される平均粒子径が2〜200n
mの範囲にある。
【0030】
さらに、前記工程(A)が、下記工程(a)および工程(b)を含むことが好ましい。工程(a):前記球状シリカ粒子の懸濁水と、前記球状シリカ粒子100質量部に対して3〜100質量部の前記金属を含む、金属および/または金属化合物とを混合することにより、上記金属のイオンを含む混合液を調製する工程。
工程(b):工程(a)で得られた混合液と、前記球状シリカ粒子100質量部に対して10〜900質量部の前記金属含有コロイド粒子とを、温度15〜40℃で混合する工程。
【0031】
本発明の前記導電性シリカ粒子は、導電性被膜形成用組成物、導電性フィルムなどに好適に用いることができる。
なお、特許文献13には、粒子径変動係数(CV値)が5%以下の範囲にある導電性シリカ粒子については記載されていない。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る製造方法によれば、焼成工程あるいはメッキ工程などを経ることなく、簡易に導電性シリカ粒子を得ることができる。また、本発明に係る製造方法によれば、粒子径分布の狭い導電性シリカ粒子を得ることができる。
【0033】
さらに、本発明に係る導電性シリカ粒子は、優れた導電性及び圧縮弾性率を示し、導電性被膜形成用組成物または導電性フィルムの成分として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
[導電性シリカ粒子]
本発明において、導電性シリカ粒子とは、球状シリカ粒子表面に金属含有コロイド粒子が担持されてなる金属含有コロイド粒子担持球状シリカ粒子である。
【0035】
本発明の導電性シリカ粒子は、球状シリカ粒子表面に金属含有コロイド粒子が担持されてなる導電性シリカ粒子であって、該導電性シリカ粒子の画像解析法により測定される平均粒子径(D2)が0.5μm〜10μmの範囲にあり、粒子径変動係数(CV値)が5%以下の範囲にあることを特徴としている。
【0036】
前記導電性シリカ粒子は、球状シリカ粒子の表面に画像解析法により測定される平均粒子径が2〜200nmの範囲にある金属含有コロイド粒子が担持されたものであり、該金属含有コロイド粒子が、前記球状シリカ粒子表面に単位面積(m2)当り5×104〜5×1011個存在することが好ましい。
【0037】
このような導電性シリカ粒子は、前記球状シリカ粒子表面に金属含有コロイド粒子が充分に分散して担持している上に、導電性シリカ粒子自体の粒子径分布が極めて狭いため、実用的な導電性を示す。また、該導電性シリカ粒子をタッチパネルまたは液晶表示装置等のギャップ調整剤の用途に適用した場合、粒子径分布が狭いことによりタッチパネルまたは液晶表示装置等の応答速度が速くなる等の効果が現れ易くなる。
【0038】
また、本発明の導電性シリカ粒子は、後述するように、極めて実用的な製造方法により得ることができる。該製造方法は、例えば、従来の無電界メッキ法に比べて、コスト及び工程の煩雑さなどの点で改善されている。
【0039】
前記導電性シリカ粒子の画像解析法により測定される平均粒子径は、通常0.5〜10μmの範囲であり、好ましくは0.8〜8μmの範囲であり、より好ましくは1.0〜7.0μmの範囲にある。
【0040】
前記導電性シリカ粒子の画像解析法により測定される平均粒子径が0.5μm未満の場合は、金属含有コロイド粒子と原料となる球状シリカ粒子の大きさが近似するため、金属含有コロイド粒子を球状シリカ粒子の表面に担持させるには不向きになる。また、前記導電性シリカ粒子の画像解析法により測定される平均粒子径が10μmを超える場合は、導電性シリカ粒子の調製に支障はないが、10μmを越える導電性シリカ粒子を必要とする実用的な用途が少ない。
【0041】
前記導電性シリカ粒子の粒子径変動係数(CV値)は、通常5%以下の範囲であり、好ましくは3%以下の範囲であり、より好ましくは2%以下の範囲である。下限は、通常0.1%程度である。
【0042】
前記導電性シリカ粒子の粒子径変動係数(CV値)が前記範囲にあることにより、導電性シリカ粒子をタッチパネルまたは液晶表示装置等のギャップ調整剤の用途に適用した場合、粒子径分布が狭いことにより応答速度が速くなる等の効果が現れ易くなる。
【0043】
前記導電性シリカ粒子の粒子径変動係数を0.1%未満とすることは、現在の技術上困難である。
一方、前記導電性シリカ粒子の粒子径変動係数が5%を超える場合は、基材とのギャップ調整剤としての機能が乏しく、応答速度が遅くなり、回路の短絡(ショート)等の問題が生じ易くなる。
【0044】
前記導電性シリカ粒子において、球状シリカ粒子の表面に担持された金属含有コロイド粒子の個数は、球状シリカ粒子の表面の単位面積(m2)当り、5×104〜5×1011個の範囲で存在することが好ましく、5×105〜5×1010個の範囲で存在することがよ
り好ましく、5×106〜5×1010個の範囲で存在することがさらに好ましい。
【0045】
金属含有コロイド粒子の個数が前記範囲で存在することにより、前記導電性シリカ粒子は優れた導電性が得られる傾向にある。
金属含有コロイド粒子の個数が5×104個未満の場合は、球状シリカ粒子表面に、金
属含有コロイド粒子が充分コートされていない状態であるため、導電性が発現されにくい場合がある。
【0046】
また、金属含有コロイド粒子の個数が5×1011個を超える場合は、金属含有コロイド粒子の個数が過剰であるため金属含有コロイド同士が接触し凝集形態をとる場合がある。
前記金属含有コロイド粒子の画像解析法により測定される平均粒子径は、通常2〜200nmの範囲であり、好ましくは2〜100nmの範囲であり、より好ましくは2〜80nmの範囲である。
【0047】
金属含有コロイド粒子の画像解析法により測定される平均粒子径が前記範囲にあると、金属含有コロイド粒子が充分に分散した状態で球状シリカ粒子表面に担持される傾向にある。
【0048】
一方、金属含有コロイド粒子の画像解析法により測定される平均粒子径が2nm未満の金属含有コロイド粒子は製造することが困難であり、金属含有コロイド粒子の画像解析法により測定される平均粒子径が200nmを超えると、球状シリカ粒子表面に充分に分散した状態で担持されないことがある。
【0049】
前記導電性シリカ粒子においては、球状シリカ粒子の表面に金属含有コロイド粒子が分散して担持されているため、その外形は、一定の凸部を有した球状と見做すことができる。
【0050】
したがって、BET法により測定される前記導電性シリカ粒子の比表面積(単位質量当りの表面積)の値を(SA1(m2/g))とし、画像解析法により測定された平均粒子
径(D2)から換算される前記導電性シリカ粒子の比表面積の値を(SA2(m2/g)
)としたとき、両比表面積の比((SA1)/(SA2))が通常1.00〜1.40の範囲であり、好ましくは1.00〜1.35の範囲であり、より好ましくは1.00〜1.32の範囲である。
【0051】
両比表面積の比((SA1)/(SA2))が前記範囲にある場合、球状シリカ粒子表面に均一に金属含有コロイド粒子が分散して担持される。
両比表面積の比((SA1)/(SA2))が1.0未満の場合は、金属含有コロイド粒子の担持度合いが低く、良好な体積抵抗値が得られないことがある。
【0052】
一方、両比表面積の比((SA1)/(SA2))が1.4を越える場合は、金属含有コロイドが担持されない場合があり、金属含有コロイドが凝集して担持された形態となる場合がある。
【0053】
BET法とは、前記導電性シリカ粒子表面への窒素吸着量から、前記導電性シリカ粒子の比表面積(SA1(m2/g))を求める方法である。なお、BET法に代えてシアー
ズ法によって測定しても構わない。
【0054】
一方、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)から換算される前記導電性シリカ粒子の比表面積(SA2(m2/g))とは、試料シリカゾル(濃度:1〜20質量%
、溶媒:水)に分散する前記導電性シリカ粒子を理想的な球状粒子と仮定して、下記式(1)より算定される比表面積である。
【0055】
SA2=6000/(D2×ρ) ・・・ (1)
SA2:シリカ粒子の比表面積(m2/g)
D2:シリカ粒子の平均粒子径(nm)
ρ:シリカの密度(g/cm3
上記式(1)において、画像解析法により測定されたシリカ粒子の平均粒子径(D2)とは、透過型電子顕微鏡により、試料シリカゾルを倍率25万倍で写真撮影して得られる写真投影図において、任意の50個の粒子を選び、それら粒子の最大径(DL)の平均値である。
【0056】
前記導電性シリカ粒子において、球状シリカ粒子の配合割合は、通常10〜95質量%であり、好ましくは20〜85質量%であり、より好ましくは30〜80質量%である。一方、金属含有コロイド粒子の配合割合(酸化物換算)は、通常5〜90質量%であり、好ましくは15〜80質量%であり、より好ましくは20〜70質量%である。ただし、球状シリカ粒子と金属含有コロイド粒子との配合割合の合計は100質量%である。
【0057】
金属含有コロイド粒子の配合割合が5質量%未満の場合は、シリカ粒子に充分コートされていない状態であるため、導電性が発現されにくい場合がある。一方、金属含有コロイド粒子の配合割合が90質量%を超える場合は、金属含有コロイド粒子が多いため、金属含有コロイド粒子同士が接触し凝集形態をとる場合がある。
【0058】
金属含有コロイド粒子は、通常、水または有機溶媒に分散した状態の金属含有コロイド粒子分散液の状態で使用される。金属含有コロイド粒子分散液における金属含有コロイド粒子の濃度は特に限定されないが、たとえば0.01重量%以上が好ましい。
【0059】
本発明で用いられる金属含有コロイド粒子は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、AuおよびPtからなる群より選択される1種以上の金属を含有することが好ましく、Cu、Pd、Ag、AuおよびPtからなる群より選択される1以上の金属を含有することがさらに好ましく、Pd、Ag、AuおよびPtからなる群より選択される1以上の金属を含有することが特に好ましい。
【0060】
前記金属含有コロイド粒子は、通常、単体金属または金属化合物からなる。前記金属化合物としては、合金、金属酸化物、金属水酸化物などが挙げられる。前記単体金属としては、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、AuまたはPt等が挙げられ、好ましくはCu、Pd、Ag、AuまたはPtであり、さらに好ましくはPd、Ag、AuまたはPtである。前記合金としては、Ag-Pd、Au-Pd、Au-Pt、Pd-Cu等が挙げられ、好ましくはAg-Pd
、Au-Pd、Au-Ptである。前記金属酸化物としては、RuO、RuO2、PdO2、CuO等が挙げられる。
【0061】
本発明で用いられる金属含有コロイド粒子としては、分散液中で金属含有コロイド粒子の平均粒子径が2〜200nmの範囲となるよう容易に調製することができる傾向がある点で、前記単体金属、前記合金または前記金属化合物が好ましい。
【0062】
本発明では、前記金属含有コロイド粒子を含む金属含有コロイド粒子分散液が使用される。
このような金属含有コロイド粒子分散液の調製方法としては、特に制限されないが、通常、金属の塩、アルコキシドまたは錯体を還元処理、加水分解処理などの調製方法が挙げられる。
【0063】
本発明の導電性シリカ粒子の体積抵抗値は、好ましくは1×10-6〜2×103Ω・c
mの範囲であり、より好ましくは5×10-6〜1×102Ω・cmの範囲であり、さらに
好ましくは5×10-6〜1×101Ω・cmの範囲である。導電性シリカ粒子の体積抵抗
値が、前記範囲内であると、後述するバインダーと混合しても優れた導電性を発現する点で好ましい。
【0064】
本発明の導電性シリカ粒子の10%圧縮弾性率は、好ましくは200〜400N/mm2の範囲であり、より好ましくは200〜380N/mm2の範囲であり、さらに好ましくは200〜350N/mm2の範囲である。
【0065】
導電性シリカ粒子の10%圧縮弾性率が、前記範囲内であると、液晶セルを作成するために充分な荷重をかけてもガラス基材が破壊されにくい点で好ましい。
[導電性シリカ粒子の製造方法]
本発明の導電性シリカ粒子の製造方法は、金属のイオンの存在下、下記条件(I)およ
び(II)を満たす球状シリカ粒子表面に下記条件(III)を満たす金属含有コロイド粒子
を担持する工程(A)を含むことを特徴としている。
(I)画像解析法により測定される平均粒子径が0.5μm〜10μmの範囲にある、
(II)粒子径変動係数(CV値)が5%以下の範囲にある、
(III)画像解析法により測定される平均粒子径が2〜200nmの範囲にある。
【0066】
<金属イオン源>
本発明に係る製造方法において、前記金属のイオンとしては、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、
Au、Hg、Tl、PbおよびBiからなる群より選ばれる1種以上の金属のイオンであることが好ましい。
【0067】
前記金属のイオンを用いると、粒子径変動係数(CV値)が5%以下の導電性シリカ粒子が得られる傾向にある。
また、前記金属のイオンのうち、Ptイオン、Auイオン、Snイオン、Pdイオン、Niイオン、Znイオンが特に好ましい。ここで、Ptイオンについては、Pt2+、Pt4+、Pt6+のいずれでも構わなくまた、ハロゲン化物イオンや窒素酸化物、硫化物等との錯体を形成していても良い。
【0068】
前記金属イオンを生成可能な化合物としては、ハロゲン化物塩、硫酸塩、亜硫酸塩、次亜硫酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、アンモニウム塩、シアン塩、硫化物塩等で金属がイオンを形成するものであれば特に制限されない。前記イオンは錯イオンであってもよい。これらの金属化合物は、1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0069】
また、本発明の導電性シリカ粒子の製造方法においては、前記工程(A)が、下記工程(a)および工程(b)を含むこと好ましい。
工程(a):前記球状シリカ粒子の懸濁水と、前記球状シリカ粒子100質量部に対して3〜100質量部の前記金属を含む、金属および/または金属化合物とを混合することにより、前記金属のイオンを含む混合液を調製する工程、
工程(b):工程(a)で得られた混合液と、前記球状シリカ粒子100質量部に対して10〜900質量部の前記金属含有コロイド粒子とを、温度15〜40℃で混合する工程。
【0070】
前記金属のイオンの含有量は、球状シリカ粒子100重量部に対して金属原子換算で3〜100重量部が好ましく、5〜80重量部がより好ましい。
前記金属のイオンの含有量が3重量部未満になると、金属含有コロイド粒子を添加しても担体物質に対して担持した効果が充分に得られず、また100重量部を超えると前記担持した効果のさらなる向上が得られず、経済的に好ましくない。
【0071】
上記範囲の量の金属イオンを上記球状シリカ粒子の懸濁水中に含有させるためには、金属原子換算で上記範囲の量の金属イオンを含む溶液を上記球状シリカ粒子の懸濁水に添加しても良いし、あるいは、金属原子換算で上記割合の金属イオンを形成し得る量の金属化合物を、上記球状シリカ粒子の懸濁水に添加して懸濁水中で金属イオンを発生させてもよい。
【0072】
例えば、白金化合物または金化合物は、通常溶媒に溶解して、前記懸濁水に添加される。
金属イオンを含む溶液に用いられる溶媒は、金属化合物との反応性を示さず、金属化合物を溶解できるものであれば特に限定されない。
【0073】
このような溶媒としては、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルイソカルビノールなどのアルコール類;アセトン、2−ブタノン、エチルアミルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、3,4−ジヒドロ−2H−ピランなどのエーテル類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテートなどのグリコールエーテルアセテート類;酢酸メチル、酢酸エ
チル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、エチレンカーボネートなどのエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、iso−オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、1,2−ジクロルエタン、ジクロロプロパン、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドンなどのピロリドン類などを挙げることができる。
【0074】
球状シリカ粒子の懸濁水に、金属イオンを含む溶液あるいは金属化合物を添加する際の温度は、15〜40℃が好ましく、15〜25℃がより好ましい。15℃未満では充分に金属含有コロイド粒子を担持できないことがあり、40℃を超えても担持効率のさらなる向上が見られない場合があるため、経済的に好ましくない。また、上記添加後、上記範囲の温度に保持しながら懸濁液を攪拌して充分に混合することが好ましい。
【0075】
固体状の金属化合物を添加した場合には、金属化合物が充分に溶解してイオンが生成するまで攪拌などの操作を充分に行なう必要がある。
本発明では、金属イオンの存在下で、球状シリカ粒子の懸濁水に金属含有コロイド粒子を混合することにより、上記イオンが存在しない場合に比べて金属含有コロイド粒子を良好に担持することができる。これは、球状シリカ粒子を構成する成分、特に球状シリカ粒子表面に、金属イオンが吸着して、球状シリカ粒子表面に一種のプライマー層が形成され、そのプライマー層の作用、すなわち、金属含有コロイド粒子と金属イオンとの間で吸着反応が起こることによると推定される。なお、これらの金属イオンについては、未反応の金属含有コロイド粒子などとともに、洗浄により除去することが望ましい。またこれらの金属含有コロイド粒子を担持する場合、目的に応じて繰り返し担持を行って積層させてもよい。
【0076】
<原料となる球状シリカ粒子>
本発明において、金属含有コロイド粒子が担持される担体となる球状シリカ粒子としては、公知のシリカ粒子を使用することができる。球状シリカ粒子の製造方法についても格別に限定されるものではない。例えば、以下の(1)〜(4)の製造方法などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0077】
(1)水溶性珪酸塩を脱アルカリすることにより得られる珪酸液をアルカリ存在下で加熱することにより珪酸を重合する工程を含むシリカ粒子の製造方法、(2)核粒子分散液に酸性珪酸液を添加することにより、核粒子の粒子成長を行うシリカ粒子の製造方法、(3)珪酸塩を酸で中和して得られるシリカヒドロゲルを洗浄して、塩類を除去し、アルカリを添加した後、加熱することによりシリカヒドロゲルを解膠する工程を含むシリカ粒子の製造方法、(4)加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解して、得られた珪酸を重合する工程を含むシリカ粒子の製造方法。
【0078】
なお、本発明の導電性シリカ粒子の用途に応じて、導電性シリカ粒子中の不純物が少ないことが求められる場合がある。その場合、前記球状シリカ粒子としては、前記(1)〜(3)の製造方法により調製されたシリカ粒子であって、高純度化処理を行ったシリカ粒子、あるいは前記(4)の製造方法で調製されたシリカ粒子が好ましい。
【0079】
球状シリカ粒子に担持される金属含有コロイド粒子の画像解析法により測定される平均粒子径が2〜200nmの範囲にあるので、担体となる球状シリカ粒子の画像解析法により測定される平均粒子径が0.5〜10μmの範囲であることが、担持する上でも、導電性シリカ粒子として使用する上でも好適である。前記球状シリカ粒子の画像解析法により測定される平均粒子径は、より好ましくは0.8〜8μmであり、さらに好ましくは1.0〜7.0μmである。
【0080】
球状シリカ粒子の画像解析法により測定される平均粒子径が0.5μm未満の場合は、金属含有コロイド粒子と球状シリカ粒子の大きさが近似するため、金属含有コロイド粒子の担持には不向きになる場合がある。また、球状シリカ粒子の画像解析法により測定される平均粒子径が10μmを超える場合は、導電性シリカ粒子の調製には支障がないが、実用上、10μmを越える導電性シリカ粒子を必要とする用途が極めて少ない。
【0081】
さらに前記球状シリカ粒子の粒子径変動係数は、通常5%以下の範囲であり、好ましくは3%以下の範囲であり、より好ましくは2%以下の範囲である。下限は、通常0.1%程度である。
【0082】
前記球状シリカ粒子の粒子径変動係数が前記範囲内であると、前記球状シリカ粒子表面に金属含有コロイド粒子が担持されてなる導電性シリカ粒子をタッチパネルまたは液晶表示装置等のギャップ調整剤の用途に適用した場合、粒子径分布が狭いことによりタッチパネルまたは液晶表示装置等の応答速度が速くなる等の効果が現れ易くなる。
【0083】
このようなシリカ粒子を分散質としたシリカゾルの製造方法については、次の(1)〜(4)の製造方法が挙げられ、必要に応じて分級工程を併用してもよい。
(1)金属酸化物あるいは金属水酸化物がシードとして分散された水−アルコール系分散液に、このような分散液をアルカリ性に保ちながら、金属アルコキシドを添加して加水分解し、分散液中に含まれているシード上に金属アルコキシド分解生成物を付着させて粒子成長を行わせる方法(特開昭62−275005号公報)。
(2)シード粒子が分散された水−有機溶媒系分散液にテトラエトキシシランを添加して、このテトラエトキシシランを、下記式〔I〕で示されるアルコキシシランの共存下で加水分解し、分散液中のシード粒子上にシリカを付着させて粒子成長を行わせる方法(特開平3−218915号)。
(CH3 O)n ・(C2 5 O)4-n ・Si・・・〔I〕 (式中、nは1〜4である。)
(3)金属酸化物あるいは金属水酸化物がシードとして分散された水−アルコール系分散液に、このような分散液をアルカリ性に保ちながら、テトラアルコキシシランおよびケイ酸液を添加して、テトラアルコキシランの加水分解生成物およびケイ酸重合物を分散液中に含まれているシード上に付着させて粒子成長を行わせる方法(特開平4−21515号)。
(4)珪酸アルカリ水溶液および/またはアルカリ水溶液と、酸性珪酸液とを混合し、混合液におけるSiO2/M2O(Mはアルカリ金属)のモル比を所定範囲に調整した後、60℃以上で加熱してシード液を調製し、所定の添加速度にて酸性珪酸液を添加してなる方法(特開昭63−45114号、特開平63−45113号または特開昭63−64911号など)を挙げることができる。
【0084】
粒子径変動係数が5%以下のシードシリカ粒子を分散質としたシリカゾルを使用することにより、粒子径変動係数が5%以下の導電性シリカ粒子を最終生成物として得ることが容易になる。
【0085】
前記球状シリカ粒子は、棒状、勾玉状、細長い形状、数珠状、卵状などの異形粒子を含まず、真球度が高いものであることが必要である。
本発明において球状とは、真球度が0.90〜1.00の範囲にあるものをいう。ここで真球度とは、透過型電子顕微鏡により写真撮影して得られる写真投影図における任意の50個の粒子について、それぞれその最大径(DL)と、これと直交する短径(DS)との比(DS/DL)の平均値を意味する。
【0086】
真球度が0.90未満の場合は、シリカ粒子が球状であるとはいえず、前記の異形粒子に該当するものを含む場合が生じる。
本発明に用いられる球状シリカ粒子は、前記球状シリカ粒子表面に金属含有コロイド粒子が担持されてなる導電性シリカ粒子をタッチパネルまたは液晶表示装置等のギャップ調整剤の用途に適用することを考慮すると、球状であることが望ましい。また、前記球状シリカ粒子については、後に述べるように、表面に均一に金属含有コロイド粒子が担持されることが望ましいので、概ね非多孔質状であることが求められる。このため比表面積としては0.3〜3.5m2/gが好ましい。
【0087】
<球状シリカ粒子の懸濁液の製造方法>
球状シリカ粒子の懸濁液の製造方法としては、次の(1)〜(4)の製造方法を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0088】
(1)アルカリ金属珪酸塩、第3級アンモニウム珪酸塩、第4級アンモニウム珪酸塩またはグアニジン珪酸塩から選ばれる水溶性珪酸塩を、脱アルカリすることにより得られる珪酸液をアルカリ存在下で加熱することにより珪酸を重合する工程を含むシリカゾルの製造方法。
【0089】
この製造方法の具体例としては、以下の製造方法を挙げることができる。
珪酸アルカリ水溶液をシリカ濃度3〜10重量%に水で希釈し、次いでH型強酸性陽イオン交換樹脂に接触させて脱アルカリし、必要に応じてOH型強塩基性陰イオン交換樹脂に接触させて脱アニオンし、活性珪酸を調製する。次にpHが8以上となるようアルカリ物質を加え、50℃以上に加熱することにより平均粒子径60nm以下のシリカゾルを製造する方法。
【0090】
(2)核粒子分散液に酸性珪酸液を添加することにより、核粒子の粒子成長を行うシリカゾルの製造方法。
この製造方法において、核粒子分散液としては、核粒子として機能すれば特に制限はなく従来公知のシリカ、アルミナ、ジルコニア、セリア、チタニア、シリカ−アルミナ、シリカ−ジルコニア、シリカ−セリア、シリカ−チタニア等の微粒子の分散液を用いることができる。中でも、本願出願人による特開平5−132309号公報、特開平7−105522号公報等に開示したシリカゾル、シリカ系複合酸化物ゾルは粒子径分布が均一であり、均一な粒子径分布の研磨用シリカ粒子が得られる点で好ましい。
【0091】
核粒子分散液には酸性珪酸液の添加前に珪酸アルカリが加えられていることが好ましい。珪酸アルカリが添加されていると、次に粒子成長用の酸性珪酸液を加える際、分散媒中のシリカ濃度が予め高いため、核粒子への珪酸の析出が早く起こる。また、分散液のpHを概ね8〜12、好ましくは9.5〜11.5に調整することができる。
【0092】
珪酸アルカリとしては、ケイ酸カリウム(カリ水硝子)、ケイ酸ナトリウム(ナトリウム水硝子)以外の珪酸アルカリあるいは4級アミンなど有機塩基にシリカを溶解した溶液を用いることが好ましい。また、必要に応じてNaOH以外のアルカリ金属水酸化物、アンモニウム、4級アンモニウムハイドライドを添加することができる。さらにMg(OH)2 、Ca(OH)2 、Sr(OH)2 、Ba(OH)2 等のアルカリ金属水酸化物なども好適に用いることができる。
【0093】
予め核粒子が分散していなくても、珪酸アルカリ水溶液に後述する酸性珪酸液を加えていくとシリカ濃度が高くなったところで核粒子が発生するので、このような核粒子分散液も好適に用いることができる。核粒子分散液の濃度は核粒子の大きさによっても異なるが、SiO2換算で、0.005〜20重量%の範囲にあることが好ましく、0.01〜10
重量%の範囲にあることがさらに好ましい。
【0094】
核粒子の濃度が0.005重量%未満では、粒子成長を行うために温度を高めた場合、
核粒子の一部または全部が溶解することがある。核粒子の全部が溶解すると核粒子分散液を用いる効果が得られず、核粒子の一部が溶解した場合は得られるシリカ粒子の粒子径が不均一になる傾向があり、同様に核粒子分散液を用いる効果が得られないことがある。
【0095】
一方、核粒子の濃度が20重量%を越えると、核粒子当たりの酸性珪酸液の添加割合を低濃度の場合と同一とするため、珪酸液の添加速度を速めなければならない。しかしながら、前記添加速度を速めると、酸性珪酸液の核粒子表面への析出が追随できず、酸性珪酸液がゲル化することがある。
【0096】
核粒子の平均粒子径は前記したシリカ粒子が得られれば、特に制限はない。
(3)珪酸塩を酸で中和して得られるシリカヒドロゲルを洗浄して、塩類を除去し、アルカリを添加した後、加熱することによりシリカヒドロゲルを解膠する工程を含むシリカゾルの製造方法。
【0097】
この製造方法は解膠法と呼ばれるもので、通常は、珪酸塩の水溶液を酸で中和して、シリカヒドロゲルを調製し、化学的手段または機械的な手段にて、シリカヒドロゲルをスラリー状ないしは分散溶液にする方法として知られている。
【0098】
ここで、化学的手段としては、シリカヒドロゲルにアルカリを添加し、所望により加熱する方法が挙げられる。また、機械的手段としては、攪拌器などの装置を使用する方法を挙げることができる。これらの化学的手段と機械的な手段は併用されても差し支えない。
【0099】
具体的には、珪酸塩を酸で中和して得られるシリカヒドロゲルを洗浄して、塩類を除去し、アルカリを添加し、60〜200℃の範囲に加熱することにより、シリカヒドロゲルを解膠して、シリカゾルを調製する。
【0100】
この製造方法で原料として使用する珪酸塩としては、アルカリ金属珪酸塩、アンモニウム珪酸塩および有機塩基の珪酸塩から選ばれる1種または2種以上の珪酸塩が好ましい。アルカリ金属珪酸塩としては、珪酸ナトリウム(水ガラス)や珪酸カリウムが挙げられる。有機塩基としては、テトラエチルアンモニウム塩などの第4級アンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類を挙げることができる。アンモニウムの珪酸塩または有機塩基の珪酸塩には、珪酸液にアンモニア、第4級アンモニウム水酸化物、アミン化合物などを添加したアルカリ性溶液も含まれる。
【0101】
(4)加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解して、得られた珪酸を重合する工程を含むシリカゾルの製造方法。
この製造方法の例としては、シ−ド粒子が分散された水−有機溶媒系分散液にテトラエトキシシランを添加して、該テトラエトキシシランを加水分解し、前記シ−ド粒子上にシリカを付着させて粒子成長を行わせて、シリカ粒子が単分散したシリカ系ゾルを製造する方法などが知られている。
【0102】
原料となるシリカ系ゾルの固形分濃度については、10〜50質量%の範囲である。
また、シリカ系ゾルについては単分散状態にあるものが、後の工程で粒子径を均一化させる上で好ましい。なお、原料として市販のシリカゾルを適用することも勿論可能である。その場合、市販品はシリカ濃度20〜50%の高濃度のものを使用するのが経済的である。また、使用前に、所望により、イオン交換、濾過、濃度調整などを行っても良い。
【0103】
<金属含有コロイド粒子>
本発明に用いる金属含有コロイド粒子については、前述したとおりである。
本発明に用いる金属含有コロイド粒子分散液の調製方法としては特に制限されないが、通常前記金属の塩、アルコキシドまたは錯体を還元処理、加水分解処理などの調整方法が挙げられる。
【0104】
金属含有コロイド粒子の添加量は、球状シリカ粒子100重量部に対して10〜900重量部が好ましく、30〜800重量部がより好ましい。金属含有コロイド粒子の添加量が上記範囲にあると金属含有コロイド粒子が充分に分散した状態で球状シリカ粒子に担持される傾向がある。一方、添加量が10重量部未満になると、金属含有コロイド粒子の担持量が少なくなり、金属含有コロイド粒子による触媒作用など、充分な効果が得られないことがある。また、添加量が900重量部を超えても担持量は増加しにくく、経済的に好ましくない。
【0105】
金属含有コロイド粒子を添加して混合する際の温度は、特に限定されないが、15〜40℃が好ましく、15〜25℃がより好ましい。15℃未満では、十分に金属含有コロイド粒子を担持できないことがあり、実用性が低下することがある。40℃を超えると担持効果の更なる向上は認められない傾向があり、経済的に好ましくない。
【0106】
金属含有コロイド粒子を添加して混合する際、通常5分以上、好ましくは10分以上の攪拌を行なうことが望ましく、必要に応じて、通常3時間程度まで、好ましくは1時間程度まで攪拌してもよい。
【0107】
上記混合操作後、必要に応じて、金属含有コロイド粒子担持球状シリカ粒子を含む懸濁液を水で希釈してもよい。通常、金属含有コロイド粒子担持球状シリカ粒子100重量部に対して、最大で250,000重量部程度の水で希釈することができる。さらに、通常
水で希釈した金属含有コロイド粒子担持球状シリカ粒子を遠心分離し、望ましくは洗浄を3回以上繰り返して、残存するイオンを除去し、金属含有コロイド粒子担持球状シリカ粒子を分離精製する。その後、分離した金属含有コロイド粒子担持球状シリカ粒子を、通常80〜100℃で1〜20時間乾燥することが望ましい。
【0108】
本発明の製造方法により、金属含有コロイド粒子担持量が、金属含有コロイド粒子担持球状シリカ粒子全体に対して20〜70重量%であり、かつ金属含有コロイド粒子が球状シリカ粒子表面に極めて良好に分散した金属含有コロイド粒子担持担体を得ることができる。
【0109】
この金属含有コロイド粒子の担持量は、金属イオンを含有させる際の温度、金属イオンの含有量、金属含有コロイド粒子混合時の温度、金属含有コロイド粒子の混合量などの製造条件を適宜調整することによりコントロールすることができる。またこれらの金属含有コロイド粒子を担持させるには、目的に応じて繰り返し担持を行って積層させてもよい。
【0110】
本発明の製造方法においては、既に金属状態にある金属含有コロイド粒子を使用するので、球状シリカ粒子に担持するだけで金属含有コロイド粒子担持球状シリカ粒子を得ることができる。
【0111】
例えば、イオン吸着還元法では、担体上にPtイオンを存在させ、これを焼成還元して白金金属を形成する必要があるが、これに比べて本発明の製造方法は、より簡便であるといえる。
【0112】
本発明に係る導電性シリカ粒子は、以上の本発明の製造方法により得ることができる。
[用途]
本発明の導電性被膜形成用組成物は、前記導電性シリカ粒子、バインダーおよび溶媒からなることを特徴としている。
【0113】
前記導電性被膜形成用組成物として、例えば、異方導電性接着剤の一種である異方導電性ペーストが挙げられる。異方導電性ペーストは、前記導電性シリカ粒子及び絶縁性接着剤を含むペースト形態の接着性組成物である。
【0114】
前記バインダーとしては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、尿素樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0115】
前記溶媒としては、純水、超純水、イオン交換水などの水;
メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルイソカルビノールなどのアルコール類;
アセトン、2−ブタノン、エチルアミルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;
ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、3,4−ジヒドロ−2H−ピランなどのエーテル類;
2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;
2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテートなどのグリコールエーテルアセテート類;
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、エチレンカーボネートなどのエステル類;
ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;
ヘキサン、ヘプタン、iso−オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;
塩化メチレン、1,2−ジクロルエタン、ジクロロプロパン、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;
ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;
N−メチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドンなどのピロリドン類
などを例示することができる。
【0116】
前記導電性シリカ粒子は、そのまま導電性フィラーとして使用しても良く、異方性導電性膜の形態で電極間の電気的な導通をとるために使用しても良い。異方導電性膜は、絶縁性接着剤を含む所定の膜厚のフィルム形態の接着剤組成物である。
【0117】
また、本発明の導電性被膜形成用組成物は、前記導電性シリカ粒子と、有機樹脂または有機珪素樹脂とを含有してなることを特徴としている。また、必用に応じて分散媒を含有してもよい。
【0118】
有機樹脂および/または有機珪素樹脂は、マトリックス形成成分として用いられる。
有機樹脂系マトリックス形成成分としては、塗料用樹脂として公知の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、電子線硬化樹脂等が挙げられる。
【0119】
このような樹脂として、たとえば、従来から用いられているポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーンゴムなどの熱可塑性樹脂
、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、ブチラール樹脂、反応性シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、紫外線硬化型アクリル樹脂などの熱硬化性樹脂、紫外線硬化型アクリル樹脂などが挙げられる。
【0120】
具体的にはペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、n-ラウリルアクリレート、n−ステアリルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、トリフロロエチルメタクリレート、ウレタンアクリレート、フルオレン骨格含有アクリレート、等またはこれらの混合物が挙げられる。
【0121】
さらにはこれら樹脂の2種以上の共重合体や変性体であってもよい。これらの樹脂は、エマルジョン樹脂、水溶性樹脂、親水性樹脂であってもよい。さらに、熱硬化性樹脂の場合、紫外線硬化型のものであっても、電子線硬化型のものであってもよく、熱硬化性樹脂の場合、硬化触媒が含まれていてもよい。
【0122】
前記有機珪素樹脂としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロ
プロピルトリメトキシシラン、メチル-3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチ
ルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリエキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−
(β−グリシドキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキ
シメチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリエキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチル
トリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピル
トリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、ブチル
トリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラオクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、3-ウレイドイソプロピルプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノー
ル、メチルトリクロロシラン等、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0123】
前記分散媒としては、前記マトリックス形成成分を溶解または分散するとともに、容易に揮発することができれば特に制限はなく、従来公知の分散媒を用いることができる。
具体的には、水、メタノール、エタノール、プロパノール、2-プロパノール(IPA)
、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、イソプロピルグリコールなどのアルコール類;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル、酢酸ブチルなどのエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルなどのケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、トルエン、シクロヘキサノン、イソホロン等が挙げられる。
【0124】
前記導電性被膜形成用組成物中には、この他に、硬化剤、または分散性、安定性を高めるために界面活性剤等を添加することもできる。
導電性被膜形成用組成物中の前記導電性シリカ粒子の固形分としての濃度(CP)とマ
トリックス形成成分の固形分としての濃度(CM)との合計濃度は2〜50重量%、さら
には3〜40重量%の範囲にあることが好ましい。
【0125】
導電性被膜形成用組成物中の合計の固形分濃度が2重量%未満の場合は、導電性被膜の膜厚が薄くなる場合があり、導電被膜の性能、例えば、導電性、ハードコート性能や透明性が充分でない場合がある。塗布、乾燥等を繰り返して膜厚を厚くすることはできるが経済性が低下する傾向がある。
【0126】
導電性被膜形成用組成物中の合計の固形分濃度が50重量%を越えると、塗布液の粘度が高くなるために塗布性が低下したり、塗布液の安定性が不充分となることがあり、得られる導電性被膜の密着性、強度等が低下することがある。
【0127】
導電性被膜形成用組成物中の前記導電性シリカ粒子の固形分としての濃度(CP)は0
.1〜40重量%、さらには0.2〜30重量%の範囲にあることが好ましい。
導電性被膜形成用組成物中の導電性シリカ粒子の固形分としての濃度(CP)が0.1
重量%未満の場合は、得られる導電性被膜中の金属酸化物粒子の含有量が少なくなるために導電性シリカ粒子の特性、例えば、導電性、硬度等が充分発現されない場合がある。
【0128】
導電性被膜形成用組成物中の導電性シリカ粒子の固形分としての濃度(CP)が40重
量%を越えると、粒子間の相互作用が高く塗布液の粘度が上昇し経時安定性が不充分となる場合がある。
【0129】
また、導電性被膜形成用組成物中のマトリックス形成成分の濃度(CM)は固形分とし
て1.9〜49.9重量%、さらには2.8〜40重量%の範囲にあることが好ましい。
導電性被膜形成用組成物中のマトリックス形成成分の濃度(CM)が固形分として1.
9重量%未満の場合は、得られる導電性被膜の膜厚が薄過ぎたり、導電性被膜の性能、例えば、導電性、ハードコート性能や透明性が不充分となったり、粒子の割合が多すぎて密着性等が不充分となることがある。
【0130】
導電性被膜形成用組成物中のマトリックス形成成分の濃度(CM)が固形分として49
.9重量%を越えると、得られる導電性被膜中のマトリックス形成成分の含有量が多く、逆に導電性シリカ粒子の含有量が少なくなるために導電性シリカ粒子の特性、例えば導電性、屈折率等が充分発現されない場合がある。
【0131】
また、導電性被膜形成用組成物中の導電性シリカ粒子の固形分としての濃度(CP)は
、得られる導電性被膜中の導電性シリカ粒子の含有量が0.2〜80重量%、さらには0
.5〜78重量%の範囲となるように調整して用いる。
【0132】
また、導電性被膜を形成する方法としては、ディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法等の周知の方法で、前記導電性被膜形成用組成物を基材上に塗布し、乾燥し、加熱処理、紫外線照射等によって硬化させる方法が挙げられる。
【0133】
得られる導電性被膜中の前記導電性シリカ粒子の含有量は、通常5〜90重量%、好ましくは10〜80重量%である。
また、本発明の導電性フィルムは、前記導電性シリカ粒子と、前記マトリックス成分とを含有してなることを特徴としている。
【0134】
前記導電性フィルムとしては、前記マトリックス成分と極性溶剤を混合し乾燥硬化させて得られたフィルムが挙げられ、異方導電性フィルムが好ましい。
[本発明の好適な態様1]
球状シリカ粒子表面に金属含有コロイド粒子が担持されてなり、画像解析法により測定される平均粒子径(D2)が0.5μm〜10μmの範囲にあり、粒子径変動係数(CV値)が0.1〜5%の範囲にあることを特徴とする導電性シリカ粒子。
【0135】
[本発明の好適な態様2]
球状シリカ粒子表面に金属含有コロイド粒子が担持されてなり、画像解析法により測定される平均粒子径(D2)が0.5μm〜10μmの範囲にあり、粒子径変動係数(CV値)が0.1〜5%の範囲にある導電性シリカ粒子であって、前記金属含有コロイド粒子の画像解析法により測定される平均粒子径が2〜200nmの範囲にあり、前記金属含有コロイド粒子が、前記球状シリカ粒子表面に単位面積(m2)当り5×104〜5×1011個存在することを特徴とする導電性シリカ粒子。
【0136】
[本発明の好適な態様3]
球状シリカ粒子表面に金属含有コロイド粒子が担持されてなり、画像解析法により測定される平均粒子径(D2)が0.5μm〜10μmの範囲にあり、粒子径変動係数(CV値)が0.1〜5%の範囲にある導電性シリカ粒子であって、前記金属含有コロイド粒子の画像解析法により測定される平均粒子径が2〜200nmの範囲にあり、前記金属含有コロイド粒子が、前記球状シリカ粒子表面に単位面積(m2)当り5×104〜5×1011個存在し、前記金属含有コロイド粒子を構成する金属がCu、Pd、Ag、AuおよびPtからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする導電性シリカ粒子。
【0137】
[本発明の好適な態様4]
球状シリカ粒子表面に金属含有コロイド粒子が担持されてなり、画像解析法により測定される平均粒子径(D2)が0.5μm〜10μmの範囲にあり、粒子径変動係数(CV値)が0.1〜5%の範囲にある導電性シリカ粒子であって、前記金属含有コロイド粒子の画像解析法により測定される平均粒子径が2〜200nmの範囲にあり、前記金属含有コロイド粒子が、前記球状シリカ粒子表面に単位面積(m2)当り5×104〜5×1011個存在し、前記金属含有コロイド粒子を構成する金属がCu、Pd、Ag、AuおよびPtからなる群から選ばれる2種以上からなる合金であることを特徴とする導電性シリカ粒子。
【0138】
[実施例]
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
【0139】
[実施例および比較例で用いた測定方法または分析方法]
実施例及び比較例における測定方法または分析方法については、以下の通りである。
[1]BET法による比表面積測定
シリカゾル50mlをHNO3でpH3.5に調整し、1−プロパノール40mlを加
え、110℃で16時間乾燥した。この乾燥した固形分を、乳鉢で粉砕し、マッフル炉で500℃、1時間焼成し、測定用試料とした。この測定用試料を用いて、窒素吸着法(BET法)によりシリカゾルの比表面積を測定した。
【0140】
測定装置として、比表面積測定装置(ユアサアイオニクス製、型番マルチソーブ12)を用いた。
以下、BET法による比表面積測定について具体的に説明する。
【0141】
まず、測定用試料0.5gを測定セルに入れ、窒素30容量%とヘリウム70容量%の混合ガス気流中、300℃で20分間脱ガス処理を行った。そして、試料を上記混合ガス気流中で液体窒素温度に保ち、窒素を試料に平衡吸着させた。次に、上記混合ガスを流しながら試料温度を徐々に室温まで上昇させ、その間に脱離した窒素の量を検出し、予め作成した検量線により、シリカゾルの比表面積を測定した。
【0142】
シリカゾルの平均粒子径については、下記(1)式から算定した。
D=6000/(ρ×SA1)・・・(1)
D:平均粒子径(nm)
ρ:試料の密度(g/cm3
SA1:比表面積(m2/g)
[2]画像解析法による比表面積算定
透過型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、H−800)により、試料シリカゾルを倍率25万倍で写真撮影して写真投影図を得た。該写真投影図において、50個の粒子を任意に選び、それら粒子の最大径(DL)の平均値を平均粒子径(D2)とした。この平均粒子径(D2)の値を次の式(2)に代入して、比表面積(SA2)を求めた。
【0143】
D2=6000/(ρ×SA2)・・・(2)
D2:平均粒子径(nm)
ρ:試料の密度(g/cm3
SA2:比表面積(m2/g)
[3]単位面積当たりの金属含有コロイド粒子存在個数測定
透過型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、H−800)により、試料シリカゾルを倍率25万倍で写真撮影して写真投影図を得た。該写真投影図において、50個の粒子を任意に選び、500nm四方の表面に担持されている金属含有コロイド粒子の個数を測定した。それらの平均値から真球として球面に換算した単位面積(m2)当りの金属含有コロイ
ド粒子存在個数を算出した。
【0144】
[4]体積抵抗値測定
まず、試料を乾燥処理し、乾燥粉体をセルに充填し、上部、下部に端子の付いた電極を取り付け9.8Mpaに加圧した。次に、端子間距離(B)をノギスで測定し、抵抗値(A)を東陽テクニカ社製エレクトロメータ6517型にて測定した。体積抵抗値は次式(3)により求めた。
(A-A')(Ω)/(B-B')(cm)×0.5(cm2)=体積抵抗値(Ω・cm)・・・(3)
ここでB'、A'は9.8Mpa加圧時に試料を充填していない状態での、端子間距離および抵抗値である。また定数0.5(cm2)は電極に平行な平面でセルを切断した場合の断
面積である。
【0145】
[5]10%圧縮弾性率測定
測定器として、微小圧縮試験機(島津製作所製:MCTM−200)を用いた。
試料として粒子径がDである1個の微小粒子を用いた。この試料に一定の負荷速度で荷重を負荷し、圧縮変位が粒子径の10%となるまで粒子を変形させ、10%変位時の圧縮荷重(N)と圧縮変位(S)を求めた。試料の粒子径(D)、圧縮荷重(N)および圧縮変位(S)を次式(4)に代入して、10%圧縮弾性率(K)を計算によって求めた。
K=(3/√2)×F×S-3/2×D-1/2・・・(4)
K:10%圧縮弾性率測定(N/mm2
F:圧縮荷重(N)
S:圧縮変位(mm)
D:粒子径(mm)
[6]金属含有量
金属コロイド担持シリカ粒子中の金属成分を硝酸もしくは王水に溶解させICPで該金属
成分の定量を行い、金属コロイド担持シリカ粒子中の金属含有量(重量%)を算出した。
【0146】
[7]粒子比重
金属コロイド担持シリカ粒子の粒子比重は上記で得られた金属含有量(重量%)より文献(化学便覧[改訂3版]基礎編I、丸善株式会社)に記載されている比重(g/m
l)をもとに算出した。
【実施例1】
【0147】
(1)シリカ粒子(平均粒子径1.5μm)懸濁液の調製
シリカ粒子(触媒化成工業株式会社製 真絲球(登録商標)SW1.5 平均粒子径=1.5μm、CV値1.5%)10g(乾燥重量)と水80gとを、マグネチックスターラーで5分間攪拌した。その後、ホモジナイザーで攪拌することにより、シリカ粒子(平均粒子径1.5μm)懸濁液を90g調製した。
【0148】
次に、シリカ固形分濃度が10重量%になるように脱イオン水を添加した。
(2)パラジウムコロイド粒子分散液の合成
硝酸パラジウム26g(金属換算で10g)を純水100gに溶解して金属塩水溶液を得た。この金属塩水溶液に、濃度30質量%のクエン酸3ナトリウム水溶液596gと濃度25質量%の硫酸第一鉄水溶液332gとを加え、窒素雰囲気下、20℃で攪拌混合して、水にパラジウム微粒子が分散してなるパラジウムコロイド粒子分散液を得た。このパラジウムコロイド粒子分散液を限外濾過膜法洗浄により精製した後、濃度を調整し、金属換算で濃度3重量%のパラジウムコロイド粒子分散液を300g得た。このパラジウムコロイド粒子の平均粒子径は3nmであった。
【0149】
(3)パラジウムコロイド粒子担持球状シリカ粒子の調製
上記(1)で調製した球状シリカ粒子(1.5μm)懸濁液(シリカ固形分濃度10重量%)2gに、Auイオンが1重量%含有した塩化金酸水溶液を14g添加し、25℃で5分間攪拌した。
【0150】
次に、上記(2)で合成したパラジウムコロイド粒子分散液6.7g(固形分0.2g、平均粒子径3nm)を添加した。添加後のpHは1.95であった。そして、25℃で40分間攪拌した後、遠心分離機で固液分離し、更に水を500g加え、3分間洗浄した。遠心分離と洗浄を3回づつ繰り返し、残存しているパラジウムコロイド粒子、Clイオン、Auイオン等を除去して、パラジウムコロイド粒子が表面に担持してなる球状シリカ粒子を調製した。
【0151】
固形物を90℃で5時間乾燥させ、パラジウムコロイド粒子担持球状シリカ粒子を2.15g得た。得られたパラジウムコロイド粒子担持球状シリカ粒子について、上記[1]
〜[7]の測定方法または分析方法により、物性評価を行った。評価結果を表2に示す。
【実施例2】
【0152】
(1)金コロイド粒子分散液の合成
塩化金酸26g(金属換算で10g)を純水100gに溶解して金属塩水溶液を得た。この金属塩水溶液に、濃度30質量%のクエン酸3ナトリウム水溶液596gと濃度25質量%の硫酸第一鉄水溶液332gとを加え、窒素雰囲気下、20℃で攪拌混合して、水に金微粒子が分散してなる金コロイド粒子分散液を得た。この金コロイド粒子分散液を限外濾過膜法洗浄により精製した後、濃度を調整し、金属換算で濃度3重量%の金コロイド粒子分散液を300g得た。この金コロイド粒子の平均粒子径は3nmであった。
【0153】
(2)金コロイド粒子担持球状シリカ粒子の調製
実施例1の(1)で調製した球状シリカ粒子(1.5μm)懸濁液(シリカ固形分濃度10重量%)2gに、Auイオンが1重量%含有した塩化金酸水溶液を14g添加し、25℃で5分間攪拌した。
【0154】
次に、上記(2)で合成した金コロイド粒子分散液を5.3g(固形分0.16g、平均粒子径3nmを添加した。添加後のpHは1.95であった。25℃で40分間攪拌した後、遠心分離機で固液分離し、更に水を500g加え、3分間洗浄した。遠心分離、洗浄を3回繰り返し残存している金コロイド粒子、Clイオン、Auイオン等を除去して、金コロイド粒子が表面に担持された球状シリカ粒子シリカ粒子を調製した。固形物を90℃で5時間乾燥させ、金コロイド粒子担持球状シリカ粒子を2.12g得た。得られた金コロイド粒子担持球状シリカ粒子について、上記[1]〜[7]の測定方法または分析方法により、物性評価を行った。評価結果を表2に示す。
【実施例3】
【0155】
(1)シリカ粒子(3.0μm)懸濁液の調製
シリカ粒子(触媒化成製 真絲球(登録商標)SW3.0 平均粒子径=3.0μm、CV値1.1%)10g(乾燥重量)と水80gとを、マグネチックスターラーで5分間攪拌した。その後、ホモジナイザーで攪拌することによりシリカ粒子(3.0μm)懸濁液90gを調製した。
【0156】
次に、シリカ固形分濃度が10重量%になるように脱イオン水を添加した。
(2)金-白金コロイド粒子分散液の合成
塩化金酸13g(金属換算で5g)と塩化白金酸13g(金属換算で5g)を純水100gに溶解して金属塩水溶液を得た。この金属塩水溶液に、濃度30質量%のクエン酸3ナトリウム水溶液596gと濃度25質量%の硫酸第一鉄水溶液332gとを加え、窒素雰囲気下、20℃で攪拌混合して、水に金-白金微粒子が分散してなる金-白金コロイド粒子分散液を得た。この金-白金コロイド粒子分散液を限外濾過膜法洗浄により精製した後
、濃度を調整し、金属換算で濃度3重量%の金-白金合金コロイド粒子分散液280gを
得た。この金-白金合金コロイド粒子の平均粒子径は3nmであった。
【0157】
(3)金-白金合金コロイド粒子担持球状シリカ粒子の調製
上記(1)で調製した球状シリカ粒子(3.0μm)懸濁液(シリカ固形分濃度10重量%)2gに、Agイオンが1重量%含有した硝酸銀水溶液を14g添加し、25℃で5分間攪拌した。
【0158】
次に、上記(2)で合成した金-白金合金コロイド粒子分散液5.3g(固形分0.1
6g、平均粒子径3nmを添加した。添加後のpHは1.95であった。25℃で40分間攪拌した後、遠心分離機で固液分離し、更に水を500g加え、3分間洗浄した。遠心
分離、洗浄を3回繰り返し残存している金-白金合金コロイド粒子、Clイオン、Agイ
オン等を除去して、金-白金合金コロイド粒子が表面に担持された球状シリカ粒子シリカ
粒子を調製した。固形物を90℃で5時間乾燥させ、金-白金合金コロイド粒子担持球状
シリカ粒子2.16gを得た。得られた金-白金合金コロイド粒子担持球状シリカ粒子に
ついて、上記[1]〜[7]の測定方法または分析方法により、物性評価を行った。評価結果を表2に示す。
【実施例4】
【0159】
(1)銀-パラジウム合金コロイド粒子分散液の合成
硝酸銀7.5g(金属換算で5g)と硝酸パラジウム12.8g(金属換算で5g)を純水100gに溶解して金属塩水溶液を得た。この金属塩水溶液に、濃度30重量%のクエン酸3ナトリウム水溶液596gと濃度25質量%の硫酸第一鉄水溶液332gとを加え、窒素雰囲気下、20℃で攪拌混合して、水に銀-パラジウム微粒子が分散してなる銀-パラジウム合金コロイド粒子分散液を得た。この銀-パラジウム合金コロイド粒子分散液
を限外濾過膜法洗浄により精製した後、濃度を調整し、金属換算で濃度3重量%の銀-パ
ラジウム合金コロイド粒子分散液300gを得た。この銀-パラジウム合金コロイド粒子
の平均粒子径は5nmであった。
【0160】
(2)銀-パラジウム合金コロイド粒子担持球状シリカ粒子の調製
実施例3の(1)で調製した球状シリカ粒子(3.0μm)懸濁液(シリカ固形分濃度10重量%)2gに、Snイオンが1重量%含有した酢酸スズ酸水溶液を14g添加し、25℃で5分間攪拌した。
【0161】
次に、上記(2)で合成した銀-パラジウム合金コロイド粒子分散液5.3g(固形分
0.16g、平均粒子径5nm)を添加した。添加後のpHは1.95であった。25℃で40分間攪拌した後、遠心分離機で固液分離し、更に水を500g加え、3分間洗浄した。遠心分離、洗浄を3回繰り返し残存している Ag-Pd合金コロイド粒子、酢酸イ
オン、Snイオン等を除去して、Ag-Pd合金コロイド粒子が表面に担持された球状シ
リカ粒子シリカ粒子を調製した。固形物を90℃で5時間乾燥させ、銀-パラジウム合金
粒子担持球状シリカ粒子0.35gを得た。得られた銀-パラジウム合金コロイド粒子担
持球状シリカ粒子について、上記[1]〜[7]の測定方法または分析方法により、物性評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0162】
[比較例1]
(1)パラジウムコロイド粒子担持球状シリカ粒子の調製
実施例1の(1)で調製した球状シリカ粒子(1.5μm)懸濁液(シリカ固形分濃度10重量%)2gに、脱イオン水を14g添加し、25℃で5分間攪拌した。
【0163】
次に、実施例1の(2)で合成したパラジウムコロイド粒子分散液6.7g(固形分0
.2g、平均粒子径3nm)を添加し、25℃で40分間攪拌した後、遠心分離機で固液分離し、更に水を500g加え、3分間洗浄した。遠心分離、洗浄を3回繰り返し残存しているパラジウムコロイド粒子等を除去して、パラジウムコロイド粒子が表面に担持された球状シリカ粒子シリカ粒子を調製した。固形物を90℃で5時間乾燥させ、パラジウムコロイド粒子担持球状シリカ粒子0.4gを得た。得られたパラジウムコロイド粒子担持球状シリカ粒子について、上記[1]〜[7]の測定方法または分析方法により、物性評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0164】
[比較例2]
(1)金コロイド粒子担持球状シリカ粒子の調製
実施例1の(1)で調製した球状シリカ粒子(1.5μm)懸濁液(シリカ固形分濃度
10重量%)2gに、脱イオン水を14g添加し、25℃で5分間攪拌した。
【0165】
次に、実施例2の(1)で合成した金コロイド粒子分散液5.3g(固形分0.16g、平均粒子径3nm)を添加した。添加後のpHは1.95であった。25℃で40分間攪拌した後、遠心分離機で固液分離し、更に水を500g加え、3分間洗浄した。遠心分離、洗浄を3回繰り返し残存している金コロイド粒子、等を除去して、金コロイド粒子が表面に担持された球状シリカ粒子シリカ粒子を調製した。固形物を90℃で5時間乾燥させ、金コロイド粒子担持球状シリカ粒子
0.34gを得た。得られた金コロイド粒子担持球状シリカ粒子について、上記[1]〜[7]の測定方法または分析方法により、物性評価を行った。評価結果を表2に示す。
【実施例5】
【0166】
実施例1で得られたパラジウムコロイド粒子担持球状シリカ粒子15g、エポキシ樹脂100g、硬化剤150gおよびトルエン70gを混合攪拌し、各成分が均一に分散した組成物を得た。この組成物を離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、乾燥後、厚さ3μmの異方導電性フィルムを得た。この異方導電性フィルムを用いて、全面にITOを蒸着させたガラスと100μmピッチに銅パターンを形成したポリイミド基板との間の電気接続を行い、導通抵抗を測定した。測定結果を表3に示す。
【実施例6】
【0167】
実施例1で得られたパラジウムコロイド粒子担持球状シリカ粒子を、実施例2で得られた金コロイド粒子担持球状シリカ粒子に変更した以外は、実施例5と同様にして、導通抵抗を測定した。測定結果を表3に示す。
【実施例7】
【0168】
実施例1で得られたパラジウムコロイド粒子担持球状シリカ粒子を、実施例3で得られた金-白金合金コロイド粒子担持球状シリカ粒子に変更した以外は、実施例5と同様にし
て、導通抵抗を測定した。測定結果を表3に示す。
【実施例8】
【0169】
実施例1で得られたパラジウムコロイド粒子担持球状シリカ粒子を、実施例4で得られた銀-パラジウム合金コロイド粒子担持球状シリカ粒子に変更した以外は、実施例5と同
様にして、導通抵抗を測定した。測定結果を表3に示す。
【0170】
[比較例3]
実施例1で得られたパラジウムコロイド粒子担持球状シリカ粒子を、比較例1で得られたパラジウムコロイド粒子担持球状シリカ粒子に変更した以外は、実施例5と同様にして、導通抵抗を測定した。測定結果を表3に示す。
【0171】
[比較例4]
実施例1で得られたパラジウムコロイド粒子担持球状シリカ粒子を、比較例2で得られた金コロイド粒子担持球状シリカ粒子に変更した以外は、実施例5と同様にして、導通抵抗を測定した。測定結果を表3に示す。
【0172】
【表1】

【0173】
【表2】

【0174】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
球状シリカ粒子表面に金属含有コロイド粒子が担持されてなり、画像解析法により測定される平均粒子径(D2)が0.5μm〜10μmの範囲にあり、粒子径変動係数(CV値)が5%以下の範囲にあることを特徴とする導電性シリカ粒子。
【請求項2】
前記金属含有コロイド粒子の画像解析法により測定される平均粒子径が2〜200nmの範囲にあり、前記金属含有コロイド粒子が、前記球状シリカ粒子表面に単位面積(m2
)当り5×104〜5×1011個存在することを特徴とする請求項1に記載の導電性シリ
カ粒子。
【請求項3】
請求項1または2に記載の導電性シリカ粒子であって、
該導電性シリカ粒子のBET法により測定される比表面積(SA1(m2/g))と、
該導電性シリカ粒子の、画像解析法により測定される平均粒子径(D2)から算出された比表面積(SA2(m2/g))との比((SA1)/(SA2))が、1.0〜1.4
の範囲にあることを特徴とする導電性シリカ粒子。
【請求項4】
前記金属含有コロイド粒子の含有量が5〜90質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導電性シリカ粒子。
【請求項5】
前記金属含有コロイド粒子を構成する金属が、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、AuおよびPtからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の導電性シリカ粒子。
【請求項6】
体積抵抗値が1×10-6〜2×103Ω・cmの範囲にあり、10%圧縮弾性率が20
0〜400N/mm2の範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の導
電性シリカ粒子。
【請求項7】
Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、PbおよびBiからなる群より選ばれる1種以上の金属のイオンの存在下、下記条件(I)および(II)を満たす球状シリカ粒子表
面に下記条件(III)を満たす金属含有コロイド粒子を担持する工程(A)を含むことを
特徴とする導電性シリカ粒子の製造方法;
(I)画像解析法により測定される平均粒子径が0.5μm〜10μmの範囲にある、
(II)粒子径変動係数(CV値)が5%以下の範囲にある、
(III)画像解析法により測定される平均粒子径が2〜200nmの範囲にある。
【請求項8】
前記工程(A)が、下記工程(a)および工程(b)を含むことを特徴とする請求項7に記載の製造方法;
工程(a):前記球状シリカ粒子の懸濁水と、前記球状シリカ粒子100質量部に対して3〜100質量部の前記金属を含む、金属および/または金属化合物とを混合することにより、前記金属のイオンを含む混合液を調製する工程、
工程(b):工程(a)で得られた混合液と、前記球状シリカ粒子100質量部に対して10〜900質量部の前記金属含有コロイド粒子とを、温度15〜40℃で混合する工程。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれかに記載の導電性シリカ粒子と、バインダーと、溶媒とを含有してなる導電性被膜形成用組成物。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれかに記載の導電性シリカ粒子と、有機樹脂および/または有機珪素樹脂とを含有してなる導電性被膜形成用組成物。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれかに記載の導電性シリカ粒子と、有機樹脂および/または有機珪素樹脂を含有してなる導電性フィルム。

【公開番号】特開2009−96661(P2009−96661A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268869(P2007−268869)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(000190024)日揮触媒化成株式会社 (458)
【Fターム(参考)】