説明

導電性フイルム及びそれを備えた表示装置

【課題】簡単な構成で、汎用の表示装置の表示パネルに取り付けてもモアレが発生しにくく、しかも、高歩留まりで生産することができる導電性フイルム及びそれを備えた表示装置を提供する。
【解決手段】導電性フイルム10は、透明基体12と、透明基体12の一方の主面に形成された導電部14とを有し、導電部14は、それぞれ第1方向に延在し、且つ、第1方向と直交する第2方向に配列された金属細線による2以上の導電パターン20を有し、導電パターン20は、2以上の感知部が第1方向に接続されて構成され、各感知部の第2方向に沿った長さをLv、第1方向に沿った長さをLhとしたとき、0.57<Lv/Lh<1.74を満足する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性フイルム及びそれを備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の表示パネル上に設置される導電性フイルムとしては、例えば電磁波シールド用の導電性フイルム(例えば特許文献1及び2参照)やタッチパネル用の導電性フイルム(例えば特許文献3参照)等が挙げられる。
これらの導電性フイルムは、透明基体上に格子パターンを形成するようにしており、特許文献1では格子パターンの交差部に隣接してモアレ抑止部を形成し、特許文献2では格子パターンを有する電磁波シールドフイルムと、モアレ抑止部を配置したモアレ抑止フイルムとを貼付することにより、モアレの発生を抑制するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−282924号公報
【特許文献2】特開2009−094467号公報
【特許文献3】特開2010−108877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述した特許文献1〜3とは異なった簡単な構成で、汎用の表示装置の表示パネルに取り付けてもモアレが発生しにくく、しかも、高歩留まりで生産することができる導電性フイルム及びそれを備えた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1] 第1の本発明に係る導電性フイルムは、基体と、基体の一方の主面に形成された導電部とを有し、前記導電部は、それぞれ第1方向に延在し、且つ、前記第1方向と直交する第2方向に配列された金属細線による2以上の導電パターンを有し、前記導電パターンは、2以上の感知部が前記第1方向に接続されて構成され、各前記感知部の前記第2方向に沿った長さをLv、前記第1方向に沿った長さをLhとしたとき、0.57<Lv/Lh<1.74を満足することを特徴とする。
[2] 第1の本発明において、0.57<Lv/Lh<1.00を満足することを特徴とする。
[3] 第1の本発明において、0.62<Lv/Lh<0.81を満足することを特徴とする。
[4] 第1の本発明において、1.00<Lv/Lh<1.74を満足することを特徴とする。
[5] 第1の本発明において、1.23<Lv/Lh<1.61を満足することを特徴とする。
[6] 第2の本発明に係る導電性フイルムは、基体と、基体の一方の主面に形成された第1導電部と、基体の他方の主面に形成された第2導電部とを有し、前記第1導電部は、それぞれ第1方向に延在し、且つ、前記第1方向と直交する第2方向に配列された2以上の第1導電パターンを有し、前記第2導電部は、それぞれ第2方向に延在し、且つ、前記第1方向に配列された2以上の第2導電パターンを有し、前記第1導電パターンは、2以上の第1の感知部が前記第1方向に接続されて構成され、前記第2導電パターンは、2以上の第2の感知部が前記第2方向に直列に接続されて構成され、各前記第1の感知部の前記第2方向に沿った長さをLva、前記第1方向に沿った長さをLhaとし、各前記第2の感知部の前記第2方向に沿った長さをLvb、前記第1方向に沿った長さをLhbとしたとき、0.57<Lva/Lha<1.74、0.57<Lvb/Lhb<1.74を満足することを特徴とする。
[7] 第2の本発明において、0.57<Lva/Lha<1.00、0.57<Lvb/Lhb<1.00を満足することを特徴とする。
[8] 第2の本発明において、0.62<Lva/Lha<0.81、0.62<Lvb/Lhb<0.81を満足することを特徴とする。
[9] 第2の本発明において、1.00<Lva/Lha<1.74、1.00<Lvb/Lhb<1.74を満足することを特徴とする。
[10] 第2の本発明において、1.23<Lva/Lha<1.61、1.23<Lvb/Lhb<1.61を満足することを特徴とする。
[11] 第1及び第2の本発明において、各前記感知部がそれぞれ複数の金属細線によるメッシュパターンにて構成され、前記金属細線のピッチが100〜400μmであることを特徴とする。
[12] 第1及び第2の本発明において、各前記感知部がそれぞれ複数の金属細線によるメッシュパターンにて構成され、前記金属細線の線幅が30μm以下であることを特徴とする。
[13] 第1及び第2の本発明において、前記感知部は複数の小格子にて構成され、各前記小格子の前記第2方向に沿った長さをLvs、前記第1方向に沿った長さをLhsとしたとき、0.57<Lvs/Lhs<1.74を満足することを特徴とする。
[14] 第1及び第2の本発明において、前記感知部の辺の周囲に、複数の補助線からなる補助パターンが配列されて構成され、前記補助パターンは、2つの前記補助線がL字状に組み合わされたL字状パターンを有することを特徴とする。
[15] 第3の本発明に係る導電性フイルムは、基体と、基体の一方の主面に形成された導電部とを有し、前記導電部は、メッシュパターンから構成されており、当該メッシュパターンの開口部はひし形状を有し、前記ひし形状の一方の対角線の長さをLv、他方の対角線の長さをLhとしたとき、0.57<Lvp/Lhp<1.74を満足することを特徴とする。
[16] 第4の本発明に係る表示装置は、表示パネル上に設置された導電性フイルムを備える表示装置であって、前記導電性フイルムは、基体と、基体の一方の主面に形成された導電部とを有し、前記表示装置の画素の配列方向を第1方向としたとき、前記導電部は、それぞれ第1方向に延在し、且つ、前記第1方向と直交する第2方向に配列された金属細線による2以上の導電パターンを有し、前記導電パターンは、2以上の感知部が前記第1方向に接続されて構成され、各前記感知部の前記第2方向に沿った長さをLv、前記第1方向に沿った長さをLhとしたとき、0.57<Lv/Lh<1.74を満足することを特徴とする。
[17] 第5の本発明に係る表示装置は、表示パネル上に設置された導電性フイルムを備える表示装置であって、前記導電性フイルムは、基体と、基体の一方の主面に形成された第1導電部と、基体の他方の主面に形成された第2導電部とを有し、前記表示装置の画素の配列方向を第1方向としたとき、前記第1導電部は、それぞれ第1方向に延在し、且つ、前記第1方向と直交する第2方向に配列された2以上の第1導電パターンを有し、前記第2導電部は、それぞれ第2方向に延在し、且つ、前記第1方向に配列された2以上の第2導電パターンを有し、前記第1導電パターンは、2以上の第1の感知部が前記第1方向に接続されて構成され、前記第2導電パターンは、2以上の第2の感知部が前記第2方向に接続されて構成され、各前記第1の感知部の前記第2方向に沿った長さをLva、前記第1方向に沿った長さをLhaとし、各前記第2の感知部の前記第2方向に沿った長さをLvb、前記第1方向に沿った長さをLhbとしたとき、0.57<Lva/Lha<1.74、0.57<Lvb/Lhb<1.74を満足することを特徴とする。
[18] 第4及び第5の本発明において、各前記感知部がそれぞれ複数の金属細線によるメッシュパターンにて構成され、前記金属細線のピッチが100〜400μmであることを特徴とする。
[19] 第4及び第5の本発明において、各前記感知部がそれぞれ複数の金属細線によるメッシュパターンにて構成され、前記金属細線の線幅が30μm以下であることを特徴とする。
[20] 第4及び第5の本発明において、前記感知部は複数の小格子にて構成され、各前記小格子の前記第2方向に沿った長さをLvs、前記第1方向に沿った長さをLhsとしたとき、0.57<Lvs/Lhs<1.74を満足することを特徴とする。
[21] 第4及び第5の本発明において、前記感知部の辺の周囲に、複数の補助線からなる補助パターンが配列されて構成され、前記補助パターンは、2つの前記補助線がL字状に組み合わされたL字状パターンを有することを特徴とする。
[22] 第6の本発明に係る表示装置は、表示パネル上に設置された導電性フイルムを備える表示装置であって、前記導電性フイルムは、基体と、基体の一方の主面に形成された導電部とを有し、前記導電部は、メッシュパターンから構成されており、当該メッシュパターンの開口部はひし形状を有し、前記ひし形状の一方の対角線の長さをLv、他方の対角線の長さをLhとしたとき、0.57<Lvp/Lhp<1.74を満足することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
一般に、表示装置に電磁波シールド機能やタッチパネル機能等を付与する場合には、導電性フイルムが必要であり、例えばメッシュパターンを有する導電性フイルムではモアレが生じることがある。しかし、本発明に係る導電性フイルムによれば、表示パネルに設置しても、モアレが発生し難くなる。しかも、高歩留まりで生産することができる。
また、本発明に係る表示装置によれば、表示パネルに本発明に係る導電性フイルムを設置するようにしたので、電磁波シールドやタッチパネルとして使用した場合に、低抵抗化を図ることができると共に、汎用のタッチパネルに使用してもモアレが発生し難い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施の形態に係る導電性フイルムの一例を示す平面図である。
【図2】導電性フイルムの一例を一部省略して示す断面図である。
【図3】導電性フイルムが設置される表示装置の画素配列の一例を一部省略して示す平面図である。
【図4】メッシュ形状(ひし形)の大きさ(縦横比)を説明するための図である。
【図5】表示装置上に導電性フイルムを設置した例を一部省略して示す平面図である。
【図6】導電性フイルムによる積層導電性フイルムを有するタッチパネルの構成を示す分解斜視図である。
【図7】第1の実施の形態に係る積層導電性フイルムを一部省略して示す分解斜視図である。
【図8】図8Aは積層導電性フイルムの一例を一部省略して示す断面図であり、図8Bは積層導電性フイルムの他の例を一部省略して示す断面図である。
【図9】第1の実施の形態に係る第1導電性フイルムに形成される第1導電部のパターン例を示す平面図である。
【図10】第1大格子の大きさ(縦横比)を説明するための図である。
【図11】小格子の大きさ(縦横比)を説明するための図である。
【図12】第1の実施の形態に係る第2導電性フイルムに形成される第2導電部のパターン例を示す平面図である。
【図13】第2大格子の大きさ(縦横比)を説明するための図である。
【図14】第1の実施の形態に係る第1導電性フイルムと第2導電性フイルムを組み合わせて積層導電性フイルムとした例を一部省略して示す平面図である。
【図15】第1補助線と第2補助線によって1つのラインが形成された状態を示す説明図である。
【図16】第2の実施の形態に係るタッチパネル用導電性フイルムを一部省略して示す分解斜視図である。
【図17】図17Aはタッチパネル用導電性フイルムの一例を一部省略して示す断面図であり、図17Bはタッチパネル用導電性フイルムの他の例を一部省略して示す断面図である。
【図18】第2の実施の形態に係る第1導電性フイルムに形成される第1導電部のパターン例を示す平面図である。
【図19】第2の実施の形態に係る第2導電性フイルムに形成される第2導電部のパターン例を示す平面図である。
【図20】第2の実施の形態に係る第1導電性フイルムと第2導電性フイルムを組み合わせてタッチパネル用導電性フイルムとした例を一部省略して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る導電性フイルム及び導電性フイルムを用いた表示装置の実施の形態例を図1〜図20を参照しながら説明する。なお、本明細書において数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
【0009】
先ず、第1の実施の形態について、図1〜図15を参照しながら説明する。第1の実施の形態に係る導電性フイルム10は、図1及び図2に示すように、透明基体12(図2参照)と、透明基体12の一方の主面に形成された導電部14とを有する。導電部14は、金属製の細線(以下、金属細線16と記す)と開口部18によるメッシュパターン20を有する。金属細線16は例えば金(Au)、銀(Ag)又は銅(Cu)で構成されている。
具体的には、導電部14は、第1傾斜方向(図1においてx方向)に延び、且つ、第2傾斜方向(図1においてy方向)にピッチPsで並ぶ複数の第1金属細線16aと、第2傾斜方向に延び、且つ、第1傾斜方向にピッチPsで並ぶ複数の第2金属細線16bとがそれぞれ交差して形成されたメッシュパターン20を有する。この場合、第1傾斜方向は基準方向(例えば水平方向)に対して+30°以上+60°以下の角度で傾斜し、第2傾斜方向は基準方向に対して−30°以上−60°以下の角度で傾斜している。従って、メッシュパターン20の1つのメッシュ形状22、すなわち、1つの開口部18と、該1つの開口部18を囲む4つの金属細線16の組み合わせ形状は、頂角部が60°以上120°以下のひし形となる。
【0010】
そして、この導電性フイルム10は、例えば図3に示す表示装置30の電磁波シールドフイルムや、タッチパネル用の導電性フイルムとして利用される。表示装置30としては液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL、無機EL等が挙げられる。
ここで、ピッチPs(細線ピッチPsとも記す)は、100μm以上400μm以下から選択可能である。また、金属細線16の線幅は、30μm以下から選択可能である。導電性フイルム10を電磁波シールドフイルムとして使用する場合には、金属細線16の線幅は1μm以上20μm以下が好ましく、1μm以上9μm以下がより好ましく、2μm以上7μm以下がさらに好ましい。導電性フイルム10をタッチパネルの導電性フイルムとして使用する場合には、金属細線16の線幅は0.1μm以上15μm以下が好ましく、1μm以上9μm以下がより好ましく、2μm以上7μm以下がさらに好ましい。
【0011】
表示装置30は、図3に一部を省略して示すように、複数の画素32がマトリクス状に配列されて構成されている。1つの画素32は3つの副画素(赤色副画素32r、緑色副画素32g及び青色副画素32b)が水平方向に配列されて構成されている。1つの副画素は垂直方向に縦長とされた長方形状とされている。画素32の水平方向の配列ピッチ(水平画素ピッチPh)と画素32の垂直方向の配列ピッチ(垂直画素ピッチPv)はほぼ同じとされている。つまり、1つの画素32と該1つの画素32を囲むブラックマトリクスにて構成される形状(網掛けにて示す領域34を参照)は正方形となっている。また、1つの画素32のアスペクト比は1ではなく、水平方向(横)の長さ>垂直方向(縦)の長さとなっている。
【0012】
ここで、図4に示すように、メッシュ形状22のひし形の大きさについて説明する。ひし形の垂直方向に関する対角線(一方の対角線)の長さをLvpとし、ひし形の水平方向に関する対角線(他方の対角線)の長さをLhpとしたとき、ひし形の大きさ、すなわち、ひし形の縦横比(Lvp/Lhp)は、
0.57<Lvp/Lhp<1.74
を満足するように設定される。
水平方向がタッチパネル50が設置される表示装置30(図3参照)の画素32の配列方向と同じであれば、上述のひし形の縦横比(Lvp/Lhp)は、0.57<Lvp/Lhp<1.00あるいは1.00<Lvp/Lhp<1.74に設定され、より好ましくは0.62<Lvp/Lhp<0.81あるいは1.23<Lvp/Lhp<1.61に設定される。
【0013】
そして、このような画素配列を有する表示装置30の表示パネル上に導電性フイルム10を設置すると、図5に示すように、金属細線16は、表示装置30における画素32の水平の配列方向(m方向の配列)に対して一定の傾斜角度θを持つことになる。また、導電性フイルム10における細線ピッチPsと、表示装置30における1つの画素32の対角線の長さLa1(あるいは縦方向に隣接する2つの画素32の対角線の長さLa2)とがほぼ同じあるいは近接した値となり、導電性フイルム10における金属細線16の配列方向と、表示装置30における1つの画素32の対角線(あるいは縦方向に隣接する2つの画素32の対角線)の方向もほぼ同じあるいは近接することとなる。その結果、画素32の配列周期と金属細線16の配列周期とのずれが小さくなり、モアレの発生が抑制されることになる。
従って、導電性フイルム10を例えば電磁波シールドフイルムとして使用する場合、導電性フイルム10は表示装置30における表示パネル上に配置されることになるが、上述したように、画素の配列周期と金属細線16の配列周期とのずれが小さくなり、モアレの発生が抑制される。しかも、メッシュパターン20を構成する金属細線16のピッチPsを、100μm以上400μm以下とし、金属細線16の線幅を、30μm以下としたので、高い電磁波シールド性と高い透光性とを同時に持たせることができる。
【0014】
次に、タッチパネルを有する表示装置、例えば投影型静電容量方式のタッチパネルを有する表示装置について図6〜図15を参照しながら説明する。
先ず、タッチパネル50は、センサ本体52と図示しない制御回路(IC回路等で構成)とを有する。センサ本体52は、図6、図7及び図8Aに示すように、後述する第1導電性フイルム10Aと第2導電性フイルム10Bとを積層して構成された積層導電性フイルム54と、その上に積層された保護層56(図8Aでは保護層56の記述を省略している)とを有する。積層導電性フイルム54及び保護層56は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置30における表示パネル58上に配置されるようになっている。センサ本体52は、上面から見たときに、表示パネル58の表示画面58aに対応した領域に配されたセンサ部60と、表示パネル58の外周部分に対応する領域に配された端子配線部62(いわゆる額縁)とを有する。
【0015】
タッチパネル50に適用した第1導電性フイルム10Aは、図7及び図9に示すように、第1透明基体12A(図8A参照)の一主面上に形成された第1導電部14Aを有する。この第1導電部14Aは、それぞれ水平方向(m方向)に延在し、且つ、第3方向と直交する垂直方向(n方向)に配列され、多数の格子にて構成された金属細線16による2以上の第1導電パターン64A(メッシュパターン)と、各第1導電パターン64Aの周辺に配列された金属細線16による第1補助パターン66Aとを有する。
各第1導電パターン116Aは、2以上の第1大格子68A(第1感知部)が水平方向に直列に接続されて構成され、各第1大格子68Aは、それぞれ2以上の小格子70が組み合わされて構成されている。また、第1大格子68Aの辺の周囲に、第1大格子68Aと非接続とされた上述の第1補助パターン66Aが形成されている。m方向は、例えば後述する投影型静電容量方式のタッチパネル50(図6参照)の水平方向(又は垂直方向)あるいはタッチパネル50を設置した表示パネル58の水平方向(又は垂直方向)を示す。小格子70は、ここでは一番小さいひし形とされ、上述した1つのメッシュ形状22(図1及び図4参照)と同じ形状あるいは相似形状とされている。
【0016】
ここで、第1大格子68Aの大きさについて図10を参照しながら説明する。先ず、第1大格子68Aの4つの辺部(第1辺部69a〜第4辺部69d)のうち、水平方向(m方向)に隣接する第1辺部69aと第2辺部69bとの交点を第1頂点71a、同じく水平方向に隣接する第3辺部69c(第1辺部69aと対向する辺部)と第4辺部69d(第2辺部69bと対向する辺部)との交点を第2頂点71bとする。
同様に、第1大格子68Aの4つの辺部(第1辺部69a〜第4辺部69d)のうち、垂直方向(n方向)に隣接する第1辺部69aの延長線と第4辺部69dとの交点を第3頂点71c、同じく垂直方向に隣接する第2辺部69bと第3辺部69cの延長線との交点を第4頂点71dとする。
【0017】
そして、第1頂点71aと第2頂点71b間の垂直方向に沿った距離Lvaを、第1大格子68Aの第2方向に沿った長さとし、第3頂点71cと第4頂点71d間の水平方向に沿った距離Lhaを、第1大格子68Aの第1方向に沿った長さとする。
この場合に、第1大格子68Aの大きさ、すなわち、第1大格子68Aの縦横比(Lva/Lha)は、
0.57<Lva/Lha<1.74
を満足するように設定される。
水平方向(m方向)がタッチパネル50が設置される表示装置30(図6参照)の画素の配列方向と同じであれば、上述の第1大格子68Aの縦横比(Lva/Lha)は、0.57<Lva/Lha<1.00あるいは1.00<Lva/Lha<1.74に設定され、より好ましくは0.62<Lva/Lha<0.81あるいは1.23<Lva/Lha<1.61に設定される。
【0018】
これは、小格子70においても同様であり、図11に示すように、垂直方向に関する対角線70v(一方の対角線)の長さをLvsとし、小格子70の水平方向に関する対角線70h(他方の対角線)の長さをLhsとしたとき、小格子70の大きさ、すなわち、小格子70の縦横比(Lvs/Lhs)は、
0.57<Lvs/Lhs<1.74
を満足するように設定される。
この場合も、水平方向がタッチパネル50が設置される表示装置30(図6参照)の画素の配列方向と同じであれば、上述の小格子70の縦横比(Lvs/Lhs)は、0.57<Lvs/Lhs<1.00あるいは1.00<Lvs/Lhs<1.74に設定され、より好ましくは0.62<Lvs/Lhs<0.81あるいは1.23<Lvs/Lhs<1.61に設定される。
また、小格子70の線幅、すなわち、金属細線16の線幅は、上述したように、30μm以下から選択可能である。小格子70の一辺の長さは100μm以上400μm以下から選択可能である。なお、第1大格子68Aの第1辺部69a(及び第3辺部69c)に沿った方向が第1傾斜方向(x方向)であり、第2辺部69b(及び第4辺部69d)に沿った方向が第2傾斜方向(y方向)である。
【0019】
図9に示すように、隣接する第1大格子68A間には、これら第1大格子68Aを電気的に接続する金属細線16による第1接続部72Aが形成されている。第1接続部72Aは、n個(nは1より大きい実数)の小格子70が第2傾斜方向(y方向)に配列された大きさの中格子74が配置されて構成されている。第1大格子68Aの第1傾斜方向に沿った辺のうち、中格子74と隣接する部分には、小格子70の1つの辺が欠除した第1欠除部76Aが形成されている。中格子74は、図9の例では、3個分の小格子70が第2傾斜方向に配列された大きさを有する。
また、隣接する第1導電パターン64A間は電気的に絶縁された第1絶縁部78Aが配されている。
ここで、第1補助パターン66Aは、第1大格子118Aの辺のうち、第1傾斜方向に沿った辺に沿って配列された複数の第1補助線80A(第2傾斜方向を軸線方向とする)と、第1大格子68Aの辺のうち、第2傾斜方向に沿った辺に沿って配列された複数の第1補助線80A(第1傾斜方向を軸線方向とする)と、第1絶縁部78Aにおいて、それぞれ2つの第1補助線80AがL字状に組み合わされた2つの第1L字状パターン82Aが互いに対向して配置されたパターンとを有する。
【0020】
第1大格子68Aの一辺の長さは、3〜10mmであることが好ましく、4〜6mmであることがより好ましい。一辺の長さが、上記下限値未満であると、第1導電性フイルム10Aを例えばタッチパネルに利用した場合に、検出時の第1大格子68Aの静電容量が減るため、検出不良になる可能性が高くなる。他方、上記上限値を超えると、位置検出精度が低下する虞がある。同様の観点から、第1大格子68Aを構成する小格子70の一辺の長さは、上述したように、100〜400μmであることが好ましく、150〜300μmであることがさらに好ましく、最も好ましくは210〜250μm以下である。小格子70が上記範囲である場合には、さらに透明性も良好に保つことが可能であり、表示装置の前面にとりつけた際に、違和感なく表示を視認することができる。
【0021】
上述のように構成された第1導電性フイルム10Aは、図7に示すように、各第1導電パターン64Aの一方の端部側に存在する第1大格子68Aの開放端は、第1接続部72Aが存在しない形状となっている。各第1導電パターン64Aの他方の端部側に存在する第1大格子68Aの端部は、第1結線部84aを介して金属細線16による第1端子配線パターン86aに電気的に接続されている。
すなわち、タッチパネル50に適用した第1導電性フイルム10Aは、図6及び図7に示すように、センサ部60に対応した部分に、上述した多数の第1導電パターン64Aが配列され、端子配線部62には各第1結線部84aから導出された複数の第1端子配線パターン86aが配列されている。
図6の例では、第1導電性フイルム10Aの外形は、上面から見て長方形状を有し、センサ部60の外形も長方形状を有する。端子配線部62のうち、第1導電性フイルム10Aの一方の長辺側の周縁部には、その長さ方向中央部分に、複数の第1端子88aが前記一方の長辺の長さ方向に配列形成されている。また、センサ部60の一方の長辺(第1導電性フイルム10Aの一方の長辺に最も近い長辺:n方向)に沿って複数の第1結線部84aが直線状に配列されている。各第1結線部84aから導出された第1端子配線パターン86aは、第1導電性フイルム10Aの一方の長辺におけるほぼ中央部に向かって引き回され、それぞれ対応する第1端子88aに電気的に接続されている。
【0022】
一方、第2導電性フイルム10Bは、図7、図8A及び図12に示すように、第2透明基体12B(図8A参照)の一主面上に形成された第2導電部14Bを有する。この第2導電部14Bは、それぞれ垂直方向(n方向)に延在し、且つ、水平方向(m方向)に配列され、多数の格子にて構成された金属細線16による2以上の第2導電パターン64B(メッシュパターン)と、各第2導電パターン64Bの周辺に配列された金属細線16による第2補助パターン66Bとを有する。
第2導電パターン64Bは、2以上の第2大格子68B(第2感知部)が垂直方向(n方向)に直列に接続されて構成され、各第2大格子68Bは、それぞれ2以上の小格子70が組み合わされて構成されている。また、第2大格子68Bの辺の周囲に、第2大格子68Bと非接続とされた上述の第2補助パターン66Bが形成されている。
【0023】
ここで、第2大格子68Bの大きさについて図13を参照しながら説明する。先ず、第2大格子68Bの4つの辺部(第5辺部69e〜第8辺部69h)のうち、水平方向に隣接する第5辺部69eと第6辺部69fの延長線との交点を第5頂点71e、同じく水平方向に隣接する第7辺部69g(第5辺部69eと対向する辺部)と第8辺部69h(第6辺部69fと対向する辺部)の延長線との交点を第6頂点71fとする。
同様に、第2大格子68Bの4つの辺部(第5辺部69e〜第8辺部69h)のうち、垂直方向に隣接する第5辺部69eと第8辺部69hとの交点を第7頂点71g、同じく垂直方向に隣接する第6辺部69fと第7辺部69gとの交点を第8頂点71hとする。
【0024】
そして、第5頂点71eと第6頂点71f間の垂直方向(n方向)に沿った距離Lvbを、第2大格子68Bの第2方向に沿った長さとし、第7頂点71gと第8頂点71h間の水平方向(m方向)に沿った距離Lhbを、第2大格子68Bの第1方向に沿った長さとする。
この場合に、第2大格子68Bの大きさ、すなわち、第2大格子68Bの縦横比(Lvb/Lhb)は、
0.57<Lvb/Lhb<1.74
を満足するように設定される。
【0025】
水平方向(m方向)がタッチパネル50が設置される表示装置30(図6参照)の画素の配列方向と同じであれば、上述の第2大格子68Bの縦横比(Lvb/Lhb)は、0.57<Lvb/Lhb<1.00あるいは1.00<Lvb/Lhb<1.74に設定され、より好ましくは0.62<Lvb/Lhb<0.81あるいは1.23<Lvb/Lhb<1.61に設定される。
なお、第1傾斜方向(x方向)は第2大格子118Bの第5辺部69e(及び第7辺部69g)に沿った方向となり、第2傾斜方向(y方向)は第2大格子16Bの第6辺部69f(及び第8辺部69h)に沿った方向となる。
【0026】
隣接する第2大格子68B間には、これら第2大格子68Bを電気的に接続する金属細線16による第2接続部72Bが形成されている。第2接続部72Bは、n個(nは1より大きい実数)の小格子70が第1傾斜方向(x方向)に配列された大きさの中格子74が配置されて構成されている。第2大格子68Bの第2傾斜方向に沿った辺のうち、中格子74と隣接する部分には、小格子70の1つの辺が欠除した第2欠除部76Bが形成されている。
また、隣接する第2導電パターン64B間は電気的に絶縁された第2絶縁部78Bが配されている。
第2補助パターン66Bは、第2大格子68Bの辺のうち、第1傾斜方向に沿った辺に沿って配列された複数の第2補助線80B(第2傾斜方向を軸線方向とする)と、第2大格子68Bの辺のうち、第2傾斜方向に沿った辺に沿って配列された複数の第2補助線80B(第1傾斜方向を軸線方向とする)と、第2絶縁部78Bにおいて、それぞれ2つの第2補助線80BがL字状に組み合わされた2つの第2L字状パターン82Bが互いに対向して配置されたパターンとを有する。
【0027】
上述のように構成された第2導電性フイルム10Bは、図6及び図7に示すように、1つ置き(例えば奇数番目)の第2導電パターン64Bの一方の端部側に存在する第2大格子68Bの開放端、並びに偶数番目の第2導電パターン64Bの他方の端部側に存在する第2大格子68Bの開放端には、それぞれ第2接続部72Bが存在しない形状となっている。一方、奇数番目の各第2導電パターン64Bの他方の端部側に存在する第2大格子68Bの端部、並びに偶数番目の各第2導電パターン64Bの一方の端部側に存在する第2大格子68Bの端部は、それぞれ第2結線部84bを介して金属細線16による第2端子配線パターン86bに電気的に接続されている。
すなわち、タッチパネル50に適用した第2導電性フイルム10Bは、図7に示すように、センサ部60に対応した部分に、多数の第2導電パターン64Bが配列され、端子配線部62には各第2結線部84bから導出された複数の第2端子配線パターン86bが配列されている。
【0028】
図6に示すように、端子配線部62のうち、第2導電性フイルム10Bの一方の長辺側の周縁部には、その長さ方向中央部分に、複数の第2端子88bが前記一方の長辺の長さ方向に配列形成されている。また、センサ部60の一方の短辺(第2導電性フイルム10Bの一方の短辺に最も近い短辺:m方向)に沿って複数の第2結線部84b(例えば奇数番目の第2結線部84b)が直線状に配列され、センサ部60の他方の短辺(第2導電性フイルム10Bの他方の短辺に最も近い短辺:m方向)に沿って複数の第2結線部84b(例えば偶数番目の第2結線部84b)が直線状に配列されている。
複数の第2導電パターン64Bのうち、例えば奇数番目の第2導電パターン64Bが、それぞれ対応する奇数番目の第2結線部84bに接続され、偶数番目の第2導電パターン64Bが、それぞれ対応する偶数番目の第2結線部84bに接続されている。奇数番目の第2結線部84bから導出された第2端子配線パターン86b並びに偶数番目の第2結線部84bから導出された第2端子配線パターン86bは、第2導電性フイルム10Bの一方の長辺におけるほぼ中央部に向かって引き回され、それぞれ対応する第2端子88bに電気的に接続されている。
なお、第1端子配線パターン86aの導出形態を上述した第2端子配線パターン86bと同様にし、第2端子配線パターン86bの導出形態を上述した第1端子配線パターン86aと同様にしてもよい。
【0029】
第2大格子68Bの一辺の長さは、上述した第1大格子68Aと同様に、3〜10mmであることが好ましく、4〜6mmであることがより好ましい。一辺の長さが、上記下限値未満であると、検出時の第2大格子68Bの静電容量が減るため、検出不良になる可能性が高くなる。他方、上記上限値を超えると、位置検出精度が低下する虞がある。同様の観点から、第2大格子68Bを構成する小格子70の一辺の長さは100〜400μm以下が好ましく、さらに好ましくは150〜300μmであり、最も好ましくは210〜250μm以下である。小格子70が上記範囲である場合には、さらに透明性も良好に保つことが可能であり、表示装置30の表示パネル58上にとりつけた際に、違和感なく表示を視認することができる。
第1補助パターン66A(第1補助線80A)及び第2補助パターン66B(第2補助線80B)の線幅はそれぞれ30μm以下である。この場合、第1導電パターン64Aの線幅や第2導電パターン64Bの線幅と同じでもよく、異なっていてもよい。ただ、第1導電パターン64A、第2導電パターン64B、第1補助パターン66A及び第2補助パターン66Bの各線幅を同じにすることが好ましい。
【0030】
そして、例えば第2導電性フイルム10B上に第1導電性フイルム10Aを積層して積層導電性フイルム54としたとき、図14に示すように、第1導電パターン64Aと第2導電パターン64Bとが交差して配置された形態とされ、具体的には、第1導電パターン64Aの第1接続部72Aと第2導電パターン64Bの第2接続部72Bとが第1透明基体12A(図8A参照)を間に挟んで対向し、第1導電部14Aの第1絶縁部78Aと第2導電部14Bの第2絶縁部78Bとが第1透明基体12Aを間に挟んで対向した形態となる。
積層導電性フイルム54を上面から見たとき、図14に示すように、第1導電性フイルム10Aに形成された第1大格子68Aの隙間を埋めるように、第2導電性フイルム10Bの第2大格子68Bが配列された形態となる。このとき、第1大格子68Aと第2大格子68Bとの間に、第1補助パターン66Aと第2補助パターン66Bとが対向することによる組合せパターン90が形成される。組合せパターン90は、図15に示すように、第1補助線80Aの第1軸線92Aと第2補助線80Bの第2軸線92Bとが一致し、且つ、第1補助線80Aと第2補助線80Bとが重ならず、且つ、第1補助線80Aの一端と第2補助線80Bの一端とが一致し、これにより、小格子70(メッシュ形状)の1つの辺を構成することとなる。つまり、組合せパターン90は、2以上の小格子70(メッシュ形状)が組み合わされた形態となる。その結果、積層導電性フイルム54を上面から見たとき、図14に示すように、多数の小格子70(メッシュ形状)が敷き詰められた形態となる。
【0031】
従って、表示装置30の表示パネル58上に積層導電性フイルム54を設置すると、例えば図5に示すように、第1傾斜方向(x方向)に延び、且つ、第2傾斜方向(y方向)にピッチPs(細線ピッチ)で並ぶ複数の金属細線16と、第2傾斜方向に延び、且つ、第1傾斜方向に細線ピッチPsで並ぶ複数の金属細線16とがそれぞれ交差して形成されたメッシュパターン20となり、金属細線16が、表示装置30における画素32の水平の配列方向(m方向の配列)に対して一定の傾斜角度θを持つことになる。また、積層導電性フイルム54における細線ピッチPsと、表示装置30における1つの画素32の対角線の長さLa1(あるいは縦方向に隣接する2つの画素32の対角線の長さLa2)とがほぼ同じあるいは近接した値となり、積層導電性フイルム54における金属細線16の配列方向と、表示装置30における1つの画素32の対角線(あるいは縦方向に隣接する2つの画素32の対角線)の方向もほぼ同じあるいは近接することとなる。その結果、画素32の配列周期と金属細線16の配列周期とのずれが小さくなり、モアレの発生が抑制されることになる。また、積層導電性フイルム54間において第1大格子68Aの縦横比及び第2大格子68Bの縦横比にばらつきがあってもモアレが発生しにくいという効果を得ることができ、積層導電性フイルム54の歩留まりの向上を図ることができる。
【0032】
そして、この積層導電性フイルム54をタッチパネルとして使用する場合は、第1導電性フイルム10A上に保護層56を形成し、第1導電性フイルム10Aの多数の第1導電パターン64Aから導出された第1端子配線パターン86aと、第2導電性フイルム10Bの多数の第2導電パターン64Bから導出された第2端子配線パターン86bとを、例えばスキャンをコントロールする制御回路に接続する。
タッチ位置の検出方式としては、自己容量方式や相互容量方式を好ましく採用することができる。すなわち、自己容量方式であれば、第1導電パターン64Aに対して順番にタッチ位置検出のための電圧信号を供給し、第2導電パターン64Bに対して順番にタッチ位置検出のための電圧信号を供給する。指先が保護層56の上面に接触又は近接させることで、タッチ位置に対向する第1導電パターン64A及び第2導電パターン64BとGND(グランド)間の容量が増加することから、当該第1導電パターン64A及び第2導電パターン64Bからの伝達信号の波形が他の導電パターンからの伝達信号の波形と異なった波形となる。従って、制御回路では、第1導電パターン64A及び第2導電パターン64Bから供給された伝達信号に基づいてタッチ位置を演算する。一方、相互容量方式の場合は、例えば第1導電パターン64Aに対して順番にタッチ位置検出のための電圧信号を供給し、第2導電パターン64Bに対して順番にセンシング(伝達信号の検出)を行う。指先が保護層56の上面に接触又は近接させることで、タッチ位置に対向する第1導電パターン64Aと第2導電パターン64B間の寄生容量に対して並列に指の浮遊容量が加わることから、当該第2導電パターン64Bからの伝達信号の波形が他の第2導電パターン64Bからの伝達信号の波形と異なった波形となる。従って、制御回路では、電圧信号を供給している第1導電パターン64Aの順番と、供給された第2導電パターン64Bからの伝達信号に基づいてタッチ位置を演算する。このような自己容量方式又は相互容量方式のタッチ位置の検出方法を採用することで、保護層56の上面に同時に2つの指先を接触又は近接させても、各タッチ位置を検出することが可能となる。なお、投影型静電容量方式の検出回路に関する先行技術文献として、米国特許第4,582,955号明細書、米国特許第4,686,332号明細書、米国特許第4,733,222号明細書、米国特許第5,374,787号明細書、米国特許第5,543,588号明細書、米国特許第7,030,860号明細書、米国公開特許2004/0155871号明細書等がある。
【0033】
次に第2の実施の形態について、図16〜図20を参照しながら説明する。第2の実施の形態に係る積層導電性フイルム104は、第1の実施の形態に係る積層導電性フイルム54と同様、図16に示すように第1導電性フイルム110Aと第2導電性フイルム110Bとが積層されて構成され、例えば、図6に示すタッチパネル50を有する表示装置30のセンサ本体52を構成し得る。また、導電性フイルム110(第1導電性フイルム110A、第2導電性フイルム110B)は、例えば図3に示す表示装置30の電磁波シールドフイルムや、タッチパネル用の導電性フイルムとして利用される。
【0034】
第1導電性フイルム110Aは、図16、図17A及び図18に示すように、第1透明基体112A(図17A参照)の一主面上に形成された第1導電部114Aを有する。この第1導電部114Aは、それぞれ水平方向(m方向)に延在し、且つ、水平方向と直交する垂直方向(n方向)に配列され、多数の格子にて構成された金属細線16による2以上の第1導電パターン116A(メッシュパターン)と、各第1導電パターン116Aの周辺に配列された金属細線16による第1補助パターン120Aとを有する。なお、水平方向(m方向)は、例えば投影型静電容量方式のタッチパネル50の水平方向(又は垂直方向)あるいはタッチパネル50を設置した表示パネル58の水平方向(又は垂直方向)を示す。小格子70は、ここでは一番小さいひし形とされ、上述した第1の実施の形態の1つのメッシュ形状22(図1及び図4参照)と同じ形状あるいは相似形状とされている。
【0035】
従って、本実施の形態における小格子70も第1の実施の形態と同様、図11に示すように、小格子70の縦横比(Lvs/Lhs)は、
0.57<Lvs/Lhs<1.74
を満足するように設定され、この場合も、水平方向がタッチパネル50が設置される表示装置30(図6参照)の画素の配列方向と同じであれば、上述の小格子70の縦横比(Lvs/Lhs)は、0.57<Lvs/Lhs<1.00あるいは1.00<Lvs/Lhs<1.74に設定され、より好ましくは0.62<Lvs/Lhs<0.81あるいは1.23<Lvs/Lhs<1.61に設定される。また、小格子70の線幅、すなわち、金属細線16の線幅は、上述したように、30μm以下から選択可能であり、小格子70の一辺の長さは100μm以上400μm以下から選択可能である。
【0036】
各第1導電パターン116Aは、2以上の第1大格子118A(第1感知部)が水平方向(m方向)に直列に接続されて構成され、各第1大格子118Aは、それぞれ2以上の小格子70が組み合わされて構成されている。また、第1大格子118Aの辺の周囲に、第1大格子118Aと非接続とされた上述の第1補助パターン120Aが形成されている。
【0037】
第1大格子118Aは、略ひし形状を有し、その各斜辺には、1以上の段差122を有する第1階段状パターン124Aが形成されている。段差122の高さは、小格子70の高さの整数倍に等しい。図18の例では、第1大格子118Aの斜辺には、2つの段差122が垂直方向の頂角部から水平方向の頂角部に向かって、3個目と7個目の小格子70の位置に段差122が形成されており、その段差122の高さは、1個の小格子70の高さに等しくなっている。また、第1階段状パターン124Aは、第1大格子118Aにおける垂直方向の頂角部から水平方向の頂角部に向かって、段差122を介して小格子70の列が減少する構成を有している。
【0038】
第1大格子118Aは、上記したように略ひし形状であるが、より詳細には、水平方向の頂角の小格子70が欠除したソロバン珠形状を有している。すなわち、水平方向の2つの頂角部には、それぞれ垂直方向にr個(rは1より大きい整数)の小格子70が並んだ第1上底部126Aが形成され、垂直方向の2つの頂角部には、1つの小格子70が位置して、それ自体が頂角をなしている。図18では、第1大格子118Aの水平方向の2つの頂角部に、それぞれ垂直方向に4個の小格子70が並び、第1上底部126Aを構成している。
【0039】
なお、この場合に、第1大格子118Aの縦横比(Lva/Lha)を、便宜的に第1大格子118Aに内包される最大の大きさのひし形、すなわち水平方向の2つの第1上底部126A間に形成されるひし形の縦横比を用いて表すと、
0.57<Lva/Lha<1.74
を満足するように設定される。
水平方向(m方向)がタッチパネル50が設置される表示装置30(図6参照)の画素の配列方向と同じであれば、上述の第1大格子118Aの縦横比(Lva/Lha)は、0.57<Lva/Lha<1.00あるいは1.00<Lva/Lha<1.74に設定され、より好ましくは0.62<Lva/Lha<0.81あるいは1.23<Lva/Lha<1.61に設定される。
【0040】
さらに、第1大格子118Aの水平方向の2つの第1上底部126Aと、第1傾斜方向(x方向)の斜辺とが隣接する部分には、小格子70の一辺が欠除した第1欠除部128Aが設けられている。
【0041】
図18に示すように、水平方向に隣接する第1大格子118A間には、これら第1大格子118Aを接続する金属細線16による第1接続部132Aが形成されている。第1接続部132Aは、n個(nは1より大きい整数)の小格子70が第2傾斜方向(y方向)に配列された大きさの第1中格子134Aと、小格子70が第2傾斜方向にp個(pは1より大きい整数)、第1傾斜方向にq個(qは1より大きい整数)の小格子70がp×qで配列された大きさの第1中格子136Aによって構成されている。図18の例では、第1中格子134Aは、nが7であり、7個分の小格子70が第2傾斜方向に配列された大きさを有し、第1中格子136Aは、第2傾斜方向のpが3、第1傾斜方向のqが5であり、合計15個分の小格子70が配列された大きさを有する。
【0042】
また、第1中格子136Aと第1大格子118Aとが隣接する部分には、上記した小格子70の1つの辺が欠除した第1欠除部128Aが位置している。
【0043】
さらに、水平方向に隣接する第1導電パターン116A間は、それぞれの第1大格子118Aを互いに非接続とする第1非接続部138Aが配されている。
【0044】
第1導電部114Aには、第1大格子118Aの辺の周囲に、第1大格子118Aと非接続とされた上述の第1補助パターン120Aが形成されている。ここで、第1補助パターン120Aは、第1大格子118Aの斜辺のうち、第1傾斜方向に沿った斜辺の第1階段状パターン124Aに沿って配列された複数の第1補助線130A(第2傾斜方向を軸線方向とする)、第1補助線130A(第1傾斜方向を軸線方向とする)と、第1大格子118Aの斜辺のうち、第2傾斜方向に沿った斜辺の第1階段状パターン124Aに沿って配列された複数の第1補助線130A、(第1傾斜方向を軸線方向とする)と第1補助線130A(第2傾斜方向を軸線方向とする)と、2つの第1補助線130AがL字状に組み合わされた第1L字状パターン131Aとを有する。
【0045】
各第1補助線130Aの軸線方向の長さは、小格子70の内周に沿った1つの辺の1/2の長さを有する。また、各第1補助線130Aは、第1大格子118Aから所定距離だけ離間した位置に形成されている。前記所定距離は、小格子70の内周に沿った1つの辺の1/2である。
【0046】
第1L字状パターン131Aには、第1階段状パターン124Aの段差122近傍において第1傾斜方向を軸線方向とする第1補助線130Aと、第2傾斜方向を軸線方向とする第1補助線130Aとが組み合わされ、段差122の隅部に対向する第1L字状パターン131Aと、第1大格子118A間の第1非接続部138Aに配置される第1L字状パターン131Aとを有する。図18に示すように、第1非接続部138Aに配置される第1L字状パターン131Aは、一つの第1大格子118Aの垂直方向の頂角部近傍に配置された2つの第1補助線130Aと、他の隣接する第1大格子118Aの頂角部近傍に配置された2つの第1補助線130Aとが、組み合わされることによって、2つの第1L字状パターン131Aが、水平方向に沿って互いに対向するように形成される。
【0047】
第1大格子118Aを構成する小格子70の一辺の長さは、上述したように、50μm以上であることが好ましく、100〜400μmであることがより好ましく、150〜300μmであることがさらに好ましく、最も好ましくは210〜250μm以下である。小格子70が上記範囲である場合には、さらに透明性も良好に保つことが可能であり、表示装置の前面にとりつけた際に、違和感なく表示を視認することができる。
【0048】
上述のように構成された第1導電性フイルム110Aは、図16に示すように、各第1導電パターン116Aの一方の端部側に存在する第1大格子118Aの開放端は、第1接続部132Aが存在しない形状となっている。各第1導電パターン116Aの他方の端部側に存在する第1大格子118Aの端部は、第1結線部84aを介して金属細線16による第1端子配線パターン86aに接続されている。
【0049】
一方、第2導電性フイルム110Bは、図16、図17A及び図19に示すように、第2透明基体112B(図17A参照)の一主面上に形成された第2導電部114Bを有する。この第2導電部114Bは、それぞれ垂直方向(n方向)に延在し、且つ、水平方向(m方向)に配列され、多数の格子にて構成された金属細線16による2以上の第2導電パターン116B(メッシュパターン)と、各第2導電パターン116Bの周辺に配列された金属細線16による第2補助パターン120Bとを有する。
【0050】
各第2導電パターン116Bは、2以上の第2大格子(第2感知部)118Bが垂直方向(n方向)に直列に接続されて構成され、各第2大格子118Bは、それぞれ2以上の小格子70が組み合わされて構成されている。また、第2大格子118Bの辺の周囲に、第2大格子118Bと非接続とされた上述の第2補助パターン120Bが形成されている。
【0051】
第2大格子118Bは、略ひし形状を有し、その各斜辺には、1以上の段差122を有する第2階段状パターン124Bが形成されている。段差122の高さは、小格子70の高さの整数倍に等しい。図19の例では、第2大格子118Bの斜辺には、2つの段差122が小格子70の4個分の間隔で形成されており、その段差122の高さは、1個の小格子70の高さに等しくなっている。また、第2階段状パターン124Bは、第2大格子118Bにおける水平方向の頂角部から垂直方向の頂角部に向かって、段差122を介して小格子70の列が増加する構成を有している。
【0052】
第2大格子118Bは、上記したように略ひし形状であるが、より詳細には、垂直方向の頂角の小格子70が欠除したソロバン珠形状を有している。すなわち、垂直方向の2つの頂角部には、それぞれ水平方向にr個(rは1より大きい整数)の小格子70が並んだ第2上底部126Bが形成され、水平方向の2つの頂角部には、1つの小格子70が位置して、それ自体が頂角をなしている。図19では、第2大格子118Bの垂直方向の2つの頂角部に、それぞれ水平方向に4個の小格子70が並び、第2上底部126Bを構成している。
【0053】
なお、この場合に、第2大格子118Bの縦横比(Lva/Lha)を、便宜的に第2大格子118Bに内包される最大の大きさのひし形、すなわち水平方向の2つの頂角部間に形成されるひし形の縦横比を用いて表すと、
0.57<Lva/Lha<1.74
を満足するように設定される。
水平方向(m方向)がタッチパネル50が設置される表示装置30(図6参照)の画素の配列方向と同じであれば、上述の第2大格子118Bの縦横比(Lva/Lha)は、0.57<Lva/Lha<1.00あるいは1.00<Lva/Lha<1.74に設定され、より好ましくは0.62<Lva/Lha<0.81あるいは1.23<Lva/Lha<1.61に設定される。
【0054】
さらに、第2大格子118Bの垂直方向の2つの第2上底部126Bと、第2傾斜方向の斜辺とが隣接する部分には、小格子70の一辺が欠除した第2欠除部128Bが設けられている。
【0055】
図19に示すように、垂直方向に隣接する第2大格子118B間には、これら第2大格子118Bを接続する金属細線16による第2接続部132Bが形成されている。第2接続部132Bは、n個(nは1より大きい整数)の小格子70が第1傾斜方向に配列された大きさの第2中格子134Bと、小格子70が第1傾斜方向にp個(pは1より大きい整数)、第2傾斜方向にq個(qは1より大きい整数)の小格子70がp×qで配列された大きさの第2中格子136Bによって構成されている。図19の例では、第2中格子134Bは、nが7であり、7個分の小格子70が第1傾斜方向に配列された大きさを有し、第2中格子136Bは、第1傾斜方向のpが3、第2傾斜方向のqが5であり、合計15個分の小格子70が配列された大きさを有する。
【0056】
また、第2中格子136Bと第2大格子118Bとが隣接する部分には、上記した小格子70の1つの辺が欠除した第2欠除部128Bが位置している。
【0057】
さらに、水平方向に隣接する第2導電パターン116B間は、それぞれの第2大格子118Bを互いに非接続とする第2非接続部138Bが配されている。
【0058】
第2導電部114Bには、第2大格子118Bの辺の周囲に、第2大格子118Bと非接続とされた上述の第2補助パターン120Bが形成されている。ここで、第2補助パターン120Bは、第2大格子118Bの斜辺のうち、第2傾斜方向に沿った斜辺の第1階段状パターン124Bに沿って配列された複数の第2補助線130B(第1傾斜方向を軸線方向とする)、第2補助線130B(第2傾斜方向を軸線方向とする)と、第2大格子118Bの斜辺のうち、第2傾斜方向に沿った斜辺の第1階段状パターン124Bに沿って配列された複数の第2補助線130B、(第2傾斜方向を軸線方向とする)と第2補助線130B(第2傾斜方向を軸線方向とする)と、2つの第2補助線130BがL字状に組み合わされた第2L字状パターン131Bとを有する。
【0059】
各第2補助線130Bの軸線方向の長さは、上述した第1補助線130Aと同様に、小格子70の内周に沿った1つの辺の1/2の長さを有する。また、各第2補助線130Bは、第2大格子118Bから所定距離だけ離間した位置に形成されている。この所定距離についても、上述した第1補助線130Aと同様に、小格子70の内周に沿った1つの辺の1/2である。
【0060】
第2L字状パターン131Bには、第1階段状パターン124Bの段差122近傍において第2傾斜方向を軸線方向とする第2補助線130Bと、第2傾斜方向を軸線方向とする第2補助線130Bとが組み合わされ、段差122の隅部に対向する第2L字状パターン131Bと、第2大格子118B間の第2非接続部138Bに配置される第2L字状パターン131Bとを有する。図19に示すように、第2非接続部138Bに配置される第2L字状パターン131Bは、一つの第2大格子118Bの水平方向の頂角部近傍に配置された2つの第2補助線130Bと、他の隣接する第2大格子118Bの頂角部近傍に配置された2つの第2補助線130Bとが、組み合わされることによって、2つの第2L字状パターン131Bが、垂直方向に沿って互いに対向するように形成される。
【0061】
第2大格子118Bを構成する小格子70の一辺の長さは、上述したように、50μm以上であることが好ましく、100〜400μmであることがより好ましく、150〜300μmであることがさらに好ましく、最も好ましくは210〜250μm以下である。小格子70が上記範囲である場合には、さらに透明性も良好に保つことが可能であり、表示装置の前面にとりつけた際に、違和感なく表示を視認することができる。
【0062】
上述のように構成された第2導電性フイルム110Bは、図16に示すように、1つ置き(例えば奇数番目)の第2導電パターン116Bの一方の端部側に存在する第2大格子118Bの開放端、並びに偶数番目の第2導電パターン116Bの他方の端部側に存在する第2大格子118Bの開放端には、それぞれ第2接続部132Bが存在しない形状となっている。一方、奇数番目の各第2導電パターン116Bの他方の端部側に存在する第2大格子118Bの端部、並びに偶数番目の各第2導電パターン116Bの一方の端部側に存在する第2大格子118Bの端部は、それぞれ第2結線部84bを介して金属細線16による第2端子配線パターン86bに接続されている。そして、第1の実施の形態と同様にタッチパネル50に適用される。
【0063】
また、第1導電パターン116A(第1大格子118A、第1接続部132A)の線幅、並びに第2導電パターン116B(第2大格子118B、第2接続部132B)の線幅は、それぞれ下限は1μm以上、3μm以上、4μm以上、もしくは5μm以上が好ましく、上限は15μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下が好ましい。線幅が上記下限値未満の場合には、導電性が不十分となるためタッチパネルに使用した場合に、検出感度が不十分となる。他方、上記上限値を越えると金属細線16に起因するモアレが顕著になったり、タッチパネルに使用した際に視認性が悪くなったりする。なお、上記範囲にあることで、金属細線16による導電パターンのモアレが改善され、視認性が特によくなる。また、少なくとも第1透明基体112Aの厚みは75μm以上350μm以下が好ましく、さらに好ましくは80μm以上250μmであり、特に好ましくは100μm以上200μm以下となっている。
【0064】
第1補助パターン120A(第1補助線130A)及び第2補助パターン120B(第2補助線130B)の線幅は、それぞれ下限は1μm以上、3μm以上、4μm以上、もしくは5μm以上が好ましく、上限は15μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下が好ましい。この場合、第1導電パターン116Aの線幅や第2導電パターン116Bの線幅と同じでもよく、異なっていてもよい。ただ、第1導電パターン116A、第2導電パターン116B、第1補助パターン120A及び第2補助パターン120Bの各線幅を同じにすることが好ましい。
【0065】
そして、例えば第2導電性フイルム110B上に第1導電性フイルム110Aを積層して積層導電性フイルム104としたとき、図20に示すように、第1導電パターン116Aと第2導電パターン116Bとが交差して配置された形態とされ、具体的には、第1導電パターン116Aの第1接続部132Aと第2導電パターン116Bの第2接続部132Bとが第1透明基体112A(図17A参照)を間に挟んで対向し、第1導電部114Aの第1非接続部138Aと第2導電部114Bの第2非接続部138Bとが第1透明基体112Aを間に挟んで対向した形態となる。
【0066】
積層導電性フイルム104を上面から見たとき、図20に示すように、第1導電性フイルム110Aに形成された第1大格子118Aの隙間を埋めるように、第2導電性フイルム110Bの第2大格子118Bが配列された形態となる。
【0067】
このとき、第1接続部132Aと第2接続部132Bとが対向すること、すなわち、第1中格子134Aと第2中格子134Bとが対向し、第1中格子136Aと第2中格子136Bとが対向することにより、略長方形状の組合せパターン140が形成される。この組合せパターン140において、第1中格子134Aと第2中格子134Bとは対角線上に配置される。図18と図19で示す第1接続部132Aと第2接続部132Bとによって形成される組合せパターン140は、対角線上に小格子70が7個、4辺に小格子70が4個ずつ並んだ合計25個の小格子70から構成される。なお、組合せパターン140の頂角に位置する第1中格子134Aの小格子70の一辺は、第2大格子118Bおける第1欠除部128Aの欠除した一辺を補い、第2中格子134Bの小格子70の一辺は、第1大格子118Aおける第1欠除部128Aの欠除した一辺を補う。
【0068】
さらに、第1大格子118Aと第2大格子118Bとの間に、第1補助パターン120Aと第2補助パターン120Bとが対向することによる組合せパターン142が形成される。組合せパターン142は、第1の実施の形態における図6に示した例と同様に、第1補助線130Aの第1軸線と第2補助線130Bの第2軸線とが一致し、且つ、第1補助線130Aと第2補助線130Bとが重ならず、且つ、第1補助線130Aの一端と第2補助線130Bの一端とが一致し、これにより、小格子70(メッシュ形状)の1つの辺を構成することとなる。
【0069】
つまり、組合せパターン140と、142とは、2以上の小格子70(メッシュ形状)が組み合わされた形態となる。その結果、積層導電性フイルム104を上面から見たとき、図20に示すように、多数の小格子70(メッシュ形状)が敷き詰められた形態となる。なお、このように第1補助線130Aと第2補助線130Bとによって小格子70の1つ辺を構成する位置が、第2の実施の形態における基準位置となる。
【0070】
本実施の形態では、段差122を有する第1と第2の階段状パターン124A、124Bとが配列されることにより、より一層、第1大格子118Aと第2大格子118Bとの境界が目立たなくなり、視認性が向上する。
【0071】
この積層導電性フイルム104をタッチパネルとして使用する場合は、第1導電性フイルム110A上に保護層56を形成し、第1導電性フイルム110Aの多数の第1導電パターン116Aから導出された第1端子配線パターン86aと、第2導電性フイルム110Bの多数の第2導電パターン116Bから導出された第2端子配線パターン86bとを、例えばスキャンをコントロールする制御回路に接続する。
【0072】
上述の第1と第2の実施の形態に係る積層導電性フイルム54、104では、図7、図8A、図16、図17Aに示すように、例えば第1の実施の形態では、第1透明基体12Aの一主面に第1導電部14Aを形成し、第2透明基体12Bの一主面に第2導電部14Bを形成するようにしたが、その他、図8B、図17Bに示すように、例えば第1の実施の形態において、第1透明基体12Aの一主面に第1導電部14Aを形成し、第1透明基体12Aの他主面に第2導電部14Bを形成するようにしてもよい。この場合、第2透明基体12Bが存在せず、第2導電部14B上に、第1透明基体12Aが積層され、第1透明基体12A上に第1導電部14Aが積層された形態となる。また、第1導電性フイルム10Aと第2導電性フイルム10Bとはその間に他の層が存在してもよく、第1導電パターン64Aと第2導電パターン64Bとが絶縁状態であれば、それらが対向して配置されてもよい。
【0073】
また、図6に示すように、第1導電性フイルム10Aと第2導電性フイルム10Bの例えば各コーナー部に、第1導電性フイルム10Aと第2導電性フイルム10Bの貼り合わせの際に使用する位置決め用の第1アライメントマーク94a及び第2アライメントマーク94bを形成することが好ましい。この第1アライメントマーク94a及び第2アライメントマーク94bは、第1導電性フイルム10Aと第2導電性フイルム10Bを貼り合わせて積層導電性フイルム54とした場合に、新たな複合アライメントマークとなり、この複合アライメントマークは、該積層導電性フイルム54を表示パネル58に設置する際に使用する位置決め用のアライメントマークとしても機能することになる。
上述の例では、第1導電性フイルム10A、110A及び第2導電性フイルム10B、110Bを投影型静電容量方式のタッチパネル50に適用した例を示したが、その他、表面型静電容量方式のタッチパネルや、抵抗膜式のタッチパネルにも適用することができる。
また、上述の例では、導電性フイルム10、110を主に電磁波シールドフイルムとタッチパネル用の積層導電性フイルムに使用した例を示したが、その他、表示装置30の表示パネル58に設置される光学フイルムとしても利用することができる。この場合、表示パネル58全面に対応してメッシュパターンが形成された導電性フイルムとしてもよいし、あるいは表示画面58a全面に対応してメッシュパターン20が形成された導電性フイルム10、110としてもよいし、表示画面58a内の一部の領域(コーナー部、中央部等)に対応してメッシュパターンが形成された導電性フイルム10、110としてもよい。
【0074】
次に、導電性フイルム10、110の製造方法について、第1の実施の形態を例に挙げて説明する。なお、第2の実施の形態においても、同様の方法を適用できることは勿論である。
【0075】
導電性フイルム10を製造する方法としては、例えば透明基体12に感光性ハロゲン化銀塩を含有する乳剤層を有する感光材料を露光し、現像処理を施すことによって、露光部及び未露光部にそれぞれ金属銀部及び光透過性部を形成してメッシュパターン20を形成するようにしてもよい。なお、さらに金属銀部に物理現像及び/又はめっき処理を施すことによって金属銀部に導電性金属を担持させるようにしてもよい。
あるいは、透明基体12上に形成された銅箔上のフォトレジスト膜を露光、現像処理してレジストパターンを形成し、レジストパターンから露出する銅箔をエッチングすることによって、メッシュパターン20を形成するようにしてもよい。
あるいは、透明基体12上に金属微粒子を含むペーストを印刷し、ペーストに金属めっきを行うことによって、メッシュパターン20を形成するようにしてもよい。
あるいは、透明基体12上に、メッシュパターン20をスクリーン印刷版又はグラビア印刷版によって印刷形成するようにしてもよい。
あるいは、透明基体12上に、メッシュパターン20をインクジェットにより形成するようにしてもよい。
【0076】
次に、本実施の形態に係る導電性フイルム10において、特に好ましい態様であるハロゲン化銀写真感光材料を用いる方法を中心にして述べる。
本実施の形態に係る導電性フイルム10の製造方法は、感光材料と現像処理の形態によって、次の3通りの形態が含まれる。
(1) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を化学現像又は熱現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
(2) 物理現像核をハロゲン化銀乳剤層中に含む感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を溶解物理現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
(3) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料と、物理現像核を含む非感光性層を有する受像シートを重ね合わせて拡散転写現像して金属銀部を非感光性受像シート上に形成させる態様。
【0077】
上記(1)の態様は、一体型黒白現像タイプであり、感光材料上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。得られる現像銀は化学現像銀又は熱現像銀であり、高比表面のフィラメントである点で後続するめっき又は物理現像過程で活性が高い。
上記(2)の態様は、露光部では、物理現像核近縁のハロゲン化銀粒子が溶解されて現像核上に沈積することによって感光材料上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。これも一体型黒白現像タイプである。現像作用が、物理現像核上への析出であるので高活性であるが、現像銀は比表面の小さい球形である。
上記(3)の態様は、未露光部においてハロゲン化銀粒子が溶解されて拡散して受像シート上の現像核上に沈積することによって受像シート上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。いわゆるセパレートタイプであって、受像シートを感光材料から剥離して用いる態様である。
【0078】
いずれの態様もネガ型現像処理及び反転現像処理のいずれの現像を選択することもできる(拡散転写方式の場合は、感光材料としてオートポジ型感光材料を用いることによってネガ型現像処理が可能となる)。
ここでいう化学現像、熱現像、溶解物理現像、拡散転写現像は、当業界で通常用いられている用語どおりの意味であり、写真化学の一般教科書、例えば菊地真一著「写真化学」(共立出版社、1955年刊行)、C.E.K.Mees編「The Theory of Photographic Processes, 4th ed.」(Mcmillan社、1977年刊行)に解説されている。本件は液処理に係る発明であるが、その他の現像方式として熱現像方式を適用する技術も参考にすることができる。例えば、特開2004−184693号、同2004−334077号、同2005−010752号の各公報、特願2004−244080号、同2004−085655号の各明細書に記載された技術を適用することができる。
【0079】
ここで、本実施の形態に係る導電性フイルム10の各層の構成について、以下に詳細に説明する。
[透明基体12]
透明基体12としては、プラスチックフイルム、プラスチック板、ガラス板等を挙げることができる。
上記プラスチックフイルム及びプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類;トリアセチルセルロース(TAC)等を用いることができる。
透明基体12としては、融点が約290℃以下であるプラスチックフイルム、又はプラスチック板が好ましく、特に、光透過性や加工性等の観点から、PETが好ましい。
【0080】
[銀塩乳剤層]
導電性フイルム10の金属細線16となる銀塩乳剤層は、銀塩とバインダーの他、溶媒や染料等の添加剤を含有する。
本実施の形態に用いられる銀塩としては、ハロゲン化銀等の無機銀塩及び酢酸銀等の有機銀塩が挙げられる。本実施の形態においては、光センサとしての特性に優れるハロゲン化銀を用いることが好ましい。
銀塩乳剤層の塗布銀量(銀塩の塗布量)は、銀に換算して1〜30g/m2が好ましく、1〜25g/m2がより好ましく、5〜20g/m2がさらに好ましい。この塗布銀量を上記範囲とすることで、導電性フイルム10とした場合に所望の表面抵抗を得ることができる。
【0081】
本実施の形態に用いられるバインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。
本実施の形態の銀塩乳剤層中に含有されるバインダーの含有量は、特に限定されず、分散性と密着性を発揮し得る範囲で適宜決定することができる。銀塩乳剤層中のバインダーの含有量は、銀/バインダー体積比で1/4以上が好ましく、1/2以上がより好ましい。銀/バインダー体積比は、100/1以下が好ましく、50/1以下がより好ましい。また、銀/バインダー体積比は1/1〜4/1であることがさらに好ましい。1/1〜3/1であることが最も好ましい。銀塩乳剤層中の銀/バインダー体積比をこの範囲にすることで、塗布銀量を調整した場合でも抵抗値のばらつきを抑制し、均一な表面抵抗を有する導電性フイルム10を得ることができる。なお、銀/バインダー体積比は、原料のハロゲン化銀量/バインダー量(重量比)を銀量/バインダー量(重量比)に変換し、さらに、銀量/バインダー量(重量比)を銀量/バインダー量(体積比)に変換することで求めることができる。
【0082】
<溶媒>
銀塩乳剤層の形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
<その他の添加剤>
本実施の形態に用いられる各種添加剤に関しては、特に制限は無く、公知のものを好ましく用いることができる。
[その他の層構成]
銀塩乳剤層の上に図示しない保護層を設けてもよい。また、銀塩乳剤層よりも下に、例えば下塗り層を設けることもできる。
【0083】
次に、導電性フイルム10の作製方法の各工程について説明する。
[露光]
本実施の形態では、導電部14を印刷方式によって施す場合を含むが、印刷方式以外は、導電部14を露光と現像等によって形成する。すなわち、透明基体12上に設けられた銀塩含有層を有する感光材料又はフォトリソグラフィ用フォトポリマーを塗工した感光材料への露光を行う。露光は、電磁波を用いて行うことができる。電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線等の光、X線等の放射線等が挙げられる。さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。
【0084】
[現像処理]
本実施の形態では、乳剤層を露光した後、さらに現像処理が行われる。現像処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。
本発明における現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。本発明における定着処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
現像、定着処理を施した感光材料は、水洗処理や安定化処理を施されるのが好ましい。
現像処理後の露光部に含まれる金属銀部の質量は、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。露光部に含まれる銀の質量が露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上であれば、高い導電性を得ることができるため好ましい。
【0085】
以上の工程を経て導電性フイルム10は得られる。得られた導電性フイルム10の表面抵抗は0.1〜300オーム/sq.の範囲にあることが好ましい。なお、表面抵抗は、導電性フィルムの用途によって異なるが、電磁波シールド用途の場合には、10オーム/sq.以下であることが好ましく、0.1〜3オーム/sq.であることがより好ましい。また、タッチパネル用途の場合には、1〜70オーム/sq.であることが好ましく、5〜50オーム/sq.であることがより好ましく、5〜30オーム/sq.であることがさらに好ましい。また、現像処理後の導電性フイルム10に対しては、さらにカレンダー処理を行ってもよく、カレンダー処理により所望の表面抵抗に調整することができる。
【0086】
[物理現像及びめっき処理]
本実施の形態では、前記露光及び現像処理により形成された金属銀部の導電性を向上させる目的で、前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させるための物理現像及び/又はめっき処理を行ってもよい。本発明では物理現像又はめっき処理のいずれか一方のみで導電性金属粒子を金属銀部に担持させてもよく、物理現像とめっき処理とを組み合わせて導電性金属粒子を金属銀部に担持させてもよい。なお、金属銀部に物理現像及び/又はめっき処理を施したものを含めて「導電性金属部」と称する。
本実施の形態における「物理現像」とは、金属や金属化合物の核上に、銀イオン等の金属イオンを還元剤で還元して金属粒子を析出させることをいう。この物理現象は、インスタントB&Wフイルム、インスタントスライドフイルムや、印刷版製造等に利用されており、本発明ではその技術を用いることができる。また、物理現像は、露光後の現像処理と同時に行っても、現像処理後に別途行ってもよい。
本実施の形態において、めっき処理は、無電解めっき(化学還元めっきや置換めっき)、電解めっき、又は無電解めっきと電解めっきの両方を用いることができる。本実施の形態における無電解めっきは、公知の無電解めっき技術を用いることができ、例えば、プリント配線板等で用いられている無電解めっき技術を用いることができ、無電解めっきは無電解銅めっきであることが好ましい。
【0087】
[酸化処理]
本実施の形態では、現像処理後の金属銀部、並びに、物理現像及び/又はめっき処理によって形成された導電性金属部には、酸化処理を施すことが好ましい。酸化処理を行うことにより、例えば、光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、該金属を除去し、光透過性部の透過性をほぼ100%にすることができる。
[導電性金属部]
本実施の形態の導電性金属部の線幅(金属細線16の線幅)は、30μm以下が選択可能であり、下限は0.1μm以上、1μm以上、3μm以上、4μm以上、もしくは5μm以上が好ましく、上限は30μm以下、15μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下が好ましい。線幅が上記下限値未満の場合には、導電性が不十分となるためタッチパネル50に使用した場合に、検出感度が不十分となる。他方、上記上限値を越えると導電性金属部に起因するモアレが顕著になったり、タッチパネル50に使用した際に視認性が悪くなったりする。なお、上記範囲にあることで、導電性金属部のモアレが改善され、視認性が特によくなる。小格子70の一辺の長さPsは100μm以上400μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは150μm以上300μm以下、最も好ましくは210μm以上250μm以下である。また、導電性金属部は、アース接続等の目的においては、線幅は200μmより広い部分を有していてもよい。
本実施の形態における導電性金属部は、可視光透過率の点から開口率は85%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが最も好ましい。開口率とは、金属細線16を除いた透光性部分が全体に占める割合であり、例えば、線幅6μm、一辺の長さが240μmのひし形状の開口率は、95%である。
【0088】
[光透過性部]
本実施の形態における「光透過性部」とは、導電性フイルム10のうち導電性金属部以外の透光性を有する部分を意味する。光透過性部における透過率は、前述のとおり、透明基体12の光吸収及び反射の寄与を除いた380〜780nmの波長領域における透過率の最小値で示される透過率が90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上であり、さらにより好ましくは98%以上であり、最も好ましくは99%以上である。
露光方法に関しては、ガラスマスクを介した方法やレーザー描画によるパターン露光方式が好ましい。
【0089】
[導電性フイルム10]
本実施の形態に係る導電性フイルム10における透明基体12の厚さは、5〜350μmであることが好ましく、30〜150μmであることがさらに好ましい。5〜350μmの範囲であれば所望の可視光の透過率が得られ、且つ、取り扱いも容易である。
透明基体12上に設けられる金属銀部の厚さは、透明基体12上に塗布される銀塩含有層用塗料の塗布厚みに応じて適宜決定することができる。金属銀部の厚さは、0.001mm〜0.2mmから選択可能であるが、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、0.01〜9μmであることがさらに好ましく、0.05〜5μmであることが最も好ましい。また、金属銀部はパターン状であることが好ましい。金属銀部は1層でもよく、2層以上の重層構成であってもよい。金属銀部がパターン状であり、且つ、2層以上の重層構成である場合、異なる波長に感光できるように、異なる感色性を付与することができる。これにより、露光波長を変えて露光すると、各層において異なるパターンを形成することができる。
【0090】
導電性金属部の厚さは、タッチパネル50の用途としては、薄いほど表示パネル58の視野角が広がるため好ましく、視認性の向上の点でも薄膜化が要求される。このような観点から、導電性金属部に担持された導電性金属からなる層の厚さは、9μm未満であることが好ましく、0.1μm以上5μm未満であることがより好ましく、0.1μm以上3μm未満であることがさらに好ましい。
本実施の形態では、上述した銀塩含有層の塗布厚みをコントロールすることにより所望の厚さの金属銀部を形成し、さらに物理現像及び/又はめっき処理により導電性金属粒子からなる層の厚みを自在にコントロールできるため、5μm未満、好ましくは3μm未満の厚みを有する導電性フイルムであっても容易に形成することができる。
なお、本実施の形態に係る導電性フイルム10の製造方法では、めっき等の工程は必ずしも行う必要はない。本実施の形態に係る導電性フイルム10の製造方法では銀塩乳剤層の塗布銀量、銀/バインダー体積比を調整することで所望の表面抵抗を得ることができるからである。なお、必要に応じてカレンダー処理等を行ってもよい。
【0091】
(現像処理後の硬膜処理)
銀塩乳剤層に対して現像処理を行った後に、硬膜剤に浸漬して硬膜処理を行うことが好ましい。硬膜剤としては、例えば、グルタルアルデヒド、アジポアルデヒド、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン等のジアルデヒド類及びほう酸等の特開平2−141279号に記載のものを挙げることができる。
本実施の形態に係る導電性フイルム10には、反射防止層やハードコート層などの機能層を付与してもよい。
【0092】
[カレンダー処理]
現像処理済みの金属銀部にカレンダー処理を施して平滑化するようにしてもよい。これによって金属銀部の導電性が顕著に増大する。カレンダー処理は、カレンダーロールにより行うことができる。カレンダーロールは通常一対のロールからなる。
カレンダー処理に用いられるロールとしては、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等のプラスチックロール又は金属ロールが用いられる。特に、両面に乳剤層を有する場合は、金属ロール同士で処理することが好ましい。片面に乳剤層を有する場合は、シワ防止の点から金属ロールとプラスチックロールの組み合わせとすることもできる。線圧力の上限値は1960N/cm(200kgf/cm、面圧に換算すると699.4kgf/cm2)以上、さらに好ましくは2940N/cm(300kgf/cm、面圧に換算すると935.8kgf/cm2)以上である。線圧力の上限値は、6880N/cm(700kgf/cm)以下である。
カレンダーロールで代表される平滑化処理の適用温度は10℃(温調なし)〜100℃が好ましく、より好ましい温度は、金属メッシュパターンや金属配線パターンの画線密度や形状、バインダ種によって異なるが、おおよそ10℃(温調なし)〜50℃の範囲にある。
【0093】
なお、本発明は、下記表1及び表2に記載の公開公報及び国際公開パンフレットの技術と適宜組合わせて使用することができる。「特開」、「号公報」、「号パンフレット」等の表記は省略する。
【0094】
【表1】

【0095】
【表2】

【実施例】
【0096】
以下に、本発明の実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0097】
[第1実施例]
この第1実施例では、比較例1〜6、実施例1〜60に係る積層導電性フイルムについて、開口率を算出し、さらに、モアレを評価した。比較例1〜6、実施例1〜60の内訳並びに算出結果及び評価結果を表3及び表4に示す。
【0098】
<実施例1〜60、比較例1〜6>
(ハロゲン化銀感光材料)
水媒体中のAg150gに対してゼラチン10.0gを含む、球相当径平均0.1μmの沃臭塩化銀粒子(I=0.2モル%、Br=40モル%)を含有する乳剤を調製した。
また、この乳剤中にはK3Rh2Br9及びK2IrCl6を濃度が10-7(モル/モル銀)になるように添加し、臭化銀粒子にRhイオンとIrイオンをドープした。この乳剤にNa2PdCl4を添加し、さらに塩化金酸とチオ硫酸ナトリウムを用いて金硫黄増感を行った後、ゼラチン硬膜剤と共に、銀の塗布量が10g/m2となるように透明基体(ここでは、共にポリエチレンテレフタレート(PET))上に塗布した。この際、Ag/ゼラチン体積比は2/1とした。
幅30cmのPET支持体に25cmの幅で20m分塗布を行ない、塗布の中央部24cmを残すように両端を3cmずつ切り落としてロール状のハロゲン化銀感光材料を得た。
【0099】
(露光)
露光のパターンは、第1導電性フイルム10Aについては図7及び図9に示すパターンで、第2導電性フイルム10Bについては図7及び図12に示すパターンで、A4サイズ(210mm×297mm)の第1透明基体12A及び第2透明基体12Bに行った。露光は上記パターンのフォトマスクを介して高圧水銀ランプを光源とした平行光を用いて露光した。
【0100】
(現像処理)
・現像液1L処方
ハイドロキノン 20 g
亜硫酸ナトリウム 50 g
炭酸カリウム 40 g
エチレンジアミン・四酢酸 2 g
臭化カリウム 3 g
ポリエチレングリコール2000 1 g
水酸化カリウム 4 g
pH 10.3に調整
・定着液1L処方
チオ硫酸アンモニウム液(75%) 300 ml
亜硫酸アンモニウム・1水塩 25 g
1,3−ジアミノプロパン・四酢酸 8 g
酢酸 5 g
アンモニア水(27%) 1 g
pH 6.2に調整
上記処理剤を用いて露光済み感材を、富士フイルム社製自動現像機 FG−710PTSを用いて処理条件:現像35℃ 30秒、定着34℃ 23秒、水洗 流水(5L/分)の20秒処理で行った。
【0101】
(実施例1)
作製した第1導電性フイルム10Aの第1導電部14Aにおける第1大格子68Aの縦横比(Lva/Lha)並びに第2導電性フイルム10Bの第2導電部14Bにおける第2大格子68Bの縦横比(Lvb/Lhb)をそれぞれ0.5773、金属細線16の細線ピッチPsを200μm、金属細線16の線幅を6μmとして実施例1に係る積層導電性フイルムを作製した。
(実施例2〜4)
実施例2、3、4は、金属細線16の細線ピッチPsをそれぞれ220μm、240μm、400μmとした点以外は実施例1と同様にして積層導電性フイルムを作製した。
(実施例5)
第1大格子68A及び第2大格子68Bの縦横比をそれぞれ0.6248、金属細線16の細線ピッチPsを200μm、金属細線16の線幅を6μmとして実施例5に係る積層導電性フイルムを作製した。
(実施例6〜8)
実施例6、7、8は、金属細線16の細線ピッチPsをそれぞれ220μm、240μm、400μmとした点以外は実施例5と同様にして積層導電性フイルムを作製した。
【0102】
(実施例9)
第1大格子68A及び第2大格子68Bの縦横比をそれぞれ0.7266、金属細線16の細線ピッチPsを200μm、金属細線16の線幅を6μmとして実施例9に係る積層導電性フイルムを作製した。
(実施例10〜12)
実施例10、11、12は、金属細線16の細線ピッチPsをそれぞれ220μm、240μm、400μmとした点以外は実施例9と同様にして積層導電性フイルムを作製した。
(実施例13)
第1大格子68A及び第2大格子68Bの縦横比それぞれ0.7535、金属細線16の細線ピッチPsを200μm、金属細線16の線幅を6μmとして実施例13に係る積層導電性フイルムを作製した。
(実施例14〜16)
実施例14、15、16は、金属細線16の細線ピッチPsをそれぞれ220μm、240μm、400μmとした点以外は実施例13と同様にして積層導電性フイルムを作製した。
【0103】
(実施例17)
第1大格子68A及び第2大格子68Bの縦横比をそれぞれ0.8098、金属細線16の細線ピッチPsを200μm、金属細線16の線幅を6μmとして実施例17に係る積層導電性フイルムを作製した。
(実施例18〜20)
実施例18、19、20は、金属細線16の細線ピッチPsをそれぞれ220μm、240μm、400μmとした点以外は実施例17と同様にして積層導電性フイルムを作製した。
(実施例21)
第1大格子68A及び第2大格子68Bの縦横比をそれぞれ0.8391、金属細線16の細線ピッチPsを200μm、金属細線16の線幅を6μmとして実施例21に係る積層導電性フイルムを作製した。
(実施例22〜24)
実施例22、23、24は、金属細線16の細線ピッチPsをそれぞれ220μm、240μm、400μmとした点以外は実施例21と同様にして積層導電性フイルムを作製した。
【0104】
(実施例25)
第1大格子68A及び第2大格子68Bの縦横比をそれぞれ0.9657、金属細線16の細線ピッチPsを200μm、金属細線16の線幅を6μmとして実施例25に係る積層導電性フイルムを作製した。
(実施例26〜28)
実施例26、27、28は、金属細線16の細線ピッチPsをそれぞれ220μm、240μm、400μmとした点以外は実施例25と同様にして積層導電性フイルムを作製した。
(実施例29)
第1大格子68A及び第2大格子68Bの縦横比をそれぞれ1.0000、金属細線16の細線ピッチPsを200μm、金属細線16の線幅を6μmとして実施例29に係る積層導電性フイルムを作製した。
(実施例30〜32)
実施例30、31、32は、金属細線16の細線ピッチPsをそれぞれ220μm、240μm、400μmとした点以外は実施例29と同様にして積層導電性フイルムを作製した。
【0105】
(実施例33)
第1大格子68A及び第2大格子68Bの縦横比をそれぞれ1.0356、金属細線16の細線ピッチPsを200μm、金属細線16の線幅を6μmとして実施例33に係る積層導電性フイルムを作製した。
(実施例34〜36)
実施例34、35、36は、金属細線16の細線ピッチPsをそれぞれ220μm、240μm、400μmとした点以外は実施例33と同様にして積層導電性フイルムを作製した。
(実施例37)
第1大格子68A及び第2大格子68Bの縦横比をそれぞれ1.1917、金属細線16の細線ピッチPsを200μm、金属細線16の線幅を6μmとして実施例37に係る積層導電性フイルムを作製した。
(実施例38〜40)
実施例38、39、40は、金属細線16の細線ピッチPsをそれぞれ220μm、240μm、400μmとした点以外は実施例37と同様にして積層導電性フイルムを作製した。
【0106】
(実施例41)
第1大格子68A及び第2大格子68Bの縦横比をそれぞれ1.2349、金属細線16の細線ピッチPsを200μm、金属細線16の線幅を6μmとして実施例41に係る積層導電性フイルムを作製した。
(実施例42〜44)
実施例42、43、44は、金属細線16の細線ピッチPsをそれぞれ220μm、240μm、400μmとした点以外は実施例41と同様にして積層導電性フイルムを作製した。
(実施例45)
第1大格子68A及び第2大格子68Bの縦横比をそれぞれ1.3271、金属細線16の細線ピッチPsを200μm、金属細線16の線幅を6μmとして実施例45に係る積層導電性フイルムを作製した。
(実施例46〜48)
実施例46、47、48は、金属細線16の細線ピッチPsをそれぞれ220μm、240μm、400μmとした点以外は実施例45と同様にして積層導電性フイルムを作製した。
【0107】
(実施例49)
第1大格子68A及び第2大格子68Bの縦横比をそれぞれ1.3763、金属細線16の細線ピッチPsを200μm、金属細線16の線幅を6μmとして実施例49に係る積層導電性フイルムを作製した。
(実施例50〜52)
実施例50、51、52は、金属細線16の細線ピッチPsをそれぞれ220μm、240μm、400μmとした点以外は実施例49と同様にして積層導電性フイルムを作製した。
(実施例53)
第1大格子68A及び第2大格子68Bの縦横比をそれぞれ1.6004、金属細線16の細線ピッチPsを200μm、金属細線16の線幅を6μmとして実施例53に係る積層導電性フイルムを作製した。
(実施例54〜56)
実施例54、55、56は、金属細線16の細線ピッチPsをそれぞれ220μm、240μm、400μmとした点以外は実施例49と同様にして積層導電性フイルムを作製した。
【0108】
(実施例57)
第1大格子68A及び第2大格子68Bの縦横比をそれぞれ1.7321、金属細線16の細線ピッチPsを200μm、金属細線16の線幅を6μmとして実施例57に係る積層導電性フイルムを作製した。
(実施例58〜60)
実施例58、59、60は、金属細線16の細線ピッチPsをそれぞれ220μm、240μm、400μmとした点以外は実施例57と同様にして積層導電性フイルムを作製した。
【0109】
(比較例1)
第1大格子68A及び第2大格子68Bの縦横比をそれぞれ0.5543、金属細線16の細線ピッチPsを200μm、金属細線16の線幅を6μmとして比較例1に係る積層導電性フイルムを作製した。
(比較例2、3)
比較例2、3は、金属細線16の細線ピッチPsをそれぞれ300μm、400μmとした点以外は比較例1と同様にして積層導電性フイルムを作製した。
(比較例4)
第1大格子68A及び第2大格子68Bの縦横比をそれぞれ1.8040、金属細線16の細線ピッチPsを200μm、金属細線16の線幅を6μmとして比較例4に係る積層導電性フイルムを作製した。
(比較例5、6)
比較例5、6は、金属細線16の細線ピッチPsをそれぞれ300μm、400μmとした点以外は比較例4と同様にして積層導電性フイルムを作製した。
【0110】
〔評価〕
(開口率の算出)
透明性の良否を確認するために、比較例1〜6、実施例1〜60について、それぞれ積層導電性フイルムの透過率を分光光度計を用いて測定し、さらに比例計算によって開口率を算出した。
(モアレの評価)
比較例1〜6、実施例1〜60について、積層導電性フイルムを表示装置30の表示パネル58上に貼り付けた後、表示装置30を回転盤に設置し、表示装置30を駆動して白色を表示させる。その状態で、回転盤をバイアス角−20°〜+20°の間で回転し、モアレの目視観察・評価を行った。表示装置30の水平画素ピッチPh及び垂直画素ピッチPvはいずれも約192μmであった。なお、評価用のディスプレイとしてHP社製のPavilion Notebook PC dm1a(11.6inch光沢液晶WXGA/1366×768)を使用した。
モアレの評価は、表示装置30の表示画面から観察距離0.5mで行い、モアレが顕在化しなかった場合を○、モアレが問題のないレベルでほんの少し見られた場合を△、モアレが顕在化した場合を×とした。そして、総合評点として、○となる角度範囲が10°以上の場合をA、○となる角度範囲が10°未満の場合はB、○となる角度範囲がなく×となる角度範囲が30°未満の場合はC、○となる角度範囲がなく×となる角度範囲が30°以上ある場合をDとした。
【0111】
【表3】

【0112】
【表4】

【0113】
表3及び表4から、比較例1〜6はいずれも評価がDであり、モアレが顕在化していることがわかった。一方、実施例1〜60は、実施例1、4、21、24、25、28〜33、36、37、40、57、60において、モアレがやや顕在化しているが問題のないレベルであった。これ以外の実施例のうち、実施例2、3、5、8、9、12、13、16、17、20、22、23、26、27、34、35、38、39、41、44、45、48、49、52、53、56、58、59についてはほとんどモアレの発生がなく良好であった。特に、第1大格子68A及び第2大格子68Bの縦横比が0.62よりも大きく、且つ、0.81未満、あるいは、1.23より大きく、且つ、1.61未満であって、金属細線16の細線ピッチPsが220μm、240μmである実施例6、7、10、11、14、15、18、19、42、43、46、47、50、51、54、55についてはモアレの発生はなかった。
【0114】
[第2実施例]
この第2実施例では、実施例61〜120、比較例7〜12に係る導電性フイルムについて、開口率を算出し、さらに、モアレを評価した。比較例7〜12、実施例61〜120の内訳並びに算出結果及び評価結果を表5及び表6に示す。
<実施例61〜120、比較例7〜12>
第1導電性フイルム110Aについては図18に示すパターンで、第2導電性フイルム110Bについては図20に示すパターンで露光を行った点以外は、上記した第1実施例と同様にして導電性フイルムを作製し、評価した。なお、第1導電性フイルム110Aの第1導電部114Aにおける第1大格子118Aの縦横比は、水平方向の2つの第1上底部126A間に形成されるひし形の縦横比とし、第2導電性フイルム110Bの第2導電部114Bにおける第2大格子118Bの縦横比は、水平方向の2つの頂角部間に形成されるひし形の縦横比とした。
【0115】
(実施例61)
第1導電性フイルム110Aの第1導電部114Aにおける第1大格子118Aの縦横比(Lva/Lha)並びに第2導電性フイルム110Bの第2導電部114Bにおける第2大格子118Bの縦横比(Lvb/Lhb)をそれぞれ0.5773、金属細線16の細線ピッチPsを200μm、金属細線16の線幅を6μmとして実施例61に係る積層導電性フイルムを作製した。
(実施例62〜120、比較例7〜12)
実施例62〜120に係る積層導電性フイルムの作製は、それぞれ上記した実施例2〜60に準拠して行った。また、比較例7〜12に係る積層導電性フイルムの作製は、それぞれ上記した比較例1〜6に準拠して行った。
【0116】
【表5】

【0117】
【表6】

【0118】
表5及び表6から、比較例7〜12はいずれも評価がDであり、モアレが顕在化していることがわかった。一方、実施例61〜120は、実施例61、81、84、85、88、89、92、93、100、117、120において、モアレがやや顕在化しているが問題のないレベルであった。これ以外の実施例のうち、実施例62〜65、68、69、72、73、76、77、80、82、83、86、87、90、91、94〜99、101、104、105、108、109、112、113、116、118、119についてはほとんどモアレの発生がなく良好であった。特に、第1大格子118A及び第2大格子118Bの縦横比が0.62よりも大きく、且つ、0.81未満、あるいは、1.23より大きく、且つ、1.61未満であって、金属細線16の細線ピッチPsが220μm、240μmである実施例66、67、70、71、74、75、78、79、102、103、106、107、110、111、114、115についてはモアレの発生はなかった。
【0119】
また、上述した実施例1〜120に係る積層導電性フイルム54、104を用いてそれぞれ投影型静電容量方式のタッチパネル50を作製した。指で触れて操作したところ、応答速度が速く、検出感度に優れることがわかった。また2点以上をタッチして操作したところ、同様に良好な結果が得られ、マルチタッチにも対応できることが確認できた。
本発明に係る導電性フイルム及びタッチパネルは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0120】
10…導電性フイルム 10A…第1導電性フイルム
10B…第2導電性フイルム 12…透明基体
12A…第1透明基体 12B…第2透明基体
14…導電部 14A…第1導電部
14B…第2導電部 16…金属細線
30…表示装置 32…画素
50…タッチパネル 52…センサ本体
54…積層導電性フイルム 64A…第1導電パターン
64B…第2導電パターン 68A…第1大格子
68B…第2大格子 70…小格子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、
基体の一方の主面に形成された導電部とを有し、
前記導電部は、それぞれ第1方向に延在し、且つ、前記第1方向と直交する第2方向に配列された金属細線による2以上の導電パターンを有し、
前記導電パターンは、2以上の感知部が前記第1方向に接続されて構成され、
各前記感知部の前記第2方向に沿った長さをLv、前記第1方向に沿った長さをLhとしたとき、
0.57<Lv/Lh<1.74
を満足することを特徴とする導電性フイルム。
【請求項2】
請求項1記載の導電性フイルムにおいて、
0.57<Lv/Lh<1.00
を満足することを特徴とする導電性フイルム。
【請求項3】
請求項1記載の導電性フイルムにおいて、
0.62<Lv/Lh<0.81
を満足することを特徴とする導電性フイルム。
【請求項4】
請求項1記載の導電性フイルムにおいて、
1.00<Lv/Lh<1.74
を満足することを特徴とする導電性フイルム。
【請求項5】
請求項1記載の導電性フイルムにおいて、
1.23<Lv/Lh<1.61
を満足することを特徴とする導電性フイルム。
【請求項6】
基体と、
基体の一方の主面に形成された第1導電部と、
基体の他方の主面に形成された第2導電部とを有し、
前記第1導電部は、それぞれ第1方向に延在し、且つ、前記第1方向と直交する第2方向に配列された2以上の第1導電パターンを有し、
前記第2導電部は、それぞれ第2方向に延在し、且つ、前記第1方向に配列された2以上の第2導電パターンを有し、
前記第1導電パターンは、2以上の第1の感知部が前記第1方向に接続されて構成され、
前記第2導電パターンは、2以上の第2の感知部が前記第2方向に接続されて構成され、
各前記第1の感知部の前記第2方向に沿った長さをLva、前記第1方向に沿った長さをLhaとし、
各前記第2の感知部の前記第2方向に沿った長さをLvb、前記第1方向に沿った長さをLhbとしたとき、
0.57<Lva/Lha<1.74
0.57<Lvb/Lhb<1.74
を満足することを特徴とする導電性フイルム。
【請求項7】
請求項6記載の導電性フイルムにおいて、
0.57<Lva/Lha<1.00
0.57<Lvb/Lhb<1.00
を満足することを特徴とする導電性フイルム。
【請求項8】
請求項6記載の導電性フイルムにおいて、
0.62<Lva/Lha<0.81
0.62<Lvb/Lhb<0.81
を満足することを特徴とする導電性フイルム。
【請求項9】
請求項6記載の導電性フイルムにおいて、
1.00<Lva/Lha<1.74
1.00<Lvb/Lhb<1.74
を満足することを特徴とする導電性フイルム。
【請求項10】
請求項6記載の導電性フイルムにおいて、
1.23<Lva/Lha<1.61
1.23<Lvb/Lhb<1.61
を満足することを特徴とする導電性フイルム。
【請求項11】
請求項1又は6記載の導電性フイルムにおいて、
各前記感知部がそれぞれ複数の金属細線によるメッシュパターンにて構成され、
前記金属細線のピッチが100〜400μmであることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項12】
請求項1又は6記載の導電性フイルムにおいて、
各前記感知部がそれぞれ複数の金属細線によるメッシュパターンにて構成され、
前記金属細線の線幅が30μm以下であることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項13】
請求項1又は6記載の導電性フイルムにおいて、
前記感知部は複数の小格子にて構成され、
各前記小格子の前記第2方向に沿った長さをLvs、前記第1方向に沿った長さをLhsとしたとき、
0.57<Lvs/Lhs<1.74
を満足することを特徴とする導電性フイルム。
【請求項14】
請求項1又は6記載の導電性フイルムにおいて、
前記感知部の辺の周囲に、複数の補助線からなる補助パターンが配列されて構成され、
前記補助パターンは、2つの前記補助線がL字状に組み合わされたL字状パターンを有することを特徴とする導電性フイルム。
【請求項15】
基体と、
基体の一方の主面に形成された導電部とを有し、
前記導電部は、メッシュパターンから構成されており、当該メッシュパターンの開口部はひし形状を有し、
前記ひし形状の一方の対角線の長さをLv、他方の対角線の長さをLhとしたとき、
0.57<Lvp/Lhp<1.74
を満足することを特徴とする導電性フイルム。
【請求項16】
表示パネル上に設置された導電性フイルムを備える表示装置であって、
前記導電性フイルムは、
基体と、
基体の一方の主面に形成された導電部とを有し、
前記表示装置の画素の配列方向を第1方向としたとき、
前記導電部は、それぞれ第1方向に延在し、且つ、前記第1方向と直交する第2方向に配列された金属細線による2以上の導電パターンを有し、
前記導電パターンは、2以上の感知部が前記第1方向に接続されて構成され、
各前記感知部の前記第2方向に沿った長さをLv、前記第1方向に沿った長さをLhとしたとき、
0.57<Lv/Lh<1.74
を満足することを特徴とする表示装置。
【請求項17】
表示パネル上に設置された導電性フイルムを備える表示装置であって、
前記導電性フイルムは、
基体と、
基体の一方の主面に形成された第1導電部と、
基体の他方の主面に形成された第2導電部とを有し、
前記表示装置の画素の配列方向を第1方向としたとき、
前記第1導電部は、それぞれ第1方向に延在し、且つ、前記第1方向と直交する第2方向に配列された2以上の第1導電パターンを有し、
前記第2導電部は、それぞれ第2方向に延在し、且つ、前記第1方向に配列された2以上の第2導電パターンを有し、
前記第1導電パターンは、2以上の第1の感知部が前記第1方向に接続されて構成され、
前記第2導電パターンは、2以上の第2の感知部が前記第2方向に接続されて構成され、
各前記第1の感知部の前記第2方向に沿った長さをLva、前記第1方向に沿った長さをLhaとし、
各前記第2の感知部の前記第2方向に沿った長さをLvb、前記第1方向に沿った長さをLhbとしたとき、
0.57<Lva/Lha<1.74
0.57<Lvb/Lhb<1.74
を満足することを特徴とする表示装置。
【請求項18】
請求項16又は17記載の表示装置において、
各前記感知部がそれぞれ複数の金属細線によるメッシュパターンにて構成され、
前記金属細線のピッチが100〜400μmであることを特徴とする表示装置。
【請求項19】
請求項16又は17記載の表示装置において、
各前記感知部がそれぞれ複数の金属細線によるメッシュパターンにて構成され、
前記金属細線の線幅が30μm以下であることを特徴とする表示装置。
【請求項20】
請求項16又は17記載の表示装置において、
前記感知部は複数の小格子にて構成され、
各前記小格子の前記第2方向に沿った長さをLvs、前記第1方向に沿った長さをLhsとしたとき、
0.57<Lvs/Lhs<1.74
を満足することを特徴とする表示装置。
【請求項21】
請求項16又は17記載の表示装置において、
前記感知部の辺の周囲に、複数の補助線からなる補助パターンが配列されて構成され、
前記補助パターンは、2つの前記補助線がL字状に組み合わされたL字状パターンを有することを特徴とする表示装置。
【請求項22】
表示パネル上に設置された導電性フイルムを備える表示装置であって、
前記導電性フイルムは、
基体と、
基体の一方の主面に形成された導電部とを有し、
前記導電部は、メッシュパターンから構成されており、当該メッシュパターンの開口部はひし形状を有し、
前記ひし形状の一方の対角線の長さをLv、他方の対角線の長さをLhとしたとき、
0.57<Lvp/Lhp<1.74
を満足することを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−163933(P2012−163933A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105374(P2011−105374)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】